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初雪 の変更点


…………私は何処にいるのだろう……



小雪がちらついてきた

この時期にしては遅い

最近は寒さだけが増していただけだった

私にとっては夏のうだる暑さよりとても過ごし易いことである

でも鬱陶しかった

ただの寒さだけだった

空気が冷たくなるにつれて私は苛立った

今どんな恋人よりも待ち焦がれていた初雪に私の心は潤いを取り戻した錯覚に躍った

……いつの間にか私の心はこの恋人に焦がれるばかり凍てついてしまっていた





冬の寒さを連想させる淡い青の体毛に深い青のおさげを鋭い風に揺らしたグレイシアが茂みに埋もれていた

随分長い間そこにいたのか周りがその身体の形に合うようになっていた

うっすらと目を開けたままじっとして所在もなく何処かを睨み付けていた

初雪がちらついてきたのはその時だった

始めはまだ細かな雪で地面に落ちるとすぐに姿を消していた

次第に空から降る塊は大きくなり辺りを白く色付かせていった

欠けた歯車がひと度噛み合ったようにみるみるうちに一様に景色をならしてゆく

微かな光も乱れ散り先程よりも明るくなっていた

深く白く曇った吐息を吐いた


すっかり一目だけで冬と見分けのつく景色となった頃

降り積もったばかりの雪を踏み締める音が地面に響いて聞こえてきた

地面を後ろ足で踏み締めて一層深く身を屈め雪に身体を埋める

音が徐々に近づいてきた

黄色い雷を思わせる鋭さを纏い白く化粧の施されたサンダースが歩いてきたのである

伏せたまま相手の姿を観察しようと顔を上げた刹那不用意な音を立ててしまった

雪音で包まれていた場が鋭く冷たく凍り付いた

動揺を抑え身を低くし息を殺してギッとまだ距離のある相手を睨む

サンダースも音の源らしき方に鋭く神経を向けて一歩一歩と近寄る

その途端堪えきれなくなったグレイシアが先に仕掛けサンダースに氷の礫を投げ飛び掛かる

思わぬ奇襲に反応が遅れグレイシアに背中から倒される

持ち直してすぐさま臨戦体勢になり襲い掛かってきた何者かに電撃を浴びせ応襲する

追撃を与える前に電撃を浴び動きが封じられてしまった

その隙にサンダースの後ろ足で蹴飛ばされ雪の上に倒れ逆に押さえ付けられる

ダメージを受けたグレイシアにはなす術がなかった

サンダースを睨み付け激しく威嚇しどちらも興奮し体毛を鋭く逆立てていた

しかしサンダースはそこからグレイシアを押さえたまま何もしない

「なによ……さっさと好きに殺しなさいよ!」

痺れを切らせたグレイシアが叫ぶ

サンダースはそれに応じず二匹の上に雪だけが降り注いでいた

もうグレイシアは睨むだけで抵抗しようとはしない

痛手を受けた自分はどう足掻いたところで目の前のサンダースの餌食になることは分かっていた

ところがサンダースは結局グレイシアを見下ろしたまま解放した

「何の……つもり……?!」

まだ電撃の麻痺が残る身体を起こそうとしながらまた言った

サンダースはそれにも答えず背中を向けて去ってしまった

その姿を言うことの効かない身体と格闘しながら見送った

言いようもない悔しさがグレイシアの胸に渦巻いた

氷の結晶が外側にまで突き出るほど成長していた

元の寝床に身体を戻しそこでグレイシアは雪音に混じり泣き明かした

その身を雪に隠してしまいながら






日が照りだした

昨夜降り積もった雪が美しく日光を反射し眩かしく光輝いていた

大きく育った結晶を心持ち感じながら不自由のなくなった身体を起こす

昨日争ったまま乱れた毛並みを整える

いささか苦みを感じ顔をしかめてようやく身なりを整えた

しかし日の光で溶かされた雪が葉から垂れ白い風景はより変化していく

グレイシアはしばしば身体に落ちた雫を舐め取らなくてはならなかった


日も大分昇って降り始めていた

積雪も随分薄くなり被っていた所も元の色が所々出てきていた

日の暖かさは影に隠れたグレイシアには届くどころか逆の効果をもたらした

その時向こうからサンダースが少し辺りの様子を伺うように歩いてきた

その姿がグレイシアの視界に入ると雪の結晶が再び鋭く尖った

またグレイシアは身構える

グレイシアに気付かないサンダースに向かって冷凍ビームを放つ

強い冷気を帯びた筋が走り咄嗟にサンダースは避け元居た場所が凍り付くのを見た

久しく使ったことのない技だったのかグレイシアは息苦しそうにしている

サンダースは冷凍ビームが飛んできた方を向いて何か言おうとする

苦しさを振りほどいて茂みから飛び出したグレイシアは再び空間に冷気の筋を作る

あまりに不意であったのか避けきれず後ろ足が氷に捕まる

技を出した後グレイシアはより酷く苦しそうに咳き込みながらも息をしていた

「ちょっと待って、話を聞いてくれ!」

サンダースが叫ぶ

その声に刺激されもう一撃放とうとするが胸に痛みが走り大きくむせる

「少しだけでもいいから話を聞いて!」

またサンダースが叫ぶ

「はぁ……はぁ……、っ……嫌に決まってるでしょ!」

何度か技を出そうとするが思うように出せない

「謝りたいんだ、昨日の事……驚いてて、君が雌だとは知らなくて」

「雌だったらなによ……馬鹿にしてるの?!」

激しく感情が掻き乱され身体の外にまで溢れその原因にぶつけようとしていた

サンダースは不本意な顔で素早く電撃をグレイシアに浴びせる

弱った身体に電撃を浴びたグレイシアは麻痺した身体を地に伏せて意識が薄れていくのを感じた

後に残った氷柱が日光に雫を垂らして光らせていた






…………悔しい……

ずっと泣いていた

私は私の雪の中でずっと泣いていた


誰とも触れ合いたくなかった

誰かに近づいたら

私はあの雪のようにとけてしまいそうだったから

他人の暖かさなんか……


だから私はとけてしまわないように

とけてしまいたくないから

私は自分を冷たく鋭くしていった




グレイシアが目を覚ました時辺りはもう暗くなる頃だった

目を開けたグレイシアをひどく驚かせたのは目の前にサンダースが居たことだった

居たというより寧ろグレイシアの横で一緒に寝ているようである

咄嗟に身体を起こしてサンダースと距離を置こうとする

身体を動かした時まだ微かに残っていた麻痺と胸の痛みで呻き声をあげた

その声でサンダースも目が覚めはっと起き上がりグレイシアの方を見た

「大丈夫?」

サンダースが心配したように優しく尋ねた

どこか申し訳なさそうな声でもあった

言いようもなく込み上がる気持ちはもうグレイシアの心には収まりきらないようである

「な……なんのつもり……なの……」

切れ切れに言う

「争いに慣れてないのに、そんなに無理したら……」

「……!、いい加減にして!、っ痛……!」

怒鳴るが痛みにうずくまる

「大丈夫……?」

「近寄らないで……!」

サンダースが思わずグレイシアの側に寄ろうとすると睨み付けて牽制される

「でも……君がそんなになってるのに放っておけないよ」

「いいから、早く私の目の前から……」

吠えるように言うとまた胸の鋭い痛みがグレイシアを貫いて地面に半分倒れ込んだ

慌ててサンダースがグレイシアの側に寄り添う

グレイシアに牙を向ける体力はなかった

そのままサンダースはゆっくりグレイシアの身体を抱き締める

ビクリとグレイシアが身体をびくつかせ毛を微かに逆立て空気が冷える

それでもサンダースはグレイシアに寄り添っていた

荒い息をしていたグレイシアも次第に落ち着いてそれにつれて氷の結晶が暖められていく

氷のとけた水がグレイシアの外に伝ってきた

いつしか時間がゆったりと流れていた

次々にグレイシアの目から涙が溢れ落ちる

宥めるようにグレイシアの身体をより抱き寄せる

小さな嗚咽が聞こえてきたと思うと次にははっきりと聞こえる泣き声を上げていた

胸の中の結晶は小さくなっていた





グレイシアが落ち着いた時にはすっかり日も落ちていた

サンダースはそれまでずっと何も言わずにグレイシアを包んでいた

「もう、大丈夫……でも、このままでいて……」

グレイシアが小さく呟いた

それにサンダースは小さく頷いて応えた

「私……ずっと怖かったの……他人と関わっていくのが……」

だから私は

独りに耐えるために

雪の結晶になった

どんな冷たさも自分のものにするために

それから冬が

雪だけが待ち遠しかった

雪だけが暖かかった

それからの私はますます他人を恐れた

他人の暖かさ

雪とはまた違う本当の暖かさが怖かった

とけてしまうのではないか

私は雪だった

積もる前に消えていく雪を見ながらいつも思っていた

大地は暖かすぎるのだ

木も草も石さえも

そうして私は長い間ここにいた


グレイシアがぽつりぽつりと雫を垂らしていった

サンダースはそれを受け取っていた

「僕も……今こうできるなんて、思わなかったよ……」

「僕は君に関わってしまってるけど、僕も他人と関わるのは怖かった、寧ろ傷付けてしまわないか、

サンダースになってから、もっと思うようになった、でも今は君を傷付けてしまったけど、守ることがで

きることもわかった……だから……」

互いが互いに自分の心をさらけ出していた

グレイシアは顔を上げてサンダースを見た

泣きじゃくった後で少し目元は腫れていたが今まで見せたことのない澄んだ瞳だった

サンダースもそれに応えた

冬なのは間違いなかったが二匹の間には違った空間が支配していた

時間をもそれは支配していた

互いに互いの意思を感じグレイシアからも前足をサンダースにかける

身体的な距離を縮め心の距離もそうするためゆっくり顔を寄せあう

どちらも初めてだったのだ

鼓動しか聞こえない

唇が重なりあう

かっと熱くなる

とても長かった

離したくない

少し口をあけて舌を差し出す

重なったところでお互いの舌先が触れ合う

慎重に舌を何度も触れ合わせた

触れる感覚が頭の奥までじんわり響く

口を動かす度水音が響いた

最初は恥ずかしかったようである

遠慮がちな舌は気にしながら動いていた

サンダースがグレイシアの中に飛び込み巻き付いた

受け入れたグレイシアは集中して感じている

段々深くなっていく

唾液が混ざり合い口の端から垂れていた

もはや聞きたがるように音を立てて絡みあい続けていた


深く濃厚な口付けを満足に交わし口をほどいていく

離れても銀色の唾液の橋が二匹にかかりある所でぷつんと切れた

もっと感じたかった

互いの心を交わるほど近くしたかった

その現れが二匹の身体に出ていた

サンダースは少し困惑気味に抱き合ったまま腰だけ隙間をつくった

グレイシアも自分に今までなかった感情がサンダースに向けられているのを悟った

離れた下腹部を自分から密着させた

熱く不思議な感触が広がる

大きくグレイシアの胸が跳ねた

サンダースも同じ様子だった

もっとお互いを感じたい

「……いいかな?」

その欲望に動かされサンダースが尋ねる

頷くグレイシア

顔が真っ赤になっている

そっとグレイシアを抱き締めたまま背中から地面に押し倒した

辺りはとろんとした緊張につつまれている

グレイシアに覆い被さるように向かい合った

いかにも初めてであることを示すほど鮮やかなお互いの性器を対面させる

グレイシアは狙いを定めるサンダースをじっと見つめていた

雌の象徴のスリットは大きく逞しい雄槍を誘うように愛液で濡れ雌臭を放っている

雌雄の営みの始まりである性器が触れあった

二匹とも深く息をして未開の地へとゆっくり踏み入る

狭いグレイシアの中にサンダースが押し拡げ繋がっていく

繋がりが深くなるにつれてグレイシアは息が早くなり苦しくなる

苦しくなるが同時に暖かかった

サンダースも暖かさを感じていた

グレイシアとサンダースの心が交わり始めた

サンダースは懸命にグレイシアの中を慣らして動いている

グレイシアはそれを歓迎し奉仕する

サンダースの動きは次第に大きく速く激しくなる

それにつれてグレイシアは艶やかな声で喘ぎサンダースを助長する

音は尚更自己主張が強くなってきた


幸せだった

どんどん心が交わる気がした

自分達の身体と一緒に

もっと触れ合いたい

身体の奥底にまで刻み込みたい


交尾は欲に誘われ自分達の全てをさらけ出したまま続いていた

二匹の熱い吐息の混じった声は暗闇の中で響いていた

サンダースの肉棒は何度もグレイシアの膣に擦り付けられていた

膣は肉棒を懸命にくわえていた

「んはぁ……はぁ……イ、イっちゃうよ……っ!」

耐え兼ねたサンダースが訴えた

「ふぅっ……んぁあ、ぁんっ……ふ……わ、私も……っ、中に……中に出してぇ……!」

喘ぎの混じった絞り出すような声で応える

応えよりも先に果て遺伝子の詰まった白濁した液をグレイシアの中に注ぎ入んでいく

くわえた口を痙攣させながら透明な蜜を噴き出すが中につがれたものは溢さない

全てを受けたグレイシアはサンダースで一杯になる

二匹の越えてしまった声が絡みあい伝う

収まった後も二匹は一つになったまま息を整えていた

ゆっくりサンダースは出し尽くし萎えたものをグレイシアから引き抜いた

ぽっかり口を開けたままの所から少しずつ中に入っていたものが溢れる

サンダースはグレイシアの上に汚れた場所同士を重て覆い被さる

交わった二匹は互いに見つめあった

そっと頬を擦り寄せた


また雪が降っていた

暖かい雪だった


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最後まで読んで下さりありがとうございました
感想、ご意見等ありましたら、よろしければコメントにお願い致します
- 展開が早い気もしますがCpや内容は非常に好きです
文の書き方もよかったです
これからもがんばってください
――[[くれ]] &new{2010-08-08 (日) 01:52:29};
- 面白い
――[[クラウン]] &new{2011-04-05 (火) 20:40:55};

#comment();

IP:125.13.222.135 TIME:"2012-07-17 (火) 18:17:02" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%88%9D%E9%9B%AA" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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