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有明の真実 〜三日月の影〜 弐 の変更点


*&color(red){有明の真実};&color(purple){ 〜三日月の影〜 弐}; [#icbbb703]

[[スペード]]

前話[[有明の真実 〜三日月の影〜 壱]]

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「あ、有り難うございます。…あの、大丈夫ですか?」
「…え、あっ、こっこのぐらい平気平気!君こそ大丈夫だった?」

ぼぅっと赤い瞳を見つめていた僕は自分でも分かるほど動揺していた。何故だかよく解らないが。

「わ、私は大丈夫です…有り難うございます…
あの、これ、食べてみてください。」

彼女は深く頭を下げ、鞄から何やら木の実を取り出した。青い果肉にツブツブした黒い種らしき物がある。お腹が空いていた僕は気が付くともうその木の実にかじりついていた。結構な苦味が有ったが、一気に食べたためあまり気にならなかった。取り敢えず少しだけお腹が満たされた僕はほっと一息吐いた。
と、僕の身体に異変が起きた。みるみるうちに火傷が治っていく。治癒時にじわじわとした痒みがあったが、耐えているとそれまでも消えていく。暫くすると完全に治ってしまった。

「これは…」
「チーゴの実です…その実は火傷を治す効果があるんです。」

そんな効果があったなんて知らなかった…僕は何度も寝床を移してきたから、さっきの木の実に見覚えはあったけど、名前や効果については全く知らなかった。ただ不思議な味がする木の実ぐらいにしか思っていなかったのだ。でも、彼女は何でそんな事を知っているんだろう?そんな事を考えていると、僕の考えを見破ったのか彼女は口を開いた。

「私は薬屋なんです…私は様々な効果の木の実を病気の子供達の所へ届けに行っているんです…」

薬…確かに、火傷を治してしまう様な木の実はそう言えるな…と思うと同時に、僕は関心していた。見たところ僕より若いし、たった1人で子供達の為に遥々旅をしているなんて…

でも、だからこそこんな目に遭ってしまったとも言える。

「その年で凄いね…でも、1人じゃやっぱり危ないんじゃないかな?さっきみたいにあんな奴等に絡まれたこと、初めてじゃないでしょ?」

そう言うと彼女は口を嗣ぐんで俯いた。どうやら図星だったみたいだ。

…僕の脳はさっきから彼女に過剰に反応を示している。視界も靄が掛かったようにクリアじゃないし、彼女ばかりに目が行って、ぼーっとしてしまう。そんな自分自身を疑問に思っていた──

「もし良かったら、僕も一緒に行こうか?実は僕も旅をしてる身なんだ。行先は無いから、只放浪してるだけなんだけどね。また襲われたら大変だし、どうかな?」

……え?

な、何言ってるんだ僕は!僕みたいなのがこんな可愛らしい娘と一緒にだなんて…いや、違うよ、そういう意味じゃなくて!!只心配なだけなんだよ!そういう感情は一切無いから!それ以前に旅なんてしてないだろ!昔はこの森だけが世界だと思ってたくらいだし!

僕が(勝手に)色々と考え込んでいると俯いたままの彼女が声を発する。

「でも…私なんかの為にそんな…とんでもありません。」

僕に悪いと思っているのかな?僕にとったら君に気を使われる事の方がとんでもないことなのに…

「そんなことないよ。僕だって助けてもらったんだし、お礼がしたい。」

全く僕はどうしちゃったんだろう。口ではそう言ったけど、本当は別の目的があるような…

「うーん…じゃあ…お願いしても良いですか…?」

そうこうしている内に彼女は認めてくれたらしく、策略通り僕の誘いにまんまと…いやいや、誘いを快く受け止めてくれた。
やったやった〜大・成・功!!……いや、だから何考えてんだ僕はあぁッ!!落ち着け落ち着け!鎮まれ僕の黒い欲求〜ッ!!

「…あ、あの…大丈夫ですか…?」
「……ふぇ??」

何故だか僕は頭を思いっきり掻きむしってた。お陰で頭はぐっしゃぐしゃに…

「いやいやいや〜!ちょーっと頭が凄く痒くなっただけだよ!それよりどこに行くのかな?」

今の僕はどんな顔してるかな…僕が彼女だったら逃げ出すんじゃないかと思うくらい、やらしい顔だと思う。彼女はやっぱりそういう事に嫌でも慣れているようで逃げないけど。ただ…そんな可愛い上目遣いで僕の顔を覗き込まないでぇ〜!

「…そう、ですか。はい、今はあの比延山を目指しています。」

ああでも良かった、怪しまれてない…へーあの山そんな名前が有ったんだ…なんかよく有りそうな名前でつまんないな。比延山だか比叡山だか知らんけど、案外お初ルートが短距離で安心した。
嗚呼何だかワクワクするな〜。今から異世界に飛び出す気分だよ。森に落っこちてた本のやつみたいにこう…無限の彼方にさぁいくぞ!的な感じがする。まぁあの宇宙人みたいなのは飛べないらしいけど。

「解ったよ。僕はシクル。これからよろしくね、あ、えっと…」

そう言えば名前聞いてなかった…そこ大事だよ僕。何名前も知らずに変な妄想してたんだよ…でも彼女はそんな僕の妄想を受け入れてくれたように…いや、妄想してたの知らないから。普通に受け止めてくれるようにHPを全回復させてくれたあと混乱状態にする失神の笑みを使ってきた。ちなみにそんな技はありません。恐らく効果があるのは僕と、僕と好みが合う変態かな。

「サイアと申します。これからよろしくお願いします。」

そういって突然ちっさな鼻を僕の鼻に……うぇ??
…サイアさん、その可愛らしい鼻を僕の穢れた鼻にくっ付けています。自棄に落ち着いてる?いやこうしてないと僕今お花畑に行っちゃいそうだよ。案の定すぐ離れました。僕からね。

「あ…すみません、私の故郷ではこういう挨拶をするもので…」

こんな可愛い娘とこんな挨拶出来るならそこに住みたい。というかサイアは何も悪くないッス!
…白状すると今の僕、顔が色違いの色に…本当に失神するかと思いました。

「そ、そうなんだ。突然だったからビックリしただけだよ。気にしないで。…じゃあ行こうか。」
「あ…は、はい!」

うわ、焦って誤魔化した所為で重い空気に…こんな事で大丈夫かなぁ…?

いや、そんなことはどうでもいい。兎に角…サイアには僕の様になってほしくない。だから…僕はサイアと一緒に行くことを決めたのに。彼女には幸せになってほしくて、僕は──

──僕は、本当に災いを呼ぶのかもしれない。今は、そう思う。

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Q.サイアさんの可愛さを一言で!

白獣(シクル)「え!?一言で…ですか?うーん……………いや、もう──で──な──なんですぅ!!」


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#pcomment(コメント/有明の真実 影 弐,,above);

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IP:125.192.34.95 TIME:"2014-10-09 (木) 04:47:08" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%E6%9C%89%E6%98%8E%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F%20%E3%80%9C%E4%B8%89%E6%97%A5%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%BD%B1%E3%80%9C%20%E5%BC%90" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Linux; U; Android 4.2.2; ja-jp; F-04E Build/V10R41A) AppleWebKit/534.30 (KHTML, like Gecko) Version/4.0 Mobile Safari/534.30"

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