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失われた感情3 の変更点


作者名:[[風見鶏]]
作品名:失われた感情3
前作: [[失われた感情2]]
    [[失われた感情1]]


注意:この作品には&color(red){強い};官能描写があります。
 →特に&color(white){強姦};が苦手な人はバックしてください
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 深々と夜が更けていく中、闇色のポケモン二匹が森の中を歩いていた。
 一匹は月明かりに照らしだされた黄色いわっかが目を引く。
 そしてもう一匹は闇に溶けた体の中、紅色の瞳が印象的だ。
 足音は聞こえず。どこか周りを警戒しているようにも見える。
 やがて二匹は古びた小屋へとはいって行った。
 そこはフィフスがヤミカラスと最初に会った場所。
 フィフスは先に見えない明日を生き延びるためヤミカラスについて行ったのだ。



「それで、その仕事っていうのはなんなんだ?」
 フィフスは椅子の上に座りヤミカラスにたずねる。
 中は意外と掃除されており、ほこりっぽさはなかった。
「そう焦るなよ、ほれっ」
 ヤミカラスはポーチから一冊のファイルを取り出しフィフスの前に放り投げる。
 フィフスは黙って受け取るとページをめくった。
 中には依頼の内容が事細かに記されていた。
 ところどころにヤミカラスが描いたらしきメモも残っている。
 どうやら情報屋というのは本当だったようだ。
「好きなのを選びな」
 そう言うとヤミカラスは小屋の奥へとはいって行ってしまった。
 フィフスは一匹取り残される。窓から差し込む月明かりが暗い部屋内を照らしだす。
 フィフスはしばらく読みふけることにした。

「……」
 最初のページを開くとご丁寧に目次まで書いてあった。
 種類は暗殺、工作、密売、運送……。
 ん? 運送?
 フィフスはあわててそのページを開く。
 運送という項目はファイルのほんとに最後のページにあった。
 内容はその名の通り荷物を指定のポケモンに届ければいいだけ。
 疑うことを知ったフィフスは少し違和感を感じる。
 こんな物騒な依頼ばかりなのになんでこんなものが……?
 しかしこれといって変な内容もかいてはいない。
 一つ上げるとすればその荷物の中身を確認してはいけないということ。
 報酬金は……。
「っ! な、なんだこれ!?」
 裏の仕事のせいか報酬金はフィフスの予想をはるかに超えていた。
 ほかの仕事を見てみる。だがこの仕事はどの仕事よりも一番報酬金が高かった。
「一体……」
 やはり裏がある……?
 確かにこの内容なら自分でもできそうな気がするし、決して悪い話ではないのだが……。
 あまりにも不自然だ。
「決まったかい? えと……名前を聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
 ヤミカラスが奥から現れる。月明かりがないと本当に闇に溶けてしまって見えない。
「フィフス」
 フィフスはその一言だけを言った。
「なんて不愛想な奴だ。……まあ仕方ないか、俺はナイトだ、よろしくな。
 んで……、どれをやるかは決めたのか?」
 ナイトはおもむろにフィフスが開いたページを見つめた。
 そしてフィフスはナイトの顔色が少し変わったことに気づく。
「……悪いことは言わない。これだけはやめときな」
 フィフスが思う通りナイトは止めに来た、やはりこれには裏があるのだろう。
 ナイトはいつになく本気の表情でこちらを見つめている。
 別に義理などない、だが止める義務があるから言っている、そんな感じだ。
「ナイト、一体これはどんな依頼なんだ?」
 フィフスは尋ねる。これだけ止められる理由が知りたい。
 ある意味好奇心という感情からだった。
「言葉で説明できたら苦労はしないさ……、とにかく君じゃあ無理だね」
 ナイトはきっぱりと言い捨てる。その言葉にははっきりとした確信が混じっている。
 フィフスは思わずたじろいでしまった。
 しばらく沈黙ができる。なんとも言えない間であった。
 やがてナイトがふと気がついたように窓の外を見る。
「ま、やりたいなら止めないけどね」
 そう言い残すとナイトはドアへと向かって行った。
 どうやらほかのポケモンが来ているらしい。
 ……意外とほかのポケモンているんだな。
 フィフスは初めて来たときの印象を思い出す。
 少しだが確実に記憶だけは戻ってきていた。……あくまで記憶だけ。
 いまだ自分の中の空白感はぬぐい去れないままだ。
 それを見つけるために今を生きているわけなのだが。
「フィフス、ファイルをこっちに持ってきてくれないかな?」
 ナイトがこちらに向かって叫ぶ。
 どうやら今来たポケモンも依頼を受けるか何かなのだろう。
 フィフスは黙ってファイルをくわえナイトへと手渡す。
 来たポケモンの姿はフィフスには見えなかった。
 だが、ナイトの対応からして結構常連なんだろう。話しこんでいる。
 フィフスはやることもないのでさっきのいすに座り込み、依頼について考えることにした。
 暗殺、工作、密売、運送。
 運送が駄目だとしてどれを選ぶ?
 どれも物騒極まりない。……まあ運送についても物騒だったわけだが。
 暗殺、今の自分に殺せる力量があるわけない。
 工作、相手をおとし入れるために何かをすることだろう。
 子供の自分に大人は相手をしないだろう。
 密売、これが一番適している? 正直薬を売ることに抵抗はあるが仕方ない。
 いや、待てよ、密売ということは取引も考えられる。
 自分は交渉ができない。受けるとしたら誰かから学ぶ必要があるな……。
「ふぅ……、全く強情な奴だ。フィフス、決まったかい?」
 どうやら話はついたようだ。ナイトはポーチにファイルをしまいながらこちらへと来る。
 結構な時間考えていたみたいだ。星の位置がだいぶ流れている。
 フィフスはナイトからファイルを受け取り先ほどのページを開く。運送の項目だ。
「おまえ、まさかこれをするつもりなのか?」
 ナイトは念のためにでもというようにしつこく聞いてくる。
 フィフスは相も変わらず黙ってうなずいた。
 どうせ何をやっても同じなのだ。やるならばできる限り高収入のほうがいい。
「そうか、そこまで言うんなら止めない」
 ナイトがファイルからその依頼を切り取る。
「概要を言うぞ、よく聞けよ、目的地はここから東に行った海岸沿い、
 どうやら船に運ぶようだな。中身は分からんが……、まあ何かの薬だろう。
 それで日にちは明日まで、今から出発してもらうからな。
 取引相手は船員だ。荷物を渡せば証明書が貰えるだろう。
 ……とまあこんなところだ。わかったか?」
 フィフスはうなずく。話を聞く限りとても簡単で止められる理由がわからない。
 ここから海まではそう遠くなく荷物を渡すのなら日が昇ってからでも十分間に合う距離だ。
 それが余計にフィフスの疑心を引き立てた。
「あと一つ、これの仕事を受けた時からお前は犯罪者だ。命を狙われる立場になる」
「……っ!」
 犯罪者!?
 薄々勘づいてはいたのかもしれない。
 だが、いざ面と向かって言われるとその重みというものはすさましいものだった。
 気を強く持たないと身震いしてしまいそうだ。
「当然この依頼が難しい理由がわかるな? 気をつけろよ」
 そう言い残すとナイトはフィフスを見ずに小屋の奥へとはいって行ってしまった。
 おそらく依頼の整理だろう。
 すると奥から小さくナイトがつぶやいた。
「情報屋の俺はいつも中立の立場であらなければならないからうまく言えないが、
 これだけは覚えておいてくれ、昨日おまえを買ったエネコロロ、奴は……危険だ」
 エネコロロ、あの気品あふれる彼女が敵だって?
 とても戦えるようには思えない。だが、情報屋の言うことに嘘はない。
 真実なのだろう。
「わかったナイト、その……ありがとな」
 フィフスは初めて口を開く。
 感謝とはこれでよかったのだろうか? うまく表せない。
 だが記しとしては言っておきたかった。
「気をつけろよ、これ以上は何も言えない。それじゃあな」
 ナイトはそれきりしゃべることはなかった。
 心なしかフィフスはどこか温かくなったような気がした。
 無事にここに戻ってこれることを祈り、フィフスは小屋を後にする。
 例の荷物はポーチに入るほどの大きさだった。
 まあもともとあまりはいっていないから入るわけだが、それでも大きさは知れていた。
 これなら荷物が邪魔になることはないな。
 フィフスの姿は闇夜の中に溶けて行った……。


「はぁ……はぁ……」
 休息が足りないのだろう、息が上がる……。
 急ぎ過ぎた。クールダウンが必要だな。
 フィフスは走るのを止め、徒歩に変更する。
 周りの景色を見ると、うっそうと茂った森は消え明るみ始めた空がのぞいている。
 しばらくゆっくりしても大丈夫だろう。
 ふと自分のポーチに目をやる。
 首にかかったポーチは荷物で大きく膨れ、重さはないが前足をかくしていた。
 一体この荷物は何なのだろう……。
 やはりナイトの予想通り薬なのだろうか?
 だとすれば重さも大きさも釣り合わない。
 ……中身を見たい。そんな好奇心がわいてしまう。
「……っ!」
 だめだ、依頼通り中身を見てはいけない!
 そんなことしたら報酬がもらえなくなってしまう。
 自分は今明日の生活のために依頼を受けているのだ。
 一時の好奇心でチャンスを不意にしてしまうわけにはいかない。
 行こう、もう休息は十分だ。
 これから先、好奇心はいらない。
 依頼というものを全うするため、余計な感情はいらない。
 フィフスは歩みを速め、目的地へと進みだした。
 それは間違った決断であることは、誰も教えてはくれなかった。



 あれから何事もなく時は過ぎ、フィフスは目的地の船までたどり着いていた。
「君は依頼を受けた配達人かい?」
 船員らしきポケモンが尋ねてきた。帽子を深めにかぶり、
 征服らしきものを着ているので詳細が分からない。
 フィフスは黙ってポーチから荷物を取り出した。それを船員に渡す。
「不愛想だね、ほい、証明書、ここまで配達ご苦労だったね、それじゃあこれで」
 船員は印鑑付きの証明書を渡すと足早に船の中に入って行ってしまった。
 正直拍子抜けだ。手続きも簡単、配達も言われたほど難しくない。
 一体これのどこが命をかけた仕事だというのだろうか?
 そうこうしているうちに船の甲板は上げられ、出航の時を迎えていた。


 船が陸から離れて行く……。
 この船はいったい何の船なのだろう? みたところ乗客もいなかったようだし……。
「……いけない、今は依頼の報告が先だね」
 フィフスは踵を返しナイトの待つ小屋へと帰ろうとした。

 夜が明けて間もない、早朝のころだった。
 突如、森が騒がしくなる――刹那、フィフスの背後で耳をつんざくような轟音がとどろいた。


「……っ!?」
 熱風がフィフスの体をふきぬける。
 だがその音源を突き止めないわけにはいかなかった。

 音源は――さっきの船だった。
 ついさっきまで原型を残していた船は燃え盛る炎に包まれ船の原型を残していない。
 海には重油が漏れ出していた。
 黒く水にとけない液体は、炎をじわりじわりと広げ、船の姿を消していく……。

 なぜこんなことに……?
 自分の持ってきた荷物は……、爆弾だったのか……。
 思わずその場にへたり込む。腰が抜けてしまったようだ。
 言いようのない衝撃がフィフスを包んでいた。


「あ~あ、派手にやってくれちゃったね」
 この状況下でもしっかりと耳に入ってくる透き通った声。
 エネコロロだ。
「あれ? いつかのブラッキーじゃない。まさか……あなたがやったの?」
 フィフスは半ば放心していてエネコロロの方向を向こうとはしなかった。
「まぁ……、ほかを考えていないわね」
 エネコロロの前足がフィフスの首元に来る。
「――っ!」
 声なきままフィフスの意識は闇の中へと落ちた。



「うぅ……」
 一体何が起きたんだ?
 覚えている光景、それは黒煙を上げて燃え続ける船の姿だった。
 その後急に気が遠くなって……。
 体をおこしよく考えようとする。
 しかし、体は起こせなかった。かわりに強い拘束感が感じ取れただけ。
「っ!?」
 フィフスはくさポケモンの蔓らしきもので縛られていたのだ。
 わずかに体制を変えることもできない。

「気がついた?」
 聞き覚えのある声が耳に入る。この透き通った独特の声は、エネコロロだ。
「これはいったい……?」
 不安を感じ取られぬようフィフスは声のトーンを落として尋ねる。
 エネコロロはフィフスの隣に座る。しなやかな体には隙が全く感じられなかった。
 どうやらナイトが言っていた話の信憑性が出てきたようだ。
 ということは、この状況も大体把握ができる……。
 要は捕まったのだ。

「あの船、君がやったんだね……」
 いつになく重苦しい口調でエネコロロがつぶやく。
 その声はどんなに注意が離れていても届くであろう響きを帯び、
 フィフスの神経を逆なでするようだった。
 怖い、いや、戦慄といったほうが正解だろう。
 だがエネコロロの声音と次の瞬間には元に戻っていた。
「ま、君だからよかったのかもしれないね。こうして君に出会えたんだし」
 その真意を知るのに時間はかからなかった。
 フィフスはこれから自分がどうなるか、もうわかっていた。
 すでにエネコロロの瞳はフィフスを敵としてではなく一匹の雄として見ていたから……。
「そんな……どうしてこんなことに……いやだっ! いやだぁっ!」
 必死にもがく、
 普通のポケモンが見たら狂っているのかと勘違いされそうなほどフィフスは抵抗する。
 体の節々がきしむがそんなのは関係ない。もう犯されるのはいやだ! その一心だった。

「――うあっ!?」
 だが、それもただ一回の締め付けにより無効化される。
 自然と涙がほおを伝う。それは諦めの表れでもあった。
「あんまり暴れないで、拘束してるこっちも結構いたいんだからさ」
 エネコロロとはまた違った柔らかな声、
 その方向からはそのポケモン特有のかぐわしい香りがする。
 ベイリーフだ、
「でも、そのようすだともう抵抗する気も失せちゃったみたいだね。
 もっと泣き叫ぶ姿も見たかったけど……、仕方ないか」
 ベイリーフは体の縛りを解き、フィフスの四肢を縛る。
 そしておもむろに顔を近付ける、ベイリーフから漂うつぼみの香りが皮肉にもよい香りだった……。
「ふうん、まだ幼さが残ってかわいいな、ほしがる理由もわかるね」
 そう言うベイリーフも見た目はフィフスとあまり変わらない。
 涙でうるんだ瞳でフィフスはベイリーフを睨みつける。
 だが、やはり効果などなかった。
「ふふっ、そんな顔しないで、すぐに気持ち良くなるから」
「――んっ!」
 有無を言わさず行為は始まった。
 ベイリーフは強引に唇を奪うと舌を絡めてくる。
 四肢が縛られ引きはがすこともかなわない……。
「あっ! ずるいっ! 私が捕まえたんだから私からよぉ!」
 エネコロロが抗議の声を上げる。
 ベイリーフはそれを聞くとディープキスをやめてエネコロロを見つめる。
「レイとルウはもう十分に堪能したでしょ? 私はまだ味わってないんだからいいじゃないの~」
 甘い声でベイリーフはつぶやく。どうやらこのエネコロロの名前はレイというらしい。
「わかったわよ……、そのかわり壊さないでよ? この子の最後は私が貰うんだからね?」
 例はしぶしぶといった感じで承諾した。
 フィフスはただその光景を見ているしかなかった。
 意識がそれている間も四肢を縛っている蔓は全くと言っていいほどゆるまなかったのだ。
 その様子に気づいたのか、
 ベイリーフはこちらを少し見ると笑みを向ける……
 いっけんするとその笑みは見とれてしまいそうなほどかわいらしい。
 だがフィフスには分かった。その笑みの裏側には恐ろしいほどの欲望が現れていることに。
 そして今から自分はその欲望の餌食にされてしまうのだ……。

「んんっ――!」
 まず手始めにだというようにベイリーフはディープキスを強要する。
 無理やり舌を絡ませ、フィフスとベイリーフの唾液がまじりあう……。
 いつの間にかフィフスは押し倒されるような形になっていた。

「ふふっ、じゃあ私はお暇しようかな、ここにいたら我慢できなくなっちゃう。……じゃね」
 レイは振り返らずに茂みの奥へと消えて行った。
 そして残るのはフィフスとベイリーフの二匹。
 いまだ口内で執拗に絡まりあう舌を感じながらフィフスは抵抗を試みていた。
 だが時が経てばたつほどディープキスにより力を奪われる……。
 やがてフィフスの体が抵抗する力を失ったころ、ようやくベイリーフは唇をはなす。
 唇同士が離れるのを拒むかのように唾液の橋が二匹をつないでいた。
「ん……はぁ……だんだん気持ちよくなってきた。んふっ、あなたも気持ち良くしてあげる……」
 甘くとろけてしまいそうな声でベイリーフはつぶやき、
 ゆっくりとフィフスの首筋を舌で愛撫する。
 一つ愛撫されるごとにフィフスは小さく痙攣する。
 それは徐々に精神を支配されていくのをベイリーフに示しているようなものだった。
 すぐに楽にしてあげるよ。
 そうベイリーフは言うかのようにフィフスを抑えつけ、体を精神をまさぐる。
 やがて舌はフィフスのモノをとらえる。
 そして、一気にベイリーフはフィフスのペニスをくわえこんだ。
「――っ!」
 それまで鈍かった快感が一気に呼び起される。
 体をおおきくのけぞらし、くわえられたペニスがベイリーフののどの奥深くまで突き刺さる。
 目を大きく見開き、ベイリーフはその衝撃に耐える。相当辛いはずだ。
 だがベイリーフは苦しさなど微塵も現さず、ゆっくりとペニスを引き抜く。
 卑猥な音とともに唾液に濡れたペニスがあらわになる……。
「はぁ……、いきなりつくなんて……、大胆ね。そんなに積極的だと、私もっとがんばっちゃうよ?」
 ほおを紅潮させながらベイリーフは言葉を漏らす。
 そしておもむろに四肢の拘束を解く。
 フィフスは地を這うようにしてベイリーフから逃れようと試みた。
 だが、やはり体制からしてもベイリーフのほうが有利だ。
 状況はさらに悪くなってきていた。
「まだ逃げたいなんて思っているの? じゃあもう逃げられないように調教してあげるよ」
 そう言うベイリーフの口調はろれつが回っていなかった。
 だがフィフスの自由を奪うだけの力は残り、首から伸びた蔓はフィフスの後ろ脚をとらえる。
 そして、半ば引きずられるようにしてフィフスはベイリーフの目の前に引き寄せられる。
「ふふっ、あなたを壊してあげる……」
「うあっ! あっ、や、やめ――!」
 ベイリーフは勃起したペニスを蔓で縛りあげる。
 当然その刺激だけで、フィフスには耐え難いものであった。
 だが、ベイリーフの行為はそれだけにとどまらなかった。
 まるで脈打つかのように蔓を痙攣させる。
「――あっ! い、いやあぁっ!」
 ビクビクと体をけいれんさせながらフィフスは絶頂という名の崖に追い詰められる。
 ベイリーフはその様子を恍惚とした表情で見つめていた。
 そしてその様子に興奮しているのか、行為はさらに激しさを増す。
「ひやああぁ――っ!」
 やがて時なくしてフィフスには絶頂が訪れる。
 体を大きくのけぞらせ、快感とともに精を放出させる……はずだった。
「ふふっ、果てさせないよ」
「ああっ! い、いやぁっ!」
 フィフスは絶頂の頂点に達したまま果てることはなかった。
 ベイリーフがフィフスのペニスを縛り上げ、射精させなかったからだ。
 フィフスの体は精を放出させようと体を大きく痙攣させ、
 ペニスは今にも爆発しそうなまでに大きく膨張し、脈打っている。
「あっ、あぐぅ、ゆ、ゆるしてぇ! も、もうだめぇっ!」
 押しつぶされそうな意識の中、フィフスは必死に許しをこう。
 早くもろれつが回らなくなり、思考はおぼろげになる。
 だが、ベイリーフは解放する様子を見せない。
 まるでフィフスが快楽により壊れるのを楽しんでいるようだ。
 やがてフィフスは体をけいれんさせるだけとなる。
 意識が押しつぶされてしまったのだ。
 だが、体は今も精を放出しようと痙攣し続け、汗がぐっしょりとにじみ出ていた。
「あれ? もう気絶しちゃったの? まだ早いよ……、おきな!」
「ぐぅっ!」
 乱暴にフィフスの腹部を踏みつける。絞り出すようなうめき声がフィフスから漏れた。
 痛みで顔をゆがめるが、すぐにそれはかき消され、フィフスは情けない喘ぎ声を洩らす。
「ふふっ、廃ポケにならないでよ? 怒られちゃうからさ、じゃあ……いっぱい出してね」
 ベイリーフはフィフスのペニスをくわえこみ、蔓を引きはがす。
「あはあああぁっ――!」
「んぐぅっ!?」
 刹那、強烈な刺激がフィフスの体を貫く、もはやそれは快感というよりかは痛みに近いものだった。
 あまりにも唐突な刺激にフィフスの体は無意識に痙攣を繰り返す。
 ペニスはベイリーフののどの奥深くに突き刺さり、大量の精液がベイリーフののどを打ち付ける。
 ベイリーフはそれをのどを鳴らしながら飲んでいた。恍惚とした表情で……。
「うっ、ふううぅ――!」
 さんざん焦らされた体は射精の勢いを弱まらせることがない。
 呼吸すらまともにできないまま、まどろむ意識の中でフィフスは耐え難い悦楽と戦っていた。
 流れ出る精液とともに、自我まで流されてしまいそうだ。
 あの時のように……。
 皮肉にも経験がフィフスの自我を保たせていた。
 だが、自我は残っていても体はすでに快楽の虜になっていた。
 快楽を少しでも得ようと絶頂を迎えている今でさえ、
 腰を淫らに動かし、ベイリーフののどを激しく打ち付けている。
 ベイリーフは半ば白目をむきながらフィフスのモノを受け入れていた。

 やがて永遠とも思える時間がたち、ようやくフィフスの射精は止まった。
 大量の精液はベイリーフの顔を白く汚し、周りには白濁液の水たまりができていた。
 フィフス自身も精液によってなんともけがらわしい姿となっている。
「はぁっ、はぁっ、すごい……レイがほしがる理由、わかるような気がするな……。
 ふふっ、今度は私を気持ちよくさせてもらお……」
 息を荒げながらベイリーフは次の行為へと移る。
 フィフスには酷なことだ。
 逃げたい、逃げたい、逃げたい、でも逃げることなどできない。
 自分が弱いから、自分が愚かだから。
 自分はメスの餌食にされてしまう。快楽の道具に……。
 いっそのこともう投げ出したくもなってしまう。そのほうがずっと楽だろう。
 ただひたすら快楽だけを感じて死んで行くのだから。
 しかしそれすらも許してはもらえない。自分の中の名もなき欲望によって。
 なにもない自分を支えるただ一つのものであり、もっとも大きなもの……。
 それがフィフスの堕落を引きとめていた。
 自分は……屈しない。どんなに調教されようとも……。
 いつの間にかベイリーフは愛液が漏れ出している秘所をフィフスの顔の前に持ってきていた。
「もうわかるよね? さ、私を気持ちよくして?」
 ベイリーフは無理やり秘所をフィフスの顔に押し付ける。
 愛液独特の甘酸っぱい香りが鼻を突く……。
 体をずらし、フィフスはできるだけ避けようとした。
「……悪い子、そんなことするんだったら、私から行ってあげる」
 そう言うと首からまた蔓を伸ばす。蔓はさっきの精液で白く糸を引いていた。
 蔓はフィフスの四肢を縛り、否応なく秘所を顔に当てられる。
「うっ……、は、早く舐めて、私を、気持ちよくして……」
 フィフスの顔が秘所にあてがわれただけでベイリーフは興奮する。
 愛液があふれ出てフィフスの顔を濡らしてくる。
 否応なしに従うしかなかった。
 フィフスは流れ出る愛液をなめとる。
「あっ……うんっ……い、いいよぉ……もっとぉ……」
 卑猥な音とともにベイリーフは喘ぐ、だが、そんな声に耳を傾ける気はなかった。
 何も感じたくない。
 まるで人形のようにフィフスは舌を秘所に伸ばし、機械的に動かす。
 だが、それでもベイリーフが達するには十分な刺激だった。
「うっ……あっ……だ、だめえぇっ!」
 そのままベイリーフは絶頂に達し、愛液を大量に噴出する。
 ほとんどゼロ距離でそれはフィフスを顔を覆い尽くした。
 独特の甘酸っぱい香り……、何度浴びたのだろうか、もう汚らしいとは感じない。
 自分自身が穢れきってしまったから。
「はぁっ……はぁっ……」
 ベイリーフは絶頂後の疲れをかみしめているようだ。
 とろんとした瞳が不覚にもかわいらしく感じてしまった。
 ただ、口元がベイリーフの体の下敷きになり呼吸が苦しい……。
 体重をベイリーフにかけ、せめてもの抵抗を試みる。
「うっ、お、押さないで……、か、感じちゃう……」
 駄目だ。まだ夢心地、ただ少しの自由も与えられないのだろうか……。

 もういい……。

 どうせ、どうせ堕ちてしまうのなら……。

 こっちから……犯してやる。


「あっ――!?」
 不意にベイリーフの体勢が崩れる。
 フィフスが急に起き上がったのだ。
 快感に気を取られていたベイリーフは受け身が取れず、背中から地面に落ちる。
「いっ……!」
 痛みでベイリーフは我に帰る。開かれた瞳はフィフスの姿を探す。
 だが、探す必要などなかった。フィフス自身からベイリーフの視界に入ってきたからだ。
 馬乗りの姿勢、その瞳はもうなにも映し出してなどいなかった。
 言葉通り、何も感じてはいないのだ。
 性的な感情、人間的な感情。
 あるとすれば、それは悲哀……。
「ど、どういうつもり……?」
 予想しない行動にベイリーフは動揺する。
 だが首から伸びた蔓はまだしっかりとフィフスの四肢を捕まえていた。
「名前……なんだっけ? まあいいや、気持ちよくなりたいんだよね?
 なら、俺から行くよ、それが、望みなんだよね?」
「そ、それは――あんっ!」
 答えを言う前にフィフスは攻め始めていた。
 ベイリーフの秘所を先ほどよりもずっと激しく舌で愛撫する。
 周囲に厭らしい音がこだまする。
「あっ、あっ……ら、らめ……」
 もはや言葉になっていない。ベイリーフは快感にあえぐのに精一杯のようだ。
 
 このまま快感に押しつぶされてしまえばいい……。
 
 自分と同じように、壊れてしまえばいいんだ。

 いまや、フィフスの行為は快感を求めるための行為ではなくなっていた。
 自分が受けた仕打ちへの報復。
 復讐にも似たものがフィフスをこのような行為に走らせていた。

「あっ、ひやああぁっ!」
 悲鳴を上げながらベイリーフは二度目の絶頂に達する。
 二度目とはいえ、噴出する愛液はフィフスの顔をぐっしょりと濡らしていく。
「はぁっ……はぁっ……」
 短時間で絶頂を二度も味わいベイリーフの体力は早くも消耗してきていた。
 こんなものじゃ足りない、
 フィフスは自ら顔をベイリーフの秘所に押し付ける。
 そして小さな突起、メスの一番敏感な部分を甘噛みした。
「――っ!」
 声にならない快感がベイリーフを走り抜ける。
 だがフィフスは行為をやめない、自分にされた時と同じようにベイリーフを責め続ける。
「はっ……あっ……!」
 まるで許しを請うかのようにベイリーフは手足をじたばたさせる。
 だが、快感に支配されている抵抗は赤子のように力なきもの。
 そして、快楽の支配はまたもや絶頂を引き連れてきた。
「うあっ! はあああぁっ!」
 体を痙攣させながらベイリーフは果てる。
 それきり力を失ったかのようにぐったりとしてしまった。
 四肢の拘束は取れ、今や蔓はだらしなくベイリーフの首から垂れているだけだ。
 体は絶頂を短時間で受けた結果、気絶した今もビクビクと不定期に痙攣している。
 責める側の者は、責められると弱いというが本当らしい。
「……」
 フィフスは黙って力を失った蔓をはがす。
 体は噴出された愛液によってひどいにおいを醸し出していた。
 言いようのない虚無感。
 自分も堕ちてしまったな。いや、もともともう堕ちていたのかもしれない。
 すべて奪われたあの時から。

 フィフスは自分のポーチを取り上げるとよろよろと海岸の方向へと歩いて行く。
 日は傾き、もうすぐ夜、フィフスの姿は次第に闇に溶けていった。

 その後何があったかは覚えていない、
 ほとんど無意識のうちにフィフスは小屋まで戻ってきたようだ。
 いや、小屋の前といったほうが正しい。
 フィフスが我に返ったのは、小屋の中から声が聞こえてきたからである。
「へえ、あの子フィフスっていうんだ。そんな子がこんな依頼を受けるなんて、どうかしてるわ。
 ……まあそのおかげでこれからはただでおいしい思いができるんだけどね」
 この声は……レイだ。
 反射的にフィフスは小屋の陰に身を隠す。
 どうやらナイトと話しているらしい。影は三匹、おそらくキュウコン、ルウもいるのだろう。
「それで? 依頼自体を受けていないんだから報酬は渡せないよ?」
 ナイトは淡々とした口調だ。中立だとわかっていてもその反応は少し悲しいものがあった。
 所詮はかりそめの関係しかないのだ。
「わかってるわよ、今日は依頼を受けにきただけ、ファイルを頂戴?」
「あいよ」

 やがてレイたちは依頼の手続きを済ませると帰って行った。
 幸いこちらには気づかれなかったようだ。

 重い足取りでフィフスは小屋内へと入る。
「ナイト……」
 想像以上に自分の声は低く、重苦しい声であった。
 闇夜の中ナイトの赤い瞳がこちらを映し出した。
「その声はフィフスかな? 生きていたんだね」
 ひどく淡白な反応だった。
 フィフスは自分の中の温かさが消えて行くのを感じた。
 まるで捨てられた時のようだ。何も感じていないあの言葉、あの時のように心が冷たくなる。
 そしてフィフスは確信した。

 この世界では自分は独りぼっちなんだと。

 信用できるポケモンなんていないんだと。

「どうかしたかい?」
「いや、何にもないさ、ただ少し考え事をしてただけ」
 暗闇で何も見えないはずなのにフィフスは作り笑いを作ってナイトに笑いかけた。

 
 
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・ここで一区切りさせていただきます。ここまで読んでくださりありがうございました。
 何かコメントをいただけるのならうれしく思います。
 続き [[失われた感情4]]

#pcomment(,,)

IP:61.7.2.201 TIME:"2014-02-26 (水) 18:03:46" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%A4%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%84%9F%E6%83%853" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/33.0.1750.117 Safari/537.36"

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