*黒き軆と白き志 第11話 [#i72ea068] ※現在修正中です 前回[[黒き軆と白き志第10話]] [[トップページ]] ---- **〜紅き閃光〜 [#wcfa16b4] レノ達一行は、革命山を出てすぐの集いの森を進んでいた。 集いの森は結構広く3分の一程進んだ時には既に太陽は空高く登っていた。 今は木陰で昼食を摂ることになり、じゃんけんに負けたユキマルが木の実を探しに行っているところだ。 「いや〜さっきのレノは面白かったな、泣きべそかいてるとはよ!」 「うっうるさいなッ!怖いものは怖いんだよ!」 低木にとまっているウォルはにやつきながら木の根元に座っているレノを見下ろす。そんなウォルにレノは赤面して必死に抗議する。 今朝、山の麓で眠っていたウォルとユキマルは崖を滑り落ちてきたレノの悲鳴で目を覚ましたのであった。 その時のレノは普段と違い弱音を吐き泣きじゃくっていたので、2人はその姿に大爆笑したのだった。 「まあ、それは同感かもね。」 その時のレノを思い出し、小さく吹き出しながらウォルの意見に賛成するロア。 ロアにまで言われ、流石にしつこいと感じたレノが怒鳴ろうとしたその時── 「あ、あの…じゃなかった、やい!そこのお前達!」 レノ達の頭上から声がした。見上げると、1人のチラーミィが高い木に立って此方を見下ろしている。 「何だお前は?」 ウォルは鋭い目付きでそのチラーミィを睨んだ。 「ぼっ僕はライト!お前達の持ち物を全部置いていけ!さもないと、痛い目に合わせるぞ!」 鋭い視線にチラーミィは一瞬怯んだが、負けじと叫んできた。しかし迫力が無いせいか、3人は全く危機感を感じない。 「ほぉ、じゃあ痛い目見せて見ろよ!」 呆れたウォルが言い放ったその時! 「マメタ今だ!」 「え!?」 突然ライトが叫び、次の瞬間1人のマメパトが飛んできて置いてあった荷物を盗んだ。同時にライトもマメパトの後を追って枝から枝へ跳び移っていく。 「くっそ〜騙しやがって!」 「ッ!こら待ちなさい!」 怒りを感じたウォルはロアが止めるのも聞かずにライト達を追いかける。 と、向かいの草むらから1人のシキジカがウォルに向かって跳び出してきた。 「な、何だコイツ!」 「お休みなさいッ!」 「!!耳を塞いで!」 シキジカが何をしようとしているか理解したレノが叫ぶ。レノとロアは何とか耳を塞いだが、ロアはシキジカの“草笛”で眠ってしまい地面に落ちる。 その隙にシキジカもライト達が逃げた方へ走っていった。 「ウォル!…ロアは後を追って!」 「心配要らないわ。アイツらはもう私の罠にはまってる。」 眠ったウォルの身を案じたレノはロアに追っ手を頼む。しかし流石ロア、既に対策済みであった。 一方、逃げたライト達は… 「ふう、ここまで来れば大丈夫だよね?」 「多分ね…1人眠らせたし、すぐには動けない筈よ。」 「やったね!大成功だよ!」 3人は高い草が生えた草むらに身を潜めて勝利を確信していた。しかしそれは彼らから見ての草むらの中。 実は、ロアが先程3人に幻影が見えるように仕組んでいたのだ。実際そこは、芝の様な草が生えた木の少ない広場のような場所だった。 彼らは簡単には見つからないと思っているが、端から見れば広場の中心で3人で寄り添っている、可笑しな光景だ。 そこに現れたのが… 「何やってんの?君達。」 「!!どうして此処に要るのが分かったんだ!?」 「いや…フツーに見えてるけど…(苦笑)」 「えっ?…ああー!?」 そこには両手に沢山の木の実を抱えたユキマルが立っていた。何故自分達に気付いたのか理解出来ない3人は驚いたが、ユキマルに指摘されると同時に幻影が解けた。 「な、何で!?」 「私の幻影よ。」 戸惑っている3人は突然の声に振り返る。いつの間にかやって来ていたレノ達が、鋭い目付きで其処にいた。 「おーレノ達じゃん!ほら木の実沢山採れたよ♪ところで何してるの?」 「そいつらが私達の荷物を盗んだのよ!だから追ってきたのよ。」 レノ達と再開し嬉しそうなユキマルを差し置いて、ロアは訳を話すと威嚇し始める。レノも背負っていたウォルを下ろして戦闘態勢に入る。 「くそぅ、こうなったら…」 その様子を見た3人は一瞬たじろぐが、素早く後ろに飛び退くと、これまた可笑しなポーズを決めて言った。 「お前達を倒してから僕らノーマルズが頂くよ!」 「な〜んかシンプルな名前…」 「う、うるさーい!マメタ!シキ!行くよ!」 「「おおー!!」」 「此方も行くわよッ!」 「うん!」 ユキマルがチーム名に対して呟くのを合図に、3人は一斉に襲い掛かってきた…!それに合わせて、レノ達も敵に向かって飛び掛かった!そしてまさに後一歩で衝突…という所まで接近し合った時── 「「ッ!?」」 両者は咄嗟に後ろに飛び退いた。 次の瞬間、先程まで両者がいた位置に巨木が倒れてきた!巨木は轟音と振動を地面に巡らせ横たわる。 困惑する一同は、巨木が倒れてきた方向に視線を移した。 地平線と平行になるのではと思わせる程綺麗な切り株の側には、蒼く光り輝く貝殻─ホタチ─を持って“シェルブレード”の攻撃後の構えをとったままのユキマルがいた。 「え…?」 眠っているウォル以外がポカンとして見ていると、ユキマルが顔を上げる。 「ふぅ…全く、皆喧嘩は良くないよ。いくら目的があったりムカついたりしたとしても、解決には繋がらないよ。」 ユキマルはそう言いつつホタチをお腹に付け直す。 一同は未だにぼーっとしていたが、“目的”という言葉にノーマルズは我に帰った。 「「「あああああ!」」」 「え!?な、何!?」 「うお!!何だ何だ!?」 突然大声で叫んだため、レノ達も我に帰り、眠っていたウォルも目を覚ました。 「大変だ…どうしよう…?」 酷く慌てている3人。と、そこに話を切り出したのはロアだった。 「ちょっとあんた達。何か訳が有りそうね…どういう事か話してもらえるかしら?」 どうやら何かに感づいたらしい。 ロアは不気味に笑いつつ好戦的な視線を3人に向けている。 ノーマルズはビクリと反応した後3人で顔を見合せ、俯き悩み始めた。 「分かってるわよ最初から。あんた達が悪人じゃないことくらい。」 「僕も、本当の事を話してほしい。君達みたいなポケモンが、何で盗みをしたのか…」 ロアやユキマルが言うとノーマルズは小さく呻いて悩み始めた。 沈黙が続き、険悪な雰囲気が辺りを包む。やっと状況が呑み込めてきたウォルが「そりゃ、盗みを働くぐらい心が歪んでるからだろ」などと場違いな事を言っているが。 やがて、3人は再度顔を見合せ頷くと、ライトがロアの方を向いて口を開いた。 「じ、実は…」 とその時、何かが弾ける様な音と共にノーマルズの背後の草むらから無数の蒼白い閃光が飛び出してきた!レノ達、ライト、シキは何とかかわしたが、マメタはかわせずに閃光に包まれてしまう。 「ぎゃあああああ!!」 マメタは悲痛な叫び声を上げその場に倒れてしまった。 「ま、マメタッ!」 「ッ!?キャッ!!」 「!!シキ!」 倒れたマメタを心配して彼の名を叫ぶライト。すると続いてシキが現れたシビシラスとマッギョに両側から捕まってしまった。 先程の閃光は彼らが“放電”したようだ。マッギョ達は互いに性質の異なる極微量の電気を身体から放ち、特殊な電波でシキの動きを封じている。 「へへへ、動くなよぉ〜。少しでも動いたらこのシキジカがどうなるか分かってるだろぉ〜?」 「くッ…!」 ライトがマッギョ達に向け走り出そうとしたのを見計らい、マッギョが嫌らしい笑みを浮かべ、ふざけた様に脅迫する。しかしてんで嘘ではないらしく、シキの周りでパチパチという音と、蒼白い小さな光がちらつき始める。シキは恐怖にぶるぶると身体を震わせている。それを見たライトも流石に足を止めざるを得なかった。 「へへ、それでいい。それにしても、またかぁ?しかも挙げ句の果てには俺達の正体をバラそうとしやがるとは…。どうなるか分かってんだろーなぁ!?」 「………僕はどうなってもいい。だからシキから離れろ!」 足を止めたライトを見て満足そうにした後、少々怒りを含んだ口調で言い放つマッギョに対し、仲間だけは守ろうと必死に叫ぶライト。 しかし、相手はそう簡単に理解しようとしない。 「駄目だなぁ。3人でやっと半人前のお前らには3人きっちり罰を受けてもらわねぇと困る。なぁビス?」 ……こくっ 「……くそぉ…!」 マッギョ達は一向にシキを解放しようとしない。それどころか2人は次はライトだとばかりに身体に電気を溜め始める。 丁度その時、ある者の怒りは頂点に達していた。 「痛い目見るときでも3人一緒なら寂しくねぇだろぉ?良かったなぁ。なぁに、心配すんな。コイツをどうするかは雷旋に決めてもらうからよぉ〜!」 「ッ!や、止めろ!」 マッギョの言葉にライトは目を見開き、激しく叫ぶ。そんなライトの様子を見てマッギョ達は嘲笑うと、電撃を放とうとしたが… 「うん?…なっ!?痛ててててて!」 突然ウォルがマッギョ達に飛び掛かり、連続で“つつく”。そして怯んだマッギョ達の隙をつき、ウォルはシキに呼び掛け助け出した。更に追い討ちに“エアスラッシュ”を放ち2人を吹き飛ばす。 ウォル以外のその場にいる全員は突然の事に驚いている。 「痛てて…てめえ、何のつもりだ!」 「うるせぇ!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって、見ててイライラするんだよッ!」 木に叩き付けられたマッギョ達は怒りを露にしてウォルを睨む。しかしウォルは怯みもせず睨み返し、それ以上の気迫で言葉を投げ掛ける。 「て、てめえには関係ねぇだろ!痛い目見てぇのか!?」 「関係無くねぇよ!それによ…潰れた卵みたいな不細工魚と弱々しいひょろひょろ魚に、オイラ達が倒せるとでも思ってんのか?」 「な、何だとぉ〜!」 ウォルの挑発に耐えきれなくなった2人がウォルに飛び掛かろうとしたその時だった。 「止めろビス、マギー。そんな奴に構うな。」 突然そんな声が聞こえると、草むらから一匹のシママが現れた。シママにしては目付きが鋭く、いかにもガラが悪そうだ。 マッギョ達は彼の声を聞くと舌打ちしつつシママの脇に下がる。 シママはその場にいる全員を見回すと、ライトの方を向きながら言った。 「そこのお前。約束通り、アイツらは始末させてもらう。」 「ま、待て!待ってくれ!もう一度だけチャンスをくれ!」 「無駄だぜ。雷旋(ライセン)は一度決めた事は絶対曲げねぇからなぁ。いや、俺達“紅雷残”(こうらいざん)は、と言うべきか…」 雷旋は表情一つ変えない。ライトは何かを必死に頼んでいるが、全く聞いていない。 「こ、紅雷残!?コイツらがあの紅雷残なの!?」 レノは驚きの声を上げた。それもその筈、紅雷残とは現在指名手配中の集団。殺人、盗難、脅迫…何でもやってのける極悪集団なのだ。 「でも、知られてるのは進化系だった筈だよ?人違いなんじゃないかな?」 ユキマルが疑問点を挙げる。 紅雷残は凶悪な進化系のポケモン達と言われている。もしかしたらチーム名が同一なだけかもしれない可能性もあるのだ。 しかしそんなユキマルの言葉に、雷旋は小さく笑った。 「俺達をよく知っているんだな。ならお前達にも見せてやるよ。紅雷残の本当の姿を。」 そう言うと、雷旋とビスは一歩前に出る。すると、2人の体から黒い光が溢れ出し全身を包み込む。 ──暫くして光が収まった後、レノ達は驚愕した。 何と、雷旋はゼブライカに、ビスはシビルドンになっていたのだ…! 2人は不気味に笑いながらレノ達を見下ろす。 ゼブライカとなった雷旋。逞しい黒い身体に、白いギザギザ模様。鬣は尻尾と繋がり、頭の鬣は2つに分かれている。時折全身を紅く光らせている。 普通は黄色だが紅雷残のポケモンはその名の通り紅く光る事で有名である。 シビルドンとなったビス。今までの姿が嘘の様な変化を遂げている。身体が蒼翠色になり、ぽっかり開いた口から下は腹部に掛けて白い。黄色の小さな斑点が時折紅く光っている。大きなヒレのような手と足ができ、二本足で立っている。橙の目がぎょろりと光り、殺気立った視線を突き刺してくる。 レノ達は思わず後ずさる。ライト達は倒れたマメタを抱いたまま悔しそうに睨み付けている。 「フフ、驚いているようだな。これは先祖代々俺達に伝わる力だ。願うだけで進化できる。この力を使えばサツの眼を誤魔化すのも容易い。そしてこの力の前には全てが無力だ。」 雷旋は勝ち誇った目でレノ達を睨む。ライト達はその目を見て震え上がっていた。しかしレノ達は逆に鋭く睨み返して戦闘態勢を取った。 「それがどうした!オイラは絶対お前らを許さねぇぞ!」 「何が目的か知らないけど、無理矢理人を使う様な奴らは僕も許せない!」 「私はあんた達みたいな雄は嫌いなのよね。構いたくも無いけど、特別に相手してあげるわ、光栄だと思いなさい。」 「あの子達に代わって、僕達がお前達を懲らしめてやる!」 各々の考えを述べ、今にも飛び掛かろうとしているレノ達。そんなレノ達を見て、紅雷残は突然ゲラゲラと大声で笑いだした。 「身の程知らずどもが。良いだろう、相手になってやるよぉ!」 マギーのその言葉を合図に、闘いの火蓋が切って落とされた…! to be continued… ---- 短いですが更新です。 何だか主人公のレノくんが余り目立っていない気が… 次回も余り目立たないかも…(汗) [[黒き軆と白き志第12話]] [[スペード]] ---- 何かコメントがあれば… #pcomment(コメント/黒き軆と白き志第11話,,above); [[黒き軆と白き志]] IP:202.229.176.17 TIME:"2012-03-10 (土) 18:04:25" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E9%BB%92%E3%81%8D%E8%BB%86%E3%81%A8%E7%99%BD%E3%81%8D%E5%BF%97%E7%AC%AC11%E8%A9%B1" USER_AGENT:"DoCoMo/2.0 P02C(c500;TB;W24H16)"