#contents *第24話・狼色の黒幕 [#g3aff27e] written by [[beita]] 数秒後。ソル達を襲う無数の岩がおとなしくなった頃。 ソルは全身を真っ赤に染めながらも尚もその場所に立っていた。 ソルの背中にしがみついていたレイシーには新たな損傷は見当たらない。 「ハァ……。レイシー、大……丈夫?」 痛みに歯を食い縛り、呼吸を乱しながらソルは尋ねた。 「私は大丈夫です。……っでも、ソルくんが……」 「僕? ……平気だよ。これくらい」 大量に血を流しながら、ソルは答える。 アラシは傷だらけにはなりながらもまだ生存しているソルを見て驚いていた。 「んおぉ。ホンマに口だけや無いみたいやな」 アラシの発言にソルは得意気な表情をする。 「ほら、言ったでしょ? 君じゃ僕には勝てない」 「死にかけの分際で言いたい放題やのう」 そう言うとアラシはずしん、とソルにゆっくりと接近を始めた。 「ごめん、みんな……。最後にちょっと力、貸してほしいな」 ソルは発言と同時に走りだした。 「……その発言待ってたよ。ぼくの力なんかいくらでも貸すよっ」 汗を拭い、若干辛そうな表情をしながらもリアは動きだす。 「この一撃で決めるのだな。……任せるのだ!」 フロウは痛む部分を手で押さえつつも水を使い、急速にアラシに接近する。 「任せなさいよ! ……で、でも別にソルのタメとかじゃ無いんだから!」 サンディは見た目的にはそれ程苦しそうでは無く、キリっとアラシを睨み付け、地面を強く蹴る。 「ソルくん……。……もちろん私も!」 レイシーはアラシを目前にしたソルの背中から飛び降りる。 そして、痛んだ脚を使わないように立つ。 「あんさんらが来たところでまた重力の餌食になるだけやで」 アラシはそう言うと、左腕を振り下ろしにかかった。 が、ソルは既にすぐ近くまで来ていた。 ソルは腕に攻撃し、重力を阻止しようとしているのだろう。 アラシはそれを逆手に利用し、腕を振り下ろすと言うよりかは殴り付けるように下ろす。 ここで一つ、ソルの予想外だったコトが起こった。 本来、腕を角で迎え撃つハズだったのだが、アラシの拳はモロにソルの頭部に直撃していた。 「うあぁぁぁっ……!」 脳を大きく揺さぶられたソルは目を見開き、叫び声をあげる。 ……が、ソルは倒れない。 全身の力を絞り尽くして姿勢の維持に努めた。 その甲斐あって、重力は作動していない。 攻撃直後の硬直しているアラシの周りに全員が揃う。 隙だらけのアラシの頭部にソルを除いた全員の本気の一撃が同時に決まる。 四つの攻撃が重なり、尋常じゃ無い程の衝撃を受けたアラシはその巨体を地面に伏せるコトになった。 一同は呼吸も忘れてしまいそうな程の緊張感を抱いてアラシの様子を眺めていた。 そうして一分程たっただろうか。あれからアラシはぴくりとも動かない。 「勝った……のだか?」 フロウが最初に沈黙を破った。 「そうじゃない? こいつ、気失ってるよねっ」 「ははっ。ざまあみろってコトよ!」 「ソルくん。やりましたね……」 レイシーがそう言いふと目線を横にずらすと、アラシと同じように地面に寝そべり全く動かないソルの姿が。 「っソ……ソルくん!?」 アラシのコトばかり意識していて誰もソルのコトに気付かなかったようだ。 「急いで街に、帰らないといけないのだ……」 フロウはソルを担ごうと動きだす、が。 無理して動き続けたせいか、体が思うように動かない。 「……だ、駄目なのだ。……体が、動かないのだ」 「フロウもなんだっ。……ぼくももう街まで帰れそうも無いよっ……」 と、二匹は珍しく絶望じみた表情を浮かべる。 そんな彼らをよそにサンディとレイシーは顔を見合わせて話しだした。 「レイシー。ティサなら何とかしてくれるんじゃないの」 「はい。私も思いました。……ただ、この場所が分かるかどうか」 「……分かりましたわ」 と、二匹の会話にもう一つ、新たに声が割り入る。 か細い声だったが、辛うじて聞き取った一同は、はっとして声の聞こえた方を見る。 するとそこには話題の対象、ティサの姿があった。 相変わらず下ばかり向いているが、ティサはそのまま口を開いた。 「夜中にあれだけ大きな音を出して戦っていたならきっと誰でも分かりますわ……」 「なるほどね。でさ、見ての通りあたし達みんな重傷なんだから。あんたの力で街まで送っていってよね!」 「……分かってますわ。では、いきますわ……」 ティサはそう言うと両手を前にし、意識を集中させる。 数秒後、ティサが発した掛け声のようなものを合図に、一同の体は瞬く間にその場から消えて無くなった。 「アラシ、案外冷静だったな。戦闘中でも私の声が聞こえていたとは」 アラシただ一匹が取り残されたその空間に声だけが響く。 「んあぁ、やられるフリすんのは大変やってんで」 その返事をすると同時にアラシは立ち上がった。 「フフン……まぁもともとはお前が勝手に飛び出していったのが原因だろ」 「そうやけどな。んで、用件はなんやねん?」 姿の見えない相手に対し、淡々と会話を続ける。 「さっさとアラシを連れて帰ってこい。そう言われた」 「……んおぉ、そうかい。どうせ総帥さんの指令やろ?」 やれやれと首を傾け、アラシは話に応じる。 「当然だ。さぁ、行くぞ」 アラシはそのまま闇の中へ歩いていき、その姿を消した。 ソル達はティサの力によって街まで帰ってきた。 そこで、新たな事件の発生を知るコトになる。 「みんなお疲れである」 と、出迎えるトランス。 それに応えつつ各自ポケモンセンター周辺で楽な姿勢をとった。 「ケガ人だらけであるな……。すぐに治療してもらうのである」 「ん。……そう言えばジグはどこにいるのだ?」 ポケモンセンターで治療を受けるには人間同伴で無いと色々と面倒。と聞かされていたフロウがそれを思い出し、尋ねる。 「……それが、全く見当たらないのである。サーラも、どこへ行ったのであるか」 トランスは深刻な表情の原因を吐露する。 「えっ……!?」 一番最初に思わず声をもらしたのはレイシーだった。 辺りが不穏な空気に包まれる中、不意にポケモンセンターのドアが開いた。 一同は一匹残らずそっちに顔を向ける。 そこに居たのは年齢にして40代と思われる、見た目的にもどことなくジグに似ている男性の姿だった。 しかし、初対面の面々は彼がジグの父親だとは分からなかった。 唯一会ったコトのあるソルは今は意識を失っている。 「……だれ?」 リアがもらす。もちろん答えられる者はいない。 どうしたものか、と時間が凍り付きそうになったその時。 ジグの父親は言葉が伝わらないコトを分かってか、無言でみんなをポケモンセンターの中に来るよう手招きを始めた。 「中に入れってコトなのだか?」 やはり知らない人からの誘いにそう易々と乗れない、とフロウでさえ不審に思ったようだ。 「ホントに誰も知らないの?」 明らかに相手がこちらを知っているような態度にサンディは疑問を投げ掛ける。 その時、レイシーの脳内にかけめぐる電流の様なものが生じた。 「あ! ……もしかして、ジグさんのお父さんじゃないでしょうか……?」 レイシーの判断に一同は納得する。 「だとすれば、オレ達に被害は無いであるな」 「はい……。仮に違ったとしても抵抗する体力はもう残ってませんケド」 動けないソルはみんなで協力して運んであげるコトにし、一同はジグの父親に連れられポケモンセンターの中へと入っていった。 ジグの父親が上手く言ってくれてたおかげで、全員何事も無く治療を受けられた。 中でも傷が深いソル、リア、トランスは絶対安静と言うコトで奥の部屋に収容されるコトになり、 残りの者達も疲れは限界寸前まで溜まっていたので、すぐに眠りにつくコトにした。 翌日。と言っても戦っていた時点で既に日は越えていた。 訂正するなら同日の昼。やはりいつになってもジグ達は姿を見せない。 特に何もするコトが無く、比較的まだ傷が浅かったレイシー、サンディ、フロウ、ティサは何気なく会話を始めた。 「ジグさん……一体どこに行ってしまったんでしょうか……」 レイシーの表情から不安でたまらない様子がよく伝わる。 「あのさ! あたし、ジグが居なくなる直前まで一緒に居たんだけど」 ふとサンディが思い出したように言った。 「え!? ……それで、ジグさんはどうなったんですか?」 一気に表情を変え、レイシーは尋ねる。 「何か“いい作戦が思いついた!”とか言って遠くの方へ走っていったんだから」 そのサンディの発言にティサが反応する。 「……サーラもそんな風に居なくなってしまいましたわ」 そう、二人の行動はかなり近いものがあった。 明らかに不審な行動、一体これをどう捕らえるのか。 「……これは、きっと何かありますよね」 「どうせまた例の連中の仕業に違いないんだから!」 断言するサンディ。しかし、肝心の布の連中はターブを除いて全員やられている。 「だとしたら一体あいつらの誰がそんなコトやったのだ?」 「でも、二人ともさらわれたとかじゃなく自分で去っていったんですよね?」 解けない疑問に冴えない頭脳。そんなレイシーとフロウを前にサンディは自信満々に意見を主張する。 「そんなの簡単なんだから! あの連中に人を操る能力を持つ奴がいれば済む話でしょ!?」 当たり前の結論にみんなはあぁ、と納得する。 「……私にはできませんが、他者を操るコトに等しいコトは、私の超能力の類の力を使えば確かに可能ですわ。 そうなるとその者はかなりの能力の使い手と思われますわ」 ティサがさらにその推論を肯定する。 「つまり、あいつらにはまだ生き残りが居るってコトなのだな!」 閃いたようにフロウは当たり前のコトを口にする。 「それは分かってましたよ。黒幕はまだ……」 「黒幕!?」 レイシーの発した黒幕の単語にサンディが大きく反応を見せた。 「はい。あくまでジグさんの推測でしか無いのですが、昨日の一件などに関して、 自分自身は一切作戦に参加せず指示だけを出す者が裏方に控えているだろうというコトです」 「でも、今回は明らかにそいつは関与してるから黒幕じゃないハズ。ジグの話通りに考えると、まだ黒幕とは別にもう一匹居るってコトよね!」 「なるほど……。確かにそういうコトになりますね」 と、四匹は暇な時間を利用してこの様な推測の話し合いを続けていた。 一方。ジグとサーラはとある建物の中に居た。 後ろ手に手錠をかけられ、見渡すかぎり何も無い部屋の中に軟禁されている。 二人で使うには少し勿体ない程の広さが精神的に不安を煽る。 「一体、俺に何があった……?」 シグは現状に大きな疑問を抱き、呟いた。 「私も。全く覚えて無いわ」 ジグの隣にいるサーラも同様に今の状態を理解できていないようだ。 とりあえず、まず最初に考えるコトは脱出だ。 自由に動かせる足で部屋中を調べ回るが、床と壁と天井、そして出入口なるドアしか存在しないこの部屋の探索は余りにも手応えがなかった。 当然、唯一の脱出路には鍵がかかっており、やはりこの部屋から抜け出すコトはできないのだろうかと思われる。 拘束された上にそれまでの過程が一切記憶に無い二人は半ば絶望していた。 「レイシーも、ソルも、なんで誰もいないんだ……」 またぽつりとジグが呟く。 その時。扉の向こう側から足音が聞こえた。 「誰? こっちに向かってる……?」 サーラは音の存在にすぐ気付くと、ドアの向こう側に意識を集中させる。 ジグもそれにつられるように辺りに注意を配った。 そしてついにドアが開かれた。二人は思わず息を飲み込む。 扉から現れたのはジグよりは年上と見られる少年と黒い布を被った四足歩行のポケモンだった。 ポケモンが布を覆って姿を隠しているコトから、前々から相手にし続けた例の連中に違いないだろう。 「あんただよな。俺達と散々渡り合ってきたのは」 少年はジグを指差し堂々と話し始めた。 「……つーかただの邪魔なんだが。そろそろマジで黙ってもらいたくてな」 そこまで言い終えると、少年の隣に居た黒い布を覆ったポケモンは一歩前に出る。 四足歩行というコト以外はほとんど種の特定に手がかりのないそのポケモンはゆっくりとジグとの距離を詰めるために一歩、また一歩と歩み寄ってきた。 布の隙間から鋭い牙だけは確認できた。 途方も無く絶体絶命な状況を前にジグは最期を覚悟した。 ---- *第25話・抹茶色の突入 [#g6d4cdef] ジグとサーラが居ないままもう五日経過した。 ソル、トランス、リア、の重傷班はまだポケモンセンターで安静にしている。 ちなみに、今回の事件に関わったニナ、スピオン、アークは街に捕縛されたようだ。 さしあたって再襲撃の危険性は無くなっただろう。 が、ジグ達を含め、相手方の動きが見えないとこちらとしてもどうしようも無い。 一仕事終えたにも関わらず、一同には不安がつきまとっていた。 しかし、それもいよいよ解消される。 この日もレイシー、フロウ、サンディ、ティサは何気なく会話をしていた。 「今日で五日、でしょうか。……全く動きがありませんね」 しばらくジグの顔を見ていないせいか、レイシーの表情はどこか悲しげだった。 「そんなに心配しなくてもジグはいつの間にかひょっこり帰ってくるに決まってるんだから」 何を根拠にか、楽観的なサンディ。 「サーラのコトも心配ですわ。果たして無事なんでしょうか……」 一方、ティサはレイシーと同等の不安を抱いていた。 「ならば、こっちから探しに行くのだ。きっとすぐに見つかるのだ」 すっかり元気になったフロウが動きたそうに体を疼かせながら言う。 一同がしばらくそんな風に特に何をする訳でも無く過ごしていると、遠方から人間が一人、レイシー達の方へ歩いてきた。 「あ。……サーラが帰ってきましたわ!」 最初に気付いたのはやはりティサだった。 みんなは続くように次々とサーラの方を向く。 「ティサ、ごめんね。心配させちゃって」 サーラはそうい言いながらティサの頭を軽く撫でた。 一瞬は歓喜に満ちたティサだったが、それは一瞬にして崩れ去った。 ティサはサーラから違和感を感じとったのだ。 その違和感が何なのか、現段階では断定できない。 が、先日の話の筋書き通りにいくならば、サーラは何者かに操られているに違いないだろう。 警戒を怠らず、且つ平常心を保ってティサは返事する。 「……はい。とても、心配しましたわ……」 恐らく他のみんなはサーラの違和感には気付いていないだろう。 それも、ティサは近くに居る者の感情を感じ取る能力に長けているためだ。 加えて彼女はサーラとはいつも一緒にいるのだから、微々たる変化にも気付けるのだろう。 「トランスや他のみんなは?」 「先日の戦いで大怪我してしまいまして、ポケモンセンターで治療を受けてますわ」 「なるほど。今はあの子達の回復を待ってるって訳ね」 「……いえ、単に他にどうするコトも出来なかっただけですわ……」 ティサの返事にサーラは、少し首を傾げ、間を置いてから。 「そっか。そうだよね。私達が居た場所、誰からも聞いてるハズ無いか」 自分を納得させるようにサーラは言った。 ティサがふと視線を横に逸らすと、退屈し始めるみんなが視界の端に捕らえられた。 「……二人っきりで話しませんか?」 ティサの提案にサーラもレイシー達をちらりと見てそれを肯定した。 ティサはサーラから一通り情報を得ると、ひそひそとレイシーにそれを伝えた。 「っ……! 私だってみんなの前で話すの苦手なんですよ……」 「そ、そこを何とかお願いしますわ……」 と、いった二匹の可愛らしいやりとりに気付いてもう一匹、赤い針の彼女が割り入ってきた。 「何よ、何話してんのよ。あたしにも話して欲しいんだから」 サンディの発言にレイシーとティサはお互い目を合わせて思わず笑ってしまった。 ポケモンセンターの建物内。 ソル達にも話だけは聞いてもらおうと治療室から出てきてもらった。 六匹のポケモンとサーラを前に、サンディは堂々と話し始めた。 「みんな聞いて! ジグについて話すんだから」 もともとざわついて無かったが、サンディの発言で場に緊張感が立ちこめた。 「ジグはここから人間の足で一時間弱ってくらいの場所にある布の連中のアジトに監禁されているらしいわ!」 「分かったのだ! 今すぐ行くのだか」 すかさずフロウが反応する。 「……っそうだけど話は最後まで聞いて! ジグが相手に捕まっていて状況は最悪なんだから」 「人質か……最低であるな」 トランスがつぶやく。恐らく他の全員も思っていたことだろう。 サンディは話を続ける。 「で。サーラだけ解放させたのはあたし達をジグの救出に向かわせるため! 罠とか何やらがあってもあたし達は行かざるを得ない状況に陥ってるんだから」 相手がどんな風に待ち構えていようと弾き返してやるんだから! とでも言わんばかりの表情でサンディは言い切った。 そして今の発言に対する周りの反応を一通り確認する。 ソルはいつも通りと言えばいつも通り。許せない! という気持ちと連中に対する恐怖を足し合わせた様な表情だった。 トランス、リアは二匹とも憎しみが満ちているのが見てすぐに分かった。卑怯な奴は許せない、そんな感じだろう。 ティサはすでにこの事実を知っていたコトもあり特に変化は無かった。彼女の性格からしても感情を表に出すようなコトはあまりしないだろう。 一番表情に変化を覚えたのはレイシーだ。 ジグのコトになると雰囲気が一変。目を合わせるだけで凍らされてしまいそうなくらいに鋭い目をしていた。 「やる気になったところごめんっ! トランスとリアはまだ傷も治り切って無いし、ここにいて欲しいんだから」 「っ……。分かったよ。もともと姉ちゃん達の敵だしね。でも、ソルはどうするのさっ」 確かに、重傷を負っていた三匹の中でもソルのが一番重かった。今の姿を確認するあたり、全快じゃ無いのは明らかだ。 リアの発言には、姉が一瞬だけソルの方を向き答えた。 「“ソルも連れてくる。”これが相手の要求だそうです」 ソルも覚悟を決めつつあったのか、レイシーの発言にもあまり表情を揺らすコトはなかった。 「そっか……」 微かながら恐怖を含んだ目でソルはぽつりと呟く。 「とにかくっ。そうと決まれば今すぐ行くんだから!」 恐らく大筋は伝えたであろうと判断したサンディが話を切り上げにかかる。 そして大至急、出発の準備へと移るのだった。 布の連中のアジトらしき建物内。 「あいつが上手くやってくれれば、もうすぐこちらに向かってくる頃だろう」 人間は傍にいる黒い布を被ったポケモンに話し掛けた。 「そう、だな。我々も準備に取り掛かろうか」 「いや、あいつから報告があるだろうからそれからでも十分間に合う」 「……あくまでそれは配置につく上での話、だろ? 我は少々体を動かしておきたい」 「悪い。そういう意味か。つーか、好きにやってくれて構わないぞ」 「了解」 会話を切り上げると黒い布は今いた部屋をあとにした。 「じゃあ俺も、そろそろ行かせてもらいます」 黒い布に続いて赤い布を覆った者が立ち上がり、歩きだす。 彼の発言には人間は特に反応しなかった。 赤い布も特に気にするコトなく部屋を出ていった。 準備と言ってもポケモンの彼らに荷物をまとめるなどの作業は必要なく、強いて言うなら必要なのは心の準備ぐらいなものだ。 が、出発直前になってジグの父親が現れたのは驚いた。 ジグの父親は、サーラ、ティサと二つも中継を経てレイシーに話し掛けた。 喋り始めると同時にその手に持っていた飾り物の様な物を強調する。 「これは、不思議な氷でな。氷点下に置かなくとも一切融けない。こうなる理由はまだ研究段階だが、分かっているコトが幾つかある。 それは氷を扱うポケモン達がこれを良く好むということと、これを与え、身につけていたポケモンは元気になるというコトだ。 だったらグレイシアの彼女なら何か役に立つかもしれない」 そう言い終えると、レイシーに不思議な融けない氷を差し出した。 それは首輪のように紐が繋がれており、レイシーは特に拒むコトも無く氷が付けられた首輪を身につけた。 と、言っても自分で自分の首につけられる程レイシーは器用では無いので、ジグの父親に付けてもらうのだった。 レイシーは首輪を前脚で触りながら、どこか嬉しそうな表情を見せた。 「ありがとうございます。ジグさんのお父さん」 ジグの父親は一度だけ頷き、五匹と一人の出発を暖かく見送った。 道中。ティサは気付かれないようにサーラから離れ、レイシーに話し掛ける。 「少しよろしいでしょうか……?」 ひそひそと話し掛けてくるティサに何だろうとレイシーは疑問に思う。 「はい。構いませんよ」 ティサの行動からサーラに知られたくないコトだというコトを察し、小声で答えた。 レイシーの返答にティサはちらっとサーラの方を見て、話を続ける。 「サーラが、何者かに操られていますわ……」 レイシーは思わずはっとしてサーラを見た。 が、よく見たところで外見からは何も判断できなかった。 「私には近くにいる者の感情を読み取る力がありますわ。……今のサーラの感情は明らかに彼女のものではありませんわ」 「……本当なんですよね?」 レイシーの問いにティサは遠くを見つめながら一度だけ首を縦に振った。 「……不安、ですか?」 当然すぐ近くに敵の存在を確認し、穏やかで居られないだろう。 その心境の変化をティサはばっちり読み取ったようだ。 「それはそうですよ。……一体、どうすれば……」 明らかに見て分かる程、レイシーの表情は曇っていた。 レイシーの発言に、ティサは相変わらず明日を見据えながら、少々間をおいてから応えた。 「私に任せて欲しいですわ。……必ず、何とかしますわ」 本当に自信があったからか、単に勇気を振り絞って言っただけかは分からないのが惜しい。 と、レイシーは思ったが、ティサを信じてみようという気持ちにはなっていた。 「……分かりました。頑張ってくださいね」 会話を交わしている内に布の連中の基地らしきものが見えてきた。 町や村の一部としては一切属さないような場所。 工場を思わせる外観をした建物があった。 「ここよ。みんな、覚悟はいい?」 サーラが振り返り、みんなに告げる。 とは言っても、サーラの言葉はティサにしか届かないのだが。 意味を直接読み取れずとも言いたいコトは察したソル達は集中力を高め、目の前の建物に意識を向けた。 一方、サーラの発言を機にティサは動きだした。 「レイシー、さっき言った通りですわ! あとは頑張ってください!」 初めて聞くティサの張り上げた声にサーラでさえ動揺する。 ティサはそのままサーラに飛び掛かると超能力で瞬間移動し、この場を去るのであった。 「……? 一体なんだったのだ?」 やはり真っ先に思ったコトを口にするのはフロウだった。 当然ながら、ソル、サンディも同じ疑問を抱いていたので、レイシーから事情を話してあげた。 四匹はついに基地内部へ侵入した。 「よう。待ってたよ、レイシー」 堂々と待ち構えていた者はもう布など身に纏ってなかった。 彼の姿を直に確認するのは全員が初めてだった。……一匹を除いて。 「……ターブさん。通してくれませんよね?」 分かっていつつもレイシーは返事し、問い掛けた。 「ま、返事は聞かなくても分かってるんじゃないかい? ……通っていいよ」 え!? と一同は思わずにいられなかっただろう。 ターブの言葉の通り、みんな部屋の奥へと足を進めていく。 が、レイシーがターブの横を通り過ぎようとした直後。 ターブはレイシー目がけ、炎を吐き出した。 体の反応が間に合い、辛うじて炎の直撃はまぬがれたレイシーは、体勢を立て直して言う。 「確かに、手出ししないとは言ってませんね……」 「そ。だからレイシーは俺と戦わざるを得ないってコト。他の奴らは先に行ってくれても手は出さないし」 一対一宣言を掲げるターブにフロウが横槍を入れる。 「おいら達がお前に手を出さないとも限らないのだ」 既にターブを横切ったフロウの発言にターブは微かに鼻で笑った。 「俺にかまってる時間はあるのかい? わざわざ見逃してやってるんだ。さっさと行ったらどうだい」 そう、本来の目的を忘れてはならなかった。 もともとはジグの救出が最優先事項。布の連中の排除は二の次だった。 ターブの言葉でそれを再認識したフロウはぐっと歯を噛み締めて一言。 「レイシー、気をつけるのだ」 そう言い、この場をあとにするフロウにソル、サンディが続いていった。 「ふ~。やっと二人きりになれたね」 ターブはどこかしら突っ掛かる発言をする。 レイシーはターブを睨み付けたまま言い返した。 「何なんですか、その言い方は。……まだ、私に……」 「まさか。何年前の話だよ。……まぁ、確かにレイシーが俺以外の雄と仲良くしているのを見るのは不快以外の何でもないがな」 レイシーが言い切る前にターブが話を打ち切り、直後にレイシーに飛び掛かった。 ---- *第26話・猩紅色の因縁 [#t6739952] ティサはリア、トランスの元、トバリまで戻ってきた。 「トラ。サーラを押さえてほしいですわ!」 いきなり現れたティサとサーラ。加えていきなりの注文。 !? と吹き出しが見えそうな程トランスは驚いたみたいだが、すぐに行動に移った。 「痛いっ……トランス。いきなり……どうしたの!?」 サーラが思わず声をあげる。 が、同時にティサは既に操作が解かれているコトに気付いてしまった。 「……トラ。大丈夫みたいですわ。離して下さい……」 状況が全く理解できないトランスは首を傾げながらティサの言う通りにした。 「ティー、一体どういうコトであるか?」 「……実はサーラは何者かに操られていたんですわ。……でも、今はもう操られていませんわ」 話を横で聞いていたリアが何かに気付いたように口を開いた。 「操る……ってもちろん“えんかくそうさ”だよねっ? だとしたらその人を操っていたそいつ、今までどこに隠れてたのさっ?」 確かにティサの瞬間移動により圏外となって操作が解除されたならば、それ程遠い場所から操るコトはできないハズ。 その場合、ソル達が敵の基地まで向かう道中、ずっとそいつがサーラと一緒についてきていたコトになる。 「……誰かが、私たちを尾行していたのですか。……全く気付きませんでしたわ……」 「じゃあそいつは今、どこにいるのであるか?」 瞬間移動にはついて来れず、サーラに遠隔操作の範囲外へ逃げられてしまった。 こう考えるのが自然であり、そこから推測される簡単な結論。 「……まだ、レイシー達をこっそりと付け回してると考えるのが自然ですわね……」 ジグの父親に貰った不思議な氷の効果は絶大だった。 ターブがレイシーに触れるより遥か先に、レイシーは二者の間にそれを遮る氷の壁を作り出した。 もちろん、すぐにそれは融かされてしまうが、レイシーが一旦距離を空けるには十分だった。 氷の壁を融かし終えた直後のターブに氷の塊を飛ばす。 ターブは前脚を構え、防御体勢に入る。 が、この氷も一粒一粒が以前に比べると威力が増しているのであった。 思いのほか一発が重いコトに驚いたターブはわずかに体勢を崩し始める。 「ちぃ……マズイな。威力が以前とは桁違いだ」 ターブは呟くと、レイシーを睨みつけ大きく息を吸った。 この動作から、炎を吐くつもりだろうと察したレイシーは攻撃を中断し、回避に移ろうと動き出す……が。 ターブは炎を吐き出さず、すぐに走りだすとレイシーに迫ってきた。 速度的にもターブが遥かに上。レイシーは逃げるのを諦め、立ち止まった。 すぐ後方からは全速力で近付くターブの姿。もう間も無く接触するだろう。 そのターブの助走からの体当たりを繰り出す直前。レイシーはその場に伏せると上に向かって強力な冷気を放った。 ……これで何とかやり過ごせます。レイシーはそう思ったが、その直後体に激痛が走る。 「……っ!」 全身が焼かれた用に痛い。と、言うか事実焼かれている。 もちろんレイシーはこの間に何が起こったかは理解していた。 レイシーの冷気放出と同時にターブが炎を吐き、それが冷気をかき消した上でレイシーを襲ったというコト。 「相性は最悪……それでも俺に立ち向かうのかい?」 ターブの発言にレイシーは痛む体を何とか起き上がらせて言い返す。 「当然です。私、負けませんから……」 ターブはまた動き出す。 レイシーは両方の前脚を重ねて地面に置き、ターブが来るのを待った。 今度は炎を吐くこともせずに、ターブは直接レイシーに襲い掛かろうとする。 その二匹の間合いが無くなる直前。 レイシーが地面に強力な冷気を込めると、そこから天井目掛けて伸びる大きなつららが現れた。 「なっ……に……」 レイシーが作りだしたつららはターブの腹部に刺さった。 だが、彼の熱により、瞬く間につららはその形を失っていく。 傷自体、そこまで深くは無いようだ。 「氷、随分強力になったんじゃないかい。流石だねぇ」 ターブは一瞬動揺したものの、すぐに取り直し、いつもの口調で話しかけた。 レイシーはターブと一定の距離を保ち続け、無言で睨み続けている。 「……そっちは真剣だよな」 少したりとも表情を揺らすコトの無いレイシーにそう呟くと、ターブは大きく地面を踏み込んだ。 次の瞬間、今まで見たことの無い速度でターブは動き出す。 反応も全く追いつかず、レイシーは正面からターブの体当たりをモロに食らってしまった。 その後もターブの勢いは衰えず、何度もレイシーを狙い続ける。 レイシーはどうするコトも出来ず、ただターブの攻撃に耐え続けるだけだった。 数秒後、ターブのスタミナが切れたのか走るのをやめた。 ターブの前方にはぐったりして動かないレイシー。 「ハァ……こんな全力で動いたの久しぶりだな。ごめんね、レイシー。君があまりにも“本気を出せ”って顔で見てくるもんだから」 ターブは勝ち誇った表情でそう言うと、対するレイシーはまず顔を上げた。 次に四肢を立てていき、最終的に完全に起き上がった形でレイシーは返す。 「わざわざ全力をありがとうございます。……まぁ、私としましても、全力のあなたに勝たないと意味が無いと思ってますので」 辛うじて起き上がって間も無く、レイシーは大きい発言をする。 さらに、一呼吸置いて。 「まだまだ、行きますよ」 レイシーは発言と同時に地面から氷の柱を幾つも作り出す。 それぞれ高さはターブの身長程度を上回る程度でそれ程高いものでは無いが。 近くのものから順に、ターブは柱を壊していく。 そして、そうしながらも少しずつレイシーに近付いていく。 レイシーはターブが近付いたらその分離れ、柱を作り出すことをやめない。 辺りには瓦礫の様に氷の欠片が散らばりまくる。しかしそれらもターブの熱によりすぐに液体へと姿を変えられていった。 こんなやりとりをしばらく続けていると、ついにレイシーの動きが止まった。 「おや、レイシー。もう氷は品切れかい?」 レイシーの様子を見て、ターブは見下す様に言う。 一方のレイシーは一切の動揺を見せず、むしろ自分の思い通りに試合を運べているような表情だ。 レイシーがふと目線を下ろすと、今までに沢山の氷が融けたコトを知らせるかのように水溜りができているコトに気付いた。 レイシーはそれを見てふっと口元だけ笑うと、再びターブの方を向きなおし言った。 「いえ、もう必要無くなったと判断しただけです。これからが本番です」 発言の直後、レイシーは走り出す。それもターブの方向目掛けて。 ターブはその場に構え、炎で迎え撃とうと大きく息を吸い込んだ。 レイシーはそれを待っていたかの様に素早く小さい氷の球を作り出し、ターブの顔面に飛ばす。 一瞬で表情が変わったターブ。即座に炎を吐き氷の球は融かすコトが出来たが、今の彼は隙だらけだ。 走ってきたレイシーがついにターブと接触する。 ヤバイ! と内心かなり焦ったターブだったが、いざレイシーが通り過ぎていても一切体は痛みを訴えない。 すぐに体勢を立て直し、レイシーに反撃しようとターブはその場を動こうとする、が。 脚が地面と一緒に凍らされており、動かすことが出来ない。 「水溜りごと凍らせれば楽で確実でしょう。……でも、ターブさんならすぐに融かしてしまいますよね」 そう言ってる間にも足元の氷はみるみる融かされていく。しかし、レイシーの表情には依然として動きは無い。 「その一瞬。一秒でも動きを止められたなら十分です。ターブ、覚悟してください!」 レイシーが高らかと叫ぶと、ターブの頭上からは沢山のつららが落ちてきた。 どうやら、先程のレイシーが柱を沢山作り出している合間に天井には幾つもつららを作っていたようだ。 ターブが動き出せるようになる方が一瞬遅れ、ターブは降り注ぐつららの餌食となった。 「うわあぁっ……!」 かなりの傷を負ったものの、ターブはまだ動ける状態だ。 一方のレイシーは傷ついた体を酷使しすぎたせいで、体力は底を尽きかけている。 「予想はしてましたが……随分、タフですね……」 「……俺が炎を扱う奴じゃなけりゃ、既にやられてたかも知れないケドね」 体の幾箇所から血を流し、決して楽な状態では無いターブが言った。 「私は、まだまだ戦えますよ……?」 レイシーは虚勢に乗じて意地を張る。実際のところ立っているのでやっとであることは間違い無い。 ターブもまだ戦いを止めるつもりも無く、レイシーの発言に乗ってくる。 「そんなの俺も同じだ。行くよ、レイシー」 ターブはすっと一歩踏み出し、レイシーに近付く。 レイシーは首にかかっている融けない氷に前脚で触れ、小さく呟いた。 「この一撃に、全ての力を込めます……どうか、力を」 攻撃の射程範囲内に十分迫ったターブが大きく口を開けて炎を吐き出してきた。 間も無く、レイシーからも全力の一撃が放たれる。 その一撃は、大気が凍り付いているのが見て分かる程の冷気をこめた細いレーザーのようなものであり、槍で刺すかの様に鋭く一直線に伸びていった。 ターブの吐き出した炎さえも貫き、槍のような氷はターブの体に到達する。 その光線の如き氷に触れた瞬間、体の中から凍らされる程の冷気を感じずには居られなかった。 全身の神経が凍りつき、普通とは異なった痛みがターブの全身を走り回る。 凍らされた様にターブは動けなくなる。実際、体は一切凍りついては居ないのだが。 一方のレイシーも重傷だった。 氷の光線は決して炎をかき消した訳では無い。ターブに攻撃できたものの、自らの身を守るコトに関しては一切何も行っていなかった。 そのためターブの炎を再び全身に浴びるコトになってしまった。 「ぁ……うぅ……」 レイシーは全身を焼かれる痛みに声すらまともにあげられず身悶える。 それでもまだレイシーは立ち上がろうとするが、体は全然言うコトを聞いてくれない。 もう何分経ってしまったのだろうか、といった時、ようやくレイシーは立ち上がれた。 ぼやける意識、霞む視界の中、まず最初にターブを見た。 ターブは地面に倒れたまま、ピクリとも動かない。まるで凍ってしまったかのようだ。 恐る恐る、レイシーは悲鳴を上げる体をなんとか動かしてターブの傍まで歩み寄る。 「ターブ……?」 レイシーは呼びかける。すると少し間をあけて。 「……何だい? まだ居たのかい……」 ターブはゆっくりと応えた。 「最後の一撃、手抜きました……?」 レイシーが真剣な表情で尋ねる。その問いにターブはレイシーから顔を背けて答えた。 「さぁ? 何のコトだい。……それより、さっさとみんなに追いついた方がいいんじゃ無いのかい?」 ターブの返事には一切応答せず、レイシーは歩き始める。 ソル達は次の部屋に辿り着いていた。 最初の部屋ではターブが居たのに対し、この部屋には誰も待機していないコトに若干違和感を感じた。 「ここは、誰も居ないのかな……」 ソルがそう言い辺りを見渡すが、何も無い正方形の部屋。誰かが居れば間違い無く分かる。 誰も居ない。そう思い込み、三匹は次の部屋へ進もうとした。 しかし、サンディは違った。 意味の無い部屋なんて用意するハズ無いんだから、と。他二匹の倍以上部屋を見渡し、潜んでいるであろう“何か”を探ろうとする。 「ソル、フロウ。足元に注意して。何かあるかも知れないんだから」 とりあえず最初に思いつくのは設置系のトラップだ。地面も十分観察し、罠など仕掛けられていないのは確定的だったが、サンディは念のため、二匹に注意を促した。 「そうか。罠が仕掛けられているかも知れないのだか。どうりで誰も居ないのだな」 と、サンディの発言直後、フロウは急に地面ばっかり気にするようになる。 本当はまだ何かあるはずなんだけど……。とサンディは相変わらず思考を続ける。 そう、何かあるのは間違い無かった。……が、サンディはそれに気付くコトが出来なかった。 「があぁっ……!」 突然のフロウの叫び声。 フロウはどこからともなく現れた謎の電撃に襲われていた。 ---- ご意見、ご感想、誤字脱字の報告などご自由にどうぞ。 #pcomment(逆境のコメログ,10) IP:61.46.162.52 TIME:"2013-01-19 (土) 08:42:25" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E9%80%86%E5%A2%83%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E8%A9%B1%EF%BD%9E" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:18.0) Gecko/20100101 Firefox/18.0"