プロローグより前の話を書きますpert3 「前日談」ってやつかな [[まとめページ>ナシュル]] 作者:[[カナヘビ]] #hr 太古の昔に絶滅した地上最大の知的生命体、ヒト。 彼らが残した『ショセキ』と呼ばれる記録媒体によれば、ポケモンはその時代から存在しており、太古の技術により使役されていたという記録が残っている。 ヒトが残したものは現在も数多く残っており、大規模な摩天楼遺跡から小さな装飾品まで様々である。 特に貴族はその装飾品を身に着けていることが多く、それは貴族のたしなみ、または実力の向上ともいわれる。 ヒトが絶滅した原因は分かっておらず、災害や大規模な争いの跡などは一切見受けられない。 まるで、忽然と消え去ったかのよう。 その後人畜のポケモンも野生化してゆき、現在ヒトのことを調べられるのはショセキとポリゴン系、そしてゴルーグ系となっている。 「……ぐー……」 …こほん、彼らにはヒトの残した膨大な情報が組み込まれているが、その情報の出力方法が一切不明であり、それの解析方法を研究しているポケモンもいる。 「がぁー…」 …そして、… 「ごがぁー!!」 ……… 「むにゃむにゃ…。あれ?子守唄は?」 「誰が子守唄だぁー!!」 講義をしていたサンダースが体中に電気をまとわりつけて怒っている。 「フルメン!!お前また寝ていたのか!?」サンダースが叫ぶ。 「ふわっ?寝てないっすよ。夢の世界へテレポートしてたんスよ」フルメンと呼ばれたデンリュウが答えた。 「それを寝ていたというんだ!お前が寝ていたとなると…!」サンダースはフルメンの隣を見る。 「…すぴー…」 「…おーいファル、そろそろ帰ってこーい」 「うーん…。もう終わったのか?」ファルと呼ばれたコジョンドが眠そうに聞く。 「キサマらぁー!!!」サンダースが怒り狂う。「フルミニア・アンファロス!ファル・ミェンシャオ!もう許さんぞー!!」 サンダースが走行し始める 「うひょー!」「いいいいっ!?」2体は叫ぶ。 森の中にできた教室っぽい円形スペースから多大な電気が放たれ、フルメンとファルは逃げ出した。 「待てコルルァー!」サンダースが巻き舌で叫びながら追いかけてくる。 2体は全速力で逃げながら話している。 「おいフルメン!なんで居眠りバレてるんだよ!?」 「知るか!俺はちゃんと夢の世界にいたって言ったぞ!」 「それはバレるって!冗談でも通用するか!!」 「ウソだろ!?ああいう知ったかどもって、こういうので充分じゃないのか!?」 「そんなわけないだろうが!!あれでも一応ボクたちより長く生きてんだぞ!!」 「一応な!い・ち・お・う!」 異常なスピードで追いかけてくるサンダース。怒り狂いながら雷を連発している。 「ああもう、くそ速いなあ!おいファル!こういう時のための跳び膝だろ!」 「何言ってるんだよ!?相手はサンダースだぞ!?そんなもん喰らわしたらどうなると思ってんだよ!」 「確定1発でバタンキューだろ?」 「んなこと聞いてるんじゃない!次あそこに行ったとき叱られるじゃすまないぞ!?」 「大丈夫だ!俺たちが言葉巧みに言いくるめれば夢落ちにできる!」 「お前の言葉で騙されてないから今こうなんてるんだろ!」 「ファル、話術は得意か?」 「ボクに飛び膝と洗脳をさせる気かよ!?」 サンダースはすごい勢いで確実に迫ってきている。 「そもそも、ボクが飛び膝なんか喰らわそうとしたってその前にあの雷が当たるだろ!」 「雷なんてそう当たらないさ!」 「それは適当な距離の時の話だろ!至近距離にいけばめくらでもない限り当たるぞ!」 「そこはお前の素早さでフォローすんだよ」 「サンダースに比べればボクの素早さなんてお前と五十歩百歩さ!耐久の低いボクが向かったってすぐやられる!フルメンが行けよ!」 「何言ってんだ!サンダースに対抗できる電気なんて俺はエレキブルとマッギョしか知らねえぞ!なにしろってんだよ!気合い玉か?シグナルか?パワジェか?」 「特殊にこだわるな!相手はサンダース、爆裂パンチ逆鱗その他の物理技でいくんだよ!」 「習得面倒だから覚えてねえよ!」 「それすっげえ贅沢!」 サンダースは徐々に離れてゆく。 お分かりの通り、両者は近づいたり離れたりしている。つまり彼らは逃げきれている訳で、サンダースは完全に遊ばれている。 「おーい、サンダースさーん、そろそろ追いかけっこやめません?」フルメンが声をかける。 「黙れフルミニア!雷を当てるまでやめないぞ!」サンダースは怒っている。 「あちゃー、怒り心頭かよ」フルメンはオーバーに溜息を吐く。 「眠ってただけでここまで怒るポケモンも珍しいな」ファルが地味に感心している。 「くそっ、馬鹿にしやがって!今に見やが…べっ!」 サンダースが突然吹き飛ばされる。 「おろ?」「あり?」2体は異変に気づいてストップする。 見れば、サンダースは近くの木に打ち付けられ、地面に落ちて気絶していた。だらしなく白目をむいて口からよだれを垂らしている。 森の中から何かが近づいてきていた。 「…なあ、ファル」 「ん?なんだ?」 「とりあえず、目開けね?」 「残念なことに、ここは夢じゃない」 「…だな。つねったら痛えし」 「そういうことだ。状況を把握できたところで、そろそろ突っ込むか?」 「だな」 「なんでハガネールがいるんだよ!?」2体は同時に突っ込む。 木々をすり抜け、巨大なハガネールがじりじりと近寄ってきていた。何か興奮しているようで、目が焦点を合ってない。 2体は突然同時に跳躍した。その瞬間、ハガネールのアイアンテールが一瞬のうちに通り抜け、周囲の草花を散らす。 2体は先ほどよりハガネールから距離をとった地点に着地した。 フルメンは大きく身を引き、両腕を右に伸ばした体勢に入った。 ファルは両手を体の前に突出し、手のひらを開いて向かい合せる。 「敵意むんむんじゃねえか。問答無用に技ぶっぱなすってのは無しなんじゃないのか?」と、フルメン。 「今、それをボクにやらせようと躍起になっていたのはどこのどいつだよ」ファルが応える。 「なんにしろ、とにかくお相手さんは戦闘がしたいみたいだから付き合ってやろうぜ」フルメンは笑った。 「そうだな」 2体はそれぞれの手の間に、大きさは違うが同種の闘気を集めていた。それを、彼らは一気に放った。 「気合い玉あぁ!!」 「波動弾!!」 ハガネールは防御種族値が上位に位置するほどすさまじい物理耐久を誇る。だが、特防については凄まじく低い。よって、彼らは賢明にも特殊技で対抗することに決めたのだ。 気合い玉と波動弾は勢いよく飛んでいき、ハガネールに命中する。ハガネールはダメージを受けたものの、まだ戦える様子。 ハガネールはその場でとぐろを巻き、じっとし始めた。 「おいおい、なんでハガネールがとぐろを巻くなんて使えるんだよ」フルメンが訳が分からないといった風に言う。 「馬鹿、あれはのろいだ。もたもたしてると、ジャイロかヘビーボンバーかが来るぞ」ファルが呆れて言った。 2体はその後も波動弾と気合い玉を放ち続けた。当然気合い玉は使用回数制限が少ないので、フルメンは何もできなくなる。 「一応炎のパンチ使えるけど…、いらねえよな?」 「ああ、いらない」 ハガネールは防御種族値こそ高いが、それ以外はてんで普通である。特に、メインウェポンである攻撃種族値ですらモロバレルやガマゲロゲと同等であり、マラカッチにすら劣るのである。いくら遅いとはいえのろいがなければ火力不足は必至で、必然的にのろいによる隙が大きくなる。 当然、その隙はファルが波動弾を使い切るのには充分な隙であり、同時にハガネールが倒れるのにも充分な隙でもあった。 ややあって、ハガネールがとぐろを巻いたまま気絶する。 「やれやれ、嫌に特殊向けのハガネールだな。波動弾使い切っちゃったぞ」 「よ、ファル!世界一!」 「はいはい。ま、サンダースが気絶したのが唯一の救いだな」 「あとでちゃんと夢落ちにしておこう」 ---- 気づいた者は少ないと思うが、彼らはこの時点では五等爵ではない。 これは彼らから聞いたことをワタシがまとめた物であり、聞いた通りのままに記録している。 ちなみに、サンダースの名前は忘れたのだそうだ。 この騒動、すなわちハガネールの侵入を察知した公爵殿は、ワタシを現場へ遣わせた。 ワタシがハガネールを発見した時はお分かりの通り、ハガネールは倒れていた。 いたのはハガネールの前で雑談しているデンリュウとコジョンドだった。 ワタシがその場に現れた時、突如として現れたワタシを見て、彼らは身構えた。 「待て。ワタシは敵ではない」ワタシはまず警戒を解くため言った。 「敵じゃない?いやさ、実際そうであって欲しかったんだよな。明らかに気が違うし」デンリュウが言った。 「うん、ボクもそう思った。たしかにエッジ覚えてるけど、あんたみたいなアギルダーには当たらなさそうだったし」コジョンドが安堵して言う。 「突然現れて申し訳ない。ワタシは公爵殿の付きの者、カシア・アクセルガーと申す」ワタシはまず自分の名前を言った。 「えーと、俺フルメンってんだ。フルミニア・アンファロス」デンリュウが自己紹介した。 「ボクはファル・ミェンシャオ。よろしく」続いてコジョンドも自己紹介する。 彼ら…フルメンとファルは、ワタシが過去に感じてきたある種の気を放っていた。本人たちは自覚は無いだろうが。 「すまないが、少々時間をもらえるだろうか?ワタシについてきて欲しい」ワタシは頼んだ。 「え?」「着いていく?」2体はぽかんとしている。 「是非とも、公爵殿にあってもらいたいのだ。やもすれば、公爵殿の御眼鏡に叶うやもしれんからな」ワタシは言った。 「公爵って…あの、公爵か?」フルメンが聞いてきた。 「公爵殿は1体しかおられない」ワタシは返した。 「うわー、会ったことないや。住処も遠いし」と、ファル。 「ワタシの紹介で会ってもらいたい。頼めるだろうか?」ワタシは聞いた。 「うーん、お膳立てがあるんなら、別にいいかな…」フルメンは了承してくれたようだ。 「でも、なんで会わないといけないんだろう。別にいいけど」ファルも続く。 「すまないな。では、ワタシについてきてくれ」 彼らが放っていた気。それはすなわち、伯爵殿、侯爵殿、公爵殿と同種のものだった。当然、あの方々に比べれば小さいものだ。伯爵殿に手も足も出ないワタシですら、この2体なら、まとめてかかってきても勝てるだろう。 それでも、彼らは、小さいと言えど素質を持っていた。公爵殿に認められたワタシの観察眼は伊達ではない。 あわよくば、彼らが新しい席に落ち着くようにと、ワタシは願った。 END #hr あとがき 前日談SS3作目ですね。 これで、後半くらいしか出番がないキャラクターの紹介が終えました。 例外的にカシアだけは序盤から出番がありますが。 さて、このSS3作には特に伏線もないつもりです。ただの、なんの取り留めもない前日談ですね。はっきり言って公開する必要があったのか…。 だって、本当に後半以降しか出番ないですからww さて、誰も望んでないのにいよいよ第1期はじめます。 え?公爵?公爵はいやというほど出番ありますよww ---- 批判などがあればどうぞ #pcomment(前日談コメントログ,10) IP:114.51.90.252 TIME:"2012-04-09 (月) 21:31:35" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=Before%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%EF%BC%93%E3%80%80Viscount%E3%83%BBBarron" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; Trident/5.0; YTB730)"