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科学と努力と成長で の変更点


#include(第六回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle)
※本作は官能小説となります。そういった表現を含みますのでご注意ください。

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&size(20){科学と努力と成長で};
作:からとり
作:[[からとり]]


 「ピンポーン」
  家の玄関から、電子音が響く。その音色に反応し、私のトレーナーであるレイルがベッドから起き上がる。
「ピンポーン」
 家の玄関から、電子音が響く。その音色に反応し、私のトレーナーであるレイルがベッドから起き上がる。
 この家に来客が訪れることはめったにない。物珍しく感じた私は、真っ先に音の元へと向かった彼からワンテンポ程遅れて、玄関へと足を運ぶ。
 しかし、残念なことに私が玄関に辿り着いた時には、既に訪問者の姿は消えてしまっていた。その代わりに見えるのは、1つの段ボールを嬉しそうに抱きかかえているレイルの姿。
 どうやら来客の正体は配達員だったようだ。その電子音に、少々退屈であった日常への刺激を期待していた私であったが、肩透かしに終わってしまった。
 ジュナイパーである私は、めったに感情を顔に出すことはない。しかし、それでもほんの少しだけ気落ちしてしまった私の気配を察したのか。段ボールを床に置いたレイルは私に向かってチッチッっと人差し指を振る。
 「もしかして、残念がっているのか? ジュナ、安心しろ。この中身にお前も楽しめるものが入っているから」
  そう言い切ると、レイルはその段ボールを開封し始める。少々手こずりながらもその箱が完全に開かれると、お楽しみであろうその中身が姿を現した。
「もしかして、残念がっているのか? ジュナ、安心しろ。この中身にお前も楽しめるものが入っているから」
 そう言い切ると、レイルはその段ボールを開封し始める。少々手こずりながらもその箱が完全に開かれると、お楽しみであろうその中身が姿を現した。
 一言で表すとそれは、ゴーグル状の何かであった。ゴーグルならば私も、埃が舞い散る地域へレイルと出かけた際に装着してもらった記憶がある。瞳を守るのに意外と効果的だったし、また視界も阻害することもなかったし、人間の生み出す道具も捨てたものじゃないなと感じたものだ。
 しかし、今この場にあるゴーグルには妙な違和感があった。そもそも目を覆う箇所が完全に黒い電子機器のようなもので覆われており、これでは視界を完全に遮ってしまう。一体、何の目的で使うのか。私には見当もつかなかった。
 「フフフ……これが何だか分からないようだな。よし、今から準備するからちょっと待ってろ!」
  そう言ってそのゴーグルを片手に、レイルは自分の書斎部屋へと歩いていく。普段よりやたらハイテンションなレイルの姿に若干のモヤモヤを抱きつつも、私は彼の後へとついて行った。
「フフフ……これが何だか分からないようだな。よし、今から準備するからちょっと待ってろ!」
 そう言ってそのゴーグルを片手に、レイルは自分の書斎部屋へと歩いていく。普段よりやたらハイテンションなレイルの姿に若干のモヤモヤを抱きつつも、私は彼の後へとついて行った。



 「よし、準備できたぞ。ジュナ、これを着けてみろ」
  レイルが渡してきたのは先ほどの、届いたばかりのゴーグルだった。さっきと異なる部分があるとすれば、書斎部屋にある彼のパソコンとこのゴーグルがケーブルで繋がっていることくらい。パソコンと組み合わせているということは、このゴーグルは最新の科学技術とかいうやつなのだろうか?
「よし、準備できたぞ。ジュナ、これを着けてみろ」
 レイルが渡してきたのは先ほどの、届いたばかりのゴーグルだった。さっきと異なる部分があるとすれば、書斎部屋にある彼のパソコンとこのゴーグルがケーブルで繋がっていることくらい。パソコンと組み合わせているということは、このゴーグルは最新の科学技術とかいうやつなのだろうか?
 どうも私は人間が創り出した科学技術というものに慣れない。まあ、ポケモンである私がすんなり受け入れられる方がおかしいか。
 ひとまずはレイルの言う通りにしよう――私はそのゴーグルを頭部へと装着した。うん。見た目の予想通り、やっぱり視界は完全に闇に覆われてしまい何も見ることができない。暗闇は嫌いではないけれども、好き好んでずっと見続けたいとも勿論思わない。
 また、このゴーグルは私の聴覚器にあたる部分も塞いでいるようだ。装着してからというもの、若干レイルの声が遠く感じられるようになった。まあ、聞こえない程ではないのだが、視界が閉ざされているのと相まって、まるで虚無の世界にいるように思えてしまった。
「大丈夫そうだな。始めるぞー」
  虚無の世界の外から小さく響いたレイルの声を確認すると、突如私の目の前に光が差しこんできた。
 虚無の世界の外から小さく響いたレイルの声を確認すると、突如私の目の前に光が差しこんできた。
 その眩い閃光に思わず私はその瞳を閉ざす。このゴーグル内の世界は一体どうなってしまったのだろうか。こう深く考え込んでしまうと、瞼を開けることを少し躊躇ってしまう。
 「こんにちは。ジュナちゃん」
  再び瞼を開いたのは、この世界で初めての私を呼ぶ優しい声に導かれて。私の瞳に映ったのは暗黒でも虚無の世界でもなく――柔らかな桃色に覆われている小柄なポケモン。ふよふよと宙を浮きながら、片目を閉じてニッコリと微笑むその姿はとても愛らしく、そして深い神秘を感じられた。
 「……ミュウ? あなたは、ミュウなの!?」
  私の思わず呟いていた言葉に、そのポケモンは無邪気に返事をして首を縦に振る。その光景に私はまた少し、呆然としてしまっていた。
「こんにちは。ジュナちゃん」
 再び瞼を開いたのは、この世界で初めての私を呼ぶ優しい声に導かれて。私の瞳に映ったのは暗黒でも虚無の世界でもなく――柔らかな桃色に覆われている小柄なポケモン。ふよふよと宙を浮きながら、片目を閉じてニッコリと微笑むその姿はとても愛らしく、そして深い神秘を感じられた。
「……ミュウ? あなたは、ミュウなの!?」
 私の思わず呟いていた言葉に、そのポケモンは無邪気に返事をして首を縦に振る。その光景に私はまた少し、呆然としてしまっていた。



 まだ私がモクローの頃。同じく10歳くらいであったレイルと一緒に読んでいた絵本の物語から――ミュウの存在を知った。正直絵本のお話まではよく覚えていないのだが、幼い私はその躍動感溢れるタッチで描かれた幻とも言われるポケモンの姿にとても心を踊らされた。
 ミュウに会いたい――そう我が儘を言って、レイルと一緒に良く近所の草むらを走り回っていたっけ。ミュウは夜行性かも! と根拠もなく話し合って、夜中に家を抜け出したりもして、後でレイルのお母さんにこっぴどく叱られたこともあった。本当にあの頃の私たちは、無邪気な探究心で目一杯に日々を楽しんでいたように思える。
 そんな日常も過去のもの。あれから十年の歳月が経ち、レイルは立派な青年となりマラサダショップで働いている。私も紆余曲折がありながらも、何とかジュナイパーまで進化を遂げることができた。今ではレイルの親元からも離れて、彼と私。1人と1匹で日々を過ごしている。
 立派になれたと実感する一方で、幼い頃の好奇心というのは徐々に忘れ去られてしまっていた。だからここ数年は、日常が少し退屈に感じてしまっていたのだろう。
 そんな奥底に薄れていた気持ちを蘇らせてくれたのが――今この世界に、目の前に確かに存在するミュウだった。
 私の頬が無意識の内に緩んでいた。進化の影響もあって、ここまで愉しげな感情を表に出すのはかなり久しぶりだ。でもとても心地の良いもので、それを隠そうなんて気には更々ならなかった。
 私は久しいその感覚を昂らせながら、ミュウとの触れ合いを心から楽しんだ。



 「なっ! 楽しめただろう」
  一時の夢世界を思う存分堪能し、ゴーグルを外して一息ついた私にレイルが声を掛ける。幸せな夢心地がまだ顔に残る私と同じく、彼も何だか幸福そうな表情を見せていた。そして、彼はこのゴーグル世界の詳しいことを話してくれた。
「なっ! 楽しめただろう」
 一時の夢世界を思う存分堪能し、ゴーグルを外して一息ついた私にレイルが声を掛ける。幸せな夢心地がまだ顔に残る私と同じく、彼も何だか幸福そうな表情を見せていた。そして、彼はこのゴーグル世界の詳しいことを話してくれた。
 どうやらこのゴーグルはHMD((正式名称はヘッドマウントディスプレイ。頭部に装着するディスプレイ装置のことで、近年ではこの機器を使用したゲームが注目されている))という、簡単に表すと頭部に装着できる3Dテレビのようなものらしい。そこにVR((正式名称はバーチャルリアリティ。コンピューターにより作り出された世界をユーザの感覚を刺激することにより、現実の世界のように思わせる技術のこと))の科学技術の仕組みを利用して、仮想現実という世界を生み出しているらしい。先ほど触れ合ったミュウも、いわば人が創り出した幻影であったというわけだ。
 しかし私にとっては、とても幻影とは思えぬ体験であった。私がミュウに顔を寄せようとすると、ミュウも嬉しそうに反応して近づいてくれたし。ミュウの可愛らしいその音色も、決して無機質なものではなく、その世界に反響するように響き渡っていたし。とにかく私からすれば心の奥底から、夢が叶ったと喜びの感情が昂っていたのだ。
 HMDやら、VRやら正直私にはよく分からないのだけれど。とにかくこのゴーグル世界は人類の科学技術の結晶であり、そして夢を叶えてくれる魔法のようなものだ。
 そしてVRのミュウをパソコンで創り上げたのは……他でもない私のトレーナーのレイルであった。
 「HMDのゴーグルが一般的に普及するようになって、さらにVRコンテンツを作る敷居も低くなったみたいでね。……こいつでお前と俺の、夢を叶えられたらなって思っていたんだ」
  最近お前も退屈そうだったからな。そう一言付け加えて、レイルは笑う。――そうだったんだ。私はふと、ここ半年程の彼の日常を思い返す。
「HMDのゴーグルが一般的に普及するようになって、さらにVRコンテンツを作る敷居も低くなったみたいでね。……こいつでお前と俺の、夢を叶えられたらなって思っていたんだ」
 最近お前も退屈そうだったからな。そう一言付け加えて、レイルは笑う。――そうだったんだ。私はふと、ここ半年程の彼の日常を思い返す。
 最近のレイルは、仕事を終えてこの家へと帰ってくるのが遅かった。マラサダショップが急に大繁盛して忙しくなったと彼は言っていたが、いかにも高級そうな雰囲気を醸し出すHMDゴーグルを手に入れるためにシフトを増やして働いていたのかもしれない。
 また、夜遅くに帰宅した後も、彼はすぐに書斎部屋に籠って何かをしていた。あの時はあまり考えなかったけれど今思うと、書斎部屋でカタカタと雑音を鳴らしていたのは、ミュウのVRを生み出すためにパソコンを操っていたのだろう。あのミュウの体状や仕草、声質や受け答えは想像を超え本物さながらに感じていたが、それほどまでに彼はミュウを調べ上げて、強い拘りを持って制作をしていたとも想像できる。
 科学技術の発展に、そしてレイルのたゆまぬ努力。これらがあったからこそ、夢を実現する世界が生まれたのだろう。
 私は心の底から感服して――そしてレイルの優しさをとても嬉しく思えて、思わず彼に抱きついていた。普段することもない私の突然の抱擁に、少しの戸惑いと照れくささを見せる彼に、私は心からの感謝を呟いた。
 「本当に嬉しいよ――レイル、ありがとう」
「本当に嬉しいよ――レイル、ありがとう」






 あの、夢が叶い久しぶりに嬉しい心地を感じられた出来事から数週間程が経った。
 既に家の外に広がる大空は深い暗闇に覆われており、多くの人やポケモンは瞼を閉じて安らぎの時間を噛みしめているだろう。私もレイルの部屋に置かれている自分のベッドで、いつものように眠りにつこうとしていたのだが……中々寝つけずにいた。何故だろうか。それは部屋に置かれたもう一つのベッドの主の姿が一向に見えないからであろうか。
 念願のゴーグルを手に入れたレイルは翌日から、夕陽が沈む頃合いには家に帰るようになった。きっと、無理して働く必要もなくなったからだろう。そしてレイルの部屋で一緒に夕飯を平らげ、ポケモン特集を行っているTV映像を眺めながら他愛もない会話を交わし、そして頃合いを見てそれぞれのベッドで眠りにつく。レイルの仕事のある日は、こんな日常を過ごすのが当たり前になっていた。
 今日はレイルへ先日の出来事への感謝の気持ちを込めて、夕飯前に私が家の近くにある森で集めた木の実とキノコを彼にプレゼントした。彼はとても喜んでくれて、本日の夕飯はその木の実とキノコを使ったソテー料理となった。その夕食時は彼も私も、いつもより美味しく料理を味わうことができていたはずだ。
 しかし、頃合いの時間を迎えお互い眠りにつこうとした時だった。
 「ちょっとやらなきゃいけないことがあるから……ジュナは先に寝てていいよ」
  そう言いながら、部屋の明かりを消すと彼はドアを閉め、その場から立ち去った。
「ちょっとやらなきゃいけないことがあるから……ジュナは先に寝てていいよ」
 そう言いながら、部屋の明かりを消すと彼はドアを閉め、その場から立ち去った。
 ここ最近は同じタイミングで眠るのが当たり前であったから、その彼の行動を少しだけ不思議に思ってしまったのだが……まあ、大したことではないだろう。そう思い直してベッドに身を任せていたが、全く眠れずに今に至る。
 部屋の電気が落とされ、静寂の薄暗い空間が姿を見せてからもう1時間程になろうか。時が経つに連れて、私は自身の心地良い安眠より、彼が何をしているかが気になってしまう。もしかすると、私が今日渡した木の実かキノコがお腹にあたってしまったのではないか。それじゃあ、今彼はとても苦しんでいるのではないか――そんな不安も頭を掠める。
 一度脳裏をよぎってしまった憂いはどうしても消え去らない。こうなった以上、レイルの居所を確かめるしかないか。一息ついた後に私はベッドから起き上がり、閉じていた部屋の扉を開いた。



 私はまず、一番懸念をしていた家のトイレの前に向かってみた。しかし、そこに人の気配は感じられず、また直前に使用された様子も見られなかった。ふと、少しだけ安心したように吐息をもらしたが、ではレイルはどこに行ってしまったのだろうか。玄関の方もチラッと覗いてみたが、外出したような形跡も見受けられない。
 となると、あそこかな……
 思い当たるのは数ヵ月前にはレイルがミュウを創り上げるために夜な夜な頑張っていた、夢世界のゴーグルが置かれている書斎部屋であった。私は大きな音を立てぬ様に、それでも少し駆け足でその場所へと向かう。
 案の定だった。閉まりきっている書斎部屋の扉の隙間から、人工的な明かりが洩れている。もしかすると、また何か新しい夢の実現に向けてレイルは努力しているのかもしれない。彼がどのようなことをしているのか、少しばかり詮索してみたい気持ちもあったが、その邪魔をするのも野暮というものか。ひとまず部屋に戻って眠ろうか。私はクルッと扉から背を向けて、歩き出そうとした。その時――
 はぁ……はあっ……
 背を向けた扉の中から――激しい息遣いが不意に聞こえてきた。もしかすると、やっぱり今日の木の実かキノコの影響でレイルは悶えてしまっているのではないか。嫌な胸騒ぎを覚えた私は再び書斎部屋の前まで戻る。そして、そのドアノブを握り、僅かばかりドアを開き書斎の中の様子を覗き込んだ。



 書斎部屋の中にレイルはいた。そこにいた彼は、例のゴーグルを着けて別世界を楽しんでいたようだ。しかし、それにしても何だか様子がおかしい気がした。数時間程前に彼を見た時には確かに身に着けていたはずのそれ――ズボンがなくなっていた。さらには、本来その下に履かれているはずの――パンツも姿を見えない。つまり、彼の下半身は完全に露呈されてしまっていたのだ。
 そして遠目からでも微かに見える、いや私の瞳にははっきりと映ったそれは――人の雄の象徴ともいえる生殖器であった。既にそそり立っていた立派なそれに、彼は夢中になって手を滑らせていた。そして私にも聞こえてくる、雄の本能からの喘ぎ声――
 はあっ、うはぁ……気持ちいい……愛してい――
 咄嗟にドアをサッと閉めた私は渡り廊下を猛然と走る。そして、バタバタと部屋に戻り自分のベッドの中へと真っ先に駆け込んでいった。そして私は知らぬ間に、愛用しているその枕を濡らしてしまっていた――



 私が意識を覚ました頃には、既に太陽ははるか上空へと昇りきっていた。どうやら、既に時刻はお昼を迎えてしまったようだ。私の目覚めは……最悪であった。
 どうやらレイルは既に家を出て、仕事場であるマラサダショップへと向かったようだ。いつもであれば、彼が家を出る前には私は起き上がっており、簡単にお見送りをしたりする。しかし今日はこうして寝過ごしてしまったみたいだし、そもそもちゃんと起きていても彼の顔をしっかり見て話ができるとも思えなかった。
 まさか夢を見せてくれるあのゴーグルを使って、雄の欲望を満たしていたなんて。そもそも彼がここまで、性に飢えていたなんて――行為をみた直後の私はジュナイパーとは思えない程に取り乱していたような気がする。彼と暮らしてから約十年、そういった話題が一切出てこなかったからこそ、よりその衝撃は大きかったのかもしれない。
 だが、一夜明けて目を覚まして、改めて考えなおすと――これは当たり前のことかもしれないとも思えてきた。十年という長い年月は、科学技術も進歩させ、レイルも努力を重ねて成長を遂げてきた。そして、成長により心身ともに立派になるということはつまり――性に関して、興味を持つことも当然の帰結といえる。そう考えると、私は過剰に反応してしまっているだけかもしれない。
 それでも、私は心のどこかで釈然としない気持ちがあった。この感情は何なのだろう。認めたくないのか……いや、そんなことはないはずだ。でも……
 どうも思考が二転三転してしまう。それと同時に、私の中に潜む何かがブツブツと湧き上がってくるのを感じていた。今まで隠されていた、何かが。しかしその正体は、何故だか明確には分からなかった。



 私は、その主が不在の書斎部屋で一心不乱にパソコンを操作していた。
 レイルが欲望を曝け出したそのコンテンツを、一目見たいと思ったからだ。
 そんなものを見ても何も変わらない。とも思えたし、そもそも彼の立場からしたら絶対に見られたくもないその内容。私もそんなことは理解しているつもりだった。
 しかし、湧き上がる正体不明の何かが、私を突き動かしていた。彼をそこまで興奮させる人間の雌とは一体どういったものなのか。彼がしていたパソコン操作を必死に思い出しながら、懸命にそのコンテンツを探り出す。
 幸か不幸か。ジュナイパーという種族は翼の中に仕込んだ羽根の矢を放つために、腕先にそれぞれ3本の指のような器官が存在している。そのため何とか戸惑いながらも私は、パソコンの電源らしきスイッチを押したり、マウスを操りカーソルを移動されたりすることができた。また、夢の世界を見せるゴーグルは最初からパソコンに繋がっていたようで、後はパソコン側からコンテンツを起動させるのみであった。
 数時間の格闘の末、ようやくVRと呼ばれるフォルダを探し出した。その中身を見てみると、”ミュウ”と書かれていたコンテンツが1つ。そして、”秘”と書かれたコンテンツがもう1つ――
 これだ――間違いない!
 私はこの”秘”のコンテンツを起動する。正常に動作したことを確認すると、すぐに繋がれていたゴーグルを自らの頭部へと装着し、レイルの夢の世界を覗き込む。
 しばらく続くのは、視界真っ暗の虚無の世界。私は瞳に映る存在を、今か今かと待ちわびていた。



 「愛しているわ。レイル――」
  視覚より先に伝わったのは、左右の聴覚に響く甘い声。その音色には聞き覚えがあった。
「愛しているわ。レイル――」
 視覚より先に伝わったのは、左右の聴覚に響く甘い声。その音色には聞き覚えがあった。
 でも……えっ……いや、まさか――
 ふと、視界が反転する。そして、待ち遠しく思っていたその存在が瞳に映ると、私は愕然として思わず顔を逸らしてしまう。
 間違いない。彼の夢の世界の案内人は――ジュナイパー。その声の質も、まさしく私自身のものだった。
 何ということだ。レイルは人間だ。だから、性の対象となる相手も勿論人間であると思っていた。しかし、目の前に佇んでいるこの世界の生命は、間違いなく私自身であった。しかも、いつもの私とは決定的に異なる部分が数点ある。
 まずはその姿勢。仰向けになってその脚を広げ、誘うように翼を動かすその様子はとても艶やかで、雌の魅力を一杯に表現している。
 次に奥に見える表情。魅惑的かつ屈託のない素直な笑顔は、クールなジュナイパーとは思えない程の優しい印象を与えてくれる。
 最後にその音色。既に少し息遣いが乱れており、その中で発せられる声はとても高いトーンで雄の心を鷲掴みさせる。
 ここに映っているのは、私であって、私でない存在。彼の思い描く理想の私の姿――といったところであろう。
 思考が追いつかず呆然状態の私は、おぼろげな瞳に雌を表現する私をただひたすらに映していた。
 「レイルのが……中に……ああっんっ」
  意識を鮮明に取り戻してきた頃には、既にこの世界では最終局面を迎えていたようで――レイルの雄の象徴が、雌である私の秘所へと繋がっていた。程なくして、視界が上下に揺れ始める。激しい刺激によって生まれる大きな喘ぎ声が、私の聴覚へとこだまする。
「レイルのが……中に……ああっんっ」
 意識を鮮明に取り戻してきた頃には、既にこの世界では最終局面を迎えていたようで――レイルの雄の象徴が、雌である私の秘所へと繋がっていた。程なくして、視界が上下に揺れ始める。激しい刺激によって生まれる大きな喘ぎ声が、私の聴覚へとこだまする。
 ……?!!! ダメ!!
 もうこれ以上は無理だった。本当の私はこの世界を強制的に終わらせるべく、頭部に装着していたゴーグルを持ち上げる。そして全力でそれを床へと叩きつけた。
 激しい機械の破裂音が書斎部屋に響き渡る。ハァハァ……何ともいえない気持ちの昂ぶりが今の私を襲う。そして正体不明の、隠れた欲望も。
 ジュナ……
 背後からポツリと聞こえた、その呟き。
 私はハッとなって振り返る。そこに佇んでいたのは、この部屋の主である……レイル本人であった。



 まるで永遠とも思える、重い沈黙がこの書籍部屋を支配していた。
 向かい合っているレイルと私。しかし、お互い目を合わせることもなければ、言葉を発することもできないでいた。
 何か話さなければ……何とか本来の冷静さを取り戻して、この事態を解決しようとする私がいる。
 一方で、先ほどから増幅しているよく分からない……身体を蝕む欲望に押しつぶされそうな私もいた。
 何とかこの欲に打ち勝たなければと思うのだが――あまりにも予想外の不意打ちが多く、狼狽し切っている私には荷が重かったのか。
 私の身体のすべてを、完全に欲望に支配されてしまった――



 私は、レイルを乱暴に押し倒していた。そして、彼の唇を嘴で、強引にこじ開けるとその口内へ舌を突き付けた。彼は一体何が起こったのか理解できていないようで、大きく目を見開いたままであった。
 しかし彼が私の舌に応じようが応じまいが、そんなことは関係ない。私はただ、彼を貪るだけである。私は一心不乱に彼の口内のすべてを味わい尽くす。程なくして彼は観念したのか、自らの舌を私に絡ませていた。私自身初めての、彼の生の味。それはとても柔らかく、温かく。そして愛らしいものであった。
 存分にそれを味わった私は、嘴をレイルの口元から離す。彼の顔を覗き込むと、彼は荒い呼吸を繰り返しつつ、少し恥ずかしそうな表情をしていた。しかし心の底では嬉しそうな赤面も見えており、それは私の欲望をさらに増幅させるのに十分過ぎる威力であった。
 「ふふふ……レイル。……お楽しみはこれからよ?」
  妖艶な笑みを浮かべながら、私はレイルのズボンを下着ごと、サッと脱がす。そこには彼の雄の象徴が――既にかなりの大きさとなってそそり立っていた。
 「もうこんなになっちゃって……レイルったら、変態さんね」
  私はその雄を筋に沿って、ゆっくりとその指でなぞる。少し触っただけでも、その雄の象徴はピクンと反応し、合わせて彼の口からも雄特有の喘ぎ声を漏らす。その反応は私の性をさらに興奮させ、もっともっと色々な反応が見たいという意欲を高めさせる。
「ふふふ……レイル。……お楽しみはこれからよ?」
 妖艶な笑みを浮かべながら、私はレイルのズボンを下着ごと、サッと脱がす。そこには彼の雄の象徴が――既にかなりの大きさとなってそそり立っていた。
「もうこんなになっちゃって……レイルったら、変態さんね」
 私はその雄を筋に沿って、ゆっくりとその指でなぞる。少し触っただけでも、その雄の象徴はピクンと反応し、合わせて彼の口からも雄特有の喘ぎ声を漏らす。その反応は私の性をさらに興奮させ、もっともっと色々な反応が見たいという意欲を高めさせる。
 私は次にその嘴で、彼の象徴を咥えてみる。ふわぁ!? さらに大きな悲鳴を上げて身体中をピクリとさせる彼の動きがとても可愛らしい。私はより夢中になって、その象徴を舌で舐め回す。より彼の強い反応が見たいがために、ピンポイントに先端を突いたり、強弱を大事に雄の象徴全体に舌の感触を味わわせてあげたり等。私は無意識に工夫をこなし、彼を満足させるように攻める。
 彼は既に口をだらりと開けて、小さく呻いてその快楽を噛みしめていた。そして彼の雄はそろそろ限界を迎えたようだ――
 「あっジュナ、ダメだ……もう出る」
  その言葉を待っていました。とばかりに私は嘴を雄の象徴から素早く離す。え……と少し呆気に取られてしまった彼に、私は艶やかな笑みで言葉を返す
 「もっ……ダメでしょ。レイル。出すなら、ココにね……」
  私は彼に向けて仰向け姿勢で両脚をだらりと放り投げ、雌の秘所を晒す。既に私のそこは湿り気を帯びており、雄の象徴を受け入れるのには準備万端といったところである。
 「いいのか……」
 「あなたに選択肢はないわ。早く……来てぇ」
  戸惑いを隠しきれないレイルを制して、私は欲望を口にする。ゴクリと唾を飲み込んだ彼は、決心したように私の秘所に自らの象徴を沈めていく。それが奥に進むにつれて、私の雌としての興奮が止まらなくなる。
 「はぁ……はぁ……ああんっ!」
  思わず発せられる、私の雌の喘ぎ声。未知の刺激が、私の全身に快楽を与え、身体を小刻みに揺らす。彼も喘ぎ声を出しながらも、雄の象徴を動かすべく腰を振る。本能的に、その動きはドンドン激しさを増していく。
 「あっ、あっ、もうだめだ……ジュナ、出すよ!」
 「はぁっ……ん。私も……いくぅぅ!」
  私の中に雄の性が流れ込むのとほぼ同時に、私のそれも絶頂を迎えた。
「あっジュナ、ダメだ……もう出る」
 その言葉を待っていました。とばかりに私は嘴を雄の象徴から素早く離す。え……と少し呆気に取られてしまった彼に、私は艶やかな笑みで言葉を返す
「もっ……ダメでしょ。レイル。出すなら、ココにね……」
 私は彼に向けて仰向け姿勢で両脚をだらりと放り投げ、雌の秘所を晒す。既に私のそこは湿り気を帯びており、雄の象徴を受け入れるのには準備万端といったところである。
「いいのか……」
「あなたに選択肢はないわ。早く……来てぇ」
 戸惑いを隠しきれないレイルを制して、私は欲望を口にする。ゴクリと唾を飲み込んだ彼は、決心したように私の秘所に自らの象徴を沈めていく。それが奥に進むにつれて、私の雌としての興奮が止まらなくなる。
「はぁ……はぁ……ああんっ!」
 思わず発せられる、私の雌の喘ぎ声。未知の刺激が、私の全身に快楽を与え、身体を小刻みに揺らす。彼も喘ぎ声を出しながらも、雄の象徴を動かすべく腰を振る。本能的に、その動きはドンドン激しさを増していく。
「あっ、あっ、もうだめだ……ジュナ、出すよ!」
「はぁっ……ん。私も……いくぅぅ!」
 私の中に雄の性が流れ込むのとほぼ同時に、私のそれも絶頂を迎えた。
 嵐のように掻き乱れる快楽に私は溺れたように、意識を失っていった――






 気がつくと、そこは私がいつも安らぎを感じている、使い慣れたベッドの上であった。
 目覚めた直後、先ほどまでの快楽の光景が瞬く間に私の脳裏へとフラッシュバックされる。再び眠りにつきたい……重い気分となってしまったがこれではいけない。ジュナイパーの本来の冷静さを取り戻した私は、何とか身体を起こす。
 「おはよう、ジュナ。……といっても、まだ夜だけどね」
  ふと、その声の主の元へ振り返ると、そこには椅子に座って私を見守ってくれていたレイルの姿が見えた。
 「おはよう、レイル。……あなたが、私をここまで運んでくれたんだね」
  ああ、と少し素っ気なさそうに彼は返事をする。しばらく気まずそうな表情を見せていた彼だが、意を決したように彼は私に頭を下げてきた。
 「ジュナ……本当にごめん! ずっと一緒に過ごしてきたのに俺、君に最低なことをしてしまって……」
  一向に上げることのない、垂れ下がったその顔に私は優しく触れる。
 「顔を上げてよ、レイル。私の方こそ、勝手にあのゴーグルを覗いて、壊して……挙句の果てにあなたを襲ってしまって……本当にごめんなさい」
  彼は少し驚いたような表情を見せながら、顔を持ち上げて私の方を見やる。
 「私ね。今回のことで自分の奥底にある気持ちにさ、やっと気づくことができたんだ。それはね……あなたのことを恋人として、愛しているんだって」
  私の嘴が、レイルの頬にそっと触れる。
「おはよう、ジュナ。……といっても、まだ夜だけどね」
 ふと、その声の主の元へ振り返ると、そこには椅子に座って私を見守ってくれていたレイルの姿が見えた。
「おはよう、レイル。……あなたが、私をここまで運んでくれたんだね」
 ああ、と少し素っ気なさそうに彼は返事をする。しばらく気まずそうな表情を見せていた彼だが、意を決したように彼は私に頭を下げてきた。
「ジュナ……本当にごめん! ずっと一緒に過ごしてきたのに俺、君に最低なことをしてしまって……」
 一向に上げることのない、垂れ下がったその顔に私は優しく触れる。
「顔を上げてよ、レイル。私の方こそ、勝手にあのゴーグルを覗いて、壊して……挙句の果てにあなたを襲ってしまって……本当にごめんなさい」
 彼は少し驚いたような表情を見せながら、顔を持ち上げて私の方を見やる。
「私ね。今回のことで自分の奥底にある気持ちにさ、やっと気づくことができたんだ。それはね……あなたのことを恋人として、愛しているんだって」
 私の嘴が、レイルの頬にそっと触れる。
 そうだ。レイルと共に過ごした10年という年月で成長したのは、彼だけではない。私だって、進化を遂げて、立派に成長したんだ。それならば、私の中にも性の欲望が潜んでいることは当然の帰結といえる。
 それを無理やり隠してしまっていたから、今回の出来事で激しく狼狽してしまい、ついには爆発してしまった。結果、彼の気持ちを一切考えることもなく、ただひたすらに性欲を解消するためにあのようなことを……
 「ジュナ……ありがとう。俺も勿論、君のことが大好きだ。ずっと一緒にいたい」
  だからさ……レイルは、自分のベッドに目を見やる。
 「まだ夜は始まったばかりだし、改めてお互いの愛を確かめ合わないか? 今度は俺が、もっと君を気持ちよくさせてあげたいからさ……」
  彼の提案に、私の出す答えは勿論決まっている。
 「……喜んで」
「ジュナ……ありがとう。俺も勿論、君のことが大好きだ。ずっと一緒にいたい」
 だからさ……レイルは、自分のベッドに目を見やる。
「まだ夜は始まったばかりだし、改めてお互いの愛を確かめ合わないか? 今度は俺が、もっと君を気持ちよくさせてあげたいからさ……」
 彼の提案に、私の出す答えは勿論決まっている。
「……喜んで」






 その後、1人と1匹は夜が明けるまで、本当の愛の営みを心ゆくまで楽しみました。
 そして後に、近所でも大評判のおしどり夫婦として、いつまでも幸せに暮らしたのでした。





 完

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ノベルチェッカー

【原稿用紙(20×20行)】	32.1(枚)
【総文字数】	10434(字)
【行数】	201(行)
【台詞:地の文】	8:91(%)|887:9547(字)
【漢字:かな:カナ:他】	34:57:6:1(%)|3569:5970:704:191(字)

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○あとがき

 皆様、大会選手権お疲れ様でした。からとりです。
 今回4票入れていただけたということに、嬉しさと感謝の気持ちで一杯です。
 前回参加した変態選手権の結果もあり、官能表現は相変わらず苦手意識があったもので……
 今回の参加者の皆様の作品を読み進めて、素晴らしい物語に表現を見て、今回も……という風に思ってしまっておりました。
 ですので、結果が出た時は本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました!

 官能表現は今回も短く、描写も未熟だと実感しております。
 これからはもっと向き合って、より良く理想的な描写が描けるように頑張りたいです。

○作品について

 &size(20){VRっていいよね};
 元々VRって大したことないだろうと思っていたのですが、今年何度かVR体験のできるアトラクションに参加してから、自分の考えを悔い改めました。VRっていいよね。
 臨場感、没入感。半端なかったです。本当にその世界にいるような体験ができました。
 そして、この時から「ポケモンのVR出てくれっ!」と強く願うようになりました。
 特にポケダンの世界のように、自分もポケモンの目線で様々なポケモンと触れ合えたらどれだけ幸せなのだろう……って考えてみたり。
 
 今回の選手権は締切直前まで別の内容でプロットを考え、執筆しておりました。
 ただどうしてもしっくりこない部分もあり、どうしようかと考えていた時にVRの件を思い出し、%%欲望に忠実になって%%一気に書き出しました。
 VRで叶わぬ夢を実現しようとするトレーナー。それを突然見てしまい、狼狽しきって一転情欲のとりこになってしまうジュナイパー。可愛いですね。
 だからこそ、もっと魅力的に表現させたかったところですが……それでも、今回も楽しく執筆することができて良かったなと思います。

○コメント返信

 > ジュナイパーほんっとかわいかったです>< お互いが目を逸らさずことなく見つめあう感じがたまらなかったですごちそうさまでした。 (2016/12/18(日) 20:28 さん)

 本当にジュナイパーは可愛いですね。
 最後は幸せに結ばれて欲しかったので、あのような雰囲気を出したいと思っておりました。
 ですので楽しんでいただけて、本当に嬉しいです。

 > マニアックなプレイがあり、とても良かったです。後半は感動しました (2016/12/18(日) 23:43 さん)

 VRで自慰をするとか、今思うと本当にマニアックですねw
 でも、需要は確実にありますよね! 確実に!!
 お互いの気持ちを分かり合って、優しい愛情があるからこそ幸せに結ばれることができたと思います。
 その幸せな姿に感動していただけたのは、私としても嬉しいです。

 > VRでジュナイパーの淫らなシーンを作ってしまう主人公に親近感を覚えました。 (2016/12/25(日) 23:55 さん)

 本当それですね。私自身もすごく親近感を持っていました。%%作りたいよね%%
 レイル自身も、大変な努力をしてまで作り上げていましたが、それはジュナに対しての純愛な気持ちだったのだと思います。
 VRでジュナだけではなくミュウも作ったのも、ジュナに心から喜んでほしかったのでしょうし。
 なので、その純愛が成就して本当に良かったと思います。



 最後になりますが作品をご覧になってくださった皆様、投票やコメントをくださった皆様、そして大会主催者様。
 本当にありがとうございました。
 これからも、頑張ってまいります。

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 感想、意見、アドバイス等、何かありましたらお気軽にお願いします。
#pcomment(科学と努力と成長でコメントログ,10)

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