Taboo Ⅰ 「逃亡」 「はぁ・・・はぁ・・・」 息を切らしながら、私は森の中を飛び回っていた。 この森は・・・いくつ目かな?もう長い間飛んで、ここがどこなのか、今の時刻はどのくらいなのか、さっぱり分からなくなっていた。 しかも季節は冬。ドラゴンタイプの私にとっては一番危険な季節。おかげで手先の感覚が無くなって来た。 翼も使いすぎて悲鳴を上げてる。私は後ろをさっと見た。 追手は・・・ 「こない・・・?」 心の中で思ったことの最後の部分のみ私は口に出した。 そう、私は追われていた。 “禁忌”を 知ってしまったから。 時は少しさかのぼり、今日の昼。私は今逃げている場所とは別の森で散歩をしていた。 家から歩いて3分もかからないほど近くにある森だから、もう何十回もいった事がある。おかげで脳内地図は完璧だ。 だけど、そのときは違った。 帰り道、鼻歌を歌いながら小走りに森をかけていると、ふと建物ができているのに気がついた。 「・・・?なんだろ」 好奇心にあおられ、音を立てないように静かに中へと入る。今思えば、これはよかったことなのか悪いことなのか分からなくなるが。 中は薄暗く、なぞめいた機械が通路にも張り巡らされている。外面的にも不気味だが、その機械が何なのか分からないことでさらに不気味さが増してる。私は一気に不安になった。 「~~~!~~」 人の話し声が聞こえ、私は歩を止める。 何を話しているのだろうか、私は聞き耳を立てた。 「・・・そうか、コレをこうして・・・・・・」 「今回は上手く生きそうか?」 「あぁ、ひょっとすると今回で完成するかもしれないな」 「それはいいがあせって失敗するなよ?」 「あぁ、分かってる」