ポケモン小説wiki
触った狐に祟りあり の変更点


#include(第十五回短編小説大会情報窓,notitle)

※祟り(R-18)があります。お気をつけて
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 この祟りが始まったきっかけは、本当に些細なことだった。

 俺が暮らす森の中で、急速に広まっていった噂。
 ここから西の外れにあるという、寂れた祠。普段はひっそりとしているその祠が、夜になると恐ろしい妖狐が現れ、出会った者に祟りを与えるという。
 妖狐って何だよ、そんな奴いる訳がない。最初にその噂を聞いた時、俺は馬鹿馬鹿しい話であると思った。だが、その噂が後にどんどん広まっていき、森中のポケモンたちがその妖狐を恐れ始めた時。俺はこれがチャンスであると感じた。
 ここで俺が夜に祠に行き、妖狐などいないことを証明すれば、みんなは俺を讃えるに違いないと。信じちゃいないが、万が一その妖狐とやらがいたとしても、そいつを退治しちまえばよりみんなから称賛されるだろうと。マッスグマに進化したてで、まだまだむこうみずであった俺はそう考え、臆することなく陽が暮れた祠へとまっすぐ突き進んだ。

 初めて行く場所ではあったが、呆気ない程簡単に祠は見つかった。古びた鳥居を通り抜け、俺は目の前にある祠を注意深く観察する。朱色に塗られていた屋根は所々が剥がれているようで、無機質な色合いが目立つ。また周囲に伸びる自然の蔓は、祠に綺麗に巻きつかれていた。噂が立つ前からも、ここに訪れるポケモンはほぼ皆無だったのだろうか。
 その後簡単に周囲を巡ってみたが、ここはとても小さな祠だ。あっという間に探索は終わった。そして、めぼしいものは何一つ見つからなかった。分かりきっていたことではあったが、いざこうして訪れて、本当に何もないのはいささか拍子抜けである。まあ、これでこの祠に妖狐など存在しないことがはっきりしたのだ。早く帰って、森の連中に武勇伝として語ってやるか。そう思い、祠に背を向けた時だった。

 俺の目の前には、黄金色に輝く九尾の尻尾があった。

 静かに揺れる尻尾に、俺は一瞬で心を奪われてしまっていた。どこか神々しく、そして柔らかな輝きを放つ尻尾に魅せられた俺は、誘われるように尻尾の元へと歩き出していた。そして、躊躇することなく俺はその尻尾を掴んでいた。
「うわっ!??」
 掴んだ瞬間、その尻尾の強烈な薙ぎ払いに俺は吹き飛ばされ、祠に身体を打ち付けられた。幸いにも、あたりどころが良かったようでそこまで痛みはない。だが突然の不意打ちに頭の整理が追いつかず、漠然とした不安と恐怖が俺の心を支配していた。



 お主は我の禁句に触れてしもうた……

 その尻尾の主らしきものが、こちらを振り返り厳かに語りかける。禁句? もしかして、さっき掴んだ尻尾のこと……?



 すまぬがお主を祟らせてもらおうかの……

 祟る……? えっもしかして、これが噂の妖狐? あっ、そんな嫌だ嫌だ



 だがお主一匹だけ祟るのも、何だか生ぬるいのお……

 ごめんなさいごめんなさい。祟りを信じず罰当たりなことをした俺が悪かったです。許してください許してくださいお願いします



 そうじゃ、お主の……九代先まで祟るというのはどうじゃ? ククク……ハハハハ!

 そんな怖い顔しないでください。近づかないで、やだ! 祟られたくない! 死にたくない! 助けて助けて助けてたすけ



 祟ることを待ちわびたかのような、邪悪な笑みを浮かべる妖狐。
 恐怖にとりつかれたように一歩も動くことができない弱り目の俺は、その祟り目の瞬間を、ただ目を閉じて待つことしかできなかった。




 □触った狐に祟りあり■
 作:[[からとり]]




 住処である岩穴に差し込む陽射しが、俺に一日の始まりを告げる。ついこないだまでは、凍てつくような厳冬で外に出ることすら億劫なものであったが、この数週間で季節は巡ったようでポカポカとした春風が気持ち良く流れてくる。天気も良いし、喉も乾いたしとりあえずいつもの湖まで行くか。そう思い勢いよく背伸びして立ち上がろうとしたが、寸前のところで踏みとどまる。
 タチフサグマの体長では、背伸びしてしまうと天井にぶつかってしまう。俺がタチフサグマに進化したのはもう半年も前だというのに、寝ぼけてしまうとついついそのことを忘れてしまう。いい加減住処を変えようとも思ったが、ジグザグマの頃から暮らしていた愛着ある住処であるし、まあ俺一匹で過ごす分には何とかなるだろう。そんなことをおぼろげに考えながら、俺は森の湖に向かって歩き出した。


 いつもの美味しい水の味を堪能していると、突然背後にある茂みから強烈な視線、そして怨念のようなものを感じた。俺はそれを気にすることなく水分補給を続けていたが、一向に気配は収まらない。いつものこととは言え、流石にここまで続けられるといい気分はしない。俺は振り返り、気配のする茂みへと近づく。
「おい、キュラル。出てこい……隠れても、無駄だ」
 俺の声に対して、茂みからの反応はない。だが、毎日のようにこの視線と怨念を味わっている俺は、ここにコイツが隠れていることを確信していた。というか、茂みから九尾の尻尾がはみ出ているのだから、誰が見てもバレバレであったりする。
「どうしてバレたのよ! あ~あ、今日こそザームを祟ろうとしたのになー」
 観念したように茂みから姿を現したのは、神々しく厳かな雰囲気を放つ妖狐……とは似ても似つかない、不貞腐れたように頬を膨らませるキュウコンであった。
「いつもこうして会ってんだから、嫌でもお前のことは分かるわ! つーか、いい加減祟るために俺に付きまとうのはやめろ! 何回やっても効かねえもんは効かねえんだよ」
「嫌よ! わたしは執念深いの。あんたを骨の髄まで祟るまで……諦めないんだから!」
 開き直るかの如く、胸を張って言い切るキュラルの姿に俺は呆れるように頭を掻いた。

〇 〇 〇

 キュラルに初めて出会って、夜の祠で九代先まで祟ると言われた時。
 俺は本気で死を覚悟して、ギュッと目を閉じた。でも、いつまで経っても俺の身体や心に変化はなかった。ふと耳を澄ますと、甲高い困惑の喚き声がギャーギャーと聞こえてきた。それは先ほどまでの神々しく、俺を恐怖に陥れた妖狐のものとはとても思えなかった。
 徐々に冷静さを取り戻した俺は、目の前で慌てふためいていたキュウコンに事情を聞いた。祟りの対象であったはずの俺の問いかけを聞いてくれるか怪しかったのだが、ブツブツと怨み言を口にしながらも彼女は答えてくれた。
 キュラルと名乗った彼女は幼い頃、母が話してくれたという妖狐の昔話にずっと憧れていたようで。キュウコンに進化後すぐに彼女は、ポツンと放置されていたこの祠の前で祟りの対象をずっと待ち続けていたようだ。でも、存在すら忘れられていたこの祠には、サッチムシの一匹ですら来やしない。そこで妖狐の祟りという噂を、風に乗せて広げていったようだ。そしてその噂を聞きつけまんまと来たのが俺……という訳だ。祟りなんて噂を広めたら、普通ならもっと敬遠されると思うのだが、甘い話で騙して祟るのはキュラルの流儀に反するらしい。何かどうでも良いところだけはしっかりしてるんだなと、正直俺は思った。
 そして待ってましたとばかりに、尻尾を掴んだ俺に対して妖狐っぽい前口上を決めた後に祟ろうとした訳だが、いくらやっても俺には効かないようで狼狽えてしまったようだ。俺の種族は、心霊現象などはあまり効かないらしいとは昔親に言われたことはあるが、もしかするとその影響なのかもしれない。ただそれ以上に、練習もせず見よう見まねで何となく祟りを繰り出してみたと語った、彼女の怠慢が大きいような気もしたが。
 とにかく。妖狐の正体は、祟りに憧れたごく普通(?)のキュウコンであったという事実に俺は安堵しつつも、どこか拍子抜けしてしまった。落胆しつつも、帰路に着こうとしたところ最後にキュラルは俺に向かって大きく吠えた。

 わたしは諦めない! あんたを祟るまで、ずっと近くにいるから!

 ……こうして、3年が経ち――俺がタチフサグマに進化した後も。キュラルは俺へ執拗に付きまとうようになり、そして今へと至る。

〇 〇 〇

「流石ザームね。それでこそわたしが祟る相手に相応しい。今回はこの辺で勘弁してやるわ……」
 キュラルは舌を出し、ゼイゼイと息を切らしていた。結局、今日もいつものように祟りの結果は変わらなかった。キュラルは様々な祟りを試してみたが、俺には何の変化も起きない。しいて言うなら、チクッとした痛みは時折来るが、本当にそれだけだ。
 彼女もこの3年間少しは祟り方に工夫をしてきたようで、心霊的なことだけではなく超能力的なアプローチを繰り出すこともあった。ただ、悲しいかな。俺の種族は、超能力のような力にも耐性を持っているのだ。繰り出す前の自信に満ち溢れた表情から、全く効いていない様子の俺を見た時の項垂れた彼女の姿は、流石の俺でも少し可哀そうになった。だから、わざと彼女の祟りを受けたような演技をすることもあったのだが、すぐに見破られて鬼の形相で睨まれた。普段は全く恐怖を感じないのに、この時だけはマジで怖かった。
 ともあれ、キュラルは俺を祟ろうとしてほぼ毎日付きまとうが、俺に直接的な害はない。うっとおしいと感じることは多々あるのだが、離れようとしない彼女を腕っぷしで追い出すつもりは毛頭なかった。幼い頃から喧嘩に明け暮れていたが、雌に手を出すのは俺の流儀に反する。これは絶対に譲れないことだ。まあ、最近では彼女にほぼ毎日会うこともあって、他のヤツらと喧嘩をすることもなくなったけれども。

「くそー、こうなったらザームの次の代……あんたの仔から九代先まで祟ってやるわ」
「はいはい。でも俺にその予定はないけどね」
「何でよ! あんた確かにコワモテで喧嘩っ早くて近寄りがたいけど、ちょっとはイケメンじゃないの。春になったんだし早く番を見つけて仔を作りなさい! そして祟らせなさい!!」
「怖えよ! そもそも、お前に祟られるんなら、ますます家族は作らんわ!」
 確かに今は春の陽気な季節。事実、この辺りでも夜になるとポケモンたちが盛んに交尾に勤しんでいる様子が見て取れる。ていうか、若い奴らは朝からヤッてたりしている。……うん、現にちょっと先の茂みでパルスワンとレパルダスが激しい愛の上下運動をしていた。その淫乱すぎる行為に、すぐに目を逸らしたがどうしても目に焼き付いてしまう。 淫らな喘ぎも微かに聞こえてくる。若い。若すぎる情熱的な愛だ。
 でも俺には残念ながら、そういった行為をする番はいなかった。そもそも俺はあまり群れる行為が好きではなく、知り合いと呼べるポケモンですら数匹しかいなかった。番を見つけることなど、夢のまた夢だ。
 俺の確たる意思を聞いたキュラルは少し難しそうな表情をして微かに唸っていたが、そこに突如閃いたようにぱあっと明るい笑みを浮かべた。
「わかった。じゃあわたしがザームの番になってやる」
「はあ!? 何言っ……!!?」
 キュラルの予想だにしない一言に理解が追いつかない中、俺の視界はぐるっと回る。気がつくと俺はキュラルによって、茂みの中に押し倒されていた。俺を覗き込む彼女の息遣いが直接伝わってくる。その吐息はとても生々しく温かい。そして彼女の頬は、少しばかり紅潮していた。


「わたしとザームが番になって交われば、仔が出来るでしょう? そうすれば、あんたの仔を祟ることが出来るわ」
「な……なんだお前混乱しているのか? 早く、キーのみを食べさせないと」
「わたしは本気だから」
 少しばかり感情は昂っているが、キュラルの表情は真剣そのものだ。彼女はゆっくりと俺に顔を近づけてくる。俺は何とか抵抗しようと手足をじたばたさせるが、どうも力が入らずにいた。あまりの衝撃的な展開に、俺自身が混乱しているのかもしれない。
 キュラルの口と俺の口が重なり合う。初めてのキスであったが、その味を堪能している余裕は今の俺にはなかった。しばらくの密着の後、彼女の舌が俺の口をこじ開ける。びちゃ、びちゃと淫らな唾液の音が聞こえる。そして、俺の口の中には彼女の唾液がドンドン広がっていく。俺自身の唾液とは全く異なる、感触と匂い。これがキュラルのもの……そう考えると、何だか頭がぼんやりとしてしまう。無意識の内に俺は、彼女の舌に呼応するかのように、舌を重ねた。彼女の舌は、とろけるように柔らかかった。
 舌同士のダンスを存分に味わった後、キュラルはようやく口を離す。混じり合った唾液が彼女の口から糸のように垂れ、俺の顔にぽとりと落ちる。俺も彼女も、感情の昂ぶりからか激しく息を乱す。瞳をトロンとさせて俺を見つめるキュラルの姿は、間違いなく妖艶な雌の魅力に溢れていた。その証拠に、俺の下半身にあるモノが躊躇な反応を見せていた。
「わあ……ザームのちんちん、凄く大きくなってるね。わたしのキスで? うふ、かわいい」
「別にお前のことは関係な……って、おいやめっ! あぁ」
 まるで宝石を見るようなキラキラした目で俺の膨張した肉棒を見つめていたキュラルは、勢いのままその手で肉棒を握りしめた。自分の手で何度か性処理をしたことはあったが、彼女のしなやかな手の感触はあまりにも衝撃的で、思わず情けない声を漏らしてしまう。俺の反応を見たキュラルは味を占めたように、肉棒を丁寧に、時には激しく擦っていく。ピクンピクンと大きな反応を見せる俺の肉棒を見て、彼女は悪だくみを企むような笑みを浮かべて楽しんでいた。その表情は、まさに普段見せることのない、妖狐そのものであった。
 何とかキュラルの暴走を止めなければ。俺の頭の中に、理性は微かだが残っていた。しかし、彼女が繰り出すその快楽は確実に抵抗する力を奪っていく。その証拠に、肉棒の先端からは先走りの白濁液が漏れ始めていた。マズイ。そう思った瞬間、新たな感触に俺は思わず身体をびくつかせた。気がつくと俺の肉棒は、彼女の口の中へと納まっていたのだ。
 生暖かい唾液、そしてキュラルの舌が肉棒に絡みつく。それでいながら、彼女は俺を魅了するような上目遣いで見つめてくる。こんなの……耐えられるわけがねえ!
「くっ、だっ、だすぞキュラルっ!」
 身体を震わせながら、俺は彼女の口の中に勢いよく白濁液を放った。キュラルはその白濁液を待ち望んだかのように、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み込んでいく。あっという間にそれを飲み干した彼女は、さも満足したような表情を浮かべていた。
「中々良いじゃない。あんたのちんちん……」
 顔に付着した白濁液をその舌でペロリとするキュラルの姿は、あまりにも淫乱な雌そのもので――絶頂を迎えて、少しは収まったはずの俺の欲情はさらに昂っていく。もう、我慢できねえ。


 理性を完全に失った俺は、欲情に流されるままキュラルを押し倒した。不意を突かれた彼女は一瞬驚きの表情を浮かべたのだが、俺がこの後することを察すると一転し、期待の眼差しを向け始めた。ここまで淫乱な妖狐には、それなりのお返しをしなくちゃな。
 俺は手始めに、キュラルの全身を愛撫し始めた。元々ふさふさな毛並みをしているとは思っていたが、実際に触れてみると想像以上に気持ち良い感触だ。彼女がしっかり毛繕いしてきたそれを俺の手で無茶苦茶に出来る快感。そして、感触だけではない彼女の鼓動や甘い匂り、何より微かに漏れる喘ぎが俺の動きを加速させていく。程なくして愛撫をする手は、キュラルが雌であることの象徴であると言える桃色の割れ目へと触れる。
「あぁん……ダメぇ」
「ダメと言っても、下の口は喜んでいるようだぞ」
 あくタイプらしい、いやらしい笑みでニタニタしながら俺は既に湿っていた割れ目を爪でなぞり始める。だが、俺の爪は少々鋭く、いくら慎重に進んでも割れ目の奥へ挿入することは難しそうだった。ならば、とばかりに俺はその舌を彼女の中へ入れ込む。同時に彼女の喘ぎはより甲高く、卑猥な雌のものへと変わっていく。もっと、もっとキュラルを味わいたい。そんな一心で、俺の舌はドンドン彼女の奥を突いていく。その度に漏れる、彼女の魅力的な喘ぎ。そして、ピクピクと全身を震わせる姿。もうすぐ、彼女も絶頂を迎えそうだ。
「ひゃん!? もう、いくぅぅぅうう!!」
 一段と締まったキュラルの中から、大量の愛液が放たれ俺の顔を濡らした。口の中に入ったその感触は、簡単に言葉に表せないものであるが一言で表すならば、キュラルの味。とても安心できるものであった。絶頂を終えた彼女は、口をだらしなく開け舌を出しながら、ビクンビクンと痙攣していた。それでも恍惚で幸せそうな微笑みを、彼女は浮かべていた。


「本当にいいんだな、キュラル?」
「勿論よ、わたしはザームの……番になりたい」
 交尾の前戯を終えた俺たちは、本番の前にお互いの本心を相手に伝えた。そして……番として共に生涯愛し続けることを誓い合った。


 抱いていた恋心を先に伝えたのは、キュラルの方であった。
 キュラルは元々母と二匹で暮らしていたが、幼い頃にその母も病に倒れて亡くなってしまったそうだ。その母がよく話してくれたのが、キュウコン一族の祟りの伝話であり、だからこそ彼女はその思い出にすがるように、祟りをすることに拘っていた。一匹でもずっとずっと過ごしていた中、ザームに出会ったのだ。
「わたしの祟りの話にも何だかんだずっと付き合ってくれたし、時にはわたしのことを身を挺して守ってくれた時もあった……一緒にいてくれて、とてもカッコよくて、意外と優しいザームが大好きだから、わたしはあんたの番になりたい。生涯、あんたを愛し続けたい」

 キュラルの心からの想いを聞いた俺は、隠していた想いを彼女に伝えた。
 ずっと喧嘩に明け暮れていたむこうみずな俺を止めてくれたのは、キュラルだった。一度喧嘩に負けて大怪我を負った俺を看病してくれたのも、キュラルだった。祟る相手に先に死なれたら困るからって彼女は言っていたが、本心はそれだけではないことは何となく伝わっていた。
「俺が今こうして、全うな暮らしが出来ているのもキュラルのお陰だ。俺のことをしっかり想ってくれたのは、キュラルしかいなかった。執念深く俺のことを想ってくれる、可愛らしいキュラルが大好きだ。だから、俺もキュラルと番になりたい。生涯、お前を愛し続けたい」


 待ち望むような笑みを浮かべ、仰向けに寝転ぶキュラル。
 俺は意を決して、張り詰めたその肉棒をキュラルの割れ目に近づけ――そして、ゆっくりと潜り込ませた。愛する彼女の中は穏やかな温もりに包まれてとても心地が良い。そして、俺の雄を歓迎するかのように、ギュッと締め付けてくれた。
「あぁん……ザームのちんちん、とっても大きくて気持ちいいわ」
「キュラルの締め付けもヤバいって……よし、動くぞ」
 俺は無我夢中で腰を振り、肉棒をキュラルの奥に突き付けるように動かす。今まで体験したこともない直接的な快感と、愛する番と繋がれたことへの幸福が、俺の動きをドンドン加速していく。気を抜くとあっという間に達してしまいそうだったが、少しでも長く、この幸せを噛みしめるべく気力を振り絞る。彼女もこの快楽をより楽しむべく、淫らな喘ぎを出しながら腰をくねらせる。お互いの動きと喘ぎは瞬く間に激しさを増し、ついにその時が訪れた。
「ひゃん!? ダメ、もうイクっっぅ!??」
「ハァハァ、俺も出すぞぉぉぉ!!」
 同じようなタイミングで、俺たちは幸せの絶頂を迎えた。
 お互いの白濁液と愛液が、キュラルの中で執拗に絡み合う感覚がとても気持ちいい。しばらくは、このままキュラルと繋がったままでいたい。彼女も同じ想いを抱いていたようで、俺を求めるように抱き寄せる。密着したまま、俺たちは同じ言葉を口にしていた。


 大好きだよ――






「ママ……パパ……大好き、ムニャムニャ」
 数年後――正式な番となった俺とキュラルに、とても可愛らしい赤狐が誕生した。フランメと名付けたロコンは誰に似たのかとてもやんちゃで、そこら中に火の粉を振り撒いたりしてとても手のかかる仔だ。それでも、やはり無邪気に笑う我が仔は愛おしい。そして、疲れ果ててスヤスヤと昼寝をするフランメの横には、すっかり母親の顔になったキュラルがいる。フランメを起こさないように、俺は彼女に小声で語り掛ける。


「そういえば、俺の仔を祟るって話はどうなったんだ?」
「馬鹿ね……こんなに可愛らしい仔を、祟るわけないでしょ。わたしはこの仔の幸せを願い続けるわ……九代先、いや永遠にね」
「だよな。じゃあ俺の祟りもこれで終わり……」
「な訳ないじゃない。むしろ今度はわたしとフランメであなただけを徹底的に祟るわ。いや、フランメの次の代その次の代もまたその次の代も」
「……勘弁してくれ」
 俺は思わず苦笑いをして肩をすくめる。その様子を見たキュラルは、満足げにクスッと笑っていた。




 触った狐に、祟りはあった
 でもそれでキュラルの心が満たされるなら、俺は死ぬまで彼女の祟りを受け続けよう
 この祟りのお陰で、俺はこんなにも愛する家族と、幸せに暮らすことができたのだから






 完


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ノベルチェッカー

【原稿用紙(20×20行)】	27.6(枚)
【総文字数】	8492(字)
【行数】	180(行)
【台詞:地の文】	15:84(%)|1285:7207(字)
【漢字:かな:カナ:他】	34:59:5:0(%)|2903:5062:504:23(字)

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○あとがき

 4票いただけました! 嬉しいうれしい……!
 本当にありがとうございました。

 今回はテーマ「だい」を「代」で考えるところからスタートしました。
 その中でシリアスなお話も考えながらも、最終的にはこんな形になっていました。
 普段は神々しい雰囲気のキュウコンさんが大好きなのですが、私自身中々そういった表現が得意ではなかったので、
 今回は神々しいキュウコンに憧れる、今どきのキュウコンちゃんを描きました。こういったギャップも可愛いですよね(?)

 お相手にタチフサグマを選んだのはタマゴグループが共通なのもそうですが、
 タイプ相性的にゴーストわざもエスパーわざも全く効かないのが一番の決め手でした。
 祟りが効かない理由が欲しかったのです。%%まあ、実際はへんかわざである「おんねん」や「ふういん」はタイプ相性関係なく効くのですが%%
 どちらにせよ、タチフサグマくん見た目からヤンキーだけどイケメンで優しそうな雰囲気醸し出していますし、
 キュウコンちゃんとお似合いだと思います! タチキュウ流行って(?)

 後、2匹の間に生まれた仔「フランメ」ですが、実はちょっとした秘密が……あるかもしれません(?)
 その辺に関しましては、皆様のいい感じに想像してもらえると嬉しいです。

〇コメント返信

・最高級のストーリーと官能が絶妙に良かったです。
  (2020/02/24(月) 08:40)さん

 今回は官能がメインみたいな形になりましたが、その中でもキャラのバックストーリーをしっかり描いて行為をしたいと思っておりました。
 そこを楽しんでいただけたようで良かったです!

・キュラルに祟られて幸せになったザームをみて、とても幸せな気持ちになった。
  (2020/02/28(金) 23:49)さん

 わかります。祟りからこういった幸せを掴んだ家族って素敵ですよね。
 執筆していても、とてもホッコリした気持ちになっちゃいました。
 

・ことわざを元にしつつ語呂は最高ですし、なんというかタイトルがまずかっこよくてもう素敵。
 怖いお話かとだいぶ身構えていたら優しく甘いお話でして、たまらんです。
 キュウコンさんは大変ですよね。

 本筋から離れたどうでもいいことなんですけれど、モブとして一文で軽く流されているパルスワンとレパルダスのペアさん、
 仲介者が間に居る、と容易に想像できて、なるほどこの組み合わせかっこいいな、と大変感銘を受けるばかりでした。
 (2020/02/29(土) 19:05)さん

 タイトルは中々思いつかず、ことわざから引っ張ってきたのですが気に入っていただけたようで嬉しいです。
 神々しいキュウコンさんも素敵ですが、こんな甘いキュウコンさんも良いですよね……

 仲介者……一体、フォ〇〇ライなんだ……
 ともあれ、このペア素敵ですよね! わかります!!

・ある意味王道(?)の展開が楽しかったです。
 (2020/02/29(土) 19:40)さん

 本当にある意味王道ですね! でも王道って理想的な流れが多くて良いですよね。
 今作は私の想い%%個人的な願望%%も入っているので、自分自身癒されました。
   


最後になりますが読んで下さった皆様、投票して下さった皆様、そして主催者様。
本当にありがとうございました。
 
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 感想、意見、アドバイス等、何かありましたらお気軽にどうぞ。
#pcomment(触った狐に祟りありコメントログ,10)
 

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