[[仮面の王]] ---- ここはとある学校の体育館裏…… ドカッ!! 「うっ……」 バキッ!! 「ガッ……」 ガスッ!! 「うあっ……」 一匹のアブソルが、ドラピオン、ライボルト、ヘルガーの三匹に一方的に攻撃されていた。 そのアブソル、頭の鎌が右側ではなく、中央に生えていた。 ド「おら、何時もみたいに言ってみろよ、「もうやめてください~」ってよ、止めるかも知れないぜぇ?」 ラ「もっと俺達に懇願しろよ、女みたいに泣きながら「い、いじめないで……」ってなぁ!!」 へ「ちょっと、それって女を侮辱してない?こんな泣き虫と一緒にしないでよ、女が汚れるわ」 そういってドラピオン達は、笑いながらアブソルをフルボッコにしていた。 キーンコーンカーンコーン…… へ「あら、昼休みが終わっちゃったわ」 ラ「アニキ~、こいつどうします~?」 ド「ケッ、ここに捨てても誰も文句言わねぇだろ、ほっとけ、教室戻るぞ」 ラ「りょうか~い」 へ「あ、先に戻ってて、私は少し用事があるから」 ヘルガーがそう言うと、ドラピオンとライボルトは笑いながら教室に戻っていった。 そしてその場には、呻き声をあげるアブソルとヘルガーが残された。 ア「ううっ……」 地面にうずくまったアブソルを、ヘルガーは冷ややかな目で見下していた。 が、次の瞬間フッと表情が綻び、優しい顔になる。 そしてアブソルの傍に移動すると、隠し持っていたオレンの実を側に置いた。 そして開口一番、「ごめんなさい……」と呟いた。 すると、今までうずくまっていたアブソルが、何事も無かったかのようにスクッと立ち上がり、オレンの実を頬張った。 ア「別に気にしてないよ、あのグループ辞めたいんでしょ?」 へ「ええ……でも……」 ア「抜けたら何をされるか分からない……か」 そう、このヘルガーは実はとってもイイ奴なのだ、ドラピオン達にある弱みを握られ、仕方なしにこのような虐めを働いているのだ。 最近は虐めの終わったあと、わざわざ嘘をついてアブソルの手当てをしていた。 へ「だけどもうイヤ!!こんな生活耐えられない!!こんな事ならいっそ死んだほうがマシよ!!」 暫く黙っていたヘルガーは泣き出し、アブソルの肩に泣きついた。 数分ほど泣いた後、ヘルガーはキッと表情をキツクする。 へ「決めたわ、私、今からあいつ等に言ってくる」 ア「はぁ!?止めといたほうがいいよ、殺されちゃうよ?」 へ「この先ずっとこんな人生歩むくらいなら、殺されてやるわよ!!」 どうやらヘルガーは、死ぬ気であいつ等と話す気らしいが…… その時、物陰から誰かが出てきた。 ?????「ほう、殺されてもいいんだな?」 ア&へ『!!!!!』 ?????「じゃあ、殺されるよりもっと嫌な事……シテやろうか~?」 物陰から出てきたのはドラピオンとライボルトだった。 へ「まさか……今の話聞いて……」 ド「やれ、ライボルト」 ラ「合点!!」 ライボルトは電光石火でアブソルを吹き飛ばし、ヘルガーを組み伏せた。 へ「い、イヤ……何するつもり……」 ド「決まってんだろ!!今からオメェを犯しまくってやるんだよ!!」 へ「い、イヤーーーー!!誰か…・・・誰か助けてーーー!!」 ラ「残念だったなぁ!!誰もたすけになんかk『邪魔だ、失せろ』 次の瞬間、ライボルトは何も言わずに倒れた。 あわててドラピオンが振り向くと、今まで感じたことの無い殺気を放つアブソルがいた。 ド「い、いつの間に……」 ア?『失せろ、下衆が』 するといきなりドラピオンは吹っ飛ばされ、アブソルがヘルガーを背負って何処かにいこうとしていた。 ド「ま、待ちやがれ!!」 するとアブソルは、一枚の紙切れを残して消えた。 『&color(Red){今夜12時、この場所に来い}; &color(Red){○○○ー××××}; &color(Red){来ても来なくても殺す};』 その字は血で書かれていた…… ★ 場所、時間ともに変わってアブソルの家…… アブソルは気絶したヘルガーを自分のベッドに寝かせた。 ア「はぁ……、今の内にあいつに連絡入れとくか……」 おもむろに携帯を取り出し、ボタンをプッシュしていく。 何回かコールが続き、5回目辺りで相手が出た。 ア「よう、&ruby(チャリオット){戦車};、今日は少し暴れさせてもらう、&ruby(ヒーラー){回復班};か蘇生班の用意を頼む。……ああ、分かった、今度な、じゃあ……」 通話を終えると、その辺のソファーに携帯を投げ置いた。 すると、気絶していたはずのヘルガーがムクリと起き、アブソルを見つめた。 ア「あ、起きた?」 ヘ「ココは……」 ア「僕の家の自室のベッドの上だよ、どっか痛い所とか無い?なるべく丁寧に運んだつもりだけど……」 へ「……しいて言うなら心が痛いわ……」 ア「そう、何処まで覚えてる?」 へ「…貴方に背負われて、ドラピオンに紙切れを投げた辺りまでかしら……」 ア「そう……、じゃあもう飾らなくても良いよな?俺の事、雰囲気違ったろ?」 へ「貴方は一体……」 ア「僕は俺で、俺は僕さ、別に多重人格なわけじゃないよ、強さを求めていったらこんなになっちゃった」 へ「一体いつから……?」 ア「え~っと……君があいつ等に弱み握られて虐めてくるようになった2,3ヶ月ぐらい前?ある所で死に物狂いで戦ったら強くなっていったんだ」 へ「どんな……所?」 ア「そうだね……簡単に言うと、「死んでも生き残れ」って感じかな、相手が死ぬかギブアップするまで戦い続けるんだ、実際、僕も2回ほど死んだしね。あ、心配しないで、蘇生班って言うのがいて、死んだら生き返らせてくれるから、だから今ココにいる僕は「生きてる」よ、幽霊とかじゃないからね?」 ヘ「…………」 ア「怖い?」 へ「……(コクン)」 ア「でも……見てみたい?」 へ「……(コクン)」 ア「やっぱり、君ならそうだろうとは思ったけど……昔から変わってないね」 ヘ「貴方は変わってしまったみたいだけど?」 ア「全然、確かに強くはなったけど、変わった所はないつもりだよ?顔だって、体つきだってね、それに…… 君への思いもね……」 へ「ッ!!!!!!!!!!」 途端にヘルガーの顔が(分かりにくいが)真っ赤になった。 へ「憶えてて……くれてたんだ……」 ア「モチロン、10年前の事とはいえ、忘れられる訳無いだろう?」 そう言うとアブソルは、若干泣いているヘルガーに触れるだけのキスをした。 ・ ・ ・ ・ ・ 午後11時…… ア「僕(俺)のヘルガーをこんな目に遭わせた罪は重いよ(ぜ)?さあ、死をもって贖え……」 アブソルは黒のマントを身に纏い、ヘルガーに同じものを着せると、ある場所へ向かった。 そのマントの胸元には、№Ⅴ&ruby(エンペラー){皇帝};と、書かれていた…… 30分後…… ア「ヘルガー、ここが僕を変えた場所、「チェンジオブフォーチュン」さ」 アブソルは懐から一枚のカードを取り出し、カードキーにかざす。 ピッという音と共に扉が開き、下に続く階段が見えた。 ア「元々ここはバーだったんだけどね、マスターの趣向でバトルもやれるのさ」 ヘ「……スゴイ」 階段を下りると、金網で作られた長方形のフィールドで、エビワラーとサワムラーが戦っていた。 ア「ちなみにあの二人はライバル同士でね、今までずっと引き分けなんだ」 へ「ずっと?勝敗数が同じとかじゃなくて?」 ア「うん、まあ見てなよ、そろそろ終わるだろうから」 エ&サ『はぁ…はぁ…はぁ……』 地面に膝をついていた二人は、同時に走り出して同じ技を繰り出した。 エ&サ『きあいパンチ!!』 そして同時に顔面へクリーンヒットし、同時に地面に倒れた。 ア「ね?言った通りでしょ、いっつもああやって同時に倒れるんだ、二人とも実力はそこそこあるんだけどね」 へ「……愚問になるかもしれないけど、あの二人と貴方、どっちが強いの?」 ア「ま、それはもうすぐ分かると思うよ?分かってるみたいだけど」 ?「皇帝!!」 ア「ん?あ、&ruby(チャリオット){戦車};、ドラピオン来た?」 後ろを振り向くと、ちょっと顔の怖いカイリキーがいた。 カ「へぇ、怪しげなドラピオンが店の前でウロウロしてます」 ア「ん、じゃあちょっとヘルガー頼むよ、他の男に絡まれないように見張ってて」 カ「イエス・サー!!」 アブソルはカイリキーにヘルガーを任せると、階段を上っていった。 ヘ「あの……」 カ「あ、安心してくだせぇ、オイラが手を出すなんてしたらあの人に殺されちまいますんで」 へ「そ、そうなの……(どうして言おうとした事が分かったのかしら?)」 数十秒すると、アブソルがドラピオンと共にフィールド内に入った。 そして金網ごしにヘルガーに問い掛けた。 ア「ねぇ、痛めつけるのと、殺すの、どっちがいいと思う?」 その質問の意味を理解したヘルガーは、即答した。 へ「殺して、ただ、止めはは私にやらせて?」 ア「オッケー、じゃあ僕が呼んだら入ってきてね、カイリキー、司会やって」 カ「わっかりましたー!!」 そう叫ぶと、どこからともなくマイクを取り出したカイリキー。 カ「さあ今から始まりますは、「皇帝主催!!学校で何も知らずに虐めてきたバカなドラピオンの公開処刑」だー!!しかもこのドラピオン、皇帝の彼女に手をつけようとした不届者だー!!哀れドラピオン!!皇帝の怒りで地獄へサヨウナラ!!( ´∀`)/~~ それでは!!処刑……スタート!!」 無駄に長い前フリが終わった途端、アブソルは動き出した。 ア「鎌鼬!!(×10ぐらい)」 ア「サイコカッター!!(これも×10ぐらい)」 ア裏「切り裂く、切り裂く!!追い討ち、追い討ち!!で・ん・こ・う・せっ・か!!」 スタートと同時に始まったアブソルの攻撃に、ドラピオンは滅多打ちにされていた。 それこそ、悲鳴すら上げれないくらいに。 そして、アブソルがピタッと動きを止めた。 すると殺気が数十倍に膨れ上がり、鎌が左右に別れ、白い毛の下から紅い毛が見え始めた。 そこ光景を見た瞬間、ヘルガーは目を見開いた。 へ「まさか…デストロイモード!?アイツ扱えるようになったの!?」 ア裏「オラ、まだ死ぬなよ?この技を受けた後に死んでもらうんだからよ」 アブソルの鎌が光り、サイコカッターと鎌鼬を数百も作る。 ア「ただその前に、ヘルガーの弱みを握った写真、何所に隠した」 ド「し、尻尾だ!!俺の尻尾の裏にかくし「そうか、尻尾か」 ドラピオンが白状した途端、アブソルの鎌鼬でドラピオンの尻尾が切られた。 ド「ギャアアアアァァァァァッ!!!」 ア「ヘルガー!!ほいっ」 アブソルが写真を投げると、ヘルガーの火炎放射によって消し炭となった。 ア「さて、そろそろ終わりだ!!ヘルガー!!」 ヘ「待ってたわ!!」 金網を飛び越え、フィールド内に入ったヘルガーは、どこか上機嫌だ。 ド「ヒッ……」 へ「さあドラピオン……」 ア「地獄に落ちな!!」 ア&ヘ『風と炎の舞い!!』 ヘルガーのアイアンテールで上空に打ち上げられ、火炎放射と鎌鼬+サイコカッターがドラピオンを襲う。 地面に落ちた後も火炎放射で焼かれ続け、ドラピオンは絶命した。 ア「蘇生班!!こいつはこのまま不燃物として処理しろ!!生き返らせなくていい!!」 そう言い放った後、アブソルはヘルガーを連れて家に帰った。 帰り道…… へ「はぁ、やっと安心して寝る事が出来るわ」 ア「じゃあ僕の家に泊まる?ぐっすり眠れるよ?」 へ「……嘘つき、寝かせる気無いでしょ?」 ア「あはは、当たり」 へ「もう//////いいわよ、久しぶりだし//////」 そしてアブソルの部屋にて…… へ「んっ…はぁ…はぁ……」 ア「こう…やって、体繋げるのって……何年ぶりかな……?」 へ「5,6年ぶり……かしら?あっ……んんっ……ひゃぅっ……」 ア「君が引っ越して以来だもんね……うっ、そろそろ……」 へ「あっ……膣内に出してっ……ああっ!!」 ア「くっ……ああっ!!」 やや先にヘルガーが達し、続いてアブソルも発射した。 へ「はぁ……はぁ……ねぇ」 ア「はぁ……うん」 へ「もう一回♪」 ア「そう言えば君の方が絶倫だったね……」 ヘルガーはアブソルにまたがり、騎上位で腰を降り始めた。 この後、十数回にも行為が及んだのは秘密の話。 次の日、学校に登校して教室に入ると、いきなり皆からクラッカー&紙吹雪の歓迎を受けた。 内容はドラピオンを殺してくれた事らしいが、殺したことについて担任に聞くと、どうやらあそこのマスターはこの学園の元校長らしく、色々と根回ししてくれていたらしい。感謝感謝。 どうやらこれからの学校生活は楽しくなりそうだ(ヘルガーも取り戻したしな)。 FIN……?