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紅き雫、伝う黒鎌 其の弐 の変更点


*紅き雫、伝う黒鎌 其の弐 [#paf5db46]

※グロ入ります。苦手な方はお控えください。また、今回は各々の視点からの進行が有ります。

[[スペード]]

[[紅き雫、伝う黒鎌 其の壱]]

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**1 暗黒の翳(かげ) [#wfe936c2]

「準備は出来たか?」
「はい、問題有りませぬ。」

この神聖な森で、これからやる事を考えると少々気が引ける。だがこれも我が使命。絶対にやり遂げなくてはならない。

「バリダ、お前も私と同じ事を考えているようだな。」
「! アーチェ様もでございますか?」

驚いた。何時もは黙々と仕事を片付ける方なのに、まさか自分と同じ考えをなさっていたとは…
目の前の身体のあちこちに骨を身に付けた禿鷲…バルジーナのアーチェ様は一番付き合いが長いお方だが、未だに本性は読むことが出来ない。

「こんなに奇怪で美しい森はこの世に数える程しかないだろう。そんな森を穢してまで私はこんな事をしたくはないが…我等はあのお方を護る僧正(bishop)と騎士(knight)。従わざるを得ない存在だ。だから…」
「解っております。私は、王様(king)、そしてアーチェ様の為、邪魔者を切り裂くのみです。」

アーチェ様は何時もためになる事を話して下さる。それに孤児の私を助けて下さった命の恩人でもある。その事もあり私は本心ではアーチェ様の下に付きたいと想っている。
だからこそ、王を護りし事はアーチェ様が為。このお方の前に立つもの全てを、切り裂いてやる。
と、アーチェ様はそんな私の心情をまた読んだのか、柔らかい翼で私の肩を軽く叩いた。

「全くお前は鑑(かがみ)だな。キリキザンとしても、騎士としても。」

私は改めて強く誓った。

この方を、お護りすると…

「では行くか。」
「はい!!」

                 ◇
     

風すらも音を失う静寂なる森。それは俺のこの沸き上がる感情を抑制してくれている。が、今宵はそうもいかないらしい。森から天へと立ち昇る鼠色の穢れが、紅く揺らぐ焔が、それを教えてくれる。

「来やがったようだな。」

背後に居る三つ首蒼黒の龍、サザンドラが何やら嬉しそうに語る。

「…何か心当たりが有るようだな、ラグス。だが、彼奴は俺の獲物だ。手出しはさせん。」
「違っげーよ、あんな屑猫はどうだって良い。俺様の晩飯になんのは屑猫の仲間の“白いの”だ。あん時は獲り逃がしちまったからな、たっぷり遊び殺してやるぜ。」

成程、あのアブソルか。確かに俺達がが此処に居るのを知っているなら、奴も来るだろうな。コイツへの復讐に…

「構わん。俺は彼奴以外眼中に無い。」
「相変わらずだなぁ。その前に“その”彼奴がお前の所に来れるかねぇ…」

ラグスは随分と余裕そうな表情をしている。が、奴はそんな安っぽいものではない。奴は鎌の生まれ変わりと言っていい。

「奴をあまり見くびらない方が良い。既に歩兵(pawn)を倒し核と殺り合っている。すぐにやって来るぞ。」
「ほぉ、少しは成長したみたいだな。取り敢えず、俺様の獲物も来たみたいだからそろそろ行くぜ。じゃあな、王様さんよ。」

ラグスはそう言って6つの翼を羽ばたかせ崖下の闇へと消えていった。
それにしても…俺に楯突きに来るとはな、身の程知らずだが殺し甲斐がある。あの時生かしておいて正解だったらしい。どの道死ぬ運命だがな。

「恐らく、今夜であの城(rook)も堕とされるわねぇ。あの白い子からは異常な力を感じるわぁ〜」

色々と想い出に更ける俺の背後突如に現れる陰。すらりとした体格に、紫の体毛を持った猫。黄の斑点がその妖しさをより引き立てている。

「エルスか。確かにあの白獣は普通ではないが、ラグスも俺達の城。そう簡単に堕とせはしない。それに既に僧正達も行動を開始したようだ。これで我が“暗黒の翳”の駒が揃った。」

雌のレパルダス──エルスは上品な足取りで俺に歩み寄ってくる。そして俺の隣に腰を下ろすと、細い月を見上げる。

「貴方も気を付けなさいねぇ〜?あの猫はまだ経験は浅くても、彼奴の血を引いてるんだから。」
「…解っている。だからこそ…」


弱々しくも光を放つ月はその翳達をも照らし出していた。今まで崖淵に据わり様子を窺っていた黒き狐…ゾロアークはゆっくりと立ち上がると──

「だからこそ、この闇の帝王、ルレングが成敗してやるのだ。さぁ、来るが良い。薔薇咲きの黒鎌の娘よ!!」

闇の帝王の咆哮は、音無き森の、四方へと響き渡った。


**2 閉ざされた扉 [#qe71c084]

前方から降り注ぐ星形弾を、辻斬りを連続発動させることで弾いていく。一瞬の隙をついてその場から離れると、お次は巨大な岩石が降ってくる。
私は舌打ちしつつ両の掌に力を集め、岩石に向けて打ち出す。岩石はシャドーボールが当たった瞬間粉々に砕け辺りに飛び散った。5、6回目のロックブラストだったから上手くいくか心配だったけど、何とか壊せたみたいね。

辺りには気を失ったチラーミィや悪の新米達が転がっている。標的は頭だけ、私だって殺しが好きな訳じゃないのよ。
一頻り辺りを見回した後、大樹の枝の上にいる白く長い体毛を持った鼠、チラチーノを睨み付ける。そいつ、長い体毛の先に紫のリボンを付けてて、何故だか非ッ常に気に入らない!いやいやいや、嫉妬じゃないから!わ、私は確かに洒落っ気がないし、確かに見た目は大事だけど、いっちばん大事なのは中身よ中身!…って今そんなの関係無いわーッ!!

「中々やるわねぇ、まぁ王の標的になるなら当然だけどね〜♪」

キャアキャア目障りに笑うこいつを引き裂きたい感情にかられたけど、目的はあくまで彼奴。逃げられる前に奴を見つけないとならないから、隙を突いて撒くか…

「無駄よ♪あたしから逃げられると思ってるの?この歩兵核(pawn core)、セインから。」
「!?」

突然考えを言い当てられ、私は少からず動揺した。

「驚いた?何で解ったか知りたい?ふひひ、いいよぉ〜♪」
「…」

気がふれてるのか、そのセインとかいう奴は楽しそうにしている。枝から降りてきたそいつに私も戦闘体勢だけは取っておく。今すぐあの狐野郎を殺りたいけど、コイツ…そう簡単にはいきそうもないわね…

「あたしはねぇ、エリートの悪族だけしか認められない暗黒の翳の中で悪の血を引かない唯一の存在なのよ♪凄いでしょ〜!!」
「どういうことよ?悪族だけの集団なら何でアンタg「んもーあったま悪いなー。だからその年で“まだ”お相手が見付からないんじゃないのぉ〜?」
「ッッッ!!!!」

殺す!!!絶対殺す!!気付いたら攻撃仕掛けちゃってた。只、この怒りをどう抑えろと!?
がむしゃらな乱れ引っ掻きが当たる筈もなく、清ました顔して避けるセインに更に苛ついてる私。さっき大事なのは中身って言ったけど、私中身も駄目じゃん、これじゃすぐカッとなって男殺しちゃうよ。いや、わ、私実は元々男になんか興味ないのよ、関係ない関係ない…

「王様は私を認めてくださったのー!何故ならね…フフ…」

セインが不気味な笑みを浮かべた事でハッとして私が危険信号を出したときにはもう遅かった。セインと目を合わせた瞬間、視界が闇に包まれる。

「あたしが普通ではないエリイィトな力を持っていたから!!キャハハハハハ!!」

闇の向こうから狂気じみた笑い声が聞こえる。と、闇に何かが映し出された。

──丸い月が浮く獣道。それは私にとって忘れはしない光景だった。驚きに目を見開く私を後目に、映像が次々と現れだした。

──月を見上げるマニューラと紅い肌を持ったアブソルの夫婦。その間ではしゃぐ幼いニューラ。楽しそうな笑い声まで聞こえる。アブソルの角は少々傷物だったが、月明かりに照され、美しい紅い光を放っていた──

「嫌…止めて…」

目を瞑り耳を塞ぐ。もう二度と見たくなかった。しかし目を瞑ろうと耳を塞ごうと、映像は頭の中にまで映し出されてくる…!

──その親子の背後に突如現れた黒い狐。唸り声を上げ威嚇し妻と子を護ろうとするアブソル。戦闘が始まると同時に子を獣道へと投げるマニューラ。

(あなたは逃げなさいッ!!家に戻って隠れていなさいッ!!)──


「嫌だ…嫌だ…止めて…止めてよ…!」

私の中で何かが疼く。苦しい…苦しい…苦しい…!頭を振って掻き消そうとするけど、全く消える気配がない!!

──泣きながら必死で逃げるニューラ。暗い洞窟の中に逃げ込む。荒い呼吸が洞窟内に響く──

「ああッ…ああぁ…」

もう私はギュッと目を瞑る事しか出来なかった。

──少しずつ近付いてくる足音。安堵し岩影から出てきてそれを見た時の、幼き黒猫のひきつった顔──



──返り血に塗れた狐と、血塗れの原型を留めていない、白と黒の何か。


&size(20){「…ぁぁあああああああッ!!!!」};

レナは目を見開き喉が壊れんばかりに叫んだ。原型を留めていなくても、それが何なのかはすぐに理解してしまったのだ。幼き自分と、今の自分の悲鳴が、狐の笑う声が、闇の中で響き渡った。

「くひひひひ、このまま精神をボロボロにしてあげるぅ〜♪」

苦しむレナを見つめ、実に幸せそうに笑うセインは更に追い撃ちを掛ける。

──既にぐちゃぐちゃになったそれ等を、狐は冷酷に踏みにじる──

&size(20){「嫌あぁ!!止めて!止めて止めて止めてえぇ!!」};

より一層激しく叫ぶ黒猫の目からは、大粒の涙が溢れ出していた。

「ひひ、これでトドメだよ!!」セインが叫ぶと同時に、レナの頭の中の狐が口を開く。
それは、レナにとって忘れもしない、この物語の元となった言葉だった。



“俺が憎いか?ならば強くなって俺を殺しに来い。薔薇咲きの黒鎌の力ってモンを、俺に見せてみろ!!”


セインは、これでレナはもう動けないだろうと考えていた。しかし、その考えとは裏腹にレナの中では苦しみが消え、別の何かが急激に沸き上がって来ていた。しかし、それが何なのか解らないまま、レナの意識はそこで途切れた。


…その後、人気の無くなった森の一角に、血溜りが出来ていた。

**3 混沌への前兆 [#ibf97c6b]

「来やがったな。」

音無き風が肌を撫でていく中、奴は姿を現した。白い体毛を揺らし、ゆっくりと地を踏み締めるように近付いてくる。
奴を見た途端、俺様の身体が反応しだした。全身がむず痒くなり、自然と口の端が吊り上がる感覚もあった。
俺様はこんなにも奴を欲してやがったのか。散々待たされた訳だし、血に餓えるのは何時もの事だが、こんなに殺意覚えるのは初めてだな。殺り合う前からこんなにも楽しませてくれるとは、やっぱりあん時の俺様の判断は正しかったようだな。礼として、じっくりと嬲り殺しにしてやる…

「あはは、久しぶりだね。今までの人生楽しめた?未練は無い?」

餓鬼が、あん時は泣きじゃくってやがったのに、今はこの俺様を挑発してやがる。これから俺様のdinnerになるっていうのに気楽すぎて笑えるな。まぁいい、ぶち殺してやるだけだ!

「未練?あー悪りぃ、1つだけあったな。お前こそ未練ねぇのか?」
「へぇ意外だな、君みたいな何も考えてない様なヘタレにも、未練なんて有ったんだね。僕?未練なんかじゃないけど今やり遂げたい事なら1つだけあるよ。」
「ほぉ、そりゃなんだ?」
「それはね…」

互いの眼が怪しく輝く。風を斬る音の無い代わりに、大気が揺らいだ。次の瞬間には違った力を持った大気が激しくぶつかり合い、周りを包む木々を吹き飛ばしていた。

&size(20){「「お前をぶっ殺すことだッ!!」」};



微かだが大気が揺らぐのを感じた。強い風が森を抜けていくのを見ると、始まったようだ。レナを追ってきたというのにシクルの奴、勝手な行動しやがって…
取り敢えず、今はレナを止めるのが先決だな。一匹で翳に踏み入ったところで、敵う筈がない。
俺は大きく溜め息を吐き、森の奥へ走り出そうとした…っと思ったら背後に迫り来る気配が…取り敢えず避けるか。横に飛び退きつつ正体を確認すると、波動弾だった。結構威力はあったらしく、地面が抉れた。波動弾…何と無く想像が付くなぁ…

「やはり貴方もグルでしたか、あの猫と一緒に居る所、目撃させていただきましたよ。こんな夜中に何処へ行くのやらとつけてみれば、血の臭いが森中漂っている」

俺の勘は当たったらしい、文字通り警察の“犬”が木陰から姿を見せた。全くどいつもこいつもこの忙しい時に…

「警察の癖して盗み聞きしやがるとはな。…共犯なのは認めるが、生憎捕まる気はない。それに殺しをする訳じゃあない。ここは見逃してくれよ」
「今殺しをするしないは関係無いでしょう、一度でも殺しをしてしまったら、どんな理由でも逃れる術は有りません。それに、そんな貴方の言葉を信じろと?」

ちッ俺よりもハイエナの様なしつこい奴だな。仕方無い、レナの奴にこれ以上暴れられると困る。強行突破といくか…
俺は返答の代わりに足元の砂を思い切り奴に吹っ掛けた。腕で防がれたが、その隙に草むらに逃げ込む。

「逃がしません!」

神速使ってきやがった。さっき睨み効かしてやった((恐い顔))からすぐには追い付かれないが、逃げ切るのは難しいな…
俺はなるべく入り組んだ道を選びながら数十体の影分身を作り出す。これで奴の目を誤魔化すしか無い…

「無駄ですよ!私を誰だと思っているんですか!?」

と思ったら彼奴ルカリオだった。波動でバレてる。目覚めるパワーで一気に分身消されちまった。もっと優しく扱えよ、結構疲れんだぞ!畜生、こうなったら…

「燃え尽きろ!!」
「何ッ!?」

倒木を飛び越えた辺りですぐ後ろまで迫って掌を構える犬に、俺は振り返り様にありったけの炎をぶちまけてやった。零距離からの焼き尽くすだ、運が良くても火傷は確実だな。取り敢えず確認のため着地し止まる。
地を擦る足に、嫌な感覚が走った。生暖かい液体が付着した感覚。不審に思い目を落とすと、真っ赤な液体が地面を所々汚していた。更に、液体の中に肉片や毛皮の様なものが浮かんでいる。見覚えのある紫のリボンも、大半が紅く染められ血溜りの中に浮かんでいた。

「!!まさか…」

嫌な予感がした。まさか、“あれ”を発動させてしまったのか?でなければいくら彼奴でもここまで酷く殺ることはない。だとしたら不味い。一刻も速く止めなければ。
俺が慌てて走り出そうとすると、進行方向の地面に長い骨の様な物が突き刺さった。見ると未だ燃え盛る木々の前に左腕を抑えた犬がいた。左腕は焼け腫れ引きつれを起こす程の重症だがギリギリで守るを発動したのだろう、他は無傷だった。しぶといな…こればかりは感心するばかりだが、今は緊急事態の可能性もあった、何時までも遊んではいられない。

「クッ…何だこれは…」
「恐らくは猫の悪戯だ。それより、もう諦めろ。片腕を失った状態で俺には勝てない」

火傷の痛みに表情を歪める犬に、何とか交渉を試みる。無駄な争いは極力避けたい。しかし、奴は警察のくせに(?)不敵に笑い、右手で火傷に腫れた左腕をしっかりと抑え直した。すると、右手が淡い光を放ち始め、暫くするとあの酷い火傷は見る影も無くなっていた。どういうことだ?

「ふふ、この技を使える者は極僅かですからね、教えてあげましょう。これは癒しの波動と言って、自分や仲間の体力を回復する技なのです。」

何だよそれ、厄介な…俺が歯を食い縛るのを見ると、奴は戦闘体勢をとった。

「焼き尽くすには驚きましたが…私の前では意味を成しませんよ。これ以上抵抗するつもりなら、私も本気で行かせてもらいます…!」

畜生…こりゃあコイツ仕留めなきゃ先行くのは難しそうだな…仕方無い。俺は歯を剥き出し威嚇する。奴も鋭い視線を俺に向けてくる。
が、この沈黙を破った(最も音はないが)のは俺でも奴でも無い。第三者だ。
俺達は向かい合う距離のほぼ中心に放たれた黒い光線に同時に飛び退き避ける。

そして光線が来た方向…斜め上方向を見上げると、茂る木の葉の中からバルジーナとキリキザンが現れた。バルジーナは十字架の付いたペンダントをしていて、キリキザンの方は赤色のスカーフを巻いている。ちッ、よりによってコイツらかよ。本当にどいつもこいつも…めんどくせぇ。



「久しいなハウンド。まだ生きていたとは思わなかったぞ。」
「ふん、誰が簡単にくたばるかよ。」

追い回してきた狼と、突如現れた禿鷲がにらみ合いを始めた。この二人は、暗黒の翳の者達だな。しかし、鷲の言葉が引っ掛かるな。知り合いなのか?

「アーチェ様、知り合いなのですか?」
「昔はな。今は何でもない奴だ。」

やはり奥が深そうだ。ここは奴等を捕えるため少しでも情報を集めた方が良さそうだ。しかし、彼等が私に簡単に話さないのは百も承知。だが相手は凶悪集団の者達。2対1は不利だ。いくら悪族でも、対抗する術は十分に持っているだろう。それに対立しているとはいえ知り合い同士なら、狼も逃げずに私を仕留めようと、奴等に手を貸す可能性も考えられる。だとすると3対1!とても敵いそうにない。どうするか…

「…おい、お前。今は休戦だ。ここは俺と組め。」
「な、何だと!?」

予想外だった。まさか、そこまでして敵対し合うものなのか?否、もしかしたら隙を突いて私を一気に仕留めるつもりなのでは…

「信用出来ないかもしれんが、俺も急いでいる。だが奴等に一人で突っ込んだ所で返り討ちだ。お前もコイツらを捕まえたいんだったら悪くない話だろ?」
「……」

何故だろうか?奴の目は嘘を吐いているようにはとても見えなかった。それどころか、私が信じるのを悟っているかの様な感じさえする。

「解った。だが奴等を捕えた後、お前も拘束する」

が、私もそれには逆らえなかった。普段は誰であろうと疑いばかりの私の中に、疑う要素が1つも無かったのだ。
私の言葉に苦笑しつつ頷き、威嚇を始める狼。
…敵ながら何故だか、とても頼もしく見えた。



月は美しい。日に日に姿を変えては俺達の前に現れ、感情を表す。月は不思議だ。一片の欠けもない満月であろうと、消え入りそうな程の細い三日月であろうと、天が晴れてさえいれば、必ず見えるのだ。そして何より素晴らしいのは、その輝きだ。時に力強く、時には優しく、時には冷たく。様々な輝きを放っている。またある時にはその色さえ変わってしまう事もある。月は本当に素晴らしい。例え太陽の影であろうと、太陽にはない表情を持っている。

「…お前の月はどんな月だ?」

「さぁ?アンタにとっては、私は月を隠す邪魔な雲なんじゃない?でも…敢えて例えるなら…」

今まで、誰も答えなかった問い掛けに答えた、待ちわびていた存在。足音は聞こえない。呼吸の音も聞こえない。只、背後から俺の耳に響くものが1つだけあった。


「私はアンタに全てを奪われ、存在するのに誰も興味を示さない、新月ってとこじゃないかな。」


to be continued…
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白獣「全くいいところで区切るところは修正してくれないのかな。あの野郎をさっさと殺りたいんですけど」
猫「ほら、シクルだってそう思うでしょ?偉そうな事言ってんじゃないよ」
狼「俺はゆっくりやるほうが好きだぞ」
2人「「あんたの好みは関係無いッ!!!」」
狼「しゅん…」
犬「ま、まあ、人それぞれですよ。あ、閲覧感謝です。またよろしくお願いします。」

[[紅き雫、伝う黒鎌 其の参]]

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宜しければアドバイスやコメントをお願いします。


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IP:125.192.34.95 TIME:"2014-10-09 (木) 04:40:05" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%B4%85%E3%81%8D%E9%9B%AB%E3%80%81%E4%BC%9D%E3%81%86%E9%BB%92%E9%8E%8C%20%E5%85%B6%E3%81%AE%E5%BC%90" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Linux; U; Android 4.2.2; ja-jp; F-04E Build/V10R41A) AppleWebKit/534.30 (KHTML, like Gecko) Version/4.0 Mobile Safari/534.30"

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