作者 → [[夏雪草]] #include(第十回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle) &color(red){''Notice''};:この小説は&color(#ff3366){官能小説};です。苦手な方はご注意ください。 ---- 【その序 とあるロトミの憂い事】 蒸気と紅茶とカレーが特徴のガラル地方。新しいチャンピオンが生まれてしばらく経つ頃、全国のロトミ――パソコンに取り付き人々の手助けをするロトムたちに、新しい情報が届いた。ロトミはそれを査読し、問題なしとして画面に掲載する。 が。 『新しいポケジョブがあるロト! ……あっ』 「お、新しいのだって。見てよ、スピ」 「ぶぃ?」 「『あなたのイチオシのポケモンをお願いします』……ってさ。どう? 行ってみる?」 「ぶうぃ……ぶい!」 「お、そっか! じゃあ早速、っと」 ロトミが何やら焦ったような声を上げるが、無垢な少年は内容を碌に確認せず操作し続ける。勿論、それでも問題は無いようにロトミが事前に査読しているのだが、しかしそれでもこのロトミは少年に遠慮がちに声を掛けた。 『あのー……ホントにこのジョブ受けるロ?』 「お前がお知らせしたんじゃんか。預かり期間は……最大でいっか」 『もうちょっと内容をしっかり確認した方がいいと思うロト』 「へーきへーき! っと……よし! んじゃ、頑張ってこいよ!」 「ぶぃ!」 『青少年を守る役目がロトミには――って、あー……どうなっても知らないロトよー……』 電子上にデフォルメされたイーブイのアイコンが映り、画面外へ去っていく様が表示された。もはや転送が始まってしまったのを確認し、ロトミが眉尻を下げて開き直ったように投げやりに言う。しかしその画面に書いてあることもロトミの声も、少年は全く気にすることもなく足早に去ってしまった。面倒な小言を避けたのかもしれない。ロトミは機械らしからぬ溜め息をついて、今一度自分のディスプレイを見て、彼のイーブイの身を案じるのだった。 「募集中:元気な タマゴを 皆さんへ!」 ガラルの 皆さんに 珍しい ポケモンと 過ごして ほしい! あなたの イチオシの ポケモンを お願いします ――マクロコスモス・預かり屋 共同企画 ---- 【その一 無邪気な雄のイーブイの場合】 「んー……と。するって言っちゃったけど、何すればいいんだろ?」 ぼく、イーブイのスピネル! ご主人のコゾーくんとは生まれた時から一緒です。将来の夢はオトナになること! スピネルって名前はご主人のお姉さんが付けてくれました。いつもはスピって呼ばれてるけどね。 今日はご主人のおこづかいのために、“ぽけじょぶ”って言うやつをしに来たんだけど……もしかして、もうちょっとちゃんと説明見るべきだったのかな? ご主人は、その、僕も大好きなヒトなんだけど、ちょっと話を聞いてくれなかったりするんだよね。 こういうの、“たんじゅんめーかい”とか“ちょとつもーしん”とか、“しんぼーえんりょにかける”って言うんだよね。ご主人のお姉さんが言ってた。 うん、ぼく、ご主人も好きだけど、お姉さんも好き。いいにおいする。あとね、もちもちしてるの。なでなでもお姉さんが上手い。でもご主人の方が暖かいし、いっぱい褒めてくれるよ。 そうだ、そんなことより、どうするか考えないと。 いつもは“ぽけじょぶ”に来たらヒトが近くにいて、何すればいいのか説明してくれるんだけど……このお部屋にはぼくがやってきた“ぱそこん”とベッド、それと棚と鉢植えの木しかないや。あ、でも明かりはあるし、なんだか前にご主人と旅行に行ったときの“ほてる”と似てるかな。 どうしよう。お外に出た方がいいのかな? でも、勝手に出たら怒られちゃうかな……。うーん。 なんて悩んでたら、ぼくが出ようか迷ってた扉がゆっくり開いた。ちょっとびっくりしちゃった。 入ってきたのは、何だかぐにぐにぐねぐねした、ピンク色のポケモンさんだった。お目々がね、ご主人が昔描いた絵のお目々にそっくりなの。急に入ってきたからびっくりしてたけど、ちょっと落ち着いたかな。 「おや、もう来たんだ……って」 「あ、えと、こんにちは。スピっていいます」 「ああ、うん、こんにちは。坊やは……ポケジョブで来てくれたんだよね?」 「うん。でも、何すればいいのか分からなくて……その、ごめんなさい」 なんだかピンクのポケモンさんも困ってるみたいだったから、思わず謝っちゃった。ごめんなさいとありがとうはちゃんと言いましょう、ってご主人のお姉さんが言ってたから。 ポケモンさんはおてて(なのかな? どこから体でどこから頭なのかも分かんないけど……)を振って笑った(ように見えた)。 「ああいや、謝らなくてもいいんだ。ただ、君ぐらいの小さい……というのは語弊があるな」 「ごへー?」 「うーん……勘違いするかもしれないなってこと。小さいっていうのは物理的な大きさじゃなくて、年齢的に……つまり、幼い子が来ると思ってなかったんだよ」 「そっか……じゃあ、もしかして、働けない?」 それはちょっと悲しいかも……いや、ご主人が“たんりょ”に決めたからなんだけど。でも、ここまでやって来ただけで迷惑しか掛けてないのは、悲しいな……。 そう思ってちょっとぼくがうつむくと、ポケモンさんは何だか慌てたように近くにやって来た。そしてぼくの頭を撫でる。ぽよぽよしたおてて(なんだと思う)がちよっとひんやりしてて気持ちいい。 「いいや。年齢指定してなかったこっち側にも問題があるしね。それに、働けないとは限らないよ」 「そうなの?」 「ああそうさ。ポケモンなら何歳であろうと出来ることだからね。ただ、あんまり推奨はされないってだけで……分かりやすく言うなら、ちょっと大変かもしれないけど、やれないことはないのさ。どうだい? やるかい?」 「やる! やりたい!」 「……即答だねぇ」 だって、ぼくでもできるんでしょ? 折角来たんだしやりたい! このまま帰ってもご主人と遊ぶだけだし。いつもと違うこともしたい! それにさ、ピンクのポケモンさんが言ったのって、つまり……。 「それが出来たら、ぼくもオトナだよね?」 「うん? うん……まあ、そう、なるかな」 「やりたい! ぼく、早くオトナになりたいの!」 「どうしてだい? 子供って楽しいのに」 「なんだかなってみたいから!」 「そ、そうかい……」 あんまり理由は無いよ。カッコいいから、とか、楽しそう、とか、そういうのがいっぱいあるから、「なりたいからなりたい」んだ! ぼくが笑ってそう言うと、ポケモンさんはちょっと困ったように笑って(お口だけだけど、たぶんそう)、それからぼくをそっと抱きしめた。表面はひんやりしてるのに、なんだかぽかぽかする。 「まあ、それなら……スピくんには“オトナ”になってもらおうかな」 「やったー! ぼく、がんばる!」 やったやった! お仕事してもいいってことだよね? よーし! いっぱいがんばるぞー! 「“オトナ”に、ね……」 ☆☆ ピンクのポケモンさんはメタモンって言うポケモンなんだって。それで、人間さんからは“アン”って呼ばれてるらしい。ぼくもそう呼ぼうかな。 アンさんは頭のいいヒトみたいな話し方で、ちょっとご主人のお姉さんに似てる。ぽかぽかするのはそれだからかなぁ。 「それで、何すればいいの? どこに行けばいいの?」 「特に移動する必要は無いよ。ボクと君さえいれば、この部屋でできることだから」 「ここで? でも、ここって“ぱそこん”とベッドしかないよ?」 「ああ。ベッドですることだからね。特別な道具は要らないんだ。……ああいや、これも正確じゃないかな……いや、でもなぁ」 「それも“ごへー”ってやつ?」 「ああ、そうだね。スピくんは賢いなぁ。……時々特別な道具を使うこともあるんだけど、基本的には何もいらないんだ」 「そーなんだ」 「使ってもいいんだけどね……道具も、“どうぐ”も」 ……うーん? アンさんの言ってること、やっぱり時々分かんないや。どうぐもどうぐも、って同じじゃん。 ぼくが首をかしげてるのを見てアンさんはまたおてて(だと思うことにした)を横に振った。気にしなくていいんだって。 「じゃあ、早速……そうだな。スピくん。君には憧れのポケモンはいるかな?」 アンさんは顎におててを当てて(分かんないけど)、ちょっと考えてからそう言った。 うーん……憧れ、あこがれ……。 「うーん……よく分かんない」 憧れって、そうなりたいって思うことだよね。ご主人のお姉さんみたいな頭がいいヒトは凄いなって思うし、テレビで見たヒーローも格好いいなって思うけど……でも、そうなりたいかなって考えると、やっぱりよく分かんない。 だから素直にそのまま言ったら、アンさんは困ったような笑ったような顔(分かんないけど!)をした。 「はは、難しかったかな?」 「うん。あのね、ぼく、オトナになりたいけど、ご主人のお姉さんになりたいわけじゃないの。ヒーローも、格好いいけど、ぼくがなりたいわけじゃなくって……」 「なるほどね。スピくんは君のままで大人になりたいんだ」 「うん」 アンさんは凄いなぁ。ぼくがなんて言えばいいか分かんなかったこと、すぐに分かってくれる。今日初めて会ったばっかりなのにね。 そういうオトナになら、なりたい、かもなぁ。 「じゃあ……ちょっとびっくりするかもしれないけれど、よーく見てるんだよ?」 ぼくがぼんやりアンさんを見てると、アンさんがぼくに顔を近づけて……。 えっ? えっえっ? ええっ!? 「ん……」 「んんっ!?」 これって、えっと、ちゅー……だよね? ご主人のママさんが見てたテレビでよくやってたけど……。 ちゅーって、その、コイビトとか、特別な“好き”じゃないとしちゃダメなんじゃないのかな……? ぼくがどきどきしてる間にアンさんはすぐに離れちゃった。何だったんだろう、って思ってたら、アンさんの体がぐにぐにして……!? 「わ、わ、わっ!?」 「――ふぅ。どうかな? 結構可愛くなったんじゃない?」 何度まばたきしても変わらない。アンさんが、ぼくそっくりになっちゃった! どういうことなの……!? 「びっくりしたかな? メタモンというポケモンはね、別のポケモンに変身できるのさ」 「す、すごい……」 本当にすごい。さっきまで全然表情も分かんなかったのに、自慢げに笑う顔まで分かる。 どこを見てもぼくそっくりだよ。匂いもさっきと全然違うし、茶色の毛並みもサラサラだし。 ……でも、あれ。おめめはたぶんぼくとは違うかな? それに、何だか甘い匂いもする。長いまつ毛とかくりくりのお目々を見てると、なんだかドキドキしてくる……。 「ふふ、あんまりじっと見られると恥ずかしいよ」 「あ、ご、ごめんなさい」 「謝らなくたっていいさ。これからボクたちはそういう関係になるんだからね」 「……?」 「すぐに分かるよ」 そう言ってまたアンさんはぼくに顔を近付けた。またちゅーするのかな……とぼくが思ってたら、やっぱり予想通り、またぼくのくちびるにアンさんの柔らかいくちびるがくっついた。さっきのぐねぐねとは全然違う、暖かくて、こう、嬉しい? 楽しい? よく分からないけど、さっきよりずっとドキドキする。 それで終わりかなって思ってたら、アンさんがちょっと頭を傾けて、それからぼくのくちびるに何かぬめっとしたものが当たった。もしかしてこれって、アンさんのべろかな? アンさんはうっすら笑いながらぼくを見つめた。それから、ちろちろってぼくのくちびるを舐める。もしかして、と思ってぼくがそっと口を開けると、まるでおやつに飛びつくみたいにアンさんがぼくに覆い被さってきた。 歯が、口の中が、食べられちゃうみたいに舐められた。そうして、最後にぼくのべろにアンさんのべろが絡みついた。遊んでるみたいに温かいぬるぬるが行ったり来たりする。 びっくりしてたら、アンさんがまたぼくの目を見つめてた。恐る恐るべろを伸ばしてみたら、ずっと待ってた、って言うみたいにアンさんのべろも伸びてくる。 それからしばらく、ずっとアンさんとちゅーしてた。初めてのちゅーだし、他の誰かのべろなんて触ることないと思ってたからきんちょうしたけど、甘い匂いと甘酸っぱい味にぼくはずっと夢中で、ずーっとドキドキクラクラしてた。 胸がなんだかぽかぽかする。アンさんがそっと顔を離したとき、もうどっちのつばか分かんなくなったのが、たらりとぼくの口に収まった。ぼくはそれをよーく味わう。もっとちゅーしてたかったなぁ……。 「どう? 楽しかった?」 「うん。すごく。もっとしたいぐらいドキドキぽかぽかした」 「だろうね。そんな顔してるよ」 そう言われて思わずほっぺに前脚を当てる。ぼく、今どんな顔してた? 変な顔じゃなかった? 「ふふふ……これで終わりじゃないよ。次は恥ずかしいくらいもっとドキドキして、楽しくって、気持ちよくなるんだから」 「えっ……もっと?」 もう胸がパンパンなぐらいドキドキしてるのに、まだ続きがあるの? それって……ぼく、どうなっちゃうんだろう……! もう限界だと思ったのに、またドキドキが大きくなる。 「――したい、もっとしたい! 教えて!」 「いいとも。さ、こんな床じゃなくてベッドに乗ろう。続きは寝転んでしようね」 そう言われてぼくはいてもたってもいられずベッドに飛び乗った。アンさんは面白そうにニコニコして、ぼくと同じようにベッドに飛び乗った。 ☆☆ 「ひゃあっ! な、何してるのっ!?」 アンさんは、ぼくをそっと仰向けに倒してから、その、ちんちんをさわってきた! 何できゅうにそんなことするの……!? 「ふふ……ここ、自分で触ったこと、あるかい?」 「な、ないけど……ねえ、やめてよ……」 「だーめ。ほら、力抜いて」 うぅ……アンさんの柔らかい前脚がぼくのちんちんを揉むたび、何だか変な気持ちになる。これが恥ずかしいくらいドキドキするってこと……? 「うん、元気になってきたね。亀頭球はあまり分からないな……子供だからかな?」 「わ、わ……ぼくのちんちん、どうしちゃったの?」 「ああ、ふふ、大丈夫だよ。これはね、オトナになる準備ができた男の子なら誰でもなるんだ」 「そ、そうなの……?」 なんだかじんじんすると思ったら、ぼくのちんちんが見たことない形になってる! 上に向かってぴんって伸びて、ドキドキと同じタイミングでピクピクしてる。どうしよう、何か変なのかな……と思ってたら、アンさんが説明しながら優しく撫でてきた。 大丈夫だって言われたけど……この、なんかゾクゾクしちゃうのも、誰でもなっちゃうことなの……? 「でも、なんか、良くないことしてる気がするんだけど……」 「大丈夫だって。これは悪いことなんかじゃあ決してないよ。オトナなら誰でもすることさ」 そう言いながらアンさんは、今度はごろんと寝転がって後ろ足を開いた。ぼくとは違って、そこには何もない。 「いいや、あるよ。よく見てごらん」 「わ、わわ……」 アンさんが毛をかき分けると、ちんちんのところに割れ目があった。これが女の子のおまたなの……!? そこをじっと見るのがなんだかぼくは恥ずかしくって、思わず顔を背けちゃった。 「照れてるのかい? ほら、ボクだって君のちんちんを触ったんだ。君もボクのここ、触ってごらん」 「え……う……」 「ほーら」 言われるままに恐る恐る触ってみると、ふにふにふわふわしてて、しっとりしてて……甘い香りがする。なんだかよく分からないけど、今すっごくドキドキしてる。 割れ目には穴があるみたいで、そこからじんわりお水が出てるみたい。でもおしっこみたいな匂いはしなくて……またドキドキする。 「んんっ……中々積極的だね?」 「えっ……あっ、ご、ごめんなさい……」 「いいや、後でもっと触ってもらうからね。謝らなくてもいい。それより、ボクの陰部……まんこ、ヴァギナ、つまるところの“性器”はどうだい?」 「どうって言われても……何かぬるぬるしてて、ドキドキする……」 「ぬるぬるしているのは愛液と言ってね、男の子のちんちんが大きくなるみたいに、女の子はこの愛液が出てくるのさ」 アンさんの説明もうまく頭に入ってこない。甘い香りとドキドキする感じでいっぱいいっぱいなんだけど……。 「うーん……これは一回、射精してもらったほうがいいかな?」 「しゃせー……?」 「力を抜いて横になってごらん」 言われたとおりにまた仰向けになったら、アンさんはさっきみたいにまたぼくのちんちんを触って……それから、ぺろぺろって舐めはじめた! 「わ、だめ、ちんちん舐めちゃだめだよ! 汚いよっ!」 「んふふ……汚くないよ……って一回言ってみたかったんだよね」 アンさんが何言ってるか分かんないよ。とにかく、変なかんじするからやめてほしいのに……。 アンさんの柔らかいべろがぼくのちんちんを舐めるたび、背中がゾクゾクして、ちんちんもぴくってなっちゃう。やめてほしいのに、足がへなへなしちゃって、逃げられないし……。 飴玉みたいにアンさんが僕のちんちんを舐めてると、何だかゾクゾクがドキドキに変わってきて、頭がふっとうしそうになる。頭にぴりぴりしたのがやってきて、思わず体をぐねぐねさせちゃう。 それになんだか、おしっこしたくなってきちゃった……? 「ね、ねぇっ、ぼく、おしっこ! おしっこしたいから止めてよっ」 「んちゅ……そのまま出しちゃっていいよ」 「そのままって……ひぅっ」 「お、ここが弱いのかな? れろ……多分だけどそれ、おしっこじゃないから、そのまま出しちゃって大丈夫さ。まあおしっこだったとしてもボクは構わないけどね……ちゅ……」 ちんちんの先っぽばっかり吸われちゃうと、足がぴくってなっちゃって、もっとおしっこが出そうになっちゃうのに、アンさんはそこばっかりぺろぺろする……! あ、だめ、ああ、でちゃう、もれちゃうっ! 「あっ、あああっ!!」 「んんっ……!」 背中から頭に何かが一気に登ってくる感じがして、一瞬頭が真っ白になって、今まで感じたことのない気持ちになる。 ちんちんが勝手にぴくぴくするし、おしっこが勝手にちょっとずつ出てる感じがする……。 「いっぱい出てるね……ほら、見てごらん」 「ふぁ……へ……?」 頭とちんちんがぽかぽかじんじんする。アンさんが言うとおりちんちんを見てみたら、おしっこの穴からおしっこじゃない白いものがぴゅっ、ぴゅっ、って出てる。それはベッドのシーツに染み込んだり、ぼくのお腹に飛んできたり、アンさんのお顔に飛びついたりしてる。ちんちんから白いものが出るたびに、ぞく、ぞく、って変な気持ちがいっぱいになる。 何これ……ぼくのちんちん、どうなっちゃったの? 「これはね、精液。人によっては別の言い方もするけど……まあそれはいいか。兎も角、精通おめでとう」 「せーつー……?」 「初めて精液を出すことをそう言うのさ。この精液はね、赤ちゃんの素なんだ。だから、精液を出せた……射精できたって言うことは、もう赤ちゃんを作れるってことなんだよ。オトナの仲間入りだね」 「オトナの……」 赤ちゃんの素って何? とか、赤ちゃんってペリッパーさんが連れてくるんじゃないの? とか、聞きたいことはいっぱいあったけど、それよりアンさんの言葉がずっと頭の中でぐるぐるしてる。 “せーえき”……“せーつー“”……“しゃせー”……オトナ……。 ちんちんから“せーえき”がでなくなってきて、だんだん頭がスッキリしてきた。“しゃせー”が終わったってことなのかな? まだちんちんはジンジンするし、ドキドキも収まらないんだけど……。 でもちょっと“れーせー”になってきた、と、思う。何だかしちゃいけないことをした気分になってるけど、また“しゃせー”したいなって思う気も、ちょっとする。足と腰が勝手に動いちゃうあの感覚が、面白いし、うんと伸びをした時みたいな気持ちよさもあったし……。でも目一杯運動した時みたいに息は上がっちゃう。これがオトナの“しゃせー”なんだ……。 「スッキリしてきたかい?」 「うん、何だかそんな感じ。でも“ざいあくかん”みたいなのもあって……」 「あはは、誰だって最初はそうさ。でも、気持ちよかったろう?」 「……うん」 「……実際はね。あんまり人前ではしない方がいい。とってもプライベートなことだからね。でも、一人でこっそりする分には、決して悪いことじゃないんだよ。それだけは覚えておいてね」 「……わかった」 「よし。いい子だ」 アンさんはなんだか真剣な顔で話してる。だからどう返事したらいいのか分からなかったけど、間違えなかったみたい。 ぼくの頭を撫でてから、そのままぼくのお腹に付いた“せーえき”を指にすくって、アンさんはぺろりとそれを舐めた。その顔がとっても美味しそうだったから、思い切ってぼくも舐めてみた。……うーん。 「……まずい」 「ははは、オトナの味ってやつかな?」 「うん、ぼくにはちょっと早いみたい」 「まあ、自分の精液を舐めるオトナなんてほとんどいないけどね」 ……えっ。 「いやぁ、吃驚だね。そんなことするのはごく一部の変態ぐらいなんだけど」 「そうなの!?」 「うん。今、君はとんでもなく変態じみたことをしたんだよ。スピくんはえっちな子だなぁ。そういう子も好きだけどね」 えうぅ……そんなの知らないよぅ! ぼくはただアンさんが美味しそうにしてたから気になっただけで……恥ずかしい……。 ほっぺをつんつんされると、火照ってるのがよく分かる。きっとぼく今、顔が真っ赤だ。 「ふふふ……本当はここまでのつもりだったんだけど、ボクは君が気に入ってしまったよ。もしよければ、この続きもしてみないかい?」 「え……続き?」 話してる間にもアンさんは“せーえき”をすくっては舐めてたから、もうベッドに染み込んだの以外は全部アンさんのお腹の中に入っちゃった。それぐらい時間が経って。もういっぱい“しゃせー”して、やっとドキドキが収まってきたところなのに、まだこの続きがあるの……? これ以上何をするんだろう……。 「そう。交尾だよ。セックス、と言ってもいいかな。まあ、子供を作る行為のことさ」 そっか、えっと、“せーえき”は赤ちゃんの素なんだっけ。……あれ、じゃあぼく、赤ちゃんが作れるの? そもそもどうやって赤ちゃんってできるんだろう……? “こーび”したら赤ちゃんできるの? 「正直なところ、精液さえあればボクらはタマゴを作れるんだけど……まあ、それじゃあ味気がないしね。ということで、ボクとセックスしないかい?」 「えっと、よく分からないんだけど、“ぐたいてき”に何するの?」 「君のちんちんをボクのおまんこに入れるのさ」 「えっ」 そんなことして大丈夫なの……? ってちょっとびっくりしちゃったけど、アンさんはすごく真剣に言ってるみたい。それに、“おまんこ”って言われて、さっき触ったアンさんのお股を思い出すと、またドキドキしてくる。それに何だかうずうずして、またちんちんがジンジンする。 「おっ、元気だね。これは期待できそうかな?」 「あっ、えっと、その」 「どうかな? セックスするかい? 嫌ならいいけど……おまんこは口よりヌルヌルで、キツキツで、とっても気持ちいいよ。……ちんちん入れてみたくないかい? いっぱいえっちなこと、したくないかい?」 そんな……そんなことしたら、ぼく、どうなっちゃうんだろう……!? 勝手に息が上がって、ちんちんがさっきみたいにまたぴんって大きくなる。 「――したい。“せっくす”、したい!」 「よしきた!」 ぼくがそう言うと、アンさんは笑顔でぼくに抱きついて、そのままちゅーをした。またべろとべろでヌルヌルするちゅーだ。甘い香り、甘い味をもっと味わいたくて、ぼくはさっきよりもいっぱいべろを伸ばした。 ほんのりする“せーえき”の味なんて気にならない。もっとねっとりして強い「えっちな味」がするから。 「ん……ちゅ……上手いよ、その調子」 「はむ、んむ……」 早く“せっくす”がしたくて、もっとアンさんのことが知りたくて、ぼくはアンさんをぎゅって抱きしめながらちゅーした。アンさんを抱きしめてると、なんだか暖かくて、ほんわかぽかぽかする。 「ねぇ……ボクのここ、触って……気持ちよくして……」 耳の近くでささやくみたいにアンさんが言う。さっきまでと違って、何だかえっちな感じがする。アンさんは自分のおまた……えっと、“おまんこ”? を指差してる。さっきみたいに触ればいいのかな……。 「ね……早くぅ……」 「わ、分かった」 「んっ……!」 こう、かな……? そっと触ってみると、さっきよりずっとしっとりしてて、ヌルヌルしてて……。ふにふにしてるから、思わず夢中で触っちゃうんだけど、そうしたらアンさんが声を出したからびっくりしてやめちゃった。 痛かったかなって心配になって顔を覗き込んだら、アンさんは赤らんだ切なそうな顔でぼくを見つめてた。それから、すっごく“オトナ”っぽい声で、続けて、って言ったから、また“おまんこ”を弄ってみる。くちゅくちゅ、ってお水の音がいっぱいになってきたよ。 「あっ……んんっ……いい、いいよ……気持ちいい……」 「ホント? ぼく、頑張るね」 「ああ……いい……んひゃっ! そこっ、そこっ! もっと触って!」 “おまんこ”をまんべんなく揉んだり撫でたりしてると、割れ目の上の方を触ったときにアンさんがビクッてしながらおねだりしてきた。ここ……この小さいちんちんみたいなのがとっても気持ちいいみたい? ……そういえば、アンさんはぼくのちんちんをぺろぺろしてたよね。ぼくもしてみようかな。 「ああんっ! ひあっ! それっ! やばいっ!」 「れろ……んちゅ……」 試しにぺろって舐めてみたら、アンさんが腰をがくがくってさせて身体をくねくねさせた。これ、さっきのぼくとおんなじなのかな。すっごく気持ちいいってことだよね? 続けてみよう。 アンさんの“おまんこ”はなんだかほんのりしょっぱい味がする。汗みたいな味かな。でもほとんど無味で、アンさんの匂いが凄くて、もっと舐めたくなる……。 「あっ、待って、待って待って、そんなっ、クリばっかり舐めっああっ!」 「んぷ……はむ……ちゅる……」 アンさんの腰ががくがくってなるたびにぼくの顔が“おまんこ”に埋まる。時々鼻がちんちんみたいなのに当たって強く押す。するとまたアンさんが可愛い声を出す。ちょっと楽しくなってきちゃった。 ぼくのべろでその小さいちんちんの周りをかき分けてみたら、さっきのぼくのちんちんみたいにぴんって上を向いてるのが分かったよ。やっぱりちんちんと同じなのかなぁ。 「あっ、あーっ、イく、イくっ!」 「んわっ!?」 アンさんが急にぼくの頭を“おまんこ”に押さえつける。今までで一番びくびくって腰が動いたと思ったら、お水がいっぱい出てきた。“おまんこ”のひだひだがヒクヒクってしてて、中の方まで見えちゃってる。 わぁ……メスのお股って本当にこんなに奥まで穴あいてるんだ……。 「あー……こんな小さい子にイかされるなんて……というか今のボクも小さい子ベースだからこんなに刺激的なのか……気持ちよかったけど」 「どうだった?」 「うん、凄く良かったよ。遠慮なさすぎて吃驚だがね」 「え、ご、ごめんなさい……」 「うん、きみは将来、モテるかもしれないね……無邪気な陰核一点狙いは刺激が強い……」 アンさんが何言ってるかよく分かんないけど、頭を撫でてくれたから怒ってはないのかな? 口の周りについたアンさんのお股のお水……えっと、“あいえき”? を舐めてたら、はぁはぁしてたアンさんの息が落ち着いてきたみたい。深呼吸してから、ぼくを見てにっこり笑った。 「じゃあ……そろそろ、交尾しよっか」 「う、うん!」 こーび。せっくす。その言葉で胸がドキドキしていっぱいになって、ちんちんがパンパンになってる感じがする。 アンさんは仰向けで後ろ脚を開いたまま、“おまんこ”を前脚でそっと広げた。 「さあ……おいで……」 ☆☆ 「この割れ目に穴があるだろう? そこにちんちんを入れるんだ。たっぷり舐めてくれたからヌルヌルで気持ちいいはずだよ」 アンさんが言うように、“おまんこ”の小さいちんちんの下に二つ穴がある。お水は下の穴から出てるから、そっちに入れたらいいのかな? そっとちんちんを近づけてみる。入るかなって思ったら、“あいえき”でぬるんって滑って上手く入らない。これはこれでゾクゾクってするんだけど、これじゃ駄目なんだよね。 アンさんが優しくちんちんを支えてくれたから、そのまま腰を押し込んでみたら、ちょっとずつちんちんが“おまんこ”の中に入っていった。 「んっ……」 「ぅあっ、あー、あーっ……」 ちょっと進むたびに背中がゾワゾワして、さっきみたいにおしっこしたいような感じになった。さっきは分かんなかったけど、おしっこ我慢するときみたいにきゅって力を入れると“しゃせー”も我慢できそうだから、ちょつと頑張ってみる。すぐに終わったら、こう、勿体無いかんじがするし。 「頑張って……ほら、もう少しだよ……」 「うん……うあぁ……」 アンさんとぼくのお腹がくっついた。ほ、本当に全部入っちゃった……。 アンさんのお股の中は、びっくりするぐらいヌルヌルで、キュウキュウで……ドキドキする。中がひだひだってなってて、それと擦れるたびにちんちんが爆発しそうになる。それに、それ以上に頭と胸がポカポカして、しあわせなかんじになる。 これが、“せっくす”……! 「ふぅ……ボクたち、一つに繋がったね。どうだい? ボクのおまんこは。凄いだろう?」 「うん……凄すぎて動けないんだけど」 「はははっ、出したかったらいつでも出していいからね。もうちょっとは我慢してほしいけども」 もう我慢なんてできそうにないぐらい気持ちよくてビクビクしてるんだけど、もしかしてまだ続きがあるの……? ぼくがそんな顔をしたからか、アンさんはにやりと笑って教えてくれた。 「次は腰を前後に動かして、ちんちんを抜きかけたりまた入れたりしてみようか。頭が変になるほど気持ちいいよ」 「えっ……」 そ、そんなことしたら……ゆっくり入れたときでも、今までやったことないぐらいきゅって我慢してたのに、絶対我慢できないよぅ……! そう思って固まっちゃってたら、アンさんはまたニヤニヤして、ちょっと腰を引いた。ちんちんが擦れて爆発しそうになる。 「きゃあああっ」 「くははっ、今の声! 女の子みたいだ! スピくんは可愛いなぁ!」 「待って待って! お願い! 出ちゃう! まだこのままがいい!」 「本当に可愛いことを言うなぁ! 出したってまだまだセックスさせてあげるに決まってるよ! だからほら、ボクのおまんこで思いっきり気持ちよくなってくれ!」 「あーっ! あーっ! あっ! あーっ!!!」 とても楽しそうなアンさんが、今度はぼくの腰を掴んで動かす。それでぼくはもう限界で、出し入れ二回目ぐらいでまたちんちんを爆発させた。 「んんっ……ふふ、スピくんの温かいのがいっぱい届いてるよ」 「あ……あー……」 ちんちんからびゅるびゅるって“せーえき”が出てるのが分かる。二回目だから慣れたかなって思ったけど、やっぱり脚がガタガタして、立ってられなくてへたり込んじゃった。 しかも、アンさんの“おまんこ”がぼくのちんちんを絞るみたいに動いてて、“しゃせー”してるのにまた気持ちよくて変になりそう……。 「まだビクビクしてる……本当にいっぱい出てるねぇ……気持ちいいねぇ……」 「ふぁ……は……」 「ふふ、いいよ。しばらくこのままでいてあげるから、そのままふわふわしてなよ」 アンさんに抱きついて甘い匂いに埋もれてると、頭と胸がぽかぽかする。頭を撫でられてふわふわする。“しゃせー”が終わってぼんやりする。 少ししたらぼんやりが晴れてきてすっきりするんだけど、まだちんちんは大きいし、まだまだ“しゃせー”したいなって気持ちになる。アンさんはすっかりにっこにこだ。 「お、元気だね。もう一回できるかな?」 「ちょっとちんちんがじんじんして痛いけど……うん、また“おまんこ”で“しゃせー”したい」 「はは、何だかいけないことを教えている気分だ……いや、気にしないでくれ。今度こそスピくんが動いてごらん」 「わかった」 さっきアンさんに動かされたみたいに、ゆっくり腰を振ってみる。ぬるぬるとひだひだにちんちんが包まれて、やっぱりゾクゾクピリピリして、気持ちいい。もっとほしい。それに、アンさんの笑顔を見てるともっとちんちんが大きくなる。痛いぐらいにぴーんってなってる。 でもやっぱり、“しゃせー”した後だと結構我慢できるや。連続では“しゃせー”できないのかな? すごく気持ちいいのがあがってきて、でもまだまだ頑張れそうな感じもする。 「あっ、んっ、いい、いいよスピくんっ……はぁっ、はぁっ、もっと激しく突いておくれ」 「やってみる……こ、こう?」 「んんっ! そうっ、そんな、かんじっ、あんっ!」 ぼくが“おまんこ”を舐めたときみたいな、苦しそうな、でも嬉しそうで楽しそうな、不思議な高い声で途切れ途切れに喋る。気持ちいいみたい。 ぼくはぼくで、アンさんがえっちな声になるのが楽しくていっぱい腰を振るんだけど、腰と腰がぶつかったときのぱんっぱんって音と、“あいえき”と“せーえき”をちんちんで混ぜてるぐちゅぐちゅって音がとてもえっちで、また“しゃせー”したくなっちゃった。 でも……もうちょっと抱き付けたらいっぱいぱんぱんできそうなんだけど……向かい合ってるとちょっと難しいな……。 そう思ってると、ぼくがやりにくく感じてるのが分かったのか、アンさんがそっとぼくを止めて、ちんちんを入れたまんまでくるんって回ってうつ伏せになった。それから、後ろ足を立てて腰だけ高くする。きれいな背中も、ピンク色のおしりも、アンさんの全部が見えるようになった。 「ほらっ、これでどうだい?」 「これで……また腰を振ればいいの?」 「そう、後背位って言ってね……とにかく、四足歩行ならこっちの方が交尾しやすいんじゃないかな」 「やってみるね」 尻尾ごと抱きつくみたいにしてアンさんに覆いかぶさる。お腹から胸までぴったりアンさんにくっつけると、首筋に顔が来て、腰が振りやすくてなんだかいいかんじ。そのまま腰を振ってみると、さっきまで“おまんこ”に入ってなかったところまでちんちんが入ってる感じがする。当たるところも違ってて、さっきまでと気持ちよさが全然違う。 さっきまで向かい合ってたらアンさんのお顔が見えてよかったんだけど、こっちだと体全体でアンさんのことを感じてるかんじがする。“せーえき”がこみあげて来るのが分かる。 「ふあっ、あんっ、いい、すご、んあっ……」 「アンさん、ぼく、また……」 「いいよ、おも、う、ぞんぶ……んあっ、イく、イく、んんっ!」 我慢ができなくなってきて、もう出そうって思って強めに腰を振ったら、急に“おまんこ”がきゅんきゅんして、またちんちんを絞るみたいに“おまんこ”がうねって、そこでもうぼくは限界だった。アンさんにぎゅって抱きついて“しゃせー”した。 もうあんまり“せーえき”が無いのか量は少なかったけど、出る勢いは一番強かった、と思う。気のせいかもしれないけど。 “しゃせー”が収まってきたら、アンさんがそっと体をまた仰向けにして、ぼくを抱きしめた。ぼくもアンさんに抱きついて息を整える。 アンさんが優しくぼくの頭をなでて……あれ……なんか……きゅうに……ねむ……い……。 「……寝ちゃったかな? いっぱい頑張ったもんね」 「ん……ぅ……」 「挿入されてイけなかったのはちょっとモヤモヤするけども……まあ、時間はまだまだあるから、いいか」 「……う……ん……」 「……おやすみ、スピくん」 「さて……一仕事してからボクも少し寝ようかな……」 ☆☆ 「ん……うー……ん……?」 何だか暖かくってふわふわしてて目が覚めた。……あれ、何でぼく寝てたんだっけ。 ぼくは今、ご主人のお姉さんと一緒に寝たときみたいに、ぎゅって抱きしめられてるみたい。なんだか甘い匂いがする……? ……そうだ。ぼく、ポケジョブにきて……アンさんと、“せっくす”、したんだった。目を開けて見てみたら、アンさんがぼくにぴったり引っ付いて眠ってた。まつ毛が長くて、何だか可愛いなって思う。それにアンさんを見てると、何だか胸がぽかぽかする。 なんて思いながらじっと見つめてたら、アンさんは身じろぎして、ゆっくり目を開けた。起こしちゃったかな? 「ん……ああ、起きてたのかい」 「うん。おはよう」 「ああ、おはよう。そうだ、きみに見てほしいものがあるんだよ」 「見てほしいもの?」 何だろう? と思って首を傾げてたら、アンさんは棚をがらりと開けて、中から何かを引っ張り出した。ぼくらの体より大きい水槽みたいなそれは、縦長の筒みたいになってて、中にはクッションの上に置かれた何かが入ってる。 これは……なぁに? 「ふふふ……これはね、スピくんとボクのタマゴだよ」 「えっ……これが?」 「そう。スピくんが頑張って交尾してくれたから、赤ちゃんができたんだよ」 そう言ってアンさんははにかんだ。 すごい……ホントに赤ちゃんができちゃったんだ……。 「この子はボクたちが責任を持って育てるからね。いつか、そうとは知らずに自分の子供と遊ぶことになるかもよ?」 「わ、それすっごくいい! 楽しみだなぁ……」 オスの子かな? メスの子かな? この子はどんな人間さんの家族になるのかなぁ……。色んな想像ができて、なんだか、いいなぁ。ワクワクする。 ぼくが赤ちゃんのことを考えて楽しんでると、アンさんはまたそっとタマゴを棚の中に戻して、それからぼくの頭を撫でた。 「本当に君は……いやぁ、これじゃあプロ失格かな?」 「うん? どうしたの?」 「いや、ね。ボクは君に愛着が湧いて……つまり、君のことがすっかり気に入ってしまったんだよ。別れたくないなって」 「あ……」 そうだ。タマゴを作るのがポケジョブだったんだから、タマゴができちゃった今、もうアンさんとはお別れなのかな……。 ポケジョブが終わったらもう会えないのかな……それはちょっと、さみしいな……。 「……ぼくも、アンさんともっといたい。アンさんと一緒にいると、ぽかぽかするの」 「そうかぁ……嬉しいよ、スピくん。きっとそれは、本当に大切な人にあげる気持ちだから……大事にしてね」 「うん」 アンさんがぼくをそっと抱きしめたから、ぼくも抱きしめ返した。アンさんがぼくのおでこにちゅーしたから、ぼくもアンさんのほっぺにちゅーした。お互いに頬ずりして、鼻と鼻をくっつけて、それから、口同士でちゅーした。 すぐに離れたからかな……。すごく、切ない……物足りないよ……。 「……本当は、もうしなくていいんだけど。スピくん、ボクともう一度だけ、セックスしてくれないかい?」 「え……」 「もう少し時間はあるんだ。だから……今日をもっと特別に、思い出にしたい。……駄目かな?」 「ううん、駄目じゃないよ。ぼくもアンさんとまたしたい。いっぱいアンさんを感じたい」 「はは、一緒だ」 そう言ってぼくたちは笑ってて……それから、またちゅーをした。抱き合った。いっぱい“せっくす”した。 おしまいのお知らせが来るまで、ぼくとアンさんはずっと、ずーっと、二人っきりで、特別だった。 ぼくはこの日のことを、アンさんのことを、きっとずっと、忘れないと思う。 ---- 【その二 いじっぱりな雌のキュウコンの場合】 「――ほんっと信じらんない! 何考えてんのよアイツ!」 私――きつねポケモンのキュウコン、ティナは、事前の相談も無しに転送された先の部屋でただ一匹不平不満を垂れていた。 だって考えてもみて? ある日突然、「新しいポケジョブあったから行ってきてくれ」だなんて言って、碌に内容も聞かされず送られるのよ? 冗談じゃない! 私に自由意志は無いわけ!? ふざけんじゃないわよ! 大体アイツはいっつもそう! 子供の頃からぜんっぜん変わんないの! 勝手に一人で何かやらかしてから私に頼るの! いちいち後始末するこっちの身にもなってほしいわよね! ホントにアイツは私がいないと駄目なんだから……! 大人になってからもそう! この前なんかアイツがいきなり……! ……ふぅ。一通り叫んだらすっきりしたわ。そうよ、私はキュウコン――優美な九尾なのよ。お淑やかに、冷静に……。 改めて周りを見てみると、ここはどこかの個室みたいね。ホテルにも似てるけれど、浴室なんかの水回りの設備は無くて、戸棚とベッドとパソコンしかない。あとは観葉植物らしい若木かしら。随分質素というか、奇妙というか……。 まあ、いいけれど。ポケジョブって言っても、いつもみたいに火加減を整えたりするような内容じゃあなさそうね。パソコンでも確認すれば分かるかしら? 物は試しにとパソコンを点けたちょうどその時、部屋の扉が開いて一匹のポケモンが入ってきたわ。ピンク色でグネグネとしたその身体は……考えるまでもなく、メタモンね。 ……メタモン、ねぇ。 私、ちょっと嫌な予感がするんだけど。 「わ、もう来てたんですね。こんにちは! 僕はメタモンのドゥと言います。そちらはポケジョブで来てくださったんですよね?」 「ええ、そうなのだけど……実は私、どういう内容か聞かされてなくって。でも、あなたがいて、ベッドもあるってことは、つまり……そういうこと?」 どうか否定してくれと思いながら恐る恐る聞いてみると、ドゥと名乗ったメタモンは少し気まずげに頬を掻いた(と言っても表情なんて分からないし頬も手もどこか分からないけど)。 「ええと、まあ、そうなります。要はタマゴ作りです」 「やっぱり……」 嫌な予感は当たるものよね。やっぱりこのポケジョブはちゃんと話を聞いてから来るべきだったんだわ。なのにアイツは……! 私が主人の馬鹿さ加減にため息をつくと、メタモンはますますオロオロして私を気遣うように言った。 「どうしましょう? キャンセルも一応許されると思いますが……」 「そうねぇ……」 キャンセル。それもアリよね。だってそんな、見知らぬポケモンといきなり子作りなんて……。普通に考えてここは断って帰るべきだわ。 でも……今頃アイツはどうしてるかしら? 自分が送り出した仕事が子作りだなんて思ってないんじゃないかしら。……それとも、知った上で無関心なのかしら。いずれにせよ腹立たしいわね。自分のポケモンの気持ちも知らないで……今までずっと一緒にいたのに。 ……よし。決めた。 「いいえ、やるわ。折角来たんだし」 「そうですか? 分かりました、なら少し準備しますね」 あの馬鹿に少しでも後悔させてやりたいし。 こうなりゃヤケよ! 子作りでもなんでもしてやろうじゃない! ☆☆ 「ティナさん、ですね。よろしくお願いします。ええと、ではまず……一本でいいので毛を貰えますか?」 「あら、どうして?」 「僕たちメタモンはですね、相手の遺伝子があるとより正確に変身できるようになるのです。見ただけでもある程度はできるんですが……」 そう言いながらドゥはぐねぐねと形を変えていって……私と似たような姿になったわ。実際に見るのは初めてだけど、これがメタモンの変身……。 ……なるほど。なるほどね。 「……ね?」 「ええ、分かったわ。愛らしい顔だとは思うけれど、その目はキュウコンには似合わないわね」 「そういうことです。何かと不完全なんですよ」 確かに大まかな見た目は私そっくりなのだけど、顔、特に目がメタモンのままね。流麗なキュウコンの顔に点のようなメタモンの目は余りにも違和感だわ。これでタマゴを作る気には……なれないわね。気分が盛り上がらないでしょうし。 「じゃあ、完全な変身を見せてもらえるかしら。はい」 毛並みが自慢の胸元の毛を一本差し出すと、ドゥはそれを取り込んで、顔だけをまたぐねぐねして……また点のような目になった。……あら? 「……変わってないようだけど」 「ちょっと思いついたことがありまして」 まだ点みたいな目をしたままのドゥ(そろそろ違和感が凄くてムズムズするから早めに変身し終えてほしいのだけども)は、そう言いながらパソコンに向かった。さっき私がつけたばっかりのやつね。そういえば消すのを忘れてたわ……。 「僕たちは、見たらある程度変身できるんですけど、見ないとうまく変身できないんですよね……と、あったあった」 そんなことを言いながら彼(性別があるのかは知らないけど、まあいいでしょ)は画面を見ながらまた全身ぐねぐねして……あら、あらまぁ! 「――ふう。どうです? この姿」 「ええ、すごいわ! あなたって凄いのね!」 「あはは、喜んでもらえて何よりです」 ドゥが変身したのは、真っ白でふわふわの……そう、私じゃない姿のキュウコン! 別の地方の姿のキュウコンだったのよ! 涼し気な顔立ち、可憐だけど凛々しい立ち姿! 正直かなりイケメンね。ドキドキしちゃう。 「さて……じゃあ、始めましょうか。折角ですから楽しんでいってくださいね」 「ええ、そうさせてもらうわ」 にっこりと笑う彼に胸が高鳴る。私……もしかして、結構凄い体験しちゃってるのかも? ☆☆ それじゃあ早速、と言われてベッドに横になる。滑らかなシーツが私の緊張を煽る。どうしましょう。私、交尾の経験なんてないわよ……。何をすればいいのか分からないわ。 でも、それを素直に伝えるのはちょっと恥ずかしいというか、何というか……。 「緊張なさってます?」 「え? え、ええ……少しね」 「とっても魅力的ですから、自然体でいてくれたら大丈夫ですよ。僕に任せてください」 まさに心中を覗かれた気分。もしかしたら言わずとも初めてだって分かってるかもね。でもそれをあえて言わないのも、さらっと容姿を褒めてくれるのも、中々ポイント高いわ。 ……でも、そっか。私、初めてをメタモンで経験するのね……。ちょっと複雑かしら。折角ならアイツと……って、どうしてここでアイツが出てくるのよ! 違う違う、妖艶で端麗なキュウコンである私がメタモンで処女喪失していいのかってこと! ましてや人間なんかと交尾なんてしないわよ! もう……緊張のせいよ。変なこと考えちゃうのも、心の中で勝手にダメージ受けてるのも。 「大丈夫ですか?」 「いいえ、何でもないわ。それで、何をしてくれるのかしら」 「そうですね……」 ドゥは少し考える素振りをしてから、急にぐっと顔を近付けてきた。目と目が合う。眉目秀麗な顔立ちで視界が埋まる。いきなり来られるとドキッとしちゃうじゃないの。 それから、そっと鼻と鼻が触れ合う。これって……鼻キスってやつ? ちょっとひんやりした感覚が否応なしに彼の存在を伝える。 一度離れてから、今度は唇。顔は同じ向きで向き合ってるから、本当に触れ合うだけのフレンチキス。なのにそれだけで私の胸の高鳴りは最高潮。 だって、今の彼は最高に綺麗で格好いい姿なのよ? それに加えて経験豊富で、優しくリードしてくれる。涼しげで爽やかな匂いも感じて、初体験の私はもうクラクラ……。 そんな私の心中を察したのか、彼はそっと前足で私の頭を撫でて抱えた。思わず黄色い声が出そうになっちゃった。イケメンにこれされて喜ばない雌はいないわよ。 さっき、初めてがメタモンでいいのかしら、なんて思ったけれど。 ……その道のプロに手引してもらえるなんて、むしろ最高だったりするかもしれないわね。 「まだまだこれからですよ。次はもう少し激しく行きますから」 「えっ」 ドゥは私の頭を優しく抱えたまま、再びキスをした。かと思えば、ぬるりとしたものが私の舌先を撫でる。これは……ディープキスってやつかしら。 恐る恐る私も舌を伸ばしてみると、それを契機にしたようにドゥは私の舌を隈なく撫で始めた。まるで私のことを全力で味わうような、舌で私の口を犯しているような、それでいてどこまでも私の様子を気遣っている動きに、私はすっかりメロメロになっていた。 「ん……ちゅ……」 「く……んむ……」 やられっぱなしというのも気に食わなかったから、私も彼に抱きついて彼の口中を味わってみる。ぬるぬるとした舌の感覚が、時々当たる犬歯の感覚が、雪のようにふわふわと冷たいのに、燃えるようにどこまでも熱い。 キスの最中、彼の前脚がそっと私を撫でる。頭から首、胴、それから、後脚の腿。お互いの唾液が混ざる音も、彼の扇情的な愛撫も、私を火照らせるには十分だった。 「んっ……」 ドゥの前脚がゆっくりと動き、私の内腿を経て、ついに“ソコ”に伸びる。すっかり疼いていた私の陰部がどうなってるかなんて、見なくたって分かるわ。本当に慎重に撫でられただけで声が漏れちゃうんだから、まさに“出来上がってる”って感じね。 熱を帯びた目で私がドゥを見つめると、彼はやっとキスを終えて口を離した。混ざりあった唾液が橋を描いてお互いの胸に落ちる。酸素を十分に取り込んで息を整えていたら、つつ、と内腿が遠慮がちに撫でられ、彼が私の目を見て無言で問う。私が小さく頷くと、彼はそっと私の恥部を弄くり始めた。 「んぁっ……ふっ……んんっ……」 「本当に綺麗ですね……“ココ”も可愛いピンクで……もっと僕にあなたの声を聞かせてください」 「やっ……恥ずかしっ……んうぅ……」 キスされているのも恥ずかしかったけど、こうして細かに感想を言われるのもずっと恥ずかしいわね……。ましてや嬌声を聞かれて顔が赤くならない雌なんていないわ。でも彼の手つきが凄くいやらしくて、官能的で、抑えようとしても声が漏れちゃうのよ……。 「悦んでもらえているようで何よりです」 「んっ……あっ……やぁっ……」 「分かりますか? ティナさんのここ、すっかり濡れて……凄く魅惑的ですよ」 「そんなことっ……い、わないでぇ……」 「大丈夫ですよ。気持ちよくて溺れそうなティナさんも可愛いです」 そんな、可愛いだなんて……いっそ冗談に聞こえたらよかったのに。もしそうだったら、私はこんなに溺れなくて済むのに……。 ドゥの前脚は私の恥部だけじゃなくて胸にも伸びる。処女だから大きくもない胸は、ドゥの前脚になんとか収まらない程度ではあったみたい。指が沈んで、優しく揉まれる感覚が、くすぐったいような気持ちいいような、不思議な感じね……。 「ひゃ……んんっ……」 「胸はどうですか?」 「くすぐったい方が強いかしら……でも、あなたが好きなようにしてくれていいわ。あなたに任せるから」 「分かりました。やっぱりこっちですかね?」 そう言ってドゥはまた私の股間を弄る。割れ目を擦ったり、広げたり、少しだけ指を入れたり……じっくりねっとり解されているのが分かるわ。思わず嬌声が漏れちゃう。特に割れ目の上部……陰核を撫でられると、自分のものとは思えないほど甘い声が出ちゃうの。 声を聞かれるのも、感じてる時の顔を見られるのも、恥ずかしいのに、気持ちいい……。 「ああ……今のティナさん、とってもえっちで……ドキドキします」 「ふあっ……もう、こんなの見慣れてるくせに……あんっ」 「別の雌のことなんて関係ないですよ。今僕は、あなたにこれ以上なく惹かれてるんですから」 そう言って彼は私の頬に口付けを落とした。彼の口はひんやりとしているのに、キスされた頬はますます火照って……どうせリップサービスなのに、分かってるつもりなのに、それでも私は勝手に期待してしまう。私は彼にすっかり魅了されているみたい。 ちらりと下の方を見てみたら、出来上がってぐっしょりした私の“そこ”と、ドゥの脚の間から覗く鮮やかな赤い“モノ”が目に映る。臓器の一つですもの、当然見た目はグロテスクなのだけど……あまりにも鮮やかな色だし、彼の身体の一部だって思えば、あまり気にならなくなったわ。 それに、まあ、異性の“ソコ”を見るのは初めてでもないし……流石に興奮した状態は初めてだけど。 「怖いですか?」 「え? あ、ええと……」 少し見つめていたからか、ドゥが心配そうに声を掛けてきた。怖気付いたって思われたかしら。なんて説明したらいいかしら……。 「違うの。いえ、緊張するにはするんだけど……主人が男の人だから、初めて見たって訳でもなくて……」 「なるほど……あまりまじまじと見られると恥ずかしい気もしますが」 「お互い様でしょう?」 「まあ、確かに」 私たちは顔を見合わせて笑った。いつの間にか私の緊張は随分と解れていて、火照りと疼き、多少の好奇心、そして少しの期待が私を満たしていた。 まあ……弄くられるだけ弄くられてやられっぱなし、ってのはちょっと耐え難いけど。その道のプロなんだから、きっと痛みなんてほとんどないでしょうし……ね。 「これが今からティナさんの中に入ります。案外入り切るものですが、痛みがあったらすぐに言ってくださいね」 「優しいのね。でも、少しぐらいなら平気よ。いっそ一思いに入れてほしいわ」 「……ちょっと思ってたんですが、もしかしてティナさんって意地っ張りだったりします?」 う。嫌なところを突いてくるわね……。そうよ。負けず嫌いの意地っ張りよ。キュウコンにあるまじき醜態よ! 私だって気にしてるのよ……。 でもそれを素直に認めるのも腹立たしいというか、気に食わないわ。だからまた見栄を張って意地を張るのよ……負のスパイラルね。 ……認めるけどさ。 「……悪い?」 「いえ、そんなティナさんも可愛いなって」 「なっ……もう、冗談はやめて。私は意地っ張りな自分が好きじゃないのよ」 「僕は好きですよ? ますます魅力的に見えてきました」 「……」 そんなこと言ってよく歯が浮かないわね。……ええ、これだって負け惜しみよ。本当は嬉しいのよ。嬉しいに決まってるじゃないのよ。でもそれを大人しく認めるのが屈辱なのよ。だから私は私が嫌いで……。 でも……ドゥの真剣な眼差しを受けていると……ああ、もう、どうでもいいわ。野暮よ、野暮。 「……好きにして」 「ふふ、すいません、分かりました。今だけは全部忘れてもいいですからね」 「……っ」 私の“そこ”に彼の“それ”が宛がわれる。氷タイプのくせに熱く脈打つ“それ”に思わず身体が強張るけど、すぐにドゥが愛撫して解してくれる。全部分かられてるのが嫌だわ。 でも、彼の言う通り……今だけは、私が嫌いな私の事、忘れてみようかしら。……忘れられるかしら。 ☆☆ 「……入れますよ」 「ええ……来て……」 まだ何も受け入れたことのなかった私の膣が、初めての感覚に異物感を発する。それでも彼が解してくれたからか、彼の技術が上手いからか、はたまたお互いの体の相性がいいからか、思っていたほどの痛みはない。ただひたすらに、そこ通るの? って思うようなところが貫かれていく。どこか現実離れした感じだけど、彼の愛棒の熱が、硬さが、鼓動が、いやでも現実だと教えてくる。 ああ……私、処女喪失したのね……。まあ、ヒトにあるっていう膜とかはほとんどのポケモンには無いんだけど。それでも気分的に、ちょっとね。 思っていたほど痛くもないけれど、思っていたほど気持ちよくもない、というか……こんなものなのかしら。少しだけ拍子抜けね……? 「痛くないですか?」 「ええ、全然。拍子抜けしてるくらいよ」 「そうですか……ではもう少し奥まで入れますね」 「ええ……え」 ちらりと結合部を見てみると、彼の股間から尻尾が見える……つまり、全然入り切ってないってことね。四分の一ぐらい……って。結構奥まで入ってたつもりだったのだけど。 思わず声が出ちゃったけど、ドゥは気にせず腰を埋め続ける。さっきまでの察しの良さはどこ行ったのよ! ……あっ! こいつ笑ってる! わざと無視して私の反応を楽しんでるんだわ! 「ちょ、ちょっと……ひぁっ!?」 文句を言おうと思って口を開いた瞬間、頭に電流が走ったみたいな快感が押し寄せて、目の前が一瞬眩んだ。彼の前脚が私の陰核を引っ張ったからだ。 「どうかしましたか?」 「どうもっこうもっ……やめっんあぁっ!」 また摘まれて、引っ張られて、また押し戻される。断続的に与えられ続ける強い快楽が身体から力を奪っていく。 この……調子に乗って! 「うぅ……ううー!」 「ふふふ……いや、すいません、そんなに睨まないでくださいよ。あまりに反応が可愛いものですから、つい」 「ついじゃないわよ! 可愛いって褒めてりゃ何でも許すと思ってるのかしら?」 「ええ、まあ」 「もう……!」 素直に認めてるんじゃないわよ! まったく……いつか仕返ししてやるんだから。 いいえ、いっそ今からやり返してやるんだから。今は彼のモノが少しだけ入ってる状態なんだし……友達に聞いた話だと、雄のモノって先端が敏感なんでしょ? なら、今強く締め付けたらどうなるでしょうね。 「……っ!」 「あら、どうかしたかしら?」 「意趣返しですか……やはり意地っ張りで、うぉっ」 また余計なことを言いそうだったからまた強く締めてみたら、思いの外間抜けで可愛らしい声を上げるじゃないの。気分がいいわ。 今の声、もっと聞きたいわね……って、これ、さっき彼も似たようなこと言ってたかしら? 「くぅっ……実は経験済みだったりしますか?」 「全然そんなことはないけれど……効果は抜群だったみたいね?」 「ええ、相当に。これはリベンジしなければいけませんね……」 ドゥは快楽に耐えて苦悶の表情を浮かべながら、不敵に笑った。私の攻めが彼に火をつけちゃったみたい。……余計なことしたかしら。 でも今更止めてなんて言わないわ。言うに言えない、引けない所まで来ちゃったし……それに、私もこの先にちょっと興味あるし。 「一気に行きます。本当に辛かったら僕の背中を叩いてくださいね」 「分かったわ。いつでもいいわよ」 私たちは首を絡めあって、前脚で抱き合った。胸までがぴたりとくっついて、彼の鼓動が直に伝わる。ひんやりとした体温は、少しずつ私のそれと混ざり合って暖かくなってきた。 彼が腰をずん、ずんと段階的に沈める。その衝撃が奥まで伝わるたび、最初は何も感じなかったのに、甘い快感が少しずつ蓄積していく。そしてある一部に彼の陰茎が到達した時、甘い快感は一気にその強さを増した。 「んぁっ……ああっ!」 「ココ、ですか?」 「ああっ! そこっ! そんなっ、だめっ!」 思わず声を上げると、ドゥは執拗に“そこ”を狙い始めた。身体が強張って、彼を強く抱きしめて、無意識に嬌声が漏れる。 そして最後に、ドゥが強く腰を打ち付けて、モノが全て入りきった時、私は限界を迎えた。 「ひあっ! ああっ! ふぁっ! やぁっ! あああぁぁっ!」 「くっ……イきましたね」 「ふぁ……はぁ……はぁ……」 視界がぱちぱちと眩む。正直、今まであんまりそういった性処理をしてこなかったから……こんなに強い快感で絶頂したのは初めてだわ。気持ちよくて、幸せで……ずっとこのままでいたいような、不思議な感覚。これが交尾なのね……。 私が気をやった後、ドゥは私の息が整うまでじっと抱きしめてくれていた。膣にかなり強く力が入っちゃったから彼も苦しかったかもしれないわね……ちょっと申し訳無い気持ち、かしら。 「ふぅ……ごめんなさいね、私だけ楽しんじゃって」 「いえいえ、それが僕の仕事ですから。それに……これで終わりじゃあないですよ?」 「ええ、そうね……」 正直なところ、私はもう随分体力を消耗したのだけど、本当はまだまだこれからなのよね。本当に刺激的な一時だわ。 すぅ、と一つ深呼吸をして、私はまた彼に抱きついた。 「もう大丈夫。続けてもらえる?」 「分かりました。……今から少しだけ苦しいかもしれませんが、耐えてくださいね」 そんな不穏なことを言ってから、ドゥが少しだけ腰を下げる。抜くのかしら、と思ったら、すぐにまた腰を埋めて……更に奥まで入ろうとしている、のかしら。彼の陰茎の根本……亀頭球、だっけ。それが私の狭い膣に入り込もうとして、陰核や割れ目を押し潰す。私はまた甘い声を漏らすことになる。 「んんっ……」 「くぅっ……キツい……」 グリグリと押し付けるような動きをされると、中に入った部分が私の“急所”を突いてきて身体が痙攣しちゃう。絶え間なく迫りくる快楽を身を捩って耐えていると、じゅぶ、と音を立ててぬるりと彼の亀頭球が私の中に入った。 「はっ……はーっ……」 「すいません、大丈夫ですか?」 「ちょっと……苦しい、けど……大丈夫。なんだかしっくり来るというか……気持ちいい、から」 正直異物感は増したわ。でもそれ以上に、パズルのピースがはまったような、そんな充足感も覚える。腰までぴったり重なり合ってて、冷たい彼の身体の温もりを感じる。それに、内側から常に陰核が押し出されてて……単純に、気持ちいいっていうのもある。 膣全体で彼のモノを包み込んでるから……被征服感というか。彼の好きなようにされちゃった、って思うと鼓動が早まって顔が熱くなる。 「ゆっくりで大丈夫ですから……落ち着いたら言ってくださいね。それまでは動かないので」 「……ううん、もう平気よ。でも……お願い、またキスしてくれる?」 「勿論です」 彼とまた唇を重ねる。今度は最初から舌を絡めあってのディープキス。しっとりとした唇が、温かい舌が、私の心を満たして、異物感を気にしないようにさせてくれる。 じっと彼の目を見てゆっくり頷くと、彼もまた小さく頷いて、それから腰を動かし始めた。 「んちゅ……ふぁ……ろ……」 「は……んむ……く……はふ……」 キスの水音がダイレクトに伝わって、結合部の水音と肌の触れ合う音が静かに伝わって、少しだけ落ち着いていた私の疼きはまた昂ぶり始めた。私がぎゅっと彼を抱きしめると、彼は片脚で私を抱き留め、もう片方で背中や腰を愛撫してくる。さっきよりも優しくないというか、ゆっくりとしていないのは、彼自身も余裕がないってことなのかしらね。 かく言う私も、彼の腰振りが激しくなるにつれて限界が近付いてきている。そっと尻尾を彼の尻尾に絡めてみると、彼もぎこちないながら全ての尻尾を絡めてくれた。彼は分からないかもしれないけれど、キュウコンにとってはとっても特別なことよ。 それを受け入れてくれたことが、とても、嬉しい。 「ねぇっ、わたしっ、またっ」 「いつでもっ、、どうぞっ……僕もっ、もうすぐっ……!」 「あっ、あっ、あっ、ああっ、あーっ……!」 彼の動きが一層激しくなる。私はもう声を上げることしかできなくて、ただ必死に彼にしがみついて快楽に溺れた。首も、腕も、足も、尻尾も、ありとあらゆるところで彼を感じた。 ああ、また、来る! 「んっ……あああぁっ!」 「くぅ……ふっ……!」 電撃を受けたような強い衝撃と共に目が眩み、身体が痙攣する。さっきよりも激しく絶頂した私に数秒遅れて彼も私の中で吐精した。びくん、びくんと肉棒が跳ねて、私の中に温かいものが注がれる。 不思議なもので、それを受け止めるたびに私の胸も満たされるような、今まで感じたことのない幸福感があるの。彼のことが堪らなく愛しくて、私は改めて彼に抱きついた。 「どうでしたか?」 「ええ、とっても良かった。凄かったわ……」 「嬉しいです。……薄く聞こえるかもしれませんが、僕にとってもティナさんはとても魅力的で……その、今までで一番上手くできたな、って思います」 「ふふ……信じるわ。嬉しい。あなたの一番になれたのね」 分かるわよ。だって、雄って一度出したら凄く冷静になっちゃうんでしょう? それなのに今も彼のモノは元気だし、彼の腕は私を逃さないと言うようにがっしりと抱きかかえてるんだし。彼にとっていい雌になれてるっていうのは、気分がいいし、純粋に嬉しいわ。 彼の長い吐精が終わって、私たちはどちらからともなくまたキスをした。この関係は一時的なものだって分かってるけど、それでも私は愛着を湧かせずにはいられなかったのよ。 「……ねぇ、まだ時間はあるわよね?」 だから、私は思わずそう聞いた。まだまだ彼と一緒にいたくて。彼に甘えていたくて。ドゥは少し驚いたような、照れたような顔になって、それからちらりと点けっぱなしのパソコンの画面を見て、それから微笑んだ。 「ええ。……もう少しの間だけ、僕のものになってくれますか?」 “もう少しの間だけ”だなんて。きっと、私の本心にも気付いてるんでしょうね。もしかしたら、私の知らない私の本心まで見透かしているのかも。 ……帰ったら、思う存分妬かせてやらないと、ね。 「勿論。もう少しの間だけ、私をあなたのものにして」 ドゥがまた私を強く抱きしめた。 私はそっと、彼と尾を絡めた。 ---- 【その後 新人研修生トロワは見ていた】 「名残惜しいけど……じゃあね」 「ええ。ご主人さんにも素直になれることを祈ってますよ」 「だからアイツは関係ないったら……もう。ありがと」 「ありがとうございました。またどこかでお会いしましょうね。……社交辞令じゃないですからね?」 「ふふ、分かってる。私も会いたいわ。またこのポケジョブに来るかもね?」 質素な部屋のパソコンの前に立ち、金色のキュウコンは白色のキュウコンに別れを告げた。メタモンの隣にはガラスケースに入ったタマゴが保管されており、二匹ともそれを愛おしげに見つめている。しかしパソコンの時計表示が定刻になったのを見て、金のキュウコンはパソコンに振り返り、それから尻尾をゆらりと振ってパソコンへ飛び込んで行った。数瞬の光の後、部屋にはパソコンの起動音以外の音が無くなる。残された白色のキュウコンは安堵とも落胆ともなく溜息をついた。 「……行っちゃったなぁ」 キュウコン――に扮したメタモン――がそう淋しげに呟くと、コン、コン、と部屋の扉が叩かれる。彼は気を取り直すように振り返り、扉を開けた。 扉を叩いたのはイーブイであった。その腹が膨れていることが、彼女が妊娠していることを示している。そのイーブイは極めてにこやかにキュウコンに話しかけた。 「お疲れ様。タマゴはできたかい?」 「ええ、先方が雌の方だったので一つだけですが。それより、アンさんはまだその姿なんですか?」 「いやはや、どうにも名残惜しくてね……もうしばらくは彼の温もりを感じていたいのさ」 「わざわざタマゴ生むのも我慢してまで……マクロコスモスの人たちも困ってたでしょうに」 キュウコンは呆れたようにイーブイ――に変身した別のメタモン――に言った。実際彼彼女らは即座にタマゴを成形して生み出すことができる。このメタモン扮するイーブイがそれをしないのは、偏に彼女の相手の存在を味わうためであった。勿論企業の人間の思うところではない。 しかし彼女はへらへらと笑い、気にも留めていない様子であった。キュウコンは深いため息をつく。 「もう……怒られても知りませんよ」 「別にいいじゃないか。メタモンは他にもいるんだし……ねぇ? トロワ?」 「は、はい……」 イーブイが室内に声を掛けると、彼女ら二匹以外に誰もいないはずの部屋からまた別の声がする。イーブイはトコトコと室内を歩き、観葉植物――実際には設置されていないはずのそれをつんと突いた。その瞬間、観葉植物は鉢ごとどろりと溶け、ピンク色の不定形へとその形を変えた。この鉢植えもまた、メタモンであった。 「どうだった? ボクたちの仕事っぷりは」 「その、凄かったです。私もお二人みたいになれるよう頑張ります」 「今のアンさんのようにはならないでくださいね。あくまでも僕たちはプロですから」 「随分な言い草だね。君もボクを見て育ったというのに……」 「その姿で嘘泣きはやめてください。犯罪臭がします」 先輩らしいメタモンの扮する二匹が軽口を叩く。それを聞いて、後輩らしいメタモンは、ふと何かを言いたげにしてイーブイをちらりと見た。それを目ざとく受け取ったイーブイは、ニヤリと笑ってそのメタモンに顔を近付け、演技がかった声色で尋ねる。 「おや? どうしたんだい、トロワ。何か言いたげだね?」 「えっと、その……ドゥさん、あのキュウコンさんに、説明してないことありましたよね? タマゴを産まなくてもいい、ってやつ……」 「おやおやぁ」 「そ、それは……」 後輩のメタモンが言うのは、この催しに決められたルールの一つであり、彼彼女らメタモンの特徴を活かしたものでもある。もし迎え入れたポケモンが雌性であった場合、妊娠は大きな負担となる恐れがあるため、もし本人が望まないのであれば受精卵をメタモン側が受け取り育てる、という制度だ。それが可能になる自在な身体をメタモンは持っている。タマゴを作ることが目的である以上、極端な話、排卵を促しさえすれば、性行為をしなくてもよい、ということである。 そして勿論、その説明義務がメタモン側にはあるのだが……。 「ははーん。さては君、欲を出したね?」 「ち、違います。忘れていただけですよ」 「本当かな? お客さんに自分の痕跡を残したくて、わざと話さなかったんじゃないのかい? 流石はボクの弟子だねぇ」 「違いますってば……ほら、次はトロワさんの番ですよ」 キュウコンがイーブイに突かれ、誤魔化すようにメタモンを急かす。メタモンはパソコンの画面に映る時計が思いの外進んでいるのを見て、慌てて扉から廊下に飛び出した。 「が、頑張ります! では!」 「……うーん……心配ですね」 「ま、あの子なら大丈夫だと思うけど……ボクが見てこよう。君はのんびりタマゴの世話をしているといいよ」 「ありがとうございます。お願いします」 トタトタと軽い足音を立ててイーブイが退室する。ようやく本当に静寂が訪れた部屋で、キュウコンは一匹、タマゴを愛おしげに取り出し、撫でて、口付けた。 「……本当にまた来てくれると嬉しいんですがね」 その時は必ず自分が対応しよう、と彼は密かに心に決めた。そしていつまでも未練がましく変身したままの自分を見て、自分も他人のことを言えないな、とも思い、自嘲しながらもゆっくりと変身を解いた。そして、手に当たる部分を何度か動かして調子を確認する。どうも落ち着かない。 メタモンにとって稀にある現象として、変身した期間が長すぎて元の体がしっくりこない、というものがある。今まで彼にはそのような経験がなかったのだが、今やっと身をもって理解していた。あまりにキュウコンの姿が名残惜しすぎた、ということだろう。 「……さて、人間さんにお渡ししますか」 メタモンは一つ頭を振ってから、タマゴを再びガラスのケースに入れ、衝撃を与えないようゆっくりと運び出し、そして部屋の扉を閉めた。 パソコンの起動音が、次第に消えていった。 ---- 感想・誤字脱字報告などはこちらへ #pcomment(above)