[[ギアス]] [[俺の不思議で幸せな旅5]] ---- 翌朝…… ふにふに…… 「んっ……」 ふにふにふに…… 「んんっ……」 何だかさっきから軟らかい物で触られている気がする…… くすぐったいので寝返りをうつと…… ゴロン……ムギュ…… 「きゃうっ……」 「んんー?」 寝返りをうった先に何か軟らかい物がいた 何かは分からなかったが、取りあえず抱き込む。 「ちょっ、白龍!!重いってば!!早く退いて!!」 「んが?エーフィ……?」 どうやら俺が抱き込んだのはエーフィだったらしく、俺の腕の中でジタバタとしていた。 「つ、潰れるっ……」 「あー、はいはい……」 さすがにこれ以上はマズイと思った俺は、エーフィの上から退いた。 「もう!!朝っぱらから盛ってんじゃないわよ!!」 「……昨日風呂場で盛って、挙句の果てに逆上せて倒れたのは何処の誰でしたっけ?」 「っ///!!!それを言うなーっ!!」 ・ ・ ・ 30分後…… あの後サーナイトとスイクンも起きたので、俺達は朝食を取っていた。 『ごちそうさまでした』 「よし、食い終わったな」 「マスター、次はどの町に行くんですか?」 「えっと……ここ、ズイタウンだ」 「どんな町なの?」 「俺も詳しくは知らないが、小さな遺跡があるらしい」 「へぇ~」 「ま、さっさとチェックアウトしてズイタウンに行こう、そしたら何かわかるだろ」 『はーい!!』 そして俺達はホテルをチェックアウトしてからズイタウンに向かった…… ◇ ズイタウン 育て屋、新聞社、遺跡等がある小さな町。 特に特徴の無い町だが、遺跡目当てにマニア達がよく訪れるので意外と活気がある。 遺跡の謎を解いた者は未だにいない。 ヨスガを出発して2時間…… 「ここがズイタウンか?」 「そのようだな、まずはどうする?」 「勿論、遺跡調べに決まっているだろ」 ズイタウンに着いた俺は、スイクンに急かされる様にして遺跡へ向かった。 「これが遺跡……」 「ああ、早く中に入ろうぜ」 そう言って中に入った俺とスイクンは、奥の壁に何か描かれているのを発見した。 「なあスイクン……これって……」 「ああ間違い無い、アンノーン文字だ……ジョウト地方でも同じ物を見たことがある……」 「解読は出来るか?」 「残念ながら無理だ、お前はって……聞くまでも無いな」 「気になるが仕方ない、奥に進もうぜ」 「ああ、そうだな」 ・ ・ ・ 遺跡を彷徨う事30分…… 何度も行き止まりに会いながらも進んだ俺達は、一つの大部屋に着いた。 「……ここは?」 「どうやら最後っぽいぜ、またあの壁がある」 俺が壁に触ると、いきなり文字が赤く光り出し浮き上がった。 「なぁ!?」 「な、何がおこった!?」 俺は反射的に後ろに飛び退った。 赤く光った文字はやがてアンノーンへと変化した。 『シンニュウシャハッケン!!シンニュウシャハッケン!!』 『シンニュウシャハッケン!!シンニュウシャハッケン!!』 「し、侵入者!?俺達の事か!?」 するとアンノーン達は、俺達を中心に同心円状に回り始めた。 「な、何をする気だ……」 『シンニュウシャハハイジョ!!シンニュウシャハハイジョ!!』 『シンニュウシャハハイジョ!!シンニュウシャハハイジョ!!』 「は、排除!!?」 「白龍、マズイぞ……奴等の体が光り始めた……」 俺達を排除するためにアンノーン達が準備を始める、全方位360度からの一斉めざめるパワー、これをまともに喰らったら、俺もスイクンも無事じゃすまない。 「くっ……万事休すか……」 「スイクン!!俺に近づけ!!」 「何をする気だ……」 「こいつ等のめざめるパワーをミラーコートで反射させる!!」 「そんな、無茶だ!!」 「無茶でもいいから!!早く!!」 「くっ……、どうなっても知らんぞ!!」 「上等ォ!!きやがれアンノーン軍団!!全部まとめて弾き返してやる!!」 俺はスイクンと俺を包み込む様にしてミラーコートを展開する。 『ハイジョカイシ!!』 「くっ……ミラーコート、もってくれよ……」 次の瞬間、何十、何百ものめざめるパワーが俺達を襲った。 「ぬぅぅぅぅああああぁぁぁっっっ!!!」 ・・・・・・・ 「うっ……ここは…そうだ、セシルは……」 「うっ……ここは…そうだ、白龍は……」 「スイクン、無事か?」 「白龍!!お前……血が……」 私が目を覚ますと、隣に血を吐いたであろう白龍が倒れていた。 「大丈夫だ、ダメージは無い……が、ミラーコートと真空切り使ったら限界がきやがった、一歩も動けねぇ…」 「サーナイトは?薬は無いのか?」 「残念ながらこうして普通に喋るのが精一杯でな、お前が取ってくれないか?」 「仕方ないな……」 私は白龍の荷物の中から薬を取り出し、水と一緒に口移しで飲ませる(本当は凄く恥ずかしいのだが……) 薬を飲んだ白龍は、暫くしてから起き上がった。 「もう大丈夫か?」 「ああ、さっさと脱出するぞ」 そう言うとバックから穴抜けの紐を取り出し、私と白龍の体に巻きつける(何故かもの凄く恥ずかしいのは気のせいか!?) 「せ~のっ!!」 ・ ・ ・ 遺跡の外…… 「はぁ、とんだ災難にあったぜ……」 「まったくだ……」 俺とスイクンは遺跡から脱出し、町の食事処に向かっていた、が…… 「おい白龍、何だか私達に向けられる視線が変なんだが……」 「気付いたかスイクン、理由は分かるか?」 「一つしかなかろう……」 俺は風で飛んできた新聞を取る。 『やっぱり……』 その新聞の見出しにはこう書いてあった。 『激写!!トンデモナイスクープ!?あのジムリーダーメリッサさんに熱愛発覚!?』 それを見ると、ちゃんと二人が談笑していた時の写真もあった。 「はぁ……頭いてぇ……」 後でメリッサさんに謝りの電話入れとこ…… とりあえず…… 「スイクン、ちょっち変装するからボールに戻っててくれ……」 「分かった……」 スイクンをボールに戻し、俺はポケセンのトイレに入った。 10分後…… 「ふふっ、よし、誰も気付いてないな……」 俺は町から離れた所で変装を解いた。 顔の変身も解き、ボールからサーナイト達を出す。 「ようしお前ら、もう次の町に行くぞー」 「少し急ぎ過ぎでは……」 「この町にいると災難しか起こらないからもうヤダ……」 と、ゆーわけで…… トバリシティ シンオウで1,2を争う大都市で、コトブキシティに勝るとも劣らない数の高層ビルが立ち並んでいる。 ゲームセンターやトバリデパートがあり活気に溢れ人が多い。 ギンガ団の本拠地もこの町にある。 ズイタウンから出て(逃げ出して)約2時間…… トバリに着いた俺達は、変な人だかりを見つけた。 よく見てみると、ジュンサーさんが何人もいた。 気になった俺は、近くにいたジュンサーさんに話を聞いた。 「ジュンサーさん、何があったんですか?」 「ああ……、実は、人が何者かに殺害されたのよ」 『殺害!?』 「ええ、何か鋭い物で首元をスッパリと切られて」 俺達は顔を寄せて目をパチクリさせた。 「犯人は分かってるんですか?」 「いいえ、この辺りにいるコロトックを調べても、血液反応は出なかったし、害者の周りに臭いが残ってなかったの」 「って事は遠くからの攻撃……鎌鼬を使えるアブソルはこの辺りには出ないし、ソニックブームを使えるポケモンも生息してないしなぁ……」 「そうなのよ、だから今はトレーナーに捨てられたポケモンの線で探してるんだけど……」 「なかなか見つからないんですね……」 「その通りよ……、対策として夜のパトロールを強化するしか無いわね……」 「そうですか……頑張って下さいね」 「ええ、ありがとね」 俺が暗い顔のジュンサーさんを励ますと、一言礼を言って去って行った。 「……恐ろしいな」 「怖いです……」 俺が一言呟くと、サーナイトが俺の腕にギュッと抱きついてきた。 「大丈夫、お前達は俺が守るから、な?」 俺はサーナイト達をボールに戻して現場を後にした…… ・ ・ ・ 現場を後にした俺は、ホテルの予約をした後、その辺を散歩していた。 「……そういえば、この辺に隕石があったな…、行ってみるか」 俺は少し歩く速度を上げて、隕石のある所まで行く。 2,3分も歩けば隕石が見えてきた。 「これが隕石か……ッ!?」 俺が隕石に目を向けた瞬間、何処からともなく黒い鉄球が飛んできた。 「くっ……」 俺は間一髪避ける事に成功し、鉄球が飛んできた方向を見る。すると木の上に何かがいるのが分かった。 「誰だ!!姿を現せ!!」 「…………」 フッ…… 「あ!!おい、コラ!!待ちやがれ!!」 俺が怒鳴ると、その影はフッと消え去ってしまった。 「アイツが事件の犯人か?」 取りあえず俺はジュンサーさんの所へ行き、今あった事を話した。 「そう…そんな事があったのね……取りあえず今日はホテルに戻って、あまり出歩かない様にすることね……また襲われないとも言い切れないし……」 「ハイ……分かりました、と言う事でお前ら、今日はジム戦は無しだ」 『は~~い……』 俺が三人にそう伝えると、少々残念そうに返事をした。 「まぁそう落ち込むな、どうせスグにこの事件は終わりを迎えるから……」 「?どういうことだ白龍」 「言葉の通りさ、あまり気にするな」 俺はスイクンからの質問を適当に受け流した。 「(……あの視線には殺意があった…、あの鉄球も明らかに俺だけを狙った攻撃だった、……何かまた、面倒な事になりそうだな……)」 そんな事を考えながら歩いていると、ホテルに着いていた。 「マスター、これからどうします?」 「このホテルの地下にトレーニングルームってのがあるんだって、そこに行ってみよう」 俺達は地下に降り、空いている部屋を探す。 「……どこも使用中になってるな……」 「そうね……あっ白龍、この部屋空いてるわよ」 「OK!!んじゃ早速……」 俺が部屋に入ると、そこに広がるのは一般的な大きさのバトルフィールド、トレーニング機器の数々、急速簡易回復マシーンのある、広々とした部屋だった。 「……広っ!」 最初に出た言葉はそれだった。 「ホテルの地下にこんな設備があるなんて……」 「だが利用する他あるまい、こんなにいい設備なのだからな」 「て~いあ~ん!!私、白龍と戦ってみた~い!!」 俺とサーナイトが驚いていると、エーフィから提案が出た。 「俺と戦いたいって?あ~、めんどくさいから三人一変にでいいか?」 あえてサーナイトとスイクンに反論は無いか聞かなかったが、三人ともコクリと頷いていた。 「よし、始めるぞ、言っておくが手加減しようなんて考えるなよ?」 『ハイ!!』 三人の返事と共にバトルが始まる。 「チャージビーム!!」 「冷凍ビーム!!」 「エナジーボール!!」 「……見切り……」 俺は三方から一斉に来る技を、紙一重で避け続ける。 「(くっ……この技を使っていると、目に負担がかかるっ……)」 スゥ…… 「今です!!サイコキネシス!!」 「しまっ……」 見切りが切れた瞬間を狙って、サーナイトがサイコキネシスで俺を捕らえた。 「やっ!!」 「がはっ……」 俺が壁に叩きつけられると、エーフィのエナジーボールとスイクンの冷凍ビームで追撃される。 「ぐっ……くそがぁ!!」 このままやられっ放しも癪なので、ツルの鞭でエーフィを捕らえ、引き寄せる。 「きゃっ……は、白龍?」 「エーフィ……お前の血は美味いか?」 「はぁ///!?」 俺はエーフィを盾にしたまま、犬歯を尖らせる。 「ちょっ、まさか……吸う気……?」 「お前の嫌いな虫タイプの技でな……いただきます」 「ちょっ、あっ……」 俺はエーフィの首元に歯を立て、エーフィの血を吸う。 「あっ……ちょっ……ダメッ……」 ……虫タイプの技なのに何故喘ぎ声を上げるのかが分からないが…… 取りあえず動けるか動けないか程度に血を吸っておく、体力も回復した。 「ごちそうさま」 「あっ……ばかぁ……」 俺は気絶したエーフィをボールに戻し、サーナイトとスイクンに視線を向ける。 「さてと……」 俺はさわやかな笑顔で二人を見ると、カタカタと震えていた。 「Let`s仕返しターイム」 『ッ!!』 二人は即座に戦闘態勢に戻ったがもう遅い。 「っ!?動けないだと!?」 あらかじめ金縛りで動けなくさせていた。 「さて、スイクンには……」 ビクッ!! 「やどりぎ+ギガドレインだな」 「なっ……」 パチン…… 俺が指を鳴らすと、地面から木のツタが生え、スイクンに巻きつく。 そして俺はスイクンにキスをし、そのままギガドレインを発動させる。 「んうーーっ!!んっ……あっ……」 暫くして離してやると、スイクンはその場にへたり込んだ。 「……ちとやり過ぎたか?」 スイクンをボールに戻し、サーナイトの方を向く。 「サーナイトはっと……」 「はいっ!?」 俺は後ろから抱きつき、ある言葉を耳元で囁く。 「――――」 「ッ///!?!?!?」 パタ…… サーナイトは顔を赤くし、身悶えながら倒れた。 「ホイ、全員終了っと、起きたらもう一度ちゃんと戦ってやるか……」 我ながらヒデェ勝ち方と思いながら、三人が起きてくるのを待った…… ・ ・ ・ その後、1時間毎に休憩を入れながら、夜まで俺達は戦った。 「ご利用ありがとうございましたぁ」 俺は受付の人に報告を済ませ、借りた部屋へと向かう。 「あーしんどい、死ぬかと思った……」 「大丈夫ですか?」 「多分大丈夫……だと思う……」 俺は部屋に着くと、ベッドに倒れ込んだ。 「う゛~~、先に風呂入って来い……俺は後から入るわ……」 1時間後…… 「マスター、マスター!」 「んあ?」 俺はサーナイトに揺すられて起きた。 「あれ?俺……寝てた?」 「お風呂が空きましたよ、早く入って下さい。夕食ももうすぐ出来上がりますので……」 「ん、分かった……」 俺は着替えとタオルを持ち、風呂場へ向かった。 そして風呂に入った俺は、手早く髪と身体を洗い、風呂から上がった。(所要時間10分) 俺が部屋に戻り、夕食を食べる、いつもの倍の量をいつもの2倍以上のスピードで…… 「(よくよく考えれば昼飯も食わずに夜までバトってたのか……どうりで腹が減る訳だ……)」 あっと言う間に食べ終わった俺達は、すぐに寝る用意をした。 「え~、今日はずっとバトルをして体力を消耗してると思うので、いつもより早く寝るぞ~」 『は~~い……』 やはり疲れていたのか、スイクンとブラッキーはすでに寝そうだった。 「んじゃオヤスミな~……」 三人をボールに戻し、俺はベッドに入った…… ◇ 数時間後…… ポンッと言う音と、ちょっとした光で俺は目が覚めた。 よく見ると、サーナイトがボールから出てきたようだった。 「サーナイト、どうした?」 「あ…起こしてしまいましたか?」 「いや、そうでもない……」 実質、さっきから1時間おきに寝ては起きてを繰り返している。 「で、どうした?」 「実は、なかなか寝付けなかったので、マスターの隣なら寝付けるかと思いまして……」 「そうか、ホラ、入って来い」 「失礼しますマスター」 俺が空けたスペースに入ったサーナイトは、ものの数分で眠りについた。 幸せそうな寝顔に、俺はおもわずふっと微笑んだ。 「さってと……」 俺はそっとベッドから出て、私服に着替える。 そして窓を開け、飛び降りる(ちなみに部屋は7階)。 窓から飛び降りた俺は、すぐにギンガ団倉庫の横にある空き地へ移動した。 「出てきやがれ、昼間っからずっと俺の事付回しやがって、隠れても無駄だ」 ・・・・・・ 「白を切るつもりか、だったら炙り出してやる、鬼火!!」 手の平に作った炎が3つに分かれ、物陰に入っていった。 するとその場所から、三人の男が姿を現した。 「お前が八雲 白龍か…なるほど、報告書通りだな」 その内の一人、全身黒い服の男が前に出てきた。 だが一目見て分かった、こいつは何かが違うと…… 「…お前の名前は……?」 「私の名はゴルザ、新生ギンガ団幹部の一人だ……」 「ゴルザ……か、覚えておこう」 「覚えずともよい、お前は此処で……死ぬのだからなぁ!!」 ゴルザが叫んだと同時に、三匹のヘルガーが襲い掛かってきた。 「ヘルガー、噛み砕く!!」 「見え見えだっつーの、トリプルキック(×3)!!」 俺は飛び掛ってきたヘルガー達にトリプルキックを放つ。 吹っ飛んだヘルガーの二匹は倒れたが、一匹だけ直ぐに立ち上がった。 「強化ポケモンか……、通常の2,3倍って所か?」 「ほう…対峙しただけで見破るとはな……」 ヘルガーが今度はアイアンテールで攻撃してくるが、俺はそれを横に避け、ヘルガーを上空に蹴り上げる。 「はぁっ!!」 俺はジャンプでヘルガーに追いつき、光速で蹴りを放つ。 「ドラララララァァッ!!」 1秒間で放った99発の蹴りは全部命中し、ヘルガーを気絶させた。 「ドラァッ!!」 最後に100発目の蹴りで、ゴルザの元へ蹴る。 するとゴルザは大した動揺もせず、片手で受け止めた。 「ふん、やはりポケモンでは駄目か、ならば私が相手になろう」 そう言った途端、ゴルザの姿が暗闇に消え、代わりに後ろから殴られた様な衝撃が走った。 「ぐあっ……」 俺は一瞬前のめりになるが、何とか踏み止まり後ろを振り返る。 「くっ…いつの間に後ろに……、しかも今のは……」 「分かるか?これが私の能力、貴様と同じ化物よ!!」 俺は手首を掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。 「のわああああぁぁぁぁっっ!!?」 「シャドーパンチ!!」 しかも追撃にシャドーパンチを喰らってしまい、そのままさらに吹っ飛ばされた。 ドガッ!! 「がっ……」 俺は何か固いものに叩きつけられ意識を失った…… ・ ・ ・ ギンガ倉庫の横にて…… 「ゴルザさま、八雲 白龍はどうなりましたか?」 「知らん、お前達、確認して来い」 『了解』 そう言って下っ端二人は走ってゆく。 「…どれ、私も一応行こうか……」 走り出した下っ端の後を、ゴルザはゆっくりと進んでいった。 ・ ・ ・ (…ス……マ…タ……マス……) ん?この声は何だ? (しっか…ださ……マ…タ……) 頭の中に直接響く声…… (目を覚ましてください!!マスター!!) 「サー…ナ……イト…?」 俺が閉じていた目をうっすらと開けると、凄く辛そうな顔をしたサーナイトがいた。 「マスター!!目が覚めたんですね!!」 「ッ…ああ、だが…どうしてここに……?」 「ふと目が覚めたらマスターが居なかったので、テレポートをしたら……」 「俺がここで気絶してたワケか……」 「いったい誰にやられたんですか?」 「ギンガ団の幹部、ゴルザって野郎だ…、俺と同じ能力者の…な…」 一瞬クラッとするが、頭を振って立て直す。 「いかん、予想外にダメージが高い……」 俺が指をパチンと鳴らすと、月からの光が俺だけに降り注ぐ。 「サーナイト、ゴルザは下っ端を連れていた、そっちは頼む」 「了解です、マスター」 「俺自身はゴルザとやる、負けっ放しは趣味じゃねぇんだ」 俺はポケッチを見る、深夜1時、月の光での回復量が一番多い時間だ。 数分後、小さく足音が聞こえた。 「マスター」 「来たか」 「ハイ」 俺は腰掛けていた岩から降り、構えをとる。 「ゴルザ様、やつはまだ生きています」 「+パートナーを一匹連れている模様」 「ふん、一匹連れている所で何も変わらん、お前達が相手をしてやれ」 その時、奴等の無線に何か連絡が入り、ゴルザが話をし始めた。 何を話しているのかは分からなかったが、最後にゴルザが大声で「いいですとも!!」と叫んだ。 Pi 「サーナイト、俺から離れろ、巻き込まずに戦う自信がねぇ」 「わかりました」 返事をしたサーナイトは、下っ端たちに追われながら離れていった。 「…………」 「…………」 残された俺とゴルザの視線は、互いを放さなかった。 「一つ、聞いてもいいか」 「ふん、冥途の土産に答えてやろう、何だ」 「昨日の殺人事件と、俺に鉄球を投げつけてきた犯人、あれはお前か?」 「鋭いな、その通りだ。シャドークローで喉を切り裂き、投げつけるでお前に向かって投げた、それがどうした」 「そうか……やっぱりそうか……」 俺は見破るでゴルザのタイプを確認する。 「(ゴースト、悪、格闘、エスパーか……弱点は…ゴーストと飛行と、虫か)」 「さぁて、そろそろ死合おうではないか……」 「関係の無い一般人まで殺したお前に対する俺の怒りは怒髪点だ、覚悟しろよ……」 「フハハハハハッ!!貴様の怒りなぞ、恐るるに足らんわ!!死ねぇ!!」 ゴルザの放ったシャドークローを避け、高速移動で後ろに回り込む。 そして刃となった腕を首元に当てる。 「なっ…何時の間にっ!?」 「連続切り、百烈桜華斬」 ザッ…… ・・・・・・ 辺りに静寂が訪れるが、それを破ったのはゴルザの笑い声だった。 「フッ…フハハハハハハハハッ!!何だ、ただ高速で動いただけではないか!!滑稽、滑稽!!」 スッ…… パチン…… 「フハハ…ハ……ハ?…ぐっ、ぐわああああぁぁぁぁっっっ!?」 俺が指を鳴らすと、笑い声は一転、叫び声へと変わった。切りつけた傷が時間差で開いたのだ。 「お、おのれぇぇ……い、何時の間にっ……」 「お前が言った通り過ぎた瞬間だ、知覚認識出来ない速さで斬ったからな」 開いた傷口からは血が吹き出し、アスファルトや俺の服を血染めにしてゆく。 ドサッ…… 「ウッ・・・ぐぅぅっ……そんな…この、私が……負けるなど…ありえん!!」 ゴルザはすでに死体同然の体で立ち上がり、俺に掛かろうとする。 「無駄だ、今のお前じゃ、俺に傷一つつける事もできねぇよ」 「ふざけるな!!私は……私はー!!!」 「ッ!!」 一瞬の出来事だった、フラフラのゴルザを見て気を抜いていた俺は、飛び掛ってきたゴルザに首を捕まれ、岩に叩きつけられてしまった。 「うぐっ…し、しまった……」 「ここで死ぬなら、キサマも道連れにしてやる!!」 ゴルザはそう叫ぶと、体の一点にエネルギーを集中させる。奴は自爆する気だ。 その時、俺は体にある異変を感じた。 「(な、何だ!?岩から…何かが流れ込んでくる!!身体が熱い!!)」 「死ねぇ!!八雲白龍!!」 ドゴオオオォォンッ!!! 次の瞬間、もの凄い爆発音と衝撃に、俺の目の前は真っ暗になった。 ・ ・ ・ 一方そのころサーナイトは…… 「やっ!!」 「ぐぎゃあああぁぁっ!!」 ドサッ…… 「くそっ、引き上げるぞ!!」 「覚えてやがれ!!」 最後のポケモンを倒すと、下っ端二人は逃げて行く。 「はぁ……はぁ……はぁ……8体も相手にすると…流石に……疲れます……」 ドゴオオオォォンッ!!! 「!!」 その時、隕石広場の方で爆発が起こった。 「あの方向は……マスターの身に何かあったらっ……」 そう思うと私は、いてもたっても居られなくなり、残り少ないサイコパワーでテレポートをした。 シュン…… 私がテレポート先で見たのは、全身血塗れの服を着たマスターだった。 私はすぐに駆け寄り、マスターの体を起こした。 「マスター!!マスター!!起きて下さい!!大丈夫ですか!?」 私がマスターの体を揺すりながら必死に問いかけると、マスターの目がゆっくりと開き、銀色の瞳が私の顔を捉える。 「サー…ナイ……ト…?」 「ッ…マスター……」 私は思わずマスターに抱きついた。 「お前、無事だったんだな……」 「マスターの方こそ…よくご無事で……」 「ああ、多分…この隕石のお陰かな……」 マスターは自分のもたれ掛かっている隕石をコツコツと叩いた。 「どういうこと……ですか?」 「これを見てくれ」 そう言って差し出したマスターの手の甲には、アルファベットのDが書いてあった。 「これは…一体……」 「……推測に過ぎないが……多分、デオキシス細胞が反応したんだ…おそらくこのDは、ディフェンスフォルムのDだと思う……」 「(そういえば、よく見るとマスターの髪形が変わってる……これも、フォルムチェンジの効果……?)」 今のいままで気にしてなかったが、よく見るとマスターの髪型はいつものショートヘアーではなく、スポーツ刈りになっていた。 「あの…ほかの隕石も触ったら変化するのでしょうか……?」 「たぶんな、どれ、試してみるか」 そう言ってマスターは近くにあった隕石に触れる。すると予想通り、手の甲の文字がDからAに変化し、髪形も少し長くなり上を向いたツンツンヘアーになった。 「アタックか……やっぱりな……」 そう呟くとマスターは、ポケットから小さなビニール袋を取り出し、4つの隕石の欠片を分けて入れた。 「何をしているんですか?」 「こうやって欠片を持っていればいつでも好きなフォルムになれるだろ?……この先の戦いを見据えておかないと……今まで以上に辛く、厳しい戦いになるだろうから……」 「そう…ですか……そうですね、持っておいて悪い事は無いですよね」 私がそう言っている間にも、マスターは欠片を入れた袋にA(アタック)、D(ディフェンス)、S(スピード)、N(ノーマル)と書いて、ポケットに入れる。 「さて、バトルの後片付けしてから戻るか」 「そうですね」 そして私とマスターは地面に付いたゴルザの血を洗い流し、ホテルの部屋に(窓から)戻り、もう一度お風呂に入ってからベッドに入った。 「んじゃもう一度お休み、サーナイト」 「お休みなさいです、マスター」 そうしてやっと私達は眠りについた…… ---- 第6章 完 [[俺の不思議で幸せな旅7]] #pcomment IP:133.17.6.6 TIME:"2012-06-21 (木) 10:58:52" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E4%BF%BA%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%A7%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AA%E6%97%85%EF%BC%96" USER_AGENT:"Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; Trident/4.0; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; .NET4.0C; InfoPath.3; .NET4.0E)"