ポケモン小説wiki
BOOST vol.Ⅰ/chapter.02 の変更点


BOOST vol.1 覚醒の声
**chapter.02 -周回軌道を駆ける二人組- [#pbabee1d]
RIGHT:Written by [[March Hare>三月兎]]
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[[chapter.01>BOOST vol.Ⅰ/chapter.01]]にもどる
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◇キャラ紹介◇
○エリア
 主人公。マサラタウン出身の駆け出しトレーナー。
 ・手持ち
 カレン:シャワーズ♂
 セオラ:ライチュウ♀

○ソーシ&イゾー
 謎多きロケット団の二人組。
 ・手持ち
 ハコベ:マリルリ♂
 その他不明
 
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&size(17){*周回軌道を駆ける二人組*};

「案内してくれてありがとう」
 虫取り少年に別れを告げ、ポケモンセンターを目指す。ニビシティはその名の通り鈍色を基調とした色使いの建物が多く、どこか懐かしさを感じさせるような町並みだ。観光スポットとしてはニビ博物館が有名で、月の石や古代のポケモンの化石が展示されているのだという。
 最速制覇を目指す私としてはジム戦を急ぎたいところだが、せっかく来たのだから博物館を見学していきたい。まあ全ジムを一発でクリアすれば問題ない。
「さ、まずはポケモンセンターに行くわよ。バイクも回収しなきゃいけないし、あなた達のキズを回復してあげないとね」

&size(18){         ◇};

「それではお預かり致します」
 ぶにっ。
 てんてんてててん。
 数十年も前に開発された、モンスターボールに入れたポケモンを瞬時に回復できるこのシステムは、ポケモンバトルをより手軽なものにした。
 でも、ひとつ問題があって。
「あの、このコ、モンスターボールに入れないんです」
「野生?」
 受付の女医さんがカレンを見て首をかしげた。
「えーと……」
 定義上はそうなるのかもしれない。
 ポケモンが一度モンスターボールに入ると、ボールはそのポケモンの個体を認識しメモリに記憶する。一度ポケモンを記憶すると、ボールレーザーの射程圏内であればいつでもボールの中に呼び戻すことができる。
 一般にポケモントレーナーが使役するのはこのボールに記憶されたポケモンで、所有権が認められている。当然、他人のポケモンをモンスターボールで捕まえるのは窃盗罪にあたり、法律で罰せられる。
 カレンは出会ったころから、どういうわけかモンスターボールが正常に記憶できなくて、ボールに入ることができないのだ。
 だから法律の上では野生のポケモンということになるのだけれど。
「いえ、私のポケモンなんですけど……」
「ああ、モンスターボールが壊れちゃったんですね。ハッピー、来て!」
 女医さんの指示でハピナスがカレンを抱き上げて、奥へと連れて行った。
「早めにフレンドリィショップで修理してもらって下さいね」
「あ、はい……」
 マサラやトキワのポケモンセンターでは事情が知られているので何ら問題なかったが、遠くの旅先では毎度引っ掛かりそうだ。ポケモンをボールに入れずに連れ歩いているトレーナーは少なくないが、ポケモンセンターではボールに入れて回復機を使うのが普通。毎度説明するのも面倒な――
「ルルルルルゥー!」
 突然、ガラスの破砕音と共に背後からポケモンの鳴き声がした。
 振り返る間もなかった。
「きゃあっ」
 その何かに背中に思いっきりぶつかられて、エリアはつんのめって台の向こう側へ突っ込んだ。回復機に体を打ちつけ、何が何だかわからぬままに、気づいたときには天井を見ていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「いたた……な、何とか……」
 女医さんが悲愴な顔でエリアを見下ろしていたが、体が丈夫なことだけが取り柄だ。少し腰を痛めたみたいだけれど、軽傷で済んだ。
 女医さんに引っ張り起こされて見たものは。
「これは一体……」
 めちゃくちゃに荒らされたポケモンセンターのロビー。倒れた人々。その中心で、一匹のマリルリが、妙に嬉しそうに跳び跳ねていた。
「何だっていうのよ?」
 エリアが腰のモンスターボールに手を掛けたその時、粉々になったガラスの自動ドアのあった場所から二人組の男女が悠然と歩いてきた。
「何だかんだと聞かれたら」
「答えてやるのが悪の性」
 腰まで伸ばした赤の長髪が特徴的な男と、青みがかった黒髪、ショートカットの女。横に並んだ二人の息はピッタリだ。
「正義の跋扈を防ぐため」
「宇宙の秩序を守るため」
 女の方が手品のように、真っ赤な薔薇を取り出した。ついつい見惚れてしまうほどで、一瞬ショーか何かが始まったのかと錯覚してしまっていた。
「純と&ruby(まこと){真};の悪を貫く」
「ピュアボーイ&ガールな敵役」
「ソーシ」
「イゾー」
「周回軌道を駆けるロケット団の二人には」
「サテライト、銀の月夜が待ってるぜ」
「ルルルルルルゥ!」
 交互の科白が終了すると同時に、絶妙なタイミングでマリルリが鳴き声を上げた。なかなか粋な悪役だが、最後の方にはエリアも冷静だった。
 この二人が口にした言葉を信用するなら、壊滅したはずのロケット団の一員であるということ。女はソーシ、男はイゾーという名であること。マリルリは彼らのポケモンであること。驚くべきことに、彼らは戦う前からすべて素性を明かしてしまったのだ。
「強者の余裕……のつもりかしら?」
 カレンは今奥にいるが、マリルリなら相性は悪くない。エリアは腰に手をかけ、ボールを投げた。
「セオラ、お願い!」
 白光と共に登場するライチュウ。セオラはエリアの古くからのパートナーだ。カレンが才能を発揮し始めてからは彼を育てることに執心していたけれど、セオラと私は強固な信頼関係で結ばれている。
「へえ。あたしらとやる気かい小娘」
「面白い。ソーシ、ここは俺に任せろ」
「了解」
 軽い身のこなしで、ショートカットの女ソーシがポケモンセンターの奥に向かって駆け出した。
「そうはさせないわ! セオラ――」
「ハコベ、アクアジェットでそのライチュウを止めろ!」
 エリアは後悔した。
 奴らが油断して前口上を並べ立てているうちに、ポケモン図鑑でマリルリのことを調べておけば良かったと。

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To be continued...
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