作者名:[[風見鶏]] 作品名:失われた感情2 前作 :[[失われた感情1]] 注意:この作品には&color(red){強い};官能描写があります。 →特に&color(white){強姦};が苦手な人はバックしてください。 ---- 薄暗く怪しい森にまばゆい朝日が昇る。 人気のない森の朝は恐ろしいほど静かだ。 朝露が光を反射しまばゆく木々を装飾している。 「う……」 かすれた声で体をおこすのはフィフス、体には生々しく精液と愛液の混合物がへばりついている。 そばにはシア、彼女もフィフスと同様ひどい姿で床に伏せている。 「……」 自分は何をしているんだ? 一番最初にその言葉が頭に浮かぶ。 いや、そもそも自分は自分なのか? 僕? 私? それとも……俺? そもそも自分が誰なのかさえ今のフィフスには分からなかった。 まさに今がすべて、そして目の前には、みだらな姿で気絶しているメスがいる。 フィフスはゆっくりとシアに馬乗りの形をとる。 そう、本能という名のもとに、フィフスは勃起したペニスをシアの秘所へと導く……。 「っ! あぁっ!?」 突然ペニスを挿入されシアは飛び起きる。 彼女に走ったのは苦痛ではなく快感、 すでに彼女の体は性道具になってしまってたのだ。 見開いた瞳は輝きを失い焦点があっていない。 そして体は快感を求め小さく痙攣している。 さらに秘所はモノをいつでも受けられるよう愛液をとめどなくあふれさせなんとも厭らしい。 「――くああっ!」 挿入すると同時に性行為独特の快感がフィフスの体に走る。 そしてその快感を求めさらに腰をふる。 シアは口をあけたままひたすら犯されることの快感を受け止めていた。 彼女自身も、本能に従順に従う一匹の獣だった。 「うああっ――はあっ!」 子供とは思えない獣じみた喘ぎ声。 「あはああぁっ!?」 それと同時に大量の精液がシアの子宮を満たす。 もはや悲鳴なのか喘ぎ声はの区別もつかない声でシアは叫ぶ。 行き場のない精液はシアの下腹部を膨らませていた。 数々の性行為で疲れきっているフィフスは一度精を放出しただけでシアの体に倒れこむ。 幼い体には、限界というものが訪れていた。 しかし、だれも休息は許さない。シアは手慣れた動きで膣を締め上げる。 秘所から厭らしく愛液が流れ、フィフスのペニスを締め付ける。 それは子供には強すぎる刺激だった。 「うぐぅっ!?」 くぐもった悲鳴を上げる。シアの番だった。 シアは体勢を入れ替え自ら腰をふり始める。 膣内に残っている精液が卑猥な音を立て行為の生々しさを引き立てる。 じきにシアにもそれは訪れた。絶頂という名の終わりが。 「うっ、はぁっ……!」 大きく体をのけぞらせ、シアは一心に快楽を受け止める。 「うああっ――!」 フィフスも連続して射精を強要される。 それはわずかに残った自我のかけらをさらに粉々に砕く。 連続にもかかわらず精は大量に放出しシアの下腹部を胎児が宿ってるかごとくまで膨らませる。 しかしシアは苦しげな表情を微塵も見せない。 むしろ恍惚とした表情を見せうつろな瞳は興奮の色を見せる。 何もかもが彼女の快楽のもとなのだ。 そしてその症状もはや末期。性道具になった彼女の先にはもうなにも待ってはいない。 「ふ……うっ、あぁ……」 シアがペニスを引き抜くと、そこから滝のように精液があふれ出す。 そしてそれはフィフスの黒い体を白く染め上げる。 膣口からあふれす精液の勢いが弱まるころには、フィフスの体は白濁液でまみれ、 かつてないほどの悲惨な姿になっていた。 そんな姿になっても慈悲は誰も示してはくれない。 シアはフィフスに体を密着させる。当然シアの体に粘着質な精液がまとわりつき、淫らな姿を晒す。 もうわかっているとおり、そんなことは関係なかった。 強引に唇を奪い、ディープキスをする。 そして終わりなき行為は再び始まるのだ。 二匹の間には太陽は差し込まない。夜が明けることはないのだ。 「はっ! あぅ――!」 苦しげな声を上げつつシアは喘ぐ。 それはフィフスも同じだ。 時は昼過ぎ、暖かい気候の中、二匹だけがむせるような暑さとにおいに包まれながら過ごしていた。 「――っ!」 二匹の絶頂は声なき悲鳴になる。 声なき悲鳴は誰にも届かない……。 「うぐッ……」 一体どれほど気絶していただろう……? 目が覚め、空を見上げると星空が浮かんでいた。 ……心臓が痛い。まるで締め付けられるようだ。 傍らにはメスが倒れている。 また……また本能がうずく……。 自分たちが纏う性のにおいで本能が刺激されてきているのだろうか。 耐えがたい衝動が襲ってくる。 そして、またシアの体に手を伸ばす。 彼女の体は冷水のように冷たかった。それにフィフスは違和感を抱く。 ……死んでいる? 確信じみたものがあった。本能でわかったのだろう。 そしてそれの認知と同時に性衝動も消えてしまった。 いくら自我が崩壊していようと死姦は許容範囲ではないようだ。 「……」 なぜか何も感じない。普通何かしらの感情を感じるはずなのに、 フィフスには何も感情が浮かんでこなかった。 「おなか減ったな……」 唐突に耐えがたい空腹が襲ってくる。 よくよく考えれば無理もない、幾日も何も食べていないのだ。 唯一口にしたものといえば、あの媚薬、そして二匹の精液……。 どちらもよろしくない。 フィフスはよろよろと立ちあがる、あれだけ性行為をしたのだ。 やはり動くことはつらいものだった。 冷たくなったシアは目を覚ます様子もない。 恐ろしいほど冷静だった。フィフスはそのまま外へと出る。 月がきれいな晩だった。 月夜に照らし出されたブラッキーの姿は模様が輝き美しい。 しかし今のフィフスは美しいという言葉とはかけ離れ、汚らわしいという言葉が似合う。 性行為の後ろくに洗わず放置していた体は精液がしみとなり、 なんとも言えないコラージュとなっている。 そして現実、においもひどいものだった。 もう姿自体でフィフスの存在は異常としてとらえられる。 しかしそんなものは気にしない。 フィフスに周囲の視線を気にする余裕などなかったからだ。 とにかく空腹を満たしたい、それだけが今の考えだった。 やがて、フィフスは木の実のにおいを感じ取った。 これは……オボンの実か、早く……早く口にしたい……! 自然と早足になる。 「……っ!」 見つけた! フィフスは姿を確認するとともに一目散に走り出す。 「誰だっ! そこをのけっ!」 「つっ!?」 フィフスは側面から体当たりを食らいバランスを崩す。 「おまえ……俺の食料に何か用か?」 声の主はグラエナだった。そう、フィフスが自我を持っていたころに出会ったグラエナだ。 「おなかがすいた、だから貰いに来たんだ」 フィフスはためらうことなくこたえる。 もともと屋内で育ってきたフィフスには素でわからなかったのだ。 「おまえ、それが答えなら容赦はしねえぞ……?」 グラエナは身構え、フィフスを睨む。 フィフスはその様子を見ても表情一つ変えようとはしない。 「答えね、ただおなかが減っている。だから木の実をもらう、それじゃあいけないのかな?」 罪悪感というものがない分フィフスにはグラエナの行動が不思議でたまらなかった。 しかしその言葉はグラエナを激昂させるのに十分だった。 「貴様っ! バカにするのもいい加減にしろよ!」 いきなりとびかかりフィフスの首筋にかみつく。 「ぐっ……」 ちょうど気管を狙ってきた。息がつまり呼吸が苦しい。 むぅ……このままあんまり時間はかけられない……。 危機的状況のはずなのにフィフスの思考は冷静だ。 焦りというものがないせいだろうか、フィフスはわずかな時間の中で思考をめぐらす。 ゆっくりとフィフスはグラエナに体重をかける。 ……気づかれてない。 次の瞬間、フィフスは思い切りグラエナの足元をすくう。 「――っ」 「ぐッ……あ……!?」 グラエナは首から地面にたたきつけられ絞り出すような悲鳴を上げた。 フィフスは新鮮な空気を吸い込む。わずか一分ほどの出来事だった。 「さ、もらってもいいよね?」 かまれた傷を気にしながらフィフスはグラエナに聞く。 ジンジンする、一体どうしたのだろう。 「う……げほっ、げほっ……」 グラエナは何か言いたげだが言葉にならずせき込んでいる。 首から落としたせいで呼吸器にダメージを負ったのだ。 しかしそんなことをフィフスが知るはずもない。 「――っ! うぐっ!」 フィフスは乱暴にグラエナの首を踏む。その瞳はいら立ちの表情を見せていた。 「早くこたえてよ、もらっていいよね?」 声音が低い、目つきも少し鋭くなっていた。 早く空腹を満たしたい、それだけが今のフィフスにはあった。 「――っ!」 グラエナは苦しげな表情でフィフスの前足をのけようとする。 声を出そうとしても出ないのだろう。 しかし今のフィフスは容赦なかった。のどを踏んでいる前足に体重をかける。 「あぐ……!」 くぐもったうめき声が漏れた。いよいよ苦しくなってきたのだろう、体が小さく痙攣しはじめた。 「いいよね?」 非道だ。誰から見てもその光景はそうだろう。 グラエナは観念したのか首を縦に振る。それを見てようやくフィフスは抑える前足をはなした。 激しくグラエナがむせる。しかしそんなのにはお構いなしにフィフスはオボンの実へと貪りついた。 ……まるでハイエナだ。 「うぅ……!」 久々の食事にフィフスは思わず声を漏らす。 体にしみわたって行くようだ。 「また奪われるのか……、畜生……」 グラエナが小声でつぶやく。そのフレーズをフィフスは聞き逃さなかった。 「どういうこと……かな」 奪う、その言葉の言われる理由がフィフスにはわからなかったのだ。 しかしその質問には答えずにグラエナは去ろうとする。 「まっ、待てよ!」 フィフスは止める。しかしグラエナが振り返ることはなかった。 ただ去り際に一言を残しただけ……。 「金だ……金を手に入れなければ……」 その言葉は妙に生々しくフィフスの脳に響いた。 後に残ったのは一本のオボンの木となんとも言えない嫌悪感だけ。 「くそっ!」 フィフスはオボンの木を蹴りつける。木は大きく揺れ、熟した実を地面へと落とす。 しかし今は食べる気にはならなかった。 あれだけ空腹だったはずなのに食欲がわかない。 それどころかやり場のないいらいらがフィフスの中にあった。 一体この感情はなんだ? どうしてこんなにも自分は荒れているのだろうか? 「一体どうしたんだよ……俺……」 とりあえず何か気を紛らわせたい。水浴びでもすれば気がまぎれるだろうか。 フィフスは小川へと向かう。断片的な記憶の中にはその小川の中にシアの姿が映っていた。 シア、今のフィフスには彼女がどんなポケモンだったかは分からない。 ただグラエナの仕草から考えると、彼女がただものではなかったことがわかる。 そうこう考えているうちに小川が見えてきた。 「ふう……」 冷たく流れる水はいやな気持ちを紛らわせてくれる。 汚れた体も水浴びをすることによって幾分きれいになってくれた。 しかし……これからどうすればいいのだろう? グラエナが最後に言ったあの言葉、まるで張り付くように残っている。 「金だ、金を手に入れなければ……」 飢えという言葉をそのまま表したようなつぶやき方。 いずれ自分もその金というものを手に入れなければならないのだろう。 ……探さなければ。 フィフスは体から水滴を振り下ろすと歩きだす。 もちろん行くあてなどない。 それでも行かなければならない。……生きるために。 腹も幾分満たされ、水浴びもしたので若干気分が安定してきた。 ここについても若干わかってきたつもりだ。 しかし心の空白感は消えることはなかった。 「……」 何もしゃべる気にはなれない。気持ちの表し方がわからない。 自分はなぜこんなことになった? それを問うたびに頭が混乱する。何も考えたくなくなる。 でもそれではいけないことは分かっている。 なら、どうすればいい? その答えは時を経て見つけるしかないだろう。 だが今のフィフスにはその答えは難しすぎる。 ただ自分の思うがままに今は進むしかなかった……。 やがて夜は明け、朝日が昇る、結局フィフスは寝ずに歩き続けていた。 眠気すら襲ってこなかったのだ。あまり疲れてもいない。 「っ! ここは……?」 朝日が差し込み、視界が良くなったのだろう。 目の前に見えてきたのは古ぼけた小屋。フィフスは足音を忍ばせ様子を見る。 何と言うかこういうのを見ると調べずにはいられない。 子供ゆえの好奇心というやつだろうか? 窓は古くなり汚れてはいるが中はのぞけるようだ。 中には誰もいない。 ……少しここで休憩でもしようか。そんな考えが浮かぶ。 「誰だ? ここは日中やらない主義なんだ。依頼なら夜に来ておくれよ」 思わず飛び上がりそうになる。オスの声だ。振り返るとそこにはヤミカラスがいた。 気配を感じなかった。そっちのほうにフィフスは驚いていた。 「おや、まだ子供じゃないか。こんなところにくるもんじゃないよ、さっさと帰りな」 ヤミカラスは眠そうな顔で翼をふる。相手にしていないようだ。 「依頼?」 聞いたことのないフレーズにフィフスは思わず首をかしげた。 「なんだ、そんなことも知らないんだね。依頼ってのは物事を頼むこと。まあお金がかかるけどね」 やんわりとした口調だ。聞いてるこっちも眠くなってきそうな声。 「そんでもって、仕事を受けた人は成功すればお金がもらえるの、わかるかな?」 フィフスは黙ってうなずく。しかしそこまで詳しくは理解してはいなかった。 ただ金になる。それでフィフスは返事をしていた。 「ふうん……、ということはここに用があってきたってことかな。 一体なんのようだい? 身売りか?」 ヤミカラスはやっとフィフスを相手にしてくれるようだ。 別に腹は立たなかった。そういう皮肉はフィフスには分からなかったからだ。 「み、身売り……?」 またわからないフレーズだ。直感的にどんなものかは想像つくが。 その言葉を発した直後ヤミカラスは少しめんどくさそうな表情を見せた。 「なんだ、それも分かんないのかよ……こっちに来な」 すると翼を広げ、身軽に飛翔した。フィフスはその様子を興味深く見つめる。 「黙って見てないでこっちに来な。こちとら夜行性なんだから眠いんだよ」 少しいらだった声が混じる。このままいてもよくないことになりそうだ。 フィフスはあわてて奥に羽ばたいて行くヤミカラスについて行く。 「う……」 いやなにおいにフィフスは顔をしかめる。 性特有の鼻につく香り……。いやな光景がよみがえる。 どうやら身売りとはフィフスの想像していたとおりだったようだ。 「ん、ちょうどいるようだね。あれをよく見てみな」 そう言ってヤミカラスは茂みの向こう側を示す。 フィフスはヤミカラスと同じよう身を隠しながらその方向を見た。 「――っ!」 フィフスは思わず叫びそうになった。 そこにいたのはあのグラエナだった。 そばに子供らしきポチエナがいる。気のせいか少し震え、泣きそうに見えた。 「ここからなら声も聞こえるだろう。あんまり動くんじゃないよ、見つかるからね」 ヤミカラスはちょうどフィフスの後ろに立つ。 フィフスが違和感を感じるよりも先に目の前に動きがあった。 「お、お父さん……、一体ここはどこ? なんだかすごく怖いよ……」 どうやら子供という過程は正解だったらしい。 声が震え今にも泣き出しそうな声。どうやらフィフスと同じ年ぐらいのようだ。 グラエナは黙ったまま何も言おうとはしない。その瞳には何も映ってはいなかった。 朝日の光すらも反射していない淀んだ瞳……。 「お、お父さん……?」 ポチエナは察したのかグラエナから一歩引く。だが、逃げ場所はなかった。 「ごめんな……」 そう一言だけつぶやくとグラエナは乱暴にポチエナを押し倒す。 「や、やめてっ! あっ! あぁっ!」 必死に叫ぶがグラエナはやめない、 ポチエナの首筋をやさしく舐めると徐々に徐々に下へと下がる……。 「ひあっ!」 その下が秘所をとらえた。ポチエナは大きくのけぞり快感の悲鳴を上げる。 そして早くも秘所からは愛液が漏れ出し始めていた。 すでにポチエナは抵抗する力が抜けてしまったようだ。 荒い喘ぎ声がなんとも痛々しい……。 実の父であるはずのグラエナはもはや存在してはいない。 なぜこんなことになっているのか、フィフスには知るよしもなかった。 ただ目の前に存在しているこの光景だけがすべて。 言葉も出なかった。 「あっ……あああぁっ!」 絶頂が訪れる。ポチエナは白目をむきながら愛液を大量に噴出した。 それはグラエナの顔を濡らし。同時にポチエナ自身を快楽の渦へと引き込む。 「あ……はぁ……」 そのままポチエナの意識は闇の中へと引き込まれていく。 だがグラエナは許さなかった。 舌を秘所の奥へと這わせていく。 「――あっ!」 強い刺激にポチエナはたたき起こされ体を小さく痙攣させる。 そしてその様子を確認するとグラエナはおもむろに立ち上がる……。 次にすること、それはもうわかっていた。 「そ、そんな……もうやめて……」 涙を浮かべながら必死に助けを請うポチエナ。 だが疲れ果てた体で逃げられるわけもなく、開かれた股はほんのわずかに閉じることもかなわない。 グラエナは大きく膨張したペニスを幼子の秘所へとうずめる。 「あっ! い、いやぁっ!」 悲痛な叫びはただオスの興奮を掻き立てるだけだ。 「――あぁっ!」 グラエナのペニスが、無情にもポチエナの処女膜を破る。 痛みにポチエナはのけぞり涙をとめどなくあふれさせる。 だが次の瞬間にはグラエナの一突きで痛みは快感へと塗り替えられていった。 幼いポチエナを気遣う様子もなく容赦なく攻めるグラエナ。 ポチエナはもう快感に抗うことなく喘ぐことしかできなかった。 そして行為は来るべき絶頂が迎える。 「う――っ!」 「やっ……はあぁっ!?」 ポチエナは中に流し込まれる大量の精液を感じながら絶頂を迎える。 彼女もフィフスのような末路を迎えてしまうのだろうか……。 最後の瞬間フィフスは思わず目をそらしていた。 「子供には刺激が強すぎたかな?」 ヤミカラスがあざけるような笑みでこちらを見つめてくる。 フィフスは黙ったまま何も言わなかった。 体の中で渦巻く衝動。そして何かはわからない嫌悪感。 いろいろなものがフィフスの中で混ざり合っていた。 「ふふっ、どうやらお客さんが来たみたいだね」 ヤミカラスはフィフスの顔を無理やりポチエナの方向に向かせる。 すると果てた二匹のそばにヘルガーが現れていた。 「よぉ、新人さんかい?」 そう言うとグラエナを押しのけ、ポチエナの顔を見つめる。 ポチエナはさっきの行為ですでに疲れ、瞳の焦点があっていなかった。 「おい、そこのおまえ、こいつを買うよ。受け取りな」 ヘルガーはポーチから紙幣を取り出すとグラエナに押し付ける。 グラエナは受け取るとすぐに走り去ってしまった。 ただ、変わり果てたわが子を惜しむように一度振り返っただけ。 それきりグラエナが戻ってくるようなことはなかった。 「お、お父さん……なんで……?」 半分うわごとのようにポチエナはつぶやく。 言いようのない痛々しい姿がそこにはあった。 だがヘルガーはそんなポチエナを無視しいきなり行為を始める。 「――っ!」 口を大きく開き声なき悲鳴をポチエナは上げた。 だが、誰も助けるものなどいやしなかった。 もうフィフスはそれ以上彼女を見なかった。 言いようのない何かがフィフスにみるのをやめさせたのだ。 そこに何があるかは分からない。 でも、このまま見続けていても気分が悪くなるだけなのはわかりきっていた。 「耐えきれないかい? これが身売りなんだよ。大丈夫、恐いのは初めだけさ。 後には気持ちいいのしか残らないから」 ヤミカラスが囁くようにフィフスへと語りかける。思わずフィフスは身震いした。 「どうやらこっちにもお客さんが来たみたいだよ」 ……え? 体が硬直するのをフィフスは感じた。 そこにいたのはエネコロロ、身なりはきれいでとてもこのような場所には似合わない。 だが、瞳には光は灯ってなく、フィフスを性の対象としてしか見ていなかった。 「じゃあこれで失礼するかな。せいぜい体張って稼ぐことだね」 そう言ってヤミカラスは立ち去ろうとする。 「そ、そんなっ! こんなの望んでいない!」 フィフスは叫ぶ。しかしヤミカラスは無視しエネコロロに何かつぶやくと去っていく……。 エネコロロは言葉を聞くと、うなずき、フィフスへと歩みよっていく。 こんなの……いやだっ! だが抵抗する暇もなくフィフスは押し倒され容赦なく唇を奪われる……。 「んんっ――!」 エネコロロの舌が絡まる……。 あの時と同じ、フィフスは何もできない。 そう、これは恐怖という感情。恐怖以外の何物でもなかった。 今すぐにでも離れたい。しかし離れることなどできなかった。 ここにきてエネコロロの特性メロメロボディの効果が発動しているのだ。 心は拒否しているのに体が動かない……。 「……うあっ!?」 下腹部に強い快感が走る。無理やり秘所に挿入されたのだ。 エネコロロは自ら腰を動かしフィフスを犯していく……。 「あっ、や、やめ――あぁっ!」 すでに先ほどのポチエナの犯される様子を見ていたフィフスは時間を絶たず絶頂に達してしまった。 エネコロロの子宮内に大量の精液を放出する。 フィフスが快感にあえぐ様子をエネコロロは恍惚とした表情で眺めていた。 彼女自身もまた、快感に身を任せていた。 「……こんなに可愛くて、幼いのにどうしてこんなに淫らなの?」 はじめてエネコロロがしゃべる。この場には似合わない透き通った声。 射精後の疲れをかみしめながらフィフスはその声を聞く。 「子供だと思ったけど間違いだった。私、あなたを買うわ」 エネコロロの瞳が妖しくフィフスを映し出した。 そして……あとは言うまでもない展開。 快楽に抗えないフィフスはエネコロロに従うしかなかった。 やがてフィフスがぐったりとして動かなくなったころエネコロロは行為をやめ、 よろよろと立ちあがる。 「ふふっ……、もっとほしいとこだけど、さすがにこれ以上は私が壊れちゃうわ……。 じゃあね、楽しかったよ」 そう言うとそばに紙幣を置きその場を立ち去る。 しかしフィフスの耳には入っていなかった。 性行為によって体力を奪われたフィフスは意識を失っていたのだ。 それは幼い体の休ませるための自己防衛。無理もないことだった。 しかし現実はそれを許さない。残酷なのだ。 「お友達に、よろしくね……」 エネコロロは去り際にそう言っていた。 そう、それは新たな買春者の出現。 「やっぱりここにいたんだね、いいオスは見つかった?」 そこに現れたのはキュウコン、その妖艶な笑みは見る者を誘惑する。 だが彼女もほかのポケモン同様、瞳は飢えというものに満ちていた。 「あっ――!」 フィフスの夜は終わらない。その体を買われ続ける限り。 行為のたびに発せられる喘ぎ声、悲鳴は新たなる欲望に満ちたメスを呼び、 新たなる快楽を呼び込む。 フィフスは悟った。 自分が簡単にポケモンを信用してしまったせいでこんな目にあっていること。 先を見ないせいでこういう現実にたどり着いてしまったこと。 「うっ、あっ、はあぁっ――!」 また、気持ちよくなって――っ! 一体どれくらいの時間がたっただろう……。 いや、実際それほど時間はたっていないのかもしれない。 あたりは夜、あれからフィフスは何匹ものメスに精を奪われた。 今は立ち上がる気力すら残っていない。体は疲れ果て、精液と愛液にまみれている。 確かにこれで金は稼げるかもしれない。でも失うものが多すぎる。 いまやフィフスの心は考えることをやめたがっているのだ。 さんざん休む暇もなく犯され続け心は荒んでしまった。 泣きたい、でも涙も出ない。これからどうなってしまうのだろう……。 月明かりがフィフスの体をうつしだした。 「どうだ? 体張って稼いだ気分は」 この声は、ヤミカラスの声だ……。 フィフスは体を回転させ声の方向に振りかえる。 「っ! ほう、こりゃあ驚いたな。あれだけ犯されて廃ポケになっていないとはね」 ヤミカラスが少しだけ驚いた表情でフィフスを見つめる。 フィフスは睨み返す。だがうまく行った気はしなかった。 「その様子だとすでに犯されてたんだな……。どうだい? 気持ちいいもんだろ?」 ヤミカラスは相変わらずのやんわりした口調でフィフスに話しかける。 「ふざけるなよ……俺はこんなこと望んでなんかいない……!」 フィフスは持てる気力でヤミカラスに突っかかる。 だがヤミカラスはひるみもしなかった。 「おぉ怖い怖い、でもよかったね、無事で、ほら、あの子見てごらんよ」 ヤミカラスが示すのはあのポチエナ。 フィフスはその方向を見る。 「うっ……」 それはお世辞でもいい光景とは言えなかった。 大量の精液にまみれ灰色の体は白く染まっている。 そして幾度も犯されたであろう秘所は行為の激しさを物語るように愛液が今も流れていた。 肝心の彼女も完全に自我を崩壊させられたらしく、瞳は光を失い。 気絶している今もモノをほしがるかのように体をけいれんさせている。 ……そう、まさに廃ポケになってしまったのだ。 フィフスは言葉を失った。 ヤミカラスはそんなことは当たり前というように見つめている。 「さ、どうするかい? このまま身売りを続けるかい? いやだったらいいけどね」 ヤミカラスは果てているポチエナを放置しフィフスに話しかける。 いやに決まっている。フィフスは首を横に振った。 「ま、それが正解だろうね。じゃあここでもう一つ質問だ。 もう一つ仕事がある。だが、それはものすごく危険で、命にかかわる仕事だ。 それを君はするかい?」 ヤミカラスは赤い瞳をこちらに向け問いかける、表情からしてこの話は真実なのだろう。 「……それしかないのなら、俺はそれを選ぶ」 生きるためには金が必要。その金を得るために死ぬのならそれまでだ。 「へぇ……、面白いね。じゃあ試させてもらおうかな。こっちにおいでよ」 ヤミカラスは興味深そうな目で汚れたブラッキーを見つめると、小屋のほうへと羽ばたいて行った。 フィフスもよろよろとついて行く。 「今度だましたらただじゃおかないぞ……」 今の状態では説得力はないがフィフスは圧力をかける。 しかしヤミカラスの反応は意外だった。 「誰もだましてはいないさ。ただ身売りかと思っただけ。はっきり言わない君が悪いんだよ? それにさ……」 ヤミカラスはポーチからリストらしき用紙を取り出す。 「情報屋が嘘ついちゃあ、情報屋の意味がないでしょ?」 フィフスは突き出されたリストを読む。 そこには鮮明な地図が描いてあり、さまざまな情報が記述されていた。 「これで信じてくれるよな? そうときまったらさっさといくよ」 ヤミカラスは足早に小屋の方向へと去って行ってしまった。 情報屋、依頼がどうとかこうとかと言っていたがそう言うことだったのか……。 夜道を歩きながらフィフスは考えていた。 今の自分は何のために生きているのだろうか? トレーナーに捨てられ野生の世界へと入った自分に待っていたのは数々のつらい現実……。 そんな中でも自分は抗ってここにいる。 じゃあ何のために? ……もしかしたら答えなんてないのかもしれない。 ただ生きたいと思う本能からここにいるのかもしれないな。 そうだとしたら、こんなつらい現実から逃れたほうが楽かもしれない。そう思ってしまう。 でも、それでも……、 なぜか生きていたくなる。 なぜだろう? 野生の世界、その裏社会にほんろうされ続ける幼いポケモンは難しすぎる答えを探していた。 いつかその答えを見つけることができるのか。それは誰にもわからない。 きっとこれから先も失うものはきっとあるだろうし、得るものもあるだろう。 その大小には関係なく。 もしかしたら答えは永遠に見つからないかもしれない。 もしかしたら問いはいつしか歪んでしまっているかもしれない。 それでも彼は生き続けるだろう。 彼自身が生きたいと思う限り……。 月夜の晩。一匹のブラッキーが薄汚れた体を引きずりながら森の奥へと消えて行った。 ---- ここで一区切りさせていただきます。 ここまで読んでくださりありがとうございました。 何かご感想をいただけるのならうれしく思います。 ・次[[失われた感情3]] #pcomment(,,) IP:61.7.2.201 TIME:"2014-02-26 (水) 18:03:31" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%A4%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%84%9F%E6%83%852" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/33.0.1750.117 Safari/537.36"