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毒に毒毒 の変更点




CP: ペンドラー♂×ニドリーナです。
注意:この小説には18禁の挿絵が含まれています。また、描写として&color(red,red){「強姦」・「毒で衰弱する」};などが含まれています。


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RIGHT:
字・絵:[[朱烏]]

LEFT:





 昼間だというのに光の乏しい森だった。じめじめとした空気、踏み込めば水が染みだす土、鼻につくにおいがする草。
 私は短い足で死に物狂いで走っていた。捕食者から逃げるために。
「待てやオラァ!」
 待てと言われて待つわけがない。足を止めたらそこで私の寿命が途切れる。
 あの牙蛇にとって大人しそうなニドリーナは格好の獲物だろう。私の&ruby(からだ){身体};は同族と比べても小さい。あちらは牙蛇ポケモンのハブネーク。私程度なら数秒で絞め殺してしまえそうだ。
 振り返って毒針でも打ち込もうかと一瞬考えたが、すぐにその考えは振り払った。
 同じ毒タイプのポケモンに毒技なんかほとんど効かないし、何より――私の毒は弱かった。毒タイプどころか、他のタイプのポケモンにさえあまり効かない。
 それがトレーナーに捨てられた理由で、あてどなくさまよううちにこんな不気味な森に迷い込んでしまった。
「あ」
 何かに足を引っ掛けた。体勢を立て直そうとしたときにはもう遅く、私は前につんのめって転んだ。
 起き上がろうとした寸前でハブネークにのしかかられ、そのまま巻きつかれた。
「ぐぅ……」
「手間掛けさせやがって」
 あっけない。私はここで死ぬのか。
 弱いから捨てられ、弱さゆえに野生でも生きていく自信などなかったけど、二日ともたないとは。我ながら自分の情けなさに呆れる。
 ハブネークの力は見た目通り恐ろしく、こちらが暴れようとすればするほど締めつけが強まっていく。
 骨がみしみしと音を立てる。
 ――終わる。
「ぐげえ!」
 締めつけとは別の衝撃に、身体が弾き飛ばされた。――解放された?
「なんだてめえ! 横取りか!」
 土の上にくずおれている私は、ハブネークよりも遥かに身体が大きい、別のポケモンの姿を認めた。
「うっ……」
 ハブネークはたじろいでいる。そのポケモンの重厚感は、明らかにハブネークよりも格上であることを示していた。
 なんて呑気に思う暇はない。たぶんあのポケモンは私という餌を横取りしようとしているのだ。
 今のうちに逃げ出さなければ。
(あ、足が……)
 だめだ。先ほどの締めつけで、足に相当な深手を負った。すぐに立ち上がれそうにない。死の間際に幸運を拾ったと思ったが、運命は変わらないようだ。
「覚えとけよ!」
 ハブネークは捨て台詞を吐いてその場を去る。薄暗がりには私と、ハブネークに突進してきたポケモンが残った。
 その巨大なポケモンは、私の側にのそのそと寄ってきた。
 何を考えているかまるでわからない無機質な黄色い目は、ハブネークの蛇睨みよりもずっと冷たい視線を私に送る。
 毒々しい赤紫色の体躯。見るからに「毒を持っている」という警戒色。虫――に見えるが、ここまで大きな虫タイプは見たことがなかった。
「……ついてこい」
「え」
 私を食べるつもりはないのだろうか。
「でも……足が」
 痛みで動けないのだ。ついてこいと言われても、従う謂れもない。
「ならここにいればいい。他の奴らに食べられて死ね」
 巨大な虫ポケモンは踵を返す。
 待って、と言いかけて口を噤んだ。おそらく、私の言葉で待ってくれるような相手ではない。
 そして、怪我を負ったままここにいても別の捕食者に捕らえられるのは目に見えていた。
 死にたくなければ、どれだけ身体が痛もうとも我慢しなければ。
 痛みで脂汗が滲み出るが、必死でそのポケモンの後ろをついていく。その虫の動きは、巨体に似つかわしくないくらいに速かった。
 言葉は一言も交わさず、私は凸凹な地面に足を取られながらも、なんとか食らいついていった。
「ここで待っていろ」
 低い木が茂っていて、見通しが利かないような場所だった。待っていろと言われて不安を感じたが、ここなら捕食者が私を見つけるのは難しいだろうとも思った。
 巨虫はどこかへ行き、私は不気味な葉擦れを聞きながら、ひたすら痛めた足をさするなどして時が過ぎるのを待った。
 しかし、ここは本当に暗い。夜ともなれば本当に真っ暗になるだろう。
 幸い、私は地面に穴を掘って巣を作るような種族だから、暗がりには慣れている。それでも、捕食者は闇に紛れて忍び寄ってくる。油断はできなかった。
 本当は――同種族の&ruby(つがい){番};がいれば心強いのだが、生まれたときからトレーナーのもとにいて、番となるニドラン♂は用意されずに育てられ、そして進化までしてしまった。
 その上で捨てられたのだから、人間というのは本当に鬼畜であるとしか言いようがない。
 なんだってこんな寂しい思いをしなくてはならないのか。
「ほら、これを食え」
 悲しみに打ちひしがれていると、巨虫がやってきて私の顔ほどの大きさの葉っぱを三枚と、オボンの実を渡してきた。
「これで体力を回復しろ。葉は痛みに効く薬草だ」
 ぶっきらぼうだが、わざわざ木の実や薬草を持ってきてくれるほど献身的なのはどういうわけだろう。
 訝しんだところで巨虫の親切を無下にするなんていう選択肢はハナからないので、「ありがとう」と感謝の意を述べて大人しく木の実を貪り、薬草も――味は最悪だったが――なんとか飲み込んだ。
「あの、あなたは」
「ペンドラーだ」
「ペンドラーさん、どうして私を助けたんですか」
「気まぐれだ」
 ペンドラーは間髪入れずに答えた。
「強者にはそれが許される。弱者を弄ぶのも助けるのも自由だ」
 私は息が詰まった。彼は自分を強者だと言って憚らず、それを後ろ盾に自分が残虐な思考を持ち合わせているのを隠そうとしない。
「お前を食べても良かったが、あいにく食事は既に済ませていた」
「そう……ですか」
 きっと、私ではない弱いポケモンを食べていたのだ。早いところペンドラーからは離れたほうがいいと、私の頭が警鐘を鳴らしている。
「とはいえ、助けた手前、お前を食べるつもりはないから安心しろ」
 彼の言葉をウッウ呑みにするのは危険だが、足がしっかり回復するのは丸一日かかるだろう。
 むしろ、強い彼の側にいたほうが危険な目に遭う可能性を下げられるかもしれない――と思う弱い自分が嫌になった。
「しかし……出来心で助けた命だろうと、すぐに死んでしまうのは忍びないな」
「何を……」
「お前は見たところ毒が弱すぎる」
 私は動揺した。私の戦闘力が貧弱なことはともかく、毒が希薄なことまで看破されている。
「ここは毒タイプのポケモンが多く暮らす森だ。毒の強さがそのポケモンの強さを表している。文字通り毒で毒を制するものがより広い縄張りを持ち、腹を簡単に満たせる」
 私は恐る恐るペンドラーの顔を見上げた。ペンドラーは、相変わらず冷たい目で私を見下ろしていた。
「この森で生きようにも、三日もてば御の字だろうな、お前は」
「なら……どうすればいいんですか」
 こんなことを聞き返したところで、望むような答えが得られるはずもない。彼がこれ以上私に手を貸す道理はないのだ。
 この森を出なければならない。だが、腹を空かせた捕食者たちがうようよしている森を、彼らに見つからずに抜け出す自信も無かった。
「強くなりたいか?」
「え……ええ」
 突き放されるかと思っていた手前、予想外のペンドラーの言葉に私は目を丸くした。
「ならば俺が手を貸してやろう……」
 どういう風の吹き回しだろうか。もう一度彼の顔を見上げる。彼の目は慈悲に満ちているようにも見えたし、嗜虐心に染まっているようにも見えた。
 ただ一つわかっているのは、私は彼に見放されるより、従ったほうがまだマシな生き方ができるのではないかと思っている私の情けない心の内だった。
「仰向けになれ」
「は、はい」
 私は焦る。相手に腹を見せるのは、相手への降伏、もしくは完全な服従を示す行為だ。人間に飼われているポケモンが、人間を信頼して腹を見せて遊んでくれと意思表示する場合はあるが、野生で生きる者としては絶対にやってはいけないポーズだ。
 だが、私は唯々諾々だった。生きるために必死だった。これから彼が私に何をするかはわからずとも。
「よろしい」
 彼は私の首に顔を近づけ――
「ぐっ」
 針を――打った。
 毒だ。騙された――?
「安心しろ。少し動かれると面倒だから弱めの毒を打った。この程度じゃ死にやしない」
 ペンドラーの嘲笑的な目。ハブネークに負わされた怪我と、毒による痺れに、私は顔を歪める。
「しかしこの程度の毒も相殺できないとは。お前の毒は本当に弱いんだな」
 ペンドラーが毒づくが、反駁する気力などなかった。悔しいが、彼は事実を述べたまでだ。
「さて」
 巨躯が私の身体に覆い被さる。
「うっ……!」
 重い。身体が潰れそうだ。だが彼の下腹は柔らかかった。それがいくばくかのしかかる重量感を軽減しているような気がした。
 私の下腹部に何かが触れる。これは――何だ。
「少しは俺に愉悦を与えるように努力しろ」
 くぐもった声が聞こえる。ペンドラーの腹に覆われている私は、返事すらできない。そもそも努力って何の話だ。
「あ……」
 私の――大事なところに、何かが侵入しようとしている。
「嘘……」
 では、当たっているのは彼の――。
「そら」
 ずん、と逸物と思しきものが、私の膣口を穿った。
「ひぎっ!」
「入り口が小さすぎるな。裂けても文句は言うなよ」
 痛い、と喚いてもペンドラーには届かない。彼は私をいたぶるような乱暴なピストンで、私の膣内を蹂躙した。
 ピストンのたびに私の身体には彼の体重が押しつけられ、同時に腹の中を圧迫されて、もはや声すら出なかった。
「具合はまあ、悪くはないな」
 どちゅ、どちゅ、と肉棒に貫かれるたび、私の目からは涙がこぼれ落ち、痛みと苦しさと痺れで顔はひどく歪んだ。
 やっぱり、私は騙されている。強者である彼の甘言に騙され、性欲の捌け口にされてしまった。
 このまま――犯されながら死んでしまうのだと思った。
「そろそろ出すぞ」
 何でもいいから早く終わってくれと、私は心の中で懇願した。
 激しくなるピストン。壊れそうな私の身体。
 ごぽ、と私の子宮のあたりから音が聞こえたような気がした。

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 どぷ、どぷ、と大量にペンドラーの逸物から吐き出された濃厚な液体は、私の子宮を容赦なく穢す。
 入りきらない汁が膣口と逸物の間から溢れ出す。長い吐精の間、私はやっと終わったのだと静かに安堵の涙を流していた。
 逸物が引き抜かれ、彼も重い体を私の上から退ける。
「ふふ、お前は耐えられるかな?」
 朦朧とする意識の中で、彼が何を言いだしたのかわからなかった。
(……!?)
 突如身体の痺れが増大する。四肢のすべてが痙攣し、腹の中にあるものが私の全身を内側から食い破ろうとしているかのような激痛。
 喉も狭窄し、声が出ない。辛うじて呼吸ができるくらいだ。
「毒を打ち込んだ。強力な毒だ。お前は雌だから、&ruby(ナカ){子宮};に打ち込んだほうがよく効く」
 なぜ彼がこんなことをするのかわからなかった。いくら横暴を許される強者でも、こんな残虐なことができるのか。
 強姦するだけでなく、致死性の毒まで――。
 ひどい。ひどい。酷い。酷い。これならいっそ、私を食べて楽にしてくれたほうがずっとずっとマシだった。
 こんなの生き地獄だ――。
「そう恨めしそうな顔をするな」
 私は彼を睨みつけてたらしい。今際の際にできる、ささやかな最期の反逆。
「お前は弱い。弱いことは罪だ。こうして俺に弄ばれるのもすべてはお前の弱さが原因だ。だが」
 彼はサディスティックな心情を一切隠さなかったが、こう付け加えた。
「俺は優しさだって持ち合わせている。お前が生き延びる可能性を与えたい」
 こいつの言っていることが何一つとして理解できない。このペンドラーは、弱者の私の理解が及ばない性質を持っている。
「お前に打ち込んだ毒は、確かに致死性ではある。だが、一方で別の側面も有している」
 ペンドラーは半眼で私の目を見つめている。
「お前は八割方死ぬだろう。だが、もし耐え抜けたのならば、お前は俺の強力な毒を己の毒とし、生き抜くための新たな強さを手に入れられるはずだ」
 ペンドラーの力が、私の力に――?
 まるでおとぎ話を聞いているかのような気分だった。もっとも、苦痛や痺れによりそのような悠長な気分に浸っている暇は一秒たりともなかった。私は今、まさしく死の瀬戸際にいるのだから。
「お前の毒タイプとしての意地を見せてみろ。せいぜい頑張ることだな」
 彼は底意地悪い台詞を吐き、私をその場に捨てていった。
 撒き散らされた毒液。泡を吹き白目を剥く私。
「げ……ぇ……」
 八割方? こんなの、絶対に死ぬ。死ぬに決まっている。
 あんな暴虐的な虫、信じるほうが馬鹿だ。私が死に抗う姿を見たくて、でまかせを言ったに過ぎない。
 でも。――死にたくない。
 生きたい。生きたい。生きたい!
「……」
 私の意識は、そこで途切れた。































































「ほう」
 巨虫は、私の姿を見るなり、驚嘆とも感心ともつかぬような表情をした。
「生き延びたか」
「おかげさまで」
 季節は一巡りしていた。ペンドラーは相変わらず強者然としている。この森に、彼の命を脅かせる者などいないのだろう。
「顔つきが変わった。何度も死地をくぐり抜けた――そういう顔をしている」
 彼には何でもお見通しだった。
 ペンドラーに出会う前の私の毒針は、ただのこけおどしに過ぎなかった。
 それが今や、並の毒タイプであれば気絶させることができるぐらいの強力な技だ。見違えた私を見て彼が目を見開いたのも無理はない。
「ここでは強さがすべてだ。お前は自分の強さを誇っていい」
「私の強さじゃない。あなたの力を使ってるだけ。所詮借り物の強さよ」
 ペンドラーは目をすがめる。
「違うな。俺の毒に耐え抜いたのも、俺の毒を自らの糧とできたのも、お前の強さだ」
 ペンドラーは、木漏れ日の下にいた。薄暗いこの森で、唯一光が差す場所だ。
「お前にやったような施しは他にも何匹かに試したが、みな死んだ。あのあとにお前が倒れていた場所に行ったが、お前の姿はなかった。俺の毒を克服したのだと思った。こうして会えて嬉しく思う」
 残虐さを覗かせる彼の顔に、懐かしさすら覚えた。私にしたことも、結局はただの暇潰しだったのだろう。換言すれば、実験だ。――反吐が出る。
 それでも、私は彼のおかげでここまで生きてこれた。私の尊厳は踏みにじられたが、厳しい環境を生き抜くすべを与えられた。その一点だけは――感謝している。
「もうお前と会うこともないだろう。せいぜい野垂れ死なないよう生き抜くことだな。俺は寝る」
 そうして彼は私に一切の興味を失ったと言わんばかりに、淡い日だまりの下で眠り始めた。
 あんな場所で安穏として寝ていられる彼が素直に羨ましかった。私はこの身を晒して眠りこけていられるほどには強くない。
 私はペンドラーに背を向け、薄暗がりへと駆けていった。
 私は、生き続ける。生き続けてやる。くたばるそのときまで。







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あとがき

ペンドラーのやりかた、完全にパワハラ会議の無●様ですね。めっちゃ影響された。
絵を描いたらなんか小説も書きたくなったので2時間半くらいでさくっと書きました。
楽しかった。

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感想や誤字脱字報告等ありましたらどうぞ↓
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