喫茶店『月明かり』 ~欠けた月と太陽~ [[白いユリ]] ここはポケモン達が暮らしている森の中。 その森の最深部に一つの建物が建っていた。 どこか懐かしく、寂しい音楽とともによい香りが漂ってくる。 そこはポケモンも人間も分け隔てなく接する喫茶店だった。 これはそんな喫茶店に住み着いたポケモン、ブラッキーの物語。 早朝、窓から差す日差しでブラッキーは目を覚ました。 彼が起きて思ったこと、それはこの場所は自分の住処ではないということ。 そして傷ついた体に包帯が巻いてあったことだ。 ・・・・・包帯の巻き方の綺麗さは別として。 壁に掛けてある時計を見てみると午前6時を過ぎていた。 彼はどうしてこんな所にいるのかを考えるため記憶を掘り起こしていた。 昨日の夜、縄張りを荒らしに来た他のポケモン達と戦っている途中で崖から足を滑らし転落、 よく知らない崖の下を傷ついた体で歩き回って小さな小屋を見つけたが気絶した。 完全に意識が途絶える直前に誰かの声を聞いた気がする・・・・・ そんなことを考えていた彼の思考は開かれた扉の音で遮断された。 「起きたのか・・・・・」 扉の向こうから人が入ってきたからだ。 どうやら男のようで白いシャツに青いジーンズを着ている。 彼はすぐに男に対して臨戦状態に入った。 しかし、強がって見せたものの傷が痛み立っていられなかった。 「おい!まだ動くんじゃねぇ!」 男が怒声を放ちながらこちらに向かってくる。 その手の中にあった物は―――――パンと牛乳だった。 男はそれらをブラッキーのすぐそばに置いた。 「それ、食っとけよ」 そう言って男は部屋から出て行ってしまった。 彼はわけもわからずに呆然としていたが、 腹から抗議の音が鳴り響いたので置かれていた食事をありがたく頂戴した。 数十分後、ブラッキーが傷の具合を確かめていると足音が聞こえてきた。 その数秒後、部屋の扉が再び開かれた。 「飯は食い終わったか?」 先ほどの男が新しい包帯を持って部屋に入ってきた。 「(余計なお世話だな)」 ブラッキーはポケモンの言葉を人間は理解できないと知っていたため悪態をついた。 だが男の次の発言はブラッキーの予想を裏切った。 「助けられておいて憎まれ口か?礼の一つも言えないみたいだな」 ブラッキーは男の返答に目を見開いた。 そして一つの疑問をそのまま口にした。 「(お前はポケモンの言葉がわかるのか?)」 「ああ、だから何だ?」 男はブラッキーの質問に当たり前のように答え、包帯を巻きなおしてまた部屋を出ていった。 ---- #pcomment(喫茶店『月明かり』 ~欠けた月と太陽~のコメ,10,); IP:61.22.93.158 TIME:"2013-01-14 (月) 18:34:42" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%96%AB%E8%8C%B6%E5%BA%97%E3%80%8E%E6%9C%88%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%80%8F%E3%80%80%EF%BD%9E%E6%AC%A0%E3%81%91%E3%81%9F%E6%9C%88%E3%81%A8%E5%A4%AA%E9%99%BD%EF%BD%9E" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"