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黒き軆と白き志4/黒き軆と白き志4 の変更点


飛び掛かってくるノーマルズを見て素早くその場から離れるレノとロア。しかし、ユキマルは動こうとしない。

「何してるの!早く避けなさい!」

「ユキマルッ!」

動こうとしないユキマルを見て、慌てる2人。そんなユキマルに容赦なくノーマルズが飛び掛かった!レノ達は堪らず顔を背けた。

──辺りに鈍い音が響いた。

「え…?」

顔を背けていたレノとロアは、その光景を見てすぐには状況が呑み込めなかった。
 そこには尻餅を付いて驚いた表情で固まっているノーマルズと、蒼く光り輝く貝殻─ホタチ─を持って“シェルブレード”の攻撃後の構えをとったままのユキマルがいたからだ。レノ達とノーマルズが困惑していると、今度は乾いた音が響いた。
 見ると、ノーマルズのすぐ後ろに生えている大木に斜め一閃に切れ目が入り、切れ目の上部分はずるずると切断面を滑った後、轟音と振動を与えながら地面に横たわった。

 ユキマルと眠っているウォル以外がポカンとして地面に倒れた大木を見ていると、今まで止まっていたユキマルが顔を上げ、身体を起こす。

「ふぅ…全く、皆喧嘩は良くないよ。ウォルが寝てるとこを見ると、こっちも悪いみたいだし。それに、そっちの3人も何だか訳有りみたいだし。」

ユキマルはそう言いつつホタチをお腹に付け直す。そして未だに動かないノーマルズに向かって言った。

「それにしても君達…また盗んだの?懲りないんだねぇ〜。でも、また失敗みたいだね。」

ノーマルズはその言葉にハッと我にかえり3人で顔を見合わせた。

「あ…あ…」

「ん…?」

「「「あああああ!」」」

「うお!!何だ何だ!?」

突然俯き呻き始めたノーマルズの様子にレノ達は首を傾げる。すると今度は大声で叫んだため、レノ達は驚き、眠っていたウォルも目を覚ました。

「どうする…もう次は無いって言ってたよね…?」

「こ、このままじゃ…!」

「ああ…どうしたら…」

「ちょっとあんた達。何か訳が有りそうね…どういう事か話してもらえるかしら?」

意味有りげな事を呟く3人に、話を切り出したのはロアだった。
 どうやら何かに感づいたらしい。ロアは少しにやけながら、催促するように殺気を含んだ好戦的な視線を3人に向けている。
 ノーマルズは一瞬ビクリと反応した後3人で顔を見合せ、何やらブツブツと話し合い始めた。しかし他人に話す事に躊躇いがあるのか、中々話がまとまらない様だ。

「分かってるわよ最初から。あんた達が悪人じゃないことくらい。」

「僕も、本当の事を話してほしい。僕のホタチやレノ達の木の実を、君達が何で盗もうとしたのか…」

ロアやユキマルが言うとノーマルズは黙り込み、俯いて考え始める。
 沈黙が続き、険悪な雰囲気が辺りを包む。やっと状況が呑み込めてきたウォルが「ユキマル、コイツらの事知ってたのか!?」などと場違いな事を言っているが。
  やがて、3人は再度顔を見合せ頷くと、代表するようにライトがロアの方を向いて口を開いた。

「じ、実は…」

とその時、何かが弾ける様な音と共にノーマルズの背後の草むらから無数の蒼白い閃光が飛び出してきた!
 レノ達、ライト、シキは何とかかわしたが、マメタはかわせずに閃光に包まれてしまう。

「ぎゃあああああ!!」

マメタは悲痛な叫び声を上げその場に倒れてしまった。

「ま、マメタッ!」

「ッ!?キャッ!!」

「!!シキ!」

倒れたマメタを心配して彼の名を叫ぶライト。その隙にシキが突然現れたシビシラスとマッギョに両側から捕まってしまった。
 どうやら先程の閃光は彼らが“放電”したらしい。 マッギョ達は互いに性質の異なる極微量の電気を身体から放っており、その特殊な電波の影響でシキは身動きがとれない状態にされているようだ。

「へへへ、動くなよぉ〜。少しでも動いたらこのシキジカがどうなるか分かってるだろぉ〜?」

「くッ…!」

ライトがマッギョ達に向け走り出そうとしたのを見計らい、マッギョが嫌らしい笑みを浮かべ、ふざけた様に脅迫する。しかしてんで嘘ではないらしく、シキの周りでパチパチという音と、蒼白い小さな光がちらつき始める。シキは恐怖にぶるぶると身体を震わせている。それを見たライトも流石に足を止めざるを得なかった。

「へへ、それでいい。それにしても、また失敗したのかぁ?二度も失敗して、挙げ句の果てには俺達の正体をバラそうとしやがるとは…。どうなるか分かってんだろーなぁ!?」

「………僕はどうなってもいい。だからマメタとシキから離れろ!」

足を止めたライトを見て満足そうにした後、少々怒りを含んだ口調で言い放つマッギョに対し、仲間だけは守ろうと必死に叫ぶライト。
 しかし、相手がそう簡単に理解する筈もない。

「駄目だなぁ。3人でやっと半人前のお前らには3人きっちり罰を受けてもらわねぇと困る。なぁビス?」

「……こくっ」

マッギョはそう言って一向にシキを解放しようとしない。ビスと呼ばれたシビシラスも何も言わなかったが、マッギョの言葉に頷き、解放する気は無いらしい。 それどころか2人は次はライトだとばかりに身体に電気を溜め始める。
 丁度その時、ある者の怒りは頂点に達していた。

「痛い目見るときでも3人一緒なら寂しくねぇだろぉ?良かったなぁ。
なぁに、心配すんな。コイツをどうするかはアイツに決めてもらうからよぉ〜!」

「ッ!や、止めろ!」

 マッギョの言葉にライトは目を見開き、激しく叫ぶ。そんなライトの様子を見てマッギョ達は嫌らしい笑みを浮かべ、電撃を放とうとしたが…

「うん?…なっ!?痛ててててて!」

突然ウォルがマッギョ達に飛び掛かり、連続で“つつく”。
 そして怯んだマッギョ達の隙をつき、ウォルはシキに呼び掛け助け出した。更に追い討ちに“エアスラッシュ”を放ち2人を吹き飛ばす。
 ウォル以外のその場にいる全員は突然の事に驚いている。

「痛てて…てめえ、何のつもりだ!」

「うるせぇ!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって、見ててイライラするんだよッ!」

木に叩き付けられたマッギョ達は怒りを露にしてウォルを睨む。しかしウォルは怯みもせず睨み返し、それ以上の気迫で言葉を投げ掛ける。

「て、てめえには関係ねぇだろ!痛い目見てぇのか!?」

「関係無くねぇよ!それによ…潰れた卵みたいな不細工魚と弱々しいひょろひょろ魚に、オイラが倒せるとでも思ってんのか?」

「な、何だとぉ〜!」

ウォルの挑発に耐えきれなくなった2人がウォルに飛び掛かろうとしたその時だった。

「止めろビス、マギー。そんな奴に構うな。」

突然そんな声が聞こえると、草むらから一匹のシママが現れた。シママにしては目付きが鋭く、何だか恐ろしく見える。
 マッギョ達は彼の声を聞くとばつが悪そうな表情をしていたが、抗議する事もせずにシママの脇に下がる。
 シママはその場にいる全員の様子を伺った後、ライトの方を向きながら言った。

「そこのお前。約束通り、アイツらは始末させてもらう。」

「ま、待て!待ってくれ!もう一度だけチャンスをくれ!」

「無駄だぜ。雷旋(ライセン)は一度決めた事は絶対曲げねぇからなぁ。いや、俺達“紅雷残”(こうらいざん)は、と言うべきか…」

雷旋というシママは表情一つ変えない。ライトは何やら必死に頼んでいるが、全く聞く気は無いらしい。
 それを哀れんだのかマギーと呼ばれていたマッギョが一層嫌味ったらしく言う。

「こ、紅雷残!?あの極悪人として指名手配中の紅雷残なの!?」

レノは驚きの声を上げた。 それもその筈、紅雷残とは現在指名手配中の集団。殺人、盗難、脅迫…何でもやってのける極悪集団なのだ。
しかし──

「でも、それにしてはあんまり強そうに見えないね。」

ユキマルが最もな発言をした。
 紅雷残は今まで多くの悪行をしてきている筈。しかしこのメンバーでは普通腕の良いポケモンには捕まってしまうのではないかという疑問がある。
 そんなユキマルの言葉に、雷旋は小さく笑った。

「俺達を普通の輩と一緒にするなよ?丁度良い。お前達にも見せてやるよ。紅雷残の本当の姿を。」

そう言うと、雷旋とビスは一歩前に出る。すると、2人の体から黒い光が溢れ出し全身を包み込む。
──暫くして光が収まった後、レノ達は驚愕した。 
 何と、雷旋はゼブライカに、ビスはシビルドンになっていたのだ…!
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リクエストポケモン登場です!
ちなみに、ライトがユキマルに対して言っている言葉については次の更新で書きます。

[[スペード]]

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