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居候な蛇の話 の変更点


RIGHT:&color(Red){※この作品には官能シーンが含まれています。};
LEFT:&size(30){居候な蛇の話};
RIGHT:written by [[ウルラ]]
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居候のジャローダと、その家に住む人間の小話まとめ。不定期更新。
CENTER:〔 [[姫始め>#short1]] | [[草蛇の籠絡>#short2]] 〕
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&aname(short1);
***姫始め [#91ldDJM]
「巳年、か……」
 近所の神社に初詣に行った帰りに買ってきた破魔矢の絵馬に描かれた白蛇を眺めながら、とぐろを巻いたジャローダが感慨深そうにそう呟く。特に彼女は今まで人間が定めた"干支"というものに特に興味は示さなかったのだが、自分の姿形と似た干支というだけあって興味を引いたらしい。
「私の年か、ふふ……面白い」
 絵馬を見つめながら独り言で笑っている様は、はたから見れば何をしているのかと思うが、彼女が独り言をするのは割とよくあることなので自分は気にしていない。というよりも気にしていたら身が持たない、といったところか。
「そういえば」
 思い出したようにくるりとこちらを向く彼女。
「お年玉。貰っていないな」
「お前にお金を渡してもしょうがないだろう」
 ついこの間お年玉とはなんだと彼女に聞かれて答えたが、まさか覚えていたとは。それにしても、彼女は今まで全く人間の風習に関して興味がなかったというのに。どういう風の吹き回しだろうか。
「お金ではない。もっと別のことだ」
 彼女はするすると畳の上で体をうねらせながらこちらへとやってくる。やがて自分が足を入れているこたつの中へと入ったと思ったら、足元からにゅっと顔を出してきた。
「何やって……」
 そう言おうとしたものの、ジャローダがそのまま体重を掛けてくるものだから、こたつに足をいれたまま仰向けに倒されてしまう。そうして耳元で彼女は囁く。
「私から言わせるつもりか……?」
 耳元から顔を離したとき、彼女の頬はわずかに紅潮している。その意味を理解した時、そっと彼女の体に手を伸ばしていた。
 新年の初めごとはまだ終わってはいないみたいだった。



&aname(short2);
***草蛇の籠絡 [#aDnfONu]
 昼下がりの惰眠を貪る。塒を巻いた身体の主は、湿潤で暖かなその安穏とした環境を享受していた。一面白銀の外の世界など露知らず。
 そんな者にも、常に平穏がある訳ではない。身体に何者かが寄り掛かった重みに不機嫌に目を開け、顔を擡げる蛇。
「勝手に触れるなと言っただろう、この不埒者が」
 拒絶の言葉こそ並べるものの、声色は穏やかそのもの。寄り掛かった者に心を許しているのか、それとも声を上げるのも億劫なのか。退かそうとも退こうともしない。
「……全く」
 蛇は悪態をつきながら、再び塒に頭を乗せて目を瞑る。ひとまずそこに居る事を許された者は、言葉を返す事も無く。蛇から微かに香る草の匂いに、同じ様に目を瞑った。
 この家に住む人間と居候であるジャローダの、何度目かの変わらぬやりとり。その先も、きっと何度目かのやりとり。

 するすると尾を絨毯の上へと伸ばす。人間の足先に向かわせながら絡め取るように腿の下へと潜り込ませ、巻き込んでいく。
 解けていく塒。寄り掛かる体は支えを失いつつあるが、寝入った人間は気付かない。自らの身体が蛇のその長い躯体に巻かれていくことすら。やがて人間の体が肩まで蛇の『手中』に収まった。
「起きろ」
 蛇は人間を締めつける。少し息が苦しくなる程度の軽い力の入れ方で。それでも人間は命の危機を察知した自らの体に、急速に微睡みから現実へと引き戻される。
 面前にある蛇の顔。手足の動きさえも封じられたこの状況に、人間は動揺せざるを得ない。
「お、おいこれ何して……」
「たまにはこういうのもよいだろう?」
 人間の言葉を遮って、蛇はニタリと口角を上げていた。表情は正に捕食者のそれである。再び力を入れた蛇の身体に、人間は苦悶の表情を浮かべる。
「ぐっ……。俺には被虐趣味はないぞ」
「いつも私のほとに締め上げられて、切ない声で鳴くその口で何を言う」
 蛇の挑発した言葉に人間が何か返そうとしたところで、蛇はその口を自らの口で顎ごと挟み込むようにして塞ぐ。口の形が違う以上、蛇はこうすることでしか人間の口に深い接吻が出来ない。唐突に差し入れられた蛇の長い舌が、奥の歯列をなぞる。こそばゆい感覚が人間を襲うが、お構いなしに蛇は続けた。歯列をなぞり上げながら、二枚舌は人間の舌へとたどり着く。しばし舌の逃走劇が行われた後、長い舌に絡め取られた人間の舌。すぐに解かれてまたじゅるじゅると音を立てながら、人間の口内を余すところなく味わっていく。蛇がその舌を抜く頃には、人間の息は上がっていた。

 呆然とする人間をよそに、蛇は身体から蔓を出すと巻きついた身体の隙間から差し入れる。抵抗する気力が削がれてしまった人間はそれを荒い息を落ち着かせながら眺めるのみ。多少の金属音がしたのち蔓がするりと引き抜かれて、革細工のベルトが引き出される。
「相変わらず器用だな」
 人間の感心に、当たり前だと言わんばかりに蛇は鼻を鳴らすと、尾の先でズボンの裾を掴んで引き下ろす。蔦で中にある下着も共に脱がせると、人間の一物が顕になった。既に臨戦態勢なそれを眺めて、蛇はうっとりとする。
「相変わらず惚れ惚れするな。お前のモノは」
「そりゃどうも……」
 人間は蛇の言葉に軽く返答をする。少しばかりその返答がお気に召さなかったのか蛇は少しだけ不機嫌そうに眉を顰めた。だがそれもまた笑みの表情へと変わる。蛇の胴が丁度細くなり始める、尾と胴との境を上げて腹の部分を人間に見せつける。開かれた蛇の秘所からは、赤みを帯びて膨らんだ粘膜が見え隠れする。蛇のそこも、既に迎え入れる準備は万端だった。
 蛇は人間の一物を自らの腹に滑らせつつ、秘所へと誘い込んでいく。やがて溝へと到達したところで、一旦動きを止める。蛇は人間の顔を見ると、人間はそれに頷いた。
「くっ……」
 蛇のほとへと誘い込まれた一物は、その中の温さと容赦なく吸い付く柔肉の感触に晒される。その刺激に反射的に人間は身動ぎをしようとするも、巻き付かれている身体はびくともしない。蛇はそのまま焦らすように徐々に入れ込んでいき、やがて全てが収まりきった。蛇の顔は相変わらず口角を上げてニヤついている。
 一向に動きを見せようとしない蛇に、人間は違和感を覚える。いつもなら人間か蛇かどちらかが動く。この場合、人間は蛇に巻かれているのだから動けるわけもなく。ともすれば蛇が動くしかないと、人間はそう考えていた。
「うっあ……」
 人間は思わず声を漏らす。蛇のほとが脈動するかのように締め上げた。蛇の顔は心底楽しそうで、そして気持ちが良いのか少しばかり上気した顔を見せる。締め上げは徐々に緩まっていき、また入れた時と同じ程度になっていた。何を考えているんだと目で訴える人間。蛇は笑う。
「ふふ……動かずじっくりと時間を掛けるのが蛇本来の仕方らしいしな。こういうのもいいだろう?」
「それで態々巻き付いて動けなく……くぅ、そ……」
 再びほとが脈動し、人間は声を上げそうになるが堪える。しかしそれもいつまで持つか。
 ほとの中の包まれている感覚と時折くる強烈な圧搾の感覚の落差で、もたらされる快感はいつも以上に強い。蛇は蛇で、人間が身動ぐのが身体全体を通して伝わり、獲物に対する加虐心を煽られていく。人間の一物が時折はねるようにほとの粘膜の壁を押すのも、蛇にとっては心地よくて仕方がなかった。
 一切の主導権を蛇に握られて、人間はただひたすらに善がる。堪えていた声も次第に惜しげもなく出して。酷くゆったりとした時間感覚の中で、ただただ互いの存在だけを感じさせられる。強く密着した身体同士の体温。荒い息遣い。身体の奥深くから徐々にこみ上げてくる緩い快楽と、無意識的な脈動による強い快楽。
「あっ……いっ……!」
 先に達したのは、意外にも蛇の方だった。しかしその後のほとの締め付けに、人間も耐えきれず蛇の中へと滾りを放つ。注ぎ込まれていく感覚に、蛇は尾を震わせた。
「ああ……これは癖になりそうだ」
 蛇は恍惚とした表情で呟く。人間の方は未だに圧搾を続けるほとの快楽に耐えるのに精一杯で、強く目を瞑っていた。

 吸い上げるような圧搾を繰り返していた蛇のほとは治まり、人間の上げる声も小さくなる。微かに疲労を感じさせる人間の顔を、蛇は上気した表情で見つめる。
 まだまだ物足りない蛇は、未だに大きさと固さを保っている人間の一物が中にある感覚を確認する。少しばかり人間の腰を、巻き付いた身を使って動かす。
「ま、待ってくれ……まだ」
「まだいけるだろう?」
 有無も言わさず、蛇は引かせた腰をもう一度締め付けて寄せる。再び、濡れそぼる蛇のほとへ。
 いつもと違う、しかしいつもと同じ何度目かのやりとり。




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