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月光の森
イーブイ×キルリア(仮から変わりました。
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第1話、月の目撃
ここは凶暴なポケモン達が巣食う夜の森・・・・この世界に死など有り触れたものだ
その森を駆けていく者が居た・・・。早い呼吸、そしてその怯えた目線はまるで何かから逃れようとするものに見えた。
案の定そのポケモンの後方から追っ手が現れた、その4本足の黒いシルエットは湿った森の地面に大きな足跡を付けてゆく、
やがて森は開け、月明かりが2体の姿を露わにする、茶色い毛皮、月明かりで銀色に光る首筋、その者はイーブイであった、
そしてもう一体は真っ黒の背中、わずかに銀色に光る腹部・・・・グラエナの姿であった
イーブイは後ろに振り向き、より鮮明になったグラエナを確認すると腹部まで伸びる草を掻き分け逃げていった、がしかしその草が開けたとたん彼は唖然とした・・・・・
なぜなら目の前には多くの水を湛えた湖が広がっていたからだ、そしてグラエナは遂にイーブイに追いつき言い放った
「貴様、俺の縄張りをさんざん荒らしておいて逃げるとはいい度胸だ、この罪は命持ってして償って貰うぜ」
この言葉にたまらずイーブイは怒りの声を上げた。
「貴方は僕たちの村を自分の縄張りにする為に襲い、抵抗した僕の家族や友人を殺した!そして生き残った人たちも住処を追われたんだ!」
その怒号を聞き終えるとグラエナは薄ら笑いを浮かべ、ゆっくりとイーブイに近づいてきた
「そうかそうか、それは不運だったな、だがなここでこれ以上言い争ってもキリがないんだよ!」
そう言うと極限までイーブイに近ずいたグラエナは右足を力一杯あげた。
イーブイは目を瞑り頭を地面にひれ伏せ自らの最後を覚悟した――――――――――――
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第2話、恩人
ドサッ!次の瞬間イーブイはそんな音を耳にした。
「!?」
イーブイは再び顔を上げた、目の前にはさっきまで自分を殺そうとしていたグラエナが横たわっていた、気絶しているのだろうか・・・・・いや眠っているのだ、僅かだが静かな寝息がイーブイの耳に届いた為であった
助かった事を確信したイーブイは即座に逃げようと腰を上げ、もと来た森へ戻ろうとしたその時であった。
「ちょっとぉ貴方、助けてもらったのに礼も無しなの?」
イーブイは突然の声に驚き辺りを見渡した、すると自分の目の前の空間が歪んでいるのに気がつきその部分を直視した、
すると乱れた空間から細身のポケモンが現れた、イーブイは軽く後退りをし身構えた、生温い風が二匹の間を駆け抜けてゆく―――――――・・・・
そんな沈黙を破ったのは向こうのほうだった、
「そんなに怖がらなくてもいいじゃない、それより貴方怪我はない?」
その言葉に安心したイーブイは乾燥した口を開いた、
「だ、大丈夫です、ところで貴方が僕を助けてくれたのですか?」
「そうよ私が貴方を助けたの、どうやら貴方ピンチみたいだったからね、っとそれより此処に長居するとあのポケモンが起きちゃうから、私の家に来なよ」
その言葉を聞き自分がグラエナに追われていた事を思い出すイーブイ、ここは彼女の意見を聞き入れた方が良いと言う結論に落ち着き、彼女の家に行く事にしたのであった
その意思を相手に伝えると彼女は目を瞑りなにやら集中している様子だった
それから数秒経つと自分の周辺の空間が歪み始め一瞬白い光に包まれたかと思ったら、そこは既に湖の畔とは別の場所であった。
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第3話、2つの魂
呆然とするイーブイの目の前にはにっこりと笑う彼女の笑顔と、その奥に住居らしき物が見えた。
「どう、驚いた?此処が私の家なの、入って」
イーブイは少し躊躇していたが、やがてその影は彼女と共に家の中へと消えていった。
家の中は綺麗に整頓されていて1人で暮らすには少し広いなぁ、という印象だった。
イーブイが部屋の様子に見とれていると彼女の穏やかな声がした、
「そういえば自己紹介まだだったわね、私はキルリアっていうのよろしくね」
その声を聞いたイーブイは緊張しているらしく、丁寧に答えた。
「僕はイーブイといいます、湖での事は助かりました、ありがとうございました。」
「ふふふ、助かって良かったわね」
その言葉を聞き終えるとイーブイは話を変えた
「あの・・・ここはどの辺ですか?」
キルリアは近くにあったベットに腰掛けると、その話に答えた
「ここはさっきの湖から歩いて数十分くらいの森の中よ、私はあの湖にはときどき行くんだけど、ここ最近あの辺りは危険でね・・・・そこで偶然貴方に会ったってわけね」
それから数分話していたがキルリアはイーブイの事を聞こうとしなかった、きっと湖でのグラエナとの会話を聞いていて気を使っているのだろう。
しかしイーブイはそのことより大きな疑問をぶつけてみた。
「離れているとはいえ、ここはさっきの森に変わりないんですよね?ならなぜ貴方はこんなに平和に暮らしているのですか?」
キルリアがこの森で一人で暮らせるとはイーブイには思えなかったのであろう、そしてキルリアは間を置く事無くそれに答えた。
「それはここがハピナス様の縄張りだからよ、ハピナス様は自分の縄張りで私たちが平和に暮らせる様に私たちを守ってくれているから今のところ安心して暮らせるの」
この言葉にイーブイは驚いた、そしてこの森にその様な友好的なリーダーがいる事に嬉しくなったのと共にここの存在をもっと早く知っていれば・・・・・という後悔の念が現れたのであった。
とここでようやくキルリアが自分の事について聞いてきた、
「あなたは帰る場所は無いのよね、これからどうするつもりなの?」
キルリアが気を使っていたのも確かだが、この問題は避けては通れないものだった。
「・・・・・・・」
俯いたイーブイは何も答えられなかった、とここでキルリアが恥ずかしげにこう提案をした、
「じゃあさ、私の家に住まない?一人で暮らすのも寂しかったしさぁ」
この話にイーブイは驚きを隠せなかったが、今になって帰るところも無いためキルリアの提案を正直に受け止めることにした。
「ふふ、じゃあ決まりね」
キルリアはとても嬉しそうだった、その顔を見て思わずイーブイの顔からも笑みがこぼれるのであった。
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第4話、企み
先ほどの場所とは変わって、ここはグラエナの縄張りであった、そこにグラエナを含む3人のポケモンがいた。
「あんな野郎、貴様一人で何とかなると思ったのだが、まさか取り逃がすとはな」
そう不機嫌そうに言ったのはグラエナの仲間であるアブソルであった。
「悪い、湖で後一歩のところで邪魔が入ったんだ」
グラエナがアブソルをなだめる様に言った、しかしアブソルの怒りは収まらない
「それで、その邪魔をした奴は誰か分かったのか!」
グラエナはアブソルをこれ以上刺激するまいと、冷静に話し始めた。
「まぁ落ち着けって、俺は後から湖のポケモンに聞いたんだが、そいつはあのハピナスの所のキルリアだそうだ」
するとアブソルの顔はみるみる怒りに歪んでいく・・・そして遂に痺れを切らしたのか、アブソルはこう提案した。
「なぁ俺たちもここまで縄張り広げたんだ、そろそろハピナスの所にも攻め込んでいいんじゃねえか?」
「俺も賛成だぜ、ヘルガーはどうなんだよ」
黙って2人の話を聞いていたヘルガーは瞳に湛えた光そのままに、やっと口を開いた、
「無駄な足掻きはやめて置け、実際この3人の中でハピナスとまともに戦えるやつは1人もいりゃしないんだ」
2人はしばらく黙り込んだ、なぜなら実際ハピナスと戦い、縄張りを奪われたヘルガーの言葉には説得力があるからであった・・・・生暖かい風と月明かりが、3人を包む・・・・その中でアブソルが呟く
「じゃあどうすればいいんだ・・・・・・」
この言葉に不気味な声で反応したのはヘルガーであった
「それが俺にいい考えがあるんだ、ふふふ」
グラエナは真剣な眼差しですかさず問う
「いい考えとは?」
ヘルガーは目の色を変え一言、こう言った。
「雇うんだよ殺し屋をふふふ、はははは」
ヘルガーの不気味な笑い声が夜の森にこだまする、夜は更に深まるばかりである――――――――
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第5話、朝のひと時
イーブイは目を覚ました、そして辺りをキョロキョロと見回すが、家の中にキルリアの姿は無く、窓からやわらかい日差しが差し込んでいるばかりであった。
イーブイは家のドアを開け、外へ飛び出した、すると暖かい日差しの中で背伸びをするキルリアの姿を見つけた。
「おはようございます。」
イーブイがそう言うと、キルリアはその緑色の髪を揺らし、サッと振り向いた。
「あ、おはようイーブイ、そういえば貴方昨日なにも食べてなかったわよね」
不意にキルリアはそう言うと、その姿は一瞬で消えてしまった、そして上の方から声が聞こえた
「イーブイここよ、ここ」
キルリアは家の横にある木の枝の上に立っていた、そしてその木からオレンの実をもぎ取りイーブイの所に持ってきてくれたのだ。
「あ、ありがとうございます。」
イーブイはお礼をいうと、キルリアはにっこり笑ってその場に座りイーブイが木の実を食べる様子を見ていた、
イーブイが一通りオレンの実を食べ終わると、キルリアはなにやら話始めた。
「今日、ハピナス様の所に行こうと思うんだけど、イーブイも一緒に来てくれない?」
しばらく考え込んでいたイーブイであったが少し時間が経つと口を開いた。
「そのハピナスがどんな人なのか興味があります、なので僕も連れてってください」
するとキルリアは突然こんな事を言った。
「それなら連れてってあげるけど、一つ条件があるわ」
「?」
イーブイはキョトンとしている、そして少し緊張した面持ちで言った、
「条件とは何ですか?」
その言葉にキルリアは照れくさそうに答えた。
「・・・・・敬語やめてくれないかなぁって思ってさ・・・・こう、なんか堅苦しいと言うかなんというか・・・・。」
そんなことかとイーブイは安心しほっと胸を撫で下ろす、そして勿論この条件に了解した。
「分かりました(ぁ」
「イーブイったらまた敬語になってるじゃない」
照れるイーブイ、そして柔らかい日差しの中、鳥達の声に混じり2人の笑い声が響いていた・・・・・。
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第6話、森の城
さっきまで笑っていたキルリアが一転、目を瞑り集中し始めたのは、それからしばらくしてからのことであった。
そしてまた昨日と同じように2人の姿は光に包まれた、そして次の瞬間イーブイの目に入った光景・・・・それは森の中に聳え建つ城であった。
(縄張りの中に城があるなんて・・・・)と心の中で呟くイーブイ
するとキルリアが城の事についてなにやら話し始めた。
「ふふふ、驚いたでしょ縄張りの中にお城なんてさ、この城は大昔人間が作ったものなの、そして今はみんなで共有している交流の場なのよ。」
「へーそうなんだ」
っとイーブイは平常心を保っている様に見せかけたが、(心の中を読んだのではないだろうか)と思い内心相当焦っていた。
「じゃあ、行きましょ、」
キルリアにそう言われ我に返り、イーブイは彼女の後をついて行くと城門には門番らしきポケモンが眠っていた
(こんなので門番つとまるのかな・・・・・)
「もぅ、ガラガラ起きなさいってば、」
と門番であるガラガラを揺すり起こすキルリア
「ん?もう朝か?あ、キルリアちゃんオハよう」
「何がオハようよ!もうそんな時間じゃないでしょ、それより門を開けてくれる?ハピナス様に会いに来たの」
ガラガラはまだ虚ろな目で「はい」っとキルリアに門のカギを渡した。
(門番が門のカギを人に渡すなんて・・・・)イーブイはガラガラの行動に内心呆れていた。「ささ、早く中に入ってイーブイ」
そう急かすキルリア、そして城の中に姿を消す2人
城に入って辺りを見渡すと庭に草花や大きな樹などが植えられていて、それはとても綺麗だった。
そして城門から城へ歩き出す2人、足に触れる草の感触、天から差し込む日差し、イーブイにはそのすべてが心地よかった。
城に入ると今度は別の風景が広がった、綺麗に装飾などが施され、それはまさに城だと感じさせる物であった。
キルリアの言う通り城の中は開放されているらしく沢山のポケモンが居て、みんな顔見知りなのかキルリアに挨拶や話をしてきた、
そしてイーブイの話にも触れ、自分が助けた事を冗談交じりながらも自慢げにキルリアは話していた。
そして一通りキルリアが話し終えるとイーブイを連れて2人はハピナスの部屋へと向かったのであった。
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第7話、森の城2
ハピナスの部屋の前まで来るとさすがに緊張し震えが止まらなかったが、キルリアが此処で一息入れてくれたのだ。
「そんなに緊張しなくても良いわよ、とてもやさしい方だから」
イーブイはただうなずくしかなかった、そしてキルリアが力一杯ドアを押した、
するとそこには自分たちが此処に来るのを知ってたいたかのようにハピナスが椅子にすわっていた。そしてその右脇にはキュウコンが1体構えていた、
そして再び王座に目を移すとハピナスの目が堅く閉じられているのに気づいた、
「ハピナス様こんにちは」
キルリアはハピナスに挨拶をした、ハピナスは目を堅く閉じたまま答えた
「キルリア、それにイーブイ、今日はよく此処まで足を運んでくれましたね、イーブイは私と会うのは初めてでしたね、私はハピナスといいますそしてこちらがキュウコン・・・・・・」
イーブイは驚いた、なぜなら目を瞑っているのに自分の名を呼んだからである、そのことを驚きながらもは恐る恐る聞いてみた、
「あの~なぜ目を閉じたまま、僕の事が分かったのですか?」
ハピナスは静かに答えた。
「私は過去の過ちで視力を失いました、しかしその代わりに私は物や人を心で感じる力を授かったのです。」
やめておけばいいのに、好奇心から更にイーブイが問う
「なにが原因で視力を失ったのですか?」
「貴方にも時期、その事を知る頃が来るでしょう、どちらにしろ今この場で話す様な事ではありませんよ。」
ハピナスは少し厳しく答えたので、イーブイはコクリと頷いておいた、するとハピナスは微笑み、今度はキルリアに話し始めた、
「キルリア、城内に居るすべてのポケモンをこの城から出してきてくれませんか?」
キルリアは突然のこの話に少し動揺していた、そして言う
「はい・・・・・しかしなぜですか?」
「時か近づいているのです、なるべく早くみなをこの城から出してください・・・それと明日は城に来ないように伝えてください」
ハピナスは深刻げな顔をしていた、その様子を見てキュウコンが口を開いた。
「ハピナス・・・もしや・・・・・」
ハピナスは頷いた、キュウコンは何か知っているらしく残念そうな面持ちだった。
キルリアが部屋を出て、この部屋に居るのはイーブイ、キュウコン、ハピナスの3人になった
そこでハピナスは重々しく口を開いた―――――――
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第8話、運命
「さてイーブイ・・・貴方はこれから自らの運命を選ばなければなりません、しかし貴方は自らの遺伝子に組み込まれた無限の可能性を知りません、そしてその事について知る日が近づいています。」
イーブイは突然の事で混乱していた、ハピナスが何を言っているのかも分からなかった。
「無限の可能性??」
「混乱するのも無理はありません、しかし今は知るべきではない・・・いや私にも分からないので、これ以上の説明は控えます、貴方はこれから自分の運命を自分で決めるのです。」
そう言うとハピナスは王座の左脇から少し大きな箱を取り出しキュウコンに渡した。
キュウコンはその箱をイーブイの所まで持ってきて開いた。
中には色とりどりの綺麗な石が並んでいた、コケが生えた石、凍てついた石、真っ赤な石、水色の石、黄色い石、一通り見終えるとハピナスが静かに言った。
「無理にその石を選ばなくとも貴方には朝の運命と夜の運命が待っているでしょう。さぁ時間がありません、自らの運命を選ぶのです。」
このときイーブイの緊張は極限にまで達していた、そして3人の間を沈黙が流れる・・・・・・
そして(貰えるものはもらった方が良いかな)と、そうイーブイは考え一番気に入った、水色の石を手に取り沈黙を破った。
「これに決めました・・・。」
「その石は水の石と言う水の力を秘めた石です。その石に力を求める時、新しい運命が動き始める事でしょう。」
丁度ハピナスの話が終わったころにキルリアが戻ってきた、
「ハピナス様、城の中の者、全員を帰らせました。」
「感謝しますキルリア、」
その時、キルリアの前にキュウコンが水の石をいれる入れ物を持ってきた、そしてハピナスがキルリアに言った
「キルリアその水色の石をそこの入れ物に入れて、イーブイの腰に背負わせてあげてください」
キルリアはハピナスに従い水の石を手に取った、その神秘的な輝きに目を奪われながらも、入れ物に石を入れ、イーブイに背負わせてあげた。
キルリアは自分が居ない間ここでどんなやり取りがあったのかを聞こうとしたが、丁度その時ハピナスは手をたたいて2人に言った
「さぁ貴方たちも、もう帰りなさい、ここにこれ以上居てはなりませんよ、それと明日は城に来ないように・・・。」
そう言われると素直に2人は城を出て行かざるをえなかったのだ。
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第9話、過去の悲劇
キルリアとイーブイは家へ戻っていた、そして一旦椅子に座ったキルリアであったが、俯いて何か考えているようだった、そんなキルリアにイーブイは声をかけてみた。
「どうしたのキルリア、そんな複雑な顔しちゃって」
キルリアはその暗い面持ちそのままにそれに答えた。
「いや、今日のハピナス様の様子がどうもおかしかったの」
「おかしいって?」
イーブイは首を傾げた、キルリアは続ける。
「ハピナス様があんなに早く城の中のポケモンを帰す事といい、イーブイに大切にしていた石をあげた事といい・・・・」
その言葉にイーブイは驚いた様に言う
「え、あれっていつもの事じゃなかったの!?」
「そうよ、ハピナス様は人に物をあげる事なんてなかったし、城の皆をこんなに早く帰すなんて始めてよ」
イーブイは口を結ぶ。
「ん~そうなんだ・・・・そんな事僕だったら深く気にしないと思うけど・・・・・何か理由でもあるの?」
その言葉を聞き、キルリアは少し間を空けると話し始めた
「理由かぁ~それは昔ここに、縄張りを構えていたヘルガーがまだ生きているからかな・・・だから神経質になっちゃって・・・。」
ヘルガー・・・・その名前を聞いて驚くイーブイ
「な、なんでヘルガーを知っているの?・・・・・・」
村の記憶が蘇るイーブイ、そしてキルリアは頷くと覚悟を決めたかの様にイーブイに言った。
「長い話になりそうだけど、付き合ってくれる?」
イーブイは静かに頷いた、するとキルリアは再び俯く、夕暮れ特有のオレンジ色の光が彼女の顔に影を作る・・・その中で彼女は何やら過去のことを話し始めたのであった。
「・・・・・昔ね、私が未だ小さかったころここら辺一帯はヘルガーと言うポケモンの縄張りでね、ヘルガーは自分の縄張りで好き放題やって縄張りに住むポケモンをとても苦しめていたの―――――――」
時は6年前に遡る。
その頃ハピナスはヘルガーの縄張りで、苦しめられているポケモン達を助けるため、立ち上がった、勿論ヘルガーの縄張りのポケモンの殆どはハピナスに加勢したのであった。
当時未だ幼いキルリアの母サーナイト父エルレイドもこの戦いに加勢する事になった。
やがて戦いは始まりキルリアの家から、1キロほど離れた場所は既に激戦区となっており森のあちこちでも戦闘が繰り広げられた。
そして悲劇はその夜明けに起こった。
「起きろ森が燃えているぞ!」
そう叫んだのはエルレイドであった
「何ですって、ついに森焼きが始まったの?」
驚くサーナイト、震えるキルリアにエルレイドが冷静に言った。
「少し森の様子を見てくるからサーナイト、お前はキルリアを守ってやってくれ」
そしてエルレイドが家を飛び出したその瞬間であった
「ひひひ、そうはさせねぇ」
現れたのはゲンガーだった、エルレイドはそれに気づき力づよく問う。
「お前はあのヘルガーの手下のゲンガーか!」
ゲンガーは薄気味悪い笑いを浮かべながら言った。
「そうだ、貴様を殺すようにと命が下った、その命を俺によこして貰うぞ。」
そういうとゲンガーの腕が球状の暗黒に包まれ、エルレイドに弾を打ってきた、その弾はエルレイドの右頬をかすった、かすった頬に一直線の赤い線ができる・・・・。
こうして悲劇が幕を開けたのであった。
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第10話、過去の悲劇2
この話には少々残酷な表現が含まれております。
「貴様ァーッ!」
エルレイドは両腕で全力でゲンガーを切り裂いた、しかしゲンガーに当たった筈の腕は空を切るばかりであった。
「ひひひ、全く当たってないぞ」
「貴様が俺の命を奪いに来た訳はそこに在るんだな、しかし私にはもう1つの力があるのだ」
その言葉にゲンガーが挑発的に言った
「じゃあその力、見せてみな」
するとエルレイドの片腕が怪しく光る、そしてゲンガー向けて空を切った、発光体はエルレイドの腕を離れ真っ直ぐゲンガーに向かってゆく・・・・。
しかし発行体に衝突することなくゲンガーの姿は闇にきえた・・・力の差は歴然であった!
「は、速い!」
そして次にゲンガーが現れたのはエルレイドの背後だった、
「どこ向いてるんだ?ここだよ、ひひひひ」
エルレイドが振り向こうとした時にはもう遅かった、なぜなら至近距離から既にシャドーボールが発射されていたからである、
「!?グボ・・・・」
シャドーボールはエルレイドの横腹に直撃した、エルレイドは大量の血を吐きその場に倒れこんだ、
「・・・・まだ息があるな、じゃあこれで最後だぜ!」
ゲンガーの腕がまたも暗黒に包まれた、その時であった。
見るに見かねたサーナイトが飛び出してきた、
「やめて!」
しかしゲンガーは無情にもその腕を力いっぱいエルレイドに振り落とした―――――――
返り血を浴びるゲンガー、エルレイドに駆け寄るサーナイト、しかし彼は胸の突起物を粉々に破壊され既に息絶えていた、
サーナイトは怒りに震えた、そしてキリっとゲンガーを睨むと、エルレイドに背を向けた、ゲンガーはサーナイトを舐めてかかった
「ひひひどうしたんだ俺にお前が倒せるって・・・・・!ウグ」
サーナイトはゲンガーの首をサイコパワーで思いっきり絞めた、
「許さない!」
しかしゲンガーはガス状になり、何とかサイコパワーから抜け出すと、
シャドーボールを打ってきた、しかしサーナイトはテレポートでかわしサイコキネシスでゲンガーの体を持ち上げ思いっきり地面に叩きつけた、燃える森が2人の様子を鮮明に映し出す・・・・・この様子を幼きキルリアは震えながら見ていた。
ゲンガーは既に致命傷を負い動けない状態にあった、それでも尚不気味な声でこう言った。
「俺が此処で息絶えても必ず、あいつがハピナスやお前たちを葬ってくれるさ、ひひひ」
そしてその言葉を言い終えるとゲンガーはガス状になり消えていった。
サーナイトは急いでエルレイドの所に向おうとしたその時、サーナイトの背後に近づく怪しい影をキルリアは見つけた。
「危ない!お母さん!」
「!?」
しかし、既に手遅れであった、森の中から発射された真っ黒い波動がサーナイトに直撃し、サーナイトは吹き飛ばされた。
サーナイトに駆け寄るキルリア、しかし無残にもサーナイトは既に息絶えており、1撃でサーナイトを仕留めた、黒い波動を思い出し震え上がり、燃え盛る森の中で動けなくなるキルリア・・・。
そして森の中から現れたポケモン、それはあの憎きヘルガーであった。
そしてキルリアを見るなりこう言い放った。
「俺の部下を殺すとはな・・・・ゲンガーが死んだことは誰にも漏らしてはならない、そのためお前を始末する必要がある、悪く思うなよ」
そういうとヘルガーの周りの空間が黒い波動で満ちた、とその時であった!
森から、1体のポケモンが炎を吐きながら現れた、それはあのキュウコンだった、灼熱の炎はそのままヘルガーを吹き飛ばした、
そしてその後からハピナスが現れた、ヘルガーは不気味な声で2人に言う
「ん?久しぶりだなハピナスキュウコン、今度こそお前の息の根を止めてやる!」
ハピナスはこの言葉を1時無視してキュウコンにこう命令した
「キュウコン・・・そこの子を連れて逃げなさい!」
「しかしハピナス、お前は・・・・」
「私はいいから早く行きなさい」
この言葉を聞き、キルリアを背に乗せその場を後にするキュウコン、そしてこのときハピナスの眼は見開き、しかとヘルガーを見据えている、
キルリアとキュウコンが去った後、ヘルガーが荒い声を上げた
「さぁ勝負しろ、貴様が負けたらその命と貴様側のポケモンと縄張りすべて貰ってくぜ」
「いいでしょう、しかし最後に貴方に1つだけ聞きます、」
「なんだ?」
そうヘルガーが聞くと、ハピナスからは意外な一言が返ってきた。
「すべてのポケモンともう1度、平和に暮らす気はもう無いのですね?」
しかし、その呼びかけも虚しくヘルガーは即答する
「そんなもんある訳ねぇだろ」
その言葉を聞き悲しそうな顔をするハピナス、そして静かに言った
「・・・・・では仕方ありません」
「決まりだな」
そう言うとヘルガーの周りが波動で満、その波動が飛んできた、波動はハピナスに直撃した。しかしハピナスは全く動じなかった
「・・・・・・やせ我慢かハピナス?お前にされた仕打ちは忘れないぜ!」
ハピナスはその問いに答えることも無く、どこか悲しげな面持ちで電磁波を打った
「ぅう・・・・う」
ヘルガーは動きが鈍くなり始め、早くも自らの敗北を覚悟した、そこへハピナスはこう問うた。
「ヘルガー・・・・・また私たちと平和に暮らしませんか?」
しかし、その時一瞬隙が出来てしまった、そしてヘルガーは砂を握りハピナスの目に投げつけた、ハピナスが怯んだ隙にヘルガーはこういい残しその場を後にした、
「必ず貴様を倒す!」
ハピナスはその言葉を耳にしながらも砂が大量に入った目を押さえてもがき苦しんだ、
キルリアを安全な場所まで連れていき戻ってきたキュウコンはハピナスを川まで連れて行き、目を洗わせてあげたが、その時には既に手遅れだったと言う――――――
ヘルガーはその日以来、少し残った仲間と一緒にグラエナとアブソルの縄張りに落ち着いた。
そしてハピナスはその視力とキルリアの両親などの犠牲を払いながらも、ようやく自由を手にしたのであった――――――――――――――
この場所が平和になるまでの経緯を聞いたイーブイは自分の村の事と重なり心が痛んだ。
そしてキルリアは涙を流しながらイーブイに抱きついてきた、
イーブイは驚いたが、キルリアの背中をさすってあげながら口を開いた。
「そんな辛い記憶を僕に話してくれてありがとう」
キルリアはイーブイのやさしさに触れ、さらに泣き出したのであった。
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IP:61.22.93.158 TIME:"2013-01-14 (月) 18:37:27" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E6%9C%88%E5%85%89%E3%81%AE%E6%A3%AE" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"