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救世主は炎の石と共に の変更点


*救世主は&color(red){炎};の石と共に - The saviour with stone of &color(red){flame}; - [#sbfd5e5e]

決して交わる事の無い二つの世界 - The contrast world - 連続短編集一作目

Written by [[Yukineko>雪猫]]

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キャラ紹介
メイン
ブラッキー - アクト
エーフィ - レイア
ガーディ - アトラ
マグマラシ - フレム

サブ
イーブイ - ルート
ギラティナ - 名無しさん@君に決めた!

ある程度話が出来上がったら、世界観と登場人物のページを作成予定。

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不思議のダンジョンとは少し世界観が違うと思う。かなり違うと思う。
やったことないから分りませんが。
お金の価値はかなり適当ですorz
長編として連続させるよりも短編集で書いたほうが色々楽なのでこうなりました。

官能が入る予定です。
色々厨二る予定ですので注意。

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#contents

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**第一話 - 多分交わらないと思うよ? [#u35932c1]

 ねぇ? 知ってる?
 世の中にはね、互いに対となるもの……相反するものが沢山あるんだ。

 右と左
 上と下
 冷と暖
 明と暗
 雄と雌
 表と裏
 善と悪

 そして……。

 現実世界と反転世界

 これらは決して交わる事は無い、近い様で遠い存在……。

 あ、雄と雌は交わる事があるね。これは失敬。

 話を戻そうか。
 反転世界っていうのは現実世界にぴったりくっ付いてるもう一つの世界の事。
 この二つはとても近い所にあって、とても遠くにある世界。手を伸ばせば届きそうなんだけど、絶対に届かないんだよね。
 お互いに支え合っているこの二つの世界は決して交わることはなく、普通のポケモンは行き来する事は出来ない。

 でもね、この世界で唯一現実世界と反転世界と行き来できるポケモンが居るんだ。
 僕たちはそのポケモンの下でギルドを結成して、反転世界や現実世界から来る依頼を受け、それを&ruby(こな){熟};す。
 依頼を達成すれば報酬も貰えるし、ギルドの評判も上がっていく。特に、現実世界からの依頼は大きいんだよね。やりたがるギルドが少ない分さ。

 ほら、久し振りに依頼を持ってきたポケモンがやってきたよ。
 ガーディとマグマラシ……か。今回はどんな依頼かな?

「おい、本当にここで大丈夫なのか? と言うより、どこのギルドか分らないのに信用してもいいのかよ」
「心配いらないって。ここに頼めばどんな依頼も 100%遂行してくれるって噂だよ。それに、何かカッコいいじゃないか。姿を隠して依頼の時だけ現れるなんて」
「そりゃそうだけどさ……。何があっても知らないぞ? どんなのが来ても知らないぞ?」
「大丈夫大丈夫。僕たちは&ruby(クライアント){依頼者};なんだから何かされる訳無いでしょ?」
「……それもそうだよな。兎に角気味が悪いからさっさと依頼を貼って帰ろうぜ?」

 確かにここは気味が悪いよね。洞窟の奥深くにあって、松明が数本が置かれてるだけ((永遠に消えない特殊な炎が燃えてるので何時まで経っても消えません。))で薄暗いし。でもマグマラシ君はちょっと心配し過ぎ。
 それにしても……何でこんな所に接触地点((依頼を受けたり、依頼人と落ち合う場所))を作ったのか謎だなぁ……。もっと目立つ場所でも良いと思うんだけどな。そうすれば依頼沢山来そうだし。今度長に聞いてみようかな?

「で、依頼はどうやったら受けてくれるんだ?」
「この白地の紙に黒字で、『依頼者の名前』『依頼の内容』『報酬の内容』を書いて((手が使えるポケモンによる代筆屋がある。))、この掲示板に張り付ければいいだけなんだって」
「それだけか?」
「丁度一日……二十四時間経ってから、またここに来ればいいんだってさ」
「なんだか豪くシンプルだな……。ますます心配になってきた」

 そうそう、それでいいよ。僕はその依頼を受けるかどうか判断して、美味しい話だったら仲間の所に持っていけばいいだけだから。とは言え、最近現実世界からの依頼が少なくて困ってたんだよね。今日はどんな依頼でも持って来いって言われちゃったから、君たちの依頼は確実に受けると思うけど。
 そしてそこのマグマラシ君は心配し過ぎ。うん。大事なことなので二回言いました。もう少し信用して欲しいな。……無理ありそうだけどね。

「よいしょ……これでよし! 明日の今頃ここに来れば、今張った白い紙の代わりに、黒い紙が貼られてると思うから。そうすれば依頼を受けてくれるって事だよ」
「もし、依頼断られたら……どうするんだ?」
「……一人になっても探しに行くよ。だって……そうしなければ僕等の町が……」

 何だか訳アリみたいだね……。何か裏がある依頼って僕好きだよ。普通の依頼なんてつまらないものね。これは受けるしかないね! ……僕が直接依頼をこなす訳では無いけどね。

「一人じゃないだろ? 俺も一緒だ。ま、依頼を受けてくれるように信じてみるか!」
「ありがとう……。それじゃ、今日は帰ろうか」
「依頼受けてくれるといいな」

 二匹が洞窟から出て行った。よしよし、居なくなったね。そろそろ姿を現しても大丈夫かな……?
 毎回思うんだけど、依頼書の貼られている位置が若干高くて取り難いんだよね。何度もお願いしてるんだけど一向に改善しないなぁ。よっ……と、ふぅ……なんとか取れました。少し破けたけど。
 さてさて、一体どんな依頼なんだろうか……。

「ふむふむ、依頼者の名前は『ガーディのアトラ』。依頼の内容は『炎の石の捜索』。報酬は『1000Sl((Slは&ruby(シール){Seal};の略。この世界での通貨単位。1Sl=\10位))』と『珍しい木の実を数種』……。依頼の内容が“これだけ”なら、まあまあかな……」

 後はこれをギラティナ様の所に持って行って、出発の許可を貰えばおっけーかな。久しぶりの現実世界からの依頼、みんな喜ぶぞ~。さぁ、早く帰ろう!

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**第二話 - 八回目で寝てしまった [#j5be7c3b]

「兄さん、アクト兄さん、起きてください」
「う~ん……レイア……もう少し寝かせてくれよ……」

 折角良い気分で寝てたのに、起こす奴はどこのどいつだ! ……と思ったら妹でした……。
 昨日は眠れなかったから……と言うより、ヤってた((雄と雌がする事ですよ! 奥さん!))から疲れて眠いんだよ……だって久しぶりだったし。溜まったものは定期的に出さないと雄は辛いんだよ? レイアには分らないと思うけど。
 それにしても、張り切りすぎた……。二週間は溜めるものじゃ無いなぁ……。二日に一回くらいはさせて欲しいよね。

「早く起きないと依頼者との待ち合わせに遅れますよ?」
「んー……いらい? ……あぁぁぁぁぁ! すっかり忘れてた!」
「はぁ……もっとしっかりして下さい。『一応』ギルドマスターなんですから」

 あぁ、今日は確か人探しの依頼をするんだったっけ。
 お前は何でそんなにピンピンしてるんだ? ……昨日あれだけ激しくしたのに……。そう言えば寝たのは日が昇ってからだっけ。

「お前は眠くないのか……?」
「ラムの実((状態異常……つまり「眠り」を治すのだが、「眠気」も治せる様だ。))を食べて眠気は飛ばしておきました。兄さんも食べて下さい……」
「ありがと……」

 あぁ、その手があったか。僕すっかり忘れてた……。僕もそれを食べて早く準備をしないと。約束の時間に遅れると後で色々と大変な事になるからね。
 ……以前遅刻した時は……死ぬかと思ったよ((ギルドのメンバーにフルボッコにされました。))。

「その前にお腹空いた……何か食べさせて……」
「そんな時間はありません」
「えぇぇぇ……」
「寝坊する兄さんが悪いんです」

 確かにそうだけど、昔の誰だか分らない偉い&ruby(ポケモン){人};が、腹が減ってはポケモンバトルは出来ぬって言ってるよ? だから……、

「早く向かいますよ。約束の時間まで後三十分です」

 ……はいそうですね。もう時間が押してます。

「うえ……急がないとやばいな……走って行くぞ!」
「だから昨日は途中で止めようと言ったんです……」

 そんな事言われても時既に遅し。後悔しても後の祭り。隣の客はよくきゃききゅう……。取り敢えず長の所に向かわないと、折角ここまで築き上げてきたものが一瞬にして崩れてしまう。だから兎にも角にも走る走る走る!
 暫く走っていると反転世界で一番大きな街、アストラへと入る。大通りを走っていると、大きな塔が見えてきた。あの塔の最上階に長が居るんだよね。
 ……毎回思うけど、僕たちのギルドの拠点(兼僕達の家)は、街の外れた所にあるから移動が大変なんだよね……。ギルドから塔まで走れば、それだけで体が鍛え上げられていく程に。

「タイムリミットまで後何分?」
「多分……十五分位かな?」
「うぇっ……まずいなぁ……」

 急いで大通りを抜けると、街の中心にある大きな塔の中に入っていく。そして、最上階まで階段を勢いよく登っていくと、大きな扉の前に到着した。何とか間に合った。
 ここは反転世界と現実世界からの全ての依頼が集まる場所。人探しから大きい声では言えない様な事まで、日々依頼が沢山舞い込んでくる。ここで依頼を受け取ると、ポケモン達はそれぞれ依頼をこなしに行く。
 重厚そうな大きな扉が、その顔に似合わずにすっ……と流れるように開くと、そこには一匹のポケモンがずっしりと構えて座……浮いている。

「時間ギリギリだ。後五分で遅刻するところだったぞ。もう少しギルドマスターとしての自覚を持ったらどうだ」
「す、すみません……以後気を付けます……」

 ギラティナ様もレイアと同じ事言わないでください。はい。分かってますから……。

「まぁ、いい。実の妹と久しぶりに楽しんでいた様だしな」
「はい、二週間ぶりに……って、なっ……なんでそれを……」
「何でだろうな?」

 何もかもお見通しですか。流石反転世界の全てのギルドを統べる長、ギラティナ様です。……だからってにやけ顔で口に出して言わなくてもいいじゃないですか。レイアもレイアで顔を赤くしなくても……。
 取り敢えずこの話はお終いにして、早く依頼の内容を聞かせて下さい。

「それで、今回の依頼の詳細は何です?」
「お前たちにしてもらう依頼はこれだ。行方不明のピカチュウを探して欲しいとの事だ」
「はぁ、ピカチュウをですか……。いつ頃居なくなったんですか?」
「昨日の昼からだ。そろそろ居なくなって丸一日が経つ」

 今日の依頼はライチュウ夫婦から貰った依頼。二人の子供であるピカチュウと市場で逸れてしまい、昨日から帰って来ないというのだ。だから探して欲しい……と、僕達の所にやってきた。
 一匹の雄のライチュウが僕達の前にやってきて、自己紹介をすると握手を求めてきた。

「初めまして、私が依頼主のヒライです」
「よろしく、ヒライさん。ところで、娘さんがどこに向かったか見当はつきますか?」
「それが全く……思い当たる節は探してみたのですが、結局見つからず仕舞いでして……」
「そうですか……。市場の近く……僕に何となくですけど、思い当たる場所があります」
「本当ですか!? どこです!?」
「空間が歪んだ場所です」

 現実世界と違って反転世界は所々空間が歪んでいる部分がある。重力が強くなったり弱くなったり、右が左になったり左が右になったり、上が下に下が上に。
 動き慣れているポケモンなら何とも無いんだけど、まだ未熟な子供となると話は別。方向感覚が麻痺してきて自分が何所に向かっているのか、どの方向を向いているのか分らなくなって混乱してしまうんだよね。
 ……僕の子供の時がそうだったから。それで森に迷ってしまって、結局ギルドのポケモンに助けて貰ったんだっけ。もしかしたら、今回も同じ様なものだろう。……と思う。

「確信は出来ませんが、可能性はあると思います」
「そう……ですか。少しの可能性にかけてみようと思います」
「必ず探して見せますから、ヒライさんは安心して待っていて下さい」
「私達の娘を……宜しくお願いします……」
「……よし、行くぞレイア!」
「はいっ!」

 僕の過去の経験からすると、空間が歪んでいる場所は決まっているからその周辺を調べればいいのだが、先ずは逸れてしまった場所へと向かい情報収集だ。

「ふふっ、兄さんの昔を思い出しますね。ギルドのポケモンに抱きかかえられて帰ってきて、泣きながらお母さんに抱きついたんでしたっけ」
「そんな昔の事引っ張り出すなよな……まだイーブイの時の話じゃないか……。あの時は本当に怖かったんだぞ?」

 僕の中ではあれは黒歴史だ。興味津々で歪んだ空間に近付いて、森に迷った挙句自分が今どこに居るか分らなくなり、散々泣いて助けを求めたんだっけ……。あれ以来空間が歪んだ場所には近付かなくなったんだよね。

「この辺りか……。取り敢えず聞き込みしてみよう。何か情報が掴めるかもしれない」

 着いたのは市場が並ぶ大通り。沢山のポケモンが行き来してるから、誰か迷子のピカチュウを見ているかも知れない。
 露天商に手当たり次第話を聞いて行く。どんな些細な情報でもいいから手に入れなければ。

「兄さん、こっち!」
「どうした? 何か手掛かりでも見つかったか?」

 とある露天商のガルーラが、小さなピカチュウが街の外れに向かって歩いて行ったのを見かけた……と言ってきた。向かった方向を指さすと、思った通りだった。指の先には空間が歪んでるエリアへと続く道が見える。

「やっぱり僕の読みは当たったね。早く探しに行こう」
「ふふっ、昔の兄さんと同じですね」
「なっ、まぁ……否定はしないけど……。それよりも、ここからが空間が歪んでいるエリアだぞ」

 ここはかなり歪み方が激しい地区……。大人でも余り近付こうとしたがらない場所なだけに、辺りは荒れ放題だな……。数メートル歩いただけで上が下になり、重力が弱くなってしまっている。レイアから見れば僕は今逆さになっている状態。僕から見ればぐるりと天井が床に、床が天井になってる状態でふわふわと浮遊感があり、何だか気分が悪くなってくる。
 再び歩き出すと世界は元に戻る。が、今度は重力が強いエリアに入ってしまい、上手く動けない。

「こんな所に……子供が来れるんだろうか……重い……」
「分らないけど……探してみましょう……重いです……」

 空間が重く圧し掛かって来て、走る事が出来ない。いや、来るには出来るけど走る気が起きない。こんな所、小さなピカチュウが通れるのだろうか? 頑張れば通れそうなんだけど、そこまでしてここを進もうと思うかな……?
 やっと歪んだエリアを脱出した。暫く歩いていると小さな岩の上に丸まっている黄色い何か……ピカチュウなんだけど……を発見した。

「やっと見つけた。君、大丈夫?」
「ぐす……おにいちゃん……だれ?」
「僕たちはギルドのポケモンさ。君のお父さんとお母さんに探すように頼まれていてね。さ、帰ろう」
「うん……」

 丸まっている迷子のピカチュウにやさしく笑いかける。スマイルスマイル。ここで怪しまれたら元も子も無いからね。
 取り敢えずは色々と話しかけて見ようかな。

「どうしてここまで来たの?」
「ポケモンがいじめられてたから……助けようと思って……。ほら、あれだよ。あれに映ってたの」
「あれって……これか」

 空中にふよふよと、重力を無視して浮いている水玉のような物体。そこには現実世界の同じ場所が映っていた。きっとピカチュウはこれを追ってここまで来たんだろう。向こう側に映るポケモンを助けようとして。それで帰れなくなったんだろうな。

「ほら、またポケモンがいじめられているよ!」
「兄さん! これを見て!」
「こ、これは……」

 そこにはゲンガー率いる集団が、ポケモン達を襲っている様子が映し出されていた。何か様子がおかしい……が此方からはその何かを確かめる事は出来ないし、自分たちにはどうする事も出来ない。歯痒いが、ただ黙って見ている事しか出来ない……。
 迷子のピカチュウの視線をそれから逸らせると、背中におぶってあげる。こうすれば幾分かは早く帰れるだろう。

「今日はもう遅い……お父さんとお母さんが心配しているから、帰ろうか」
「うん……。おにちゃんおねえちゃん、ありがとね」
「お礼なんていいのよ。ふふっ」

 日が傾き始めてきた。……反転世界ではよく分らないけどね。でも空が茜色に染まっているのは、現実世界でも日の入りが近いことを表しているんだよね。早くしないと夜になってしまう。
 急いで元来た道を戻ると、僕たちは迷子のピカチュウを無事に夫婦の元へと送り届けた。親子が再開する瞬間を見届けると、僕たちは家へと戻る。

「そう言えば……朝食と昼食を食べて無かったんだっけ……もう死にそう……」
「自業自得です。……夕食は沢山作ってあげるから家に着くまで我慢してください」
「うう……分かった……」

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ここまで
続きは執筆中

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