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甘く輝く月 第二夜 の変更点


[[Nike]]

二話目です。
一話目は[[こちら>http://evstudio.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%A4%9C]]

**甘く輝く月 第二夜 [#ded75113]
「…ん、…むぅ…。もぅ朝か…」
訂正する。昼だ。朝はとっくに過ぎている。
台所のほうから家を荒らすような音がする。
カチャ、キン、パリン
誰がいるんだ?
警戒しながら部屋へ近づくと
「あふぇ?あ、らっふふぁんおふぁようふぉふぁいまふ」
なんだ…こいつか…。
「食べながら喋るな」
やっぱりこいつ下品なやつだな…。
レアは俺が昨日作っておいた朝飯と昼飯を食べている。
俺も昼飯を…。
………………。
「おい、レア…」
「?なんれふか?」
「ここにあったパンはどうした?」
「ゴクン。あぁ、それならさっき食べましたよ。美味しかったです」
「じゃぁ、このバスケットに入ってた木の実は?」
「それも食べましたよ」
&size(20){…この女ぁっ…!!};
どんだけ食えば気が済むんだ!
しょうがないとりあえず冷蔵庫の中のものでも食うか。
ガチャ…。
「おい、レア…」
「?ゲフッ」
「冷蔵庫の中のものはどうした?」
「それなら、そのまま食べれるものは食べましたよ?」
「じゃぁ、他の食べれないものはどうした」
「料理しました」
「は?ちょ、もう一回言って?」
「料理しましたって」
恐る恐るぎこちない動きで台所に目をやる。
案の定そこは世界大戦後の焼け野原のような風景が広がっていた。
…絶望的だ…冷蔵庫が空に…。
うちの食料10日分が一晩にして消え去るとは…。
…これぞミステリー…。
「分かった。俺はちょっと、外に用事があるからその間にその台所、片付けといてくれ。頼んだからな」
そう言ってバスケットを持つ。
「はい、分かりました。ご主人さ…あっ」
リーフィアは言いかけて口を塞ぐ。
「いってらっしゃい。ラック…さん?」
「行って来る」
忘れていた。彼女は元は奴隷だったんだ。彼女の過去は闇に満ちている。
彼女はこの闇に苦しんでいる。昨夜も夢でうなされていた。
それほどまでに暗く深いのだろう。助けてやりたいがどうすることも出来ない。
いや、今そんな事を考えても意味は無い。どうせ変わらないんだから。
とりあえず、食料を調達せねば…。
せっかくケーキ作りのために採っておいた木の実を全部食べられてしまった。
俺は森の中の一本の大樹の根元で寝ているケーシィに話しかける。
「ラックだ。エス、開けてくれ」
そう言うとそのケーシィは少しだけ目を開けこちらを見る。
「…合言葉は?…」
「わかったよ。ΞΘΣΠΦΨ」
そう言うとケーシィは念力のようなものを念じる。
すると今までは木の幹だったところに
大きな穴が口を開く。その中には地下深くまで階段が続いていた。
その中にラックは入っていった。

延々と続くような造りの階段の途絶えた先には、広く明るい街が広がっていた。
ここはポケモンだけの街。人間は踏み入ることの出来ぬポケモンだけの聖地。
明るい理由は街の上空(要するに天井)でソルロックが朝の日差しを使っているからだ。
夜は代わりにルナトーンが月の光で照らしてくれる。
要に外と同じように光があるのだ。
ラックは商店街の中の一軒のケーキ店に入っていく。
「エコロ姉さん、いつもの5倍量ください。あと、生クリームも5倍」
エコロ姉さんと呼ばれたエネコロロは不思議そうな顔をしてラックに話しかける。
「あれ?どうしたの?一昨日4つ分の材料買いに来たのに…」
「それがですね…。いろいろありまして…食い荒らされたというか…、
 破壊しつくされたというか…」
「何があったか知らないけど、大変みたいね」
エコロは苦笑しながら言った。
「はい、これ。いつもの五倍だから1400Pね」
「ありがとうございます。またきますね」
「毎度アリー」
その後もラックは店を数件まわった後、帰路に着く。
よしそろそろ帰らないとレアが待ってるだろうな。
そう思いつつ街から出た。
街から出てしばらく歩いたところでラックはいきなり立ち止まる。
「おい、レイス出てこい」
ラックはそう言って周りの木に話しかける。
「フフフ、ばれちゃった?」
そういって木から降りてきたのは1匹のグレイシアだった。
「御機嫌よう」
「何のようだ」
こいつと関わるといつもややこしい事になる。
「あのね、実はラックに頼まれ―――」
「ハイハイ、分かった。却下。サイナラ」
そう言って立ち去る。
「逃げられると思う?」
後ろから放たれた冷凍ビームをひらりとかわす。
外れた冷凍ビームは木にあたりその木を一瞬にして氷のオブジェに変えてしまう。
その威力は申し分ない。
「思ってるぜ?いつも逃げてるんだからな」
「その自信もどこまで持つかしら?今日は新しい修行をして来たんだから」
懲りない女だな。
「お前に殺されるほど俺は暇じゃないんだ。
 それに今日はケーキを勝手に喰われてて、腹が立ってんだ…!
 容赦なく打ち込むぞ…?!」
そういったかと思うと即座にラックはバスケットを地面に置き、木の間を跳びまわる。そしてレイスの背後に入ったかと思うと
「ぐはぁあっ…!?」
次の瞬間に勝負はついていた。ラックのアイアンテールがレイスにヒットしたのだ。
「まずお前は、気配を消す修行でもしたらどうだ?」
ラックは置いたバスケットを持って去っていった。
その立ち去って行くラックの後姿を、レイスは睨みつけていた。

…はぁ…。
なんとなくため息が出る…。
とりあえず、家に帰ってこれたから万事OKって事にしておこう。
ラックがドアを開けようとすると勝手にドアが開く。
「お帰りなさい」
レアがそう言って笑顔で待っていた。
「…ただいま」
そう言って家の中に入る。
テーブルに置いたバスケットをレアが目を輝かせて見つめる。
「それは食ったら駄目だからな」
「え?駄目なんですか?」
レアは少ししょげる。
案の定食べようとしていたみたいだ。
「これでケーキを作るんだ。晩飯の代わりだ」
「え!?ケーキですか?あぁ、美味しそうだなぁ。
 早く食べたいなぁ。」
…何なんだお前は!暴食魔人か!!?
と叫びそうになるのを堪えて台所へ向う。
良かった。台所も綺麗に掃除してある。良かったこれなら料理できそうだ。
「よし、じゃあ始めるぜ。レア手伝ってくれよ?」
「はい」
・まずは始めに卵をボールに入れ、グラニュー糖を加える
・次にそれを混ぜ、混ざったら加熱しながらさらに混ぜる
これはレアに任せる。混ぜるだけなら出来るだろう
「レア、これを混ぜててくれ。絶対に味見とかつまみ食いとかするなよ?」
「はい。美味しいケーキを食べるためなら!」
最後のほうはさらっと流す。
・その間にバターを溶かしつつ、薄力粉を振るう
・きめ細かく白くなってきた生地にバターと薄力粉を加える
・それを型に流してオーブンで焼く
これもレアに任せる。
「ちゃんとみててくれよ。途中で開けたら失敗するからな」
「分かってますよぉ」
本当か?その割には目がギラギラしてるが…。まぁいいか。大丈夫だろう。
・オーブンで焼いている間に生クリームを完成させてカイスの実の汁を加える
 すると、生クリームは薄ピンクに染まる
「ラックさん。焼けました!」
「分かった」
生地をすばやく冷まして3枚にスライスした後、次の作業にかかる。
・生地に薄く生クリームを塗って、スライスしたモモンの実を乗せる
・その上にまた薄くクリームを塗って生地を乗せる
・生地にシロップを塗ってまた薄くクリームを塗り、モモンの実を乗せる
・クリームを薄く塗り生地を乗せる。今度は多めにクリームを塗る
・余分なクリームをおとして、生クリームをデコレーションする
・モモンの実をのせて、切ったウブの実をトッピングする
・バランスを考え隙間と側面に生クリームをデコレーションする
「よし!完成だ。名付けて…春風の月…ってところかな?」
「&size(1){ネーミングセンス微妙ですね…};」
「ん?何か言った?」
「え?別に何も言ってませんよ?」
そう言ってにっこり笑うところが怪しいが気にしない。
「じゃあ、食べるか」
そう言うと彼女は満面の笑みで頷いた。
その笑顔に少し顔が赤くなっていたかもしれない。
といいつつ、やはり食事中は上品さの欠片もうかがえない有様だった。
「半分は明日の朝飯だからな」
そういうと彼女は食べる手をとめて俺を見る。
「えー?」
「文句があるなら明日の朝飯は抜きだからな」
「分かりましたよぅ…」
「あと、俺が今日買ってきた物も食べるなよ」
「ぅっ…分かりました…」
良かった。言っていなかったら木の実は食べ尽くされていただろう。
など思っているうちに彼女はケーキを食べ終わっていた。
俺の予想どおり机にクリームが塗られてしまった。

夜。俺はレアに聞いてみた。彼女が傷つくかもしれないけど…。
「なぁレア。お前奴隷にされる前どこに居たんだ?」
「え?」
少し考えてから答える。
「地名は覚えていませんが、風景なら少し…」
「どんな所だったんだ?」
「えっと…。確か広い森でした。とてものどかで…。ある場所には、コケに覆われた大きな岩がありました。
森の皆はそれを『緑風の母』と呼んで親しんでいました」
「緑風の母?」
意味の分からない言葉に聞き返す。
「はい。どういう意味か私も知りませんが皆そう呼んでいました」
「じゃあ、レア。お前はそこに帰りたいか?」
「え…帰れるならば…帰りたいです…」
「そうか…」
やっぱり帰りたいんだ。
そりゃあ、そうだよな。
「なら、近からず遠からずお前の故郷連れて行ってやるよ」
大体の位置は話の内容からつかめた。
「…ありがとうございます……」
そう言って彼女は眠ってしまった。
彼女の話を思い出す
彼女の故郷。そこは十中八九ハクタイの森だろう。
しかしここからはかなり遠い。
なぜならここはナギサシティの近くの隠れた森だからだ。簡単にいける場所ではない。
だが俺は彼女を連れて行くと心に誓ってしまった。
その誓いがどんな苦難を招くかも知らず…。
今日も夜が更けていく………。

第三夜は[[こちら>http://evstudio.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%B8%89%E5%A4%9C]]です。

**コメント [#t6bc292f]
- テストです -- [[Nike]] &new{2009-03-18 (水) 18:02:36};
- 冒険ストーリー?ってわくわくするよ! --  &new{2009-03-19 (木) 01:35:39};
- この小説いいですね^^。早く次が見たいです^^ -- [[ジェネス]] &new{2009-03-20 (金) 18:20:19};
- 見やすく更新しておきました。 -- [[Nike]] &new{2009-03-27 (金) 21:24:49};

#comment(パラメータ);

IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 13:46:48" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%A4%9C" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"

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