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黒き軆と白き志3 の変更点


*黒き軆と白き志 3 [#w812fe77]


前回[[黒き軆と白き志2]]
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**〜1〜 黒影 [#m95e2a5c]


大きく高い革命山の様子は、そのふもとの周りに広がる樹海や隣接する山々からも伺えていた。 
 樹海のぽっかりと空いた広場の様な場所にポケモン達が集まり、紅い光が漏れ出している頂上を不思議そうに見上げている。
しかし何が起きるという事はなく、次々とポケモン達は休めていた足を動かす。
 ほとんどのポケモン達が去った頃、1人のポケモンが息を切らしながら走ってきて、ひらけた空の端に見える革命山の様子を伺う。

「わぁ〜!何か、面白いことが起きそう♪」

そのポケモンは呟くと同時に、物凄い速さで革命山をかけ上がり始めた… 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

所変わってレノ達の家。

レノとウォルは長旅に備え、一度家に戻り荷物をまとめていた。

彼らの首元には紅く輝く欠片の付いたペンダントが掛かっていた。
 あの後、宝玉から漏れ出した目映い光が、少しずつ集まって、この欠片に変化したのだ。
 これは細かい繊維一つ一つに力が込められているかの様に僅かに温かく、内側のほうでは色が濃くなったり薄くなったりして、まるで生き物のようだ。

 ティニは力は光を浴びたときに身体に宿ってはいるが、この欠片は万が一の時のための秘密兵器だと言っていた。

兎に角、役目を果たしたティニはバノンと共に情報を集めると言って何処かに姿を消し、ロアは頂上で準備をしていて、現在に至る訳だ。

 ロアとの待ち合わせ場所は、革命山の南側のふもとにある大きな岩の前。
 ティニの夢にも出てきた世界の崩壊に関わるであろうイッシュの中心と言われる森、“夢の森”を目指すため、南へ向かうのだ。

「おーいレノ!準備出来たかー?」

暫くして、ウォルがレノを呼び出す。
1分程経った後レノは慌てて出てきた。

「ごめんごめん。何が必要か分からなくてね…」

「まぁ、それはオイラも同じだな。
さて、あの生意気娘にべちゃくちゃ言われないように速く行こうぜ。」

そんな言葉を交わした後、2人は待ち合わせ場所を目指して歩き出そうとした。
──突然背後から殺気を感じ、2人は逆方向に咄嗟に飛び退く!
瞬間、それは地面に当たり爆発を起こす。

一瞬だったが、飛んできたのは“シャドーボール”だと解った。
 2人は着地した後殺気を感じた方向を見る。

少し高くなった岩の段差の上に、黒いマントを羽織った1人のポケモンがいた。 そのポケモンは段差から飛び上がり、空中で一回転するとレノ達の前に着地した。

冷たい氷を想わせる、蒼い瞳。

頭から腰辺りまである長く荒々しい紅い鬣。

細くすらりとした灰色の身体に、鬣と同じ色をした長く鋭い鉤爪。

化け狐ポケモン、ゾロアーク。

レノとウォルはゾロアークのその凄まじい威圧感に後退る。しかし負けじとウォルが怒鳴った。

「な、何だよお前!いきなり攻撃なんて危ないだろッ! オイラ達に何の怨みがあるんだ!」

それを聞いたそのゾロアークは不気味に小さく微笑む。

「…お前達のそれを、渡してもらおうか。」

ゾロアークはそう言って2人のペンダントを指差した。
 その瞬間、2人はそのゾロアークを敵と認識し戦闘体勢をとる!

「さっきまでの事はすべて聞いている。大人しく渡せば命は助けてやるよ。」

2人が何時でも攻撃出来るよう構えたというのに、そのゾロアークは全く動じず、再度要求してきた。
 レノやウォルはその殺気に恐れながらも必死で相手を睨み返して言った。

「誰がお前みたいのに渡すもんか!!」

「これは大切な物なんだ!悪人に渡すつもりは無いよッ!」

2人はそう言って攻撃しようと姿勢を低くした。
すると、ゾロアークはまた不気味に笑った。

「ふふ、やはり往生際の悪い親の子は往生際の悪い馬鹿になるんだな。」

その言葉に今まさに飛び掛からんとしていた2人は凍ったように固まる。

「ど…どういう意味だ…」

2人の目付きが鋭くなる。そんな2人の反応を楽しむかのように、ゾロアークはさっきより大きな声で笑うと、静かに言った。

「何でそんな事が分かるのか聞きたいって顔だな。
良いだろう、教えてやる。

お前達の親を殺した“闇の黒影”とは、この俺だからだ。」

直後、レノが“竜の波動”、ウォルが“エアスラッシュ”を放つ!
しかしゾロアークは落ち着いて2人の攻撃をサッとかわす。

闇の黒影──レノは両親が殺されたと知った後、両親と仲が良かったバルジーナ達から、闇の黒影の仕業だと聞いていた。
闇の黒影は今では有名な殺人犯で、指名手配中のポケモン。
何でも、相手が気付かないうちに殺しをするためそう呼ばれているらしい。
ウォルも恐らく聞いていたのだろう。

そのゾロアーク……闇の黒影はにやつきながら言った。

「その様子だと渡す気はてんでないようだな…
なら」

そう言っていた黒影の姿が消える。

「実力行使で行かせてもらおうか…!」

「なっ……!?」

その言葉と同時にウォルの背後に黒影が現れる…! ウォルは相手の余りの速さに驚き、上手く対処が出来ない。

 そのまま黒影は振り返ろうとしているウォルの背に“辻斬り”を放つ。
ウォルは悲鳴を上げてその場に倒れる。
幸い、急所は外れていたようだが、背からは血が噴き出した。

「ウォルッ!」

「よそ見をしている暇があるのか?」

「っ!?」

倒れたウォルを心配するレノ、しかしウォルの後ろにいた筈の黒影の声がレノの後ろから聞こえた。
 振り返ると黒影は両掌をこちらに向けて構えており、渦巻く沢山の黒い輪が形成されている。

「今のお前達では俺には勝てない。」

そう告げるとレノにその力を放つ!
“悪の波動”をまともに喰らったレノは吹き飛ばされ、後ろの岩壁に激突した。

(くそっ…どうすれば…!)

何とか身体を起こすがダメージは大きく、ふらついてしまう。
必死で考えを巡らすが、焦りで正確な行動がとれない。 ウォルは気を失っているようだ。

「どうした。その力が有るのなら何故使わない?
使わなければ死ぬだけだぞ?」

黒影はウォルの横でレノを挑発する。
しかし、レノは動こうとしない。

 レノはティニの言葉に躊躇していた。
“性格にも影響があるため、仲間を傷付ける恐れがある”という言葉に。

──もし、自分が勝利の力を解放してしまったら、ウォルを傷付けるのではないか…と。
 レノの一族は、普段は大人しいが、戦闘になるとその凄まじい力をコントロール出来ず、沢山のポケモンを傷付けてしまったらしい。
 もし、自分が力をコントロール出来なかったら……レノはそれが気掛かりだった。

しかし、敵はそんな事など知る由もない。何故躊躇するのか理解出来ない。
 ならば無理にでも解放させてやろうと、黒影は横で倒れているウォルの頭の毛を掴んで持ち上げた。

「解放してみろ。その力が本当に世界の破壊を防ぐ程の物なのか知りたい。
…でなければコイツを殺す。」

そう言ってウォルの首筋に鋭い鉤爪を当てる。

──このままではウォルは殺されてしまう。 今はバノンとの戦闘のように生半可なものではなく、本気で自分達を殺そうとしている奴と闘っている。
 無駄に動けば、ウォルは死ぬ。
レノは考えた。

──僕達は、世界を救わなくてはならない──

なら、もういいんじゃないか、と。
 世界の崩壊。このこと事態が信じられないもの。それを今から止めに行くんだから。
 もし自分が力を抑えきれないなら、抑えられるようになればいい。
そんなちっぽけな事を何時までも考えていられない。こんな所でみすみす死ぬ訳にはいかない!

「……ん?」

レノの中で答が出たとき、それは起こった。
 レノの身体が輝きだし、辺りを明るく照らし出す。その光は徐々に明るさを増していく。
やがて、光が収まると、その姿を見て、黒影はニヤリと笑う。

「これが勝利の力か……ッ!」

頭の毛は紅く、首に付いた宝石は純白に染まっている。

身体…いや、軆と言う方が相応しいような程、立派な漆黒の肌。

そこには覚醒し、大きく変化を遂げた戦士が立っていた。

「ほう、確かに雰囲気は変わるな。ならば次は…」

覚醒したレノの気迫に少し関心している黒影。そしてレノの方にウォルを投げ捨てる。直後に素早く飛び上がると、両手を天に向けた。 その両手には、今までの攻撃とは比べ物にならない闇の力が集まっている。

「その力を見せてみろッ!」
そして地面に脚が着く前に地面に両掌を叩き付けた! それと同時に物凄い力を持った闇が地面を這う様にしてレノとウォルに向かう!!
悪タイプでは最高クラスの威力を持つ、“ナイトバースト”。

受ければ普通のポケモンならかなりのダメージになる。

その夜の闇があと5m程に近づいた時、覚醒したレノが始めて動いた。
 口を開け、エネルギーを溜め始める。それは一瞬で拳大の球体となり、更に大きくなっていく。
その黄土色のエネルギーは、普通はモノズという種族には絶対に集められない力。
あと2mという所で、十分に成長したその力を闇に向けて解き放った!ウォルには当たらないように。

それは闇と衝突すると、爆発を…起こすことなく、なんと闇を押し退けながら黒影の方へと地面を滑る様にして向かっていった!

「何ッ!?」

予想以上の力に始めて驚きの表情をする黒影。
その球体はそのまま、黒影の前で大爆発を起こした!
爆煙が立ち込める中、レノはウォルを探す。
ウォルはレノの少し後ろに倒れていた。
爆風で飛ばされたようだが、無事だった。
今の攻撃には巻き込まれていない。

 そう、レノは力をコントロール出来たのだ。
ホッと胸を撫で下ろす。
 と、正面上方向から笑い声が聞こえ、レノはさっと顔を上げる。

 大きな岩の上に立っているのは、マントがボロボロになった闇の黒影。咄嗟に避けたようだ。

「成る程、その力は確かに本物…」

そう呟いた後、黒影はレノ達を交互に見て言った。

「お前達の事は覚えておこう。 俺の名はゾロ。
その力…必ず手に入れてみせる。
近いうちになッ!」

そう言ってレノに笑いかけると、胸の黒い毛の中から水色に輝く玉を取り出し、天に掲げた。すると玉は目映い光を放ち出す。
 堪らず顔を背けたレノが光が収まってから見た時には、既にそこには黒影はいなかった。

しばらくぼぅっと黒影がいた岩の上辺りを見ていたレノは遠くで聞こえたバルチャイの声でハッとして振り返る。
そして倒れているウォルに近付き、容態を見る。

急所に当たっていないとはいえ、ウォルの傷は結構深かった。
未だに血がドクドクと流れている。

 レノは頭を下に向け、尖った頭の先をウォルの身体に当て、勝利の力を解放する。 すると、レノの軆が翠がかった蒼色に光出し、レノの軆を伝ってウォルの身体も光出した。

 先ほどの“気合い玉”といい、今使っている“癒しの波動”といい、かなり威力が高い。
あっという間にウォルは回復し、目を覚ました。

 レノは覚醒を解いて、今までの事を話した。

「そうか…。ごめんな。あんな速くやられちまうなんて…」

ウォルは申し訳なそうな顔をして言った。
そんなウォルを見てレノは首を振る。

「大丈夫だよ。ウォルはノーマルタイプだから、技の威力をモロに受ける。僕だって悪タイプじゃなかったら、一撃でやられてたよ。」

レノはそう言って空を見上げた。 太陽は既に遠くの山に半分隠れ、赤い光を放っていた。
少しの間を置いて、レノが言った。

「そろそろ行かないと。ロアが待ってるよ。それに、今はもう小さな事は気にしてられない。
これからはアイツよりずっと強い奴と闘っていくんだから。」

レノの静かな言葉に、座りこんでいたウォルが立ち上がって言った。

「そうだな…。ありがとうレノ。この借りは必ず返すよ。」

2人は向き合って、互いに久しぶりに微笑む。
そして改めて待ち合わせ場所に向かおうとした時──

「すっご〜い!!あの闇の黒影を追っ払っちゃうなんて!」

静かな夕暮れのムードをぶち壊す大きく明るい声。
 背後から聞こえた声に驚いた2人は振り返る。

真っ白い頭と両腕、藍色の耳と尻尾。

脚は短く、耳と同じ藍色。
水色の身体に、小さな貝殻。

大きな丸い鼻とそばかすに、大きな黒い目。


そこにいたのは、可愛らしい姿をしたミジュマルだった。


**〜2〜 海の使い [#m95e2a5c]


そのミジュマルは、疲れきった2人の前で跳び跳ねている。 何とまあ落ち着きの無い…

「ねえねえねえ!君達は何者なの!?何でモノズなのに気合い玉使えたの!?そのペンダントは何なの!?2人はd…」

「分かった分かった!!
分かったから落ち着けぇぇ!!」

息継ぎをしているのだろうか、途切れない質問が飛んできて、耐えかねたウォルが抑える。
取り敢えず大人しくなったミジュマルにホッと一息つくと、レノが話しかけた。

「僕達の事が知りたいなら、まず君の事を教えてよ。いきなり現れて、質問を投げ掛けてくる人に、簡単に教えられる?」

目を耀かせたミジュマルに静かにそういうと、ミジュマルはハッとした顔をした後、てへへと小さく笑った。

「ごめんごめん。僕興奮すると抑えられなくて…
僕はユキマル。
イッシュ地方を旅して廻ってるんだ。
偶然この山のふもとを通り掛かったら、山の頂上が光ってるのが見えてね。凄く興味が湧いたんだ。何か面白い事が起こるんじゃないかって!」

ユキマルと名乗ったミジュマルは自分の事を話していているのに、溢れる感情を抑えきれないのか、短い両手を顔の少し下辺りで固く握り、目を先程よりもキラキラと耀かせていた。

「いや…起こることは起こるけど…」

「何何何何!!!???」
興奮が絶頂を越えたのか、顔をずいと押し付けるようにして聞いてきた。

「…世界の崩壊だよ?」

レノの言葉にユキマルの笑みが少しずつ消えていく。ぼーっとその場に立ち尽くしたようになってしまった。 それをみたウォルがレノの肩を右翼でつつく。

(何やってんだよ、いくらそうだとしてもいきなりそんな事言ったら駄目だろ!)

(わ…分かってるよ!今どうするか考えてるんだよ。)

「ぅ…ぅ…」

「「!!!」」

2人は絶望しているであろうユキマルを何とか励まそうと小声で話していたが、突然俯いたユキマルが悲しそうに声を上げたので、慌てて励まそうと、無理矢理笑顔をつくる。

「大丈夫大丈夫!!これから僕達が世界を救うために旅に出るところなんだ。」

「そーそー!オイラたちが絶対世界をs
「ぅおもしろそおぉぉぉぉぉ!!!」 

……は?
今面白そうって言ったよね? 世界壊れるんだよ?
面白そう…って……

落ち込むどころか喜んでいるユキマルに、逆におどおどするレノ達。

「あ…あの…ちょっと…」

「しかもこれから世界を救う!!もう黙ってられないよ!僕にも一緒に行かせて!!」

「ええ!?それは流石に…」

「そうと決まれば速く行こー!」

…駄目だ。全然此方の話を聞いてない。
ウォルでさえ、呆れて黙り込んだ程。 2人の手を引いて急かしているユキマルに、レノが慌てて言った。

「駄目だよ!闇の黒影よりずっと強い敵と沢山闘う事になるんだよ!?
君じゃ無理だよ。僕達は、特別な力を持ってて…」

「馬鹿、お前簡単に口に出すな!」

勢いで力の事を喋りかけたレノはウォルの言葉に慌てて口を噤む。
しかし、ユキマルは聞き逃さなかったようだ。
不思議そうに首を傾げて

「特別な力って何?」

と聞いてきた。
知られてしまったのなら仕方がない。レノ達は午前中の出来事を話した。

   ―数分後―

「そっかぁ〜山の上でそんな事があったんだ!やっぱりここまで旅をした甲斐があったなー。」

「じゃあ、そう言うことだから、僕達行くね。」

染々しているユキマルを他所に、立ち去ろうとするレノ達。 闇の黒影の一件で既に集合時間を大幅に過ぎてしまっている。速くしないとロアに悪い。 それに世界の崩壊まで後3ヶ月しかない。兎に角急がなければいけなかった。

「待ってよ!僕にもその力を分けてよ!そうしたら、僕も一緒に闘えるでしょ?」

歩き出そうとした2人の尻尾を掴んで、ユキマルがとんでもないことを口にした。

「何言ってんだよ。さっき言っただろ!この力は特別な存在じゃないと使いこなせないって。 お前じゃ無理だ。」

ウォルが呆れた様子で言うと、ユキマルは2人の尻尾から手を離し、頬を膨らませる。 2人はそのまま立ち去ろうとするが…

「…僕だって特別だよ?
僕が普通のミジュマルだと思ったら大間違い!
 僕の一族は“海の使い”なんだよ。」

ユキマルは胸を張って誇らしげに言った。

「「海の使いぃ!?」」

2人は仰天する。

“海の使い”とは、イッシュではまだ伝説としか伝えられていない、“ケルディオ”というポケモンの子孫ではないかと言われている一族。
 ケルディオは体格はユニコーン、タイプは水・格闘と言われているが、詳しい事はまだ知られていない。 昔、ポケモン達が戦争を起こした時、強力な水の力で戦いを終わらせたと、伝えられている伝説のポケモンであり、今では幻のポケモンとなったケルディオ。
それ程の力を持ったポケモンの子孫なら、確かに力になるかも知れない。
しかし…

(どうする…?オイラ達じゃ力分けられないぞ…)

(そんな事言ったって…)

レノ達は力は使えても、力を分け与えられる訳では無い。 ユキマルは2人の答えを期待しているらしく、ニコニコと笑っている。

「ごめん。悪いんだけど…」

【大丈夫だよ!】

仕方無くレノが本当の事を話そうとしたとき、レノ達の頭に声が響いた。

「ティニ!?」

「何処にいるんだ!?」

「? どしたの2人共。」

2人の頭に聞こえた声は紛れもなくティニの声。
レノ達はティニを探すが、何処にもいない。
何も知らないユキマルは2人の様子に首を傾げている。

【今は遠い所に居るんだけど、君達の様子はペンダントから解るようにしたんだ。しかもそのペンダントは、純粋な心を持ったポケモンが触れた時だけ、勝利の力を分け与えられるんだ!】

2人の頭に直接流れてくるティニの声。
このペンダントにそんな機能があったとは…と驚いている2人。 しかし、引っ掛かる事を見つけたウォルは空に向かって言う。

「でも、未来で見たのは3人だったんだろ?そんなにちょくちょく増やして平気なのか?」

「…?」

突然意味の解らないことを言ったウォルに、ユキマルは困惑し始める。
暫くしてティニが答える。

【確かにそうだけど、運命って言うのは変わる事も有るでしょ?それに僕的には人数が多い方が有利だと思うし。】

ティニはそう言った。
それなら大丈夫だ。

「分かったよ。ありがとうティニ。」

【お安いご用だよ♪何かあったら心の中で僕を呼んでね。…あ、あとユキマル君だっけ? 暫くしたらペンダントをバノンに送らせるから、色々伝えておいてね。じゃあねー!】

そこで声は途切れた。
レノ達は改めてユキマルに向き直った。

「分かったよ。じゃあこのペンダントに触ってみて。」

「???」

ユキマルは何が何だか理解出来ていないようだったが、後で話すと言うと、納得したらしくペンダントに触れた。

突如ペンダントが輝きだし、その光がユキマルの身体に吸い寄せられていく…!やがて光が止むと、ユキマルは目を一層耀かせて言った。

「凄いよ…身体の中から力が沸き上がってくるみたい!!」

感動しているユキマルに、レノ達は近付き、手を出した。

「オイラはウォル。暴れまわって迷惑かけるなよ?」

「僕はレノ。これからよろしくね!ユキマル!」

「うん!」

ユキマルは嬉しそうに2人と握手を交わした。

「じゃ、早速しゅっぱーつ!」

「おー………って」

「「あ………」」

「どうしたの2人共?」

2人は慌てて空を仰ぐ。
その時は既に、ほのかに輝く月が架かっていた。

「「うわあぁあぁぁああぁ!!!」」

「うわっ、えっちょっ…」

2人は同時に駆け出した。片手ずつユキマルの手をとって。


to be continued…
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ひゃー…ユキマルの出来事が長いこと長いこと。
取り敢えず、三章微妙な所で完結です。

[[黒き軆と白き志4]]

[[スペード]]

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何かコメントがあれば…



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