作者:[[イノシア]] &color(red){※この作品には官能表現(&color(White){強姦};)が含まれます。}; **真夏の夜と肝試し。 [#c85a4c27] 退屈だ。それに暑い。蒸しっとしたこの世の中どうにかならないものだろうかと。ここら一帯は森ん中だから、夜になれば一応は涼しくはなるんだろうけど。それまでの辛抱すら何だかたるい……。 しかも僕らゴーストタイプは大抵は昼間に睡眠をとるもの。トレーナーに飼われてるのは知らないけど、野生のゴーストはみんなそういう暮らし方。 だからこそこのうだるような暑さは堪えられない。暑い。寝れない。眠れない。 「ロトム。エアコンになってくれない?」 隣でくるくる回りながらケラケラとにこやかな顔を浮かべているロトム。様々な“でんかせいひん”に化けることが出来るこいつは、メタモンもびっくりの変貌っぷりだ。その“でんかせいひん”以外にはなれないのが欠点といえば欠点だけど。 「ケケケッ。アイニクト オレハ エアコン ニ ナレネーンダヨッ。デキルノハ センプーキ クライダゾ。ケケッ!」 「センプーキでも何でもいいからこの暑さどうにかしてよ」 不愉快な笑い声を館内に響かせながら、ロトムは楽しそうに言う。何故かは分からないけれど、こいつは暑さとか寒さとか諸々感じない。 だから僕が暑い、寒いとか言っててもこいつは笑うだけ。それが結構鬱陶しい。 僕の言葉を受け入れたのか、ロトムはぐにゃりと姿形を変える。円の中に羽が三つ。それがくるくるとまわると風がくる仕組み。もともとは人間が作ったものらしいけれど、そんなの知らない。興味ない。エアコンよりはまだ生暖かい風がくるけれども、ないよりマシ。 「ケケケッ。サナガラ ニンゲン ノ テイタラクップリダナア。ケケケッ」 「うるさいな。僕は快適な睡眠タイムを満喫したいだけなんだよ」 「ケケケッ。ハイハイ。ソウオモッテオキマスヨ、ケケッ」 ロトムはそう言って形を元に戻してどっかへと向かおうとする。無いよりも有ったほうがマシなのに。ったく。 「ウルサイヤツハ、トットトタイサーン! ケケッ!」 相変わらずの気まぐれというかなんと言うか。まあうるさいのを我慢して涼しさを満喫するよりも、こうやって静かな中で寝る方がいいかも。 風もある程度は出てきたし。これなら夜までぐっすり眠れそうだ。 「アツイヨー! アツイヨー! マナツハ アツイヨー! ケケケッ!」 前言撤回。あいつはどこにいてもうるさい。これじゃあ快適どころか劣悪な環境だ。ああ~もうあいつを起こすんじゃなかった。 後悔してももう遅かった。ところどころ破けた黒と赤のカーテンを恨めしそうに見つつ、僕は無理やり目を閉じて寝に入るのだった。 「ねえ……やっぱり止めておこうよ」 「大丈夫。何があっても俺が君を守ってあげるから」 ふと耳に入った言葉。そっと目を開けて目を凝らしてみると、懐中電灯を持った二人組みの男女。いつの間にか僕は寝ていたようで、日はすっかり落ちていた。もう僕らが活動をする時間だ。 ……ロトムはどうなんだか知らないけど。 男の方は眼鏡を掛けてて、ちょっと細めの体型。やけに自信過剰なそいつとは裏腹に、怖がって男にしがみ付いている女は、ロングヘアーの茶髪染め。懐中電灯もご丁寧に持ってきて、しかも「やっぱり止めておこうよ」という女の方の言葉からして、恐らくここにきている目的は……。 「それにこれはただの肝試し。いくらここが『出る場所』だからって、そんなに頻繁に出てたらこんなボロい場所撤去されてるよ」 「でも……」 男の方は完璧に僕らを無礼(ナメ)てる。大体頻繁に出るからこそ誰もが怖がって近寄らないんだし、不気味がって撤去しようとしないんだよ。なによりも自分の言ってることに矛盾が出来てるのに全く気づいてないのが滑稽だった。女の方は怖がって何も言えないみたいだけど。……まあ怖がってくれること自体が僕達にとってちょっとした楽しみでもあったりするんだけどね。 肝試しなんだから、ちょっとばかり手伝ってあげようか。それに折角ここまで来たのに、何もハプニングがないまま帰ってもらうのも何だし。ねえ? 僕はゆっくりと二人の背後に近づくと、これから二人がするであろう恐怖と驚きに満ちた表情をするのを頭の中に思い浮かべながら、男の肩を軽く突ついてみる。勿論その後はさっと物陰に隠れて様子を窺う。この焦らしがまた最高に楽しい。 「……?」 辺りをきょろきょろと不安げに見回す様は、やっぱり見ていて面白い。こういう自信過剰なのに限って意外と怖がりなのだ。そのプライドの壁を壊す瞬間が堪らない。 でもその前にその壁に事前にいくつかの穴を開けておかないと、上手く綺麗に崩すことは出来ないんだ。だから、こうやって段々と恐怖の感情をわき上がらせることが重要。 「ど、どうしたの?」 「い、いや。なんでもない。なんでもないんだ……」 ほらほらほら。段々と顔が青ざめてく。一人よりも二人の方が片方の恐怖が伝染するから、次第に女も男の表情に気づいたらしく、不安を隠しきれない状態になってる。 これが面白いから止められない。元々は僕らゴーストタイプのポケモンの住処だから、縄張りに侵入した人間を追い払っていただけなんだけどね。それがいつの間にか楽しみになってるけど。 「その割には声……ふ、震えてるじゃない」 「だからなんでもない!」 男の方は見るからに怯えていて、さっきの威勢はどこへやら。しかも女の方を守るどころか、怒声なんか発して情けない。結局それだけの肝っ玉ってことだね。 さて、と。いつまでも生殺し状態だと彼らにも悪いから、ちゃっちゃと驚かせて追い出してしまおうか。 僕はゆっくりと男と女の向かい合っているその間。つまり二人の真正面に現れてみた。振り返ったら後ろにいるとか、そんなベタな驚かせ方はしない。目の前にいきなり現れるのもまた、僕なりの驚かせ方なのだ。 「で、出たぁあああああああああああ!」 と、大げさな(僕にとってはそう感じた)声を上げながら、男は一目散に出口の方へと向かっていってしまった。途中足を踏み外して階段から転げ落ちてしまったみたいだけど、その後もドタドタと騒がしい足音が聞こえたから生きてはいるみたい。 「…………」 で、困った問題がある。男に哀れにも取り残されてしまった女。床にへたり、としゃがみ込んだまま、一向に声を上げようとしない。まるで鯉のように口を空でぱくぱくさせながら、ただ僕の方を見ていた。 稀にいるんだ。こういう人間。恐怖のあまりに声も出せないばかりか最悪固まってしまって。そしてしばらく経つとお決まりのように……。 ――ドタッ。 っと、倒れこんでしまう。こうなってしまうとどうにもこうにも僕にはどうすることも出来ない。 運ぶにしても僕の力だけじゃどうにも運べない。サイコキネシスとか便利な技があればすぐに運べそうだけど、生憎僕は覚えてないし。 面倒なことになった、と僕は軽くため息をつくのだった。 どさり、とやつれたベッドの上にその女性を勢いよく乗せた。僕一人で運んだわけじゃない。そもそも中が綿で出来てる僕がこんな重い人を運べるわけ無いじゃないか。 ここまで何とか運べたのは、ロトムのおかげ。僕が足元を持って、ロトムが背中の辺りを支えながらこの寝室まで運んできたはいいものの。……って、なんで寝室? 「ねえ、ロトム。何で寝室なんだい?」 「エ? “コウビ” デモ スルンジャネーノ? ダカラ キゼツ サセタンダロ?」 呆れた。僕がそんなふしだらな理由で気絶させたんじゃないってこと、こいつも分かってるはず。 そもそも気絶させるために驚かせたんじゃなくて、追い出すために驚かしただけ。そこのところを勘違いされても困るんだけどな。 「人間相手に僕が欲情するわけないじゃないか。はあ……今度は出入り口まで運ぶよ、ほら、手伝って」 しかしその言葉はロトムには届かなかった。 ロトムはケケケッと笑いながら自身の姿を歪な形に変化させると、そのまま未だに気絶している女性に近づいていく。 「な、なにしてるんだよっ……!」 「ケケケッ。コノママ コイツヲ カエシテモ、オモシロク ネーダロ?」 面白いとか面白くないとかそういうことじゃなくて。細長い棒状の形、しかもところどころ凹凸になってて、それが小刻みに震える物に変化したロトム。 あんまりこういうのいいたくもないし口に出したくも無いけど、ロトムは明らかに卑猥なものになっているのは確かだった。 「……んっ」 寝ているのに、股ぐらにロトムが引っ付いただけで声を漏らす女性。その甘ったるい声に僕も少しだけ反応してしまう。その様子を見てか、ロトムは更に調子付いた。 「ホラ、オマエモヨクジョウシテルンダロ?」 「ぼ、僕がそんな人間の雌なんかに……」 ロトムの挑発に乗ってしまったのがそもそもの間違いだったと、僕は彼にそう叫んでから気づいた。女性はいつのまにかロトムによって身包みをはがされていて、一糸纏わぬ状態になっていた。 そして彼が刺激し続けている濡れそぼった股の部分。そこを直に見てしまったものだから具合が悪い。現に僕の雄は確実に反応してしまっていて。 「くそっ……なんで……」 「サイキン オマエ メスニ ニゲラレテ バッカリデ、ゴブサタ ダッタダロ?」 ロトムにそこを言われると腹が立つ。確かに最近は雌に声をかけても逃げられるばっかりでなかなかに処理できないってこと多かったけどさ。そこを今ついてくることないじゃないか。 ……ってああ……なんか甘ったるいにおいを嗅いでたら、体が火照って……。 「ホラ、ヤッチャイナ。ケケッ……」 そのロトムの悪魔のささやきにも似た言葉に促されるように。僕は女性に向かって歩き出してしまっていた。 「あっ……ちょっとあんたら何やって……んっ」 その頃にはもう女性は起きてしまっていて。それでもロトムに陵辱されていて、断続的に流れ込む快楽でろくに逃げられもしない状態になっているみたいだった。 「何を……っ……んん」 僕はゆっくりと女性の首の辺りに座り込むと、いきり立った逸物を彼女の口の中に差し込んだ。 柔らかい口腔のなかで揉まれるような感覚を久々に味わって、頭の中が満たされるような気分になった。でも、これじゃ足りない。もっと。 「む……んっ……んんぅ」 抵抗しても無駄だとでも悟ったのか、僕のものを噛んだりすることなく素直に口の中で転がす。 なんだ、手馴れてる感じじゃないか。 「ケケッ。ナンダ カンダ イイツツ、タノシンデルジャネーカ」 「うるさいな。君は黙って自分で楽しんでればいいじゃないか」 「……ケケッ。イワレナクトモ」 ロトムはそういうと更にその震えを加速させるばかりでなく、秘裂に出たり入ったりを繰り返し始めた。その度に彼女は喘いで、身体を震わせながら足を力なくばたつかせる。 きっと駆け巡る快楽から少しでも逃れようとしているのだろうけど、それは無意味に終わるだけ。それよりも僕のものを刺激する口の動きが鈍くなってきたから、僕自身が彼女の面前で腰を前後に振ってみる。 「はははっ……。凄く、気持ちいい」 彼女に言うでもない。ロトムに言うでもない。ただ自分の口から漏れたのは快楽に対する感想それだけだった。一度腰を振り始めると、そこからはもう止まらない。 僕が満足するまで僕は彼女の口の中で逸物を刺激するために腰を振り続けて、人間に欲情しないなんて強気の発言なんて忘れた。ましてや、この女性の末路なんて気にする余地はない。 ただ一心不乱に、彼女の艶の帯び始めた喘ぎ声を耳に通しながら。僕はケダモノになっていた。 「うっ……」 でもそこまでの刺激を与えられ続ければ、当然出るものは出る。身体全体に電気のようなものが走ったかと思うと、ジュ、ジュ、と彼女の口の中で子種が吐き出される音が鳴った。僕も今まで自分で処理なんてしてなかったから、余計にその量は半端ないもので。 彼女は口に入りきらなかった分を不快そうに口から吐き出した。白濁としててどろどろとした液体。それがやつれたベッドのシーツの上に広がって染みを作っていく。 でも元々そこまでしっかりしたものではなかったし、誰も改修なんてするわけないから布の破れた隙間からだんだんと下のほうに落ちていってしまう。 「はあ……はあ……」 口の端に唾液と子種の交じり合った液体の跡を見せながら、うつろな目で僕を見つめてくる女性。 まるでそれはこれ以上の行為はしたくないという無言の訴え。 「ああっ……!」 でも、その言葉は僕には届かなかった。ケダモノになった僕には。 そのまま下のほうに下がっていって、濡れそぼった秘裂に向かって舌を這わすと、彼女は身体を大きく仰け反らせた。 ロトムがいなくなってることなんてお構いなし。彼は元々はそういう性格なのは僕も理解してるし、勝手気ままに行動する奴だから、飽きてどっかに行ってしまったんだろう。 考え事してたらいつの間にか舌の動きが鈍ってた。さて、そろそろ本番にでも。 「い、いや……ちょと……そこはっ」 いくら攻め立てられてても、自分の大事な場所を犯されることに抗議の声を上げる気力はまだ残っていたらしい。でも、僕の動きは止まらなかった。自分でも抑えられないくらいに自分の体が火照りきってて。 僕はゆっくりと彼女の両足を横に広げると、再び膨らみ始めた雄を陰唇に宛がう。 ここでわざわざゆっくり差し入れてしまうことも無い。いっその事一気に入れてしまおうか。 「あああっ!」 僕の雄が彼女の膣にずるりと入り込む。何のためらいも無く入れたそれは彼女には苦痛でしかなかったようだ。 でも、僕は彼女のうねりを上げる膣壁の柔らかさとそこから来る刺激に恍惚とした表情を浮かべていたに違いない。 挿しただけでは勿論終わらない。まずはゆっくりと緩急をつけて腰を前後に振ってみる。 「いたっ……あっ……つっ……!」 痛みを訴えながらも所々に甘ったるい声を出すってことは、だんだんと感じてきているんだと思う。 僕はこれだけでもちょっと刺激が強すぎて腰が砕けてしまいそうな感覚になってる。 膣壁は柔らかいのに、時々締まってなんとも言えない抱擁感が更に興奮させてくる。 「いっ……あっ…はっ……」 「凄い……ちょ……半端なさ過ぎて……」 僕も段々と興奮が隠せなくなってきて、ハッハッ、と荒い息を寝室に響かせてしまう。いや、そもそも別段隠す必要なんてないんだ。淫らな行為に遠慮なんていらない。 で、でも。なんか段々と腰が砕けてきてて満足に腰が……。ふと自分の体に目を向けると、彼女の汗やら愛液を僕の体が吸収してしまい重くなってしまっていた。 これじゃあ楽しむに楽しめないじゃないか……くそ。 途端に背中に柔らかい毛布が当たる。目の前には先ほどと変わらない女性と僕の体が交わってる部分が見える。でもさっきと決定的に違うこと。それは……。 「……って、ああっ!」 「もっと……はあ……突いて……」 彼女は僕の上に跨って体を上下に動かし始めていたのだ。あまりに咄嗟の出来事であっさりと主導権を奪われてしまった僕は、攻めに転じた彼女を受け止めるしかないのだろうか。 「くっ……あぅっ……」 僕は僕自身の喘ぎ声を聞いて頭がおかしくなりそうだった。 いつの間にか彼女が僕を攻め立てていて、そして果ててもまだ行為は続いてる。 段々と声さえも出せなくなって、次第に薄れていく意識の中で、僕は……。 虫たちの鳴き声が耳にそっと聞こえてきた。 仄かな月明かりで目を覚ました僕は、急いで辺りを見回す。 所々破けた暗幕。硝子の割れた小窓。そしてその出窓の縁に僕は居た。 そこは確かに僕が昼間寝ていた場所だった。間違いなんて無い。 まさかあの後彼女がわざわざここまで移動したなんて考えにくいし……。 「まさか……夢?」 夢にしては感覚とかが凄い鮮明に残ってる気がする。それともこういう夢を今まで見ていないから分からないだけなんだろうか。 自分の雄を口の中で転がされたときの刺激。 必死にそれを求めて腰を振ったときの快楽。 そして、彼女の中に入れたときの充足感。 どれをとってもやけにリアルすぎて何だか夢だったのかそうじゃないのかすらの判断が出来なくなっていた。 ふと、そんな混乱した僕の耳に、何かが聞こえてきた。 「ねえ……やっぱり止めておこうよ」 「大丈夫。何があっても俺が君を守ってあげるから」 普段なら僕が追い出すところ。 でも、今だけはそっとしておいた方がいいのかもしれない。 ...End ---- あとがき。 何のポケモンかは後で出しますと書いたはいいものの、結局物語の中では出せずじまいでした。 主人公(語り手)のポケモンは「ジュペッタ」です。あのお人形さんの。 ジュペッタは高さが公式表記で1.1mなんですよね。抱き枕に出来そうです。 十条さんがゴーストタイプと人の絡みってないよね、的なつぶやきを聞いてその話に私が乗った形ではありましたが、 リクエストという形で受けさしていただきました。 元々夏にぴったりな短編作品を書こうとしていたので、そこでゴーストタイプが出てきてくれたのはある意味でいいタイミングでした。 いいカップリングをありがとうございます。 ---- #pcomment(コメント/真夏の夜と肝試し,10,below)