ポケモン小説wiki
懐かしきあの音を求めて #2 の変更点


注意1 この小説は&color(Red){官能表現を含みます};。苦手な方は回れ右でお願いします。
  2 このページを作者に無断で複製又は更新することを固くお断り申し上げます。
  3 この章には[[風は出会いを運ぶ]]をお読みいただいていない方には分かりにくい表現があるかもしれません。ご了承ください。
第二小節 遭遇

森は、陽の光が葉に反射し、まるで、ステンドグラスのよう。
その光は、暖かく二人を照らす。
時折、鳥ポケモンに鳴き声が聞こえてくることや、他のポケモンの声が聞こえてくる以外は、
二人の足音しか聞こえない。
「ここら辺の木は、この季節でも落葉しないのかな」
フールが聞く。
「分からない。でも、珍しいなこの季節にこんな綺麗な緑色が見れるなんて」
雪が降るにはまだ早いが、それでも葉は落葉をしてもおかしくない時期だ。
でも、ここ一帯の植物は皆、青々とした葉をつけている。
冬の訪れを一切感じさせない、と言うより季節感が少々狂うのではないのかと思うほど
この光景は、落葉の季節のそれとはかけ離れていた。
少なくとも、2時間程度はたっただろうか。
不意に、息切れが体を襲った。
無理も無い。いかに波導を使えるとはいえ、一気にそれも多量に消費すると体力・
命にもかかわりかねない。
「フール、少し休まないか」
まだまだ行けるよといった顔をしているが、すぐに俺の異変を察してくれたらしく、
すぐに近くの木にもたれかかった。
「これじゃあ、お先真っ暗だな」
ついつい弱音が出てしまう。
こんなこと以上のことが待っているかもしれないのに。
ましてや、自分はなぜだか分からないが逃亡者なのだ。
何時追っ手が来るのか分からない。
「そんなことないよ、すぐ治るでしょ。ルカリオだから」
「どういう意味だそれ」
「だって、ルカリオってご主人に似て鈍感だもん」
そういう風に見られていたとは心外だった。
「よくずばずばと人が傷つくことを平気に言えるな」
「しょうがないよ、真実なんだからきちんと受け止めなよ」
呆れた気持ちと落ち込んだ気持ちとが混じった溜息が出る。
「そんなんだから、牡にもてないんだよお前は」
自分も、人のことを言えるたちではない
「ルカリオには関係ないよ。それに、僕僕って言ってるけどこれども一応女の子だからね」
「はいはい、ちゃんと分かってますよ」
風で木の葉がこすれる音がする。その音も、主のピアノの音に聞こえてしまう。
「そろそろ行くか」
フールは静かに頷き立ち上がった。
そのとき、
「そこの二人、ちょっと待ってもらえますか」
少し高めの声。
その声で、場の空気が一気に重くなった。
-------------------------------------------------------------------------------------
「あのときの借り、きっちり返させてもらはないとな」
「静かに、この子達がもし間違いだったらどうするの」
確かにあのときのやつらだ。
口が悪い方の種族は、グラエナ。
少し丁寧口調の方は、サーナイトだったはずだ。
「少しいいでしょうか」
何とかごまかせるかもしれない。
平静を装おう。
「何でしょうか?」
「ここら辺で、前日の爆発事故で逃げ出したポケモンがいるんですけど
ご存知ですかね」
ここは・・・あえてしらを切った方がいいと思った僕は
「知らないです」と答えようとした。
しかし、答えるより早くルカリオが青白い球体を二人に向かって放った。
「うそをついたところで無駄だ。サーナイトと言う種族は読心術を使えることで有名だ。
そんなやつに嘘をついたところで結果は変わらない」
「少しは考えて行動した方が、あなたたちの寿命を少しでも延ばすことになるかもよ」
そういうが否や、サーナイトはルカリオを(超能力であろう技を使って)宙吊りにした。
「くっ・・・ふざけるな」
「ふざけてなんかいないわよ。私たちはただ、国際警察に雇われてあなたの抹殺を依頼されたのよ。お願い」
そう言って、サーナイトは右手を軽く挙げた。
「了解!」
そういって、グラエナは赤い火炎のようなものを作り始める。
僕はそれが発射されるより早く、アクアジェットを繰り出した。
「くっ・・またお前か」
今度は逃げるわけにはいかなそうだ。
吹っ飛んだには、吹っ飛んだものの傷は浅いらしい。
「おい、こいつも共犯で良いんだったよな?」
「邪魔するようなら何なりと」
明らかに殺気が目からあふれている。
「フール先に行け」
「えっ・・・どうしt」
最後まで言わせてもらえなかった。
「先に行けと言っているんだ、この道をとにかくまっすぐ。いいな」
静かに、それでいて凄みを利かせた声に、僕は圧されてしまった。
その場から、持ち前のすばやさを活かして立ち去った。
「いいのかしら、私たち相手に単身で挑むなんて」
「こうするしかないんだ、あいつを傷つけないようにするには」
僕が、その場からいなくなって間もなく、はるか後方から風を切る音が聞こえた。
こんなに早く、追いつかれるなんて・・・。
空は、そんな気持ちを無視するかのように青々と輝いている。
-------------------------------------------------------------------------------------
(行ったか・・・)
俺は、フールが言ったのを察知すると同時に、臨戦態勢に入った。
「良く分かったな俺だってことが」
少し見下す調子で言う。
「あなたは国際手配されてるのよ。分からないはずがない
 第一、昔の同期を忘れるはずがない」
そう、こいつらも作られた。
そして俺も。
あの男が、プロジェクトの関係者だったとは知らなかった。
だが、俺があそこにいたことを知らないらしい。
とはいえ、俺は時渡りに失敗し退化した上、記憶のほぼ9割を失ってしまっているのだが。
「お前たちが同期だったのか。だが、俺には勝てない」
俺は姿を消した。
「どこに・・・ぐっ」
「あんたたちは、俺の速さについてこられない」
俺は、どうやら通常の同種族よりすばやさを格段に強化されたらしい。
しかし、相手もさることながら・・・
「ん、なんだ・・・体が・・・重い」
「トリックルームよ。今度こそお願い」
「次は逃がさん!」
俺はものの見事に火炎を食らった。
「終わりだ、俺の火炎を食らって立ち上がれたものは・・・」
「ここに・・・いるぞ」
火炎をもろに急所の部分に食らっていたら、さすがにやばかっただろうが、
そこまで、俺はとろくない。とはいえ、ダメージは結構なものだ。
「まさかね・・・でも、これで終わ・・」
「お前らがな」
本当は、技なしで勝ちたかったのだが、そう言ってられない。
得意技、インファイトを命中させてやった。
変な奇声を上げて二人とも吹っ飛んだが、気絶だろう。
急がなければフールに追いつけなくなる。
歩き出そうとした、が・・・。
足に力が入らない。
どうやら、全身やけどを負っていてどうにも歩けそうにない。
(フール、悪い先に行ってくれ。俺は少し眠ったらすぐ行くから)
俺は、そのまま眠りに落ちた。







目が覚めたら、また殺風景な風景が広がる。
驚いて起き上がろうとするが、どうにも起き上がれない。
全身包帯でぐるぐる巻きにされているのもあったが、俺の上に誰かの頭が乗っている。
横目でちらりとみやるとそいつはそこにいた。
背中を薄紫色で包まれた、希少種。
バクフーンの姿が、そこにあった。
僕は、そこから少し離れた茂みの中に隠れていた。
ルカリオを置いていくなんてこと、僕にできるわけがなかった。
しばらくの間、じっとしていたものの、大きな爆発音のようなものが聞こえて
急に静まり返れば誰だって不審に思うだろう。
恐る恐る、元来た道を走る。
案の定、その場にいた全員が横たわっていた。
ルカリオは全身にやけどを負っていて、ともすれば命にもかかわりそうなものだった。
ルカリオに、必死で呼びかける。
返答は無い。だが息はしている。
でも僕の力じゃ、こんなやけど治すことなんてできない。
「ルカリオ・・・ごめんね」
僕は、ルカリオを視界に入れたまま、目の色は完全に黒に染まっていた。

「君、どうしたの?」
不意に声がかかる。
少し年上ぐらいだと思われるその人は、肩掛けのポーチを重たそうに持ちながらこちらを見ていた。
種族は分からない。
僕は簡単に、事情を説明した。
その話を聞くと、その人は
「ルカリオ君を私の背中に乗せて。今から私の家に向かうから」
そういって、持っていたポーチから長めの縄を取り出した。
僕は言われるがままにして、ルカリオをその人の背に固定した。
「走るよ。ついて来て」
僕は、成すがままにした。
正直言って、このときは何もかもがどうでも良かった。
自分が戦えなかったせいで、ルカリオがこの世を去ろうとしている。
そのことを考えると、胸が鈍器で殴られたように痛むのだった。
ついたのは、森を切り開いた場所にある、町のようなところだった。
町の中心には、少し奇妙な形をした天に届くのではないかというぐらいの大きさの巨木が立っていたが、そんなことは今は考えている余裕が無かった。
町に入って、間もなくその人は、その人の家と思われる場所に入っていった。
僕もそれに習って、中に入る。
すると、もうすでにルカリオの治療が始まっていた。
「さすが私、やけどにも効果あり」
といって、包帯をぐるぐると巻いている。
「あのう、ルカリオは・・・」
「大丈夫、この万能薬があればこの程度の火傷ぐらい」
安堵感で足の力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。
「そんなに心配してたんだ」
「もうだめかと思いましたよ」
誰だって、全身火傷から薬だけで助かるとは思わない。
突然、入ってきたのとは違う方のドアが開く。
「どうしたの、リライト」
リライト、この人の名前だろうか。
「グ・・・ジュカイン、町の外で倒れていたからつれて来たの」
「まだ気にしてるの?グリュックで良いって」
「御免、なんかこっちの方が呼びやすくて」
そう一言、彼に声をかけるとこちらに向き直り嬉しそうな声で話し始めた
「自己紹介まだだったね、私はリライト。種族はバクフーンで、この薬の開発者。ここには滅多に人が来ないから歓迎するよ」
続いて、突然入ってきた人。
「僕の名前は、グリュック。種族はジュカインで、リライトの旦那です」
少々照れくさそうに、俯いて瞬きをしている。
リライトさんとグリュックさんにまず御礼をしなければ。
と思って、言い出そうとすると。
「それじゃ、私はこの子をベッドに連れて行くから。後よろしく」
そう言って部屋から出て行ってしまった。
「分かりました」
「ありがとうございました。それで、僕の名前はフールって言います」
「しばらくの間だけどよろしく、フールさん」
どうやらこの人たちに助けられたようだ。
夕焼けが、久しぶりに綺麗に見えた。
-------------------------------------------------------------------------------------
あの状態から助かる可能性は、皆無に等しかったはずだ。
となると、このバクフーンが俺を助けたのか?
窓からは、眩しいくらい橙色の光が差し込んでいる。
もう一度体を起こそうとするが、今度は痛みで起き上がれない。
火傷はかなり重症のようだ。
「ふぁぁあ・・・」
おっと、起こしてしまったようだ。
この人は一体・・・。
「あっ、ごめんごめん寝ちゃったみたいだね」
頭の後ろに手をやって、ハハハと笑っている。
「あなたが治療してくださったのでしょうか?」
「そうそう、あの子が泣きに泣いて君の名前呼んでたから」
フールが、俺を?
あの時、行けといった筈なのだが。
一度にことが動きすぎている。
「一週間は、安静にしててね。それじゃないと、万能薬も意味が無いから」
聞いたことのある語句が、耳に飛び込んできた。
「今、万能薬とおっしゃいましたか?」
万能薬「リライト」。
主がテレビで見ていた中に、ポケモンで初の【科学栄誉賞】を受賞したと報道されていた。
そんな人が、何でこんな深い森の中にいるのだろうか。
「あなたは、リライトさんですよね。どうしてこんなところにいるんですか?」
テレビで報道されるくらいの人が、こんなところにいることが俺には解せなかった。
「ここに来るまでに、何か気付かなかった?」
気付いたこと・・・。
それは、ここ一帯が冬も近いというのにいまだ落葉の兆しを見せないことだ。
「ここ一帯は、昔時渡りの力を持つというセレビィが、その力を使った場所なの」
時渡り・・・。
余り好きな響きではない。
「そして、時の力を利用してここを、一生雪が降らない土地にしてくれたって言われているよ。
それだから、一年中薬の元になる薬草が取れるって訳」
そのせいか、通ってきた道が葉一つ落ちていなかったのは。
「もう一つ理由はあるけど・・・」
口ごもってしまった。
夕日のせいかと思えるぐらい、ほんの少し顔が紅潮している。
「いいか、話しても。つい、半年ほど前ここに来て一匹のジュカインと会ったの。そして、
 その人にまぁ俗に言う一目惚れしちゃって。で、ここにその彼と一緒に住んでいるの」
一目惚れか・・・。
俺も、幼いころフールに一目惚れしちゃったんだよな。
不意に、こちらを見ている視線に気付く。
リライトさんが、じっとこちらの方を見ている。
「あなた、好きな子いるでしょ」
今考えていたことを、ほぼ正確に言い当てられてしまった。
驚くやら、恥ずかしいやらでつい口走ってしまった。
「俺は、フールのことは少しも気にしていません!」
「へぇ~、フールちゃんか」
しまった、名前までは言及していなかったのに、と思ったところでもう遅い。
顔が熱い。
ここまで恥ずかしい思いをしたのは、かなずちだと知られたとき以来だった。
しかし、リライトにはからかう様子は無く、微かに笑みを浮かべている。
「素直にならなきゃ、振り向いてくれないよ。女の子はそういうもんだもん」
「中々難しいんですよ」
俺も、手を頭の後ろにやって笑った。
何で笑ったのだろう?。
自分でもよく分からない。
「ん?あなたそれは・・・」
手首につけられた金色の腕輪。
リライトはそれを手にとって驚いた顔で見ていた。
--------------------------------------------------------------------------------------
「グリュックさんって、どうやってリライトさんと知り合ったんですか」
僕は、今グリュックさんの部屋にいる。
ルカリオ同様、非常に整った部屋だ。
「彼女とは、この土地で知り合ったんだ。僕はある種の呪縛みたいなものに囚われていたんだけど、彼女が僕を救い出してくれた。僕は彼女の強さに惚れっちゃってさ、彼女と一緒になろうって思ったんだ」
照れくさそうに笑いながら、それでも幸せそうに笑っていた。
グリュックさんは、おもむろに一冊の雑誌を手に取った。
そして、数ページめくって僕に見せてくれた
「ここ、見てみて」
僕は、手にとってそれを見た。
そこには、グリュックさんとリライトさんの写真が載っていた。
「これは、リライトと僕が発見した新しい新種の木の実の記事でね
 その木の実は『カームの実』まだ人間たちの方には出回ってないと思うけど、この木の実は発熱を促す作用があって、ここに住む子供が低体温症で苦しんでいたからこの木の実を作ったんだ」
はじめてみる木の実だった、あるのだったらぜひ一口いただきたいところだけど。
「でもこの木の実には欠点があって、この木の実自体は味には問題ないんだけど・・・」
そこで、口を閉ざしてしまった。
そんなことすると、続きが気になる衝動が抑えきれなくなってしまう。
「教えてくださいよ」
「教えてあげても良いけど、この木の実だけはあげれないよ」
少々落胆気味の気分を、無理やり持ち直させた。
「実はこの木の実、少しだけ・・・媚薬の効果があるんだ」
「ビヤク?なんですかそれ」
「惚れ薬といわれてるものでね、使い方を間違えると・・・」
「死んじゃうんですか?」
「いやいや、死んじゃうことはまず無いけど、興奮作用もあるから・・・この先はあまり知らない方が良いかも」
ここは、その作用とやらを試してみようではないか。
「一口だけで良いんで下さい!」
「だめだめ!そんなことしたらリライトに怒られちゃうよ・・・」
その後、説得に成功し食べれることになった。
意外に押しに弱いなこの人。
「どうなっても僕は知らないからね」
そう言って、丸々一個くれた。
色は空色で、皮は押しつぶせるかと思うくらい柔らかい。
一口かじってみた。
甘酸っぱくて、僕の好きな味だった。
すると間もなく効果が現れた。
「グリュック・・・さん。体が熱い・・・んですけど」
グリュックさんは、深く溜息をついてそそくさとその場を出て行ってしまった。
「はぁ、リライトになんて言い訳しようか・・・。」
------------------------------------------------------------------------------------------
(はしがき)

------------------------------------------------------------------------------------------
#pcomment(懐かしきあの音を求めてのコメログ,10,below);


トップページ   編集 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.