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強い心と優しい心 の変更点


作者→[[kzt]]

ポケモン学校シリーズ四作目。新キャラのフタチマル(♀)が登場します。主人公は今まで通りミジュマルですが、話の主役はフタチマルです。なお、官能表現はありませんが、ごく一部&color(red){グロ表現};を混ぜています。御注意を。

**優しい心 [#cdacfd39]
ある日の学校での昼休み、僕は何時も通りに机に寝そべってボーっとしている。昼の時間はこうした方が何となく気持ち良い。ホントは中庭に行って日向ぼっこをする方がもっと気持ち良いんだけどね、今は曇ってて太陽が出てない…。

別に誰とも話をするような事も無いし…。かと言って何かをするような気力も無い。唯今はこうしてリラックスしておきたい。

「ん…、トイレ…」

急に尿意が込み上げてきた僕は重い身体を起してトイレに向かう。まあ、漏らしても困るし…。

教室を出ると、女の子達が何かの話をしている。そんな女の子を尻目にして、廊下の角を曲がろうとしたその時だった。

ドンッ!

「うわっ」

誰かとぶつかったようだ。反動で僕は尻餅をつく。

「ごめん…、大丈夫…?」

目を開けると、さっき僕とぶつかったポケモンが手を差し伸べてくれた。多分一つ上の学年の生徒のようだ。

「あ…、こっちこそごめんなさい」

手を掴んで身体を起した。

「気を付けてね……」

そう言い残してその場を立ち去った。しかしその後ろ姿は、何処と無く僕と似ている様な……?でも違う…。

おっと、そういえばトイレに行くんだった。

慌てて男子トイレに駆け込む。そこで用を足し、教室に戻った。それから暫く経って予鈴が鳴り、その後の午後の授業は適当に過ごしていた。

放課後になって、皆が各々部活動の準備を始めたり、帰宅する用意をしたりしている。

「ふぁーっ、やっと終わったぜー!」

隣でヒトカゲが大きな欠伸をして両手を挙げ、身体を伸ばしていた。

「ヒトカゲ、一緒に帰る?」

僕はヒトカゲを誘った。

「いや、悪いな、俺は今日用事があって急いで帰るんだ」

忙しいらしく、僕とは帰れないようだ。仕方無いのでツタージャを誘おうか…。

「じゃあな」

「うん、ばいばい」

教室を飛び出して行くヒトカゲに手を振った。辺りを見回してツタージャを探す。

「ツタージャ、一緒に帰ろうよ」

「別にいいよ。でも、あたし図書室に本を返しに行くから、校門近くで待ってて」

彼女からそう言われたので、先に校門で待っていようか。

――という訳で、此処まで来た。しかし、彼女が借りていた本とは一体なんだろうか?何なのかを考えて待っていると、すぐそこの隣で昼休みの時に僕とぶつかったあのポケモンが歩いているのを発見した。ちょっと手を振ってみよう。

手を少し大きく振ると、案の定こっちに気付いたらしく、走ってきた。

「アンタは…、確か昼休みの時に…」

「はい、あの時はごめんなさい」

僕は頭を下げ、改めて謝った。

「もういいってば。それより…、アタシに何か用なの?」

「“アタシ”って事は…、お…女の子……?」

見た目が少し男っぽい貫禄があったから、思わず吃驚してしまった。

「失礼だなあ…。まあアタシってちょっと地味だからね。ハハハ」

笑った時の笑顔は素敵だと思った。正直勿体無いぐらいだ。

「アタシはフタチマル」

“フタチマル”の種族はミジュマルである僕の進化形に相当する、ってお父さんから聞いた事がある。

「フタチマルさんって何だか格好良く見えますね」

つい心で想った事を口に出してしまった。

「そんな事無いってば…。アタシは自分の事が嫌いなんだ…」

「えぇ…、どうしてですか…?」

僕の中で次々に疑問が浮かび上がる。恐らく幾ら時間が有っても足らないだろう…。

「実はアタシ家族がいないんだ……、両親は数年前に殺されちゃってさ…。殺したヤツに対して怒りと憎しみが沸いてきて……、それで――目の前が真っ赤になって……。それから性格がガラッと変わっちゃって不良グループに入ったりもしたんだ。今はもう辞めてるんだけどね」

「そんな事があったんですね……。辛い過去を思い出させてしまってホントにごめんなさい」

僕は再び彼女に頭を下げた。でもフタチマルはもう悲しい顔をするのを止めて、僕の頭を撫でた。元不良だったのが信じられない程優しかった。

「良いんだ、それにアンタと話せて少しスッキリしたよ…。アンタには…ちゃんと家族はいるんでしょ?」

「お父さんはいるけど、お母さんはもう死んじゃってて…。それに僕は一人っ子だから、お父さんと二人暮らしなんです」

「…そっか、アンタもそれなりに苦労してるんだね」

フタチマルと話をしていたら、不意に背中をポンッと軽く叩かれた。

「ミジュマルー、お待たせーっ!早く帰ろ!」

「ツタージャ…!」

どうやら本の返却が終わったようだ。

「ん?彼女さん?」

「…ミジュマル、そのポケモンだあれ?」

ツタージャは眉を顰めた。

「フタチマルさんだよ。優しいポケモンだから心配しないで」

「優しいだなんて、アンタに比べたらアタシなんてまだまだだよ…。ねえ、時々で良いから…またアタシと話をしてね…。それじゃあね!」

そう言って彼女は走って去って行った。後ろ姿はやはり僕の進化した姿だけあって、良く似ている…。

「行こう、ツタージャ」

「うん」

僕とツタージャは校門を出て、雑談を繰り返しながら一緒に帰った。


その日の夜、僕は中々寝付けなくてベッドの中でモゾモゾしていた。あのフタチマルに何となく憧れを抱き始めたのだった。何ていうか――とても格好良い。大人のお姉さんの雰囲気が出ていて、しっかりしてそうだった。

あの時にも同じように感じたが、とても優しいけど元不良なのが信じられない…。それでも彼女は「アンタに比べたらアタシなんてまだまだ」と言っていた。もう一度会って話がしたいなあ…。

モヤモヤした気持ちが治まらないまま、僕は布団を被った。


そして次の日、目覚めはスッキリしなかった。相変わらず頭の中はフタチマルの事で一杯だ。僕ってどうしてよく頭の中が他のポケモンの事で一杯になるのだろう?確かツタージャと初めて会った時もこんな気持ちだった。

顔を洗って朝ご飯を食べ、家を出た。登校中にヒトカゲに会った。

「おっす!ミジュマル!」

「おはよう…」

「んん?元気無いな、お前」

そりゃそうだ。何せ、今の僕はフタチマルの事で頭が埋め尽くされてる状態なのだから…。

コレってもしかして「恋」?いやいや…、そんな訳無い。それに僕には将来を約束したツタージャがいるのだから、ますます「浮気」なんてしていられない。もし浮気になってしまったら、ツタージャはどんなに嘆き悲しむことやら…。想像しただけでも胸が痛くなってしまう…。

「お前って、高校生になってから変わったよな」

確かにそうなのかもしれない。色々な出来事があったり、初めて彼女ができたり…。今のこの状態では明確に思い出せないけど何となく分かる気がする。僕は変な想像を振り払って、学校に向かった。

やはり、授業は集中して聞いていられなかった。何時かの僕みたいに頬杖を付いて、教科書とノートは開けていても唯そのページをジッと睨みつけてるだけ……ハァ…。

(成績、下がらなきゃいいけど……)

そして昼休みになった。何時もなら、また中庭に出て日向ぼっこするのだが、今日の僕は違った。フタチマルに会いたい気持ちを胸に締まって、彼女を探す為に校内を駆け回る。あっちへ行ったりこっちへ行ったり…、三年の学年をウロウロして、ようやく見つけた…!

「フタチマルさん!」

僕は廊下を歩いていた彼女を呼びかけた。その声に反応し、フタチマルは振り返る。

「ああっ、昨日の!」

お互いに腕を広げ、駆け寄る。まるで数年ぶりに再会した恋人同士のような感じに…。彼女は僕を抱き上げてくれた。

「フタチマルさん!僕、もう一度話がしたかったんです!」

「アタシもだよ、アンタに会えて嬉しいよ!」

嗚呼…、ツタージャがコレを見たらどんな反応を見せるだろうか…、不安で仕方無い。

「あっちで話そうか」

「うん」

フタチマルに連れられて中庭に出た。この学校の中庭はとても広くて、良く生徒達でバトルしたりしている者も良く見かける。僕達は日当たりの良い所に腰を掛けた。足元の芝生がフカフカして気持ち良い。

「アンタとまた会えるなんてね…」

「エヘヘ…」

ちょっと照れ顔を作って笑ってみせた。

「昨夜思っていたんですけど僕、フタチマルさんみたいに強くなりたいんです」

「…アタシみたいに…?」

きょとんとした顔付きで彼女は言った。

「唯ケンカに強いとかじゃなくて…、何て言うか…その…、心を強くしたいんです!」

「心を…強くか…」

腕を組んで下を向く。少し難しい事を言ってしまっただろうか…。再び顔を上げて口を開けた。

「アタシは…、アンタみたいにもっと優しいポケモンになりたいよ…。過去の自分なんて綺麗サッパリ捨てちゃってさ」

という事はお互いがお互いの心を尊重し合っているようなものだろうか?

「そういえばアンタ昨日言ってたけど、父親しかいないんだっけ?」

「うん…、お母さんは僕が生まれる前に死んじゃったんだ…」

「それじゃあ、アンタの父親はアンタを男手一つで育てたって事か…。エライな」

言われてみれば確かに。お父さんはたった一匹の力で僕を育てたんだよね…。改めて言われると凄いや。

「アンタの優しさはアンタの父親から受け継いだに違い無いハズ…!お父さん、優しいんでしょ?」

「うん、優しくてカッコイイよ!」

それを聞いたフタチマルはまた再び腕を組み始めた。一体何を考えてるんだろう…?

「よし…!アンタのお父さんに会わせて欲しい!会って話がしたいんだ!」

突然のお願い。お父さんと会って優しさを学ぶつもりなのだろうか?

「う~ん……、何時だったら良いかな…」

頭を捻って考える。こっちもこっちで色々あるものだからタイミングを合わせるのが困難だ。

「アタシは何時でも良いよ」

「今日…は…、大丈夫かもしれない…」

「そう?それじゃあ行っても良いよね?」

今日はお父さんは何時もよりも早く帰って来る事を思い出した。早めに僕も帰ればきっと少しぐらいの話は出来る筈…。


「ただいま」

そんなこんなで学校も終わり、家まで帰ってきた。勿論彼女も連れて。家の扉を開けると、やはり思った通りにお父さんは既に帰ってきていた。

「おお、ミジュマル、おかえり。…ん?お客か?」

お父さんはフタチマルを見て言った。

「こっちはフタチマルさんだよ、僕と最近友達になったばかりなんだ」

「ふむ、そうか…。まあ、上がりなさい」

僕は鞄を下ろしてテーブルにお父さんと向き合うような感じで座り、隣には彼女が座った。

「突然だけどお父さん、フタチマルさんがお父さんと話がしたいみたいなんだ」

「話…?一体何だ?」

きょとんとした顔付きで僕とフタチマルの顔を交互に見る。

「初めまして…、ア…アタシはフタチマルって言います…!この子とはよく話をしています。ミジュマルは――優しくてとっても良い子です…!そこで思ったんですけど…、アタシはもっと優しいポケモンになりたいんです!この子の親である貴方に是非一度会って話がしたかったんです。お願いします…!アタシに『優しさ』と言うものを教えて欲しいんです!」

彼女は緊張感のある声色で頭を下げ、必死にお父さんにお願いをした。……しかし、一方お父さんは最後まで黙って話を聞いていたが、暫くは言葉を発しようとしなかった。

「………むぅ…。君は難しい事を聞いてくるものだな…」

渋く、それでいて声にならないほどの小さな声で唸った。

「『優しさ』……か…。確かにミジュマルは優しくて純粋な俺の自慢の息子だ…。しかしだな…、『優しさ』とは他のポケモンから教わるような物じゃ無い。自分の人生経験の中で見つける物だ。自力で見つけ出したり考えるからこそ価値がある物なんだ…。そうだな…『優しさ』は唯他人に対して優しくすりゃ良いってもんじゃ無い。相手の気持ちを素直に受け止め、時には厳しくして見捨てたりもするし、時には相手の事を心配してやって慰めてやるのも『優しさ』だ。その時その時で、自分は今何をすれば相手の為になるのか……、それを良く考えて接する事が『優しさ』なのかもしれないと俺は思う」

お父さんの言葉に僕は息を呑んだ。今の僕には到底理解も出来ないだろうし、一生掛けても理解出来ないかもしれない。多分『強さ』もこれに似ているのだろうか?

やはりフタチマルもポカーンとしていた。

「……んん…、難しいなあ…」

彼女は右手で口元を押さえ、額からは汗を流している。

「ハッハッハ、まあ俺も少し真剣になり過ぎたみたいだな…!時間は沢山あるから、よーく考えなさい。自ずと答えは出る筈だ」

先程とは打って変わって薄く笑みを浮かべ笑った。

「茶でも出そう」

席を外してお茶を入れに台所へ向かうお父さんを尻目にし、僕もフタチマルと一緒に頭を抱えていた。

「ミジュマル、アンタ分かった?」

「僕も…よく分からないや……」

彼女は大きく溜め息をついた。

お父さんが台所から戻ってきて、フタチマルにお茶を差し出した。

「あんまり考えすぎると、頭がまいってしまうぞ?」

困り果てたフタチマルにお父さんは笑い掛ける。彼女は目の前に差し出された玉露の湯飲みを持ち上げ、一口飲んだ。苦味が強く、渋い味がする。しかし、彼女の味覚にとっては程好い苦味だ。

「それより、君の両親は心配してるんじゃないのか?もう暗くなる頃だぞ」

「いえ、アタシには心配してくれる両親なんていませんから……」

苦悶の表情で小さく呟いた。

「親はいないのか…?俺も…物心が付いた時は親がいなかった…。恐らく俺は育児放棄された身なんだろう」

「アタシの両親は…、数年前に殺されたんです…」

それを聞いたお父さんの眼差しは真剣になり、フタチマルに歩み寄って両腕で優しく包んだ。

「辛かったんだろう…、君の両親は何の罪も無いのにな…」

「もう…平気です、ありがとうございます」

彼女は目に沢山の涙を浮かべてお父さんと抱き合った。

「今晩は泊まっていきなさい。暗い夜道を女の子一匹で歩いていると襲われるぞ?」

お父さんは彼女の頭を撫でていた。

「ぐすっ……いえ…、アタシはケンカには慣れてますから…」

「喧嘩に慣れているとか慣れていないとかじゃ無い…、世の中にはもっと恐ろしい奴等がウロウロしてるんだぞ…?そんな奴に襲い掛かられたら間違い無く殺されるのがオチだ」

「…分かりました……、では今夜はお泊りさせてもらいますね」

彼女のか細い声が辺りに広がった。

「部屋は二階にある一番奥の部屋を使うが良い」

「ありがとうございます」

彼女は家に泊まる事になり、夕食も御馳走してもらった。僕はツタージャが初めて遊びに来た時の事を思い出し、あの時はとても楽しかったと感じた。

そして夜更けになった頃、僕は既に布団の中で寝ていたが、隣の部屋から何か物音が聞こえてきた。ちょっとは気になるけど一体何の音だろう?

暫く耳を澄ましているとその音は段々と近づいて来る。どうやら、フタチマルの足音のようだ。足音が僕の部屋の前に来ると静まった。不思議に思っていたら、ドアノブが回って静かに扉が開かれた。留め金の錆びた音と共に開いた扉の先にいたのは、やはり彼女だ。僕は慌てて瞳を閉じて寝た素振りをし、誤魔化す。

フタチマルが忍び足で此方に寄って来て、僕の肩をゆっくりとタップした。飽くまで僕は寝た振りを続けようとしたが、また再び肩をタップされる。起きて欲しいんだろう…。已むを得ず目を開けて身体を起した。

「なぁに?フタチマルさん…」

「起しちゃってごめん…」

呼ばれた彼女はベッドに腰を掛けた。身体が窓から見える月の光で照らされる。

「アタシ、此処に居候させて欲しんだ…。もっと『優しさ』について知りたいし、アンタの事だってそうだ…。それにアタシはアンタが好きになったの…、ミジュマルが好き…」

僕は身体を這いずってフタチマルの隣に座る。彼女と同じように月光に当たった。

「僕だってその気持ちは変わらないよ…?フタチマルさんと一緒に居たい。『強さ』をまだ教わって無いしね」

「そうだったね…、悪いけどそれはまた今度にして。今は『優しさ』を考える事に集中したいからさ…」

夜空の上弦の月を見ながら彼女は続ける。

「変な話に付き合わせちゃってごめんね…。それじゃあ、おやすみ」

そう言ってフタチマルは部屋から出て行こうとしたが、僕は後ろから抱き付いてそれを止めた。

「待って…!」

「…ミジュマル?」

フタチマルがそっと振り向く。

「行っちゃ嫌だ…、一緒に寝て…」

何故か自分でも分からないのに涙が出てしまう…、どうしてだろう。彼女は屈んで僕と目を合わせる。

「ミジュマルは甘えん坊だなあ。良いよ、一緒に寝てあげる」

フタチマルは僕をお姫様抱っこしてベッドに向かった。ちょっと恥ずかしい…。子供扱いは相変わらず苦手だけど、お強請りしたのは僕だし仕方無いよね。それに彼女からこんな扱いを受けても嫌じゃない。

彼女が僕を布団に被せたら、彼女自身も布団に潜った。

「ふふっ、ミジュマルが何だか弟みたい」

フタチマルは薄く笑みを浮かべて言う。

「…じゃあフタチマルさんはお姉さんだね」

「ハハハ…!」

声を揃えて笑い合い、眠りについた。


**強い心 [#n3caec8e]
翌日、目を覚ました僕はフタチマルを起して一緒に学校へ登校した。とても気分がすっきりしていたから授業も集中して受けられた。やっぱり原因はモヤモヤしていた気持だったのか…。

しかし、昼休みの時に事件が起こる…。

僕とフタチマルは中庭で話しをしていた。特に用も無い場合は、こうして中庭で彼女と話をする事が日常茶飯事となってきていた。

「多分きっとお父さんなら分かってくれるよ」

「そっか、流石ミジュマルのお父さんは優しかったもんね」

彼女と居候について話をしていた。すると向こう側から何者かに呼び掛けられる。

「フタチマル、久しぶりだな……!」

「…ッ!?」

そのポケモンの姿を見た瞬間、フタチマルの表情は急に冷たくなる。そのポケモンは頭に学生帽を被り、腰の位置まである長い学ランを羽織っていた。腕を組み、顔や胸、腹はクリーム色をした毛皮に包まれている。学生帽の左右には穴が開けられていて、そこから紺色の耳が出ていた。

「バクフーンじゃないか……、何なんだ?アタシに何か用?」

彼女が眼を鋭くしてバクフーンと呼ばれるポケモンに向かって言った。

「急に姿を消したと思っていたら此処にいたのか。探したぜ!」

「勝手に辞めて出て行った事は詫びるよ…」

「チッ…、解せねぇな…」

唾を足元へ吐き、呟く。

「ケッ、俺はお前を気に入っていたのによお、残念だぜ」

「あの時言ったでしょ…?アタシは不良をやってる自分が嫌いになったんだ…。だから辞めた、それだけの事…」

不良と言う事は、このバクフーンは過去にフタチマルと共に不良をやっていたポケモンの一匹なのだろう。

「くだらねぇぜ。今日の午後5時に学校の裏へ来い、お前のその腰抜けた根性を叩き直してやる」

そう言い残し、バクフーンは姿を消した。

「くっ…、そのケンカ買ってやろうじゃんか…!」

フタチマルは握り拳でその場で唯何かを我慢しているように立ち尽くしていた。

「フタチマルさん…」

僕はそんな彼女に何もしてやれなかった。初めて自分が無力だという事を思い知ったのだから…。



そして、約束の時間が刻一刻と近付き始める。フタチマルは人目の付き難い学校の裏へ、足を運ぶ。それに僕も付いて行く。

「ミジュマルも付いて来る必要なんて無いのに…」

「だって…、僕、フタチマルさんの事が心配なんだもん…」

「……ありがとう…。やっぱりミジュマルの優しさには敵わないね」

話している内に学校の裏へと着いた。そこは少し湿っていて、思ったよりも広い。左の奥には、石垣や何に使われるのかも分からない鉄製のコンテナが山積みになっている。右には金網があって、まさに喧嘩をするには持って来いの場所だ。

「約束通り来たな。流石に喧嘩から逃げない程度の度胸は残っていたか…」

壁に退屈そうに凭れていたバクフーンが言った。

「ミジュマル…、アンタは下がってて…。此処は危険だから」

「分かった…。無理しないでね」

「うん」

僕はその場から少し離れて、丁度良い所に在った岩陰に隠れ、顔だけを覗かせた。

「無駄な争いは出来るだけアタシはしたく無い…」

「お前は俺達にとって必要な存在だ、意地でも戻って来て貰うぞ?」

やるしか無いのか……。フタチマルは腰にあるホタチを抜いて、戦闘態勢に入った。それに気付いたバクフーンも、項から炎を燃え上がらせる。

バクフーンの他にもポケモンがいた。彼の隣に鉄骨を片手で持ったドテッコツ、石垣の上に不気味な笑みを浮かべるゴーリキー、コンテナの上には腕を組んだサワムラー、そしてアタシの後ろにいるエビワラーの計五体。明らかに頭数では不利な立場にいるけど、こいつ等とは元は共に行動していた嘗ての仲間だ。喧嘩での動きは大体分かっているし、向こう側もフタチマルの動きは把握されてるはず。

「例え負けたとしても、アタシは戻る積もりなんて無い」

「じゃあどうする――、死ぬか?」

バクフーンは疾風の如く、フタチマルに飛び掛かる。それに続き、周りの格闘ポケモン達も一斉にそれぞれ攻撃を仕掛けた。

フタチマルはバクフーンを水鉄砲で攪乱させ、退いたその隙にドテッコツが振り下ろした鉄骨を右に素早くかわした。

鉄骨は派手な音と共にアスファルトの地面に食い込み、破片が辺りに飛び散る。この攻撃を食らったらまず立ち上がれないだろう。しかし思ったよりも鉄骨は地面に食い込んでいた為、暫く抜き取るのに時間が掛かるはず。

右ストレートを放っていたエビワラーは、フタチマルがさっき右に避けていた事により、当たらず空振りとなる。そこへシェルブレードを叩き込む。その後サワムラーの跳び膝蹴りを前転で掻い潜り、水鉄砲で撃ち落とした。しかし、横からゴーリキーのパンチを喰らってしまう。

後転して体勢を立て直し、血の混じった唾を足元に吐く。再びゴーリキーの放つパンチを真正面で受け止め、シェルブレードを入れようとするが、際どい所でかわされる。水鉄砲を少し違う所へ狙って吐き、フェイントを混ぜる。ゴーリキーの動きを掻き乱したところで、足払いをして転かす。

その場に倒れたゴーリキーの後ろからバクフーンが高熱の炎が飛んで来る。咄嗟に此方も水鉄砲を飛ばしたが、止むを得ず避けようとするも、ギリギリで火炎を浴びてしまう。幸い水タイプの為、大した事は無かったが右腕に火傷を負ってしまった。

立ち上がったゴーリキーが跳び上がって踏み潰そうとして来たが、それを避ける。また水鉄砲でバクフーンを足止めしている間にホタチをしまい込み、着地して此方を振り返ったゴーリキーの首と右腕を掴んで巴投げをした。大きな肉塊は宙を舞い、バクフーンとぶつかる。

「ぐあっ!」

「ッ…!おい、早く離れろ…!」

藻掻いている二体に目掛けてシェルブレードで切り裂いた。

すると、さっき撃ち落されたサワムラーが彼女に襲い掛かろうとする様子を目撃する。

「フタチマルさん、危ない!」

「ッ!?」

僕は思わず声を出す。そして口から湯気の出る水鉄砲を吐いてサワムラーに上手く当てた。

「熱ッ!」

サワムラーはその場で熱さに苦しんでいた。ふと我に返ったフタチマルは冷静にホタチで切り裂く。

「…ミジュマル!」

僕は岩から飛び出して彼女に近寄る。

「大丈夫?」

「うん…、アタシは別に平気。それよりミジュマルって『熱湯』が使えるんだ、洒落た技を使うわね」

「ま、まあね…。それよりもフタチマルさん、やっぱり一匹だとキツイよ。僕も手伝う!」

そう言って自分自身のお腹にあるホタチを取り出した。

「それは危険よ!アンタは下がってて」

「でも…!僕だって役に立ちたい、だから…!」

彼女は数秒間の間考えていたが、何らかの決意を固めたようにふっと息を吐く。

「分かった、――相手は中々手強いから気を付けてね」

「うん!僕頑張る!」

(本当はミジュマルに助けなんて借りたくは無かった。自分の手でバクフーンを倒したかった。自分の一切の過去を断ち切って捨てる為に…。でも此処で迷っている暇なんて無い。今自分が出せる勇気の力を信じて、未知なる敵と戦うこそ『強さ』というもの…。もっと『強さ』をッ!もっと『勇気』を出せッ!)

フタチマルと背中合わせで相手の様子を窺う。エビワラーやゴーリキーが立ち上がって、さっきまで鉄骨を抜いていたドテッコツもやっとの事で抜き出せたようだ。

「行くよミジュマル。アタシはドテッコツを倒すから、アンタはあいつ等を相手して」

「うん!」

彼女はドテッコツに向かって行き、水鉄砲を吐く。だがジャンプして避けられ、ドテッコツは手に持った鉄骨を振り下ろしてきた。素早く後退して鉄骨が再び地面に食い込んだところを狙って、鉄骨の上を走ってドテッコツにホタチを振り翳す。しかし、首根っこを掴まれ投げられた。そこへ鉄骨を振り下ろされる。

エビワラーは俊足でジャブを繰り出した。僕は何とかガードをするが、一発一発受けていてはダメージも溜まってきてしまう。更に後ろからゴーリキーに挟み撃ちにされ、甚振られる。しかし、左足を軸に身体を回転させながらシェルブレードを使って、挟み撃ちを逃れた。

目の前から振り下ろされる鉄骨を左にかわしたものの、ドテッコツは体重を上手く移動させて今度は鉄骨を右に振り回した。流石に防御が間に合わず、攻撃が思い切り胸部に当たってしまった。そのままフタチマルは吹っ飛ばされ、後ろのコンテナに背中をぶつける。

僕は熱湯を吐きだした直後にホタチでゴーリキーの身体を斬った。背後からエビワラーに攻撃されるところを跳んで避け、再び熱湯を繰り出して浴びせる。熱さに苦しんでいる間にホタチで背中を一刀両断した。

力を振り絞って立つフタチマルだが、彼女の胸に激しい痛みが走る。どうやらあばらが一本折れてしまったようだ…。直ぐ目の前で倒れていたバクフーンが目を覚ます。どれだけ今が危ないのかが目に見えている。

「フタチマルさん!」

その様子を見て彼女が危険に晒されていると判断した僕は、フタチマルの前で仁王立ちをして彼女を庇ってやった。そこへバクフーンが不気味な笑みを浮かべて手を伸ばし、僕の首を掴む。

「ぅぐっ、ぐぐぅ…!」

苦しく唸る僕を尻目にバクフーンはドテッコツに合図を送ると、僕は上へ投げられる。そして、落ちる途中でドテッコツに鉄骨で派手な音を立てて力一杯打たれた。胸に強い衝撃を受け、意識が遠くなっていく。

「…!ミジュマルーー!!」

フタチマルは咄嗟に動いて、打たれて後ろへ飛ばされる僕を捕まえてくれた。今の彼女に胸の痛みなんて関係無い。もし間に合っていなかったらこのまま僕は壁に激突していた。

「しっかりして!ミジュマル!」

何度も僕に声を掛けてみても既に僕は意識を失っていた。そして次第に彼女に憎しみの感情が込み上げてきて、殺意が芽生える。目の前が真っ赤に染まって、負のオーラが湧き出す。

「…な、なんなんだ!?あれ!」

その様子を見たドテッコツは思わず絶句する。冷や汗を流して青ざめていた。

「やはりアイツから倒した方が良かったな…」

大きく溜め息をついたバクフーンが言った。

「それどういう事っスか!?」

驚きを隠せないドテッコツ。

「あれは完全に殺意に満ちたカオ…、フタチマルは『敵討ち』を使う気だ。少しでも近付けば危ねぇぞ…ありゃ」

バクフーンは再度フタチマルの方に目をやった。彼女の身体にはどんどんオーラが溜まる。瞳は冷たく、暗い。

「……す…」

「…殺す…」

「殺してやる…!」

フタチマルがバクフーンとドテッコツをその冷たい眼差しで鋭く睨んだ。ドテッコツは恐怖で足が動けなくなる違和感を覚える。

「さっさと倒した方が早い!」

そう言ったバクフーンが項から炎を燃やして、フタチマルに火炎放射を浴びせた。灼熱の火炎は彼女を包み、技が決まったかのように見えた。しかし、炎が通り過ぎた後にフタチマルの姿は無かった。

「消えた…!?」

辺りを見回しても何処にも彼女の姿が見えない。高速でドテッコツの背後に回り込み、右手のシェルブレードで上から下へ斬り断つ。彼の皮膚、筋肉、血管、神経を裂く感触が間接的に伝わって来る。傷口から真紅の飛沫が上がり、返り血が頬と腕に降り掛かった。

「ぐっ…ドテッコツがやられた」

バクフーンは後ろに退いた。

「まだ…足りない…足りないッ!!」

彼女には未だ憎悪が渦巻き続ける。フタチマルはバクフーンに斬り掛かろうとしたが、振り下ろされる右腕をバクフーンは受け止めた。彼は自身の右手でフタチマルの鳩尾を撃ち、次に左手で彼女の右腕の骨を全力で殴り折った。フタチマルは後ろへ飛ばされたが、身体を回転させて後ろの金網に足を掛けて蹴る。その反動を利用し、バクフーンに体当たりを喰らわせた。彼は金網と向かい合っているコンテナに激突し、倒れる。フタチマルは上手く着地が出来なかった為、身体を地面に擦った。

「はあ…はあ…はあ…、ミジュマルの敵を…討った……」

殺意は治まり、フラフラと覚束無い足取りで僕の方へ歩み寄る。

「…ミジュマル、ミジュマル……」

擦れた声で僕を揺すりながら呼び掛ける。そのお陰で何とか意識を取り戻せたしかし目が擦れて焦点が合わないが、目の前で彼女が僕を抱いている事は何とか分かった。

「良かった…」

「…ッ、痛い…」

彼女は僕を地面に降ろして胸を触った。

「あばらが三、四本折れたんだよ…」

そう告げた後、フタチマルは僕を抱いたまま学校を出た。疲労と痛みで再び意識が遠ざかり始める…。


「ぅんん…」

目が覚めたら僕は何処かで寝かされていた。毛布やベッドの感触からして此処は自宅では無い…。重い身体を起すと、胸に激痛が走った。

「痛ッ…!」

「…まだ骨がくっ付いてないから、――あんまり体を動かさない方が良いよ」

フタチマルの声が聞こえた。左を見ると、彼女は右腕と胸に包帯を巻いて椅子に座っていて「おはよ」と言ってくれた。此処は…病院?

「フタチマル…さん」

「骨は直ぐにくっ付くってさ。ミジュマルって回復量が高いから2週間程で治るみたいだよ」

「そんなに早く…?僕にそんな力が在るの?」

少し疑問に思った。彼女も骨折しているという事は、僕が彼女の足を引っ張ってしまったのかと思うと、自分を良い様に思えなくなってしまう。

「だってドテッコツのあの一撃を受けたのに意識を取り戻してるじゃん。あんな攻撃普通のポケモンだったらまず致命傷だよ?」

よく考えてみれば確かにそうだ。僕が若し平凡なポケモンだったら、運良く息を吹き返してももっと酷い事になっていただろう…。そう思うと肋骨を折っただけなんてまだマシだ。

「折角そんな凄い力が在るんだったら、もっと自分の力を強く信じればいいのに」

フタチマルは僕のベッドに腰を掛ける。

「強く…」

「あ、そうだミジュマル、まだアンタに『強さ』について言って無かったね」

僕の言葉で思い出した彼女が言った。

「『強さ』はね、さっき言ったけど自分の持ってる力を信じる事が強さに繋がるんだ」

「そう…なの…?」

「うん。信じて自分に立ちはだかる敵と戦うんだ。『勇気』を出して戦うの」

『優しさ』と同じように、今の僕にはやはり理解し難いものだった。

「ハハハハ!ちょっと難しかったかな…?まあ良いや、とにかく今ミジュマルが強くなりたいって願うんだったら、自分の持っている力を信じてみる事から始めれば良いよ」

「うん、ありがとう」

彼女は僕の頭を撫でてくれた。自然に笑顔が溢れる。僕は決意を固めて、この想いを彼女に伝えようと思った。『自信』と『勇気』持って伝えよう…!

「あの…、フタチマルさん」

「うん?なあに?」

「“お姉ちゃん”って呼んでも良い?」

「ふふっ、ミジュマルはやっぱり可愛いなぁ…、別に良いよ」

僕は彼女のその大きな左腕を掴んで笑った。それに釣られて彼女も笑ってくれた。

ふと病室の扉が開かれ、そこにお父さんがいた。

「ミジュマル!」

「お父さん!」

ベッドから降りてお父さんと向き合う。

「心配したぞ…、いきなり病院から電話が掛かって来たものだから…」

「ごめんなさい…」

「まあ何より無事で良かった…。ん?君は確か…」

僕に笑顔で言ってくれた後、フタチマルを見る。

「アタシが悪いんです…。ミジュマルを巻き込んじゃって」

「何も言わなくて良いさ、君も無事で何よりだ…!」

お父さんは彼女を片手で抱き締める。フタチマルの頬は紅く染まっていた。そして続けて言う。

「もし良かったら、君が退院したら俺の所へ来ないか?一緒に住んでも良いぞ」

「ホ…ホントですか!?ありがとう…!お父さん!!」

フタチマルは喜んで、お父さんの首筋に接吻した。お父さんも彼女の様に赤面して、顔を掻いていた。

「ミジュマル、フタチマル、お前達の元気そうな姿を見て安心した。お父さんはこれから仕事へ向かう。フタチマル、ミジュマルの面倒を見てやってくれよ」

「分かった、行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい、お父さん」

彼女は快く引き受ける。そしてお父さんは病室から出て行った。

(あの2匹、本当の姉弟の様だったな…。成程――、『血は繋がっていなくても心は兄弟』…か)

そう思いながら病院を後にしたのだった……。


 ~おわり~

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 後書き
 今回の話でフタチマルは、めでたくミジュマル家に仲間入りしましたが、今後も彼女を登場させつつ書いて行こうと思います。飽くまで話の続きが思い付いたらの話ですがw
 実はこの話がまだ完全に纏まっていなかった頃、フタチマル&ミジュマルと戦ったバクフーンが話の主役だったんです。彼は不良グループ「カーマイン」の番長であり、町でも結構有名な喧嘩屋なのです。しかし、やはりミジュマルが大好きな僕にとって、その進化後のフタチマルはもっと好きなのです(決してバクフーンが嫌いではありませんが)。なのでフタチマルを出そうと決めました。唯、性別をオスにしてミジュマルと「オトコの友情」なんてストーリーも面白そうですが、やはり此処は女の子にした方が華がある(?)と感じたので、バクフーンにはチョイ役をして貰って、フタチマルを話の主役にしました。
 彼女の性格は「やんちゃ」で、少し男の子の風格も混ぜました(因みにミジュマルの性格は「素直」とほんの少しだけ「せっかち」です)。彼女の好きなものは「親切にする事」、嫌いなものは「不良をやっていた嘗ての自分」と言う設定にしてあります(ミジュマルの好きなものは「お父さん」と「正義」、嫌いなものは「国語」です)。
 両親は既に何者かに殺害され、他界。その時の悲しさと寂しさを紛らわせる為に彼女は「不良」という道を選び、バクフーンの所属する「カーマイン」に入ったのです。因みに2年間やっていました。お陰で少しだけは気を紛らわせた様ですが、未だに彼女の心の何処かで彷徨い続けている事でしょう。それを何とか慰めようとしたミジュマルは正しく「オトコ」ですねw ミジュマルにも母親を亡くしているので気持ちが何となく解るんでしょうね。流石血は繋がっていなくても心は兄弟!この二人大好きです!!
 この小説を読んで頂き有難うございます。  bykzt

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IP:111.89.30.102 TIME:"2015-05-24 (日) 14:12:27" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%BC%B7%E3%81%84%E5%BF%83%E3%81%A8%E5%84%AA%E3%81%97%E3%81%84%E5%BF%83" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko"

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