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深き森の日常 の変更点


*&color(green){深き森の日常}; [#o7ce9932]


「…ううん…」
僕は木々の隙間から入ってきた暖かい木漏れ日を浴び目を覚ました。
「ああ…もう朝なのか…」
僕は大きな伸びをして立ち上がり辺りを見回した。あっ今僕はこの森の高木の枝の上に居るんだ。
「わあ〜綺麗だなぁ〜!」
森一番の高さがあって、森の中心に生えてるこの木からの朝の景色はサイコーなんだ。登っていく太陽がキラキラ光って森を照らしてるし、オレンジ色に染まった空をスワンナやピジョン達が飛び交ってて、すっごく綺麗なんだよ。良いだろ〜。
「今日も平和だなぁ〜」
僕は今居る枝から下の枝へと跳び移っていき、芝だらけの地面に降りた。
そうそう、名乗り遅れたけど僕はレイ。漢字だと驪。種族名はツタージャっていうけど、野生じゃ皆見分けつかなくて、名前を持ってるから、まぁこう呼ぶのは人間くらいだな。
「あっ亡霊おはよ〜。」
アクビをしていた僕の耳に聞き慣れた声が入ってきた。僕は溜め息をついてソイツに言った。
「だから〜僕は霊じゃなくて驪だってばぁ、雑草。」
雑草と呼ばれたソイツはムッとした顔をして僕に歩み寄ってきた。
「雑草はないだろ雑草は!草じゃなくて薔だってば!」
「はいはい。解ってますよぉ〜」
コイツはソウ。漢字は薔。種族はフシギソウ。だけど普通と違って蕾が無い。だからその辺の草が歩いてるような感じだったから〈雑草〉。
「はぁ…まぁ別に良いけど。なぁ、今日空いてるか?」
「ああ、特に何も無いよ。」
「だったらさ、エトルさんのとこに行かないか?」
薔の言葉に僕は悩んだ。
因みに、エトル(恵兎琉)さんは最近この森にやって来た、エルフーンの御姉さん。
暫く考えてみたが、こんないい天気に何処にも行かないのは勿体無い。
「解った、行こう。でも今日“は”じゃなくて今日“も”じゃないのか?恵兎琉さんが来た日から毎日僕を誘って会いに行ってるじゃないか。」
「べっ、別にいいだろそんな事…」
僕の言葉に、薔の顔がちょっとだけ赤くなった。
取り敢えず、僕らは恵兎琉さんの所へ向かうため、森の奥へと歩を進めていった…。


「さて、今日はどれにしようかしら。」
私は目の前に積み重なった沢山の紙芝居の前で悩んでいた。
あら、何?私の特徴?焦げ茶の体に、羊の角みたいな緑色の耳があって、身体中綿みたいな毛が生えてる事くらいかな。…何だか自分の事話すの恥ずかしいわね。
何で紙芝居があるかって?ちょっと訳ありでね。子供のためじゃなかったんだけど、子供達が私の紙芝居を毎日楽しみにしてくれてるから、毎日紙芝居をしてるの。一部の子は手伝いに来てくれてるし。それで、今日はどの紙芝居にするのか迷ってるって訳。
「ごめんくださーい!」
悩んでいる私の耳に、そんな声が入って来た。私が玄関の戸を開くと、其処に居たのはちさりちゃんだった。
「あらちさりちゃん、どうしたの?紙芝居はまだだけど…」
「ちさり、恵兎琉おねぇちゃんのお手伝いに来たの。」
ちさりちゃんはニコッと可愛く笑って、頭の良い香りのする葉っぱを揺らして言った。ちさりちゃんは、チコリータの女の子で、私の紙芝居を一番楽しみにしてくれてる子。漢字では茅嗄梨。何で漢字で表すのか私にはよく解らないけど、お決まりみたいだから言っとくわね。特徴は…薄黄緑の身体に頭の葉っぱ。あ、そうそう。私は恵兎琉ね。
「良いの?ありがとー!!じゃあね…」
私は茅嗄梨ちゃんをリビングに案内した。
「今日はどのお話が良いか選んでくれる?」
「うん!えーっと…」
「ごめんくださーい!恵兎琉さーん!いますー?」
茅嗄梨ちゃんが選び始めた時、また声が聞こえた。私が行くと、驪君と薔君だった。
「おはよう御座います、恵兎琉さん。」
「おはよう。二人共、また来てくれたの?」
「は、はい…恵兎琉さん、何時も忙しそうなんで…」
この2人が何時も私を手伝ってくれてる子達。まぁ子供達の中では年上の方だけど。あれ?何だか薔君顔が赤いけど大丈夫かしら…
「有り難う。でも今日は茅嗄梨ちゃんが来てくれたから…」
「キャーーッ!!」
「!?」
突然リビングから悲鳴が聞こえた。私達が行くと、茅嗄梨ちゃんがその場に座り込んで泣いていた。私達は茅嗄梨ちゃんへ駆け寄る。
「茅嗄梨ちゃん、どうしたの!?」
「ぐすっ…突然…変な人が入って来て、紙芝居をみんな持っていっちゃったの…」
「ええ!?」
私は驚愕した。あの紙芝居は先日亡くなった祖母に作って貰ったもので、私にとって大切な祖母の形見だった。紙芝居は私も作れるが、祖母の形見を放っておく訳にはいかなかった。
「不味いわ…このままじゃ楽しみにしてくれてる皆をガッカリさせてしまうわ…」
私は何時も同じ時間に紙芝居を始める。壁にある時計を見ると、時間まで後一時間しかない。
「茅嗄梨ちゃん!ソイツどんな奴か分かる?」
突然驪君が茅嗄梨ちゃんに声を掛けた。
「確か…赤と緑色の体で、背が高くって、腕に一杯葉っぱがあったよ。」
「有り難う。恵兎琉さん。紙芝居は僕達が必ず取り返します。薔、行くぞ!」
「えっ…あっ、ああ!」
私の紙芝居の事情を知っていた2人は、直ぐ様私の家から出ていった。
「有り難う…二人共…お願いね…」
私は消えていく2人の後ろ姿を見てそう呟いた。

「はあはあ…ちょっと…待ってくれよ…」
俺は物凄い速さで走っている驪を呼び止めた。
「何だよ薔、もうへばったのか?お前は雑草なのに根性無いな〜」
お前が速すぎるからだよ、と言おうとしたが、気に入らないからやめておく。
「だから…俺は…雑草じゃないっての…はあ…」
「仕方無いなぁ、ちょっとだけだぞ。」
何でコイツは年下なのに何時も上から物言うんだ?まだ進化だってしてないのに。まぁ、初戦した時は負けちまったけどよ。
取り敢えず俺達は側にあった木に腰掛けた。爽やかな風が森を吹き抜け、俺の汗を乾かしてくれる。
そういやこの辺だな、驪と初めて会ったのは。コイツ、俺もタネだったとは言え初戦の時手加減してやがったんだぜ?、戦った後森荒らしに来たドンカラスに俺には使わなかった“リーフストーム”やって追っ払ったからな。本気でっていうルール無視した証拠だよ、ったく…でも…何か憎めねぇんだよな。
ってか、驪の奴犯人解ってんのか?もぅ疲れた…
「驪〜、犯人は解ってんのか?」
「勿論!茅嗄李ちゃんのお蔭でね。」
流石だ。驪は昔っから頭がヤバイ。いや可笑しい訳じゃなくて、ヤバイ程にキレる…切れる。あん時も俺の種マシンガン利用しやがったしな〜。
「薔。そろそろ行こうか。」
「え?あ、ああ…」
何で昔懐かしんでんだよ、俺。今は恵兎琉さんの大切な紙芝居を盗んだふとどきな野郎をぶっ飛ばすことに専念しなくては。俺達は、森の外れに向かって、また走り出した。

僕達は息を切らしながら目の前の巨木を見上げた。森の外れにあるこの巨木には、あるポケモンが住んでいる。茅嗄梨ちゃんの情報上犯人は此処にいる筈。
「おいおい、マジでか?」
薔も此処の主の事は知っているから、溜め息混じりに言っている。正直僕も不安だが、ちゃんと説明すれば解ってくれる…筈。僕は軽く深呼吸をした。
「よし、行こ……!?」
薔を振り返っていた僕は、何かの気配を感じて咄嗟に横に避けた。見ると、さっきまで僕がいた所には、地面に拳を打ち付けたジュプトルがいた。完璧な情報有り難う、茅嗄李ちゃん。
「…何しに来た。」
「久し振りの挨拶で、それはないでしょジルドさん。それに僕達は、紙芝居を返して貰いに来ただけですよ?」
目の前に居るジュプトルはジルド(茲縷弩)さん。先日まで、森に住んでたんだけど、森の主のダイドウ(薹橈)さんともめ事起こして、追放されちゃった人なんだ。因みに薹橈さんはドダイトスのお爺さん。
其にしても…茲縷弩さん何時にも増して目付き悪いな…ってそんな場合じゃないよ。
茲縷弩さんは何も言わずに構えた。どうやら和解は無理みたいだ。
僕達も自然と戦闘態勢に入る。そして、同時に戦闘を開始した。
僕は“グラスミキサー”を発動させる!それに対して茲縷弩さんは素早く後退しつつ、“種マシンガン”で高速回転する葉っぱを叩き落としていく。
流石だ…前に一度薔と組んで対戦したけど、ボロ負けしたしなぁ。
「何ッ!?」
でも、経験有るからこそ弱点は良く解る。グラスミキサーに気をとられていた茲縷弩さんは、狙い通り薔の背後からの“蔓の鞭”によって手足を束縛された。解った?そう、グラスミキサーは単なる囮。
素早い茲縷弩さんはまず動き封じないと技当たんないよ。え?いいから早く話を進めろって?せっかちだねぇ。
僕は動けない茲縷弩さんに向けて走り、地面を蹴って宙に飛び上がる。落下しながら連続で前回転し、視界に映る茲縷弩さんに向けて勢いよく尻尾を振り落とす!すると茲縷弩さんは腕を無理矢理動かし、僕と同じく“リーフブレード”を発動してきた!技同士がぶつかり合って火花を散らす。
「…ふん!」
茲縷弩さんが腕を振り切って僕を弾き飛ばした。もし回転して威力を上げていなかったら、力負けしていた。
確かに茲縷弩さんは素早く力も強い。でも、瞬発力なら僕の方が上だ。僕は足が地面に触れた瞬間にすぐに蹴り上げ再度茲縷弩さんに突進する。でも、甘かった。
「同じ手は通用せん!」
「うわっ!」「ええ!?」
何と、茲縷弩さんは自分に巻き付いている蔓を掴んで薔を僕の方へ投げ付けてきた!うわ〜前より力強っ…って考えてる間に反応遅れて薔とぶつかった。起き上がるも、僕達の目の前には“エナジーボール”が迫っていた。僕達は吹き飛ばされて地面に倒れる。いやぁ…やっぱり強いなぁ。
茲縷弩さんが近寄ってきた。“リーフブレード”を発動し、倒れている僕達に向けて腕を勢い良く振り上げた…!やられる!と思ったその時、茲縷弩さんの背後の茂みから、怪しげに輝く沢山の葉っぱが飛んできた。茲縷弩さんは咄嗟に身を退いて避けた。しかし、葉っぱは滑らかに進行方向を変えて茲縷弩さんに向かっていく。
「…成る程。そう言うことか。」
茲縷弩さんは呟くと、力が灯った刃(やいば)と化す腕の葉っぱを振るって怪しい葉っぱを切り裂いた。一瞬にして散った葉っぱは風に舞いながら遥か遠くの空へと消えた。
「何だ。邪魔するな。」
「何言ってるの?この子達はただ紙芝居を取り返しに来ただけじゃない。あの人には関係無いわ。」
茲縷弩さんがさっき葉っぱが飛んできた茂みに向かって言うと、茂みから綺麗な女の人が表れた。頭に赤い花が咲いていて、ドレスの様な緑と黄色の体部は、白い肌に良く似合う。確か…種族はドレディア。
「…ドレイア、それが問題なんだ。アイツは紙芝居が見たいと言っている。コイツらに返すわけにはいかないだろ。」
その綺麗な人はドレイア(堵麗娃)というらしい。え?何で初対面なのに漢字が解るのかって?いや、堵麗娃さんの後ろの木に【堵麗娃】って彫った後があるから、何と無く…かな。
「そうだけど、それだけで攻撃するなんてちょっと酷いんじゃない?この子達は貴方を知っているようだし、訳を話せば解ってくれると思うんだけど。」
堵麗娃さんは厳しい表情の茲縷弩さんと違って、優しい表情をしている。
「むぅ……」
腕を組んで黙り込む茲縷弩さん。訳が解らない僕達が倒れたまま呆気に取られていると、いきなり腕に温かさを感じた。
「迷惑を掛けてしまってごめんなさいね。私は堵麗娃。先日此方に越してきたの。ちょっと訳があって、すぐには紙芝居を返せないの。」
堵麗娃さんは優しく語り掛けながら僕達を起こしてくれた。…何故だか、頬っぺたが熱い。
「あ、有り難うございます。でも…」
僕は不思議な感情を振り払って、紙芝居を早く持ち主に返さなくてはいけない訳を話した。
「そうなの…困ったわね…此方は急ぎでは無いんだけれど、どうしてもって言うから…」
「あの…さっきから誰の事を話してるんですか?」
困った顔をしている堵麗娃さんに薔が疑問を上げた。確かに…誰の話をしているのだろう。
「…着いてくれば解る。」
その疑問に答えたのは茲縷弩さんだった。そう言った後、茲縷弩さんは巨木をさっさと登っていった。
「…全く、素直じゃ無い上、せっかちなんだから。」
呆れたように堵麗娃さんは言うと、巨木の前に立って僕達に手招きした。僕達は、一度顔を見合せ、そのまま2人に着いていった。

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何か意味不明に…

[[スペード]]

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IP:61.22.93.158 TIME:"2013-01-14 (月) 18:38:47" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E6%B7%B1%E3%81%8D%E6%A3%AE%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%B8%B8" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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