こちらの作品は[[漸近]]の実質的な続編となっておりますので、先にそちらをお読みいただけると幸いです。 また、こちらの作品は人間♂×ポケモン♀の官能表現が含まれております。ご注意ください。 作者:[[ユキザサ]] ---- 一体絶対、どうしてこうなった。目の前で目をトロンとさせて俺の胸に顔をこすりつけてくるこいつの様子は明らかにいつものこいつではなかった。 「そうしゃ~?」 「お、おい?一体どうしたんだ?」 今度は俺の顔に頬を擦り寄せてくる、まるでこれは私の物だと主張するかのように丁寧にしつこく。ダメだ、このままこいつにしてやられているだけじゃ現状は解決しない。幸い今はエスパー技で拘束もされてない。こいつがこうなったのには何か原因があるはず、そう思い辺りを見回すと恐らく、原因であろう物が見つかった。…がそれに気づき口を開いた瞬間に俺の口はこいつの口に塞がれることになった。 「んっ」 「んぐ!?」 「そうしゃぁ、すきだ…」 「どうしてこうなった…」 もう一度、今度は口に出してそう呟いた。 ---- 事の発端は、三時間ほど前に遡る。いつも通り俺は食材を揃えにスーパーに買い物に来ていた。今日の夕食はテレビを見ていたルギアからのリクエストでエビチリの予定になっていた。エビやらネギやらを買い物かごに入れていき、最後に一番重要なチリソースを買おうとソースのコーナーを見ていた。 「なんだこのチリソース?」 一際異彩を放つ、デカデカと変なイラストが載っているボトルを見つけて、手に取った。新発売だし試してみるか。その時の俺はそんな安直な考えでそのソースを買い物かごに入れて会計レジに向かった。 「な、何やら鼻がムズムズする匂いだな」 「凄い辛さだなこれ。少し薄めるか」 会計レジで言われた忠告通りにマゴのみを買っておいてよかった。それにしても味付けの確認のために一舐めしただけでこんなに汗が出るなんて。 「うん。このくらいなら平気かな」 「だ、大丈夫か奏者?汗がすごいぞ?」 「木の実だからって舐めてたな、まだ舌がひりひりする…あぁ、皿ありがとう」 ルギアから皿を受け取って、出来上がったエビチリを盛りつけていく。盛りつけた皿をルギアに渡すとそれを運んでからタオルを持ってルギアが戻ってきた。 「ほら、拭いたらどうだ?」 「あー、ありがとう」 受け取ったタオルで汗を拭くと、そのタオルがひとりでに風呂場の方まで飛んで行った。それを見送ると、もう既にルギアは食卓に居た。早く来いという視線をこちらに送りながら。 「ごめん、お待たせ」 「うむ!それではいただこう!」 取り分け用に置いていたレンゲで、それぞれの取り皿にエビチリを取り分けていく。キラキラした目でそれを見ているルギアの前にエビチリの乗った取り皿を置く。そうすると、宙に浮いていたスプーンが中身を掬って、ルギアの口にそれを運んだ。 「ん!?辛い辛いぞ!?」 「さっき俺が犠牲になってただろ…」 「だが、美味いな」 「それは良かった」 俺も食うことにしよう。うん、さっきよりは十分マイルドになってるし、美味しく食べられるレベルの辛さだ。こう考えると、会計のお兄さんには感謝だな。そう言えば、マゴの実買った時に何か言われた気がするけど何だっけな? 「奏者よ?ボケっとしていたら、全て食べてしまうぞ?」 そう言いながらどんどんパクパクと食べていくこいつに負けじと俺も食べていく。あー、結構汗かくなぁこれ。食べ終わったらシャワーを浴びなおすか。 「またか」 あの日以来何かと理由をつけてこいつは俺の部屋で寝るようになった。シャワーを浴びて自室に戻ってきたら今日はもう既にベッドの上で横になっていた。 「おーい、少し避けてくれ?俺の寝る場所がない」 もう、一緒に寝ることについては何も言わなくなった。どれだけ言っても本人はやめる気がないみたいだし。 「んー?そうしゃおそい、まちくたびれたぞ?」 「ルギア?」 この時にこいつの様子が違うことに気づくべきだった。その直後に俺の体は浮かされベッドに倒されていた。そして、極めつけには、それをやった犯人に体の上に乗られていた。 「そうしゃ、いいにおい…」 「ちょっ、ちょっと待て!本当にどうしたルギア」 そんなこんなで、俺は今ルギアに乗られた状態で口付けをされた所まで時間は進む。 「お、落ち着けルギア!」 「そうしゃはわらわのことがきらいか…?」 そんな目を潤ませながら言われてもこっちが困る。どうすれば良い、この状況を打開するため俺は頭を必死に回転させた。その間も、眼前のこいつは変わらずトロンとした目でこちらを見つめているわけだが。 「一か八か…」 こいつを傷つけないで、正気に戻す方法。単純な俺の頭で考えつくのは一つだけだった。ルギアの顔の前に両手を持っていき、それを不思議そうに見つめるルギアの目の前で両手を打ち鳴らした。 「ぴゃっ!?」 その直後、ルギアは目をぱちくりさせて、しばらくしてから、サーっと顔を青ざめた。どうやら、正気には戻ったらしい。 「そ、奏者?」 「元に戻ったんだな?」 「な、なにが…」 戸惑いながら、周りも見渡すルギアも、俺を押さえつけている自分に気づいたらしく、急に顔色が変わった。 「わ、妾は一体何をしていたんだ…?」 おろおろと落ち着きなく、翼をばたつかせるルギアにまずは俺の上から退いてもらい、ベッドの淵に腰をかけて、とりあえず話ができるようにすぐ隣をポンポンと叩いた。恐る恐る俺の横に来てすぐに今にも泣きそうな顔ですぐにこいつは俺に謝罪をしてきた。 「すまない…!」 「お、おい。まずは落ち着けって」 「だ、だが…!」 「あー、怒ってないから泣くな。もしかして、何も覚えてないのか?」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、繰り返し謝ってくるルギアの背中をさすりながら。そう問いかけると、またショックを受けたような表情になった。聞き方が悪かったそう思っていると、ポツリと小さく言葉をひねり出した。 「奏者を抱き寄せた所まではギリギリ覚えている…そこからはぼんやりとしか覚えていない、本当にすまない…!」 「だ、だから怒ってないから、顔上げてくれ、な?」 「だがっ!妾はお前に無理やり口吸いしたのだぞ…?」 っておい、そこは覚えてるのかよ!くそっ、そこさえ覚えていなければ無理はあるがごまかしは効いたかもしれないのに。いや、もうそろそろ潮時かもしれないな。 「そんなことをした妾を奏者は許してくれるというのか…?」 「はぁー。何を今更、本当に嫌だったら、された時点で暴れるなり何か抵抗してたよ」 そう微笑みながら言っても、いまだにルギアは信じられないといった顔でうろたえていた。そんなこいつを見て、俺は前までの俺なら絶対にしないような行動を起こした。 「んっ」 「んっ!?」 先ほどやられたことをそのままこいつにやり返した。突然俺に口を塞がれたこいつはばたばたと翼を動かしながら少し体をこわばらせた。そんなに長い時間拘束する気もなかったし、すぐに口は離したが。 「な、な、な…!」 「そ、そんなに驚く事か?お前が先にやったんだろ?」 そう問いかけると、フルフルと体を震わせ、顔を真っ赤にしながら口元を翼で抑えた。 「あ、あれは妾ではないというか…その…」 「じゃあ、あれは嘘だったってことか?」 私欲のためにこんな質問を神様に投げかけるなんて、罰が当たるかもしれない。それでも、戸惑うルギアの姿が可愛くて、つい意地悪な質問を投げかけた。当の投げかけられた本神はただでさえ紅潮していた顔をさらに赤らめることになったが。 「ち、違う。嘘なんかじゃ…」 「それなら、今度はちゃんと素面のお前から本当の気持ちが聞きたいな?」 もう一度微笑みながら、そう問いかけた。実際本心だったとしても、あの状況からのなし崩しで事に及ぶのは避けたかった。だからこそ、こいつを正気に戻したんだ。それに、もう一度こいつの口から聴いておかないと俺が俺の気持ちを認められない。すると、小さく唸りながらついにルギアは小さく口を開いた。 「…好きだ。妾は奏者の事を心の底から愛している…!」 顔を真っ赤にして潤んだ瞳でまっすぐと俺を見てルギアは確かに好きだと、俺の事を愛していると言った。これで漸く俺も覚悟を決められる。 「もっと早くお互いの気持ちに気づいていたら、こんなことにはならなかったのかもな?」 「奏者…?」 「俺はお前にここまで行ってもらわないと勇気が出ない臆病な奴だぞ?そんな俺でも本当に良いのか?」 息をゆっくりと吸い込んで高鳴る鼓動を押さえつけようとする。ついさっき、もっと大胆なことをしたのにも関わらず、あの時よりも心臓の音はものすごくうるさかった。 「俺もルギアの事が好きだ」 横にいたルギアを抱き寄せて、その力を強くする。一人と一柱分の重さでベッドが少し軋んだ。最初は戸惑っていたルギアも俺の背中に翼を回して控えめに力を入れてきた。そうして、少しだけ嗚咽を漏らす、ルギアの背中を俺はゆっくりと優しく撫でた。 「落ち着くまではこうしておいてやるから」 「…奏者はズルすぎる。これでは、もっと甘えたくなってしまう…」 「別に、もっと甘えていいよ」 そう言うと、ルギアは顔を摺り寄せながら、体の力を抜いて、その身を完全に俺に預けてきた。突然のその重さに耐えきれず、俺はベッドの上に押し倒されることになったが。 「こういった甘え方でも良いのか…?」 「やってから顔を赤くするなよ…」 呆れながら言うと。目の前のこいつは少し怒ったような表情をしてから、また笑った。どうしてだろう、こいつのちょっとした仕草や表情の全てが今俺の心をかき乱す。そして、今度は俺がルギアの隙を見てルギアを押し倒した。 「奏者のスケベ」 「ルギアにだけは言われたくない」 お互いに笑いながら、俺たちはもう一度口付けをした。今度は先ほどのような口をつけるだけのものではない、お互いの舌を絡めるような深い口付けだが。俺とルギアの口の構造上、同族とやるような口付けにはならなかったが、それでも今の俺達にはそれだけで十分だった。 「抵抗しないんだな?」 「奏者だからな」 無抵抗、むしろもっとしてくださいと言わんばかりにその体をベッドの上に投げ出しているこいつにそんな事を言われたら、もう我慢なんてできないししてやるもんか。 「続きしても良いんだな?」 小さくコクリと頷いたルギアの姿を確認すると俺はルギアの両足の間、尻尾の付け根の部分に右手を伸ばした。そして探り当てたルギアの割れ目をゆっくりとなぞり始める。 「んぅ!」 「痛いか?」 今度はフルフルと首を横に振りながら、その目は何かに耐えるようにギュッと瞑っている。量の翼もシーツを強く握りしめて。耐えていた。 「痛かったら、すぐに言ってくれよ?」 一言そう告げて、俺はルギアの割れ目の中にゆっくりと指を入れていった。先ほどなぞっていた時よりも少しだけ湿り気を増していたため、すんなりと指は侵入できた。最初のうちは押し出そうとするように指を締め付けてきたが、ゆっくりと指の動きを増やしていくと、受け入れたように少しだけ締め付ける力が抜けたが、その代わりにどんどんとルギアの乱れた声はどんどんと大きくなっていく。 「ふぁ、あっ!」 ルギアの乱れた声は、さらに俺の興奮を増大させた。もっとこいつの乱れた姿を見たい。もっと乱れさせたい。そう思って、俺はルギアに何も告げずに、指の本数を増やして、動きを緩急のあるものに変えた。 「アッ、ンッ…ヒァッ!?あっ、ンンッ…!」 「ここが気持ちいい?」 ルギアの反応を舐めるように確認していると、ある一か所をなぞった瞬間に明らかにルギアの反応が変わった。必死に閉じていた目も一瞬パッと見開いて握りしめていたシーツのしわが増えた。その反応を見て俺はより一層その場所を何度も攻め続けた。 「そ、うしゃ…!まっ、て、なにか、こわ、いっ!」 「大丈夫、ここに居るよ」 何かにおびえるように、先ほどまではシーツを握りしめていた翼がプラプラと行き場を探して彷徨っていた。自分が目の前にいることを告げながら、左手で片方の翼に触れた。するとその翼は俺の背中へと回された。 「ンッ、アァァァァァ!」 その嬌声の直後、翼に抱き寄せられる力と俺の指が締め付けられる力が同時に強くなり、割れ目からは、少量の水しぶきを上げた。そうして絶頂を迎えたであろうルギアは、数分の間、俺を強く抱きしめながらプルプルと体を痙攣させていた。 「ハ、ァ…ン」 「落ち着いて来た?」 「…っと」 「何?」 「もっと奏者が欲しいっ…!」 「っ!分かった」 こんな事言われなくても俺だってもう限界だった。実際、俺に組み敷かれたルギアが荒い息で体を震わせているその姿を見てごくりと生唾を飲み込んでしまうくらいには興奮していた。もうこのまま、自分の欲望に任せて行動を起こしてしまいたい気持ちはあるが、一つだけ行為に移る前にはっきりさせないといけないことがある。 「今更だけどルギアってこういった経験今までにあるのか?」 「ほ、本当にこんな時に何を言い出すんだ!全く…ポケモンとも人の子ともこういった事は一切無い、奏者が初めてだ…」 まるで火が出そうなくらい顔を赤くしてからこいつは、俺から目をそらしてそう答えた。やっぱり聞いて良かった。 「神様の初めてを貰えるなんて、俺は光栄だな」 「ば、馬鹿者!口だけでなくさっさと行動に起こせ…いつまで待たせるつもりだ…」 「分かった。痛いだろうから、我慢せずに言ってくれよ?」 「う、うむ」 不安そうに俺の瞳を見つめる。さっきまで十分に弄っていたからか十分にルギアの膣は濡れているが、それでも初めての痛みはつらい物だと聞いている。せめて、痛みが少ないようにはしてやりたい。 「じゃあ、入れるぞ?」 「あ、あぁ」 入り口は慣らした甲斐もあって案外スムーズに侵入できた。だが、ある程度進むと侵入を拒まれた。きっとこれがルギアの純潔の証。誰にも渡したことのない海神様の純潔を今から何でもない普通の人間である俺がそれを奪おうとしている。少しずつ下のルギアの表情は強張っていき、体も少し震えていた。いつまでもこの状態で待たせるのはかわいそうだ。そう思い俺は覚悟を決めて無理やり少しずつ先に進ませていった。 「あぁぁ!グゥッ!」 「もう少しだから…!」 下手に途中で止めるのは逆につらい時間を延ばすだけだ。そう思って、そのまま侵入させる力を強くしていくと、無事に俺の物は最後までルギアの中に納まった。下のルギアを見てみると涙を流しながら肩で息をしていた。 「よく頑張ったな。落ち着いたら続けるから」 「んっ…奏者、お腹、痛い…」 うん。と呟きながら、ルギアの水色のお腹をゆっくり撫でていく。すると、ほんの少しだけ楽になったのか強張っていた表情が柔らかくなった。そのまま撫で続けているうちに、背中に回されていたルギアの翼が首に回された。そして、そのままルギアは俺を引き寄せて、無理やり俺の口と自分の口を合わせて、ポツリと言葉をこぼした。 「奏者は優しいな…」 「別に俺には他人を痛めつけて喜ぶ趣味はないから」 「なぁ、何故妾が奏者に思いを伝えることをためらっていたか分かるか?」 「…?それは単純にポケモンと人間って言う関係性じゃないのか?」 不安そうに思ったことを告げると、フルフルとルギアは首を横に振った。 「怖かった。確かに奏者にこの想いを伝えてしまうことでこの関係が壊れてしまう事も怖かった。だがそれよりも妾と奏者の寿命の差が何よりも怖かった…」 ぽつりぽつりと小さく言葉をこぼしていくと同時にルギアの瞳からは体の痛みからではない涙があふれていた。 「妾は少なくとも、まだ数百年はこの世を生きる。そんな妾が奏者の残りの時間を奪ってしまう事。そして、これだけ愛しいお前がいなくなった後の世界が、自分が死ぬことよりも怖い。だからこそ、この想いを伝えたい気持ちはあったが伝える勇気が生まれなかった。まぁ、こうして伝えてしまったがな」 自傷気味に笑うルギアを見て、どんな言葉をかけるべきか分からなかった。それでも、小さく震えるルギアに何かしてやらなければいけない気がして、その体を強く抱き寄せて、そこからは心に浮かんだ言葉をそのまま正直に伝えた。 「俺の時間なんか好きなだけくれてやる。それで、その時間でお前を目一杯幸せにしてやる。お前がこれから何も怖くなくなるように思い出もいっぱいやる。だから笑ってくれ」 それを聞くとルギアはクスリと笑って、顔を摺り寄せてきた。 「ふふっ、今のは少しクサかったんじゃないか?」 「う、うるさい。俺だって余裕ないんだ!」 「だが、少し救われた。ありがとう」 そう笑いかけてくるこいつがもぞもぞと下で動き始めた。するとどこか顔を赤らめながら俺に控えめに言葉を投げかけた。 「だ、だから、今宵も忘れられない思い出にしてくれるか…?」 「っ!」 潤んだ瞳でそんな事言われて普通でいられる男がいると思ってるのかこいつは。無自覚でやってるんだったら相当だな。じゃあ遠慮なくやってやる。ルギアの両の翼をそれぞれ両手で強く抑えた。すると、少し驚いた顔をしたルギアを無視して、俺は腰を動かし始めた。少し腰を引いて、ルギアの中に納まっていたものを引き抜く。そして、その引き抜いた物を今度は力強くルギアの中に戻しいれた。 「ふぁぁあ!?そう、しゃ!きゅうすぎ、る!」 「俺だって限界だったんだ、それを煽ったお前が悪い。それにもう痛くはないだろ?」 「そう、だがぁ…!こ、ころの、じゅんびという、やつが…ひぅん!?」 試しに、慣らしの時に指で弄っていた所に突きいれると、想像通りこいつは大きな嬌声を上げて、俺を締め付ける力も強くなった。 「本当に嫌なら本気で抵抗しろよ?俺だってもう自制がきかない所まで来てるんだ」 「あっ!ま、て…!いま、そんな、ことされたら…っあぁ!」 腰を激しく動かしながら、下で喘ぐルギアの首を下から上に舐め上げた。すると今までで一番大きく体を強張らせ、俺が抑えていた翼で俺の指を絡ませてきた。また首に口付けをするとビクリと体を震わせて、今度は尻尾を俺の足に巻きつけて来た。まるで、絶対に離さないという意思表示のように。そんな行動の一つ一つが俺の動きを速めていく。 「そう、しゃ…!もうっ…!」 「俺もっ、もう!このまま、で良いんだよな?」 「わすれない、おもいでにし、てくれ、るのだろうっ…?」 「わかった」 小さく涙をこぼしながら、そう言葉を返したルギアに肯定の意味も兼ねて、俺は自分自身をまた大きく引き抜いた。そして、ルギアの奥まで届くように一際強く押し込んで、自分の思いと共に白濁液をルギアの中に届けた。 「んぐぅっ!ああぁぁぁぁぁ!」 「くっ…!…ふぅ」 そこからは時間が止まったのかと思うくらい、時間の流れが緩やかに感じた。お互いに何か言い合う訳でもなく、ただ、体を合わせて感じている体の熱や、心臓の鼓動を共有するように体を密着させて俺もルギアも満足していた。そんな時間も過ぎて二人の息も荒い物から穏やかな物に変わり、俺も漸く冷静になった。 「ルギア、立てるか?」 「少し肩をかしてくれ…」 せめて、ルギアの体に付いた血は取ってやりたかったし、いくらこの季節でもこの状態で寝落ちでもしたら風を引く。まだ、体を動かすのが辛いルギアに肩を貸して風呂場へと向かう。 「あっ、そうしゃの、あふれてくる…もったいない…」 「ば、馬鹿、恥ずかしいこと言うな…」 まさか、事が終わってからもこいつに吹かされることになるとは思わなかった。愛しそうに、お腹を押さえているこいつの姿を見てまた少しずつ興奮が増していく。意地で抑えこみ風呂場まで来て、シャワーを出した。そうすると、ルギアはこちらを向かずに話し始めた。 「そ、奏者は気持ち良かったか?」 「あ、あぁ。大丈夫俺もちゃんと気持ち良かったよ」 「そ、そうか。よかった」 そしてまた沈黙。そうして、ルギアにシャワーを浴びせていると、小さく笑い声が聞こえてきた。 「ふふっ、何だか気恥ずかしいな?」 「お前が突然あんなことを言うからだろ?」 そう言葉を返すと、今まで背中を向けていたルギアが突然こちらを向いて俺を抱き寄せた。 「ありがとう。奏者に逢えて本当に良かった」 「あぁ、俺もお前と出会えて良かったよ。で、でも、その離れてくれ」 正直、水にぬれているせいで、さっきよりも密着している感覚が強くなり余計に意識してしまう。バスタオルを腰に巻いているとは言え。今興奮してる物をこれ以上隠せる自信が無い。というよりもう遅いかもしれない。目の前のルギアは顔を赤らめているし。 「ここでは手狭だが、奏者が求めてくるのなら仕方ない。それに妾は裸なのに奏者はタオルを巻いているのは不公平ではないか?」 「ちょっと待て!それはポケモンと人だからだろ!お、おい!エスパー技使うのはそれこそ反則だろ!」 そうして、俺は風呂場で強制的に二回戦を行わされることになり、せっかく洗い流した汗ももう一度洗い流すはめになった。 「腰痛った…」 翌日、俺は鈍い腰の痛みと共に目を覚ました。結局昨日はあのまま風呂場ですることをした後すぐにリビングで寝てしまった。二回戦をおっぱじめた、当の本人はまだ幸せそうに夢の中にいるが。 「今のうちにシーツとか片付けておくか…」 昨日あのままで放置してしまった訳だし、きっと酷い事になってるだろうと思い部屋に戻ると、案の定色々な物でぐちゃぐちゃになったベッドが目に入った。 「このシーツは処分だな」 体液やらでぐちゃぐちゃになったシーツを手に取って、ポツリと声に出す。もういっそのこと、ベッドのサイズを大きくしても良いかもしれないな。これからは…いや、これからもだな。一緒に寝ることになるだろうし。 「そうだ、ついでに調べておくか」 昨日のルギアがどうしてああなったのか大体は見当がついていたが、もし仮にそれが違ったら原因を考え直さなきゃいけないし。パソコンの電源をつけて、検索エンジンで『ポケモン きのみ 混乱』とキーワードを入力し、検索結果から該当するきのみの名前を探した。 「マゴのみ、マゴのみ。あったな」 何々?甘い味が苦手なポケモン、勇敢、のんき、生意気、冷静な性格のポケモンが食べると混乱する?この中であいつの性格で当てはまる物なくないか?強いて言うならのんきくらいだけど…本当にこれか?まぁ、でも気を付けておくに越したことはないな。残りは俺が処分しておこう。そろそろ、あいつも起きるだろうし、戻るか。 「おぉ、奏者。体の方は大丈夫か?」 洗濯物を片付けて、腰を摩りながらリビングに戻ると少し寝ぼけ眼のルギアが声をかけてきた。先ほどまで原因と考えていたマゴのみを齧りながら… 「お、おい!」 「す、すまない!小腹が空いて、つい…」 「いや、そうじゃなくて…お前、大丈夫か?」 「な、何のことだ?」 見た感じ、混乱してる感じはないな。いや、実際昨日は食事してすぐには混乱していなかったし、時間差があるのか?そもそも、甘い味が嫌いなら食べないはず。知らなかったとしても、嫌いならすぐに吐き出すなりなんなりしてるはずだな…ってことは、マゴのみは原因じゃないってことか?いや、でも昨日も時間差があった訳だし… 「奏者…もしや、これ今日使うつもりだったのか…?」 「あぁ、違う、違う。いいや、もう。ルギアお前、嫌いな味とかあるか?」 怒られたと勘違いして、泣きそうな顔でこちらを見てくるルギアの頭をポンポンと叩きながら、単刀直入に聞いた。これで、判明するならそれに越したことはない。 「嫌いな味?そうだな、辛い物は少し苦手だな。奏者の作る料理が美味いから最近はそうでもなくなってきたが」 「辛い物…?まさか!」 冷蔵庫の中に入れていたチリソースのラベルを見てみると、きのみ由来のためにポケモンによっては混乱を引き起こす可能性があるから注意しろという旨が書いてあった。あぁ、今になって店員の忠告を思い出した。その時は、自分からエビチリが食いたいなんて言うから、てっきり辛い物は平気だと思って流したんだが。時間差で混乱したのは、味を薄めたせいか?でもまぁ、このソースには少し感謝してるかな。 「良かったよ、原因がわかって」 「?」 ポカンと口を開けているルギアに説明をすると、少し恥ずかしそうにしながら、同じように感謝をしていたらしい。その姿に少し笑みがこぼれる。 「ははっ、おはよう。ルギア」 「むっ。何を笑っているのかは知らないが、おはよう。奏者」 「おう。じゃあ、朝飯作るか。手伝ってくれるか?」 「あぁ、もちろんだ!」 きっと関係が変わっても、俺達の日常はこれからもあまり変わらない。朝にはおはようを、そして夜はおやすみを。そんな普通の日々を一緒に過ごしながら、隣で笑いかけてくるこいつを精一杯幸せにしていきたい。 「どうかしたか、奏者?」 「ルギア」 小さく呼びかけてから、ルギアのおでこに口付けをする。驚いた顔をしているこいつに少し微笑みかけて、思った事をそのまま口に出した。 「愛してる」 「い、いきなりすぎる…。だが、わ、妾も愛しているぞ…」 きっと、俺たちはこれからもこの言葉をいつまでも言い続けるんだろう。思い出の中でも色褪せない様に。死が俺達を別つまでは、何度でも… ---- '''Epilogue''' 「母様!早く起きてください!今日は大事な日でしょ?」 「う、うむ…今起きるからあまり大きな声を出すな…」 「全く…杜の人たちがいるとは言え、明日からは母様一人になるんですよ?」 「分かっておる」 目の前でブーブーと小言を言う自分の娘をしり目に妾はそそくさと出かける支度を始める。出かけると言っても、杜の裏にあるあいつの墓に行くだけだが。いやはや、時間の流れは速いものだな。昔ではおかしかったことも、時間の流れと共に少しずつ変化し、今では普通になっている。今やこの神社は縁結びだのなんだのと、日々様々なポケモンと人が来るようになっている。さぁ、着いたな。 「久しいな奏者よ」 「お久しぶりです、父様」 目の前の動かない墓石に、妾達は一言ずつ声をかける。当然声が蹴ってくるわけではないが。 「父様。ついに私もこの杜から離れて独り立ちする時が来ました。明日からは母様と同じくれっきとした海神です。きっと、ここに頻繁には帰ってこれないと思います…それでも年に一回は必ず帰ってきますからね」 うっすらと涙を浮かべながらそう言う我が娘を見て、妾の目頭も熱くなる。奏者よ、妾達の子はこうも立派に成長したぞ?お前に似て少し小言が多いのがたまに傷だが。きっと心優しい良い海神になるだろう。 「母様は良いのですか?」 「ん?あぁ、まぁ妾はこれからも好きな時に会いに来れるからな。そう言うお前こそもういいのか?」 「はい。伝えたいことは伝えました。今度会うときにはもっと神様らしくなっている所を見せるんです!」 「フフッ、その意気だ」 「…それでは父様、母様。行ってまいります!」 「うむ、気をつけてな!」 そう言ってくるりと体を翻し、翼をはためかせ始めた。そうして、もう一度こちらを見て小さく礼をすると、妾達の娘は満天の青空に羽ばたいていった。 「行ったか…これで妾の役目も漸く終わったな」 青空に羽ばたいて行った若い海神の姿を見送ると、妾は小さくそう呟いて、本殿の方へ戻ろうとした。その時、優しい風が妾の体を撫でた。その時ふと風に紛れて懐かしい声が聞こえた。そんな気がしただけかもしれないが、妾はその優しい声に表情が緩んだ。 「フフッ、全く!奏者は本当に心配症だな!そんなに心配しなくても、近くにはお前もいるし、当分の間はあいつの返ってくる場所を残しておいてやらないといけないからな」 いまだに優しく体を撫でる風にそう声を投げかけると、またふわりと風が舞った。あぁ、もうしばらく妾は浮世を見よう。お前が遺してくれた思い出もまだ貯金がある。奏者の事だから心配はないだろうが浮気はするなよ?…だからもう少しだけそっちで待っていてくれ。そっちで会えたらまた美味い飯を作ってくれるか?当たり前だと言うように一際強く吹いた風で涙を飛ばして。妾は自分がいるべき場所へと帰っていった。 **後書き [#om6x0FC] お待たせいたしました、ユキザサです。この二人の関係をどう落とし込めるか凄く迷いましたが、自分の欲望に忠実に書かせていただきました。ですので、お気に召していただければ、本当に幸いです。 今年の夏映画はゼラオラの登場がビックニュースですが、ルギアも、ね…?前回も言いましたが、ルギアは良いぞぉ! **感想等、何かございましたら [#l0zHNMO] #pcomment()