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接触 の変更点


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作者……[[今回も仮面が分厚すぎて誰だかわからなかったであろうあの人>リング]]



 オシャマリのカリフがアシマリだった頃、潮の流れに任せて一人で泳いで回っていた時に、調子に乗ってどこまで行けるか試していた彼は群れからはぐれて迷子になってしまったことがある。広い海で、住処の島は水平線の彼方、自分がどこにいるかもわからずに、突き出した岩に掴まったまま泣きじゃくることしか出来なかった。
 その時に偶然出会った赤いオドリドリは、なんでも嫁探しにウラウラ島から渡って来た途中で、カリフを見つけてあやしてくれた親切な男性だ。そのあやし方というのも、アシマリが歌やダンスを得意とするポケモンであることを知ってか、お得意の情熱的なダンスを見せるというものである。迷子になって泣きじゃくっていたカリフも、その踊りを見ていると思わず夢中になり、心拍数が上がっていく高揚感とともに体が勝手に動き出してしまう。時間を忘れて踊っていると、いつしか迷子になってしまった事も忘れて疲れ果てて眠ってしまうほど。
 空を飛んで群れに返されたカリフが目覚めた頃には、もう彼は飛び去ってしまったが、その赤いオドリドリはカリフに強烈な印象を残していった。それからというもの、カリフはそのオドリドリを崇拝と言っていいほどに尊敬するようになり、カリフの好む音楽観も赤いオドリドリのそれに固定されてしまった。
 それが原因なのか、彼は進化した今も他のオシャマリ達とはそりが合わない。他のオシャマリ達は即興でも上手く息のあったダンスが出来るのだが、それはこの島に住む紫色のオドリドリと合わせるのに適したものだ。
 この群れの中で、カリフだけは、紫のオドリドリが好むゆったりとした踊りが性に合わず、群れのオシャマリと息を合わせることが極端に苦手になってしまった。それでも、他のオシャマリ達は笑顔でカリフに頑張ろうと励ましてくれる。自分も笑顔でそれに応じるのだが、心の中では申し訳なさと、自分を表現出来ないもどかしさでいっぱいだった。


 ある日カリフは、群れでの狩りが終わった後の団欒の時間に一人でいるのが嫌になり、群れから逃げ出して入り江から河を登っていく。ここまで来れば仲間は追ってこないだろうと思いながら、一人沈んだ気分でバルーンを出す練習をしている。皆のいる場所で一人でいるのは心がざわついて嫌だが、最初から一人ならば逆に気分も落ち着く。
 一人でいると思いだすのはあのオドリドリの情熱的なダンスだ。あれをバルーンや歌を絡めてオシャマリ式、アシレーヌ式で表現するならばどうすればいいだろうか? そんなことを考えながら、あの時の燃えるようなリズムを思い出し、群れの音楽性とは真逆のダンスを研究する。手拍子とともに、歯切れの良い音を重ね、素早いリズムでダンスを刻んでいく。
 そう、ウチの群れにはあの歯切れの良い音が無いのだ。ゆったりとした潮騒、波の音と同化するようなあの間延びしたリズム。オドリドリは扇状の翼を波に揺れる木の葉のようにゆらりゆらりと動かして、アシレーヌは翼の代わりにバルーンをそうしてゆったりと動かす。美しいし優雅ではあるのだが、自分が求めているものとは違う。
 では、あの赤いオドリドリはどうだろう? 両翼を叩き合わせることでカツンカツンと小気味よい音を奏でる翼。足も小刻みに岩を叩いて、乾いた音を周囲に轟かせる。圧倒的な存在感と、目の覚めるような感覚を与えるあの動き。あれの代わりをバルーンでやるとしたら、次々と作り出したバルーンを同じく小気味よい音で割っていくのだろう。
 それがあの赤いオドリドリのリズムを真似た音楽になるのではないだろうか? 刹那的に生まれては消えていく泡が、情熱を掻き立てるだなんて、想像するだけで胸が躍る。
 うちの群れは、曲が終わるまではなるべく泡を割らないことが美徳とされているが、こうなると本当に真逆の表現だ。求めているものの違いがこうなのだから、自分の群れとの音楽性があうはずはないのだ。
 群れの皆は大人も子供もダメな自分に優しくしてくれて、決して悪い群れじゃない。むしろ、いい群れなのだろう。けれども、自分には居心地が悪くて仕方ない。
 自分が不器用なだけなのか、それとも大人になれば群れに順応出来るのか? そんなどうしようもないことに悩みながら一人で暗い顔をしてたたずんでいると、やがて辺りは暗くなり、群れに戻らなければ危険な時間帯になる。こうなると、どれだけ居心地が悪くとも、結局カリフも群れの住む岩場へと戻るしかないのだ。

 毎日そんなことをしているわけではないが、カリフがそうやって一人で落ち付く時間はだんだんと増えていった。仲間たちの前では笑顔を絶やさないものの、確実に心は擦り切れている。気のいい仲間と一緒に居ることで擦れてしまった心の傷を癒すには、一人の時間しかなかった。一人の時は、笑顔でいる事を考えなくていいのだから。
 そんな日々が続いているうちに、カリフは奇妙な音を耳にする。カツンカツン、コーンコーンという、何か乾いたものを叩き合わせる音。あの赤いオドリドリのものとはまた違うものの、叩いているうちに調子が出てきたとでもいうのか、その音は少しずつ激しく、速いテンポに変わっていく。
 目を閉じながらその音を聞いていると、自然と体が上下に動いてしまうような。楽し気で、心が躍る、鼓動が早くなる、体が熱くなるような、そんな音楽だ。思わず鼻歌を合わせてみると、これが生まれて初めてに思えるくらいに調子がいい。
 鼻からバルーンを出して、指や声でポンポン割っていくと、相手の顔も見えないのに楽しくなってくるくらい息が合っている気分がする。だけれど、聞こえてくるのは陸の方というのが辛い。
 自分達の種族は陸にあがれないわけではないし、意外と走ることも出来る。それでも陸に特化したポケモンには敵わないし、肉食のポケモンに鉢合わせすることもあり、自殺行為だ。会いたい、けれどこちらから会いに行くのは怖い。

 ならば、精一杯大きな声で歌えばきっと相手も気付いてくれるはずだ。カリフはその日、大きな声でその音の主に気付けと誘いこむ。しかし、音の主は気付いていないのか、叩く音がこちらに近づいてくることはなかった。
 それでも、声が枯れるまで歌ったのは久方ぶりだ。もしかしたら伝わっていなかったかもしれないけれど、思うままに歌えて喉を酷使した感触は、違和感を覚えながら同年代たちと無理に合わせる歌よりもよっぽど心地よく思えた。

 その日は夜になってもなかなか戻ってこなかったので、カリフは大人たちに心配されながら目一杯怒られる。その声が枯れているのは耳も鍛えられている大人たちならば一声聞けばわかったのだろう。驚いた顔を一瞬だけして、あとは心配そうな顔をして叱られる。
 その驚きは良い方に捉えてもらったのか、それとも悪い方に捉えられたのかは、その後の大人の顔が少し笑顔になっていたのが答えなのだろうか。


 一晩喉を休ませて、カリフは次の日もその入り江に赴いた。音がする場所の周辺も川は通っているが、流れが急な上に川幅は狭く水深も浅いため、水タイプのポケモンであってもあまり自由には動けず、外敵への油断が出来ない。そこら辺のポケモン相手ならばそんな不自由な水辺でも、大量の水を味方につけることが出来るので負ける道理はないが、万が一電気タイプのポケモンがいれば、最悪命はない。
 相手も喉が渇けば水辺に赴くことはあるだろうが、そこまで近づこうという気になるにはすこしばかり恐怖が残った。

 それからもカリフは比較的安全な場所で歌ってみたり、時には危険を冒して上流の方へ赴いてみたり、少しずつ大胆になっていくが、あるとき獰猛な肉食の魚に襲われ、大怪我をしながら逃げ帰ることもあり、大人たちには心配をかけてしまい、怒られることもあった。
 そういったこともあって、理由を話すまで一人で行動することは禁止されてしまい、大人たちには正直に、最近川の上流の方で気になっている音があること、そしてこの群れの音楽性が自分には合わずに苦しんでいることを話した。
 それを聞くなり、長はしみじみと頷いた。
「なるほど。一定数いるんだよなぁ……自分の音楽性がどうしても群れに馴染めない子」
「僕、大人になったら……その、みんなと一緒に歌えるようになるのかな?」
「分からないよ。大人になれば憑き物が落ちたように仲間と一緒に歌える者もいれば、大人になってもダメな者もいる。そういう者は……」
「どうなっちゃうの?」
「外の海に、自分に合う群れを探すのさ。この海域には大きく分けて四つの音楽性があるからね。たまにこの群れにも別の島から海を渡って来たアシレーヌが来るだろう? そういうのは、君と似ている立場の者だったんだ」
「僕と似ている?」
「そう。大人たちも、君は『渡っていく者』だというのは気付いていた。けれど、君が大人になるまではそういう選択肢は黙っておくつもりだった……が、あまりに君が苦しんでいて、そしてそのために危ない目に遭っている以上はもう放っておけない。君のように仲間と音楽性があわない子はいるけれど、その中でも君は……言いたくはないけれど重症だからね。だから、今は辛いと思うけれど、大人になればそういう選択肢もあるってことを覚えておきなさい。
 だからもう、辛いからといって一人で危険なところに行っちゃだめだよ、カリフ」
 アシレーヌの群れの長は、そう言ってカリフを優しく抱きしめる。やっぱり、この群れの仲間はとても居心地が良く、温かい。いい人達ばかりなのだけれど、それでもカリフは耐えられる自信がなかった。そういう自分だからこそ、別の群れに移動するべきなのだろうとカリフは思う。
「長は『渡って行く者』というのを見たことがあるんですか?」
「あぁ、好きだった子が、ここの音楽性に合わなくてね。それで、桃色のオドリドリがいる島まで渡って行ったよ。あと、例えばあそこにいるアシレーヌの男は『渡って来た者』だ」
「へー……あとでどんなだったか聞いてみよ」
「そうするといい、カリフ。あぁ、そうだな……もしもまだ、その謎の音を奏でるポケモンと出会いたいのであれば……遠くまで届く声で『俺と戦いたい奴はいるか―!?』って叫んでみるといい」
「それ、喧嘩しろってこと?」
 狩りの経験はあるが、力比べの経験はないカリフにとって、そんなことは未知の領域だ。
「そうさ。そのポケモンと接触するなら、自分から会いに行くかこっちに呼び寄せるしかないけれど、呼び寄せるなら今のセリフが一番だ。もしかしたらそのポケモンがその言葉に誘われてくるかもしれないから、その時はムーンフォースをぶつけるといいよ」
「そんな技、まだ使えないよ? というか、フェアリータイプならチャームボイスじゃダメなの?」
「あぁ、チャームボイスじゃダメな理由があるんだが……まぁ、それはいいか。ふむぅ……確かに子供が自然と扱えるようになる技じゃあないしな。それなら、おじさんが教えてあげよう。せめてそれを覚えるまでは、群れを離れて一人で行動するのは我慢してくれるな?」
 長に優しく微笑まれ、カリフは頷く。その日からムーンフォースの特訓が始まり、なんとか一日でとりあえず動かない的に当てるくらいはできるようになる。しかし、そこから先は当然難航する。月を上空に思い描くことにより、フェアリーの力を集めて真下へと放つ。この一連の動作を一瞬で、なおかつ動く相手にも当てなければならない。
 大人たちに交じって群れたヨワシを狩る練習をするときも、使い慣れたチャームボイスではなくムーンフォースで攻撃をしなければならない。外すことは勿論、時には味方に当てて怒られたりもする。それでも、努力していればいずれは上手くいくものだ。長が放つ高速で動くバルーンを正確に撃ち落とすことが出来るようになるまで、月が一度生まれ変わるくらいの時間を要したが、その域まで高めることは何とか成功した。
 これで、例のポケモンに会いに行こうという段階になったのだが、肉食のポケモンに襲われたりすれば危険なのは相変わらずなので、今度は長も付き添ってくれた。守ってくれる大人の存在を背後に感じながら、カリフは例の方法で謎の音を出すポケモンを呼び寄せる。
『俺と戦いたい奴はいるかー!? 勇気のある奴はいるかー!?』
 よく通る腹の底から出したその声が届いたのか、叩く音はぱたりと止んだ。こうして呼んでおいてなんだけれど、どんなポケモンが来るのか怖くてたまらず、角ばった岩の影に隠れながら様子を窺った。
 すると、鼻息も荒く訪れたのは灰色の体の所々に金色の鱗を纏った逞しいポケモンだ。見るからに堅そうな筋肉質の体、そしてその分厚い筋肉に包まれてなお存在感を放つ立派な骨格。自分達アシレーヌやオシャマリが力ではまず勝てない相手だというのは分かる。
「誰か呼んだか? 私たちに喧嘩を売っている子がいると思ってきたのだけれど?」
 そのポケモンは周囲を見渡しながら大きな声でカリフを探している。
「ほら来たぞ、あいつだ、行け」
 後ろにいてもニヤ付いているのが分かるような声で長が言い、軽く背中を押す。もう後には退けない、やるしかないんだ。
「それ、僕です」
 震える声を振り切るようにしてカリフが名乗りでる。
「お前か? ほーう、可愛い顔をしている。見たことのない種族だが、そんなんで強いのか?」
 値踏みするようなまなざしでまじまじと見つめるポケモンの視線に思わず体が強張る。
「ところで、お前の種族って何? 私はジャランゴのイワイ! 誇り高きジャラランガの進化前だ」
「種族は……オシャマリ。進化前はアシマリ、進化するとアシレーヌの……カリフって名前だ」
「あー、聞いたことあるぞ。海で暮らす種族で歌が得意なんだってな? 私はジャランゴのイワイ。成長すると、それはそれは美しくたくましいジャラランガと呼ばれる種族になるんだ!」
「二回も言わなくていいから!」
「私達は進化のためには多くの経験を積んでいく必要がある。そのための鍛錬に付き合ってくれるのは感謝するぞ! ただし、負けても恨むんじゃないぞ、構えろ!」
「え、あ、うん!」
「おーう、カリフ。頑張れよー!」
 イワイに自信満々に勝負を挑まれ、カリフは戸惑いながらも戦闘対戦を取る、とは言っても今まで相手をしてきたのはヨワシやらコイキングやらヒトデマンやら、海の相手ばっかりだ。陸のポケモンの動きは未知の動きだ。
 しかし、その未知の動きには見覚えならぬ聞き覚えがあった。彼女は鱗を叩き合わせたり擦り合わせることで気分を高ぶらせる音を奏で気分を高揚させる。これが謎の音の正体のようだ。こんな時だというのに踊りだしたくなってくる。
 十分に戦意が高まった相手は、川に転がる岩を足場に川の中ほどまで飛んでくると、水面めがけて拳を振り下ろしていく。海に潜って、水を盾にしてその攻撃の勢いを弱め、カリフは攻撃を躱す。
 『水の中なら自分のフィールドだ、相手に合わせてやることはない』長にはそう言われたのだ。卑怯なようだが相手が有利な状況には決して持ち込ませないほうがいい。なんとしても水のある場所を離れてはいけない。
「ふん、水の中に逃げたか! それならこっちも考えがある!」
 言いながらイワイは岩を持ちあげポイポイ投げる。岩自体が直撃せずとも、高速で飛翔する岩が水に触れた時、発生する衝撃波のせいで頭が痛い。意識を持ってかれはしないだろうが、確実に集中力を削がれていく。そうだ、自分の戦いをしないといけない。
 カリフは割れにくい泡を水面に並べてそれを盾にし、さらにその泡を目くらましにして水中に身を隠す。とはいえ、流れは急流、泡は生み出すたびにすぐ流れていく。肺にため込んだ空気は圧縮しているから、見た目よりもずっと大きな泡を大量に出すことが出来るが、しかし水中に潜りながらではそれも長くは続くまい。息継ぎは早めに行わないと。
 目くらましをしながらイワイの死角に回ったカリフは、岩陰から彼を覗きながらムーンフォースを放つ。流れの速い急流のおかげで、水面から顔を出しても水音がかき消されるのが非常に有難い、こちらの存在に気が付くのが遅れたイワイは、気付いたころには上空から降り注ぐ桃色の光に呑まれていた。

「やったか!?」
 光に飲まれたイワイはそのまま岩から落ちて急流に呑まれていく。
「おう、やったなカリフ!」
 『危ない』、と思ったら下流で待ち構えていた長が彼を抱きかかえて川岸まで運び、そっと置く。
「やるじゃないか。じゃ、あとは若いもんで楽しんできなさいな」
「えぇ? 二人きり!?」
 誰が聞いているわけでもないけれど、何かと誤解を受けそうなことを言って長は川を下っていく。
「あ……この後どうするか考えていなかったぞ。っていうかこの子女の子なんだ……男だと思ってた」
 イワイはムーンフォースを受けて相当なダメージを負ったのか、ぐったりしたまま小さく呼吸をしている。とりあえずは目覚めるのを待つしかないようだ。

 しばらくしてイワイが目を覚ます。
「んにゃ……」
 目を開け、首を傾けてこちらを確認するイワイに
「あぁ、大丈夫ですか? 結構不意打ち気味に強力な技を喰らわせちゃったから、痛かったかも……」
「お前は……そうか、私は負けたのか……やっぱり、まだ修業が足りないな……」
「いやぁ、僕と君じゃ相性が悪いみたいだし、そんなもんじゃないのかな? えと、そんなことよりも僕聞きたいことがあったんだ」
「何?」
「あ、その、ね。本当は僕は君と戦うことが目的だったわけじゃなくって、その……君の鱗を鳴らす音が気に入ったから、一度君と話してみたかったんだ。その、最近は君の鱗の音を聞きながら歌を口ずさんでいたんだけれど、それがすごく調子が良くって……君は、最近僕の歌声は聞こえてたかな?」
 まとまりを得ないながらも、カリフは彼女に伝えたいことを伝える。
「えっと……ごめん。私、特性が防音だから周囲の雑音が気にならなくって。お前の声は今日まで聞いたことが無かった。でも、そんな風に言われるとちょっと気になる……」
「あぁ、そういう……」
 長がチャームボイスの使用を推奨しないわけである。特性が防音じゃなければ、彼女はとっくにカリフに興味を示していたのかもしれない。
「ともかく、僕は君の鱗が奏でる音に合わせて歌うのが好きなんだ。だけど今はちょっと、君の体調がすぐれないようだし……」
「そうだね、体中が痛くってちょっと踊れるような状況じゃないし……ところで、お前の名前は何だ?」
「カリフ。えっと、君はイワイだよね。よろしく」
 こんなはずではなかったのだが、結局二人は後日また会おうということになる。巣に帰ればオレンの実があるからと、彼女はふらふらながらも笑って住処へと帰っていった。

 後日、二人が出会った川の急流にて落ち合うと、挨拶もそこそこに二人はセッションを始める。
「じゃあ、行くよ」
 彼女は修行に熱心だったこともあり、こうして修行以外の事に付き合うのは、一時の気まぐれのようなものであった。だが、一度合わせてみると、気付けば夢中になっている。鱗を接触させて音を鳴らすたびに、まるで事前に打ち合わせをしたかのようにカリフの歌が追従する。すると、自分がどんなふうに音を奏でればいいかを自然と導かれている感触に取り憑かれ、はじけ飛ぶ泡に合わせて体を動かしているうちに、今までに感じたことが無い力が自身の内側に宿るのを感じる。
 間違いない、今までやろうと思っても出来なかった『龍の舞い』を完璧に自分のものにしたのだ。体は温まり、呼吸は荒くなっているものの、しかし疲れは感じない。今ならどんな敵にだって勝てそうとすら思えるほどの調子がとても心地よい。
 やがて、体が最高潮に温まったのを感じてイワイは足元に転がっている岩を粉砕する。セッションの終わりを告げる轟音となった渾身の瓦割りは、岩を粉砕するのではなく、綺麗に真っ二つに割っていく。よっぽど綺麗に打撃が決まっていなければあんな割れ方はしないだろう、多分。
「これは、最高の気分だ……」
 拳と岩を交互に見つめながらイワイはほくそ笑む。
「なぁ、お前。今の演奏を、またやらせてくれないか!? 私はこれで新しい技に目覚めそうなんだ!」
 女の子の体に勝手に触るのはどうかと思い、今まで一度も彼女に触れていなかったというのに、彼女はあっさりとカリフの手に触れる。すこしばかり男の下心が揺さぶられもしたが、それよりも、初めて自分の歌を好きになってくれた子に出会えた興奮が勝っていた。
「あ、ありがとう……」
 イワイの頼みに対する返答としてはいささか不適切な言葉であったが、『もちろんまた一緒にやりたい』という意思は伝わったらしい。
「こちらこそだ!」
 そう言ってイワイは激しくカリフを抱擁した。やはり力は強いのか、苦しいくらいの抱擁であった。

 その日からカリフとイワイは二人で落ち合うようになり、場所も渓谷の上流ばかりでなく、海岸沿いまで来てもらって、カリフが昼に取って来たヨワシをごちそうしたり、逆にイワイが木の実の取り合いをしている時にもげたマケンカニのハサミをごちそうしたり、食料を送り合う関係にも発展する。
 イワイはそのうちカリフの歌による手助けがなくとも龍の舞をものにしたが、それでもカリフとの関係は途切れることなく、やがてカリフがイワイと何度目かもわからないセッションをしている最中に、カリフはアシレーヌへの進化を迎えた。

「それで、どうだったの?」
 進化を迎えた時、二人は喜びを分かち合うのもそこそこに、カリフは群れへと進化の報告をし、その場で一度ダンスや歌を試してみた。その結果は、肩を並べて座るカリフの横顔を見れば一目瞭然だ。
「ダメだった……というか、悪化したよ。毎日君と一緒にセッションしてたからかな。君と接触する前よりもよっぽど仲間と合わせづらくなっちゃって……いや、ショックだよ。昔は大人になればみんなと合わせられないのも治るって思っていたけれど、僕はどうしても『渡って行く者』みたいだ」
「と、言うことは近いうちにこの島を去るのかしら?」
「うん、長はそれを勧めているし、他の『渡って来た者』もそれを勧めている。『その方がキミは幸せになれる』ってさ」
「寂しくなるね。お前がいなくなったら、もうセッションも出来なくなるのか……一人での修行に不満はなかったけれど、あの頃の生活に今更戻れるかな?」
「君は龍の舞を完全に自分のものにしたじゃないか。だから僕がいなくっても大丈夫だって」
「それとこれとは話が別だろうよ。お前に龍の舞のインスピレーションを貰ったのは感謝してるけれど、龍の舞をものにしても一緒に居るのは、この日常が好きだからだぞ?」
 イワイが呆れたように口にし、そしてため息をつく。カリフは照れながら微笑みを返した。
「ねぇ、イワイ。君は僕のこの姿を見てどう思う?」
「素敵だね。私は素直にそう思う」
「そっか……あのさ、イワイもまだ進化を一つ残しているんでしょ? だったら、きっとそれも素敵だよね?」
「そりゃそうよ。子供の頃の私達の群れを見守ってくれる、最終進化の美しさたるや、子供達の憧れなんだから。私も進化したら、同じく進化した雄を見つけて……フフ」
 イワイは赤らむ頬を押さえて恥じらう様子を見せる。そんな彼女の顔をまともに見る事なんてカリフには出来なかった。
「く、口に出さなくていいよー……あはは。それでさ、僕ね……僕は、君が大人になった姿を見届けたら、旅立つよ。僕の姿を見て、素敵だって言ってくれた君の事を、僕も『素敵』って言ってみたいからさ」
 カリフが口にすると、イワイはずっと黙っていた。怒らせてしまったのだろうかと恐る恐る彼女の横顔を見ると、むずがゆそうに口元をもごもごさせて、手はもじもじと爪を弄っている。
 カリフはそっとイワイの手に自分の手を重ねた。それを握り返してくる彼女の仕草が嬉しくて、カリフは思わず口元が緩んでしまうのであった。

 やがて、イワイが進化すると、カリフも案の定その美しさに息をのむ。ジャランゴの時から金色の美しい鱗が体を覆っていたが、その数が増えるとともに、ならせる音はさらに多彩になる。
 振り向いたり、顔を起こすだけでも頭の鱗が鳴り響き、良い音を出すようにと意識すると、更にとても心地よい音が出る。成長することで鋭さを増した眼光は、ジャランゴのうちに多くが死んでしまう一人での修業期間を生き残った、戦士の誇りと執念が刻まれているようだ。
 その姿でセッションすれば、今まで以上に力強く、気分を高揚させる音楽が鳴り響き、締めに行う瓦割りやスカイアッパーは一撃で地面や壁面を抉り取る威力に。お互い強くなったし、お互いが次にどんな音を出すかも手に取るようにわかる間柄になっていた。
 これで別れるとなると、確かに寂しい。けれど、渡って行かなきゃ、カリフは嫁も手に入らないし、群れと歌うことも出来ない。そしてそれはイワイも同じで、せっかくジャラランガに進化するまで生き残ったのに、こんなところでアシレーヌと密会しているだけでは、同じく生き残った雄と出会うことも出来ない。そうなれば当然新たに子孫を残すことも出来ない。互いに二人の事が好きだという気持ちはあるが、生物としての抗いがたい本能が、彼らを別れに引き寄せていた。


「明日の夜、僕は旅立つよ。星を見ながら海を渡るのがいいらしい。星はいつでも来たから僕達を見守ってくれるって」
 イワイが進化したその日の夜、二人は海岸に肩を並べて座り、夜風を浴びながら語り合う。
「そっか、それじゃあ、その前に……お前と私で、嫁探しと男漁りの練習しないか?」
「男漁り……なの? いや、そんなことはともかくとして……もしかして、子作りの練習をやるの?」
「……ダメか? 正直な、お前とタマゴグループがあわないのは少し残念だとすら思うほどだ。一緒に居れば、もっと素敵な思いも出来るだろうにな。だが、それが出来ないのならば、一足先に君と楽しむのも悪くないと思ってな。あのな、私は同種の雄の逞しい体に抱かれたいと思ってはいる。だが、初めてはお前がいいんだ。よく見知った相手が、初めての相手だなんて素敵だとは思わないか?」
「確かに、そうだけれど……」
「悪いことじゃないだろう? 楽しもうじゃないか、カリフ」
 イワイはカリフの肩を抱いて、軽く押し倒す。カリフもなんだかんだ言って抵抗らしい抵抗はしなかった。潤んだ瞳でイワイの事を見上げ、なされるがままに任せている。捕食でもするかのように大口を開けた。強烈な肉の匂いと、滴る唾液が糸を引く光景。思わず身体の危機を感じる。彼女が今更危害を加えてくることはないだろうが、種族によって交尾の方法は大きく違うはず。
 同じ種族同士ならば怪我をしないような行動でも、場合によっては怪我をするかもしれない。
 痛みに身構えてイワイの行動を待っていると、彼女はカリフの肩を軽く噛みつく。痛みを与えるためのものではなく、唾液の匂いを残すための行動のようだ。数か所噛みつかれ、その唾液の匂いがべったりと染みつくと、脳みそがくらくらするような気分に襲われる。そのままのしかかられると、自然とその気が高まっていくようだ。
 彼女の重みが心地いい。水中での交尾の方が自分の体には合っているのだけれど、陸上でされるがままというのも気分が高揚するものだ。何をされるのかわからないのがドキドキする。彼女の甘噛みはなおも続き、鼻にまで直接唾液がこびりついた。その時、カリフもイワイの頭を掴んで、お返しのように口付けをした。アシレーヌのそれとは比べ物にならないほどに太く強靭な首を抱いて、鼻をこすりつける。アシレーヌにとっては、自分の体液をこすりつけるならば唾液よりも断然こっちだ。そうすることでカリフは自身の匂いをイワイに強く認識させ、より強く興奮してもらう。
 言葉がなくともそれは伝わった。首元に塗りつけられたカリフの粘液を、イワイは美味しいものでも食べるかのように指ですくって舐め取り、そうやって自身の唾液塗れになった指を、カリフの口に突っ込んでくる。図らずも唾液を強引に交換させられ、しかもそのまま口を閉じるのを許さないとでも言わんばかりに、指で口の中をまさぐられる。鋭い爪ではあるが、勢いがなければそう簡単に口の中が傷つくこともなく、乱暴ではあるが敵意もなしにかき回されると、それはそれで彼女の存在を強く感じられるのが面白い。
 思わず舌で彼女に抵抗を試みると、イワイは面白がってカリフの舌と戯れた。どうやらイワイはこの遊びが気に入ったらしい。ずっとやられているうちに、カリフの口の中にはどんどん唾液があふれだし、それが口の端からこぼれてドロドロになっていく。そうやって無様な顔になったカリフを眺めながら、今度は口に着いたその唾液を舐め取っていく。
 それだけでは我慢できなかったのか、あふれる唾液を飲み込めずにいたカリフの口に長い舌を突っ込んで、そのまますべてを奪い尽くす。完全に口の中をほぐされたカリフは、すっかりと体も火照り、ほぐされて骨抜きだ。
「お前の唾液は、塩味が随分と濃い。俺のとは大違いだ」
「海水はいつも飲んでいるからね。真水は、飲み過ぎると体を壊すよ」
「美味しいな。運動した後だとなおさら」
「だからって飲み過ぎだよ……口の中乾いちゃう」
 イワイの思ってもみない方向からの褒め言葉にカリフは苦笑する。
「それは悪かった……あぁ、だが、もっと飲んでみたいな」
「ええ……ジャラランガの女の子ってみんなこうなの?」
「さぁ、分からんな? 雄がいつその気になっていようとも、我ら雌がその気にならない限りは交尾はしないからな。基本、雌が主導権を握ると聞く……だけれど、不満なら、カリフの思うようにやってもらっても結構だが……」
 言うなり、イワイはのしかかった体勢から立ち上がり、カリフを見下ろす。
「けれど、少しは感じてくれているんだな?」
 イワイが立ち上がるとカリフの雄の象徴はきっちりと自己主張をしている。
「あれだけ口付けされればね。匂いも、強烈だし。その、匂いを嗅いでいて心地よいよ」
「そうか。私もお前の匂いは好きだ。種族が違っても、男の匂いというのはいいものだな」
「そう言ってくれるとありがたいよ」
 カリフは上体を起こしてイワイの腹に触れる。イワイは嫌がるそぶりは見せず、それどころかカリフの指を自身の股間まで導いて触れさせる。
「ここだ、お前の種はどうか知らんが、ジャラランガの生殖器はここにある」
「あはは、さすがに見ればわかるよ……」
「そうか。じゃあ、具合を見てみろ。よさそうならいつでも来い」
 イワイに問われてカリフは顔を赤くして頷いた。イワイの生殖器の具合を指で調べてみると、とろりとした鼻水のような粘液が中を満たしている。大きな指を突き入れてみると、歯を食いしばったイワイからは甘い鼻息が漏れる。中をまさぐるたびに感じているのか、体内が少しずつ反応しているのが分かる。カリフがどれだけ噛みつかれてもされるがままだったおかげか、イワイも他生の事では不満を漏らすつもりはないらしい。
 ただ、平静を装っていても感じているのは誤魔化せていない。ゆるんだ口の端からは唾液が漏れてしまっていて、意識を下半身に集中してしまったばかりに顔に力を籠めるのがおろそかになっている。口の端から唾液が流れる感触でそれに気付いたイワイは、恥ずかしそうにそれを拳で拭いながら一歩下がる。
「もう具合を見るのは十分だろう……お前はもう準備万端なのだろう?」
 耐え切れなくなったのか、照れ隠しなのか。イワイは若干むずがゆそうな顔でカリフに告げる。
「うん……というか、もう僕も本当は限界で」
「ならいいじゃないか……お前を感じたい。これが最初で最後になるかもしれないから、しっかり記憶に刻んでおくんだぞ」
「それはお互い様でしょ?」
 カリフは笑みを浮かべながらイワイの下から這い出して、足ヒレを伸ばして立ち上がる。アシレーヌという種族は立ち上がると意外と背が高く、イワイの背を軽く通り越してしまう。見下ろされるのには慣れていない。そのまま大きな彼の手に撫でられると、なんだか自分の小柄な体が恨めしく感じる。もっと大きな種族だったら、威圧感もばっちりだったのになと。
 だが、そんなことを考えている余裕はなさそうだ。カリフはちょこちょこと足のヒレを動かしてイワイの後ろに回り、太い尻尾を抱きかかえながら彼女の背中に手を付いた。交尾の体勢になるためにイワイは四つん這いになり、長い手を海岸の砂浜に埋めると、その拍子に尻尾の先端が揺れ、そこからシャンシャンと心地よい鱗の音が鳴る。
「ねぇ、ジャラランガ同士の交尾って、もしかしてすごく五月蠅いんじゃ?」
「当然だろう? そんな場所に出くわしてしまって、我々に殴られる奴がいたら可哀そうだろう? 不幸な事故は避けるべきだ」
 本来ならば交尾の最中は無防備になるが、屈強な体を持つジャラランガにとっては、五月蠅い音で交尾をアピールするのはむしろ、人払いの意味があるそうで。その光景を想像したらなんだかおかしくて、カリフはついつい笑みを浮かべてしまう。
「それじゃ、お待ちかね……僕も初めてだから、うまく出来なくっても勘弁してね?」
「情けないことを言うな、カリフ。私達は、息がばっちりなはずだろ?」
「こっちでもそうだといいけれど」
 カリフはごくりと唾を飲み、右手はイワイの首元を。左手はイワイの左太ももをがっちりとつかみ、体を密着させる。そうすることで安定する体制を取れたところで、カリフは一気にイワイの中に突き入れる。粘液に塗れた秘所は、力を入れて押し込むと柔らかく、そして温かく包み込んでくる。涼しい夜風よりもずっと暖かなその場所に招かれたカリフの男性器は、滑る粘液に翻弄されながら快感を得ていた。
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 突っ込んだだけでは物足りない。そのまま本能に任せて、ぴたりとくっつけた身体を前後に動かす。今まで感じたこともない快感に突き動かされて、もう腰が止まりそうにない。気持ちが良いのは体の一部分だけのはずなのに、体中がその感触の虜になって、より強く快感をと、欲している。
 体が熱くなるに従い快感もより増していき、イワイの喘ぎ声も、全身から奏でるけたたましい鱗の音も耳に入らない。体が勝手に動いて、行きつくその先は、真っ白になった頭と、無意識のうちに果てながら静止する体だった。カリフは子供を孕めと言わんばかりに下半身を打ち付け、イワイの体の中の奥に届く限り、限界まで性器を差し込んだまま肩で息をしていた。下半身の一点に快感が集中し、言葉も出ないくらいに射精の快感を噛み締めて、カリフは自身の体重を完全にイワイに預けていた。強靭な体とは言え、自分も疲れている状態で二人分の体を支えるのは流石に苦しいのか、後ろ足で軽くカリフを蹴って目を覚まさせる。
「その様子だと、楽しんだみたいだな……」
「うん、すごく……イワイは?」
「まあまあだ。お前が楽しんでくれたのは良かったが、気持ち良くなる前に終わってしまったな。もう少しお前に気持ち良くしてもらうべきだったか」
「えぇ……!? ごめん」
「それより、私たちジャラランガの縄張りの外でこんな事をしたからな。音に興味を示して見物人がたくさんいるぞ?」
「え……」
「私達の渓谷では皆が離れて行くんだがな、場所が変わればこうなるか」
 そう言ってカリフは拳を構え、殺気を携えながら気配の元へと向かっていく。その気配がすぐさま一目散に逃げていくのを見て、イワイは勝ち誇ったようにガッツポーズを掲げていた。

 そうして、楽しみが終わったところで、二人はひどく疲れたのか、何を語るでもなく寄り添い合いながらそのまま寝入ってしまった。無防備な寝姿ではあったが、幸いにも手を出す者はおらず、夜が明けたところで二人はお互いの住処へと帰っていくのであった。
 匂いに敏感な子はカリフ達が何をやってしまったかを理解してしまい、彼にどんな声を掛ければいいのやら、言葉を選んでいるのが分かってしまう。群れの仲間に気付かない振りをされるのはとても恥ずかしくはあったが、そんな状態でも優しく送り出してくれる仲間たちに、カリフは自然と涙があふれた。
 そうして挨拶や最後のお別れの抱擁をしているうちに、辺りは夜になる。そうして旅立つ時が来て、カリフは見守ってくれる星を眺めながら、後を振り返らないように海へと泳ぎだした。そうして群れを離れる自分の背中に、イワイのあの音が聞こえる。仲間の声にまぎれて確かに感じた彼女の気配に、新たな群れへの接触へ向かうカリフは強く背中を押されて、泳いでいく。

**あとがき [#XNV4lOK]
今回の大会では同率一位ありがとうございました。
さて、今回もアシレーヌですね。アシレーヌが可愛すぎるのがいけないんです。そしてジャラランガです、ジャラランガがセクシーすぎるのがいけないんです。この組み合わせはpixiv何かでもなぜか見かける組み合わせなのですが。理由はお互いの専用技を無効化し合うことが出来るからでしょうか? 二人で専用技をかき鳴らせばさぞや気持ち良いことでしょうが、周りの皆には非常に迷惑でしょうね。
この物語を書いたきっかけはまぁ、上記のカップリングに魅力を感じたことが理由です。その二人をどうにかくっつけることが出来ないかと考えた結果できたお話でした。しかし、書いてみると、こうして音楽性の違いによってアシレーヌが群れを渡って行くことで、他の群れの遺伝子をうまい具合に持ち込むことが出来るので、種の保存において一役買っているんじゃないかと思います。
二人の名前はハワイの地名、カリヒワイです。ポニ島のバトルツリーとエンドケイブの間あたりですね。
そんなことより、アシレーヌ可愛いです。もっと書きましょう。

以下。投票コメントです


接触

・島による音楽性の違いと、そして自分の住む島の音楽性に馴染めずに葛藤するカリフの描写と、ジャラランガのイワイとの邂逅など一つ一つの成長に通ずる描写が良かったです。
ただイワイの口調が安定していなくてどっちの台詞か察しづらく、少し前の行まで読み返してしまったのでそこはちょっとテンポを崩されてしまって残念でした。 (2017/09/22(金) 22:16)

 カリフのキャラクターを褒めていただきありがとうございます。主人公なだけ合って、何回も吟味しました。
 イワイの口調が安定していなかったのは今作は尺不足が深刻だったため、文字数を減らすことばかりに集中してしまった事での失敗です。精進します……

・わかりやすい(何がとは言わない)。オドリドリの踊りとアシレーヌの歌の調子を組み合わせるというのは斬新でした。ここで「どうせ渡るなら海の向こうじゃなくて山の上のイワイのところにしよう!」というifも見てみたくはありますが、タマゴグループの違いでできなくなる繁殖を優先してお互い手を引いたのに寂しさよりも希望が残る後味が良かったです。 (2017/09/22(金) 23:42)

 いったい何が分かりやすいというのか、きっと私の正体の事ではないのでしょうね。
 アローラの島はオドリドリが島によって違うので、アシレーヌもまたそれに従うのではないかと考えました。元からアシレーヌは群れによって歌が違うという設定とも親和性は高いですしね。
 そして、繁殖を優先するのは仕方のない事なのです。交尾をしたいというのももちろんですが、誰だって自分の子供を持ちたいのですよ。

・それぞれに異なる歌や踊りを扱うポケモン同士の接触、ジャランゴの鱗が音を鳴らす接触と、テーマのポケモンへの絡ませ方が絶妙でした。別れても切れることのない熱い友情にほろ苦い恋のアクセントも加わり、読後感が非常に良かったです。 (2017/09/23(土) 21:39)

 ありがとうございます。実はもともと書いていた話をテーマに合わせる形になったのですが、予想以上に上手くはまってくれて形になります。(その証拠に挿絵は実はこの大会の告知前に投稿した絵なんだよなぁ……)

・歌やダンスのイメージが強いアシマリ族ですが、そこからさらに好みのリズムの話へ掘り下げてくれたことで、手垢がついたポケモンにもかかわらず新鮮味がありました。ジャランゴの種族バレまでの伏線も心地よく、ポニ島の大自然を背景にした戦闘は、頭に思い描くだけでも美しいもの。出会いと別れのほろ苦い青春、野生ポケモンの生活にもこんなことがあってほしいな、という私たちの妄想が詰まった作品でした。 (2017/09/23(土) 23:17)

 防音ジャラランガだからこそのこのカップリングだと思いますが、それゆえにオシャマリの声に気付けないというのは、自分で描いているうちに気付いたことでした。
 書いてみないと分からないこともあるものですね

・面白かった。 (2017/09/23(土) 23:56)

ありがとうございました。

**コメント欄 [#4BcOQD1]

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