AM6:00…海岸 昨夜の嵐がまるで嘘のように晴れ渡っている。 日はある程度昇っており、やわらかな光が辺りを少しずつ暖めていく… ここは海岸、小さな町から少し離れた場所にある。ただ高低差が少なからずあり、ここから町は見ることはできない。 見えると言えばこの海岸とは逆の方向にある…まるで“サメ”のように見える岸壁だけだ。 ここには、夕方には夕日が綺麗に見え、海岸に沿って行くと洞窟があるくらいで、特別目をみはるような物はない。ゴミも落ちていなく綺麗だ。 ………?…ふとみると波打ち際に誰か倒れている…流されてきたのか…全身ずぶ濡れだ… 「………ん……う…」 どうやら気がついたようだ… 「…ここは…どこだろ…?……うっ…だめだ…意識が…」 ……どうやらまた気を失ってしまったようだ……息は普通にしている…命に別状は無いだろう……そして……誰も来ないまま、気づかれないまま…時間は過ぎていく… ………歯車は…かみ合ってすらいない… ---- PM5:00…サメの岸壁・内部 ここは先の海岸から見えたサメのように見える岸壁…通称、サメハダ岩と呼ばれている。 かなりの時間が経ち、今はもう夕方だ。 夕日が丁度よい角度から当たり、本物のサメにしか見えない………その岩の口にあたる場所に何か動いているのが見える。誰かいるのだろうか…? ---- 「…よし…準備はできた……この住処ともしばらくお別れかな……」 少し苦笑いをしながら小さなポーチのようなかばんに荷物を詰め込んでいく。 整理が終わると先程のかばんを持ち、外へ出る為の階段を一段ずつ上がっていく……少し長めな耳とふさふさの毛に覆われた尻尾をゆらしながら… 毛の色は茶色、尻尾の先と首まわりには真っ白な毛が覆っている。 …“イーブイ”と呼ばれているポケモンだ。 イーブイは階段を上り外へ出ると、その出入り口にふたをし、土を乗せ、木の葉をかぶせ、誰が見てもわからないようにした。 イーブイは名残惜しむような感じでその場を後にした。 ---- PM5:30…交差点 ここは交差点…北には少々長めな上り階段、南には北とは逆に下り坂、東に行けば町や先のサメハダ岩、西に行けばこの町の出口… イーブイはこの交差点の真ん中に立ち、じっと北を見つめていた… 階段の先には炎でも燃えているのか、赤い炎が見える。実際には夕焼けでそこまではっきり見える訳ではないが……イーブイは階段の先をじっと見つめ続け、ふと思い出したように持っていたかばんに手を入れた。そしてそこから小さな石を取り出した。今度はそれをしばらく見つめた後… 「…はぁ…だめだ、不安しか出てこないや…」 そういうと一度持っていた石をぎゅっと握りしめてからかばんに戻した。 このイーブイにとって大切な物のようだ。 「…あぁ…やっぱりだめだ…勇気が出ないや…」 そう言ってその場をうろうろ… 「もうこんな時間か…」 交差点の脇にぽつんと立っている少し大きな時計を見てそうつぶやく。 「少し落ち着かないと…」 そしてくるっと180度体を反転させ、南の方角…下り坂をおりていった… …イーブイの姿が見えなくなった時…一本の木の影から2人のポケモンが出てきた。 「なぁ…今のやつ…なんか持ってたよな?」 「あぁ…ありゃ金目のもんに違いねぇぜ」 「狙うか?」 「おぅっ」 どうやら先程のイーブイが持っていた石に興味を持ったようだ…会話が終わると2人組は、イーブイの後をつけていった… ---- PM5:15…海岸 この海岸にも夕日が当たり…あらゆる物を真っ赤に染めている… 砂浜の所々にある岩の隙間から、赤い体で大きな2つのはさみを持ったポケモン…クラブが1匹、また1匹と出てくる。そして岩の上に上がり、透明な泡を吐き始める。 そこへ先程のイーブイがやってきた。どうやらあの下り坂はこの海岸へ来る為の道だったようだ 「…わぁ〜っ…!」 感嘆の声をあげるイーブイ… 「いつもこの時間帯になるとクラブ達が泡を吐くんだけど…やっぱり来てよかった…。この景色を見てるとなんだか心が落ち着くな…」 イーブイが見た景色は……夕日をバックに、クラブ達の吐いたいくつもの泡が…ふわり、ふわりと漂っていた。その泡に夕日のオレンジの光があたり、キラキラと輝いていた。 「………ん…?……あれ?なんだろ…あれ…」 景色を見ていたイーブイはふとと、海岸の奥に目をやった。 するとそこには何か不自然な何かがあった。 イーブイはこの距離でははっきり見えないなと考え、更に近づいた。 「…えっ…?わっ!!人だったよ!誰か倒れてるよ!!」 イーブイは慌てて走り出した…… …歯車は…ゆっくりとかみ合い始めた…… ---- [[←前話>時空物語(0)プロローグ]] ---- コメント - まずは描ききりましたね!周りの説明がとても上手いですね!! これからも続きに期待してます! あと、まだ初心者の私が言える立場では無いのですが、 一話→二話という部分も付けたした方が、皆さんに読みやすいと思います。 それに、自分の名前を入れないと、 誰の作品だか解らなくなってしまうと思うので、 何処かに名前を入れるべきだと思います。 こんな事を言ってすみません… お互いに頑張りましょう! ――[[スペード]] &new{2010-10-22 (金) 00:12:41}; - う〜すみません… なかなかうまく行かないものですね…(汗) 応援&アドバイスありがとうございますっ 1話がだいたい今回のような長さの物なので…自分でも何話までいってしまうのやら…… これからもご声援の方、よろしくお願いします。 ……↑図々しいですね…スミマセンlllorz ――[[ティオ]] &new{2010-10-22 (金) 07:20:50}; #comment(above)