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プラスル、マイナン。
その名の通り&color(red){プラス};と&color(blue){マイナス};の電気を持ち、磁石の様に引かれ合い、とても仲がいい。
──最もだと思っているけど、彼は私の事が嫌いみたい。彼の事が好きだけど、何をするにも彼にばかり押し付けてしまう。
闘う時も、力の無い私は彼を励ます事しか出来ない。
彼の御荷物になってしまう。
だけど、いつかは──
**&color(#10abcd){私の相棒}; [#s9900fe9]
私は洞窟に射し込んできた朝日を浴びて目を覚ました。伸びをしてふと横を見ると、朝の陽射しを浴びて輝く森と、同じく日を浴びて赤い模様を更に色付かせて横になっている私の相棒が目に入った。
何時も私が起こさないとお昼まで寝ているんだから。全く…1日が勿体無いとは思わないんだろうか。
すやすやと小さな寝息を立てて眠る相棒は、私に見せてくれない自然な表情をしている。可愛い、と思ったけど、少しだけ切なさも感じた。もう後何日この顔を拝めるか解らないのに。
私は大きな溜め息を吐くと、相棒のプラスル──アルを起こそうと立ち上がろうとした…
(ッ…!!)
突然頭に走る電撃的な痛み。私は思わず屈み込んで両手で頭を抑える。
最近頭痛が酷くなった。身体も重いし、もう本当に近いことが解った。
私は痛みに耐えながらアルの顔を見詰めて、半年程前の事を思い出していた…
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清々しい朝。天気も良いし、気分がよくなる。でも、何時もの様にアルを起こそうとしたら、突然頭がズキズキ痛んで、最近続く頭痛に私は不安を抱き始めていた。
(最近頭痛が多いな…何処かおかしいのかな…?)
眠っているアルを見詰めながらそんな事を考えていた私は、今日くらい大丈夫だろうと思って、アルを寝かせたまま近所に在る病院に出掛けた。
私は大したこと無いと言ったのに、医師のハッサムさんは脳に炎症があるかもしれないと言って精密検査を受けさせられた。ちょっぴり不安だったけど、きっと大丈夫だろうと思っていた。
──だから、結果を聞いたときは一瞬理解出来なかったんだ。
ハッサムさんは顔色を悪くして、私にみんな話してくれた。辛かった筈だけど、やっぱり医者は簡単には涙を見せないんだなぁと感心した。
自棄に私は落ち着いている気がする。不治の病に掛かった上余命宣告も受けているのに。唐突過ぎる死への恐怖を全く感じていない。
多分私は嬉しかったんだと思う。私は大好きなアルに迷惑ばっかり掛けてしまっていたから…
私は元々力がない種族だからどうしてもアルに頼ってしまっていた。だから甘えて話し嫌いなアルに沢山話し掛けてしまったし、闘いの時もアルに護ってもらっていた。
前にアルが負けてしまった時、元気出して!と励ました事があった。そしたらアルは物凄い血相で私を怒鳴り付けて、暫く家に帰らなかった。今思えばどれ程の屈辱だったか理解できる。
その頃から私はアルの御荷物なんだと自覚してしまった。なら、逸そ死んでしまえればいいのに。そんな考えも持っていた。だからアルが楽になれる事に喜びを感じているのかもしれない…
私はこの事をハッサムさんに告げてみた。
…ハッサムさんは突然、私の頬を打った。頬に走るヒリヒリした痛みに私は困惑した。地面にへたり込んで驚いた表情で見上げる私に、ハッサムさんは大声で怒鳴った。
&size(20){『どうしてそんな事が言えるのですかッ!!命を無駄にしないで下さいッ!』};
気が付くと、ハッサムさんは泣いていた。赤い固そうな頬を透明な雫が伝い落ちていく。
『貴方は彼の御荷物だと思っているかもしれない。実質彼もそう思っている可能性もある…しかし、彼は貴方の事が好きだから!どんなに鬱陶しくても一緒に居るんです!貴方が簡単に死んでしまったら、彼は悲しむだけですよ!』
ハッサムさんの言葉に私は耳を疑った。アルが…私を好き?そんな筈在るわけがない。そんな筈…
『だから…少しでも長く生きて!悔いの無い人生を大切な相棒と歩んで下さい!』
ハッサムさんは私に深々と頭を下げていたけど、私の中はもう疑問で一杯だった。
結局、ハッサムさんにはアルにはこの事を秘密にして欲しいと頼んで病院を後にした。でも、私の頭の中はまだ疑問で一杯だった。
『アルが…私を…好き?そんな訳…ある…筈が……&size(20){ぅわあああぁぁぁぁぁあッ!!};』
もう訳が解らなくなった私は、森の奥へと走り出していた。
気が付くと、森の中心部にある湖に来ていた。此処は昔落ち込んだりした時によく来た場所だった。最近はアルの暴言にも慣れていたから、来るのは久し振りだった。
私はふらふらと湖に近付いて腰掛けると、水面に移った自分の顔を見詰めた。
アルが私を好きかどうかは解らない。でも…考えてみれば、死んだら私は…二度とアルと話せなくなる。そんなの…嫌だ!!
絶望に包まれた表情の私が、風に揺られた水面に合わせてゆらゆらと歪む。そんな時私の後ろに綺麗な華を付けて着飾った、懐かしい顔が映った。驚いて振り返ると、美しい碧のお姫様が立っていた。
前に此処に通っている時に知り合った、ドレディアのレピアは、久し振りの私を歓迎してくれた。彼女はとても嬉しそうにしていたが、浮かない表情の私を見て違和感を感じ取ったのか、恐る恐る聞いてきた。私が全てをレピアに話すと、レピアは凄く驚いた後、悲しそうに目を擦っていた。
でも暫くすると、私の肩にそっと触れて、精一杯の笑顔で私に語り掛けてくれた。
『…確かに、死んだら話すことも、触れることも、見ることも出来なくなってしまうかもしれない。でも、もうどうすることも出来ないのなら…残りの人生で充分楽しめば良いじゃない。彼がイークの事をどう思っていようと、貴方は彼が好きなんでしょう?たとえそれが伝わらなくても、好きなら死んだってその気持ちは消えないって、私は思っているわよ。』
レピアの優しい言葉に、私は目頭が熱くなってきていた。必死で抑えようとして眉間に皺が寄って唇を噛み締めた酷い顔をレピアは正面から見据えて、口を開いた。
『…だから、何にも気にしなくたって良いのよ…』
気が付くと、私はレピアに抱き付いて泣いてしまっていた…
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今日の晩、私は死ぬだろう。余命は3、4ヶ月だったのに、よく半年も生きられたと思う。掛けられた暴言は数知れないけど、もっとアルと生きて一緒にいたいっていう気持ちが働いたのかなと思う。
私はこれまでの色々な出来事を思い出しては、そっと胸にしまい込んでいった。
一通りの過去を振り返り終えた私は、安らかに眠るアルを見詰めた。
──今日で…最後だよ。
私は心の中でそう呟いて、アルの身体を揺すった。
身体に触れた時の独特の温もり。飛んでくる聞き慣れた罵声。ちょっとだけ幼なく見える大好きな顔。
もう本当に、今日限りなんだね。
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私の最期の日は、何時もと何も変わらなかった。ご飯を食べたり、散歩したり、怒鳴られたり。でも、今日で二度と口が聞けなくなってしまうというのに、私は全くアルに話しかける事が出来ずにいた。怒鳴られたのは無言で自分に付きまとってくるからだろう。
何度も何度も声を掛けようとしたけど、あと一歩のところで詰まってしまっていた。いざという時に私はこんなに弱かったんだと、最初で最後に知ることが出来た。
そんな事をしている内に、最期の日はどんどん終わりに近付いていき…
結局何も話せないまま夜を迎えてしまった。
身体中が痛む…思った通り今夜中に最期を迎えると、私は悟った。
私はアルの姿を目に焼き付けておこうと思ったのに、今日は午後から厚い雲が空を覆ってしまい、洞窟内は何時も以上に薄暗くて、アルの顔がよく見えない。残念だけど、これも運命なのかな…
そうだ。最後に一応確認をしてみようかな。
「ねぇ、アル。」
「何だよ、いきなり話し掛けるなよ。」
洞窟内で寝る支度をしているアルは、相変わらずの態度だった。うっすらと見える背中は此方を向く様子は無く、悲しかったけど、今まで一緒に生きてきて、全く変わらなかった彼の事を嬉しくも感じた。
私は一息置くと、しっかりと、彼の耳に届くように声を発した。
「アルは…私の事嫌いでしょ。」
「え…?」
何でだろう?思っていた事と行ったことが全く正反対だった。だけど、アルは何故か反応して、私の方を振り返ってくれた。
よく見えない筈の顔が、自棄にハッキリ見えた…気がした。
「ああ、嫌いだよ。大っ嫌いだね。」
……やっぱりね。
私は身体が重くなったのを感じた。瞼も自然と閉じてしまいそうで…まだ死ねなかった私は…必死で意識を繋ぎ止めていた…
「…やっぱりね。よかった…私…アルの事、…だったから。」
朦朧とする意識の中、私が何て言ったのか、自分でははっきり解らなかった。
自然と…横になった私は…遠ざかっていくアルの顔に、小さく呟いた…
&size(8){「じゃあ…お休み…。」};
その瞬間、私の意識は完全に閉ざされた。
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これはある昔話の最後の一節である。
&color(#e86b2d){生まれ変わった僕の相棒は、今も美しい姿で佇んでいる…};
&color(#10abcd){何も変わらない私の相棒は、これからもずっと変わらないだろう…};
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次の年の春、ある洞窟に、世界一綺麗な桜が咲いたという…
E N D
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はい、[[スペード]]ですよ〜たぶんガッカリした方が多いでしょう。通りで官能無いわけだ、と。すみません…官能は本当に下手なので(汗)
視点が&color(#e86b2d){僕の相棒};と逆になっています。因みにアルがプラスル♂、イークがマイナン♀です。
訂正してみましたが…何だかやっぱり微妙な感じに(苦笑)
此方の作品が後に描いたものですので、読む際には僕の相棒からの方が分かりやすいかと…っていってもこれ読んでくださってる時点でもう遅いですよね(苦笑)
此方も更新1日目で200ヒット!本当に有り難いです。
取り敢えず両作共所々酷いので、少しずつ修正していこうと思います。
今後ともよろしくお願いします!!
&color(skyblue){リオス};&color(blue){「};はい、また現れました。
&color(#e86b2d){僕の相棒};を読んで下さった方は知っていると思います。初対面の方はどうも始めまして。&color(red){『紅き雫、伝う黒鎌』};のルカリオ、リオスです。
何かまた一言って言われちゃったんですけど…ルカリオ大好きな訳じゃ無いくせに…大体、リクエストポケモンが大して目立ってないのは失礼だと思います。レピアさんいいキャラでしたけど。まだまだ登場していないポケモンさんも居るようですし、もっと頭を使えってことですよね〜
ハッ!Σ(´□`;)また結局お客様に愚痴を溢しただけに…お許しを…ああ、またお仕置きされてしまうぅーッ!!&color(blue){」};
[[僕の相棒]]
↑↑↑興味が沸いた方は此方もどうぞ
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宜しければアドバイスやコメントをお願いします。
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IP:122.133.232.247 TIME:"2014-01-03 (金) 04:02:34" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%A7%81%E3%81%AE%E7%9B%B8%E6%A3%92" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/6.0)"