*眩く斜陽と華燭の暁 [#j89ebb71] Writer:[[Vanilla]] ※官能表現が含まれています。また、未完結であり、完結の保証ができません。 ---- i.快晴 陽の光が容赦無く照りつける真夏日の正午。 辺りに日陰を作る木々は無く、草むらの中にぽつりと一つ浮いた石の隣に、一匹のポケモンが座していた。 じりじりと照りつける日光の勢いは人待つというレベルじゃない。否、ポケモン待つというレベルじゃない。 炎タイプであり、夏毛とはいえもふもふのその身が体感温度に拍車をかけていた。 やがて、草花と草ポケモンにより作られた新鮮な空気と夏の匂いが頬を撫でると、長らく待ち望んだ香りを含んでいる事に気付いた。 「はぁ……やっと来てくれた……。」 顔を正して彼は風のそよぐ方へ振り返った。 「ブースター!はぁ、はぁ……待った?」 息を荒げながら待ち人は駆けて来た。 「いやいや、今来たとこだよ。」 約束の時間より一時間程待たされていたものの、珠のように可愛い顔を見るなり疲れは何処へやら。 「あらあら……汗だくじゃないの……。」 駆け寄り、ブースターを一目見るなり心配そうに言う。 「……もう、気を遣わなくていいのに。」 「えっ……いや、」 ドキリ、とブースターの心臓がひとつ大きな鼓動を打った。 「息が切れていないんだから、今走って来て汗をかいた訳ではないでしょう? 多かれ少なかれ待たせてしまったのね……ごめんなさい、私ったらこんな日に寝坊しちゃって。 出来るだけ急いだんだけど……今日ほど自分の体力と速度の無さを不甲斐なく思った事はないわ。」 彼女はごめんなさい、と頭を下げる。 「そんな、気にしないで!僕なら全然平気だよ。熱いのには慣れてるし。」 「そう……?あ、そうだ。」 彼女は俯き、首から下げた小さなポーチに顔を入れる。 「……ん~、と。」 直後、ポーチから顔を出した彼女の口にはクリーム色のハンカチがくわえられていた。 くわえたまま彼女は僕の隣へ、そしてハンカチで汗ばんだ体毛を拭き始める。 「え、そんな!いいよ、折角のハンカチが汚れちゃう……」 「いいのよ、私の気が治まらないの。」 前足でハンカチを挟み、優しく丁寧に毛を拭いてゆく。 その肢体は紅蓮の如く赤色をしており、首周りには進化前の名残りのように豊かな体毛が覆い、 尻尾、そして額より生える特徴的な黄色の毛は、自身のタイプである炎を形取っていた。 汗ばんだ体毛は抗わず、水分を布に委ねてゆく。 「……はい、終わり!他に拭いて欲しい所はある?」 「いや、もう大丈夫。ありがとう、イーブイ!」 彼女は、肢体を茶の体毛が覆い、首元と尻尾の先端部には白みのかかった体毛が生えている、 ブースターの進化前のポケモンであった。 「どういたしまして。」 晴れ渡る空の下、二匹のポケモンは寄り添い歩く。 まさにその様は青春を謳歌する人間と何ら変わりが無かった。 ii.遊戯 そして数時間後――彼らの感覚にしてみれば30分後。 彼らは草むらを抜け、一つの山の頂を目指し歩く。 陽射しが傾いたかと思うと天候は一転して、空は曇り始めた。 「ついさっきまで融けるように暑かったのに、なんだか雲が出てきたね……」 「……やっぱり待ってて暑かったのね。」 申し訳無さそうにイーブイはぺこりと一礼する。 「いや、その話はもういいよ……」 「優しいわね。」 「君の気遣いには及ばないよ……僕は手ブラだしね。」 「フフフ、雨が降っても大丈夫よ、雨避けのビニールも持ってるから。まぁ、これだけ木が生えていればずぶ濡れになる心配も無いけどね。」 辺りは見渡す限りに木が生い茂り、もし獣道の導きが無ければ土地の者ではない彼らは迷っていたところであろう。 「あの晴れた空を見ても雨の用意を怠らないなんて……とてもお寝坊さんとは思えない用意の良さだなぁ。朝は慌しかっただろうに、良く忘れなかったねぇ。」 「用意は前の日に終わらせていたからね。貴方も水をかぶるのが苦手ならいつでも持ち歩くべきじゃないの?」 「うっ……で、でも、別に雨くらいなら大して気にならな」 「ハイドロポンp」 「ひゃううぅぅっ!!」 「アハハハハハッ!そんなに驚かないでよ!」 「も、もうっ!い、イーブイが水技使えるわけないなんて分かってるからっ!急に大声出すから驚いただけだからっ!」 ブースターは熱を上げて反論する。 「あまごい」 「ごめんなさい」 僕は一応年上なのに――ブースターはもとより微かであった威厳が崩れる音を聞いた。 ぼんやりした表情をしていると、勝ち誇ったようにイーブイが追い討ちをかける。 「なに浮かない表情しているの?そんなに雨が怖いのかしら?」 「いや、曇り空につられて……でも、雨が降らないだけまだまし――」 「今日は一日晴れてるかと思ったら、こりゃぁ一雨来そうだな、ポワルン?」 「えぇ、これは間違いなく降るわ。霧も濃くなると思う。ピジョンは羽が濡れないように気をつけないと……」 不意にすれ違った一組のポケモン達は、ブースターらにとって残念な未来を予見しているようだ。 つられて一層残念な表情になるブースター。 「う~ん……頂きから望める夜景をイーブイに見せたかったのに……」 「あらぁ……じゃ、じゃぁ日の出を見るって事にしましょうよ!」 「それだ!そうと決まれば濡れる前に一晩しのげる場所を探――」 ポツリ。 一滴、雨水が鼻先に落ち――ポツリポツリ――ポワルンらの予見通り雨が降ってきた。 「……なんだかまるでコントの様な展開ね。ここは笑うところかしら?」 「そろそろオチがあるんじゃない?」 ピカッ!!ズドォォォォッ! 空が一閃し、雷が近くの木を焼く。 「うひゃぁっ!」 全身の毛を逆立てて飛び退き、尻餅をつくブースター。 「……クッククク、アハハハッ!オチがついたわね!」 イーブイは大爆笑、対してブースターはこれ以上無いほどに顔を歪め、赤面した。 「もー……なんなんだよぉ……」 今にも泣き出してしまいそうな声で情けなく一息漏らした。 雨は次第に激しさを増してゆく――。 iii.抱擁 雨は雷を伴い、その勢いバケツをひっくり返すが如く。 流石にずぶ濡れで歩き続けるのは苦なので、手頃に雨を避けれる木の下でイーブイの用意したビニールをかぶり、ひとまず雨雲が去るのを待つ事にした。 「本当にイーブイには助けられるなぁ……見習いたい。」 「爪垢飲む?」 「……遠慮しとく。」 ビニールは結構な大きさがあるので、両者は濡れる事無く雨をやりすごせそうだ。 「でも……ちょっと寒いかなぁ――ブルッ。あ、そうだ、ブースター、私を抱いて!」 「ちょ――おま――」 その言葉の持つ意味――この場合は誤解の仕様がないが――を考えてブースターは赤面する。 「アハハハ、温めて欲しいだけだってば。」 「う、うん……で、どうすればいいのかな。」 「じゃぁ、まず私の上に乗っかって……」 ビニールの中でごそごそと二匹は動く。 イーブイはうつ伏せになり、その上にブースターが乗っかって体温を伝える事で温めて欲しいそうだ。 イーブイの体躯は華奢で、ブースターと比べると随分小柄である。 年齢の差と進化による体格の差、そして雄と雌の差を一層ブースターに意識させた。 二匹は体を重ね合わせ、ブースターの体温がイーブイに伝わってゆく。 「今……小柄だなぁ、って思ったでしょう?」 イーブイは触れ合う事で改めてブースターとの体格差を思ったのか、尋ねた。 「え……うん。でも、まだ進化していないんだし……。」 「そうかもね……。でも、私の捨てられた理由はこの体が原因なの。」 憂いを帯びた声でイーブイは語りかける。 iv.過去 「生まれて間もなく、私は戦闘における能力の評価値が低いと囁かれた。 数十匹私と同じ様に能力の低いイーブイが居て、まとめて野生に返されたわ。冬だった。 身も心も凍えて、一緒に捨てられたイーブイ達と一緒に身を寄せ合って……。 でも、春には半分がいなくなってしまった。 次第に力のある者は、隔てなく分け合っていた食べ物を奪い、沢山喰らうようになり、飢えに怒った弱者は結託、反旗を翻して追い出す事もあった。 同族同士が憎み合う様は本当に怖かったわ。 孤独になる事を恐れてなるべく良い表情を作るようにしていたんだけど……でも、恐れていた事態は起きてしまった。 唯一の雌であった私は雄に乱暴をされるようになった……勿論逃げ出したわ。」 イーブイは声を、体を震わせながら静かに言う。 その震えは決して雨により下がった気温のせいだけではない。 ブースターはそんなイーブイの身も心も包み込めればと、優しく力を込めて震えるその体を温めた。 「でも、そうして彷徨った末に貴方に出会えた。」 うつ伏せになっていたイーブイの体に力が込められ、ブースターを押し上げる。 そうして作られた隙間から体をねじり、仰向けの姿勢を取った。 見ると、イーブイは目に薄っすらと涙を浮かべており、頬は赤くなっている。 「過酷で冷徹で不条理だらけだと嘆いていた私の心に、貴方は春を教えてくれた。 毎日心は高揚して、巡る日々は目眩めく速度で。」 ブースターは真っ直ぐなイーブイの瞳と言葉を真摯に受け止め、返す。 「僕にとっても君に出会えた事は本当に嬉しいよ。 もし君が重荷を背負っているなら僕が持ってあげたいし、僕が幸福な時は君と共有したい。 頼れる存在からはほど遠い僕だけど……それでも君が一緒に居てくれるなら僕は仕合わせ。」 前日から思案していた気持ちを言葉にして紡ぐブースター。 恥ずかしそうに両者は顔を赤らめ、そして笑っていた。 「ありがとう。ブースターが私を真っ直ぐに見てくれる事が私の仕合わせ。 きっと貴方という存在があれば、何を背負っても私は潰れたりはしない。 ……今は身も心もとても温かい。どうか、何処へも行かないで。」 ひとつひとつの言葉が両者の心を打ち、心臓は早鐘を打っていた。 「大好きだよ、ブースター。」 「イーブイ――」 どちらが発するか、という雰囲気であった台詞をイーブイが言い、ブースターはその言葉に元より赤い顔を更に赤らめさせ、そして言葉を返そうとする――が、それは遮られた。 v.接吻 「あっ――ブースター……ねぇ、その……」 ブースターの意識の外にある出来事をイーブイは察知した。 その体の如く赤いそれは、イーブイの腹を静かに撫でている。 「え?」 一方当事者はこの雰囲気に酔い、事態を把握していないようだ。 「も、もう……どうにでもっ!」 「うわぁ――」 刹那、ブースターの視界に瞳を瞑ったイーブイが急接近し、体を小さな手が突き、横に押し倒される。 そして、突然加速した出来事に思考が追いついた時、ブースターの唇は塞がれていた。 「んんぅ……!?」 数十秒間――彼らの感覚にしてみれば約三分。 両者の唇はぴったりとくっつき、呼吸も忘れてしまいそうであった。 なれども舌を絡め合う事無くそれは終わり、二匹の唇には極細い光が描かれ、やがて消えた。 「イーブイ……?と、突然……え、えっと……?」 「もお……突然はどっちなのよ。」 一向に当人が気付かないので、イーブイは行動で教えようとブースターの股へ体をくねらせ、そして小さな舌で大きな逸物をぺろりと一舐めした。 その様子を見てようやくブースターは事態を飲み込む。 ――ブースターの逸物は勃起しているという事を。 「あああぁぁっ!あの、イーブイ、これはっ!ちがうんだ、その、ちがう、」 慌てふためく頭は弁解の言葉を上手く紡げない。 対してイーブイは見透かしたようにブースターへ上目を遣い、紡ぐ。 「意に反していると?でも、興味があるから大きくなるのでしょう?乱暴をされた時に色々を見ているから分かっているの。隠さなくてもいいわ、貴方のして欲しい事は分かっているから。」 昔の光景を意図せずとも思い返してしまうのか、イーブイの声には微かな震えがあった。 「で、でも、いけない!君はまだ余りに幼い……こういう行為をするにはまだ早すぎるよ!僕がきっかけを作ってしまった事は深く反省するから――」 「私を気にしてくれるのは嬉しいけど、我慢して貰うのはいけないわ!何時だって貴方には正直でいて欲しいし、私も正直に接して行きたいの。そして、今私は……貴方を悦ばせてあげたい。咥える事もままならないし、挿入してもらうには余りに小さいだろうけど……気持ちを通わせる事は出来ないかしら?」 イーブイは息を荒げて言う。過去と重ねてしまいかねないその行為を、想い合える相手と行う事で乗り越えたい一心で。 「君も満足してくれるなら、仕合わせになれるなら……。やろう。」 二匹は合意し、そして一度固唾を飲み込んだ。 雨はまだ止まないようだ。 vi.白濁 イーブイはブースターの意を受け一呼吸置くと、先程一舐めした処に再び口を付ける。 顔を埋めると下腹部の豊かな体毛がイーブイの顔を覆い、ぺろりぺろりと舌を持ち上げる毎にもふもふと鼻先や耳を撫でて少しくすぐったく感じられる。 「はぅ……」 ブースターは小さな舌で一生懸命に逸物を舐められる感覚から無意識に小さな声を吐いた。 逸物の触覚は小さな刺激の波をとめどなく打ち寄せ、自動的に逸物を暴れさせる。 イーブイは暴走を追っては舐めるも、逸物がビクリと震え、鼻先にコツリと当たってしまった。 「うにゅっ」 感覚の鋭い部位に予想外の刺激を受けてイーブイの顔もビクリと後ろに退く。 「(もっかい……!)」 再び戦いに赴く際には両前足を使って暴走を防ぐ策を考え、実行に移した。 柔らかなイーブイの肉球が逸物に触れると、感覚器官に舌とは違った刺激を与え、再度ビクリと震えるも、肉球のグリップがそれを抑止した。 再びぺろりと舐め、抑制の為に手にも少し力を加える。 「あうぅっ……!」 柔らかな肉球が逸物を押さえ込む感触、そして次第に速度を増してゆく舌のざらつきの調和は大きな快感と淫靡な嬌声をブースターに発させた。 「気持ち良い……とても好いよ、イーブイ……」 射精の欲はそう遠くない処で準備をしているようだ。 そんな事を知ってか知らずか、両前足は力を一定にかけるのを止め、強弱をつけて揉むように力を加え、更に上下の運動も始めた。 更なる快感の波に襲われ、逸物のみならず四肢もピクリピクピクと、細やかに嬉しい悲鳴を上げる。 「あっ……!」 先走り液が放たれる感覚を覚え、ブースターの下半身が数度小さく跳ねた。 ぺろり、ごくり。 先端より流れる透明の液体を、イーブイは吸い付くように舐め取り、喉を鳴らす。 「(……の、飲んじゃった?)」 ちら、とブースターは無意識に閉じていた眼をイーブイに向けた。 小さな口が、手が、自分の逸物を弄り、その首謀者は真剣な面持ちで赤面しながら犯行に及んでいる。 その絵画はブースターの射精欲のアクセルを思い切り踏み込んだ。 ビクビクッ! 噴出の訪れを告げるかのように、数度体が上下してしまいそうな程の大きな振動がイーブイの両前足を伝う。 「あ、あ、い、イく――!」 途中駅より特別快速で運行していた列車は間もなく終点へ達しようとしていた。 ブースターはイーブイに吹きかけてしまわぬよう、逸物の標準を逸らそうとする。 と、そこでイーブイは逸物から口を離し、突如ジャンプすると、ブースターの耳を甘噛みした。 「え――ああああぁぁううぅぅぅンッッ!!!」 耳は敏感――大方のポケモンに該当するそれはブースターとて例外ではなく、射精を控えて不意に耳を襲われては我慢の仕様も無い。 ビュルルルルル!ドッドッ、ドッ……。 ブースターは小さな口で御奉仕していたイーブイの事を目に浮かべながら、勢い良く白濁の液体を射出した。 白濁の液体は今までイーブイの顔があった所を通過し、宙に弧を描く途中でビニールを射る。 「み、耳を狙うなんて……あ、っ、気持ちい……と、っ、止まらない……」 射精に合わせてブースターの体全体に快楽の津波が襲来する。 はじめてのフェラチオであった事も手伝い、ブースターの射精量としては最大を記録したようだ。 「どう……?気持ちよかった?」 嵐の収まる頃合を見て尋ねるイーブイ。 「ハァ、ハァ……すごく……すごく気持ちよかったよ……。」 ブースターの息は切れ、体も言う事を聞かなくなっている。 「フフ、それじゃあ――攻守交替と行きましょう!」 そう言い笑うイーブイの顔には、普段と違う艶やかさが見える気がした。 ---- - これはまた・・・懐かしい作品をw 確か完結していませんでしたっけ?&br;これは良く記憶に残っている作品ですよw一目見て分かりましたww(・・・まさかvanillaさんが執筆なさっていたとは露知らずorz)&br;この調子で、埋もれていた良作をもっと(晒し)上げてくれる事を期待していますb ごちそうさまでした<(_ _)> -- [[Zekt(ry]] &new{2009-02-26 (木) 16:02:28}; #comment IP:125.13.222.135 TIME:"2012-07-17 (火) 18:10:46" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%9C%A9%E3%81%8F%E6%96%9C%E9%99%BD%E3%81%A8%E8%8F%AF%E7%87%AD%E3%81%AE%E6%9A%81" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"