この作品には&color(#f0908d){官能的な描写};が含まれています。閲覧の際はご注意ください。
「今回は何を挟むんだい?」
目の前のテーブルの上、具材を待つ二つのパンを横目に隣でこっちを見るウェーニバル。
いつの日からか彼女の言葉が理解できるようになり、すっかりお喋りにも慣れてきた。原因は分からないけど、話せるのは今のところ彼女だけだ。
「やっぱりこの二つは入れないと。雫孔も好きだもんね」
少量のペッパーを振ったパンの上にハムとスライスチーズ、スライスエッグを落としていく。
俺の好みの素材ばかり入れてはいるが、手持ちの皆も好んで食べてくれる。今は雫孔(シズク)と呼んでるウェーニバルだけだけど。
続けざまにポテトサラダとピクルスも乗せ、マヨネーズを格子状に振りかける。
「なるほど、定番だね。もちろん僕は好きさ」
手を震わせながらゆっくりパンを乗せると、待ちかねていた雫孔がその手に持っていた銀色のピックでフィニッシュを決めた。
適当に乗せて具材がはみ出たサンドウィッチの見栄えを、ピックが華麗に整えている……ように見えた。
ちゃんと食べられるだろうか、と思うほどにはみ出している。ともあれあとは美味しく頂くだけだ。
「それじゃ、食べますか」
「待ってました!」
テーブルの横に並べた小さな椅子にそれぞれ腰を掛け、地平線に沈み行く太陽をふたりで眺めながらお手製サンドウィッチにかぶりつく。
ポテトサラダの柔らかな酸味と滑らかな舌触りにハムの塩気が合わさり、美味しい。時々食感が生まれるピクルスの強めの酸味も良いアクセント。いつも通りの味わいだ。
ただ、やっぱりその心持ちは夕陽でもなければサンドウィッチでもない。食べて誤魔化そうとしていた緊張が手先の細かな震えに出ている。
「今日は珍しいね。僕だけ連れて君とふたりでピクニックなんて、何か悩み事かい?」
確かに俺はずっと悩んでいる。俺がアカデミーに転入してからずっと一緒に連れ添ってきた一番最初の手持ちのことが、こんなにも気になっているなんて。
他のメンバーももちろん好きだけど、それとはまた違った焼けるような感情。時間が経てば経つほど、お前が視界に入れば入るほどに大きくなってしんどくなっていく。
互いに話せるようになってからそれは更に加速していた。
「……ごめんな、雫孔。ここ最近素っ気ない態度とっちゃって」
「ああ、なんだそんな事かい。君だって疲れることもあっただろうし、僕は気にしてないし……気にすることないよ」
「違うんだ」
食い気味に否定してしまったが、言い出し始めたら止まるわけにはいかない。一口かじったサンドウィッチに視線を垂らしながら続けた。
「俺、どうやらお前の事が好きになっちゃったみたいでさ」
暖かい季節なのに、言い放ってしまった後の静けさが肌と肺を冷やしてくる。大きなつっかえが一つ取れた気がするが、頭が真っ白になっている。
どう続ければいい?彼女に引かれていないか?でも取り繕う意味なんてあるのか?
「それで、だんだんどう接していいか分かんなくて。いつか謝ろうと、思ってて」
回らない頭で必死に胸に秘めていた気持ちを口まで声にして絞りだす。
「このまま黙ってても、また素っ気なくしちゃうから、伝えておかないとって」
隣に座ってる彼女は何も言わず、ただ静かに聴いている。視界の端で青い膝がこっちを向いて聴いているのがよく分かる。
「だから……ごめん」
謝るならしっかり彼女に向けて言おう。そうして顔をあげて雫孔を見ると、真っ直ぐこっちに目を見開いていた。夕陽に照らされた白い頬に涙の筋を作りながら。
「雫孔?」
「え……あ、これは目に砂が入っただけさ。気にしないで、ははは」
慌てた様子で手でぐしぐしと拭っている。あまり見ない雫孔の仕草に、今までにない可愛さを感じた。
目に入ったであろう砂がなかなか取れないらしく、しばらく目をこすって拭って、を繰り返している。
西パルデア海を一望できるこの辺りは草木で覆われているから、砂なんて飛びそうもないけど。今は砂がそうさせた、と思っておくことにしよう。
「君の素直な悩みや考えを聞けて、僕はすごく……嬉しいよ」
一呼吸いれて、ようやく少し落ち着いたらしい。ピクニックの籠に入れていたハンカチを差し出して、顔回りもどうにかしてもらおう。
「僕を好きになるのは構わないけど、君と僕は……」
「もちろん、それも考えてた。でももう自分の気持ちに嘘はつきたくないんだ」
再び視線をほぼ沈みきった夕陽のほうに反らす。ずっと雫孔のことを見ていられるほど、まだ気持ちは落ち着いていない。
ヒトとポケモン。昔のどこか遠い地方ではそれも関係なく互いにパートナーとなれた、という話もあるが、現代ではそんな事もあまり聞かない。
まだパルデア全土を隅々まで歩き回ったわけでもなければ、書物を読み漁ったわけでもないけど。
「こういうのって何かしらの返答が必要なんだよね?少しばかり時間が欲しいな」
「聞いてくれただけで十分……だけど、返ってくるなら待とうか」
「寝るまでにしっかり考えておくよ。ほら、食べよう」
雫孔へ打ち明けることに夢中で、ふたりの手に持たれっぱなしのサンドウィッチは少し硬くなってしまった。
一口かじった所に続けてまた一口。どんな時でも美味しいのだから、サンドウィッチはこの旅において欠かせない。
隣の彼女もそれを千切っては口の中へ放り込み、にこにこしながら頬を躍動させている。
嘴の口角にあたる部分が元々上がっていて常に笑顔だと錯覚するが、今はそれ以上に満面の笑みに見える。
「ふう、ごちそうさん」
「今回もなかなか良かったね。いつもよりマヨネーズが少し多かったけど、その分サッパリした具材に良く絡んで満足のいく味だったよ」
サンドウィッチを食べた後はいつも彼女の評価が挟まる。
俺が奇抜な具材で挑んで、自分含めた手持ち全員で一致するほどの不味さになった時は流石に雫孔も渋っていたが……いつも悪いことは言わずに褒めてくれる。
テーブルの上と椅子を片付けようと立ち上がって手を付けると、君はテントの設営をしててくれないか、と軽く手で腕を抑えてきた。あんな事を言った後だからか、その温もりに心拍がまた上がってしまう。
曰く、あんな器用なことは流石に僕には無理だから、とのこと。作業を分担すれば”考える時間”は短くなってしまうが、あるいは既に決まっているのだろうか。
期待しないようにしていた返答のことを頭でアレコレ考えながら、すぐ近くの広い場所でテントの取扱説明書を睨んでは組み立て始めた。
◇
あまり使うことが無かった大き目のテント、買っておいて良かった。自分一人ならともかく、今日は雫孔も恐らく一緒だろうと思われる。
寝袋とマットレス、そしてマットレスの上にタオルケット。まだ夜でも暖かい季節だが、寒くならないか少し心配な薄さではある。
夜空が見えるようにテントの出入り口は海のほうへ向けておいた。すっかり日が落ちきった藍色の空には小さく星が輝き始めている。
テーブルの上に置いていたランプも持ち込み、おおよそ寝る準備はできた。心の準備は……できてないけど、あとは雫孔を待つだけ。
「やあ、こっちも片付け終わったよ」
「ご苦労さま。お陰で暗くなる前にテントも建てられたよ、ありがとう」
「ふふん、これくらい何てことはないさ」
持ち前の体幹の強さで片足爪先立ちで脚先の土を手で振り払い、テントに座って残りの方も払っている。念のため、とウェットティッシュを渡して手足の汚れも拭いてもらった。
ランプの淡い光がこちらに向く雫孔の身体を柔らかく照らし、テントに反射したその弱い光は陰る彼女の輪郭を映し出す。
「雫孔がこうして寝るのってなんか新鮮だな」
「夜寝る時はいつもボールの中だったからね。僕もこういう寝床には目新しさを感じるよ」
脚を揃えて横に畳んでは、彼女を受け止めるマットレスをゆっくり撫でる。タオルケットにも目を向けているが、まだ被って横になるつもりはなさそう。
こうして誰かと一緒に寝るなんていつ以来だろう?物心ついて少し経ったくらいからは既に両親とは別の部屋で寝ていたような、多分それっきり。
そんな振り返りをしながら彼女とテントの質素な内装を適当に交互に眺めていると、大きなあくびが出た。一日が終わろうとしているこの時間、身体は疲れているし眠いはずだ。
あるいはまだ無意識に緊張しているのか。
「さて、そろそろ寝ようか……今日は充実したし、よく眠れそう」
雫孔には意地が悪いが、鎌をかけて寝ようとしてみる。お喋りをしようにもこれ以上の話題が見つからない。
座ったまま寝袋のジッパーを開いて足を入れようとした時だった。
「ま、待って」
短く布と布が擦れる音がして肩を掴まれ、ふと顔を向けると雫孔の嘴が拳一つ二つくらいまで来ていた。
少しの静寂の後そのまま何も言わずに目を閉じながら徐々に近づき、俺の口にくっつけようとしている。
咄嗟に自分も開きっ放しだった口を閉じたが、この光景を見ずにはいられず瞼は上がったままだった。
若干の冷たい硬さが口に当たって接近が止まる。荒くなる鼻息を抑えるように深く吸って出して、をしばらく繰り返す。
こうなってからどれくらい経ったか分からないが、ずっと自分の早まった鼓動が聞こえていた気がした。
ようやく嘴が離れると、半分だけ開いて蕩けた目つきで不器用に笑った。
「は、はは……僕の硬い嘴だとちょっと味気がないね」
俺の肩を掴んでいた青い手はゆっくり腕から腰へと撫でるように降ろされていき、その指がボトムのゴム部分に下着を巻き添えにして掛かる。
僅かに開いた服と体の隙間へほんのり涼しい外気が入り込み、肌が露出し始めているのがわかった。
「僕の気持ちを伝えるには……す、好きなんて言葉だけじゃ足りないと思うんだ」
一応手で止めには掛かったが、直前のキスで自分の下腹部から下も熱くなってきている。
「一応訊いておきたいけど、ダメ……かい?」
微かに震えた声、雫孔の蕩けた目と紅潮した頬。”して”いいかどうかの問いかけに対して、俺には選択肢なんてなくなっていた。
無言で制止にかけていた手を退かし、床につけて腕を張る。ボトムに掛かっていた指に力が入ってはみるみる俺の腰が外気に触れていく。
そのまま彼女へ下半身を委ねるように腰を浮かせて足と一緒に少し前へ突き出し、それに合わせて臀部で引っかかっていたゴム部分も下りる。
恥ずかしさのあまり、普段隠している部分が露わになってしまう前に顔を横へ逸らす。雫孔のすることも彼女そのものも見ていたくて仕方がないが、こればかりは耐え難い。
服で籠っていた熱が放出され、誰にも見せることのなかった雄が相棒にさらけ出された。恐らく既に少し硬さを帯びている。
「もう大きくなっちゃってるんだね。でも、わかるよ」
「まあ、お陰様でね」
皮肉じみた返しはしたものの、嫌な気持ちはまったく無い。ただ恥ずかしくてどうにかなりそう、というだけ。
ふふ、と笑うと、雫孔はボトムに掛けていた手をモノへ移して指を絡める。束の間の冷たさに脈打った後、彼女の体温で握られた部分に温もりが生じていく。
その温もりがモノをほぼ覆った。彼女の翼のような手が大きいのか、俺のモノが小さいのか。
軽く圧が入りゆっくりと皮ごと上へ、下へと動かされ始めてからは気持ちよさで頭がいっぱいになってそんなことも考えられなくなった。
「お試しでやってみてるけど……どうだい?」
「う、うーん。悪くない、かな」
「良かった。痛みがあるのに我慢してたら、と思ったけど」
自分のいかなる部分も使わずに手放しで快感が伝わってくる。ただ上下に扱かれているだけでここまで良いと思えるのは初めてだ。
ただこの調子で達してしまうと彼女の手を始め、俺の服や寝袋なども汚してしまうのでは、という不安がよぎる。どれくらい飛び出るかなんて全く分からない。
「うーん、こっちのほうがもっと良さそうだね……」
何をするのか、と下が見えないように雫孔のほうを向いても、見えるのは立派な尾羽。
彼女の顔は俺の下半身の目の前にあり、嘴が先端が肌に刺さらないよう器用に横にずらしつつもモノを捕らえていた。
その景色を視認したのと時を同じくして、唾液を湛えたであろう柔らかい舌がその中でゆったり擦れる。
「あ……あぁ」
全身に電撃のような快感が走り、思わず声を漏らして反り返る。その情けなさに顔が熱くなるが、”舌で舐める”攻撃は終わっていない。
小刻みに上下したり、くるくるとモノの周りに舌を沿わせてみたり、舌にモノを乗せたまま顔を引っ込めてはまた咥えてみたり。手とは違った温かく柔らかい刺激に、心配と子の種がモノの付け根の奥から沸き上がってくる。
「し、雫孔待って、やばい出そう」
「構わない……そのまま僕の舌に放って」
舌が擦れる度に唾液に空気が絡む音、雫孔の呼吸する音、そして彼女の優しさ。どんどん上がる熱さはやがて引き返せないところまでたどり着き、限界に達した。
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「雫、孔……ぅっ!」
モノが勝手に力みだし、嘴の中で何度もドクドクと脈打ち、腹筋が震えて背を丸めさせる。数回出ては雫孔がそれを溢さないように飲み込んでいる。彼女に白濁液を飲ませるという背徳と罪悪感が、射精と共に脳を痺れさせるほどの快感へ変わっていく。
何回脈打ったんだろう。身体を支えていた腕の疲れもあり、倒れるようにそのまま寝袋へ横になって余韻に浸る。
「うっ……喉に絡むね、これ」
「そう、なのか」
「少し苦くて独特な匂いと感触があって、でもまろやかで……癖になる味だよ」
息を整えながら、彼女が飲んだものの評価を聞かされる。流石に無いだろうが、それをサンドウィッチに使ってみよう、だなんて言い出さないことを願う。
頭を起こして、嘴から垂れかかった液も丁寧に指で拾って舐めとっている。俺が出してしまったもの……残さず頂かれたようだ。
好きな気持ちは確かにあるしこういう事になって嬉しくないなんてこともないが、恥じらいに近い後悔のような”出してしまった”気持ちは拭いきれない。
「だいぶ体力を使ったようだけど、大丈夫かい?」
「ん、ああ、でも絶頂ってこんなもんじゃないかな。それより」
身体を起こして動きやすくするために膝上まで下りたままのボトムと下着を少し上げ、濡れたまま力の抜けたモノをその中に入れ込む。半ケツでも出っ放しよりはマシだ。
こういう流れになった以上まだ終わらせたくはない。
「雫孔もそろそろ物足りなくなってるんじゃないの?」
前のめりになって彼女の胸元の白いふさふさの下、青い羽毛を胸からお腹にかけて軽く指を立てたり寝かせたりしながら撫でる。
いつもウォッシュしている時は意識なんてしなかった、大きく育った雫孔の身体。あんなにバトルとか走り回ったりとかしているのに、その毛並みはシルクのスカーフのよう。
胴は細くくびれているが、全く不健康を思わせないしっかりした曲線をつくる肉付きもある。
「ん……なんだか恥ずかしいな」
羽毛の流れに沿ったり逆らったりを繰り返していたが、再び胸辺りを撫でる。今度は少し円を描くように、重点的に。
彼女にもあるのかな、と胴やお腹とは違ったほのかな柔らかさを感じながら毛羽立たせていると、小指にも満たない小さな桃色の突起が指に当たる。
高めの声が漏れ、雫孔の身体が少し震える。
「な、何やら僕の知らないところに夢中みたいだね」
「まあ、気にして見るところでもないしな」
青い羽毛の隙間から顔を覗かせるそれを人差し指で愛撫してみたり、人差し指から小指までゆっくり当て擦ってみたり。
彼女の嬌声を聞くたびに俺のモノが次第に元気を取り戻していく。もっと触れたい、もっと聞きたい、もっと良くさせたい……彼女の胸に顔を近づけ、硬さを帯びたその突起に舌を這わせる。
「ん……っ」
腕を縮ませて背を反らせ、肩をすくませている。見ているこちらも気持ち良さを感じる仕草にさらに胸が高鳴る。
波模様の入った彼女のお腹を撫でつつ、揃えて畳んでいる脚と脚の間へ下腹部を経て手を忍ばせていく。こちらからも見せてもらわないと。
「やっぱりそっちも……だよね」
「今更だけど触ってもいい?」
「ダメ、なんて言わないよ」
畳んでいた脚をゆっくり開き、俺の手の進入を許す。
少しの手探りの後、股下より少し奥まったところで羽毛とは違った体温の温かさと滑らかさをもった筋に中指が擦れた。擦れた後の指に外気の冷たさが感じられる。
分泌された液で濡れた部分を再び温めるように、その箇所を更に人差し指も添えて筋に沿って愛撫していく。奥へ、手前へと縦に長い楕円を描きながら。
だんだん吐息が混じる雫孔の声と股下で引き立つ水の音をオカズに、指が入りそうな箇所に軽く力を入れつつ回転を繰り返す。爪で傷つけてしまいそうだから、入れはしないが。
「い、良いね……僕自身でするよりも凄く、良い」
「さっき雫孔がしてくれた事、多分こんなもんじゃなかったよ」
顔を近づけて筋にも舌を、と思ったが角度が足りない。彼女の脚に手を当てて腰を手前に出すよう催促すると、腰を回して尾羽ごとこちらに向けてきた。
ほぼ仰向けの状態、脚を広げて恥部が上向きに晒される。弄られて仄かに桃色を覗かせる筋は愛液でまみれ、艶を放っている。
初めて直で見るメスの器官に、自分のオスがそこを求めてボトムから飛び出てしまう。今すぐにでも、と思ったが……彼女にこんな恥ずかしいポーズをとらせた手前、順序は守りたい。
頭を下げて近づけると、そこを漂う雫孔と愛液の入り混じった匂いが出迎える。独特な酸っぱめの香りに頭がくらっとしたが、かえって俺の興奮は加速された。
そこを濡らす液を筋の上で舌でひと掬いしてみる。
「んぁはっ……ん」
呼吸が喘ぎ声に変わる。
匂いの通り若干の酸っぱさがあり、ねっとりとしている。今度は”出入口”の辺りからゆっくりと上げて、桃色部分を舐めて刺激していく。
「これは、ぁっ確かに……良いね」
何度も舌で味わう度に彼女の詰まるような喘ぎ声と小さな身震いに高ぶっていくし、好きな相手の恥部をこうして刺激できる事にも興奮を覚える。刺激する側でありながらこちらも気持ち良いなんて、不思議なものだ。
「雫孔。そろそろ……いい?」
完全に硬さを取り戻し、ボトムから飛び出たモノは痛みすら覚えるほどに張っている。
メスの目の前でずっと我慢させていたコイツに、そろそろ安らぎを与えてやりたい。
「僕はいつでもいいけど……ゆっくり頼むよ、初めてなんだ」
頭を上げて尾羽を踏まないように膝で立ち、位置を微調整しては四つん這いになって雫孔に覆い被さる。
腰を少し落としてモノを宛がい、しっかり外さないように手で支えてやる。先端に感じる温かさだけでどうにかなってしまいそう。
そのまま腰を更に沈めて、にゅる、と彼女の筋が亀頭をまるまる受け入れた。
「う……」
雫孔の"なか"が、冷えたモノに柔らかくぴったりと温もりを纏って絡みついてくる。嘴でしてくれた時とは違う、締め付けや吸い付き。早く全部入れたい、なかを感じたい。強い衝動を「彼女を痛め付けてしまう」という理性で押さえつけ、少し入れたところでちょっとずつ腰を浮き沈みさせる。
「い、痛くない?大丈夫?」
「今のところはね。んっ大丈夫……」
ゆっくり出し入れをしつつ、少しずつ奥の方へ掻き分けていく。雫孔のなかと俺のモノが擦れあい、熱くなる。
そろそろ解れてきたかな、と更に腰を落とせるように、張っていた腕を畳んで肘をつけて彼女の胸元へ密着する。それに便乗して雫孔も軽く腕を俺の背と頭に絡めた。
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彼女の匂いを堪能しながら、今度は入りうる限りモノを挿し入れていく。唾液と外気で冷えていたモノは付け根までしっかり受け止められ、再び熱くなった。
「全部入りきった……まだ奥がありそうだな」
「なるほど、それだけ君を受け入れられるってことだね。よかった」
「はは……動かすよ」
すっぽ抜けない程度に引いて、入れて。最初の数回はゆっくり動かして把握しておけば、変な事故は起こらないだろう。
徐々にピストン運動を速めていく。出して冷えては、入れて温まって……雫孔の喘ぎ声も呼吸するたびに漏れ出て、恥ずかしさによる抑えが快感で利かなくなった俺も時々声が出てしまう。
入れる度に身体と身体が当たっては乾いた音が鳴り、結合部からは微かに液と空気が混じってくちゅ、と鳴る。
音も匂いも触感も、何もかもが気持ちいい。夢中になって腰を動かし続ける。先ほど出したばかりのモノが覚えた鈍く弱い痛みが引いて、じわじわと再び熱く白いものを出したくなるまで。
「そ、そういえばさ」
一番イイところのために腰とモノを休めつつ、ふと思い出す。
「このまま出しても大丈夫、なのかな」
「むしろ君との子供、なら、欲しかったけどね」
息も切れ切れに、そう言って背に置かれた手を俺の腰まで落とす。まるで「中にしっかり来てくれないか」と誘っているかのように。
そういえばそうだった。彼女との間に儲けられないことが良かったような、寂しいような。そもそもパートナーと決まったわけでもないのに、何を考えているんだろう。
勢いを無くさないうちに休まった腰をまた浮き沈みさせ、引っ込みかけた”衝動”を引っ張り上げる。
雫孔の胸に顔をうずめて音が立たない程度に息をめいっぱい鼻から吸う。彼女の匂いを堪能していると、またモノが熱くなっていくのが分かる。
彼女の柔らかく締まる中を感じ、互いに弾んでいく息と匂いをオカズに身体の緊張が高まる。もう限界だ。
「雫孔……雫孔!」
好きでたまらなくなった彼女の名を吐き出して根本まで入るように腰を落としきり、力んで止まらなくなったモノが脈打つ。
全身が震えて息が詰まり、声にならない声を漏らしながら腰を本能のままにモノを奥へ奥へと押しやろうとする。
中の擦れて籠った熱に包まれながら精を吐き出すうちに、まるで母性のような「受け止めてくれている」感じすら覚え始める。
モノの弾みが徐々に弱くなり、鼓動が聞こえてくる。俺のものか雫孔のものなのか……あるいは両方かもしれない。
「は、はは……出しちゃった」
腕の力が抜けて、彼女に身体を重ねる。まだ荒めの呼吸で伸び縮みするそのお腹や胸は暖かくて、心地よい。
事に夢中になって髪が乱れている彼女は放心気味に天を仰いでいた。彼女も達していたのだろうか。
「僕の中、暖かくなってるよ」
「あ、そろそろ抜いとこうか」
「いや……もう少しこのままで居させてくれないか」
上げようとする腰が押さえつけられてまた沈む。まだ縮み切ってはいないものの、張りと硬さを失ったモノが中をにゅる、と力なく搔き分ける。
事の最中は意識してなかったが、中に入れられて圧を感じて苦しくならないのだろうか。一体となって互いに互いを全身で感じられるのは間違いないが。
ようやく落ち着いてきて息を入れる雫孔。
「凄く良かったよ、こんなの初めて」
そういえばさっきも初めてって言ってたっけ。初めての相手が同じく初めてな雫孔で……良かった。最中に何の問題も起こらなかったのは本当に幸運なのかもしれない。
「僕も……君のことが好きだよ」
こんな事をした後で何となく察しはついてても、改めて告白されると胸と顔が熱くなる。
彼女のほうを見つめて、雫孔も俺のほうを見ている。お互いに頬が緩んで微笑んでから、俺はまた羽毛に顔を乗せた。
「実はね、僕は進化する前の頃からずっと好きだったんだ」
「え……進化する前?ウェルカモだった時か」
短くテントの布と髪が擦れる音がした。恐らく頷いたんだろう。
「さっき君も言おうとしてた通り、僕と君はポケモンとトレーナー。種の壁がある前に、立場の壁があってさ」
「自分のトレーナーを異性として見てることなんてメンバーにも言えないし、でも君に伝える手段もなくて」
「進化して少しして君と喋れるようになってからも、やっぱり立場は弁えておかないといけなくてさ」
何か会話にしようと口を開いてみても、返す言葉が見つからない。今はただ彼女の言葉に耳を傾けるべきだろう。
「それを君は、取っ払ってきてくれた」
「返事なんて言ってこんな事までしても、愚痴一つ言わずに受けてくれて」
「僕は……嬉しくてしょうがないんだ」
「本当に、好きだよ」
声を震わせながら、でも言葉に詰まることもなく想いがその嘴から溢れる。俺の頭に置かれた手で優しく撫でながら。
顔を上げて雫孔のほうを見ると、天を仰いで微笑みながら泣いていた。
上半身を起こしてすっかり萎んだモノを仕舞いながらボトムを上げ、彼女の横に這って行き、止め処なく零れ落ちる涙を指で拭う。
脚を畳んで、横から泣き止まない雫孔を抱きしめる。自分の目頭も熱くなって目が潤んでいるのをよそに。
「ごめんな。お前の、雫孔の気持ちにずっと気付いてやれなくて」
「ありがとう、僕のほうに向いてくれて……僕は幸せだ」
彼女の背中をさすっていると、彼女もまた俺の身体を抱き返してくる。気持ちも身体も、とても……暖かい……
◇
瞼越しに外が明るくなっているのが分かり、目を少しずつ開ける。どうやら寝てしまっていたらしい。
身体にはタオルケットが足元までしっかり掛かっていて、ランプも電池切れではなく消灯されている。テントの端にはティッシュのゴミが袋に纏められている。
身体を起こして外を見るとすっかり夜は明け、空は青く強めの日差しがテント周りをしっかり照らす。そして草を踏む音を立てながら舞いや蹴りの練習をしている雫孔が、テントの前を横切った。俺と違って彼女は早起きだ。
再びテント前に折り返してきた時、俺が起きたことに気付いたらしくこちらに駆け寄ってきた。
「おはよう!ごゆっくりだったね。よく眠れたかい?」
「ん、おはよ。まあぐっすりだったな」
「それは良かった」
土で汚れないよう膝をテントに突いて乗り出してニッコリしている。いつもの彼女だけど、雰囲気が何処か違うような?
「雫孔、その髪型……」
「ああこれ、ちょっと変えてみたんだ。これなら寝てて多少崩れても気にならないと思うんだけど、どうかな?」
今まで跳ね上げていた毛先を下に垂らし、後ろに流している。ウェルカモのような垂らし方ではあるが、爽やかだけど遊びすぎない大人びた女性のようなその装いは、見ていて少しドキドキする。
「結構良いんじゃない?俺は好きだな」
その髪型も、雫孔のことも。
「うーん、嬉しいね!思い切って変えてはみたけど、ちょっと自信なかったんだ」
髪を撫でながら頭を傾けている。こんなに嬉しそうにしていると、バトルに出てもらうのが億劫になりそうだ。
整髪料も使わずにそこまで整うのは、やはりクワッスの頃から続く種族柄ってやつなのか。
今度美容室を見かけたら、髪型を参考にして雫孔にもやってみてもらうか。
「あ、そうだ。ちょっとこっちに寄ってきてくれるかい?」
「どうした?」
タオルケットを横に退かして膝で歩み寄り、雫孔の前に来る。昨晩あんな夢のようなことがあったとは言え、やはりじっと見つめるのは恥ずかしい。
羽毛を纏った彼女の手が頬を撫で、目を閉じながら嘴の先端を俺の口にピタ、とつけて放した。もっと恥ずかしくて顔が熱い。
「朝の……おはようのキスってやつ。今の僕たちなら、こういう事ももう許されるよね?」
とりあえず頭を縦に動かしはしたが、多分それは夫婦……人生のパートナーになってからやる事だったような。
彼女が既にそのつもりなら後は俺次第なんだろうけど。それはもう少し時間をかけて決めるとして、今は彼女のキスに素直に喜ぼう。
俺たちの間にあった種と立場の壁は既に消しちゃったのだから、もう難しく考える必要はない。
「さ、朝ごはんを食べようか。お腹が空ききっちゃったよ」
「悪いな、今着替えて用意する」
上を脱ぎながら顔を外に出して見回すと、テーブルにはクロスが敷かれて籠が置いてあってと既にサンドウィッチを作る準備ができている。
テーブルとか椅子の置き方とか準備を教えた記憶はないが、どうやって知ったんだろう。とにかくこの手際の良さは見習いたい。
上も下も普段通りの恰好、長く伸ばした髪を後ろでゴムを使って纏めて外に出る準備は完了した。
テントの横に並べられた靴を履いて、日光を浴びながら一回伸びて身体を解す。頬を撫でる潮風に心地よさを感じながら、テーブルの前に向かった雫孔を追いかける。
「今回は何を挟むんだい?」
「お待たせ。そうだな……」
テーブルを前にしてまず目についたのは焼きチョリソー。挟んで食べるには動き回りがちなので、ポテトサラダを少し塗りたくった上に埋めるように置いてまたポテサラで包む。
塩気に溢れる気もするが、食感が良いので生ハムも乗っける。そしてその生ハムには意外とジャムの甘味も合うのでブルーベリージャムを上のパンに気持ち程度に塗る。
そのままパンを乗せてぎゅ、と具材をしっかり挟む。仕上げは……
「これで完成!流石は僕のパートナーだよ、イイ感じだ」
金色のピックで勢いよくお手製オリジナルサンドを貫く。高級感は出ている。
「なんか使ってるピックの値段が上がってない?気のせいかな」
「今回は僕たちがより仲良くなった記念さ。こういうものは思い切りも大事だよ」
それも確かにそうか、と一笑する。先が丸まったパン切りナイフで二つ切り分けて後は美味しく頂くだけだが、俺より先に雫孔が一口大に千切って口に放り込んだ。
「ん、んいひい。んく……なかなか……」
珍しく口の中を飲み込む前にモゴモゴと喋ろうとしている。どうやら美味しいと言っていたらしい。
奇を衒ってジャムを入れたのだが、実際は彼女が優しいだけかもしれない。自分もとりあえず一口大きく齧ってみる。
生ハムの塩気と独特の風味にブルーベリーの爽やかな甘酸っぱさがマッチしているのは予想通りだったが、後者がこってり目な食感のポテサラとチョリソーの辛味にも合うのは意外だった。
ただやはり、強い塩気はしっかり残っていた。パンである程度中和されるとはいえ、水が欲しくなる。
「うん、これはこれで悪くないな」
「いつもは入れない物がいくつか入ってるね。美味しいよ」
そう言ってまた口に含みながら水の入ったペットボトルを2本、バッグから取り出してテーブルに置いた。……やっぱりしょっぱいよな。
持ってきてくれたボトルを開けて口に流しながらサンドウィッチを食べ進め、最後の一口もしっかり頂いた。
「御馳走さま。この紫色の甘酸っぱいドロドロは何て言うんだい?」
「ブルーベリージャムだな。ブルーベリーっていう果物があるんだよ」
「なるほど。他の具材にないこの後ひく甘さが満足感に一役買っていて良かったよ」
その評価のお陰で俺の満足感もますます強くなる。課外授業が始まってからは何となくで作り続けていたが、最近は雫孔のレビューのために毎食サンドウィッチを作っている節もある。
単に町で売っている素材が大体サンドウィッチ向け、ということもあるけど。
「さて、そろそろ出発に向けて片付けますかね。またテントやってくる」
「それじゃ僕も、テーブルは畳んでおくよ」
テントの中に入ってランプとゴミ入り袋を取り出し、寝袋を押しつぶしながら丸めていく。サンドのように丸めても入れ物の袋に収まらないことが多くて困るが、これは仕方ない。
マットレスも同じ要領でタオルケットで包みながら袋に無理やり詰め込み、何とかキャンプ用のバッグに入るようにはなった。
後は打ち込んだペグを引き抜いてテントを骨格通りに畳むだけの簡単な作業。骨格の曲がり方の癖さえ掴めれば、だが。
それでも、今後も使う予定が見えてきたから雑な扱いをするべきではない。
力技で全て収納し終えると同時に、後ろから青い腕が俺の身体に絡んで抱きしめた。何となく彼女だとは分かっていたが、少し驚いて跳ねてしまう。
肩の上から顔を出している。
「本当にありがとう。僕のために、ここまで用意してくれて……」
「っと、雫孔?」
青くて微かに高い柔らかな声が耳元で聞こえてくる。
「これからは好きな者同士……改めて恋人としてよろしくね」
「……うん。よろしく、雫孔」
互いに想いあえることを噛みしめるように、隣り合う顔同士でゆっくり頬擦りする。
必要な時以外はボールに入れないでおこう。雫孔のためにも、俺のためにも。
残りのジムはまだ5か所あり、相手していないヌシや団のボスもまだまだ居る。
キャンプ用品の入ったバッグといつものバックパックを背に、俺は背の低い草むらをパートナーと横並びになって歩き出した。
おわり
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後書き
メスのクワッスの名前が決まらなくてとりあえずシズクにして、ウェルカモになって既に好きになってた所で進化したらその意匠も相まって雫で孔雀だから「雫孔」と読めるのでは?と感じて早々に好きが大好き、そのまま愛になりそうです。
ウェーニバルに熱くなりすぎた勢いで、たまらず初心者ながら書かせていただきました。
以前から何かしらで書いて此処に置いてみたいとは思ってましたが、とりあえず形にできて良かったかなと。
次の作品が……書けたら、またよろしくお願いします。
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何かあれば……嬉しいかもしれない?
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