作者らしき人物:[[ニケ>Nike]] いつぶりなんだろうか… 懐かしい…はい、すいません戯言です。 *甘く輝く月 第六夜 [#n383ee3b] そよ風が気持ちいい。 『…そうだな…』 足が草を踏みしめている。この感触は久しぶりだな。 『…まぁな、懐かしいな…』 まるで森みたいだな。 まるで…みたい? どこに居たんだっけ? 『覚えてないのか?』 …あぁ、宿か。トバリについたんだったな。 じゃあ何でこんな所にいるんだ…? 『眠りに堕ちた後に広がる世界』 …夢、だな…。 周りを見回すと大きなコケに覆われた岩があった。 あの岩の話を誰かに教えてもらった気が… 『………』 誰に教えてもらったんだ?教えてくれ! 『…さぁな…』 おい、まてよ! …ココにいない誰かに… ガバッ! 布団を跳ね除け飛び起きた。なんだか変な夢を見たな…。 妙にリアリティのある夢だった。少し気分が悪い。 「…う~ん…。…ハッ!」 俺が起き上がりそれに気付いたのか 隣でレアが飛び起きて俺の顔を驚きの目で眺める。 「な、なななななんで私ここで寝てるんですか!?」 「お前が入ってきたからだろ」 「え?………なんででしたっけ?」 「覚えてないのか?」 「う~ん…」 どうやら昨夜のことは覚えてないみたいだな。 都合がいいから昨夜のことは無かった事にするか。 そう思ってベッドから降りると後ろからレアが声をかけた。 「なんちゃって。覚えてますよ」 え? 振り返るとレアは意地悪そうな笑みを浮かべていた。 「ラックさん。もしかして水に流そうなんて思ってたんじゃないですか?」 ぐ、レアに心を読まれてしまった…。こいつなんかに読まれるとは… しかしなぜ覚えているんだ?泥酔していたはず… 「実は昨日お酒飲んでたら大胆なことがしたくなったんですよ。 それでラックさんに…。…告白とキスしただけですよね?」 お前はそれ以上に何をするというんだ。 というかなんで覚えてんだよ。記憶飛べよ! 「ということは…今日から私たちカップルですか?」 レアが勝手に話を進める。まあしかし事実そうなるのである。 レアとカップルか…。悪い気は、しないな。変な感じだが… 「けど、いいのか?俺なんかが彼氏で?」 「あ、えっと好き…だよ。ラックのこと…」 「いや、そうじゃなくて…」 てか喋り方変わってるし… 「信じられないなら、私とやる?…」 オイオイオイオイ!! 「お前奴隷の頃の感覚で喋るな!!」 「また、そんなぁ。大体私からは誘いませんでしたよ。奴隷の頃は」 ……… 「今は違うのか?」 「今は私から誘います」 ……… こういう時どう反応すればいいんだろう…。困ったな…。 思いつかない… 「じゃ…じゃあ、今日は遊びにでも行くか?旅休んで」 「…っ…ぷっ………」 ……………… レアがいきなり噴出した。え?俺なにか変な事言ったか? 「…くすっ…!!!あははははははは!」 突然レアが大爆笑し始めた。 ほんと変なこと言ったか? ---- 「起きて。パパ起きて」 「う~ん、あと10分まって、アルテミスゥ…」 「ねえ、パパ、ぼくロイだよ?」 …はっ! 一瞬の間をおき飛び起きる。 此処がイルの家だということを忘れていた。 うっかり自分の子供を弟の名前で呼んでしまった…。 …うわっ!はずかし!! 「パパ、朝ごはんだからってママが呼んでるよ?」 「うん、わかった。先に行ってて」 布団から起き上がり伸びをする。 うーん…僕がイルの夫であの子ロイが息子ねぇ…。 「実感わかないなぁ…」 そりゃそうか。 昨日まで憎まれてると思ってたイルから結婚してといわれ 子供も結構大きい…。 まぁ一緒に過ごせば慣れてくるか。 って言ってもゆっくりしてられないんだよなぁ。 …アレ? 何でゆっくりしてられないんだっけ? 忘れちゃった… ---- あー…もう腹が減ってきた やばい鳴る。 ぎゅるるるるぅぅぅ… 「ラックさん、お腹なってますよ?大丈夫ですか?」 誰のせいだよ。ホントに 「なんで朝飯の10分後から腹が減ってんだろうな」 「もしかして、私のせいですか?」 「え?別に昨日渡してやった大金全部使い果たして 帰ってきて酒飲んで牡誘惑した挙句彼氏に仕立て上げ 朝から自分の分と兄貴が居ない分の朝飯と 更には俺の朝飯の98%を一匹で食べつくした 牝が原因なんて一言も言ってないけど?」 「そうですか。よかった」 って嫌味効いてねえし! お前のせいだからな! …怒ると余計に腹が減る やめとこ… 「ところで何処に向かってるんですか?」 「もう少しだから」 ………あ、レアが黙った。何か悪いこと言ったか? 渋々すいた腹を抱えつつ歩く。街を抜け、近くの森に入ると大きな木が見えてきた トバリの裏ポケモンだけの街の入り口の大木にたどり着いた やはりどこでも入り口にはケーシィやらがいるらしく ここにはユンゲラーが浮遊していた。 「ナギサの東から来た。開けてくれ」 「…少し待て…ナギサ東と交信中だ…」 交信中か…。意外に長いんだよなこれ。 ---- ああ美味しかった 最近アルテミスの料理(節約バージョン)しか食べてなかったからね 久々に満足したよ 「ご馳走さま」 食器を流しに持っていき洗う 久しぶりだなぁ ここで最後に洗い物したのはいつだったっけ? そんな事を考えているとロイが危なっかしい動きで食器を持って来る なんだかよちよち歩いてる所が 可愛い!! なんとか落とさずに持って来た食器を僕が念力で受け取る 「パパありがとう」 ロイが満面の笑みでお礼を…!! 危ない危ない。 僕が食器を落とす所だったよ… 早く洗い物終わらせて抱きしめたい 僕の子供だから波長も僕に近いのかな? 僕の波長?…ア!! アルテミスとレアちゃんの事忘れてた… ---- ~あれから五分後~ 「まだか?」 「…」 「…もう少し待て…」 ---- そのときあたしはトバリに向かって走っていた。 聞いた話だと彼は二日前に出て行ったらしい。 あたしに一言も告げずに居なくなるなんて… おかげで見事に置いて行かれたじゃない しかも二匹も雌を連れて行くなんて …こうなったら今度こそ仕留めて…やろうかな? …なんであたしいつもここで迷うの…? ---- ~さらに五分後~ 「流石に長くないか?」 「………」 「向こうのケーシィが眠っている…まぁ待て…」 ---- 〜それから十七分後〜 「わぁ…」 とレアが感嘆の声をあげる。俺たちは街の中にいた。にしても約30分も待たされるとは思わなかった…。 「ラックさん、ここって何ですか?」 まあレアは疲れより好奇心の方が強いみたいだから心配は要らないだろう。 「ここはポケモンだけの街。人間は絶対に入ることのできない場所だ」 そう前置きをして輝いた目で周りをきょろきょろと 見回しているレアにいろいろなものを説明した メインストリートの左右にズラリと並ぶいろいろな店 銀行、道具屋、鑑定所、道具倉庫、カフェ、専門店、レストラン、家具屋、雑貨店、その他の店 街の上空でソルロックが朝の日差しを使って 夜は代わりにルナトーンが月の光で照らしてくれる。 意外にも高額の給料を貰っているらしく金持ちらしい。 まぁ、使い道があるかどうかは別の話だが… 一通り説明した後でレアを開放する。すると自分が一番興味のあるところ。 即ちカフェやレストランなどの前を徘徊し始めた。 それを見て邪魔をしないほうがいいな、初めてで楽しそうだし そう思いレアに喫茶店にいるとだけ伝え好奇心旺盛に街を探索するレアを見送った ---- 私はまた周りをグルリと見回した。見たことのない街が楽しくてしょうがない。 この街には私の知らない物がたくさんあって、飽きることがない。探せば探すだけ新しい発見があるのだから。 時間も気にせずいろいろな店や建物、物を見物していた。 すると、一瞬呻き声のような声が聞こえた気がした。 周りを見回すと建物と建物の間で蹲って呻いているウィンディの姿が目に映った。 とっさに近づき声をかけると彼は 「す…すまないが、俺を家まで支えてくれないか…?…病気が急に悪化したみたいで…」 と答えた。 私はすぐさま彼を支え家があるという方向に歩き出した。 そして彼の家に着きベッドまで運んだとき。 罠だった。彼は豹変し私を掴みあげるとベッドに押し倒した。 「ははっ!引っかかりやがった!たっぷり遊んでやるぜ!?」 そう叫ぶと別の部屋から目をギラギラ光らせたガーディも2匹やってくる。 体が恐怖で強張り身動きが取れない。声さえ、小さな悲鳴さえも上げれなかった。 …また…逃げれなかった… ---- ちょうど家が視界に映る場所で黒いフードを顔が見えないくらいにすっぽり被る。 「…やってるねぇ…」 そう呟くと屋内からばれないように窓に近づき耳を澄ます。 すると家の中からは雌の喘ぎ声が聞こえてくる…。 この声は多分彼女の声だ。しかし、この状況にも困ったものだ。 折角苦労して見つけたというのに死んでもらっては困る。代わりはいないのだから 聞いたところによるとここらの連中は‘犯ったあとは消す’がモットーらしい。 その話を裏付けるかのように足元には焼け焦げて形さえ分からなくなった焼死体がゴロゴロと転がって異臭を放っていた。 『私はさっさと突入して彼女意外は全員皆殺しにして差し上げればよいと思うのですが?』 頭の中に響いた声にこたえる 『僕はあまり目の毒になるものは見たくないんだよ。大体レディがそういう言葉遣いをするのはどうかと思うな』 『世の中は綺麗なものだけで出来ているものではありませんよ?そう言う貴方だって先ほどあの方たちを血まみれに仕立て上げたではありませんか』 『………分ぁりました。やりますよ。やります。やりゃいいでしょ』 言われるがままにしょうがなく窓を割り中へ飛び込んだ。…やはりこれは目に毒だな。 ---- やっぱり一人で行かせなければよかったな……… そう思いつつ通り過ぎる店の店内を一軒一軒眺めながら街の通りをふらふらと歩く。 既にソルロックからルナトーンに交代し辺りは青白い光で照らし出されている レアがいつまでたっても帰ってこないので喫茶店を後にしたのだ 通りにある店を全て見終わってどこにいるのか首をかしげていたときだった 街の上空を屋根から屋根へ飛び移る黒いフードを被った二人組みがレアを抱えて飛び去るのが見えた。 一人は普通に屋根の上を飛び移っているがもう一人はよく見ると浮遊している。 そしてその二人が街の出口に向かっていることに気付き後を追いかけた。 ---- 街から出ると辺りは暗く見通しが悪い。夜行性のポケモンや特殊な能力で周りを認識できるポケモン達には どうも無いのだろうが普通のポケモンにとっては月の出ない闇夜だった。 二人組みは一度近くの茂みに隠れ、片方は腰を下ろした。 そして片方は抱えていたリーフィアをゆっくり地面に降ろし ローブを脱ぎ捨てるとそこにいたのはルカリオだった。 「この後どうするんだい?何かに追われているのは気づいているだろう?」 そのルカリオがもう片方のポケモンに問いかけた。 するとそのポケモンもルカリオが脱いだローブにチラリと目をやり自分もルカリオに習いローブを脱いだ。 「あなたが返り討ちにして差し上げればよいのではありませんか?」 ムウマージが何の躊躇いも無くそう言うとルカリオは嫌そうな顔をした。 「僕にレディを抱えたまま闘えと…」 「私が預ります」 間髪いれずそう言ったムウマージに更に嫌そうな顔をしたルカリオは渋々レアをその場に下ろす。 「厄介ごとは全部僕の仕事なんだ…」 悲しそうにそう呟いて立ち上がると先ほど走ってきた方向を向き走り去った。 ---- 今夜は新月。月明かりの無い夜は調子が悪い 月光の恩恵は案外大きいという事を今日身に染みて感じた 体調の優れない今夜戦うレアの誘拐犯がよりによって格闘タイプとは… 目の前に立っているのはルカリオ。見事に格闘タイプだ 認めたくないが勝ち目が無い しかしこいつを片付けない限りレアにはたどり着く事ができない こうなったら会話で注意を反らしてその隙に騙し討ちで逃げるしかない そう決めて俺は目の前のルカリオに話し掛ける 「お前、なんでレアを誘拐した?」 「誘拐?人聞きの悪いこと言わないでくれるかな。僕は彼女を迎えに来たんだ」 迎えに来た。レアを迎えに来る必要があるやつらなんてなかなかいない。 そんな事をするのはやはり人間であろう。逃げ出した奴隷を捕まえに来てもおかしくは無い。 「レアはどこにいる?もう片方の奴と一緒か?」 そう言うとルカリオは‘知らないよ’と言うかのように肩をすくめる。 その仕草に神経を逆撫でされた俺の表情を見て楽しそうに微笑する奴に更に腹が立つ。 そのルカリオは逃がした仲間の時間稼ぎをするためかその場に座り込んだ。 これなら多少タイミングがずれても何とか逃げ切れる、そう思った。 「これくらいハンデをあげないと不利だからね」 しかし違った。俺の作戦は相手に読まれ、更にハンデまでも与える。つまり相当自信があるのだろう。この作戦はもう使えない。 こうなったらしょうがない…。一番やりたくなかったが… 「おい、お前。勝負しろ!」 俺は目の前のルカリオに勝負を仕掛けた。 強い その一言だけでこいつは表現できない何か普通とは違う強さを感じる。 使う技は普通と変わらない。しかしその身体能力。計り知れない。 いくら波動を感知し予測できるといっても、自身がついていけなければ何の意味もない。 しかしこいつは違う。こちらの攻撃を予測して騙し討ちすらもかわされる。 更には止まることなく走り続けかく乱する。これでもまだ本気を出していないことは表情から安易に読み取れる。 俺はただひたすら相手の攻撃をかわし続けた。かれこれ2時間半ほど戦っていただろうか…。 そしてとうとう俺は体力を使い果たしその場に座り込んでしまった。 息は荒く、足には限界が来ていて立つことが出来ず、技を使う力も残ってはいない。 ルカリオはその様子を見てゆっくりと歩いて近づいてきた。 「残念だけど君では僕に勝てないんだ。そろそろ君の死で幕を閉じようか。僕も置いていかれては困るからね」 俺から1メートルほど離れた場所で立ち止まったルカリオは右手を前に突き出した。 その掌に見る見るうちに大量の波動が集まり今までとは比べ物にならない大きさの弾を作り出す。 ‘終わった’そう思った。これは現実であってドラマやアニメではないのだから。 これがドラマだったらどんなに幸せだっただろうか。 ある日偶々出会ったリーフィアと恋をして命を落とす悲しいドラマだっただろうか? それともピンチに仲間が駆けつけてくれて一緒に敵を倒してリーフィアを救う、ベタなアニメだっただろうか? どちらにせよ空想の世界の話だ。 ルカリオの掌にある波動弾の美しい青い光を見つめながら、一瞬でそんな事を考えていた。 「君は逃げ回っていてばかりで見苦しかったけど…、最後くらいは美しく終わらせてあげるよ!!」 …俺の視界は青白い光に包まれた… -------------------------------------------------------------------------------- [[甘く輝く月 第七夜]]はこちら *コメント [#b4468823] - がんばってください -- &new{2009-07-21 (火) 19:58:15}; - 久しぶりですね。[[Nike]]さん、頑張れ! -- [[mini]] &new{2009-07-21 (火) 22:24:13}; - 名無しさん&br;応援ありがとうございます。頑張ります!&br;&br;miniさん&br;本当にお久しぶりです。最近書いてないから鈍ってるかもしれませんが&br;ゆっくりと自分なりに頑張ります -- [[Nike]] &new{2009-07-21 (火) 23:06:08}; #comment(パラメータ); IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 13:49:03" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E5%85%AD%E5%A4%9C" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"