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八つの扉へ プロローグ の変更点


著者:オレ
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*物語を紡ぐ者 [#h5e9fe06]
[[スティーレと大司教>#suthire]]
[[ユソティアとアルギーネ>#yusothiaandarugine]]
[[破戒負う者>#rasetwu]]
[[フォルクとビトーニェ>#forukuandbitonye]]
[[リガル>#rigaru]]
[[クイッヒ>#kuihhi]]
[[セラフィー>#serafi]]




*プロローグ [#t1be4549]
 この世界に住む「霊獣」と呼ばれる存在は、ニンゲン、カイリュー、コジョンド……様々な姿の種族で構成されている。互いに異なる姿を意に介すことなく、国や文化、血縁に至るまで様々なつながりを築いていた。


&aname(suthire);
 束ねられた木の枝で作られた、小さく簡素な人形が山と積まれている。四足だったり直立だったりさまざまな種族の人形があり、しかし乱雑に無造作に積まれている。ある者はその山に呪詛を浴びせ、またある者は唾吐き辱める。周りののぼりや花束で飾り付けられた豪華な場には似合わない、相反する諸々の態度。
「これが、これが『霊獣』の本性なのですか……お父様?」
 ラプラスのスティーレは沈痛な面持ちで、そんな様子を楼閣の窓から眺めていた。大きく掲げられた横断幕には「楽園追放祭」と書かれている。この祭典が現在の形になる歴史は、かつて大いなる災いを起こそうとした「失楽園の民」たちの存在にさかのぼる。それは実在こそ認められてはいないが、各地で伝承が残る邪(よこしま)なる集団である。
「失楽園の民たちは本当は高い志があった。だが保身でそれに反対したヴィクタニアに与し(くみし)、彼らの高い理想を知ったのは滅ぼしてしまった後だった」
「このお祭りの始まりは、この一年の害悪を人形と一緒に滅ぼすためと聞いていたっていうのに……」
 隣に鎮座するガブリアスのトゥガインは、そんな愕然とするスティーレの表情を冷たく見下ろす。父と呼び慕う者に対して、どうしてここまで冷たい態度で臨めるかは不明である。あるいはこの父は「父親」としてではなく「この世界の住民を憎む者」として振舞っているのであろうか。
「活躍した者たちは栄光を手にできると思ったら、その事実が待っていたわけだ。保身で一勢力を滅ぼすような者たちだ、後ろ指を指す者が現れることを警戒したのだろう」
「悔い改めればまだ良かったのに、こんなの酷過ぎます……」
 その光景があまりに見ていて心苦しかったのか、スティーレは楼閣の窓から首を引っ込める。それでも聞こえてくる野次のような声に耳をふさぎたいのに、ひれと長い首の組み合わせでそれが許されない。スティーレは生まれ持ったラプラスの体を呪う。
「お前もあの書物を見たであろう。失楽園の民の正義をそれでも広めようとした者たちは粛清され、次はそれを言い出せないような雰囲気を作るために既存の祭事を利用する。何度も言うように、これが彼奴らの本性だ」
「そうであれば、ヴィクタニアの末路も理解できます。一帯の陸地が波に飲み込まれて消滅したというのがまるで天罰だと思っていましたが、こんなことを隠していたなんて……」
 たまりかねて、スティーレは窓に厚いカーテンを引く。本来この祭典の間は窓を閉ざすのは好ましくないと言われている。彼らの言い伝えでは「そんなことをしては邪気が室内に篭もるから」ということになっている。病床者等の一部の者にのみ、最近になって許されるようになったくらいだ。病床の者がこの騒がしさの中にいるという状況を実際に考えてみよう。邪気を祓うどころか、逆に呑まれて命を絶ちかねない。それほどの喧騒なのである。
「我らの周りとて同じことよ、スティーレ。お前に忠誠と頭を下げている連中とて、結局自らの欲望のための手段だ。いずれ何かことがあれば、裏切ることであろうな」
 スティーレはこれ以上父の言葉に答えるでもなく、部屋の片隅のベッドに向かう。季節的に掛け布団はもう遅い時期だったために敷布団を被ったのは、ただ外のうるささを締め出すためではない。裏では自分を「変わり者」と笑っているお付きの者たちの姿を見たときの恐怖が再燃し、既に何も聞こえなかった。逃げ込む場所が欲しかったというのに、こんな稚拙な逃げ場しかないと思うと恐怖は膨らむ一方である。


&aname(yusothiaandarugine);
「ユソティアちゃん、おめでとう!」
「ありがとうございます、お父様」
 ユソティアと呼ばれたアブソルは、扱いづらいはずの前足の爪でグラスの足をつかんでいる。父と呼んだルカリオの表情が緩んでいるのは、グラスの中の赤い飲み物だけのせいではない。宴会会場の正面の壁には「叙勲者一覧」と大きく書かれており、その筆頭にユソティアの名前が書かれていたのである。しかも配属先は「王女従者」であるから、相当な立場である。
「カイオスよ、少々飲みすぎてないか? とても十九になる娘を呼ぶ言葉ではないと思うのだが?」
「アルギーネ様もお子を持てばわかりましょう。ユソティアちゃんはいつまで経っても可愛いユソティアちゃんのままです」
 言いながらカイオスと呼ばれたルカリオは、娘であるユソティアの厚いたてがみに頬をうずめる。その歳の女性にこの態度をとる中年男性など、どう見ても常軌を逸している。名前に「様」をつけなければならないアルギーネの手前だというのに、慶びごとに酒のせいも相まって溺愛に遠慮が無い。
「本当に可愛かった頃を見ていない気がするのだが? 養女になった十二以降が可愛かったのなら別だが」
「お父様にとっては十分可愛かったと思います。どちらにしても僕たち拾い子の間では、養子養女云々は禁句になるくらいお互いを思っているんですがね」
 そんな父親の姿に、しかしユソティアもむしろ喜んでいるくらいであるから凄まじい。それは逆に周りには入り込む余地の無さを感じさせるほどである。アルギーネは仕方なさそうに、さりげなくフェードアウトしていく。アルギーネもニンゲン種としては、見た雰囲気では可愛らしい子供だとよく言われる。いくらなんでもそこまでは無いと思いたいが、自分もユソティアのように接されてはかなわないと思ったらしい。
「ユソティアちゃんの柔らかいたてがみ、誰にも渡したくないよ」
「お父様、投げ出した足が邪魔になってます。別室に移りましょう」
 訓練校にいる間は親元から離れなければならないため、その間の喪失の時間はカイオスにはあまりに大きかったらしい。この溺愛を養子養女全員に注ぐのだから、とにかく凄まじい。周りもカイオスほどではないが酔い溺れているだろうと気を遣い、ユソティアは抱きつくカイオスをそのまま別室へと引きずる。何とはなしにアルギーネの行方に目を送ると、肩にイーブイを乗せた銀髪の同じニンゲンの男性と話をしていた。
「似てる……けど違うんですよね」
「何がだい、ユソティアちゃん?」
 あのニンゲン種の男性は、確か名前をアスベールといった。細面のようで武官の家出身だけあり、外交官に転向するまではある程度の武勲を修めていたと聞いている。ここにいる理由は同じ家の親戚が叙勲を受けたからと、そこまで知るほどにユソティアは意識してしまっていた。ただ生い立ちや年齢的な部分から、ユソティアの記憶に残る「彼」とは明らかに違う。それでもどうしても気になってしまうのはあまりにも顔立ちまで酷似しているからで、そう思ってしまうとこの声は年を経て声変わりしたものに聞こえるから不思議である。
「私に命の恩がある方に、アスベールさんはあまりにも似ています。ここまで似ているのに年齢が少し違った感じですし、アスベールさんの生い立ちを聞けばあの時の僕と会っている可能性なんてないのですがね」
「その子も無事だといいよね。そしてうちに来てくれるといいよね」
 カイオスは過去にユソティアから聞いた話を思い出す。ユソティアの生まれは、南の『闇黒』の大陸にある。ある日強盗に襲われて家族は殺され、ユソティアは純潔な少女を好む輩の家に売られそうになった。そこに颯爽と現れて自分を助けた一匹のニンゲンの少年のことを、未だに忘れられないでいる。あまりにもアスベールと似ているのだ。もう一度会いたい、会ってお礼をしたい。何よりも言いたいことがある……五年たった今もその思いはまったく変わらない。


&aname(rasetwu);
 そこは流血に赤く染まった地獄であった。無数の遺体が転がる中で、バンギラスの男性と人型の種族の者が対峙している。人型の方は深い茶色の丈夫なマントを被り、一瞬では種族を割り出せない。血に塗れていないフードの袖から飛び出す剣を握った手から、ようやくニンゲン種であることが推察できる。
「貴様、何をした!」
「さて、な? お前は骨がありそうだから残しておいたが……」
 ニンゲンは剣を両手で順手に持ち替える。ニンゲン種は直立のために平均身長こそ高めだが、体は細く戦闘向きではない。大概の種族の者が絆を深めれば、近くで共闘するときに断続的に加護を受けることができる。その分自身の戦闘力が低めなのはこの世界の常識であるが、それなのにバンギラスの顔はかなりの恐怖で歪んでいる。ニンゲンを圧倒する身長をはじめ、体格的に非常に恵まれた種族であるのに。
「来るな、化け物!」
「……どうやら楽しむ価値も無さそうだ」
 ニンゲンが言い終わるころにようやく、バンギラスは破れかぶれで腕を振り上げる。バンギラスの「化け物」の一言には何かを感じたのだろうか、ニンゲンは何かの感情に身を震わせる。刹那の後にニンゲンの姿は凍てつく風と消え。バンギラスが振り上げた腕の下をくぐり抜け、その動きを停止させる。
「死ね」
 その脇の下からバンギラスの体は大きく裂け、新たな鮮血が吹き出す。ニンゲンはその吹き出すまでの間に血を浴びない位置に進んでおり、それがためにフードに新たな返り血がつくことはなかった。
「くだらない……くだらない連中だ」
 フードの奥で輝く瞳は哂うでもなく。ただ転がる累々の死体を見下していた。何がそうさせるのだろうか、そしてそれだけ彼らへの憎しみが深いのだろう。
「化け物……か」
 転がっている者が全て遺体と化しているのを確認すると、ニンゲンは遺物の中から布切れを拾い出す。自分に付き従ってくれる唯一無二の存在である、刃についた血を拭うためである。
「いい加減、この世界を滅ぼそうとしたあいつらの気持ちがわかるな」
 言いながら戦利品をあさり、必要なものを洗い出す作業を続ける。その中から出てきた一冊の本を、思わず手にとってしまう。この三大陸でよく読まれる書物で、かつて世界を破壊しようとした部族の名が記されている。いつもいつも悪役としか描かれない彼らに対し、ニンゲンはそれどころか逆に共感を覚えるほどだった。
「失楽園の民、ね」
 この世界に生きる命の根源を操る三つの聖玉の一つである「精神石」を手中に収め、危険因子として迫害された。破れかぶれになりもう一つの聖玉である「生命石」を持つ国に攻め込み、返り討ちで殲滅された。
「この世界の奴らが自分にとって都合のいい相手しか重視しないのは、あなたたちの頃から変わりませんよ」
 そもそも実在したかどうかすらも微妙なところだとも知ってはいたが、自分に向けられる他からの目線を思えば間違いない。そのものではないにしても、似たような憂き目に遭ってきた者が多数いることは想像するに難くない。
「それを終わらせるために、俺は生まれてきたんだからね」
 血をぬぐった剣を収め、握っていた手を握る。彼を撫でる風がフードを軽くめくり、その狂気にみなぎる瞳をあらわにする。


&aname(forukuandbitonye);
 首都からはだいぶ離れた辺境であるが、必要には事欠かない雰囲気も感じる。今自分が付き従う背中の主をここまで洗練するには、足りないものが多いような気もするが。曲がりなりにも各地を回ってきた自分としては、この村は標準よりもやや小さいくらいであるということを理解していた。
「到着ですよ、ビトーニェ。あまり大きい村とは言えませんがね」
「んでも落ち着く感じだべさ。ウチが生まれた村も、ちょうどこんな感じだったべ」
 ビトーニェと呼ばれたレントラーは、独特の訛りで村への親近感を正直に伝える。バクフーンは黒い背中を翻し、明るい色の毛並みの腹をこちらに向ける。手には護身用だろうか、金属板の貼られた戦闘兼用の櫂(かい)を握っている。この長身から逆手で振り回される櫂の威力は、今の穏やかな表情とは似合わないものであることを身をもって知っている。
「ビトーニェのお父さんですね。実際のところ、今生きていれば俺は認められていたでしょうかね? この国の兵士が弱いからこそ活躍が回ってくる部分もあるのに」
「口先小手先の平和に絆され(ほだされ)ねえ性格もそだべし、腕の方もウチが保証するべさ」
 何度もビトーニェから彼女の父の話を聞かされ、フォルクと呼ばれたバクフーンにはそのうちに自信を無くす部分が出てきていた。目の前にいる娘は手塩にかけたものだとよくわかるため、既に命を落としていることをいいことに掠め取っていく感が残って納得いかない部分があるためである。フォルクには名高さこそあるが、その実田舎出の傭兵に過ぎないということを思っていたからもである。
「むしろビトーニェがもっと強くなってください。折角の持久力も活かす前に俺に倒されていては論外ですよ」
「言ってくれるべ! いつか思い知らせてやるべさ!」
 言いながらビトーニェは、笑顔で右前足をフォルクに向けて振り回す。フォルクはフォルクで笑いながら数歩退いて回避する。実際のところビトーニェが弱いなどということは決してないのだが、残酷なまでにフォルクが強すぎるのである。平和な統治を謳い上げて防衛は自然の要塞に頼るこの国でなくても、十分に通用するのではないかとすら思える。この村の「五百精鋭」と呼ばれる傭兵たちの中でも断トツの実力なのから、そう思えるのも当然である。この国の軍備軽視はあまりにも異常な気がするが、おかげで彼ら傭兵たちもかなりいい職にありつけている実情もある。あまり下手なことは言えない。


&aname(rigaru);
「フォルク、こんな往来のど真ん中で何をしてんだよ?」
「あ、リガル様。これは失礼」
 出来立ての干した薬草を大量に乗せたかごを抱え、リガルと呼ばれたヒトカゲは呆れ顔でフォルクを見上げる。筋肉のつきが良く身長も既に普通のヒトカゲの成年者よりも大きいが、それでもまったくあどけなさの抜けない顔との落差が可愛らしい。そう思うとこの悪ぶった口調もとても可愛らしいくらいである。
「お前が話に聞くビトーニェだな? 俺は一応この村の村長の息子で、名前のリガルは聞いてたな?」
「ウチもフォルクから聞いてたべよ。よろしく頼むべね、リガル様」
 ビトーニェはフォルクに倣ってリガルの名前に「様」をつけて呼ぶと、その瞬間にリガルの顔が一気に紅潮した。種族的にもともと赤いのだが、毛皮ではないのでその変化はとてもわかりやすいから恥ずかしい。しかしリガルはそんなことに気付かないと見えて、さらに首をめちゃくちゃに振り回す可愛い姿を晒す。
「やっぱりフォルク以外に『様』なんてつけて欲しくねえ!」
「あれ? 俺はペットかなんかですか?」
 すかさず茶化し入れたフォルクに舌打ちすると、リガルはかごを脇に置く。周りを数度見回し、近くに手ごろな石が転がっていたのに気付いた。リガルはダッシュでそれを拾い、まっすぐにフォルクに投げつける。恥ずかしがってはいたが、顔は笑顔だからまだ一見平和である。一見しただけなら平和である。
「……めり込んでるべさ」
「跳ね返る方向を計算する余力があるって、なめやがってよ」
 フォルクは櫂の握りの先端を軽く上げ、鋼鉄で覆われたそこでリガルの投げた小石を弾き返した。小石はリガルの頭上を横切り、薄い鉄の看板に深々とめり込んでいる。フォルクの櫂の装甲が無傷なのは鋼の良さがあったためで、看板にするような薄っぺらなものでは簡単に破壊してしまう力がある。これでも勢いを殺すように跳ね返したのに、子供でありながらの破壊力である。ビトーニェはそんなリガルの馬鹿力の末恐ろしさに、思わず周りを見回してしまう。しかし一部の村民が「またやったか」と言わんばかりの表情で目を向けている他は、リガルの姿を見るや何事も無かった様子で忘れ去っている。慣れというものは恐ろしいものである。
「他の方に当てたら大変ですからね。怪我はさせられませんよ」
「ったく。ところでフォルク、ちょっと確認しておきたいんだけどよ?」
 そこまで言い終える頃にはリガルはフォルクの櫂の柄をつかみ、軽く引っ張ってこちらに来るようにと促していた。舌打ちの後にはすぐに真剣な表情に変わったところを見ると、恐らく下手に茶化すようなことは無いだろうとフォルクは予想する。ビトーニェは何を話すのか察せないまま、丸い目の明るい表情そのままに四足種の座り姿勢になっている。フォルクは一言「失礼」とだけ言うと、ビトーニェを残して十数歩ほどリガルの後を追う。
「どうしました、リガル様?」
「ああ。ビトーニェに『成体石(せいたいせき)』のことは話したのかって思ってよ」
 それを言うリガルの頭の中には、いつも母が大切に守っていた赤い宝玉が浮かんでいた。この世界に生きる者たちの仕組みを制御する三つの聖玉、すなわち「精神石」「生命石」「成体石」。成体石は十八の各属性をつかさどる形に分かれ、それぞれの守り手の元にあるという伝承がある。実際には寓話などではなく実在しており、リガルの母方の一族が守り続けてきていた。
「いえ。ビトーニェには聞かせないつもりでいます。ただしですが俺たちに子供が生まれて、成長してリガル様にお仕えしたいと言ってきたら……」
「そうか、そん時に俺自身で見極めろってことか」
 基本的に母親の種族を受け継ぐのが遺伝法則だが、成体石の守護者には適用されない場合がある。父が成体石の守護者だった場合、長子のみはそちらの種族を受け継ぐのである。リガルの場合は母親が守護者だから特に周りからは言われずにいたが、父が守護者であるという例も祖先をたどればあったらしい。その時は拾い子とか異母兄とか何らかの嘘で隠したと聞いている。成体石は下手に操ればこの世の霊獣を絶滅させかねないのだ、それだけ重大な秘密にされているらしい。
「俺が話していいものではありません。ビトーニェにしてもリガル様たちが見極めてからにすべきです」
「だよな。ま、おとぎ話でしか知られねえような存在だからな。俺も最初は実物を見た段階でも信じられなかったしよ」
 そんな守秘義務のおかげもあり、成体石以下はどこに行っても「おとぎ話でなら知られる存在」という位置づけになっていた。誰も見たことがない、触れたことがないのだから仕方が無い。何年も前にリガルがフォルクと聞かされたときは、愕然としながらも受け入れたフォルクとは反対にリガルは信じなかった。果ては「ここまで性質(たち)の悪い冗談を言うなんて」と母親まで疑いだしたほどだ。リガルはどこかそういうところで大人びた部分があり、目を輝かせて喜んだりするどころか自分の背負ったものに眠れないほどに恐怖してしまう性格があった。だからこそ目の前にあったあの赤い宝玉の秘密を必死に否定したのである。
「成体石の守護者は重い秘密を抱える孤独があり、その任を共有して漏らさないでくれる仲間は慎重に選ばなくてはなりません。俺は大丈夫だと思いますが、ビトーニェがその任に堪えられるかどうかはリガル様たちで見極めるべきです」
「ああ。俺も下手なことはしねーよ。そうじゃねーと今まで助けてきてくれたお前らに合わせる顔がねえ」
 それを受け入れられたのは、最後はフォルクがいたからである。リガルがその事実を記憶から消せば、あとは自分がリガルと成体石を守ればいいというフォルクの言葉。それでいつまでも迷ってはいられないと、リガルは腹を決めた。その数日後に偶然来た首都警備の募集にリガルがフォルクを推したのは、自分独りで成体石の秘密に挑む時間が欲しいという気持ちがあったからである。フォルクもその気持ちを汲み、首都の警備兵としてしばらく出て行くことにした。
「フォルク、リガル! 怪しい密談もそこそこにしや!」
「何が怪しいんですか? もうおしまいです!」
 冗談めかしたビトーニェの言葉に、周りからの忍び笑いが聞こえる。振り向くとビトーニェは、いつの間にか買った焼き菓子にかじりついていた。半年交代の契約のため、一年の半分は結局フォルクもこの村に戻ってくる。出ている間に「轟傑」という当て字での呼び名まで貰うほどの活躍をしたのは大体予想の範囲だったが、まさかビトーニェという愛する相手を得るとは思わなかった。リガルとその母とビトーニェと……こんな日々がいつまでも続いてくれたらいいと、フォルクはビトーニェに駆け寄るリガルの背中を見つめる。


&aname(kuihhi);
 機械による光だけでほのかに明るくなっているだけの暗い部屋で、ダークライの女性はイヤホンを耳に当てている。ダークライにこの暗い場所は似合うようでいて、その不気味さをよりいっそう引き立てる。だがそんなことは気にせず、ダークライは目の前の写真を見て含み笑いを浮かべる。
「こちらクイッヒです。トゥガインさん、成体石と『夢遊兵団』の件で報告です」
「ふむ。状況の方はどうだ?」
 クイッヒと呼ばれたダークライの持つイヤホンの向こうから、ガブリアスの野太い声が聞こえてくる。クイッヒはおもむろに並んでいる写真のうち三枚を手に取る。バクフーンとレントラーが写ったものとリザードンとヒトカゲが写ったもの、カプセルの中の液体に浮かぶ生きているか死んでいるかもわからない者が写ったものの三枚である。
「まずは『炎』と『雷』の成体石。素材として良さそうなヒトカゲと、名うての兵士『轟傑』の妻のレントラー。どちらも何かを感じていながら、しかし確証も無いまま数年を過ごしています」
「そちらの国は名目は『平和主義』としながらも、滅ぼすときに邪魔になる兵士を弱らせていると聞いた。そんな状態では手は出せないであろう」
 クイッヒは先の内乱終結後に、その国の王となった者が出した平和主義の宣言を思い出した。長きに渡る戦乱で疲弊していた国民たちは狂喜の声を上げて受け入れたが、そのためのルールに異議を唱えた者の姿もあった。その決定を下した王はクイッヒの先代ということになっている者に操られていたのだが、それを疑った者の話は聞かない。厳密にはそのときに王宮を去った建国の功労者のリザードン辺りは疑っていたかもしれないが、証拠が無かった以上手を出せないと踏んだのだろう。
「山や森に周りを囲まれており、他国からは手出しをしづらい。念のために他国に貢いで平和の統治を謳う。それに酔いしれている者たちの姿もまた見ていて滑稽です」
「その貢いだ財産が他の国の侵略に使われる等を考えず、戦乱に怯え自らの血を流して生活を守る責任を忘れる。我々を『失楽園の民』と蔑んで追放した輩らしい姿だ」
 どちらの声からも狂い出さんまでの憎悪が放たれている。自分たちを滅ぼしたこの世界の者たちの姿にやはりと頷く一方、このような者たちに滅ぼされたのだと思えてならない屈辱感もかみ締めているのだ。無限にしか思えない転生の中で見続けた光景は、数多あれど結局は同じことの繰り返しであった。もはや語るまでもないということを確信している様子である。
「過去に何度か成体石の入手には成功しましたが、どうやら成体石と守護者で共有できる信念が無ければ力を与えることは無いとわかりましたからね。あのヒトカゲはまだ子供である以上、可能であれば私たちに染め上げたいところです」
「成体石とて契約において我らの精神を拒んでいる。クッションとなる存在が必要というわけか」
 言いながらクイッヒは、母親であるリザードンの隣で笑うヒトカゲの写真を手に取る。子供のうちであれば洗脳は案外簡単であり、しかもそれが無垢の心に起因するものだから成体石との共感も考えられる。最初から手を出すのも一つだが、それよりも必要な手駒を揃えるために泳がせることも重要になってくる。あの純粋な目にこの世の汚れを焼き付ける方法、あるとすれば……。
「周りから突き崩しましょうか。今は形式上私の上司となっているゴウカザルは、彼らと懇意にしています。そろそろ頃合ですね」
「そのゴウカザル関係の工作も長くなっているな。手抜かりは無いとは思うが……」
 クイッヒは当たり前だと言うまでもなくほくそ笑む。声しか伝わらないやり取りで表情など無意味でしかないのだが、その一瞬の沈黙で十分に答えは得られていた。ゴウカザルの弟をならず者辺りに殺害させ、死者の蘇生と成体石を関連付けたでっち上げの書を渡す。見かけだけで決めてはいけないと自分を信じるあのゴウカザルのことだ、周りがなんと言おうと聞かなくなるだろう。
「一番厄介な『炎』の守護者には、既に異界から持ち込んだ装置を取り付けました。起動させれば向こうも下手な手出しはできないでしょう」
「この世では到底作れない機器に頼りきり、制御していると思い込んでいるのも楽な限りだ。手伝う必要は無さそうだな」
 クイッヒは脇においてあるリモコンを軽く指先でたたく。彼らが生活するこの世界とは、理(ことわり)の成り立ちすらも違う世界との接続方法を見出した。そして手に入れた技術でもって作った兵器は、かつての戦乱を終わらせるために大いなる役割を果たした。ただしその兵器にはもう一つ仕掛けを施してあり、こちらの意思に反する動きをできないようにした。そんなことも知らずに操れていると思い込んでいる彼らは、まったくどこまでも愚かで哂うしかない。
「せっかくですし、スティーレさんを使いましょう。変わり者でありながら、結局は彼女も偽善の粋にしかいられない性格はよくわかりました」
「なるほど。あれの案内なら偽善者同士だ、存外簡単に信じ込みそうだな」
 聞いた話では、勘当を覚悟してまで隣国に行くことを父に請うたとか。たまたま来ていた外交官の元で学びたいものがあると言い、今はその者の屋敷に転がり込んでいるという。あらゆるものが思いのままでいられると喜ぶ立場に生まれたと喜ぶべきはずだが、そこまで捨てられる度胸とでも言うべきか。ある意味類稀な才能ではあろう。
「一旦外に出すのは効率が悪い部分もありますが、この国で轟傑以下『五百精鋭』を抑えられるような者はわずかです。まだ夢遊兵団の調整も十分とは言えませんし、一旦外に出すのも仕方が無いでしょうね」
「その『わずかな者』もこちらになびく可能性は低いか。むしろそやつらも夢遊兵団の『素材』にできればいいのだがな」
 言いながら思い浮かべたカプセルの中の肉体には、その哀れな姿には悦びを感じてしまう。解体及び再構築を経たグロテスクな「生き物のような存在」に変わり果てた姿も、彼らのこの世界の住民への復讐の一つと言うべきであろう。既に鍛え上げられた者が理想の素材であるのだが、入手は難しい。次善策として、成長のためのエネルギーを蓄えた子供をこの「生物兵器」の作成に利用している。その子供という素材の採集に邪魔になるため、なんとか轟傑とやりあって共倒れになってもらいたいものであるが……。
「彼らの多くも私の先代を悪く言いますからね。当然私への評価も低いです」
「夢遊兵団が完成するまでの辛抱であろうな。時間の問題であるのなら、そこまで心配する必要は無いか」
 トゥガインの納得の様子の口調に、クイッヒは満足するでもなくただ冷たく頷く。わずかに残っている「実力の高い者」とは、かつての戦乱の末期に活躍して生き残っている武官たちである。特に武官の筆頭であった女性のリザードンは、厳しく先代を非難してやまなかったのは今も覚えている。その場にいたわけではないが、所有する機器で傍聴していたのである。怒り心頭で出て行った彼女が成体石の守護者の一であることを知った時には、その滑稽さに失笑を禁じえなかった。昔の話である。
「では、あとはスティーレさんをどう不自然無く動かすかですね。その方法はまた後日」
「うむ。では、次の報告を待とう」
 トゥガインがそう言うと、ぶつりという切断音によって会話は閉ざされた。後に残った静かな空間の向こうでは、憎きこの世界の住民たちが笑い声を上げて遊んでいるのが聞こえる。せいぜい今だけ楽しんでいるといいだろう、その思考停止した「平和ボケ」でいつまでものさばっていられると思わないことだ。クイッヒはしばし瞳を閉じる。


&aname(serafi);
 断崖の上から氷の粒が飛び散る。浮かぶ小さな木箱に乗ってそれを見上げるのは、イーブイの女性である。自分に直接襲い掛かろうとしたのか、まっすぐにこちらに飛んでくる鳥型の者が迫る。しかし崖の上のグレイシアは動じることなく、ただ落ち着いて背後からその卑怯者を打ち落とす。
「ユグ兄さん!」
「私もすぐに追う! 早く行くんだ!」
 ユグと呼ばれたグレイシアに打ち落とされたハトーボーに続き、次はピジョンが波間に消える。これで飛べる者は全て叩き落した。もう大丈夫だと、声の主の方に目線を送る。船代わりの木箱に乗って海に浮かぶイーブイは、沖への海流によってすさまじい勢いで流されていた。
「くっ! あの状況をここまでひっくり返すとは! これ以上思い通りに行かせるな!」
「いい加減諦めが悪いな。私とやりあう覚悟はできているのだろうな?」
 偶発的に囲まれてしまったものの、妹のイーブイを逃がすという任務は完了した。ただ、海流の関係から行き先は「あの国」だ。目の前の兵士たちもユグ自身も、そして当然妹もあの国を悪とする嘘の教育を受けてきた。彼らの両親は今いる育った国の北に接する他国で生まれ、この国で出会ったと聞いている。嘘を並べた教育を押し付けてきたこの国には、何一つ返す必要は無いのだ。
「なんとも『絆』の無い奴だ! この国で育ったのに同胞を裏切るか!」
「お前たちのその『絆』は絆でもなんでもない! 相手を押さえつける脅し文句だ!」
 だというのに、この国の輩は「絆が壊れた」と簡単に嘆き叫ぶ。この国や自分たちがどういうことをしてきたかをわかっていない。そんな国の連中に、嫌がる妹を渡す必要なんてまったく無い。だから彼らはこの国からの離脱を決めたのである。アーボックのポイズンテールをかわすと、ユグはがら空きの頭に冷凍ビームを叩き込む。
「ぐばぁっ!」
「弱いな。上手く裏をかけたのだな、そこまで強力な兵士は張っていないようだ」
 とはいえ、用意した船は妹を逃がすために使ってしまった。かなり苦しいがここからは陸路を進むしかないだろう。妹とはしばしの別れとなるのだ、軽く挨拶しておくことを決める。
「兄さん!」
「そんな顔をするな! いつも笑って楽しんでいるお前に力を貰っているから、私は守ると決めたのだ! お前の行く末を見ずに、私は死にはしない!」
 悲痛な叫びを上げる妹の表情は、ユグにとっては絶対に見たくないものであった。徐々に遠ざかっていくが、兄の声に安心したイーブイの顔からは暗さが消えていった。やはり彼女には暗い表情は似合わない。彼女の表情を破壊しようとする者は、両親であっても許さないとユグは誓っていた。彼女のそんな笑みを前に語り合う仲間が欲しい、それがユグの求めたものであった。
「さて、行くか」
 妹の顔に満足し、心を新たに出発しようと振り返る。そこに先程まで存在しなかった影に気づくのが遅れたのは、妹の笑顔に夢中になりすぎていたからだ。不意を突いて現れたヘラクロスは、無数の拳による殴打でユグを宙に打ち上げた。
「かっ!」
 沖をめがけて吹っ飛ぶユグが見たものは、妹の笑顔ではなかった。ヘラクロスが自分を仕留めるために放った、刃状の岩石と冷徹な目線であった。死を前にしているというのにユグは思いのほか冷静で、あの狂気に駆られたような冷徹な瞳に「何故」を浮かべることができた。
「ユグ兄さん!」
 直後の後ろからのイーブイの声で、言いようの無い悔しさが芽生え始めた。破壊したくなかった妹の笑顔を、よりにもよって自分の手抜かりによって破壊してしまった。岩の刃に貫かれて、ユグは後悔の中で息絶えた。



「兄さん!」
 イーブイが起き上がったのは、柔らかく温かいベッドの上であった。下手な飾りなど無い素朴なベッドの上で、自分が誰かに助けられたのだと気付いた。
「起きましたか。無事なようで何よりです」
「ここは……?」
 目の前に現れた青いラプラスの巨体に、しかしイーブイはまったく驚かない。兄は自分の長所の一つに、何者にも怯えず等しく言葉を交わしてくれることを挙げた過去がある。この状況では驚かれることを覚悟していたのだろう、ラプラスはそんなイーブイの様子に逆に意外を顔に出していた。
「ここはサレドヴァニアの首都で、外交官のアスベールさんの家です。私はここの居候で、スティーレといいます」
「サレドヴァニア……?」
 どれほどの間意識を失っていたのかはわからないが、聞きなれた単語が飛び出してきてもなおイーブイの頭はなかなか起動しないままであった。徐々に意識が安定してくるに従い、その「悪逆非道の国」の名前を思い出す。
「発見から既に一日半です。私もアスベールもずっと心配していました」
「私を……どうする気?」
 優しげなスティーレと名乗るラプラスの目線に、しかしイーブイは同じようなものは返さない。生まれ育った故国では、ずっとこの国の悪逆非道を聞かされてきたのだ。今は表向き優しげな態度を取るラプラスも、いつ豹変するかわからない。
「それは、君の答え次第だ」
「アスベール!」
 イーブイの一言にたじろぐスティーレの後ろから、ニンゲンの凛とした声が上がる。その言葉はとても冷徹なようでいて、どこか優しい雰囲気がある。長く伸ばした美しい銀髪といい、この国の者たちに敵意を持つはずのイーブイが魅了されそうになるほどであった。
「うなされ続ける君の声からは、物凄い憎悪が連鎖していた。まるで自分が不幸の渦中にあるかのようにね」
「サレドヴァニアの分際で、私の不幸を語るって言うの?」
 権力に負けた両親には政略結婚を迫られ、離脱を目指した道中に目の前で反対して支えてくれた兄を失い。流れ着いた先がよりによってこの国だなんて……。目の前にいるアスベールと呼ばれるニンゲンをそうは感じないが、故国の優れたものを奪うために騙しや殺戮を繰り返した国であるから信用などできない。
「やはりそうか。君が僕たちの国を憎むのは当然かもしれない。でも、それが正しいかどうかは自分の目で見極めることだ」
「なに? 随分語っちゃってるね?」
 アスベールが言い放つ「やはりそうか」には、あるいはイーブイ自身の正体を完全に把握している意味があるのだろうか? 自分の目で見極めろとか語っているが、それは何かの口上であるとしか思えない。騙しに騙しを重ねて洗脳でもしようとしているのか、上等だとイーブイは腹を括ったその瞬間だった。
「魅力のあるものに集まるのは、必ずしも心あるものだとは限らない。むしろ欲望にまみれた者だからこそ、君の魅力に引き寄せられたのかもしれない」
「なに……なに?」
 一瞬は自分を引き込むためのおだて文句だと思った。しかし考えてみれば彼女を求めているということは、自らを欲望にまみれたものであると認めることになりかねない。この者は自らを汚い者として認められるというのだろうか? そんな者はサレドヴァニアはおろか彼女の故国ですら見たことが無い。
「この方は事実を見据えて、それぞれの心をしっかり見つめてくれます。だから私はお父様との絶縁覚悟で、アスベールとさまざまなことを考えると決めたのです」
「まったくスティーレは。異性としては『なんだか弱そうで男としてはなし』と斬り捨てた口でよく言うよ」
 スティーレの口調にも厳しさはあったが、それは目の前のイーブイに向けられたものではなかった。決意として自分に向けたものである。即座にアスベールは、今度は悪意も少し含んだ楽しそうな表情で口を開く。どのような状況でそんな言葉が飛び出したのかは別にしても、スティーレが顔を赤らめたのは言うまでもない。
「話は戻して、君の魅力は邪なものだって沢山招き寄せる。でも君さえ諦めなければ、必ず本当の心でもって君を守る者に会えるはずだから……」
「随分な台詞、よくも臆面も無く言えるよね」
 これはイーブイ自身の、心の底からの台詞である。イーブイを魅力的だと語るその口は、自らを欲望にまみれた者だと認めた覚悟もはっきりと語っていた。言い返した自分も冷たく言い放つほうであることは自覚できたが、それは相手があまりにも阿呆くさかったからである。放っておけなかったからである。
「何とでも言ってくれて構わない。君の魅力を守れる誰かの元にたどり着ければ、きっと君は笑顔になる。僕はそんな君を見てみたいんだ」
「まったく、よくもそこまで言えるね? だったらせめて、私のセラフィーって名前を覚えてよ?」
 さすがにアスベールも気恥ずかしさがあったのか、赤らめた顔になっている。毛皮に覆われた自分たちと違い、これはわかり易過ぎて恥ずかしいとイーブイは思った。一方のイーブイ自身も、どうにも体が熱い。
「うん。セラフィー、よろしくね」
「まったく、世話が焼けそうね」
 誰かにこの名前で呼ばれたのは、思えばはじめてである。逃亡のためにこの名前を作ったときに、国を出るまでは使うべきではないと兄は呼ばなかった。アスベールが差し伸べた手に対して顔を背けたのは、どこかにそのはじめてを奪われた悔しさがあったのかもしれない。

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ある方から「設定がぜんぜん出てこなくて不安」というお言葉をいただいたので、今更ながら投下です。
なにかあればよろしくお願いします。
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IP:122.25.224.163 TIME:"2012-11-03 (土) 21:38:59" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%85%AB%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%89%89%E3%81%B8%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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