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*炎の抱擁 [#t31e0ee2]
著者――――[[くらふたー]]
※苦手要素のある方へ
この作品は、&color(ffffff,fff){自慰、ポケモン×人};が、含まれます。
以上に耐えられる方が見ていただければ幸いです。
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俺たちの周りから、歓声とともに無数の硬貨が飛んでくる。
すぐ後ろにいるのは、薄茶色の肌と黒く長い髪を持つ、直立した生き物。俺たちが装着することはほとんど無い、「服」と呼ばれる柔らかくひらひらしたもので身を包んでいる。人間だ。
正面で悔しげにうなだれているのも、俺やすぐ後ろの人間を囲んで歓声や硬貨を飛ばしているのも、みんな人間だ。
さっきまでは俺の目の前に、もう一匹ポケモンがいた。だが、俺との戦いに敗れ、「モンスターボール」と呼ばれる紅白二色の機械性の球体に戻された。
俺の後ろにいる人間は、黒く長い髪とつぶらな瞳が特徴の雌だ。「ご主人」と呼んでいる。他の人間と比べると背丈はだいぶ小さい。まだ子供なのだろう。
俺はご主人と、対戦を大道芸として人々に見せて賞金を稼ぎ、それで日々暮らしている。これで生活できるんだ、ご主人は子供ながら、人間の中でも相当のやり手なのだろう。
周りの人間たちを見回すのも飽きた。俺は賞金の硬貨の一枚を拾い、指ではじいて真上に打ち上げる。太陽の光を反射する金属面が美しい。
「リザちゃん、今日もお疲れ様」
賞金の回収を終え、ご主人は太く短い一角の生えた俺の頭をなでてくれる。それだけでも今日一日の疲れが吹っ飛んでいく。
食事なんかもそうだが、俺が戦う一番の目的は、この瞬間のご主人の笑顔だ。普通の人間はポケモンを何匹も連れているが、ご主人は俺一匹。今はこの笑顔は俺だけのものだ。
流石に未来永劫独占するつもりは無い。いつかは新たな仲間を戦力として備えるだろうし、そうでなかったとしても雄の人間と一緒になり、子供もできるのだろう。そのときは、なかなか俺を見てくれることなんてなくなるのは覚悟の上。それでも俺はご主人や、これから出会うであろうそいつらのために戦う。
それでいいんだ。今だけ……今だけご主人のこの笑顔を独占できれば、俺にとっては十二分なんだ。
俺の背丈はご主人の胸ほど。ご主人がなでてくれるには丁度いい高さから、もう一度俺はご主人の顔を見上げる。
ご主人の瞳には、高い鼻から連なる大顎、その後ろに見える尻尾には、水に沈めたくらいでは消えない命の炎。ナルシストになるつもりは無いが、リザードである俺の真紅の体は、どこか戦績に裏打ちされた凛々しさがある。
その日、俺とご主人は近くの山に足を踏み入れた。まだ整備されてない獣道が続く山並みで、この辺では有名な難所だ。それゆえ、野生のポケモンも数多く生息している。
いつ寝首をかかれるかわからないこの状況は俺にとっても絶好の鍛錬の場であるし、ご主人が言うには新たな戦力を見つけられるかもしれないとのことだ。もっとも、比べる対象が連戦連勝の俺だ、ご主人の眼鏡にかなうポケモンには未だにめぐり会えていない。
あいにくの雨だが、むしろこういう状況のほうが鍛錬には丁度いい。俺たちはどんどん奥へ奥へと歩を進めていった。
「この天気だからね、土砂崩れに気をつけようね」
荒涼とした赤土が広がる斜面。時折遠くから土石流の音が響いてくる。
人間の感覚なら危険極まりないのかもしれない。だが俺たちポケモンの聴覚なら、別の土砂崩れの音から次に土砂崩れが起こりそうな場所も察知できるのだ。別に問題は無い。
音の遠さとか角度とか、沢山のことを知ることができる。本当に便利なものだ。
感情なんかもわかる。今聞こえてくるポケモンの声は……憎しみ?
「お前らっ! 何の用だっ!」
割と長い耳が立った、黒いラインの入った青い犬の顔。しかし首から下は、短い角のある白い胸も後頭部から垂れ下がる長い髪も、絡みつく金属製の鎖の下に隠れている。
この雌のルカリオの回りの地面は、周りの地面よりひときわ赤い。血だ。相当の抵抗を続けて、全身が傷だらけになったらしい。
「大丈夫か?」
俺は鎖に手をかける。鼻を突くほどの血の臭いが、このルカリオのやるせなさをうかがわせる。それほどまでに抵抗したのだろう。鎖も相等磨耗していた。
「失せろ人畜! お前のような奴らから、施しなど受けるものか!」
俺の鍛え上げた力をもってすれば、このような代物でも引きちぎるのに本当は苦労は無い。だが、暴れられて手元を狂わされては、なかなか簡単にはいかない。
「ご主人をこんな目に遭わせる人間と一緒にするな」
しかも面倒なことに、何本もの鎖で複雑に縛られている。それでも一本一本引きちぎって、すぐにルカリオを自由の身にする。
だが、鎖の下のルカリオの体は、想像以上に悲惨だった。毛は引きちぎられて肉は裂かれ……誰がこのような目に遭わせたのだろうか?
「人畜の極みだ! 消えろ!」
そのようなことに一瞬気を取られて、俺にも隙があった。ルカリオは猛然と立ち上がると、俺の腹にまっすぐ蹴りを入れる。
「リザちゃん!」
地面に打ちつけられた俺に、ご主人の悲鳴が届く。俺は慌てて起き上がる。既に目の前では、ご主人がルカリオの憎しみに締め上げられていた。
「やめろ、お前……!」
その瞬間だった。俺の聴覚は土砂崩れを察知した。この真上だ。しかも、大きい。
ルカリオはご主人への攻撃を始めた。憎しみに囚われて、気付いていない。
だめだ、間に合わない! この場から逃げ切る前に、全員土砂崩れに飲まれてしまう。
俺は何も考えることなく、二匹の元へ駆け出していた。
「邪魔をするな!」
ルカリオは波動弾を俺に打ち付けてくる。だが、怯むわけにはいかない。ここでこのルカリオを救えなくては助けた意味が無いし、ご主人を守れないなどあってはならない。
攻撃に動じることなく突き進んできた俺に、逆にルカリオの方が怯んだようである。そうして生じた一瞬の隙に、俺はルカリオの腰に腕を回す。
「ご主人、さよなら!」
俺はご主人もろとも、ルカリオを斜面の上のほうに放り投げる。入れ替わりに、土砂崩れが俺に迫ってくる。
土砂崩れはご主人とルカリオの下を通り過ぎ、一気に俺を飲み込みにかかる。その瞬間、俺の目線はご主人ともルカリオとも交叉した。
最後に、俺は目線で訴えた。ご主人には幸せに生きていってくれと、ルカリオにはご主人を頼んだと。笑顔で。
木漏れ日のような柔らかな日差しにまぶたを照らされるような、あの薄明るさと暖かさを感じる。やはり心地よい。
いつもよりなんだかけだるさが激しいが、それ以外はなんら変わらない生の実感。今日も心地よく過ごせそうだ。
そこまで思い、目を開けようと思った瞬間だった。俺の記憶はようやく手繰り寄せられる。
「俺は……土砂崩れに巻き込まれて……?」
夢……? いや、あんな生々しい夢など見るものか。痛みと衝撃は今も確かに記憶に残っている。
あるいは、ここはうわさの「あの世」ってやつか? 俺は怪訝に思いながら目を開ける。
「ここは……?」
俺の体は白い布団が敷かれたベッドに寝せられている。清潔感と簡素さが見て取れる。
体には痛みは殆ど残っておらず、すぐに上体を起こすことができた。ここはどこだ?
白い壁に白い天井と、やはり清潔感と簡素さで占められた光景。ベッドは俺の頭から尻尾の先までの倍はある。
少しずつ状況は把握できるようになってきた。ここはおそらくどこかの病院の病室だろう。重傷を負ったであろう俺をご主人が運んできてくれたのだろうな。
ふと、部屋の片隅に目がいく。扉つきのやはり白い、人間の腰ほどの高さの戸棚の上には花瓶が置かれていた。青と白が複雑に塗られた文様は、どこかの池を髣髴とさせる。
花瓶に生けられているのは笹だ。沢山の笹の葉が青々しく輝いている。その間には、赤や白の細長い紙がつるされている。
七夕か。ご主人から聞いたが、人間は七月の七日に願い事を書いた紙を笹に下げる儀式を行うらしい。今日はもうその日ってわけか。
まてよ? 俺が土砂崩れに襲われた日は、確か七月の四日って言っていたよなご主人。そうなると、俺は丸三日も眠っていたことになる。
そこまで理解した瞬間、いつもの優しい気配が、嗅ぎ慣れたにおいが俺に届く。この感覚の主は……俺ははっとした表情でそちらに目線を向ける。
「リザ……ちゃん……」
やっぱりご主人だ。でも、なんだかものすごいやつれている。目からは滝のごとく涙を流し、いつもの可愛らしい雰囲気が消え去っている。
「ご主人……」
そんな顔はしないでくれ。見ているだけで辛くなる。そんなことが俺の頭の中でぐるぐるめぐっているその間にも、ご主人は俺の元につかつかと歩を進めてくる。そして……。
「馬鹿!」
俺の頬に走る衝撃。ご主人が平手で俺を打ち据えたとわかるまで、少々時間を必要とした。
「ご主人?」
状況を飲み込めないまま、俺は頬を手でさすりながらご主人の顔を見上げる。相変わらずの滝のような涙に、表情は既に見て取ることはできない。ただ、親指で七夕の笹を示したのだけはわかる。
「『リザちゃんを助けてください。私の命だってささげますから』」
そう言って親指を下ろすと、ご主人はベッドに片ひざを乗せる。わけがわからないまま、俺はまた殴られるんではないかと思わず身構える。
「リザちゃんに代わりはいないのに! どうして私の指示もなしにあんなことをするの?」
直後にきたのは抱擁と頬ずり。熱く優しく強く……ご主人の体は俺を包み込んで離さなかった。
そういえばご主人やつれてたな。もしかしたら、相等俺の世話に体力を使ったんだろうか。
俺がご主人を思う以上に、そんなのは比にならないほど、ご主人は俺のことを思ってくれている。もし逆だったら、俺がここまでのことを思っただろうか。
この瞬間には、俺は猛烈な自責の念に駆られていた。ご主人は俺が守らなきゃならないのに、ここまで傷つけてしまうなんて。あまりに軽率だった。
そして、俺の不甲斐無さも悔いた。もし俺がリザードンにまで育っていたら空を飛べた。それなら何事も無く全員無事だったのに。
俺の軽率さと力不足、それがご主人をここまで追い詰めるなんて……。俺はご主人の肩を抱き返して、いつの間にか涙を流し始めていた。
俺は眠っている間にも相当の、医療施設の職員連中も驚くほどの回復力を見せていたらしい。意識を取り戻して数時間後には、検査も終えて無事退院していた。
だが、それで納得いくほど俺は単純ではない。俺は自らの力不足を解消するため、鍛錬をより多くすることに決めた。
昼はもちろんご主人と対戦だが、夜もご主人が寝静まった後、筋トレなどで体を鍛え続けている。
流石に繰り返すわけにはいかないので同じような天気の日は避けているが、あの後も時々例の山に登る。
この前のルカリオも俺の鍛錬に付き合ってくれるようになっていた。なにやら事情があるため、街にまでついてくることは無いらしいが。
ご主人がつけた「リオ」って名前も、俺がそう呼ぶまで投げ打とうとしていた。実力があるんだから、なんだかもったいないような気がするが。
「リザ君、また腕を上げたね」
名前に「君」付けの呼ばれ方はどうにもなじまない。これがリオのタチだから仕方ないって言えばそうだが。
「まあな。あんなこと繰り返さないためにも、早いところリザードンになりたいんだ」
少なくとも「人畜」に君付けで「人畜君」よりはましである。名乗るまでは恩を感じながらもその呼び方を続けていた。なんていうか無茶苦茶な奴だ。
「リザ君はそんなにあの人間が大切なの? 私には信じられない」
大量の木の実を抱えてご主人が戻ってきたのはそのときである。ご主人は足を止めて木の実を置くと、俺たちに一個ずつ投げてよこす。
「リオ、お前の上についていた人間だけがたまたまそうだっただけだろう?」
セシナの実だ。俺は辛い系のものが好きなのだが、嫌いなものでもここまで食えるのかと回りに驚かれるほどだ。ご主人が持ってきてくれた木の実、不味いわけがない。
「波動を感じられる私はリザ君と違ってあまりに多くのものが見えすぎる。人間は貪欲で、あまりに汚い。それはあいつも同じだ」
言いながらもリオはご主人の木の実にかじりつく。その前ににおいを嗅いだり見回したりして、やっぱり警戒している様子ではあったが。
「リザ君はその欲望が見えないばっかりに、いいように利用されているような気がしてならない」
俺も遅れまいとばかりにかじりつく。ほんのりとした苦味と果物独特の酸味が口の中に広がる。
リオの言いようはまったくもって酷いものだ。だが、そこに至るまでには俺も想像もつかないような事情があったのだろう。なるべく気にしないように努めている。
「正直、俺としてはそれこそ望むところなん……」
急にろれつが回らなくなり始めた。手の力は緩みセシナが滑り落ちる。
この感覚……わかる。記憶に残っている。ヒトカゲからリザードになったときと同じ感覚だ。
「リザちゃん!」
湧き上がるような突き上がるような、体の奥から湧き上がるなんとも言えない痛痒。骨格そのものさえも変わるような変化も伴うのだ、仕方がないわけではあるが。これを快楽と感じられる奴がいたら、それは相当のマゾヒストだろう。
視界が白く霞んでいく。痛痒はますます激しさを増すばかり。しかし体の構造の変化が起こり続けているのだ、悲鳴はおろか俺のあらゆる行動が拒絶される。
こんな感覚が長く続かれては、どんなポケモンでも確実に精神崩壊を起こすであろう。何度か見たことがあるから一瞬で起こるということは知っているのだが、その知識さえも疑いたくなるようなほど、中にいて苦痛に苛まれる時間は長く感じる。
やがて視界のもやが徐々に晴れ始め、ようやく俺の体は元の世界に戻ることができた。
「はぁっ、はぁっ……!」
周りの世界が、ご主人の姿が、リオの体が……。全てのものがさっきまでより一回りもふた周りも小さくなったように錯覚させられてしまう。それだけ俺の体が大きくなったのだ。
荒立つ俺の呼吸の狭間から、ご主人が駆け寄る足音が聞こえてくる。速いテンポで地面を叩く靴の音は、俺の背後数メートルのところで切れる。
「リザちゃん! おめでとう!」
未だに息の整わない俺の背中に、少々重く暖かいものがのしかかってくる。その衝撃に俺の呼吸は一瞬止まる。
ご主人はずっとこのときを待ってたのかもしれない。ご主人の小さな体でも、それを受け止めるのにリザードの体は小さすぎる。誰かの背中の上で得られる安らぎを求めていたのかもしれない。なんとなくだが、ご主人はそのようなものに飢えて育ってきたのかもしれないと感じられる節がある。
「それにしてもな……」
思わず口走ってしまう。こうして今もご主人は、俺の背中に胸や秘所を押し付けてくる。別に人間とポケモンで違う種族だから気にはならないが、デリカシー的にどうだろうか? こうして押し付けられる胸の柔らかさがどうにも心地よくてたまらない。
俺は……何を考えているんだ? ご主人をそんな目で見るなんてあってはならない。あとでしっかり自分に言い聞かせなくては。
ご主人の家は大きい。人間の住む家となる建物はみんな大きいのだが、その中でもご主人の家は群を抜いている。
ご主人を乗せての初めての空から、俺たちはご主人の家を目指し、到着した。だが、その初めての空の中でも俺はどこかまさに上の空だった。
バルコニーに降り立ち部屋に入る。その部屋の中はどこもここも、当たり前って言えばそうだがご主人のにおいが染み付いていた。そのにおいに感覚、俺の胸の鼓動はいつもよりも少々だが早くなっていた。俺はどうなっているんだ?
これじゃあまるで俺がご主人を異性として意識しているみたいじゃないか。飢えているのか? そういえば、生まれてこの方異性との関係を持ったことは無い。声をかけられたことなら何度となくあるが。
ご主人と出会う前の野生だった頃の仲間から自慰や夢精というものは聞いていたが、最後にそうやって処理したのはいつだろうか? 相等前だな。最後に自慰をしたときも誰かしら異性を思い浮かべて、というものではない。ただ溜まっているから抜かなくてはという本能に従って体を突き動かされての行為だった。
そうだ、相等溜まっているに違いない。ご主人はいつも俺をボールから出して、抱きしめて一緒に寝るからな。そのときちょっと抜け出そう。トイレの場所くらいわかる。
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ご主人が寝入ってから大体一時間。ようやく俺は抜け出すことに成功した。何故こんなに時間がかかったかというとだ、ご主人が随分と粘着質だったからだ。腕を放したかと思えば脚を巻きつかせ、脚を解いたかと思えばそのときには腕が戻ってきている。ご主人の寝相はいつもこんな感じだ。
それにしても、その間も俺は危険だった。ご主人の胸は他の人間の雌と比べると未発達で小さいものだったが、俺は何度となくそれに引き込まれそうになった。秘所はなかったが、胸はいつも押し付けられていて慣れているはずなのに。
早いところ処理しよう。ご主人に対して過ちをはたらく前に。そんなことを考えている間に、トイレに着いた。股間を見下ろせば、俺の雄が既に準備万端とばかりに生々しく膨れ上がっている。
人間の男子用の小便器と言われるものの前に立ち、俺は両手を性器に伸ばす。相当の渇望から生まれた先走りが、すでにそれをぬらしていた。炎ポケモンとは言っても生き物だ、水分だってちゃんと保有はしている。
両手の指を力が入りやすいように上手く組ませる。何度かはやったことがあるから、俺の性感帯は特にどの辺が強いかくらいは把握している。その部分に力が入りやすいように、指と指の間に肉棒を滑り込ませる。
「ぅあ……」
やはり相等溜まっている。普段ちょっとやそっと触られたくらいでは反応しないものを、自分で触っても声が出てしまう。早く処理しなくては。
両手を前後に滑らせて、俺は刺激を愉しむ。単純な動きなので腕の疲弊は早いが、それを忘れさせる刺激が始まっている。
「ぁ……うぁ……」
喘ぎ声がこぼれ始めた。派手に声を上げるわけにはいかないので抑えているが、それでもこぼれてしまう分は仕方ない。まったく、自慰でも声が出てしまうなんて我ながら情けない。
刺激は腹を突き抜けて、腰の辺りまで響いている。それが続くに従い、俺の溜まりに溜まった欲望が燃え上がる。最初はただもやがかかったような感覚だったのが、徐々に熱を帯び始める。その熱はどんどん勢力を増し始め、ついに肉棒の根元まできた。
その感覚のとりこになった俺は、気付くべきものに気付かなかった。まさかこの時間帯にという油断もあったのかもしれない。ドアが開く音を俺の聴覚が捉えた瞬間、手が止まる。
「リザ……ちゃん……?」
よりにもよってご主人だった。俺の血の気が一斉に引いていく。燃え上がっていたものもするすると勢いが無くなっていく、というよりは感じなくなっただけかもしれない。現にそれでも肉棒だけは鎮まらなかったから。
まずい……まずいなんてもんじゃない。ご主人にこんな姿を見られてしまうなんて。ご主人はなんて思うだろうか? 言葉の通じない俺は、何の言い訳もできない。異様な息苦しい沈黙が続いた。
「へぇ……」
しばらくの後にご主人は感心したような声を漏らす。ご主人の目は俺の肉棒に釘付けだ。
「なんだか凄い赤々してるね」
ご主人、いきなり何を言い出すんだ? この状況を重苦しい沈黙に感じていたのは俺だけのように感じる。
「リザちゃんも男の子だったんだね」
何も言えない俺に構わず、ご主人はなおも肉棒の観察を続ける。何か言っても通じるわけがないのはわかっているが。
「リザちゃん、やっぱりリザちゃんをこんな風にしちゃう女の子がいるの?」
見飽きたのか、ご主人は俺と目線を合わせた。なにやら潤んでいて、いつも以上に可愛らしい気がする。どこか物欲しげな感じもあるが、だとしたらご主人は俺に何を求めているのだろうか?
「やっぱり、リザちゃんもいつまでも私のところじゃ辛いよね。好きな子のところに行きたいよね?」
一歩近づいてきたご主人。まるで俺に詰め寄るように。この目、この様子……まさかご主人……。
「我慢しなくてもいいんだよ。私だって、そういう相手の当てが無いわけじゃないし」
我慢しているのはご主人の方じゃないのか? 伝わってくる雰囲気、どう考えても俺を求めているとしか思えない。そうなると、俺の選ぶべき道は……。
それをすることは、俺が今まで守ってきたものを破ることでもあるのかもしれない。一瞬こそためらいは生じた。だが、すぐに振り返ってドアを開けるご主人の寂しげな背中が俺を突き動かした。
「リザちゃん……?」
その瞬間には、ご主人の体は俺の腕の中にあった。俺の思い違いなら拒否してくれるはずだ。だが、そうでないなら……。ご主人が俺にしてほしいことを考えたら、俺に肉棒をいじった手で触られることくらい気にするはずがない。
「リザちゃん……? 私でいいの?」
今更何を言い出すんだ? すでに震えている声を深くまで聞き分ければ、嬉しさに弾んでいることくらいわかる。もっとも、この問いに対しては答えは出ているが。俺は迷わずご主人の柔らかい唇に口をつける。
ご主人でなくちゃ嫌なんだ。これが俺の本当の気持ちなんだとわかるのに、本当に時間がかかりすぎた。ご主人を他の雄に取られるなんて、もう考えたくない。
「……やっぱり」
ご主人は顔を上げてくる。どこかいやらしさが混ざった笑みだ。自分の全てを求める炎に包まれているというのに、本当にいい度胸をしている。
「わかってたんだ。リザちゃんが私のことが好きなんじゃないかって、ずっと前から。でも、リザちゃんは自分の気持ちに嘘をつくところがあるからね……」
言い終わるやいなや、ご主人は俺の肩に頬をねじ込んできた。
相変わらず俺の肉棒は治まらない。それどころか、ますます勢いを増している。これで良かったんだ。
「じゃあ、仰向けになって。悪いようにはしないよ」
言われるがままに、俺はご主人のベッドに仰向けになる。肉棒は勢い良く天井を指す。心臓の鼓動と共に、ゆっくり揺れているのが見える。
ご主人は迷うことなく俺の肉棒に顔を近づけ、根元から一気になめ上げた。
「うぅあああっ!」
情けないことに部屋中を震わせた俺の喘ぎ声。先の騒動で治まっていたのに、再び先走りが漏れ始める。
「リザちゃん、どう?」
ご主人は顔を上げて俺の顔を見る。俺はおそらく力の抜けた情けない顔なのだろう、そのまま天井を見上げるしかなかった。
同時に手では俺の尻尾を秘所に押し付ける。これで扱けというのであろう。俺は早くも薄れかかった意識の中、ゆっくり尻尾をうごめかせ始める。
「ああっ!」
ご主人も簡単に喘ぎ声を上げた。その辺りに汁が垂れたのがわかる。
「だめ……。もう我慢できない」
早い……早いな、ご主人。一分も持ってないぞ。持ってない代わりに漏っているわけか。
「ごめんね。実は私もリザちゃんのこと、ずっと我慢してたんだ」
今更言われなくてもわかっている。俺が動かしたのはお情け程度、既に準備万端だったみたいだからな。
などと考えている暇も無かった。ご主人は俺の肉棒の先端に自らの秘所をあてがい、ゆっくり腰を下げ始めた。
「う……あ……!」
ご主人のかすれた声が部屋の中にこだまする。破瓜の痛みなんてものは実在しない話だって聞いたことがあるが、だとしたら俺でそこまで感じてくれているのだろうか?
「がっ!」
俺の口からも強烈な喘ぎが漏れる。ご主人の秘所が俺の性器のくびれを飲み込み、その先まで侵略し始めたからだ。一時中断していた欲望も、既に完全に炎上していた。まだだ。今ここで漏らしてしまっては、ご主人も興ざめする……。
「うわぁっ!」
などという気合の入れ直しで敵うわけもなく。今まで溜まりに溜まったものの第一陣が吹き出し、俺に脱力感と絶望感を与える。鼻先はゆっくりと横を向き、口からは情けなく熱い吐息がもれていた。
「リザちゃん……。早すぎるよ。まだ破ってもいないのに」
言いながら、ご主人は漏れ出す精液に濡れる俺の肉棒をもみ始める。一度勢いを落とし始めた性器は、しかしその刺激で再び勢いを盛り返す。
「ああっ……あっ……!」
俺の収縮に合わせてご主人は腰を落とした分、再び盛り返した俺の雄に初めてが刺されはじめた。これを破らないことには……。俺は突き動かされるままに腰を押し出した。
「うあはっ!」
ご主人は咳とも悲鳴ともつかない喘ぎを上げる。俺もご主人も自分の腰をゆっくりベッドに下ろす。
「やってくれたね、リザちゃん。お返し、たっぷりしてあげるから」
言い終わる頃には、ご主人は肉壁を引き上げ俺の雄槍を撫で上げた。そして一気に腰を下げて撫で下ろす。
「ぐあはっ!」
それだけの動作で、俺の二発目はいともたやすく暴発した。しかし、肉棒に四方八方から伝わるご主人のぬくもり。勢いを落とそうとした俺の雄はまたしても再び盛り返す。
三発目、四発目……。俺はおそらく気を失ってからも、ご主人の中に相等精を吐き出したであろう。
「リザちゃん、おはよう」
いつものように小鳥たちのさえずりの中、俺たちは目を覚ました。寝不足と疲労感は拭えないが、ご主人の頬ずりはすぐに俺を現実に引き戻してくれる。
「最初はびっくりしたけど、随分頑張ったよね」
次はいつものように俺の鼻先をなでる。先漏れのことだけは言わないで欲しいが、それだけでは尽きないくらい溜まってたのだろう。それだけは助かった。
ご主人はベッドから立ち上がると、傍らの机に置かれた写真立てを手に取る。
「実はね、私には婚約者がいるの」
婚約者……つまり、昨日の俺のようなことをする相手のことか。
って、ちょっと待て! 俺はそれを思いっきり顔に出す。だったら何で昨日あんなことを?
「人間にはこんなこと珍しいことじゃないんだ。私はこの婚約者、顔写真でしか知らないの」
言いながらご主人は俺にその写真立ての中身を取り出し、差し出す。見ればその雄は、ポケモンの俺でもわかるほど整った顔の人間だってことがわかる。
「十年も前の写真。私よりもお父様に近い歳の人みたい。ものすごい権力を持つ人の息子なんだけど」
言われるままに、俺はその写真を手にとって眺める。なるほど、後ろに写っているものはどこか古臭い感じがする。
「お父様は私のことを権力を手に入れる道具にしか思ってないんだ。口先では私の幸せのためだって言うけどね」
ご主人の言っていることはよくわからない。だが、一つだけわかることがある。俺がこのまま手をこまねいていたら、いつかこの写真の雄にご主人を奪われてしまうことだ。
俺の胸の奥は怒りに包まれた。こんなこと、許していいものか。その瞬間、俺は手中の写真に炎を吐きかけていた。
「リザちゃん……」
俺はご主人を抱きしめた。絶対にあんなやつのところへ行かせてたまるものか。俺とご主人の交叉する目線の間に、一つの約束が生まれた。
絶対にお前を守る。だからお前は俺のものでいてくれ。ずっと一人で泣いてたお前に、もう二度とそんな思いはさせない。
俺は愛するこいつを抱き上げたまま、無限に続く窓の外を眺めていた。
To Be Continued
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2009・07・04
数話構成のシリーズ化の予感が今からしております(((
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2009・07・07
25時半、更新完了。7月8日? なにそrry
七夕で丁度良かったのもあって、無理やり繋げることにしました。
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2009・07・10
とりあえず、空気化して名前さえ出ない心配があったリオが出せただけで今日は満足(
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2009・07・19
ようやく次からえrに突入します。
そーいやここではリザードンは人間の相手になることが多いような?
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2009・07・26
自慰を見られるのはお約束(
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2009・08・10
とりあえずここで一つ終了です。絡みに入ってこなかったリオですが、ちゃんと続きは用意していたりします。
ちょっと同人計画に参加したりするので、当分続きを書くことは無いと思いますが。
ちなみにその同人計画に出そうと思っている作品は、このリザードンの後日譚だったりします。
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またよろしくお願いしますなのです。
#pcomment(炎の抱擁へのコメント,10,)
IP:122.26.137.168 TIME:"2012-06-15 (金) 19:41:18" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%82%8E%E3%81%AE%E6%8A%B1%E6%93%81" USER_AGENT:"Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; YTB730; BTRS98794; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322; InfoPath.1; .NET CLR 2.0.50727; OfficeLiveConnector.1.3; OfficeLivePatch.0.0; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)"