---- writer is [[双牙連刃]] ---- ''第三話 暗き闇、照らす'' ん~あったかい……寝るのに丁度いいや~。 あれぇ? 僕、いつの間に寝たんだっけ? なんか違うことしてた気がするんだけど。 えっとぉ……確か、レイブと一緒にいたよね? で、暗い所に入っていって……。 ……暗い所? あ! そうだった! 僕たち遺跡に居るんだ! あれ? でもなんで僕寝てたの? 思い出せ~思い出すんだカルク~。 ……そうだ! 僕たち落ちたんだ! 部屋の床が抜けて! で、落ちてる間に気を失って…… ってそれって寝たんじゃなくて気絶してたんジャン! 危ない危ない…… 寝ぼけてる場合じゃなさそうだね。 目開いたはずなの真っ暗なんだけど……。 どの位落ちてきたのかな? ……遺跡の中、何だよね? 此処そんなに広かったんだ。 暗すぎて周りが全然分かんないよぉ……怖いとこ嫌いなのにぃ…… なんとか明るくしなきゃ! でも持ってきたマッチも分かんないしなぁ。 う~ん……電気じゃあんまり明るくならないしなぁ。 もっとこうパァッと明るくする方法は……。 こういう時一人って虚しいなぁ……いつもはレイブがすぐなんか閃いてくれるのに…… レイブ……? うわ! 大変だ! レイブと僕はぐれてんジャン! 暗い所にレイブ一人で居させちゃいけないのに! は、早く明るくしてレイブ探さなきゃ! あ! そういえば僕一つ良い技覚えてたよ! でもちょっと自信無いなぁ、覚えてた事も今まで忘れてたし、使ったこと無いんだよなぁ。 つべこべ言ってる暇は無いんだった。 こうなったら一発本番勝負だ! 出来なかったらそのときはそのとき! 「いっくぞ~! フラーーーーーーーッシュ!」 うわっまぶし! この技使うの初めてだから加減が分かんないや。 おぉ! 僕の身体光っちゃってるよ! 凄いや! ……歓心してる場合じゃなかった、レイブ探さなきゃ。 でもレイブ見つけたら自慢しちゃお~。 周りは見えるようになったけど……。 何なの此処? ボロボロの椅子、戸棚が壊れた……タンスかな? あれ。 それにテーブルにベッド? どゆ事これは? 此処に誰か住んでる? ううん、違う、誰か住んでたが正しそうだね。 此処って……開かずの遺跡……だったよね? でも誰かが暮らしてた跡がある。 も、もしかして……此処が開かずの遺跡になったのって…… 此処で生活してた人の……。 は、はは、は……ぼ、僕とした事がな~に自分で怖い事想像しちゃってるんだろ。 大体此処に入ってポケモンの一匹にも会ってないのにそんな事ある訳……。 会ったよ! 会話とかしてないけど一匹! しかもあつらえたようにゴーストポケモン! や、やばい……此処が開かなかったのってやっぱり…… 呪いってやつですか!? で、さっきのヨノワールは扉を開いちゃった僕たちを此処に閉じ込めるために……。 うわ! 怖い怖い怖い! 見つかる前に早く出なくちゃ! ってレイブ! まさかもう見つかっちゃってるってことは無いよね! 嫌だよ! 一人になるなんて! 僕たちずっと一緒だったんだ! これからだって! 落ち着け~落ち着くんだカルク。 レイブがヨノワールに見つかってるのはよくよく考えたら無理があるよ。 だっておんなじところから落ちたんだからそう遠くにはいないはずだよね。 レイブが動き回ってないって想定だけど……。 でも、見渡した限りレイブが居ないよ~。 何処に行っちゃったんだよぉ……声が聞きたいよぉ……。 なんか涙が止まんないよ……。 「うっうえっうえぇ……」 泣いてる場合じゃないのに……レイブだって僕のこと待ってるかも知れないのに……。 「あ……ウ……」 !? 今のは…… 何処? 今のは何処から聞こえてきたの!? 周りにはやっぱり何もない……空耳? でもはっきり聞こえた! 見てないのは、後は……ま、まさか……。 足元? 「ぐ……あ……」 レイブ居たー! なんで僕今まで気づかなかったの?! 床があったかい訳ないジャン! 僕のバカー! で、でも見つかったよ……良かったよぉ……。 「レイブ大丈夫?! しっかりしてよ!」 「・・・・・・・・・・・・」 「ね、ねぇ、レイブ?」 「・・・・・・・・・・・・」 う、嘘でしょ? 今、唸ってたよ…ね。 なんで起きないの? 「ちょっとレイブ! 起きてよ! ねぇ!」 「・・・・・・・・・・」 これって……凄く不味いんじゃ……。 レイブの上に僕が居るって事は、僕の分の衝撃もレイブが受けたって事だよね。 それで身体の何処か怪我したとか!? いや、もしかして頭から地面に落ちたんじゃ……。 な、なんとかしなきゃ! 泣いてる場合じゃない! 泣くのは後だ! でもどうしよう……見た限りだけど身体に怪我は無いから傷薬じゃどうにもならないし。 レイブを起こすだけならカゴの実があればいいんだけどそれも無いし……。 あ、体温下げちゃ不味いよね。 え~っと、ベットまで何とかレイブを運ぼう。 まずは出来ることからしていかなくちゃ。 「レイブ、身体動かすからね?」 「・・・・・・・・・・」 反応あるかなと思って声掛けたけど何にも言ってくれない……。 駄目駄目! 泣いてる暇は無いんだ! 今は絶対レイブを助けるんだ! 「ん! うぅ! お・も・い~」 僕の非力さがこんな大事な時に足を引っ張ることになるなんて…… 自慢じゃないけど僕は自他共に認めるほど力が低い! 防御も壊滅的に低いから、レイブがクッションになってくれてなきゃ今頃両方とも動けなくなってただろうな。 ……あんな中でもレイブは僕のこと助けてくれたんだ。 今度は僕の番! 絶対に助ける! 「ぜぇ……ぜぇ……やっと着いた……」 とは言ったもののベットにレイブを運ぶだけでクタクタになる僕って…… すんごい情けなくなってきた……力付ける特訓しようかな……。 あ、これは生まれつきのものだから無理に上げようとしても上がらないってじいちゃん言ってたか。 悔しいなぁ……ま、出来ないものクヨクヨ考えててもしょうがないか! 「……ゎぃ……」 ん? なんか聞こえたかな? ……気のせいか。 とりあえずレイブはベットに横になってもらったけど……。 少し払ったけど埃だらけ……こんなところで贅沢は言えないか。 「……ぃょ……ヵ……」 なんかちっちゃな音で聞こえる。 さっきの気のせいじゃなかったんだ。 で、音の出所は何処!? こっちはレイブを起こす方法考えなきゃいけないのに! 「暗いよ……誰か……」 音の出所レイブだー! 声が小さすぎて分かんなかったし! え? でもこれ……喋ってるのに起きない? なんでなんで?! とりあえず頭打って意識が無いって訳じゃなさそうでホッとしたよ。 でも……ますます起こし方がわかんなーーーい! もう……なんでこういうときに治療できるものを持ってこないかなー! ……昨日準備の最後に聞かれた時こうなるなんて考えなかったからなぁ、しょうがないか。 無い物ねだりしててもしょうがない! レイブの言ってる事からなんか解らないかな。 「怖いよ……助けてよ……カルク……おじいちゃん……」 これって……あのときの事をレイブ思い出してるの? それなら、僕がレイブを起こせるかもしれない……ううん、僕がレイブを起こさなきゃレイブの目は多分覚めない。 「レイブ……僕此処に居るよ……だから帰ってきて……レイブは独りぼっちじゃないよ……」 あの時も僕はレイブの傍に居ることしか出来なかった。 悔しくて……悲しくてもそうすることしか出来なかった。 だから……それだけは絶対にするってレイブに約束したんだ。 絶対に、レイブを独りにしないって……。 涙が、また出てきた。 「うっ……うええぇぇぇぇ……レイブ起きてよ……レイブ……僕怖いよ……レイブと一緒にいたいよ……」 涙が静かにほっぺを伝って床に落ちていく。 生まれてからずっと一緒に居てくれた僕の大切な親友……ううん、血は繋がってなくても僕たち兄弟だよね? レイブ……何が今、レイブを苦しめてるの? 僕は……何をしてあげればいいの? いつもみたいに笑ってよ……。 レイブを置いていったりしないから……。 今の僕にはレイブの手を握ることしか出来ない。 レイブに僕が傍に居ることを教えるために……。 どんな暗闇の中からでもレイブが帰ってこれるように……。 泣きながらレイブの手を握ってどれ位になったかな。 流石に僕も泣き疲れてきちゃったな。 少しだけ休もうかな……。 レイブと手、繋いだままだけど。 そういえば、さっきまでレイブ唸ってたけど今は何にも言ってないな……。 どうなったんだろ……ちょっと起こしてみようかな。 「レイブ……聞こえる? 聞こえるんなら起きてよ……」 「ん……んん? あれ……カルク? ここ何処?」 お、起きたーーーーーーーー! え!? こんなにあっさり起きちゃうの!? さっきまで全然反応無かったのに!? 「レイブ! レイブ! 大丈夫!? 何処も痛いところとかない!?」 「ちょ、ちょっと落ち着いてよカルク……ってうわぁ! カルク光ってるよ!? どうしたの!?」 あ、フラッシュ使ってたの忘れてた。 それは後で説明すればいいか。 「光ってるのは気にしないで……それよりレイブずっと目が覚めなかったんだよ! 心配したよぉ」 安心したらまた涙出てきそうになったよ。 なんか泣いてばっかりだなぁ、僕。 「あぁ、うん。夢見てたのかなぁ? 真っ暗な所に僕一人だけが居る夢……だと思う」 やっぱり…あの時の事だ。 僕が……レイブにした唯一の後悔してること。 それがレイブをまだ苦しめてるんだ……。 「でも途中から誰かに呼ばれてるような感じがして……真っ暗な中に少しだけ光が差し込んできて…… で、そこにカルクの声が聞こえてきて僕起きれたんだよね」 ……僕のやった事、無駄じゃなかったのかな? 結果的にレイブを起こすきっかけになれたってことだよね。 「うぅ、レイブ起きて良かったぁ……」 「わ! カルク泣かないでよ! って僕のお腹に顔埋めないでって! くすぐったいよ!」 レイブがどんなに怖い所に行く事になっても僕はレイブを一人にしない。 あの時の約束、僕は絶対に破ったりしないよ。 どんな暗闇でも僕が必ずレイブを見つけるよ。 レイブが暗闇に苦しむなら、僕が暗闇を明るく照らす光になるから……。 「もう、お腹の毛濡れちゃったよ……ところでカルク、そろそろなんで光ってるか聞きたいんだけど……」 今は説明と自慢をするのが先だね。 う~ん、何から話し出そうかなぁ。 ---- ''第四話 運命との邂逅'' 凄い心配させちゃったみたいだね。ゴメンねカルク……」 「レイブが大丈夫ならそれで良いの! あんまり気にしてまた倒れないでよ~?」 隣で笑いながらカルクはそう言ってくれたけど、顔を見てるとすんごい泣いてたのが分かっちゃうんだよね。 目の周りから頬までの毛がぐっしょり濡れてぐちゃぐちゃになってるし。 ……濡れてるのは見たんじゃなくてお腹に顔押し付けられたから分かったんだけど。 心配、相当させたんだね。僕……。 「ゴメンね……」 「もう、レイブ暗い暗い! 僕が折角明るくしてるんだから暗い顔しちゃダメ~」 「そうだね。でも、カルクいつフラッシュなんて覚えたの? その技、たしか普通には覚えられないでしょ?」 「じいちゃんの家に技マシンがあったの。倉庫の掃除頼まれたときに見つけた」 「技マシンって……、確か凄く貴重なものだよ? 勝手に使ってよく怒られなかったね」 「アッハハ~! ……実はじいちゃんには使ったの言ってなかったりして」 「……え。嘘でしょ?」 「ホントホント。だってじいちゃん倉庫の物で気に入ったのは持ってって良いって言ってたし」 うわぁ、聞かなきゃ良かった。これ下手したら村長様に謝るだけじゃ済まないんじゃないかな。 技マシンの分働いて返すことも考えておこう……。 村長様が技マシン売って貰えたであろうお金の分ぐらいだから、そうとう頑張らないとなぁ。 「使っちゃったもんはどうしようも無いじゃない。今こうやって助かってる訳だしさぁ?」 「後で村長様の所に行こうね? カルク君?」 「うぅ、やっぱり……ダメ?」 「当たり前でしょ」 暗い道を歩けるようになるのは凄く助かるけど、便利なことと使っちゃったことは別問題。 カルクも何でそういう事忘れちゃうかな。ホントに。 しかし、この通路何処まで真っ直ぐなんだろ。落ちてきたところからそれなりに歩いたんだけど。 あの部屋から出てきたのは良いけど、ただただ真っ直ぐな通路が続いててすっごく不安……。 「ねぇ~レイブぅ~いつまで歩くの? 早く出たいのにぃ~」 「僕に聞かれても……」 「いやぁ、分かってはいるんだけどね? ただ歩いてるのって退屈なんだよね~」 「じゃあ、フラッシュ消して歩いてみる?」 あ、僕の今の一言でカルクが変な顔しちゃった。 「なんで暗くしなきゃいけないの……まだどっか調子悪いのレイブ?」 「ちょっと考えたんだよ。フラッシュ消しちゃえば辺りは真っ暗になるよね?」 「当たり前でしょ! ここには日の光も届いてないんだし、明かりになりそうな物も無いし」 「うん、確かに。でも、もしかしたら何処かから光が漏れてたりしないかなって」 「え~? そんなの分かりっこないよぉ、だってこんなに明るいんだから……あ」 「分かったみたいだね。フラッシュを消せば辺りは真っ暗だよ。でも、そんな中なら僅かな光でも探すことはできるはず。 光が漏れてる所を見つけられれば……」 「そこは外に通じてるかもしれない!」 「そうゆう事。もし外に出られなくてもこんな暗い所にいるより良いでしょ?」 「やっぱりレイブは頼りになるね! でも、明るい所探すために暗くしなきゃいけないってちょっと複雑……」 「こんな通路じゃ、出来る事なんて後はひたすら進むだけなんだしやってみようよ。それに、何も無ければまた明るくすればいいんだし」 「そうだねぇ……何にもしないよりは良いか。それじゃ、消してみるよ?」 「いきなりじゃなくてゆっくり消してよカルク。足元も見えなくなるんだから」 「は~い」 カルクから放たれてた光が弱くなっていき、徐々に闇が濃くなっていく。 いきなり真っ暗になるのも嫌だけどこういうのもなかなか怖いな……。 こんな時にさっきのヨノワールが追いかけて来たりしたら……。 うぅ、ぞっとするから考えないでおこう。実際になりそうだし。 「よしっと、これで終わりっと」 「うわ、ホントに何も見えないや……カルクさっきこの中で目が覚めたんだ」 「うん、すっごい怖かった。と言いますか今も怖い」 「言葉で言うより動くほうが早くて分かりやすいよね」 はい、カルク君は暗くなるちょっと前に僕にしがみついてきてます。 暗くなってからじゃ、隣に僕が居るか分からなくなるから別に近くに来るのはいいんだけど…… しがみつかれると歩きにくいし、なにより腕が痛い。 「カルク、そんなにくっつかなくても大丈夫だよ? 僕置いてったりしないし」 「ヤァダァよ~。僕は心配してるんじゃなくて純粋に怖いの!」 カルク……ストレート過ぎるよ? もうちょっとカッコつけるとか、何とかできないものかな。 頼られて困ることは無いけど、僕だって結構心細いんだけど。 「明るい所……無いっぽいよ? もうフラッシュ使っていい?」 「いや、ちょっと待って。……僅かにだけど正面に扉みたいな感じの光、見えない?」 「う~ん、言われてみるとそうかなぁ?遠すぎてイマイチ分かんないや」 「もう……もう少しこのまま進んでみようよ」 「……分かった」 カルクが怖いのは僕もよ~く分かるけど、ここから出ない限りはずっと怖いままだし、 少しでも気になったら調べておいて損は無いもんね。 実は僕の冒険心からの行動なんだけど……カルクにつき合わせちゃってるのは言わないでおこう。 「やっぱり……あれ、扉みたいだね。奥から光が漏れてる」 「ヤッタ! これで外に出られるね!」 「水差しちゃうけど、これって出口じゃないと思う」 「うぇ!? レイブいきなり何言い出すの?! あれだけくっきり扉が見えてるのに?」 「今、僕ら地下に居るはずだよね? なのにいきなり外に出られるのって変じゃない?」 「う……確かに変かも……、じゃああの扉の奥は……」 「何か光ってる物があるって考えた方が僕はしっくりくるんだけど」 「光ってる物……レイブもしかして同じこと考え付いたんじゃな~い?」 「やっぱり? こんなところで光っているものといえばあれしか思いつかないよ!」 僕たちの頭の中は『お宝』という文字でいっぱいですよ。 単純思考な感じはするけどさ? 誰も入ったことが無い場所に僕たちは居る訳ですよ。 こんなビックリがあっても罰は当たらないと思うんだよね。 実際、かなり苦労した訳だしさ? それ位のご褒美、期待するのは自由だよね。 「は、早く開けようよレイブ!」 「ちょっとちょっと! 置いてかないでよカルク! 暗いんだから転んじゃうよ!」 足の速さじゃカルクに適わないんだよね。 ピカチュウって元々素早さの高い種族なのに、さらに素早さに特化してるんだよ。 追いつけないって普通……。 「あれぇ? この扉開かないよ?」 「そんな……此処開かないとしたら僕たちもう行ける場所無いよね?」 「一本道だったもんね。って呑気に言ってる場合じゃないよ! これってピンチなんじゃないの!」 何とかして此処開けないとどうしようも無いのが現状だし、開ける方法見つけないと! 「そうだ! 遺跡の入り口と同じなんじゃないかな? 試してみようか」 「それって……あ! 二人で押すって事ね! すぐやろう!」 二人同時に目の前の扉に触れてみる。 反応無し! ……凄く不味い。 「開かないよぉ~、どうしようレイブぅ」 「う~ん、困ったな……」 暗いから扉がイマイチどんななのか分からないしな……。 カルクにフラッシュ使って貰えって話だよね。 「扉調べたいし、カルクお願いできる?」 「へ? 僕が調べるの?」 「違うよ……明るくしてほしいなって事」 「あ、そっかそっか。いやぁビックリした♪ ちょっと待ってね」 此処にきてもマイペース……カルクは大物になるよ……。 調べてみて開けられなかったらどうしようかな? せめてカルクだけでも助けたいけど……。 ……そんな事言ったらカルクに怒られちゃいそうだね。 うん。ちゃんと二人で帰る方法考えよう。 「いっくよー。フラッシュどーーーーん!」 「あ、ちょっと待っ……」 僕が目を閉じる前にカルクがフラッシュを発動……。 目があああぁぁぁぁ! 近くでダイレクトに喰らうことになる僕の身にもなってよ……。 「ふいーーー。明るくなったねレイ……」 「カァーーーールゥーーーークゥーーーー、目が痛いよぉ」 「ふぁぁ! ごめんレイブ! しっかりしてーー!」 「大げさだよ……怪我した訳じゃないし。でも、しばらく待ってね……」 な、何にも見えない……真っ白だよぉ。 真っ暗な所で強い光を受けるとこうなるんだ。気をつけよう。 「カルク……今度から使うときは周りをよく確認してから使ってね……」 「わ、分かりました……」 しっかり反省して貰わなきゃ僕の身が持たないよ。 失明なんて絶対したくないもんね。 あ、やっと見えるようになってきた。 「ふぅ、おまたせカルク。やっと直ったよ」 「僕のせいなんだから気にしないで……」 カルクが落ち込んでるよ。珍しい。 これだけ反省してるなら次は大丈夫そうだね。 「ほらほら。元気出してカルク。さっき自分で言ったでしょ? 暗くなっちゃダメってさ?」 「うん……僕、頑張る」 「よしよし。さ~て、扉はどんなかなっと」 暗いって言うのは本当に厄介だね。 こんな簡単な事も分からなくなるなんて、結構ショックだよ。 扉を見たカルクもすぐに分かったみたいだし、揃って言ってみようか。 この扉……。 「「引き戸だーーーーーーーーーー!」」 押してダメなら引いてみろって言うけどホントだね。 ちゃんと取っ手付いてるし、地面に擦れたような跡があるよ。 「な~んだ、どおりで開かない訳だよね。」 「で、でも、まだ開くって決まったわけじゃないよ」 「それなら大丈夫。地面の跡を良く見て」 誰も居ない筈なのに扉の下には埃が無かったんだよ。 つまりは誰かが此処を開けたっていう事だよね。 「誰かって……まさかだよね? レイブ」 「いや、さっきのヨノワールだろうね」 「じゃ、じゃあ、この先に居たりして……」 「カルク忘れちゃった? 僕達追いかけられてたんだよ?」 「流石に覚えてるよぉ。でも、それがどうしたの?」 「僕達が下に落ちたのをヨノワールは知ってるかな?」 「え? 多分知らないんじゃない? その前に隠れてやり過ごしてるし」 「此処まで言ったらもう分かってほしいんだけどなぁ」 「あ、そっか! ヨノワールはまだ上で僕たちを探してる!」 「つまり此処には居ない。そういう事」 ちょっと単純すぎるけど、これでカルクの怖いのも少しは和らぐでしょ。 ……本当に居ない事を祈らないとな。此処は逃げ場が無いし。 「じゃあ開けても大丈夫だね! な~にがあるのかな~」 「あ、危ないかもしれないのは変わりないから気をつけてね」 言う前にカルクはもう扉の取っ手に手を掛けてたよ。 触っても……なんともなさそうだね。 無防備すぎるよカルク……もっと慎重になってほしいけど、カルク気まぐれだから無理だろうなぁ。 「もうちょっと早く言ってよレイブ……すんごいドキドキしちゃったよ」 「カルクも気をつけて動いてよ? 僕でも分からないこともあるんだし」 「う、うん……」 「さて、と。心の準備はできた? いくよ!」 「よ~し、せぇ~の!」 開いていく扉から光が溢れてくる。 凄い光だな。こんなに光る物って一体何なんだろ? 扉を開け切った僕達の目の前には…… 「白い……部屋?」 「部屋って……此処壁あるの? 全部真っ白だから分かんないよ?」 カルクの言ってることは正しいね。壁の継ぎ目とかそういうのが一切無いんだよ。 壁が無いとしたら……何処まで続いてるのこれ? 「へぇ~すごいなぁ~こんな所が島にあったんだねぇ」 「いや、普通に入っちゃったけど大丈夫かな? なんかおかしいと思うんだけど」 「大丈夫じゃない? 今までの所よりずぅっと綺麗だし」 「それも含めて変だと思うんだけど……」 「レイブは心配症だね~? もっと気楽に……フギャッ!」 あ、カルクがなんかにぶつかってる。壁? みたいだね。 良かった……ちゃんと部屋みたいだね。 「あたたた……」 「カルク大丈夫?」 「平気平気。それよりレイブ、光の正体は何? 部屋入っても何にも無いよ」 「いや……気付いてなかったんだ。フラッシュ消してみれば分かるよ」 「これだけ明るいなら消していっか。あ、部屋の真ん中? になんかある」 自分が光ってたから分からなかったんだ。そう、すっごい何かが光ってる。 「これは……板?」 「だねぇ。光る板って……お宝にしてはちょっとどうなの?」 「板って呼ぶから変なのかな? プレート……うん! 光るプレートならそれっぽいでしょ」 「おぉ! それっぽい……けどやっぱり板だよね」 「しょうがないよ。板だし。そんなに大きくないし、丁度二枚あるから持っていこっか?」 「そうだねぇ……」 カルクが迷ってる。それもそうかな。ただの板持っていってもあんまり嬉しくはないし。 でもこんな所にたったプレート二枚? 変なの。しかも台座とか無いのに浮いてるし。 「ヤットミツケタ……」 突然後ろから声が聞こえた。 嘘でしょ? 僕何にも感じなかったよ。 この声、それに寒気にも似たプレッシャー。 振り向かなくても分かる。 さっきのヨノワールが後ろに居る! 「カミノハコビテタチ……」 「え……」 襲われ…ない? それに何か言ってる。 カルクは固まっちゃってる。声で何が居るか分かったみたいだね。 と、とりあえず振り向いて様子を見よう。 僕達、どうなるんだろう……。 ---- 後書き的な……2 移転作業進行中。 今更な気はしますが時間が無かったんです……。 細かい所が若干変わってますが……多分大丈夫だと思われます。 ---- 感想、要望、改善点等はこちらへ…… #pcomment