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作・[[スープ]]
突然だが。
最近隣家の雌のリーフィアが気になってしょうがない。
別に好きだって意味じゃないぞ。確かに可愛いが。
で、何故気になるか、の話だが。
彼女は一歳違いの妹がいる。ちなみに妹さんもリーフィアだ。
なんだかその妹の関係が、なんとなく怪しい気がするのだ。
オレと彼女はただの友達。それ以上の関係もないのに、彼女の家に行ったときに毎回感じるのだ。
妹さんの笑顔の裏にある殺気を。
姉にそっくりで、笑顔も可愛いのだが、殺気を感じる。この前だってそうだった。
「ファイさんってお姉ちゃんと仲良しなんですね♪」
文字で見るからには、普通の妹。いい見方をすれば、優しい妹。
しかしだ。実際に言われてみろ、実際に見てみろ。
笑顔が無理矢理すぎるぞお前、って突っ込みたくなるから。しかも顔の近さが怖すぎるぞ。
「どうしました?ファイさん」
冷や汗しか出ないぞ。何もいえない。
あぁ、ちなみにファイとはオレの事だ。どうした?わかってたって?…だろうな。
別にその事は置いておいて。その後、沈黙が続くわけだ。
妹さんはずっとニコニコしているし。オレも冷や汗だらだらで。
そんな状況を破るのは誰だと思う?一人しかいないわけだ。
「こら、スー、ファイを困らせないの~」
「うん、分かったよ。おねえちゃんが言うなら♪」
なにその[おねえちゃん]という単語は。せめて[お姉ちゃん]にしておけ。
「ごめんね~ふぁい~…スーに二度としないように言っておくから~」
さて、何回目でしょうか。前回も此処に来た時にその台詞を言われたような気がします。
と、いつも感じるこの瞬間。
姉が「ごめんね~」とオレに言うと、その後方で妹さんがオレを睨んでいる。いや、顔はいつもの通りに可愛い頬笑みだよ。顔はね。だけどその表情…オレの心にざっくざくですよ。
はい、終わり。悩み事の原因と、具体的な例をあげました。
ああ、あともう一つ。
今日は彼女の家に行こうという事になっているんだ。
ねがわくば、妹さんが外出しているよう。
きっと無理だが。
☆
「おはようございます」
「おはよう」
いつもの、ごく普通の会話だ。
んーっと、今は九時ごろかな。辛いんだよな。朝からこの視線を受けると。
ちなみに姉は寝ているらしく。オレと妹さんだけという状況だ。もう帰りたい。
なんだかいつもの威圧みたいなのを放ってるし。しかも近付きづらいオーラまとってるし。
「あの・・・」
「何ですか?おねえちゃんのことですか?」
「いや、何でもない」
やだ、もう帰りたい。
そうですか、と返事をしてまた朝ご飯を作るという行為に戻る妹さん。
―――さて、何時間経っただろうか。
時計を見れば針は五分しか進んでいない。
でだ、何をするか。何をしようか。
あ、そうだな。なぜオレが[スーちゃん]の事を[妹さん]と呼ぶのかについて話しておこう。皆、気になっていただろうしな。
あれは、数年前の出来事―――いや、二か月ぐらいの出来事だった。
オレは彼女と、いや、ナイと、いや、スーちゃんのお姉さんと、つまり彼女と―――
幼馴染だった。
いや、嘘だ。
何カ月か前にここに引越して隣に住んでいた雌の子が彼女だっただけの事だ。
その後、仲良くなっただけの事。仲良くなっただけの事。もう一度言おう。なかy(ry
それだけのことだったのに。
で、その後幾日経ってだ。彼女の家に初めて行ったときだ。
妹さん…うぅ…こっち見ないで…。
なんか家に入った時からずーっとオレを見ている。否、監視している。
何とかしてこの空気をどうにかしようと思ってだ。口から放った言葉が。
「あの、スーちゃん…そんなに見ないで…」
「どうしてです?」
おぉ…首をかしげるその姿がとても可愛いよ…。そして、オレをはるかに超えるその威圧も可愛いよ…。
その時からです…。一匹のブースターが一匹のリーフィアに恐怖を持ったのは。
ん、あれ、お話は終わったのだぞ?
???現実世界に戻ろうぜ?なんだ?現在の状況が書かれないじゃないか。
あ、そうか、オレは寝ているのか。納得。
おい、誰か起こせよ。話進まないじゃん。
お…て~…ぁ…~…
おお、何か聞こえた気がするぞ。
おき…~ふぁ………
おお、確かに聞こえるぞ!
おきて~ふぁい~
姉上~!!!!
「あ、目、覚めた?」
「ん、ああ」
「目が覚めたんですね」
ええ、覚めましたよ。覚めました。永遠に寝るはずがないでしょう?
「寝てても良かったのですがね」
オレの心の声と妹さんの声のナイスコンビネーションです。てか、ナイスタイミングですね妹さん。
今まで寝ていたくせに生意気ですが、ナイって起きるの遅いですね。
「で?今日は何をするんだ?」
目をこすりながら彼女に言う。
表は冷静な顔を作る自分です。
ちなみに裏は殺気を放っている妹さんです。
「ん~…ふぁいの寝顔を見てるのも楽しかったんだけどね~…なにしよっか?」
変ないい方しないでほしいものですね。妹さんがこちらをじっと見ていますから。無論、微笑みという威嚇で。
「じゃあ、楽しいことしよっか?」
なんかそれまた変な言い方ですね。
こんな境地に立っているオレでもドキッとしたぞ。別な意味でもドキッとしたが。ほら、案の定殺気まで漂ってる。
「楽しい事ってなんだ?」
我ながら良い質問だと思う。誤解を解くという意味で。
「んー…出来れば刺激的な事かなぁ~」
でも返答は最悪だな。なんか炎が見える気がする。草タイプでしょう?大丈夫ですか?
ああ、ナイ。お前に言いたい事がある。
オレは今の状態で十分に刺激的だ。
「んじゃあ、ちょっと外に出るか」
このオレが逃げるだと?いいじゃないか、逃げるが勝ちって言うだろ?
このままだと気絶しそうだし。
「いやだ」
ごめん。その返答は予想外だった。
ちょっと選択肢には入っていなかったかな。
「だってー今日は雨だしー。ファイは炎タイプでしょ?大丈夫なの?」
へー、そう、今日は雨だったんだ。いや、知っていたけどさ。ちょっと必死でね。
あと、何かその台詞聞いた事ある気がする。んー、どこだったかな。別にいいか。
「じゃあ、どうするんだ?」
「そうだねぇ…スーの仕事探すかー」
オレの存在いらねぇ!!!
まて、深呼吸だ。落ちつけ。大丈夫。きっと大丈夫。
「仕事探しか…別に何もしないよりはいいんじゃないか?」
「だねーじゃあ、ちょっと待っててー」
その日はほぼ仕事探しで終わりました。結局見つからないとのことで。いや、見つかったけど全て却下で。
妹さんいわく、別に仕事がなくても生きがいがありますので、らしい。別に生きがいを探していたわけじゃないんだけどね。それと妹さんの生きがいを知りたい。
それと、途中の昼食に毒が入っていなかった事だけを願います。
で、帰り際。
「今日、泊ってく…?」
爆弾発言。挙句に色々と爆発。
てかどんな回路でそこにたどり着いたんだ。
朝起きる⇒仕事探し⇒泊ってもらおう
お前、二つ目の矢印でなにがあった。
「いや、妹さんがいやだろうし…」
「私は別に大丈夫ですよ」
「そ、そうか」
「じゃあ、決定だね!」
うん。寝ている途中で妹さんに何かされるのが怖いがな。
晩御飯をともにし、お風呂もともに…してないが。
いざ、ねよう!
今日はきっと寝付きが悪いな!
同じ布団で寝ないよう願います。
「じゃ、ねよッ!」
確かに同じ布団じゃない。同じベッドだが。
「ひとつ疑問がある」
「ん?」
「なぜに同じベッドだ」
「…」
そんなに見つめるな。目を潤ませるな。ちなみにオレはお前を友達としか思ってないからな。
「明日は早いからね~」
挙句に無視か。それはないだろ。
そんなオレの気持ちは全く無視で、消灯。
暗い部屋に二人きり。そして熱い夜が始まっ―――てないけど。
「ねぇ」
!!??
え…今の聞いた?てか聞こえないか。
すっげー低いトーンで[ねぇ]だぞ!怖ッ…。
「ねぇ、聞いてるの?」
lpわおlpわお!!!キーボードの位置が一つずれるくらいコワイ!
どうしたんだよナイ!!
「ど、どうした」
「私の妹の事、どう思ってるの?」
え?スーのこと?あれ?ナイって妹さんの事[スー]って呼んでなかったっけ?
「いや、良い妹だと思ってけど?」
「本当に?」 「本当に」
「恋愛感情はないんだね?」
ええ…なんでそうなる。
「ないよ」
「そう……ならいいよ~」
ふぅ…戻った…トーンが…。
「なんでそんな事聞いたの?」
バカバカバカバカバカ!オレの馬鹿!あえてスルーの所だったろ!
考える前に動いてしまう口が憎たらしい。
「そりゃぁ…」
ごくり…。
「スーは私のものだもの」
怖ッ…なんか色々怖ッ…。
「えっと…ナイは妹さんの事を…どう思ってるの?」
ナイス!オレの口!そこは何か気になるぞ!
考える前に動いてしまう口がオレの自慢。
「一匹の可愛い雌だよ」
嗚呼神よ。この世に二重タブーをかけた姉妹がいるのは、あなたの悪戯ですか?
姉妹での愛が許されますように。同性での愛が許されますように。心から願います。
「ナイ…いいたい事がある…」
「んー?」
「きっと…お前の妹も、お前の事が好きだぞ…」
「からかわないで…。無理なんだよ、同性で、その上肉親だよ?…姉妹だよ?叶わない恋なんだ…」
「からかってない。今から、聞いてきてやろうか?」
「やめて!嫌われるのは嫌だ!」
だろうな。皆そう思うだろうな。好きな人への告白。それは決して、間接的にでもいいにくいものだ。
「分かってる。だからオレがきくんだ。別にオレは妹さんから嫌われても何とかなるだろう。大丈夫。きっと妹さんもお前の事を愛してるから」
んーなんでだろうなぁ…。なんかこーいうのは手助けしたくなるんだよな。イーブイの頃の技は全部忘れたつもりだったんだけどな。
ドアをたたく。
「どうしました?」
相変わらず冷たい声してるな。少しは客として見てくれよ。
「別にどうもしてないが。ただ、質問があってきた」
「そうですかー…じゃあ、入ってください」
「入るぞ」「どうぞ」
うむ、なかなか女の子らしい部屋だな。なぜダブルベッドなのか気になるが。てか部屋広いな。姉のより広いんじゃないか?
「質問って何ですか?」
「いや、大した事じゃないんだが。妹さんはナイの事をどう思ってるんだ?」
単刀直入ってやつだろうか。四字熟語は苦手だ。
「あれ?今まであなたに送っていた視線で分かりませんか?」
「だいぶ分かる。好きなのか?」
「好き?そんな言葉じゃ表せないですね。おねえちゃん…いや、ナイは私の物ですから」
「そ、そうか」
やっぱりこなきゃよかった。
「絶対に私の物にして見せますよ」
「見せなくてもいいがな」
そういって部屋を出るオレは冷や汗だらだらで。なんか緊張するな。バトルの数倍。余談だがオレはバトル強いぞ。
「どうだった…?」
そんな不安げな目で見るな…。恋してしまうぞ。
「ん、お前の事を私の物にしてみせるとさ」
「ほ、ホント!?」
そんな新鮮に驚くな…。恋してしまうぞ。
「あの…」
「ああ、いってやれよ。オレはここで寝てるから」
「ありがと!」
んー…よかったよかった…。
となりの部屋の声が微妙に聞こえるなー…。
んと…何言ってるんだ…。
「あン…すぅ…だめだよ…」
「…」
オレは何も聞いてない。オレは何も聞いてない。オレは何も聞いてない!
寝よう。今日は寝よう。
―で次の日―
「んあぁ~…」
あれ?やけに静かだな。皆起きてないのか?
隣の部屋に行きまして。
「おーい、入るぞー」
返答もないのに入ってしまった自分を悔やむ。
オレは何も見ていない。オレは何も見ていない。オレは何も見ていない!
なんか朝から頭痛だ…。最悪だ…。
ひとまず何か食べたい。腹が減った…。そうだ、台所へ行こう。
なんて思っているうちにテーブルに置いてある林檎をかじっている自分。
しかもテーブルにちゃんと自分のご飯を作ってあった事に気付く自分。
ラップをかけたチャーハンに付せんがはってある。普通、付せんをはるか?まあ、許すとしよう。
だってさ、書いてあった事が感動的でね。
「ファイさんへ。
昨夜はおねえちゃんの事で色々感謝しています。今まで変な視線を送って済みませんでした。
またいつでも泊りに来てください。 スーより」
ああ…雨はやんだのか。
感想・誤字などがあれば
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IP:125.13.222.135 TIME:"2012-07-19 (木) 17:16:24" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%AA%81%E7%84%B6%E3%81%A0%E3%81%8C" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"