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甘く輝く月 第三夜 の変更点


[[Nike]]
こちらは[[第二夜>http://evstudio.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%A4%9C]]です。
はい、やっと更新できました。
書くの遅いんでご理解願います。ではでは…

**甘く輝く月 第三夜 [#ae496b27]
今日は珍しく早起きする。
食卓へ向うと聞こえてくる声がある。
&size(1){「食べる、食べない、食べる、食べない…」};
そこには俺の朝食を食べようかどうか葛藤しているレアがいた。
良かった。まだ喰われてない。
「俺の朝飯を食うな」
そうツッコむとレアは吃驚して跳び上がる。
「み、見てたんですか?」
「モチ」
だって美味しそうだったから、つい…と言わんばかりに上目遣いで、こちらを見てくる。
クリームだらけの顔で…
そんな顔で見つめられたら、ケーキをあげたくなってしまう…。
&size(20){…なんてことは無い。絶対。};&size(23){やらねぇ。};&size(25){絶対、俺が食う。};
「そんな顔してもやらねぇぜ」
レアは落ち込む。落ち込むな!
「大体お前。もっと上品に食えないのか?食う量も半端ないし…」
「あ、量のことなら大丈夫ですよ。私、まる三日間何も食べなくても大丈夫ですから」
いや、それは単にいつも食べ過ぎてるからじゃ…流そう…。
「だったら、もっと上品に食べれないのか?」
「それ、私が子供のころから言われてるんですよね」
なら、尚更直すべきだろ。俺の美学も許さない…。
「なら、俺が最低限のマナーってやつを教えてやる」
Ⅰ、だらしなく食べるな。
Ⅱ、机にこぼすな。床にも。
Ⅲ、無駄な音を立てるな。
「これを守りながら食べてみろ」
そう言って余ったケーキをレアの前に置く。
「…分かりました。いただきます」
そういうと真剣な目つきでレアはケーキを食べ始めた。
かなり無駄な神経を使っているのが見てとれた。

―十数分後―
「…ふぅ…ごちそうさまでした」
「なんだ、案外やったら出来るじゃねぇか」
…にしてもただ一切れのケーキを食べるだけに17分もかかるとは思わなかったけど…気にしない。
「ラックさん、これ疲れます」
それは普段お前があんな食べ方してるからだ。
とは言わず、
「慣れれば簡単だから。ほら、もう一回」
と、適当な慰めをかえす。
「大体、これが外で出来なかったら、店で飯が食えねえだろ?」
「まぁ…そういう事になりますね。でも面倒なものは面倒ですよ…」
「じゃぁ、昨夜の話は無しに―」
「私、頑張ります!!」
心変わり早っ!!そりゃ、故郷に帰りたいか…。
リーフィアは真剣な目で次のケーキを催促する。
しょうがない。長くなりそうだけど付き合ってやるか…。

―数時間後―
「もういいぜ」
「いえ、まだうまく出来ていません。もう一回」
いや、大丈夫だから、ちゃんと出来てるし…。
「お前、実はケーキ喰いたいだけだろ」
そう言うとレアは引きつった笑顔で言う。
「そんなこと無いですよ」
引っかかるか!!
「はい、じゃあ晩飯が近いからこれにて終了」
「え~?そんなぁ…じゃ、テレビでも見てますね」
そう言ってレアはテレビの前のソファに座ってテレビ番組を見始める。
『は~い、では今日の料理はコレ!クラボのピリ辛スープ!いやぁ、美味しそうですね。
 では、早速調理していきましょう。材料は―――』
調理といった瞬間レアは画面をしっかり見つめる。へぇ、レアってこんな番組見るんだ…。
…ってこの人はいったい何をするつもりなんだぁっ!!
危ない!!
そう悟った俺は、瞬時にリモコンでチャンネルを変える。
ピッ
『じ~んせい苦がありゃ、楽~あるさ~♪』
「ほっホラ。こ、この時代劇面白いんだぜ?知ってるか?」
「なんですか、コレ?」
「ミオ黄門って番組…」
「へぇ~」
そう言って画面を見つめる。良かった。彼女に料理をさせるのは
家で爆薬を取り扱うぐらいの危険行為だ。
彼女がテレビに夢中になっているのを見届け、台所に向う。
今日は昨日買ってきた木の実や葉っぱを使って
健康にいいサラダでも作ろう。アイツ、ケーキばっかり食ってるからな。
アイツがさっき見てたスープでも作るか…。
そう思いながら俺は台所で晩御飯を作り始めた。

『控え、控えぃ。この紋所が目に入らぬか!』
『ここに仰せの方をどなたと心得る。先の副将軍、ミオ光圀こうであらせられるぞ!』
『はっ、ハハーッ』
…面白いが、つまらない。
何でラックさんは私にこんな番組を見せたんだろう?
…考えても分かんないや。分かんないものはほっとこう。はい、一件落着。
「おーい、レア。晩飯できたぞ」
ラックさんに呼ばれて席に着く。
すると机の上には、サラダと、ご飯、ハンバーグとさっきテレビで見たスープが並んでいた。
「これ、どうしたんですか?」
「ん?あぁ、お前がテレビでそれ見てたから作ったんだけど、嫌だったか?」
私は首を振る。
「そんなこと無いです。いただきます」
そう言って私は晩御飯を今日教わったことを思い出しながら食べる。
コレが結構神経を使う。
「なぁ、レア。俺の昔話聞いてくれるか…?」
いきなりラックさんが話しかけてくるので私は反応が遅れたが頷いた。
「…じゃ、聞いてくれ」
そう言ってラックさんは話し出した。

僕はイーブイでトレーナーのポケモンだった。
僕の主はとても明るく優しい女の人だった。
彼女は僕たちをとても温かく育ててくれた。
僕たちも彼女をとても信頼していた。
その時の僕たちはとても満たされていた。
しかし、その幸福は長くは続かなかった。
ある日、主の父親が死んだ…。急死だった。
その二日後、主の弟が死んだ…。交通事故だった。
三日後、主の母親が死んだ…。自殺だった。
どれだけ明るい人間でも家族が自分だけを残して、
全員死んでしまっては正気ではいられなかった。
そして彼女は精神面が不安定になり病になった。
彼女は僕たちをモンスターボールから出して野生に返してくれた。
それでも僕たちは彼女の周りから離れようとはしなかった。
彼女はその三日後に亡くなった。最後に一言、
「みんな…今まで本当に…本当に…ありがとう………」
と言い残して。
何故だろう。家の中なのに雨が降ってきた。大粒の雨が…。
その雨は僕たちの周りだけで降っていた。床は水をこぼしたようだった。
それは昼とも夜とも区別できない昼と夜だった。
彼女は僕たちを心から愛していた。また僕たちも彼女を愛していた。
その思いのおかげで、その慈愛のおかげで僕はブラッキーに進化した。
俺たちは彼女の最後を看取った後、皆、心に何かを秘めてそれぞれの方向へ去っていった。
この明るく暗い大切な思い出を忘れないために。
俺たちが彼女の分まで生きていけるように…とそんなことを思いつつ。

なんで俺はこんな話してんだろう。
「わりぃな。…辛気くさくなっちまった…」
レアの方を見て言う。
…あれ…?…レアがぼやけて見えない…。
…あぁ…雨が降ってるんだ…。目に入って前が見えないくらいに…。
何故うちの中なのに雨が降るんだろう…。それもあの時と同じ大粒の雨が…。
……おかしいな……。
耳を澄ますとレアの嗚咽の音が聞こえる。
声で大体の場所はつかめる。
彼女を抱きしめて言う。
「大丈夫だから。泣くな」
「ひっく、…そう言うラックさんだって…泣いてるじゃ…ないですかぁ…ひっく…」
泣いてる?俺が?何時?何処で?
俺は頬を触る。なにか生暖かい液体が流れている。
そうか、…俺が雨だと思っていたのは涙…だったんだ…。
そう思うと…何故だかとても悲しくなってきて…。
涙は俺の目から止め処なくこぼれてゆく。
「ぁぁ…ぁああぁ…あああぁ…」
するとレアは俺を抱いて優しく言う。
「もぅ…我慢しなくていいんですよ…?」
そういわれた途端に俺はレアの胸の中で大声で子供みたいに泣いていた。
&size(25){「ぁぁああああああぁ…あああぁぁあああ…!あぁあぁぁぁっあああぁぁああぁあ………!};
 &size(25){わぁああぁああぁぁあっぁぁあぁああぁぁぁぁっああああぁあああぁぁあぁぁ……!」};
彼女との思い出が次々に蘇る。そしてそれはもう二度と実現しない。
何があってもそれだけは変わらない。思い出が頭に浮かぶ度に大粒の涙が頬をつたう。
床に水溜りが出来るぐらい泣いて………そのまま眠ってしまった。

ラックさんが自分の過去を語り終えた。
私はその話を聞いていて自然に泣いていた。
「わりぃな。…辛気くさくなっちまった…」
明るめに言う台詞とは裏腹に彼の目からは涙がこぼれていた。
私の嗚咽を聞いてラックさんが歩いてきて私を抱く。
「大丈夫だから。泣くな」
全然大丈夫じゃない。
「ひっく、…そう言うラックさんだって…泣いてるじゃ…ないですかぁ…ひっく…」
嗚咽交じりで訴える。
彼は不思議そうな顔をして頬を触る。するとさらに涙はこぼれだす。
「ぁぁ…ぁああぁ…あああぁ…」
私は逆に彼を抱き返して囁く。
「もぅ…我慢しなくていいんですよ…?」
そう言った途端に彼は私の胸の中で子供みたいに大声で泣き出した。
&size(25){「ぁぁああああああぁ…あああぁぁあああ…!あぁあぁぁぁっあああぁぁああぁあ………!};
 &size(25){わぁああぁああぁぁあっぁぁあぁああぁぁぁぁっああああぁあああぁぁあぁぁ……!」};
彼が泣けば泣くほど私の毛は濡れて、零れた涙は床に水溜りを作る。
彼はかなりの時間泣いた後そのまま眠ってしまった。
泣き疲れたのだろう。彼をそっと布団に寝かせて床を掃除する。
そのあとシャワーを浴びて涙を流す。
布団に入る前にそっと彼の頬にキスをする。
嗚呼、今夜は月が綺麗だな…。まるで誰かを祝福しているみたい…。

第四夜は[[こちら>http://evstudio.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E5%9B%9B%E5%A4%9C]]

**コメント [#wfca033b]
- テストでーす。コメントいただけると嬉しいです。 -- [[Nike]] &new{2009-03-22 (日) 10:11:06};
- そういやーこれって四足、二足? --  &new{2009-03-22 (日) 11:14:51};
- 二足だったり四足だったり変化してますね…w&br;通常は四足ということで…&br;最後の方は座ってたということで…&br;御免なさい。未熟なばかりに統一性がないです…。 -- [[Nike]] &new{2009-03-22 (日) 11:31:54};
- ありがとう! --  &new{2009-03-23 (月) 00:32:50};
- 見やすく更新しておきました。 -- [[Nike]] &new{2009-03-27 (金) 21:17:24};

#comment(パラメータ);

IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 13:47:37" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%94%98%E3%81%8F%E8%BC%9D%E3%81%8F%E6%9C%88%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%B8%89%E5%A4%9C" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"

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