[[狸吉]]作『からたち島の恋のうた・豊穣編』 第01回1レス小説大会投稿作品 ---- ※注意書き※ ・本作は非官能作品です。性器描写や性交場面は一切ありません。 ・性描写と呼べるものはキスシーンがせいぜいで、それも至って儀式的なものに留まっています。 ・本当ですってば。 ---- ○ シャラン! シャラン! シャラン! 貝殻の鈴の音が、岸壁に厳かに響く。 そこは遥かな海の岩棚にぽっかりと空いた洞窟の奥深く、誰とも知れぬ&ruby(いにしえ){古};の者の手によって築かれた白亜の神殿。 普段はただ静寂のみが支配しているはずのその空間は今、華やかな祭りの喧噪で賑わっていた。 4年に一度、近海に住むパールルやシェルダー、パルシェンの若者たちが集い、生まれて初めてその身に宿した〝処女真珠〟をこの神殿の主に捧げる祭り――〝白珠の奉納祭〟である。 ○ ランターンたちの灯す光りに照らされた、神殿中央の大広間。 そこでは大勢のうら若き貝ポケモンたちが輪になって並び、自らの殻を打ち鳴らして舞を踊りながら、神の降臨を待っていた。 ある者は、ただ祭りの空気に恍惚と酔いしれて。 ある者は、早くこの面倒な儀式を終わらせて宴の御馳走に有り付きたいという憂鬱な機嫌を顔に浮かべ。 ある者は、生まれて初めての大祭への不安と神への恐れで表情を固く強ばらせ。 そしてある者は、我こそがこの祭りで一番の真珠『花珠(はなだま)』を神に捧げるのだという自信に溢れながら。 それぞれの思いを込めて典雅に舞い続ける、その踊りの輪の頭上で―― シャララララン!! 鈴なりに吊るされた古い貝殻たちが、一際大きな音を震わせた。 荘厳に鳴り響く鈴の音の中、広間の天井付近の中空に突如として裂け目が走り、そこから空間が縦一文字にゆっくりと切り裂かれていく。 踊りを止めてひれ伏した貝たちの頭上で、開かれた裂け目から白い巨大な顔がぬらり、と現れた。 矢尻のように尖った鼻先と鰓の張った顎。硬く光沢のある頭を支える首は長く太く逞しく、白磁の肌に紫の筋が力強く脈打っている。そしてその根元には円く張り出した両肩に飾られた二つの巨大な真珠。 〝パルキア〟――空間の神にして真珠の王。そしてこの神殿が祭る神の、顕現だった。 完全に表した姿を、ズシン、と貝たちの輪の中心に降り立たせると、雄大な首を巡らせて、真紅の瞳で貝たちをじっくりと眺め回していく。 舐るようなその視線が、輪の中から一匹のパルシェンを捕らえた時―― 突如パルキアはその首を隆々と屹立させて、グハァァァ……ッ!! と喜悦の吐息を天高く漏らした後、固い殻に覆われた両腕でパルシェンをがっしりと掴み、軽々と抱き上げた。 あああぁあぁあぁあぁぁぁぁぁぁ~~~………… 神殿にこだまする喘ぎは、選ばれたパルシェンの歓喜の雄叫びか、あるいは残された他の貝たちの羨望の呻きか。 パルキアは首を弓なりに曲げ、腕の中で震えるパルシェンの、恐れと恥じらいで堅く閉ざされた貝殻の隙間を覗き込むと、興奮に張り詰めて鋭く光る鼻先を差し込み、こじ開けた。 くぱぁ……と開かれたパルシェンの内から、ポタリ、ポタリとこぼれ落ちた滴は、汗か、涙か、それともパルキアの顎が漏らした涎か。 白銀に輝く首がしなやかに律動し、柔らかな肉襞を押し広げ、奥へ、奥へと潜り込む。 うねり、蠢きながら、グチュグチュと音を立ててパルシェンの内を探り、そして―― ビクッ!! っと全身を戦慄かせた後、おもむろにパルキアは濡れぼそった首をパルシェンから引き抜いた。 月の滴((真珠の別称。精液ではないw))が、その口先で白い輝きを放っていた。 一点の曇りもなき純白の真円。眩いばかりのイリデッセンスの煌きで、神殿を鮮やかな虹色に染め上げる。 花珠――そう呼ばれるに相応しい、正しく極上の真珠がそこにあった。 見事な花珠の収穫に大いに満足げな表情を浮かべたパルキアは、再び首を天井高く突き上げ、 パルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ッ!! と雄叫びを上げると、咥えていた花珠を、ゴクリ、と飲み込んだ。 両肩の真珠から壮烈な光りが迸る。花珠は神の糧となったのだ。 神力を補充し終えたパルキアは、ぐったりとしているパルシェンをそっと優しく床に降ろし、宙に飛んで空間の裂け目へと舞い戻る。 静かに裂け目は閉じて、痕跡も残さず消えていった。 ○ 選ばれなかった貝たちの処女真珠は、大広間を見下ろす祭壇の盆の上に供えられた。 いずれもあの花珠には及ばない――さすがに神の見立ては確かである――とは言うものの、素晴らしい出来栄えの真珠ばかりであった。 その輝きを肴にして、大勢の海辺のポケモンたちが楽しげな祝宴にひととき花を咲かせ―― やがて、ランターンたちが灯りを落とし、洞窟の神殿は常闇と静寂の中へ還って行った。 ---- 「……とまぁ、何とも荘厳な祭りだったぞ……ん? どうしたガキども」 女房のコネで見物しに行った水ポケモンの大祭の話を家の毛玉どもにしてやったところなんだが、なぜか揃って様子がおかしい。 息子の方は股間を押さえてうずくまっているし、娘の方も真っ赤になってそっぽを向いて、 「とーちゃん、エロいよその祭り」 と頭を掻きながら言い出す始末。 こいつら、パルキアがパルシェンの中に首を突っ込んだ様を聞いてそういう風に思うなんて一体どこで教わってきてやがるんだか、と内心呆れつつ、 「そうか?」 と、オレは額を掻いてごまかしたのだった。 ---- ○あとがき 1レス小説大会に投稿した時には『白玉』でしたが、花珠と表記を統一するため『白珠』に改題しました。 家の近くに、御神体が巨大な男のアレ型の神社と、同じく御神体が巨大な女のアソコ型の神社があります。 子作りの儀式というのはエロチックであると同時に神秘的なものでもあり、故に宗教的儀式にもエロスを感じるものがあるのも当然でしょう。 ……でもこの祭りはエロくないもん! パルキアが空間の裂け目が出てくたところが社会の窓から顔を出したアレのようだとか、パルシェンの濡れた肉襞がどうこう言うのがどう見てもアソコの描写だとか言うなwww ちなみに僕は本作まで伝説ポケモンを書いたことがありませんでした。初伝ポケがこんな扱いでいいのかwww 追加シーンの子供たちは、まだ名前もないイーブイだった頃の想矢と久連です。 もたついている間にとうとう故マッスグマ父ちゃんまで出てきちゃったよ。 【作品名】 白珠の奉納祭 【原稿用紙(20×20行)】 7(枚) 【総文字数】 2078(字) 【行数】 59(行) 【台詞:地の文】 3:96(%)|65:2013(字) 【漢字:かな:カナ:他】 38:50:9:2(%)|792:1053:188:45(字) ---- 蓮花「…………」 (物思いげに追加シーンを熟読中。そっとしておいてあげてください) #pcomment(白珠コメント帳)