ポケモン小説wiki
餅つきぺったん の変更点


*この小説には官能表現が含まれています。


 ぺったん、ぺったん……。
 僕は今餅つきをしている。
 二つの白い湯気は定期的に、もう一つの湯気は連続して鈍色の空を昇る。雪は降ってはこないが、寒い気温に変わりはなかった。
 その中で、白地に紺の水玉模様のてぬぐいを頭に巻いた僕はきねを持ち、ライチュウは臼の隣にしゃがんで僕を待ち構えている。
 僕がきねを臼に降り下ろして餅をつき、振り上げている間彼女は餅をまるめてひっくり返す。
 元日の昼前になぜ餅つきをしているのかというと、今朝、僕が母さんにお雑煮の餅が入っていないと文句を言ったことからが事の始まりだった。
 正月番組を観ていた父さんは、それを聞くなりリモコンで電源を切って立ち上がり「ならば餅をつくろう!」などと唐突に、珍しく元気凛々に張り切った声で言うので、その勢いに驚いた僕と母さんはやむを得ず父さんの意見を採用した。
 軽めに朝食を済ませて臼の準備をしようと外に出たら、なぜか表でライチュウの家族たちが餅つきの準備をしている場面にばったり会った。正確には、会ってしまったが正しいのかもしれない。「お宅も餅つきですか? いやぁ~これは偶然ですねぇ~」と双方の両親たちは会釈して、新年の挨拶なり世間話なり始める。これのどこが偶然なのだか。
「明けましておめでとう。今年もよろしくね、デンリュウ」
 ライチュウにそう言われ、はっと我に返った僕は彼女や彼女の両親に新年の挨拶をした。
「二組に別れて二つの臼を使いましょう」
 そう話し合っていたくせに、どういう魂胆か親たちは夫婦二組の四匹がかりで一つの臼をがっちり囲んだので、自動的に僕とライチュウが残りの臼で餅をつくことになった。それから、僕たちは少し離れた場所で餅つきをしてと言われてたのでその通りに臼を置いた。
 わいわいと子どものようにはしゃぎながら、臼を囲んで餅をつく両親たち。
 さりげなくだけれど、ときどきチラチラと視線をこっちに向けてくる。さては“また”何か企んでいるな。
 そこでようやく、僕はこの餅つき大会が両親たちの意図的につくられた作戦であることに気づいた。餅の入っていないお雑煮、珍しく張り切る父さん、僕の家の前で餅つきの準備をするライチュウの家族、僕とライチュウペアに別れての餅つき。誰だってそう思う。いや、以前二回も経験したことがある僕は思わざるを得ない。二度あることは三度あるとはまさにこのことを指すのだ。
 でも、まぁいいや、と思いながら僕はきねを降り下ろす。あまり深く考えない方がいい。両親たちは直接的には何も言わないけれど、間接的に僕とライチュウを応援してくれているのだ。もはや前向きに捉えることにした。
始めた頃はほかほかご飯だった柔らかいお米が、きねでついていくうちに纏まっていき、最終的にもちもち感のあるお餅に変わっている。
 たまにライチュウが足元に置いてある水の入った銀のボールで手を濡らし、ごわごわした白い粘土を半分に折り畳む。僕がきねでつく。彼女はそれを反転させる。僕がきねで叩く。彼女が半分に折り曲げる。
 ぺったん、ぺったん。
 最初は風も空気も冷たくてひもじい思いをしながらだったが、餅つきをしているうちにだいぶ体もあたたまっていた。
「ふぅ……もうこれぐらいでいいかな?」
「そうね、だいぶ弾力も出てきたし……。ねぇ、デンリュウ。あたしも餅つきさせてくれない?」
「いいけど、これ結構重いよ?」
 きねって案外重くて、しっかり持っていないとすぐバランスが崩れてしまう。しかもこれは大人用だ。下半身も安定させておかないといけない。それに、小柄の彼女がこれを使いながらバランスをとるのは結構難しいと思う。大丈夫かな、ライチュウ。
「大丈夫だって」
 大丈夫、と言うときに限って絶対大丈夫じゃない。誰にでもよくあるアルアルパターン現象、と僕は勝手に呼んでいる。
 彼女が立ち上がったので、とりあえず僕はきねの持つ部分を彼女に渡す。
「本当に大丈夫?」
「これぐらい平気よ」
 そう言われてもやっぱり心配だ。念のため、いつでも助けれるよう身構えておこう。
「いくわよ……ふん―――――っ!!」
 餅にくっついたきねを持ち上げるのにも一苦労だった。まずこの段階で悪戦苦闘するなんて、やっぱりライチュウの力では無理なんじゃ……。
 そう思った矢先、すぽーん! と豪快な音を立ててきねが餅から離れた。思いきり力を入れていたライチュウは、離れた勢いで頭の後ろまできねを振り上げてしまったわけで、当然バランスを後ろに崩した彼女は片足けんけんを一、二、三回。
 僕は素早く動いて片手できねを持ち、もう片方で彼女の背中を支えて安定に導いてやる。
「ほらぁ、ちっとも大丈夫じゃないじゃん」
「ち、違うよ。今のは……きねがお餅にくっついてたせいだよ」
「もういいよ。ライチュウだけじゃ危ないからやめとこうよ」
「いやだ。私も餅つきしたいのっ!」
 きねを取ろうとしたけど、頑として彼女は掴んだ手を離そうとしない。まるでおもちゃを取り上げられた子どものように、今にも泣きたそうな、ウルウルした目で僕を見つめてくる。お願いだからそんなかわいい顔して上目遣いはやめて欲しい。犯罪レベルの域にまで達しているのですが。
「わかったよ」
 ライチュウの悲願には敵わないな。でもやっぱり、彼女一匹でやらせるには危ない。
 だから僕はライチュウの後ろに回りこみ、背中を包むように体を密着させてきねを持ち直す。
「僕も手伝うよ。これぐならライチュウもいいでしょ?」
「うん……ありがと」
 顔が前にあるから見えなかったけれど、ライチュウが微笑んでいるような気がした。彼女の体はとても柔らかく、そしてあたたかい。
「いい? いち、にの、さんで振り下ろすよ」
「うん」
「いち、にの、さんっ」
 ぺったん。
「振り上げるよ。いち、にの、さんっ」
 振り上げる。
「いち、にの、さんっ」
 ぺったん。
「いち、にの、さんっ」
 振り上げ、さんでぺったん。さんで振り上げて、またぺったん。振り上げて、ぺったん。振り上げて、ぺったん。
「いいよライチュウ、その調子」
 だんだん慣れてきた。僕たちはゆっくりでありながらもリズムにあわせて、呼吸をあわせて餅をつく。次第に餅をつく速度を上げていく。
 ぺったん、ぺったん、ぺったん、と。
 餅をついている間、ライチュウの背中はどこか心地良い安心感があって、僕は彼女と一つになっているのではないかという錯覚に陥る。するとどこからともなく、脳裏に彼女との行為がリプレイされる。
 いけないいけない。
 僕は首をぶんぶん横に振り、頭の中でライチュウを襲っている自分に電気ショックを当てて追い払う。しかし、次なる僕がまた彼女を襲い始める。電気ショック。しかしまた次なる僕が――あぁ、もう駄目だ。
「これぐらいでいいかな?」
 何度追い払ってもキリがなかったので、一旦彼女から間を取ろうと思った。
「いやよ」
「えっ、だって……」
 さっきまで気づかなかったが、彼女の手はきねを掴む力など入っていない。とはいえ、力の差もあるだろうから、最初から僕一人で餅をついていたようなものだけど。
「もうちょっとだけ……このまま餅つき続けようよ……」
 呟くように彼女は言うと俯いてしまった。なるほど、そういうことか。頬が赤いのは冬の寒さだけが直接の原因ではなかったようだ。
「じゃ、じゃあ、もうちょっとだけ……」
 ゆっくりときねで餅を叩くが、五六回繰り返しただけで僕はやめてしまった。気づいてからどうしても彼女を意識しまい、手に上手く力が入らない。
「ライチュウ」
「なあに?」
「もうちょっとだけ、このまま続けてもいい?」
 彼女はこくりと頷いた。きねから手を離した僕は、両手でそっと彼女を抱き締める。外は凍てつく寒さなのに、僕は冷たさを微塵も感じなかった。それはきっと、彼女の体のぬくもりであたためられているからだと思う。
「デンリュウ」
「ん、なに」
「下、当たってる……」
「えっ……」
 雰囲気ぶち壊し。言われるまで気がつかなかった。どうやらモノの方も彼女のぬくもりを敏感に感じていたらしく、反り立って彼女の腰に熱を伝えていた。
「ごめん」
 謝りながら彼女から手を離す。恥ずかしさのあまり、顔が熱くなってきた。
「……そんなに……私に欲情してたの?」
「えっ……いやぁ……これは……」
 簡単に頷くことはできない。それは彼女に失礼極まりないからだ。抱き着いていたら薄々理性を抑えきれなくなり、今この場で押し倒して犯してしまいたい衝動に狩られていた、なんて口が裂けても言えない。
「本当のこと言っていいんだよ」
「いや、違う……よ?」
 時と場合によっては言っても良い嘘と悪い嘘があるが、この場合は前者だろう。後ろから、両親たちが楽しそうにぺちゃくちゃお喋りをしている声と、定期的に餅をつく音が聞こえる。
「お父さんお母さん! ちょっとデンリュウと遊びに行ってもいい!?」
 急にライチュウが大声を出すものだからびっくりした。目を丸くして彼女を見ていると、「ほら、デンリュウも言って」とばかりの視線を僕に送っている。
「遊びに行ってもいいでしょ?」
 体を向けてしまうとモノが見えてしまうため、首と上体だけを半回転させて僕も両親に頼んでみる。
 両親たちはしばらくきょとんとして互いの顔を見合わせていたが、最後は笑顔で頷いてくれた。
「ありがとう!お餅はもうできてるから! それじゃあ行ってきまーすっ!」
 笑顔でライチュウが手を振り、それからウインクした。目の前の僕じゃなくて、後ろの方にいる両親に向かって。
「きて、デンリュウ」
 ぼそりと小さくそう言うなり、彼女は僕の手を引っ張って走る。僕のモノが起こったままのためか走る動作が違和感極まりないんのだけれど。
 彼女の勢いに負けて遊びに行くと言ったのはいいものの、彼女は僕をどこへ連れて行く気なのだろう。町のポケモンに見られたらとてつもなく恥ずかしいのですけど。……ラブラブホテル? まさか。ちょっとだけ期待してしまった自分に、本当に電気ショックを与えたくなった。
 走りながら何気なく後ろを振り返ってみると、両親たちが意味深に口に手を当てて、くすくす笑いを堪えているのが見えた。
 遊びに行くと言っておきながら、着いた場所はライチュウの家だった。
 彼女の家は僕の家を出たら左に行き、家一軒をまっすぐ突っ切って通り過ぎた所にある十字路を左に曲がり、そこからまた二三軒家を通り過ぎて左手に見える所にある。
 ライチュウは僕の手を握ったまま玄関扉を開いて中に入ると、階段を駆け上がり彼女の部屋に入る。香水や化粧品、それらが影響しているせいか、甘くて不思議な香りがする。
「ねぇ、ライチュウ。遊ぶって君の部屋で何を……」
 扉を閉めた彼女の方を振り向いたら胸元に電光石火、もとい彼女に抱きつかれていた。スピードの勢いに圧された僕はそのまま倒れるも、都合良く彼女のベッドに助けられた。ぼふん、と背中がベッドに吸収されていくような感触。
 ふわふわな布団とあたたかなライチュウに挟まれて気持ちが混乱してしまい、僕はどうすればいいのかわからなくなる。
「わかってるくせに」
 胸元に顔を埋めていたライチュウは言い、顔を上げるとそのまま僕の唇に、そっと自身の唇を重ねた。
 僕は胸の内が一際大きく高鳴るのを感じた。家に入ったときから覚悟はしていたが、どうもこれには慣れそうもない。彼女のキスは柔らかく、とろけてしまいそうなほどまろやかだ。
「んっ……ちゅっ……」
 彼女は目を瞑り、不意に僕の口内に唇を侵入させて舌を絡ませてきた。当然僕のすべきことは一つなわけで、それは彼女の行為に応えてあげること。気持ちの良いあいさつをされたら気持ちの良いあいさつを返すように、僕は積極的に舌を動かして彼女の舌に絡みつく。口から漏れるいやらしい唾液音が、僕と彼女との雰囲気を築き上げていく。じっくりと、体を熱くさせていく。
「ちゅっ……んっ……」
 彼女は舌を引っ込め、繋げていた僕の唇を顔から離す。唾液の持つ粘着性のせいか、僕たちの間に銀色の橋がかかった。重力によって直ぐに切れてしまったけれど。
 少しの間だけのディープキスだったのに、もう僕たちの息はあがっている。ライチュウは切れてしまった銀の綱を手で拭い、僕の口周りに垂れ落ちた残りの部分を舌で掬う。それから体を下の方へずらして移動した。
「デンリュウのこれ、相変わらずすごく熱い……」
 彼女の手が僕のモノにそっと触れる。手を握られたときもそうだったが、さっきまで外で餅つきをしていたにも関わらず、彼女の手はあたたかい。上体を起こそうとしたけど、彼女が両手で僕のモノを上下に扱き始めたために体に快感が走り抜け、ベッドから起きあがれない。
「気持ち良い?」
「うん……」
 嫌らしい笑顔を浮かべて訊く彼女の頬は、夕日のように赤く染まっている。
 たった二つのコッペパンで感じて喘ぐというところは雄として情けないと思う反面、僕の恥ずかしい部分を彼女が積極的に弄ってくれているというところがなんだか嬉しい。ドックンと胸が高鳴ってしまうのだ。何より、ライチュウと二匹だけの秘密の行為をやっていることに一番興奮するのは間違いない。逆にここで興奮しない雄こそ、雄として失格だと僕は思う。
 ライチュウは両手を上下に動かして懸命に僕のモノに刺激を送りつつ、尻尾で自分の秘部を擦りつけ始めた。いわゆる自慰行為ってやつ。
 彼女のその不埒な姿を見ると、僕のモノは火山の噴火でも起こしそうにビクビク動く。
「んっ……また……大きくなった……」
 苦しそうな声に聞こえて、実は感じている。嗚呼、どうしてこうもライチュウは僕を狂わせるのだろう。乱れる吐息、快感に浸る丸っこい顔。まずい、彼女の可愛い仕草を見ていると射精感が……。
「ら、ライチュウ……」
「出して……いいよ……」
 待っていたかのように彼女はにこやかに言い、僕のモノをくわえこむと頭を上下に動かしながら吸い取るように口をすぼめる。
「……っ……出るぅっ!!」
 舌で先端を舐められたのがトリガーだった。絶頂は一瞬にして通り越し、爆発した性欲の形は塊となって彼女の口内へと吐き出されていく。
「んくっ……んくっ……んくっ……」
 彼女は嫌な表情一つせず、寧ろ嬉しそうに吐き出される精液を飲みほそうと喉を鳴らして僕のモノを啜り上げる。
 ジュルジュルと淫らな音を立てて飲むこの姿が、またしても僕の胸を高鳴らせ、余計に興奮させる。
「んくっ……ぷはぁっ、綺麗になったよ」
「ん、ありがと」
「たくさん出たね、しばらくヤってなかったの?」
 ライチュウは、口内に残った僕の精液を美味しそうに飲み込む。一度彼女との口移しで自分自身の精液を飲んだことがあったが、それは文字通り苦い形容そのままだった。彼女曰く、僕のだから美味しいのだそうだ。僕のが美味しい?雌の仔の考えていることはわからないものだ。
「ま、まあね、正直言うとライチュウにしてもらいたかったからしてなかったってのもあるし」
 僕は照れながら答えた。言っておきながら、我ながら変態だなとつくづく思う。しかし、それは彼女であるライチュウの前だけであって、決して誰に対してでもフェアというわけじゃない。彼女だってそうだ。そうでもなければ自分の部屋に連れてくるわけがないし、そもそも自宅に誘うはずがない。僕と彼女、二匹でいるときだけたまに変態さんになるのだ。
「デンリュウ……」
 彼女は瞳を揺らしてぎゅっと僕に抱きついてきた。そんな彼女の体温はいつもよりあたたかい感じがする。さりげなく股下に手を伸ばす。
「んっ……」
 ぴくんと彼女がかわいく震える。尻尾で自慰をしていたから、既に秘部はじっとり濡れていた。手の先端で筋の線をなぞるようにして上から優しく、丁寧に撫でる。
 彼女は身震いはするものの、僕に抱きついたまま何も言ってこない。ということは、このまま好き放題に弄ってもいいというわけで。僕はそれが嬉しいと思うわけで。
 手で秘部全体を覆って撫でる速さを少し上げると、彼女の息があがっていくのかわかる。次は撫でる動きから擦る強さに変え、さらにスピードアップ。
「あっ……んっ……」
 彼女の喘ぎ声を聞けば聞くほどだんだん胸の奥が熱くなってくる、この高揚感はなんだろう。さっきイカされたからそれのお返し、というのもあるけれど、立場が逆転して、しかもこの手で彼女を犯して気持ち良くさせているという支配感が一番強いのだと思う。
 一旦擦るのをやめ、素早く秘部の中に手の先端を入れる。過去の経験で慣れていたのと、粘着性のある彼女の液がしっかり手に付着していたため、そこはすんなり僕の手を受け入れてくれた。彼女の肉壁が僕の手をキツく包み込む。感度が高まっているのだろう、彼女が僕を抱き締める力が増すのがわかる。
 僕はライチュウの有無を聞かず、手を小刻みに上下運動させる。待たせていたら、彼女の口から漏れるのは甘い声ではなく不満の声に変わってしまうから。
「はぅっ……はぁっ……き……気持ち……良い……よぉ……あっ……んあっ……」
 だんだん間隔が短くなってきた喘ぎ声。それに伴い彼女の秘部からクチュクチュと音を立てて弾ける水音が淫らに奏でられる。僕は絶頂を促そうと思い、手の出し入れする速度を上げる。
「あっ、あっ、あっ、イクぅっ!」
 絶頂に達するまでそれほど時間はかからなかった。彼女が顔をしかめて叫んだのとほぼ同時に、ギュッと肉壁が僕の手を締めつけてきた。そして、僕の手やお腹辺りに勢い良く叩きつけてきたのは雌の仔の射精、彼女の潮だった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 肩でぜぇぜぇと息をするライチュウの背中を、僕はもう片方の手で真心込めてさすってやる。絶頂を迎えた後にくる快感や余韻のお陰で、雌の仔にはしばしの休憩が必要なのだ。
「どうぉ? ライチュウ、気持ち良かった?」
 僕が訊くと、僕を抱き締めていた彼女は見つめ合う形をとり、乱れた息を整えながら笑顔で頷いてくれた。その反応を見れて素直に僕は嬉しかった。なぜなら、雌の仔を絶頂に導いてあげたことは雄として、彼女の彼氏としてとても誇らしいことなのだから。
 その状態が延々と続いていたが、だいぶライチュウは正常な呼吸に戻ってきた。それでも僕たちは見つめ合ったまま動かず、互いの瞳を覗いていた。
「いくよ……?」
 沈黙を破って僕はライチュウに合図を送る。彼女は無言で頷くと、僕の唇にキスしてきた。理性でできた城が大きな音を立てて一気に崩壊していく。時間の経過もあって既にモノは臨戦状態とばかりに怒張していて、先走りを垂らしていた。
 秘部の入り口にモノの先端を宛がい、中へと埋めていく。肉壁を割いてはゆっくり奥へと進み、じっくり中身を味わう。彼女の中は熱くて、異常なまでにモノに絡みついては締めつけてくる。それはまるで、僕に抱きつく彼女そのもののように思えた。
 いきなり激しく動くとライチュウを驚かせてしまうから、ここは残っている理性で自分を押さえて、まずは彼女が感覚に慣れてもらうための軽いストローク。ゆっくり腰を引いては結合部に腰を密着させる。一往復するのに時間をかけて、なおかつ丁寧に。
 この間に僕の両手は遊んでいるわけじゃない。ライチュウが早めに慣れるよう、僕は両手を彼女の胸へと持っていく。一度秘部を愛撫しておいたから、彼女の胸から僅かに二つの突起物が芽を出していた。
 それを手の先端で突いたり、転がしたりする。
「ひゃっ! ……んっ……」
 彼女の一つ一つの仕草はとてもかわいい。胸への刺激だけで下の口は、僕のモノをぎゅうぎゅうと窮屈そうに締めて性的な攻撃をしてくる。それがさらに僕を興奮させ、もっと喘いで淫らに乱れて欲しいと思い、弄っていた突起にしゃぶりついて今度は舌で転がしてみる。
「あぁ……ダメっ……そこ……」
 おっぱいを吸う子どもみたいに口をすぼめて吸引攻撃。
「ぁあああっ!!」
 これは予想外の展開だった。早くも彼女は絶頂を迎えてしまい、それに伴って急にモノへの締めつけが強くなる。
「あっ……くっ……出るぅ!!」
 そして僕も絶頂を迎えてしまった。ようやく本番に入ることができる一歩手前だったのに。
 僕のモノは脈打ち、精液を吐き出しては彼女の中を満たしていく。鮮やかなピンク色をした彼女の純粋な性器が、僕の白濁色の精液に染まっていくのが容易く想像できた。
 彼女も僕も息遣いは酷いけれど、まだまだ彼女はヤれそうな表情だった。僕だって折角ここまできてやめる気は微塵もない。
 でも、念には念をと彼女を優先させて体調を確認すべき。
「ライチュウ……動くよ……?」
「うん……」
 確認オーケー、準備万端。雰囲気が冷めてしまわないうちに済ましてしまおう。ライチュウに包まれていたためか、萎えていた僕のモノは早くも回復に向かっていた。
 最初はゆっくり、それから少しずつスピードを上げる。ライチュウの感度は愛撫なり絶頂なりで高まっているのは確かだ。
 僕はさらに腰を振るスピードを上げてライチュウの奥を突く。そこを先端で小突く感覚は全身が痺れるようで、それが快感だと知るとこの上なく堪らないのだ。何度も飽きることなく突いて、突いて、突きまくる。
 ライチュウの甘い声や喘ぎ声は僕の興奮剤だ。彼女を犯している、気持ち良くさせている、そして僕も気持ちが良い。
 だが、それも長くは続かない。
「ひゃあっ! で、でんりゅ! ……んぁあ!」
「うん……一緒に……」
 最後の責めとばかりに腰を乱暴に、激しく打ちつける。彼女の中で精液と愛液が混ざり合い、飛び散る量が多くなる。
「んっ……くっ……出るぅ!!」
「んぁあああああっ!!」
 最奥を突いたその瞬間、僕たちは同時に絶頂を迎えたのだった。
 三度目の射精でありながらも、僕のモノはなみなみとライチュウの中へ精液を注いでいく。
 溜まった精をすべて出し終えた僕は精根力尽き、残った力を振り絞ってモノを秘部から引き抜くと、彼女の隣に倒れ込んだ。
 目が合ったそのかわいいライチュウと微笑みを交わし合いながら、僕たちは眠りの世界へと旅立っていった。


 家に戻ると臼は既に片づけられていて、両親たちは僕たちが帰ってくるまで待ってくれていた。居間のテーブルにはおせち料理の他に、餅入りのお雑煮や、ぷっくりと膨らむまで焼かれたお餅、アンコを包んでつくった和菓子の大福餅。
 襖を開けたらとびきりの笑顔で「待っていたよ」と四匹に言われた時からずっと、僕は食事をしている間中ずっと赤面だった。つまり、またしても僕は両親たちのもくろみにまんまとやられたのである。後でライチュウに聞いたらやっぱり彼女も協力者の一匹だった。僕と交わるためなら、と喜んでミッション――彼女曰く両親は『姫始め大作戦』と言った――に参加したらしい。
 まったくもう何なのこのデンリュウとライチュウたちは!
 それでも、母さんたちがつくってくれたお餅料理はどれも特別な味がしてとても美味しかった。


 その日の夜、僕とライチュウは初詣をしに神社を訪れていた。おみくじを引いて今年の運勢を見て、健康欄に災難で悪しと書いてあったから対策として破魔矢を買った。二匹で石段に座り肩を並べて寄り添い、今年最初の夜空を眺めていた。
「今日はとっても楽しかったね」
「そうだね、とても楽しい一日だった」
 恥ずかしかった、という台詞を喉奥で必死に押さえながら僕は言った。
 無限に広がるこの星空は、いつかテレビで観た深海の世界に似ていると思う。
「今何考えてたの?」
「……さっき引いたおみくじの結果」
「うそ。本当は何?」
 完璧に冷静を装って言ったつもりだったのに、よく見破ったね。
「今朝の餅つきのことだよ。あんな風にいつまでもライチュウと楽しく毎日を一緒にいれたらなぁって」
「ふぅん」
 あまりにも興味無さそうな声に聞こえたから、気になって視線をライチュウに落としてみると、彼女はいつの間にか僕を見つめていたようで、暫くの間無言で互いの瞳の奥をじっと見つめ合っていた。
 不意にライチュウが僕に唇を重ねてきた。甘い味が口の中に広がり、痺れる感覚がじわじわと体全体に浸透してくる。
 あまりにも突然だったので僕は驚いて目を見開いていたが、彼女はすぐに顔を離してしまった。立ち上がり、何が何やら分からぬままの状態にある僕を置き去りにして、石段を駆け降りていく。
「えっ……ちょっと……」
 呼びとめると彼女は立ち止まり、僕の方を見上げるとその柔らかな口を開いて、
「私もだよ」
と満面の笑みをつくって僕に投げ掛けてくれた。
 僕は嬉しくなり、石段を降りきって駆け出した彼女の後ろ姿を追いかけ始める。
 来年もまた餅つきしたいな、と思った。


[[作者はこちら>エロームズ]]

----

#pcomment(コメント/餅つきぺったん,10,)

IP:125.13.214.91 TIME:"2012-08-07 (火) 18:36:18" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E9%A4%85%E3%81%A4%E3%81%8D%E3%81%BA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%93" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

トップページ   編集 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.