有言実行系[[GALD]] R-18しかないです、豪華三本立て(文字数比荒廃) ---- 従者 色々あって、ようやくの平和を取り戻した。王族でもないのに、王族だとか言われたり、そこにたどり着くまで追いかけまわしたりと忙しい日であったが、友人の目標も無事見つかり結果オーライで終わった。 一個のボールを机の上に置いて、眺めた。何の因果なのか、必然だったのか、偶然ではないと感じてはいたが、振り返ってみれば明らかにできすぎてはいた。今でもまだ、ボールから気配を感じる。あの時、頂上で対峙した時の張りつめた空気、あの凛とした視線に刺されたった鳥肌の感触は、今でも鮮明に残っている。 ふけるのはベッドに入ってからにしようと、身体を投げ出して布団をかぶった瞬間だった。声がするような、頭に直接響いてくるような、森に誘い込まれた時の感覚に似ていた。明確な理由がそれであると理解するのは容易で、起き上がり机の上にあるボールを手にし、中身を解き放つ。 「やはり、通じるものなのですね、貴方には」 「え?喋れたのか?!」 「ふふっ、そんなに驚かなくてもいいでしょう?貴方は私を従えているのですから」 青い毛並みにオレンジの編み込んだツインテール、欠けた片耳、鋭い威厳のある目、伝説にあるザシアンと称されるだけあって、変わらず威厳を保っていた。そこらにいる犬型のポケモンとは違って、オレンジの尻尾は垂れさがっていて、落ち着いている。 「その、ごめん。でも、やっぱり呼んでたのか……気のせいじゃなかったんだ」 「えぇ、私も貴方に仕えると決めた身です。務めは果たします」 首を傾げた。確かに世界が闇に包まれた時に出会い、それから日は経過していたが、共有した時間は短く、ましてや伝説として語り継がれているだけでの存在の情報など、そう多くは手元にない。こうして、直接話すこと自体が今が初めてなのに、何の説明もなく何かをするつもりでいられても、こちらは理解しえない。 そうしていると、鼻先でこちらをつついてベッドに追い戻してくる。されるがままにベッドに尻もちをつくと、更に強くつつかれてベッドに倒れ込む。ベッドから見上げるそれの顔は凛としているが、今までよりも親近感のようなものを感じる。 「そんなに緊張しないでください。心配しなくても、これでも貴方よりも長生きしているお姉さんなのですよ?夜伽ぐらいは心得ています」 「夜伽?どういう……」 「あぁ、今の時代ではあまりそういう言葉は使わないのですね。確か、そう!ご奉仕というのでしたか」 「あぁ、なるほど……えぇっ!」 どこか知識が間違っているような偏っているような、ただ言っている言葉の意味は理解することができたが、それはもう遅い。力の差がはっきりとしているせいで、ズボンをどれだけ頑張って引いたところで、容易に持っていかれる。心得ていると自信ありげなことを口にするだけあって、衣類を引きはがすことなど朝飯前のようだった。 焦るというか、言葉の意味を理解しているせいなのか、頭の中にこれからを描いていると体が自然と熱くなってしまい手元が狂う。そうして下着まで奪われてしまった後には、肉棒が元気にしている。 そんな有様を前に優しく笑い、影に覆われるぐらいに接近されると、口元を舐められる。そして次の瞬間には、頭を横にしてこちらを口を咥えるようにして、お互いに口を重ねる。そのまま、長い舌が割って入ってきて絡ませ合い、頭がぼーっとして体の力が緩んでいく。離れた時には充分に火照っていて、唾液の線が光に反射し崩落する。 「言ったでしょう?それなりに心得はありますから、私に任せてください」 「でも、その」 「恥ずかしがる必要はありません。そうですね、私に遠慮はしないでくれると、嬉しいものです」 そういって、ペロリと肉棒をひとなめされると、流石に黙ってしまう。そういう経験がないから慣れないのもあるが、何より手馴れた感覚のある相手に、でしゃばれるきがしないでいた。 それを了承だと判断したのか、舌を伸ばして舐め始める。人でないだけあってか、長さがあって肉棒を舐めることは容易にこなしてみせる。雑ではなく丁寧に、塗り込むように、下から先まで舐め上げられると、背筋が震えてしまう。込めていた力も緩んで、少しでも油断すれば漏れてしまいそうになる声を飲み込む。 そうやって、息を荒げながら耐える様子を伺おうとする視線が、舐められているのを凝視するのと重なってしまい、恥ずかしくなって反らしたくなる。 「如何です?ふふっ、そんなに顔をあかくしないでください。愛おしくなってしまうではないですか」 口を開けると、含んでいた唾液がねっとりと鈍い音をたて、肉棒が飲まれる。口の中の温度にねっとりとした唾液、急な環境変化にリアクションを戸惑う。咥え込んだまま、舌でじっくりと舐めながら、肉棒の頭の裏あたりを舐められたところで、身体が震えてしまう。 不意に視線が重なる。何時ものように鋭い視線のはずなのに、何故かいつもと違った気がした。不意に口元が緩んだような、舌で何度もそこを舐められる。 ベッドに両手をついて身体を支えながら、説得を試みても一向に離してくれることはない。肉棒をかっちりと咥え込まれたまま、精液を自分の内部に留めようとするしかできない。そうやって太さが増しているのをわかっていて、肉棒の頭の裏を突くようにではなく、舌を這わせて根元から溜まっているものを押し上げられるように舐められ、ついに情けない声を上げる。 自分の中に流れてくる液体を苦労することもなく、喉元の動きからしても容易にすべて飲み干し、更には丁寧に舌で全体をふき取り肉棒を軽く吸い上げてから、ようやく口を離した。 「ちゃんと処理されてますか?なかなか濃いようですが……と、聞くまでもありませんでしたね」 鼻で笑われた理由は、軽く刺激されただけなのに、再び勃起を始めるそれを前に、笑われてしまい、とりあえず俯きでもしないと恥ずかしさのやり場に困る。一方で、それを目にした後に体を180度回転して、オレンジの尻尾をパタパタと振りながら合図を送ってくるのに、理解が追い付かない。 「どうかしましたか?別の遠慮をする必要は……あぁ、そういうことですか。申し訳ありません、配慮が足りませんでしたね」 方向を上げると耳や体の部位がひかり、金属の鎧のようなものを纏う。本来はそこに剣を咥えているのが戦う姿なのだろうが、携えていないようだった。いつもは勇ましく、それこそ綺麗だと思っていたはずなのに、こうして届く距離になると欲望が顔をのぞかせる。 「コスプレ、というものでしたか?面白い事を人は考えるものですね。流石にこの姿になると私も少し気分が高揚します。さぁ、こっちを使ってください」 そういわれてから、ようやく意味を理解した。おかしいとはわかっているのに、腰を立ち上がり、対象の腰を掴む。毛並みは艶やかで、何か不思議な匂いが漂ってくる。余計に身体が火照って、我慢ができなくなり、容赦なく肉棒を中に入れる。濡れているのもあってか、肉棒自体は簡単に入り、取り込まれた感覚で軽く持っていかれそうになる。 今は我慢をする気にはなれなかった。本能的に快楽を求めて、激しく動いてしまう。 「ふふっ、そんなに焦らなくとも、私は逃げたりしませんよ?ですが……」 後ろに回っているせいで、表の顔がどうなっているのか、知る術はなかった。舌なめずりをしているなどと、善意の裏に欲望があるなどと。 急に秘所が締め上げられる。経験もない上に、肉の厚い壁に強く押し付けられてしまい、慣れない感覚が多方面から攻めてくる。気が付けば体に力が入らなくなり、身体を押し付けて立つのがやっとだった。呼吸のように秘所内が何度か緩んでは締まるのを繰り返し、それだけで射精に至るには十分だった。 けれども、それだけは済まされない。絶頂しているさなかであっても、強く締めあげられて根元からすべてを搾りだされてしまう。そんな荒業に、全てを奪われた後に力なくベッドに座り込んでしまう。 「如何でしたか?」 武装したままの顔には余裕がある。こちらが絶頂しただけで、そういう意味では持て余していても不思議ではない。 「ええっと……良かった」 「それは何よりです。ですが、私も久々に火照ってしまいました。我儘でありますが、鎮めるのにお付き合いいただけますよね?」 いつもは凛としている瞳が、どこか邪悪に感じた。口元を、犬のように舌で大きくペロリとなめてからしまう、それは捕食者に違いなかった。 --- ---- こういうのはお前と 「おい、返事しろよ」 机に向かって作業をしている背後のベッドから声がする。ご主人様なんて存在はこの家にはなく、上から物を言ってくる相手に律儀に対応する必要もない。返事はカタカタとタイピング音だけで、ろくな返答もしなかった。 「聞こえてんだろ」 短気なそいつはもう一度揺さぶりをかけてくる。それでも部屋にはカタカタとしか音が響かない。そんな対応を良しとするほど温厚な存在ではなかった。 バチっと、一瞬で判断が付かない速さでそれは走り抜けた。マウスパットの隣に黒い焦げ跡が刻まれ、新しいせいか薄く煙を上げていた。そんな焦げ跡まで残されてしまって、作業が止まる。 「前も言ったろ、部屋で電撃を出すな」 椅子をくるりと回すと、ベッドをだらしなく黄色いチクチクが占拠していた。イーブイの頃は可愛げがあったのに、サンダースに進化させてから見た目のようにぐれたというか口調がとげとげしくなった。 性格も雑になって気にくわないとすぐに電撃を飛ばしてくる。最初は注意をしていたが、ふわぁと大きなあくびを返すだけで、まともに対応した方が負けだと塩対応を取ることにしていた。 やり取りが当たり前になってから、お互いにかわす言葉は単調的なものに変わり果てていた。今もこうして横目にしかこちらを見ていないこいつに対して、苛立ちは特にない。 「聞こえてんだろ。返事しないお前が悪い。ほら、さっさとしろ」 「さっさとしろって、意味が分からん」 意味が分からない素振りが不服でそいつは軽く舌打ちをする。単にちょっかいをだしてきたにしてはイライラしている。日頃のコミュニケーションが淡白であっても、腐れ縁なおかげで何となくこのイライラの理由には察しがついている。こいつがイライラして頼ってくることは、昼飯を終えた後なら食欲の線も薄い。そうなると決まってくるけれども、口にはし辛い上に外した時のリスクが高い。 それに雰囲気というものがある。これではへったくれもない。ベッドの上でだらしなくなっている相手に、誘われているどころか招かれている気もしない。ぎろりと睨んでくる目が全く歓迎していない。 「いちいち説明させるな」 「わかったよ、ったく」 初回はもっと味気なくてひどかった。夜中にのしかかれると、急に服を脱げだの罵られ、拒むと電流で自由を奪われた。それでも飽き足らず、無理やりに満足がいくまで刺激を与えられては搾られた。拒否権など何も与えられなくて、次の日に恥ずかし気な素振りもなくて、悪夢が嘘みたいだった。そんな、後味の悪さがどこか懐かしい。 それが今は懐かしいと思える程度に馴染んでしまって、思惑通りに服まで脱いでいるのだから自分もどうかしていた。 「なんだよ、さっさと勃起させろよ」 「あのな、毎回言ってるけど雰囲気ってものがあるんだよ。色気も何にもねーくせに」 「は?お前、逆に日頃から俺に欲情してんのかよ」 手間のかかるやつだとか言われながら、肉棒を舐め始める。人間でないだけあって舌の構造が独特でざらつきは、自分の肌よりも肉棒にあっている。性行為の導入は雑なのに、舐めるのは上手くなってきているせいで、膨張していく。肉汁が口に入ることも厭わずに、気のすむままに舐め続ける。 「こんなとこか。ほら、さっさといれろ」 「あのなぁ、もう少し楽しむってことをな」 「お前だけだろ、今楽しいの。俺が満足できなきゃ意味ねーんだよ」 下半身をこちらに向けて、仰向けで体の半分を持ち上げて早くしろと催促してくる。全く色気も風情もないくせにと、やれやれと片足を持ち上げてほぼ垂直に片足を吊り上げて秘所にずぶっぷりといれる。前回に適当にほぐそうとしたら、にどげりで蹴り上げられた反省を生かした。 肉棒が入ってくるとすぐに締め付けてくるのだから、入りやすさとは全く違う。性格通りに、こいつの体は貪欲そのもの。 「お前っ!あんまり締め付けるなぁっ!」 「もう少しもたせろよ。んっ、ちょうどいい感じなんだから」 自分より図体が小さい存在に、肉棒を突き入れてぐちゅぐちゅと鈍い音が、もっと激しい肉同士がぶつかり合うものにボリュームを上げていく。 息が上がっていくのに、こいつはまだまだ余裕で、少しは声を漏らすレベル。もう少し頑張れよと声をかけながら、余裕を笑みにしながら秘所を締め上げて遊んでくる。流石に男としても生物としても、プライドがあるわけで腹部の毛をかき分けてがっつり抑える。 「ひゃんっ!」 「随分可愛いリアクションができるもんだなっ!」 「五月蠅い、さっさと動け」 いわれなくてもと、押さえつけた相手を一方的に犯していく。流石に奥まで肉棒を何度も叩きつけられて、こいつも口数が減る。仰向けのまま、振り返りもしないのは強がりの一種だろう。 それでも、こいつには勝てない。まだ少し荒い息遣いがこいつから聞こえるようになるぐらいで、こちらはもうもちそうにない。掴んでいる腹部からは速くなった鼓動が伝わってくるのに、それよりも自分の鼓動の方が荒いのは自分が一番理解していた。 「っ!もう……」 「中にしろ、あっ、それ以外は認めない」 そんなことを言われなくてもブレーキの掛けられないこの状態で、外に出すなんて器用な真似はできない。そのまま、奥に流し込んでいく。最初は勢いがあった射精も、徐々に勢いがなくなり、残りをじっくり吐き出していく。そんな浸っている状態で、こいつは起き上がって雑に抜き取ると、くるりと向き直して白濁液で汚れた肉棒を舐め始める。 「言ってるだろっ!出したばっかりにはやめろ!」 「俺が満足してないんだ、さっさと勃起させろ」 「無理なもんは無理だ、っ……!だからこの前買ったバイブでも使えって!」 「……あれは嫌」 急に都合の悪い質問が飛んできたのか、歯切れが悪くなったのとトーンがいつもとは露骨に違う。 「それじゃ、施設にでもいくか?卵できるかもしれないけど」 「それも嫌。こういうのは……お前じゃないと嫌……」 ---- はい!お姉さんです 海の風にあたっていた。暗く、深さもわからない海面。月の光ぐらいがせいぜいなもので、肌寒い砂浜にそっと人影が座る。近場の病院から夜に抜け出してはここに訪れていた。 近場の病院、海辺に面しているその建物は、精神系病棟だった。回復に向けてと称して建てられたそれは、いい意味でも悪い意味でも盛況している。 病院から抜け出したそれは、自分でも何を見ているのかわからないけれど、水平線の方向を見つめている。目下に広がる深い闇に、己の身を沈めれば楽になれるかもしれないが、虚無な今ではそれをする気力もわかない。だから、何のやる気もでず、何の目的もなく、ただそこに座って風に吹かれていた。 自宅に帰れる距離なのに、何回ここにきたのか、数えてはいないし些細な変化があるのかもしれないが、当人にいつもと変わりない風景。 「少年はここで何をしているのですか?」 不意に声をかけられた認識はしても、振り返る気力なかった。少し砂煙が海へ流れていく。 「水平線が好きなんですか?それとも海?」 返事はしなかった。小学生でも知っている、不審な相手と会話したりついていってはいけないと。 声は横の高い位置からする。横に並んでいるであろう声の主は、身を引く様子はない。 「ひどい顔ですね。何か辛い事でもあったんですか?」 「五月蠅いな、アンタには関係ないだろう」 「ちゃんと話せるじゃないですか。てっきり、死んでいるのかと思いました」 反射的に返事で追い払うつもりだったが、鼻で笑われてしまう。空っぽだった自分の中に、久々に怒りに火がついて横を睨んだ。 人より一回り大きいぐらいのそれは、首は長いし翼のようなものが生えているし、腹部は青で他は白、おまけに尻尾まで付いている。会話が成立しているから人間だと錯覚していたが、どうみてもそれは人の枠に当てはまらない。 生物の点数は並みだったが、ポケモンと称される何かだとはわかった。ただ、種族まではピカチュウ程度の知識しか持ち合わせておらず、種族の照合はできない。 「どうかしましたか?」 「どうかって、お前どうして喋れるんだよ」 「さぁ、どうしててでしょう?」 めんどくさい反応を返されて会話をする気にはなれずに、水平線を向きなおした。 「拗ねなくてもいいじゃないですか」 「別に興味がないだけだ」 はっきりとそういったのに、図体の割にソフトに横に座る。タネがわからない視点からでは、見かけによらず物体として質量がないような、風船か何かとでもいうのだろうか。 「お前、何なんだよ」 「私ですか?そうですね、あなた達が海の神とよく呼ぶ存在……あぁ、でも先代はまだいますから、お姉さんといったところでしょうか?」 「ガキみたいな性格してるくせに、どこが大人なんだ」 「そういう言葉遣いはよくありませんよ?それに、女性に年齢を聞くのもナンセンスです」 ああいえばこういうめんどくさい奴に絡まれたのは、それが初めてだった。実際の年齢は知らないし、性別は本人が女性だというが、本人の言葉、根拠はそれしかない。 日課となっていた海岸、来る日も来る日もそれはでてくる。 「今日は何を話しますか?」 「お前と話す気がない」 「そんなつんけんしてると、モテませんよ?そういうの、カッコいいと思っちゃう年頃なのかもしれませんけど」 毎回わざと癇に障ることを言ってくる。それに正面からキレる、それを期待しているのか。食いにかかっても、するりと避けるように、どんな言葉を発した所で効果があったためしはない。 「やりたいことはないんですか?」 「別にない。どうでもいいんだよ」 「暗い考えはお姉さん、感心しないなぁ。ちゃんと太陽の光を浴びないと、根暗になっちゃいますよ?」 時々、わかったような、優しいような、核心をついているような、はっきりとした感覚を言葉にできないけれど、いつもは反発するのに、するりと飲み込めるようなことも言ってくる。 人間でもない、上からしかものを言わない、馬鹿馬鹿しいと思いながら、気が付けば昼間そういうことをしてしまう自分がいた。 「少年、何かいいこともでもあったんですか?」 「何もない。ずっと病室だ」 「ふーん。今の少年、前よりはいい顔をしてます。前まではお姉さん、心配だったんですよ?」 心配される義理もないし、本当に心配されているのかと疑問が出るぐらい、いつも遊ばれていた。けれども、何故か思い当たることはあったり、実際生活にまで影響があったり、出会ってから数ヶ月、退院日が決まることになった。 それこそ、無言で立ち去ればよかったのに。 「明日、ここ出る。もう、ここにはくることはない」 いつものように砂浜に座っている。ちらりとみると、一世代昔にアニメで流行った尖ったサングラスのような目で、水平線を見ていた。一瞬、ほんの少し、そんな面影が重なって虚しくなる。 「ふふっ、そうですか。退院祝い、しなくちゃいけませんね。少年、何かしてほしいことはありますか?」 「そんなこと言われてもな……大体お前は人間じゃないし、できることなんてしれてるだろ」 「むっ、そういう決めつけはよくありません」 すぐにいつものように戻ってしまう、さっきの違和感は気のせいだったような。 「何かやりたいことはできましたか?お姉さんが協力してあげます」 「家に戻っても居辛いだけだし、旅出るつもり。行先は決まってないけど」 「なるほど、そうですか。やっぱり……」 いつもよりも手応えのない反応、再び水平線を眺めて自分だけの世界に浸り始めるから調子が狂う。数秒、数分、数十分には届かないぐらいの間が開いた。 「私を連れていきませんか?」 「何でそうなるんだよ」 「こう見えて、結構強いんだけどなぁ。それに、少年にはお姉さんが必要でしょう?」 冗談には何となく聞こえなかった。それなりの付き合いにもなるのか、表情や声の感じにどこか願いのような切なさを覚える。それはお互いさまで、こちらの表情からも読み取られてしまって、自嘲気味に笑われる。 「実はね、少年、私はここにいることが飽きてるんです、先代の後を次いで海を守ることに。それに、少年との未来を少しだけ見たんですよ」 内緒にしててごめんなさいと笑顔で謝罪されても、そんな笑顔の相手に叩きごたえなんてない。話によると種族的には風と超能力がタイプらしく、海の神と自称するくせに水がないことに一種の疑問を覚えた。 そんな超能力の一つに未来を予知するようなものが備わっていると、説明を付けたされて、後付けで超能力と言ってしまえば丸く収まるのだから都合のいい理由だと、怒る気力が削がれる。 「要するに、運命の赤い糸ってことです。ロマンチックでしょう?」 「それは、お前の都合のいい解釈だろ?」 「お姉さん、本気なんだけどなぁ」 掴み所のない存在が、いくら口でいったろことで現実的に根拠のないことは信頼できない。現に顔も困ったような顔をしているだけで、必死さがまったく伝わらない。 「少年、後を向いてくれませんか?」 ケチをつけたところでどうせきかないのだろうと、今日の所は折れて背中を向ける。すると、手のような翼がぐるりと回り込むと、更に後ろに引き込まれ倒れそうになるのを、弾力のある物体に受け止められる。 「わかりますか?こんなにドキドキしてるんです」 恥ずかしげもなく、こういう台詞が飛んでくるのだから信用ができない。そう思っていても、実際に鼓動が貰い火のように移ってくる。自分とは違う存在の温もりが、安心と、緊張と、期待と、色々で思考を惑わせる。 そんな隙を突かれて、下腹部に違和感を覚えた時に遅い。超能力の類で、浸っているうちにベルトは緩められて、それを器用に白い大きな手に捕まれる。 「おい!何やってんだよ!」 「恥ずかしがらなくても、いいじゃないですか。私と少年の仲でしょう?」 力は強く、じたばたしても逃れることはできそうにない。それに、大きな手の触感は不思議な感じで、弾力もあって柔らかく、ゴムよりも柔い。それに包まれて、しごかれ始めると意識がひっぱられる。 「気持ちいいですか?遠慮はしなくてもいいんですよ?」 うるさいと言い返してやろと睨み返したところを、さっきよりも強い力で掴まれてバランスを崩す。それを受け止めるように、姿勢を下げながら水音が立つぐらいにまでしごくと、無理やりに立たせられる。 今度は、それが砂浜に仰向けになり、翼まで広げて脱力してみせる。 「決めてください、私を選ぶのか」 そういう問いかけはずるいだろと思った。状況有利に作っておいて、そんな言い訳をしながら、体を重ねる。 「んっ、あっ……嬉しいです、私を選んでくれて」 ここぞと大きな翼で抱き寄せられる。入るのは容易だったくせに、そっちまで離す気がないと締め上げてくる。深くまで打ち付けているのに、まだまだ奥にまで入ると、もっともっとと抱き寄せられる。 「出ちゃいそうなんですか?あんっ、少年のことは私にはわかりますから」 背中に何か太い感触がぶつかる。またいでいた尻尾が背中をぐいぐいと押してくる。尻尾と翼に抱き寄せられながら、肉棒を抜け落ちないように締め上げてくる。抜き取るほどのスペースもなく、偶然に抜け落ちる可能性もほとんどなく、結果は中に流れ込んでいく。 「これが少年の……ふふっ、既成事実ですね?」 満面の笑みで恥ずかしいことをいわれると、リアクションをうまく返せずに顔が熱くなる。 「照れなくてもいいのに。別に今日だけじゃないんですし、今度は私も楽しませてください」 とんでもないことを言われた気がしたが、反応するよりも先に、体を起こされてその場に立たされる。流石に下半身を出しっぱなしで潮風にあたるのは気が引けて、ズボンを整える。 そうしているうちに、改めて正面で向き合う。相変わらず、こちらよりも身長が一回り高い。 「そうだ、少年。私のことはお姉さんと呼んでください。さぁ」 「ねっ、姉さん……」 「はい!お姉さんです」 「やっぱり、恥ずかしいからなしで」 「えぇ、いいじゃないですか」 ---- たぶん、そういうこと ---- #pcomment