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次元を超えた出会い episode.6 の変更点


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サイクロンたちとフォレストタウンのギルドメンバーが合流。
物語中では一日目が終了しますね。

作者[[ラプチュウ]]より
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 サイクロン達がフォレストタウンにたどり着く頃には、すでに空は赤く染まっていた。バウムやクレアの提案で、モンスターボールは使わないほうが良いということになっていたのでちょっとした大移動になってしまっている。地上を移動するのに不向きな体つきのライラは、目の前の道を[れいとうビーム]で凍らせながらその上を滑るように移動していた。

「いよいよフォレストタウンかぁ……」
「リーセルの話だとけっこう大きな町らしいが……」
「このあたりでギルドを持ってる町はフォレストタウンだけだからなぁ」
「毎日いろんな探検隊のポケモン達が来るからお店や宿屋さんもたっくさんあるんだよっ」
「へぇ……」

 そんな話をしているうちに、一行はフォレストタウンの東門へたどり着く。門を抜けて町の中へ入ると、アクアスと話していたクラウスがサイクロン達に気がついて歩み寄ってきた。

「やぁ、無事についたようだね。フォレストタウンにようこそ」
「ん? “無事に”……ってどういう事?」

 クラウスの言葉に違和感を感じ取ったのか、ミリシャが首をかしげる。

「とりあえずギルドに行こう。話は落ち着いてからでも遅くはないからな」
「そうだな」

 クラウスの言葉に同意しつつ、サイクロン達はクラウスの先導でギルドへと足を向ける。途中、店先にいるポケモン達がサイクロン達を見てなにやら小声で話しているのが目に付いた。

「なんか……見られてるね……」
「そりゃ人間なんて見たことないからね、ここのポケモン達は」

 少しおどおどした様子で呟いたアルマに、クレアがため息混じりに返す。

「いやぁ、道の真ん中がガラ空きできっもちいいねぇ」
「避けられてんのよバカ」

 ラゴンが笑顔混じりに言った言葉に対して、ルーシーが横でぽつりと呟く。

「お店がたくさん並んでたり、町の中を歩いているポケモンがいたり……なんか私達の世界とあまり変わらないんですね、人間がいないってだけで……」
「あぁ、そうだな。もっとも、本来ならもっと賑わいがあるんだろうけどなぁ」

 あたりを見渡しながらライラが呟いた言葉に、サイクロンは賛同しつつもどこか重い空気を感じずにはいられなかった。

「いやぁ、しかし驚きましたよぉ。リーセル君達が人間を見つけるなんてぇ、しかも私達ポケモンと話せるとはねぇ」
「伝承じゃポケモンと話せる人間がこの世界に現れたってことは、この世界に危機が迫ってるって事だからなぁ……無理もないさ」

 アクアスとバウムは少し不安げな表情を浮かべながら会話を交わしている。同じような表情を浮かべるポケモン達の視線を浴びつつ、一行はギルドの前へとやってきた。

「うわぁ、ほんとに樹の中にあるんだねぇ! すごぉい!」
「でしょお? 私達の自慢のギルドなんだよっ」

 ミリシャとリュナはすっかり打ち解けたようで、お互いに笑顔を見せて話している。ギルドの本部になっている巨大な樹は、夕日を浴びて赤く染まっていた。

「さぁ、入ってくれ。中でギルドのメンバーを紹介しよう」

 クラウスに促され、サイクロン達は大きく開け放たれた門の中へと入っていった。

――――――――――

 ギルドのホールをリュナとミリシャが[フラッシュ]を使って明るく照らす中、ギラウスがギルドのメンバーを集めてサイクロン達を紹介していた。

「……という訳で、今日からサイクロン達はギルドの仲間になった。明日からギルドの仕事に参加してもらうからそのつもりでいてくれ」

 ギラウスが話を終え、ギルドメンバーの面々はそれぞれで反応を見せる。

「あ、あのぉ……親方様? そんな悠長に構えてていいんですの……? もし伝承通りなら何か対策とか準備とか……」
「ん~、そんなこと言ったってさぁ~、今特に何か起こってるってわけでもないんだしぃ~、今から身構えてたら気が持たないよぉ~?」
「それは……そうかもしれないですけど……」

 困惑した表情で話を切り出したのはエリゼだった。不安がにじみ出るかのように若干震えた声で話すエリゼを、レイルがなだめる。

「きゃ~、私こわぁい!!」
「ち、ちょっとクイーン! 抱きつかないでってば!!」

 一方で、クイーンは強がりなのか本心なのか隣のライトに飛びついている。そんなクイーンの行動に、ライトは軽く抵抗しつつも無理に振りほどこうとはしなかった。

「な、なんかすごい個性的なメンバーですね……」
「図太いというか、肝が据わってるというか……」

 ぽつりとフィリアがつぶやいた言葉に、サイクロンも少し困惑気味に続ける。

「……とにかくだ、流れとは言えギルドに入ることになった以上はここにいる全員が仲間なんだろ? なら仲良くしようぜぇ?」
「あら、あんたにしてはえらくまともな事言うわね」
「……いちいち一言余計なんだよお前」

 笑顔を浮かべながら呼びかけるラゴンの言葉を聞いて、ルーシーがちょっと意外そうにつぶやいた。それを聞いたラゴンは軽くルーシーを睨みつけながらぼやく。

「とりあえず、町のみんなもサイクロンの出現に関しては不安を強めていることは確かだ。私も、この一件に関して静観するつもりはないのでね、明日からギルドの仕事に加え、この件に関する調査を始める事にする」
「サイクロンさんがこの世界に来たからといって、すぐに影響が出てくるとは限りませんからねぇ。これから忙しくなりますよぉ」
「あのぉ、ちょっといいですか?」

 ギラウスとアクアスの言葉に続けるように、ミリシャがおずおずと手を挙げながら話しかける。

「ん? なにかな」
「私たちがこの町に着いたとき言ってた……"無事に"って……どういう意味ですか?」
「あぁ、その事か。バウムをつけていたから心配はないと思ってはいたんだが、東の森は初めて入ったものだと迷いやすいんでな。迷うことなく無事にたどり着けてよかったという意味だよ」
「そ、そうですか……なんかいわくつきの森なのかと思った……」

 ミリシャの質問を聞いて、ギラウスは淡々と返事を返す。それを聞いて、ミリシャはほっと胸をなでおろした。

「森にポケモンがほとんどいなかったのもそのせいか?」
「え? 東の森にも住んでるポケモンは結構いるはずだけど……」

 サイクロンの言葉に、リュナが首をかしげる。ギルドの面々も皆一様に不思議そうにしていた。

「東の森にポケモンがいなかった……? そういえば確かに今思うと静まり返っていたな……」
「なんか、気味が悪いですわね……」
「サイクロンが~、この世界に現れた影響~?」

 少しホールがざわつき、その流れを断ち切るようにギラウスが咳払いをする。

「……ゴホンッ、ひとまず調査するべき場所が決まっただけ良しとしておこう。問題があるかどうかはここで議論していてもわからんからな」
「サイクロンが倒れてたのが東の森だから、そこから影響が出始めてるとしてもおかしくないですからね」

 ホールにあつまったギルドメンバーを一度見渡し、ギラウスが続ける。

「今日は皆ゆっくり休んでくれ。明日からいろいろと動き回ることになる、疲れは残さないようにな」

――――――――――

 日もすっかり落ちて、フォレストタウンの空には満点の星空が広がる。ギルドのある大木にもたれかかりながら、サイクロンはその星空を眺めていた。

「サイクロンっ、どうしたの?」

 その声にサイクロンが振り向くと、リーセルが小走りで駆け寄ってくるのが見えた。サイクロンの足元で立ち止まって、その顔を見上げる。

「いや、なんかまだちょっと信じられなくてさ……」
「なにが?」
「この世界に人間が俺だけってこと」

 そこまで言うと、サイクロンは腰のベルトに付けてあるモンスターボールを手に取った。中央のボタンを押して通常のサイズへ戻し、手のひらに収まったそれを静かに見つめる。月明かりがモンスターボールに反射してサイクロンの顔を照らした。

「……さみしい?」

 リーセルがサイクロンの顔を覗き込むように尋ねる。サイクロンは口元に小さく笑みを浮かべると、モンスターボールを軽く空中へと投げ上げた。そのまま軽く手を振りながら空中でモンスターボールをつかむと、ボールを収納する。

「いや、さみしくはないさ。俺にはそばにいてくれるポケモン達がいるし、この世界で俺を真っ先に受け入れてくれたリーセルって存在もいるからな」

 その言葉を聞いて、ちょっと照れくさそうにうつむいたリーセルをサイクロンが抱え上げる。

「さぁ、そろそろ眠ろう。明日から行動開始だからな」
「うんっ」

 サイクロンに肩へと乗せられながら、リーセルは力強くうなずく。洞窟の中へと消えていく一人と一匹を見送るように、夜空を一筋の流れ星が流れていった。
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