ポケモン小説wiki
恩返しはどちらからでも の変更点


おはようございます、またはこんにちわ、もしくはこんばんわ。
このお話は作者が思いつきと勢いだけで考え、執筆したものですので、作品の出来には期待しないでください。
それと官能描写、そしてCPは人×♀ポケとなる予定ですので、苦手な方はブラウザバックしましょう。
それでも良いという心の広い御方だけ、この作品を読んでくださりませ。それでは長い前置き失礼いたしました。

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 いきなりではあるが、ここ最近で自分の暮らしている場所。いや、国は急激に暑くなったと思う。ついこの前なんか寒い寒いなどと言いながらコタツの温かさに感謝しつつ年を越したと思っていたのに、今では既に一年の半分も月日が流れ、冷たいものが美味しい季節「夏」になってしまっていた。夏といえばスイカやメロンなどの果物が美味しい。夏といえば花火。夏といえば海。夏といえば……などなど、例を挙げていってしまえばキリがないのである。
 だが、世間一般が夏の季節をどれだけ満喫しているからといって、自分自身が何かをすると言えばそんなことはない。自分みたいなしがない大学生の暇人は、借りている家の部屋のベッドでただ暇という暇を満喫するしかないわけだ。バイトで稼いだお金をあまり無駄遣いしたくはないし、何よりも自分にはこの場所に一人暮らししてからというものの、友人という友人があまりいない。大学で友達を作らなかったわけでもないし、別にその存在が何か疎ましいとかいうわけでもない。ただ、大学の夏休みになってから作った友人がことごとく帰省するだのなんだので、この近くにはいないというだけ。言い訳臭いけど、紛れもない真実だ。
 別に寂しくなんかない。暇を持て余すのも、それはそれで幸せなことだと思う。家で飯作って、バイトして、帰って飯作って、シャワー入って、ベッドで寝る。このローテーションをただ繰り返すだけの簡単なお仕事です。働いてる分だけニートじゃないからマシだ。
 世間一般ならこの世界にいるポケモンなんかと一緒に遊んだり、バトルなりなんなりして過ごすのだろうが、生憎俺にはそんな仲のいいポケモンなどいるはずもなく、ましてやモンスターボールさえ掴んだことがない。友人にも大層驚かれたものだけど、これはこれで意外と普通の人間の生活と何ら変わりはないから、生きてきた数十年間の不便はまったく感じなかった。周りからは微妙な目で見られやすかったけど。
 あ、ちょっと一つだけ修正するわ。実はこの夏休みに入ってから俺にも望まずしてポケモンが手に入った、と言えるのかは分からないが、家に出入りするようになった。少しだけその経緯を話すとする。
 ある時のバイトの帰り道のこと。時間の延長を喰らって帰りが遅くなったから、色々と近道しながら帰ってたんだ。いつもはゆっくりと明るい街の方を歩きながら帰るんだけれども、今回に限っては街から近い公園の中を通りながら帰っていた。昼とかなら子供とかカップルとかが沢山いる賑わいのある公園なのだけれど、さすがに時間のせいか、薄暗い街灯の明かりだけがついてる薄気味悪い公園へと変貌していた。人の気配もほとんどしなかったんで、ちょっと急ぎ足で公園を出ようとしていたその時だった。
 不意に草むらのほうがガサガサと動くもんだから、驚いた俺は思わず尻から転んでしまった。それで、まぁ普通ならそこで何かいるのかと気になって見てみる人はいる。だが俺はやらずにそそくさと体勢を立て直して、急いで帰ろうとした…が、そうは問屋がおろさなかった。足を掴まれては頭から転ぶしかないでしょうに。顔面を地面に強打し、鼻を擦りむいた痛みに耐えながら、自身の足を掴んでいる何かに目をやる。で、そこには本来なら綺麗な純白と紫色の綺麗なラインが映えるような毛並みであろうポケモンらしき何かが街灯に照らされ、ボロボロな姿でこちらを見ていたわけで。いかにも私を助けて欲しい的な目で必死にこちらを見ていたわけで。そんな目で見られたんじゃあ、非道な人間でもない限り見捨てるなんてことは出来ない、ということから背中に担いでポケモンセンターへ行くことになった。道中、意外と重くて何回か腰やらなんやらがバイトの疲れと重なって、激痛に変わったもんだから、自分が治療されたい気分になったのは言うまでもない。現に顔にも怪我してたし。
 それで、やっとのことで連れてきたら次の問題。なんとそのポケモン、前のトレーナーから逃げ出した可能性のあるポケモンらしくて、決められたボールに入っていないとすぐには良くならないのだと。それでいて、もしかしたら虐待を受けていたポケモンの可能性もあるらしくて、どうにも色々と問題が山積みになっているとかなんとか。そんなこと聞かされたところで、部外者の俺が何か出来るはずも無く、とりあえずは一旦家に帰らせてもらった。
 帰ったところで何かするわけでもないのだけれど、テレビを付けて一先ずは一息付いてみる。運の悪いことにたまたま付けたチャンネルの内容がポケモンへの虐待についての論議だった。テレビの中の議論者たちがあーだこーだ言っている内容が何だか俺に突きつけているような、そんな気がして。

「ポケモンへの虐待をしている人を見つけた場合は……」
「または虐待されて傷ついたポケモンを見つけた場合は……」
「やはり、誰かが助けるべきであって……」

………分かったよ。行けばいいんだろ、行けば。

半ば不貞腐れながらも俺は再度家を出て、途中のフレンドリイショップで傷薬系の物と木の実系の物を買っていく。そして全く縁のなかったはずのポケモンセンターへ一日の間に二回も行くことになってしまった。ジョーイさんには驚かれていたが、すぐに先程のポケモンのところへ案内された。
 話によれば、ジョーイさんが何かしようとしても反抗してくるらしく、近づける状態じゃないらしかった。実際のところ、徐々に弱っているのは確かなのだけれど、こうも暴れられては治療の施しようがないとかなんとか。それで、困っていたところを調度俺がやってきて、助けた俺になら何とか出来るかもと思っての案内だそうだ。なんともよく出来たお話だこと。まるで誰かが作ったかのようだ。
 頭の中でボヤきながらも、集中治療室という部屋に案内された俺は自動ドアが開いた瞬間、目を疑った。さっき公園では見えなかった傷が明るい部屋の中ではっきりと見えたからだ。明らかに事故なんかでついた傷などではなく、意図的に、故意に誰かが傷を付けてなぶりまくったような痕がそのポケモンの体にはいくつもついていた。一部は血が滲み出ていて、見ているだけで痛々しい。元は白かったであろう毛も、赤色に淀み、薄汚れてしまっていた。やむを得ず付けている拘束具が、さらにそのポケモンの傷跡を目立たせているようにさえ見えるほどに。
 少しだけたじろぐ俺の横でジョーイさんが言った。
「何とか出来そうかな? 無理であれば私たちで何とか頑張ってみますから…」
 これが俺と同じ人間のやったものであるなら、誰かがそれを癒してあげなければならない。
「…いえ、やってみます。やらせて、ください」
 このポケモンに与えられた苦痛を俺なんかで癒せられるかもしれないのであれば。
 そう思いながら、ゆっくりとそのポケモンに近づいていく。こちらに近づいてくるなと言わんばかりに睨みをきかせているポケモンに。それなのに俺自身はというと、助けてやった相手にまでその態度かよ、などと考えられるほど頭の中は意外と冷静で、落ち着いていた。
 作戦、というと変だが、買ってきた薬や木の実系を手に持って目の前でチラつかせてみる。
「ほら、傷薬。お前、誰かのポケモンなんだろ? ここじゃあどうしようもないから俺がわざわざ買ってきてやったんだ。これ使えばすぐに良くなるぞ?」
「ウゥー………」
「薬は嫌か? じゃあ木の実とかどうよ。回復量みたいなのは薬よりはないが、傷口にはあまり沁みずに回復するかもしれないぞ」
「ゥ………」
「あ、そっか。拘束具取らなきゃ食えないよな。そんじゃ、ま」
 話すうちに微妙に抵抗しなくなった感じなので、ジョーイさんの許しも得ずに勝手に口の拘束具をとった。で、顔だけでも襲ってくるかとおもいきや、こちらの方も意外に何もしてこなかった。ただ、この人間は天然、もしくは真のバカなのかと思っているような顔で見られているような気がした。被害妄想にも程がある。それでも、さっきの一件のことは一応覚えてくれてたみたいだから、少しは信用されてるんじゃないかと勝手に思うことにした。そして先ほど出した木の実の一部を少し割ってポケモンの前に出してみる。先程から言葉は通じるのかどうか分からないが、とりあえずもう一度話しかけてみることにした。
「ほれ、木の実食うか?」
「……」
 うなづいてるのか、うなづいていないのか分からんが、首は縦に揺れたような気がしたから試しに口の中に木の実を放る。すると、口を開けて上手く食べてくれた。何かちょっと嬉しかったのは気のせいだろうか。
「よしよし、少しでもいいから食べて早く良くなれよな」
「………」
 それからしばらくは無言のまま、コミュニケーションをとっていき、次第にポケモンの回復が進んだのか、傷がふさがり始めているのが分かった。人間との違いがはっきりでてきた決定的な場面を初めて目の当たりにした俺は、その回復力に驚きながらもおかげでようやく安心することができた。
 ジョーイさんにも、とりあえずはこれで安心と言ってもらえたので一先ず俺はその日はポケモンセンターで休ませてもらうことにした。
 ポケモンセンターでの夜というのは思った以上に怖かったのを今でも忘れない。必要最低限の明かり以外何もついておらず、正に夜中の病院そのものだった。あ、そういえばポケモンからしてみたら、ここも病院みたいなものか。明かりといったら非常口の目に良い緑色の明かりぐらいのものだったかな。
 俺はとりあえずはそこらへんに置いてあるソファの上でジョーイさんから借りた毛布を羽織り、寝ることにした。正直、夏場だからそれを羽織るだけでも暑いぐらいだったけど。まぁ、色々あったけれど、しがない大学生の変わった一日にもここでようやく終わりの時が来たのである。
 とりあえずの問題は解決したわけで、俺のお役目も御免かと思うと、バイトの疲れがどっと出てきてすぐに寝付けた。だがその翌日、変わった一日の次の日にまた問題が生じたのである。
「は? いなくなったんですか?」
「そうなんですよ。傷もあなたのおかげですっかり癒えてたから、拘束具を解いてあげて、部屋に入れておいたのだけれど…」
「今、様子を見に行ってみたら部屋の窓から逃げ出していた、と…」
 ジョーイさんが心配そうな顔をしたままこくりとうなづいた。お礼の言葉も無しかよ。あ、元々ポケモンは人語は話せないから、意味ないか。
「心配です。また、昨日みたいな傷をトレーナーにつけられたりでもしたら…」
「いや、あれだけの傷をつけられてまた元の場所に帰ることはしないんじゃないですか?
「それもそうかもしれないけれど元々はあんなに大怪我をしていたのだから…。申し訳ないのだけれど、どこかで見つけるようなことがあったら、またここに連れてきてもらえないかしら?」
「はぁ…。俺の言うことなんか聞きますかね? 俺、ポケモン持ったことないから扱い方もよく分からないし…」
 頭をぽりぽりと掻いてジョーイさんに言ってみる。するとジョーイさんはいかにも自信気に言った。
「大丈夫よ。昨日のあのやりとりからするに嫌われてはいないから。ポケモンを持ったことがない人にしては凄いことよ」
「う~ん。褒められてるんですかね、それ」
 もちろん、と言いながらニッコリと笑顔を見せるジョーイさん。その笑顔を見ると自然とそうかもしれないと思いたくなるのはジョーイさん特有のオーラから来るものなのだろうか。大半の納得と、微妙に納得できない部分を残したまま俺はポケモンセンターを後にした。とりあえず、疲れがあまり取れずに体の癒えてない俺自身のために家に帰ることにしよう。逃げたアイツは見つけたら見つけたでいいや。そんな風に頭の中で思いながら、俺は帰路につく。後ろからつけてくる何者かにまったく気づかずに。
 ポケモンセンターから歩いて20~30分弱といったところでようやく家の前まで帰ってこれた。早めに取り出しておいた鍵をドアの鍵穴に差し込み、鼻歌混じりで家の中に入る。
「はぁ、やっぱり家はいいねぇ…。心が落ち着くわぁ」
 貸家だけどな。安い家賃に惹かれて住むことを決めた弱冠ボロ目のアパートだけどな。でも風呂もトイレも部屋にちゃんとついてるからわりかし気に入ってる。一人暮らしの大学性にはちょうどいいぐらいの優良物件だよ。って何を説明しているんだか俺は。
「とりあえずシャワーに入って着替えてから寝るとするか。服も丸一日着てたから汗臭くいし」
 部屋の窓を換気がてら開けてから、一人で入るにはちょうど良い大きさの風呂場へと入る。シャワーの冷水をしばらく浴びながら汗を流し、綺麗さっぱりしてから風呂場を出ようとした。そして目の前に白いタオルが差し出される。
「はい、タオルをお持ちしました」
「ん、ありがと」
「いいえ、これぐらい当然のことです」
 水で濡れていたせいで目を開けられずにそのまま手渡しで白いタオルを受け取る。そして受け取ったそれで髪についた水分を拭き取っていく。そこから体についている水滴も拭いていきながら全体を乾かしていった。ふぅ、助かった。
 ……あれ、この部屋って俺以外に誰か住んでたっけ。
 俺はポケモンも飼っていないし、仲の良い奴はみんな帰省でいないはず。じゃあ、今俺にこのタオルを渡してくれた奴は一体誰だ。そう思い、その状況を理解したところで途端に怖くなった俺は、恐る恐る目を開ける。そこにいたのは紛れも無く俺が昨日助け、今朝行方不明になったポケモンだった。そして、後々知ったことではあるが、このポケモンの名前はコジョンドというらしかった。

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一旦御休みなさい…
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IP:125.13.214.91 TIME:"2012-08-09 (木) 17:59:18" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E6%81%A9%E8%BF%94%E3%81%97%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%A1%E3%82%89%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A7%E3%82%82" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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