[[ギアス]] [[俺の不思議で幸せな旅2]] ---- 「・・・くっ・・・ふあぁぁ・・・」 町が夜から目覚め、辺りが白々しくなるころに白龍は起きた。 「ん・・・もう朝か・・・んっ?」 目を擦った手を横に置いた瞬間、何かに触れた様な気がしたので確認する。 「まだ寝てるのかスイクンの奴・・・にしても、幸せそうな寝顔してんな~」 俺はそう言いながらスイクンの髪を撫でる。 暫く触っていると、スイクンがゆっくりと目を開けた。 「おっ、スイクンお早う」 「ああ、お早う・・・それはいいが・・・あっ、あまり髪を弄らんでくれ・・・くすぐったい・・・」 「いいじゃねぇか、減るモンでもねぇし」 「まったく、だったら・・・」 するとスイクンがいきなり白龍の頬にキスをした。 「!!スイクン!?」 「昨夜の・・・礼だ・・・」 「スイ・・・クン?」 「そ、それともう一つ・・・わ、私は白龍の事が・・・」 ちょっと待て、まさか・・・ 「す、好き・・・だ・・・」 「!!!!!」 俺の耳に異常が無ければ、今俺はスイクンに・・・告白された・・・ 予感的中かよ・・・しかもスイクンは恥ずかしさのあまり顔真っ赤にしてるし・・・ でも実際俺の気持ちはどうなんだ?昨日の風呂場での一件以来、スイクンがとても綺麗に見えてきたし、キスされて焦りはしたけど嫌では無かったし・・・多分・・・ 「いいよ、スイクン。お前の気持ち、受け止めてやる・・・」 「ほ、本当か!?」 「ああ、俺は構わない・・・ただし・・・」 「ただし・・・?」 「サーナイトにも言ってこいよ?あいつの事だから『幸せは山分けですね』とか言いそうだけど・・・」 「うん・・・」 俺達は一頻り話終えたあと、サーナイトとイーブイが起きてくるのを待ってから朝食にした。 『いただきま~す』 まぁ、朝食と言ってもモーニングサービスなのでたいした量は無いが・・・ 「あ、そういえばスイクンの行きたい所って何?」 俺はパンを齧りながらスイクンに聞く。 「まだ言ってなかったな、テレビコトブキにあるドレスルームだ」 「ドレスルーム・・・ですか?」 「ああ、アクセサリー等で着飾ったポケモンを写真に撮ったり出来るそうだ」 「ほう・・・写真か・・・」 その瞬間、白龍の目がキラリと光るのをイーブイは見た。 「ハクリュウさんどうしたんですか?さっきと目の色が違いますけど・・・」 「ちょっとな・・・アクセサリーか、だったら・・・」 『?』 3人は俺の方を見て首をかしげる。 「なぁお前ら、着てみたい服とかあるか?」 「え、ふ、服ですか?」 3人は俺の質問に目を丸くする。 「特に無いなら俺が決めてもいいか?」 3人はコクリと頷く。 「よし、決定だな。んじゃ、さっさとチェックアウトしてテレビ局に向かうか」 俺達は荷物をまとめ、フロントでチェックアウトしてからテレビ局に向かう。 「そう言えばマスター、テレビ局って簡単に入れるのですか?」 「うん、あそこは一般客OKだからな」 そんな話をしながら歩いていると、ほんの2,3分でテレビ局に着いた。 そして俺達は入局証を貰って2階へあがる。 「え~っと、ドレスルーム・・・ドレスルーム・・・」 「あっ、あそこじゃないですか?」 俺はイーブイが指差した部屋を見る。するとプレートにドレスルームと書いてあった。 「本当だ、さっさ入るか」 俺は三人を連れてドレスルームに入った。 中にはアイドルが乗る様な円形の台と、ライトアップ用の照明、背景にも種類があり、機材も豊富だ。 「本格的な設備だなこりゃ・・・」 「す、すごいですね・・・」 俺達は暫く呆気に取られていたが、取りあえずは目的を果たしてしまおう。 「まずはイーブイからな、さ、こっちこい」 「は~い」 俺は早速準備に取り掛かった。 「背景は草原で・・・足元に花を散りばめて、ブーケも作ってっと・・・」 10分後・・・ 「よ~し完成!!イーブイはこのブーケ持ってて、あと花で作ったリングを頭に乗せてっと・・・あと衣装だが、イーブイは素のままでいいな」 そして俺は全ての準備が整ったイーブイを撮るべくカメラ片手に近づく。 「イーブイ、もう少しリラックスしていいよ」 「そ、そんな事、い、言われても・・・こういう事・・・は、初めてですし・・・」 ま、こんな風に写真撮られる方が珍しいか・・・ 俺はイーブイの頭を撫で、ついでに部屋中にアロマセラピーをかける。 するとイーブイはリラックスした表情になり、目を細める。 そして俺はそっと手を離し、写真を2,3枚撮る。 「よし!!いいのが撮れた!!題名は・・・「楽園」だな」 「楽園ですか?私にも見せて下さいよ」 「まだだ~め、全部終わってからな」 「ションボリ・・・」 俺がそう言うとイーブイは耳を垂らして落ち込む。 「まぁそう落ち込むな、何も見せない訳じゃないんだからさ、お楽しみは最後にね」 「ハ~イ・・・あっ、スイクンさん呼んできますね!!」 イーブイはそう言ってスイクンの元へ行く。 するとすぐにスイクンがやって来た。 「お、来たな、早速始めるか」 俺は早速スイクンのために準備に取り掛かる。 するとスイクンが口を開く。 「なぁ、白龍」 「ん?何だ?」 「いや、今日の朝の事なんだが・・・」 今日の朝・・・多分あの告白の事だろう・・・ 「あれがどうかしたのか?」 「さっき・・・サーナイトに言った・・・」 「そうか、サーナイトは何て言った?」 スイクンは何も言わずに俺を見つめる。 何だか恥ずかしいので、スイクンから目を逸らした瞬間・・・ 「ッ!!」 「・・・・・・」 目の前にはスイクンの顔があり、俺はディープキスをされていた。 チュプ・・・レロ・・・チュププ・・・ 暫くするとスイクンの方から口を離した。 「ぷはっ・・・ハァ・・・ハァ・・・ど、どういうこと?」 「ハァ・・・ハァ・・・OK・・・されたんだよ・・・ニブチンめ・・・」 いや、OKされたからって、何の前触れも無くキスして来るのもどうかと思うがな・・・ 「そっか、OKされたか・・・サーナイト何て言ってた?」 「最初は驚いていたけどスグに「幸せは山分けですね」って言った」 「良かった、良かった、さ~て、準備も終わったし、写真とるぞー」 その後俺はスイクンの写真を3枚撮り、題名を考えていた。 「う~ん・・・どうすっかな・・・」 今回はイーブイの「可愛さ」とは別の「美しさ」をモチーフにしたものだからな・・・ 「ま、シンプルに「伝説」でいっかな・・・いいよね?よし、決定!!」 俺はスイクンにサーナイトを呼んでくるように言う。 スイクンが向こうに行って何かサーナイトと話している間に、俺はサーナイトの衣装の用意と準備をしておく。「(サーナイトの奴、これを見たら驚くだろうな、まぁそのために選んだんだけど・・・)」 「あの・・・マスター?」 「おっひょぅ!?」 いきなり後ろから声を掛けられ、変な声を出してビックリする。 「な、何だサーナイトか・・・驚かすなよ・・・」 「すいませんマスター、何度かお呼びしたのですが・・・」 マジすか?俺どんだけ衣装に集中してたんだよ・・・ 「まぁいいや、それより、このブーケ持ってそこに立って」 「ここですか?」 「おう、え~っと・・・背景は「教会」で・・・上から白と赤の花びら散らして・・・」 俺は着々と準備を進め、残りは衣装合わせだけとなった。 「よし、サーナイト、この着替えボックスの中に衣装入れてるから、入って着替えてくれ」 「あ、わかりました」 そう言うとサーナイトは着替えボックスにはいる。 「ふえ?はえええぇぇぇ!!!??」 するとボックスの中からサーナイトの声があがった。 「ま、当然か・・・」 騒ぎを聞きつけてスイクンとイーブイがやって来る。 「何があった!?」 「ん~別に?サーナイトが俺の用意した衣装を見て驚いただけさ」 「ハクリュウさん・・・まさか変な服を用意したんじゃ・・・」 「変なとは何だ、変なとは!!女性だったら絶対に着たい服を用意しただけだ!!」 するとサーナイトがボックスから顔だけ出す。 「あの~・・・マスター?」 「おっ、着替え終わったか? 「いえ、そうじゃなくてですね・・・」 「じゃあ何だ?」 「私なんかがこれを着てもよろしいのかと・・・」 「いーのいーの、俺が着てほしくて選んだんだから!!」 するとサーナイトは顔を引っ込め着替え始める。 暫くすると中から「着替え終わりました・・・///」と声が聞こえた。 「よし、カーテン開けるぞ。スイクン、イーブイ、よ~く見とけよ、これが俺の選んだ衣装だ!!」俺は勢い良くカーテンを開ける。中から現れたのは・・・ 白い純白のドレスに身を包んだサーナイト。 そう、俺が選んだ衣装とは・・・ 「ウェディングドレス・・・」 スイクンがポツリと呟く。 「綺麗・・・」 イーブイもそう呟いた後、サーナイトに見とれていた。 「マスター・・・私・・・恥ずかしいです///」 「女性だったら絶対に着たい服って・・・」 「こういう事だったんですね・・・」 俺は3人が驚いてる間にセットを完成させておく。 「さあ、サーナイト、ブーケ持ってそこに立ってくれ」 サーナイトは両手でブーケを持ち、顔を紅潮させ、目に涙を浮かべながら・・・笑った パシャッ パシャパシャッ 俺はウェディングドレス姿のサーナイトを3枚撮る。 「よ~し、これで良いかな・・・」 「あの・・・マスター・・・」 後ろから声がしたので振り向くと、まだドレス姿のサーナイトがいた。 「どうした?サーナイト」 「一つお願いがあるのですが・・・」 珍しいな・・・サーナイトからのお願いなんて・・・ 「何だ?言ってみ」 するとサーナイトはモジモジしながら口を開く。 「・・・マスターと・・・このまま写真を・・・撮りたいんです・・・///」 「そうか・・・そうだな・・・じゃあまだ時間もあるし、皆の一枚ずつ撮った後、集合写真でも撮るか!!」 そうと決まれば早速行動に移す。スイクンとイーブイに事情を話し、俺自身もタキシードに着替えた。 「さて、まずイーブイだけど・・・30センチ用のドレスはさすがに無いから頭のベールだけな」 そして頭にベールを被せたイーブイを抱き抱える。 「サーナイト、シャッター頼む」 「分かりました、では、3・・・2・・・1・・・」 パシャッ 「ほい、イーブイの番は終わり。次、スイクンな」 俺は抱えていたイーブイを下ろしてスイクンを呼ぶ。 「何とか大きさの合うドレスがあったな、身長が2mもあるから俺がしゃがむか・・・」 俺はスイクンの着替えを手伝う。 「OK!!サーナイト!!」 「はい、3・・・2・・・1・・・」 パシャッ 「最後はサーナイトだ、シャッターは足で踏むタイプにするか・・・」 四足歩行のポケモンがカメラのシャッターを押すのは無理と考えた俺は、遠くからでも足で踏めば自動でシャッターが下りる奴にする。 「足で踏まないといけないから足元は見えないようにして・・・」 俺はカメラの微調整をしてサーナイトの横に立つ。 「サーナイト」 「なんでしょうかマスター?」 「特別サービスだ・・・」 「へ?あ、え、ええええぇぇぇっ!!!」 俺はサーナイトに特別サービスで『お姫様抱っこ』をしてやる。 「え、あ、ちょ、マスター!?」 「俺と写真を撮りたいって言ってくれたからな、こいつはお礼だ」 「あ、ありがとうございます・・・///」 「よし、撮るぞ、サーナイト、落ちないように両手を俺の首に回しとけ」 「え、あ、はい・・・」 「よし、そのまま前向いて・・・3・・・2・・・1・・・」 パシャッ 「へへっ、ありがとな」 「こちらこそ・・・」 さて、2ショット写真撮ったし、後は集合写真だけだな・・・ 「イーブイ、スイクン、こっち来てくれ」 すると二人はすぐにやって来た。 「集合写真撮るから、サーナイトは俺の右、スイクンは左、イーブイは・・・頭の上に乗ってて、髪の毛掴んでもいいから落ちるなよ?」 『はーい』 三人同時に返事をすると、しゃがんだ俺の両横と頭の上に移動する。 「ハクリュウさん、私、重くないですか?」 「ん~?全然重くないよ、6・5キロぐらい軽い、軽い」 イーブイのちょっとした質問に、俺は笑って返す。 「んじゃ撮るぞ~。3・・2・・1・・」 チュッ・・・ パシャッ!! えっ・・・? 今、俺がペダルを踏んだ瞬間、何かが頬に触れた気が・・・ 「あ、あの~左右のお二方? 『何?』 「いや、『何?』って言いたいのはこっちなんだけど・・・、今お前達、俺に何した?」 「何って・・・なぁ?」 「もちろん・・・」 『(耳元で)キスしただけですよ?(だが?)』 「!!!」 こ、こいつら・・・ 「ハクリュウさん?何話してるんですか?」 「な、何でも無い・・・ほら、そろそろ降りてくれ・・・」 「は~い・・・」 イーブイは少々不機嫌になりながらも頭の上から降りる。 「さ~ってと、俺は現像して来るから、後片付けしといてくれ」 部屋を出てすぐ横に現像してくれる部屋があるので俺はネガを渡す。 スタッフが奥の暗室に入ると、30分ぐらいで出てきた。 「こちらが写真です、ネガはどうします?」 「あ、いります」 俺は写真とネガを受け取って部屋を出た。 「ありがとうございましたー」 部屋を出ると目の前にはサーナイトたちがいた。 「現像終わったんですか?」 「ああ、そっちも片付けは終わったみたいだな」 「はい、10分程前に」 「そうかそうか、そうだ、ほれ、サーナイト、お前の写真だ」 「あ、ありがとうございます・・・」 「それと・・・こっちはスイクンとイーブイの写真だ」 「ありがとう、白龍・・・」 「ありがとうございます!!ハクリュウさん!!」 うん、3人とも喜んでるみたいで良かった。 「スイクンの願いを叶えたし、次の町を目指すぞー!!」 『はーい!!』 そして俺達はコトブキシティを出て次の街に向かった。 今の時刻は午前11時30分、昼過ぎには次の町には着くな・・・ ◇ クロガネシティ この町はそんなに大きく無いが、クロガネ炭鉱があり、町としての活気がある。炭鉱を仕切るのは、この町のジムリーダーである。 現在時刻 午後5時40分 昼過ぎには着くと思っていたが、道に迷ってしまい時間が掛かった。 「マスター、まずは何をしますか?」 「そうだな・・・日が暮れて来たからまずは宿だな、その後ジム戦を申し込みに行こう」 俺がこれからの予定を言うと、イーブイが質問してきた。 「ここのジムリーダーって、何タイプ使いですか?」 「確か・・・岩タイプ使いじゃなかったかな・・・」 俺もあまり知らないので曖昧な答えを返す。 暫く歩くと、ジムの看板が見えた。 「ほへ~、でっけぇジムだなぁ」 「看板には岩タイプ使いって書いてありますね・・・」 岩タイプか・・・どの順番にするか・・・ 「最初にイーブイ、次がサーナイト、最後にスイクンの順番でいいか?」 『はい』 「決まりだな、ポケセン行って部屋の予約入れとこうぜ」 3人はコクリと頷いて俺の後に着いてくる。 「ポケセンは・・・あ、あった」 俺はすぐ中に入り、部屋の予約をする。 「こちらがルームキーになります、室番は201号室です」 「ありがとうございます、それと、こいつ等もお願いします」 俺はルームキーを受け取り、換わりにボールを預ける。 「ではこちらでお預かりします、回復が終わったらコールしますので、お部屋の方で待機しておいてください」 「分かりました」 俺はそのまま2階へ上がる。 2階に上がると、左手の方に部屋が見える。俺は渡されたルームキーを使って扉を開ける。 ガチャ・・・ 中に入ると、俺はまず荷物を置いてベットに倒れ込む。 「あー疲れた、まさか道に迷って4,5時間も歩く羽目になるとは・・・」 そういって俺はパンパンになった足を摩りながらパソコンを起動させる。 「え~っと、回復状況は・・・」 プルルルルッ!! するとコールが鳴る。 ガチャ 「はい、八雲です」 「八雲様、ポケモンの回復が終わりましたので、お受け取り下さい」 「分かりました」 俺は返事をした後、パソコンを使って預けていたボールを受け取った。 そしてポケセンを出てジムに向かう。 「さてと、皆出てきてくれ」 俺はボールを放り投げて3匹を出す。 「さて、分かってると思うが、今からジム戦だ。準備はいいな?」 俺のといかけに3人はハッキリと頷く。 3人が頷いたのを確認した俺は、ジムの中へ入った。 「ごめんくださ~い!ジムリーダーはいますか~?挑戦しに来ました~!!」 すると奥から一人、作業服姿の若い男性が出てきた。 「やあ!!僕がジムリーダーのヒョウタだ、君の名前は?」 「八雲白龍と言います」 「そうか、白龍君か。長々と話すのも何だし、早速始めようか」 「はい」 ◇ 「使用ポケモンは3体、なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます」 中央の審判の説明が終わり、お互いに挨拶をする。 「用意は良いかい?白龍君」 「いつでもどうぞ」 「よし……行け!!イワーク!!」 「行け!!イーブイ、出番だ!!」 空中に投げられた2つのボールからイワークとイーブイが出た。 「バトル開始!!」 「イワーク!!突進!!」 「イーブイ、かわして岩砕き」 イワークが砂埃を上げて直進するのに対し、イーブイはジャンプでかわす。 そしてそのままイワークの頭に岩砕きが決まる。 「ぐおおおおっ!?」 「OK!!電光石火で追撃!!」 休ませる暇もなく電光石化で攻撃し、イワークは音を立てて倒れた。 「………イワーク、戦闘不能!!」 「よっしゃあ!!」 俺はガッツポーズをとり、イーブイの頭を撫でてボールに戻す。 「なかなかやるね、次はラムパルド、君だ!!」 「行け!!サーナイト!!」 フィールドにサーナイトとラムパルドが現れる。 「(まるで美女と野獣……いや、美女と怪獣だな……)」 「ラムパルド、火炎放射!!」 「サーナイト、そのままガードしろ」 サーナイトはその場から動かず、火炎放射をモロに食らった。 「うう……火傷しちゃいましたぁ……」 「よし、シンクロ発動!!」 俺がそう言うと、ラムパルドにも火傷が出来る。 「なるほど、だから避けなかったのか……」 ヒョウタさんが関心している間に、回復の薬でサーナイトの傷を治す。 「よし、これでOKのはずだ」 「有難うございます、マスター」 「よし、サーナイト、チャージビーム!!」 「はぁっ!!」 「ラムパルド、火炎放射!!」 技と技がぶつかり合い、中央で爆発を起こした。 爆発が収まり、砂埃が晴れると、ラムパルドが倒れていた。 「ラムパルド、戦闘不能!!」 「OK!!ごくろーさん、サーナイト」 「くうぅ、まさかここまで圧倒されるなんて……、最後は頼んだ!!ゴローニャ!!」 俺がサーナイトを戻すと、フィールドにゴローニャが現れた。 「最後、決めて来い。行け!!スイクン!!」 「ええっ!?スイクンだってぇっ!?」 ヒョウタさんは驚きを隠せない様である。 まぁ、初心者トレーナーがスイクンを持ってたら、誰でも驚くよな。 「そ、そのスイクンは、君のなのかい?」 「ええ、そうです。シンジ湖で会いました」 「そ、そんな……嘘だ……嘘に決まってる……」 「……なぁ」 いきなりスイクンが話し掛けてきた。 「どうした?」 「そろそろバトル始めいんだが……」 「そろそろバトル始めたいんだが……」 「ん、あ、ああ、ごめんね取り乱しちゃって……」 ヒョウタさんは下を向いていた顔をあげる。 「まぁ無理も無いですよ、俺だって初めて会った時はビックリしましたよ」 「すまないね、待たせてしまって。ゴローニャ!!岩落とし!!」 「スイクン、避けて滝登り!!」 スイクンはゴローニャが落として来る岩を次々に避け、滝登りを決める。 「ぐおっ……」 「ゴローニャ!!大丈夫か!?」 滝登りを受けたゴローニャは、フラフラになりながらも立ち上がった。 「大丈夫だな?よし!!ころがる!!」 「スイクン、冷凍ビームを地面に!!」 ゴローニャのころがるを止めるために、俺は地面を冷凍ビームで凍らせるように指示した。 案の定、凍った地面ではうまく曲がれず、ゴローニャは壁に激突する。 「ゴローニャ!!」 「今だスイクン!!冷凍ビーム!!」 壁にめり込んだゴローニャに冷凍ビームを放つと、ゴローニャは凍って動かなくなってしまった。 「……ゴローニャ、戦闘不能!!よってこの勝負、チャレンジャー白龍の勝ち!!」 「やったぜ!!スイクン!!お疲れさま」 「ふっ、あのくらいじゃ疲れもせんわ、不完全燃焼だな」 「ふ~ん……そっか、じゃあ後でちょっと付き合ってやるよ」 「?どういう意味だ?」 「ま、後でのお楽しみ」 俺とスイクンの会話が終わると、ヒョウタさんが近づいて来た。 「白龍君、これがリーグ公認バッジ、コールバッジだ。僕に勝った証だよ」 俺はバッジを受け取り、一言お礼を言ってからジムを後にした。 ◇ 「……なぁ白龍、何処に向かってるんだ?」 「んー?誰も居ない所」 「えっ……///」 「何赤くなってんだよ、ナニすると思ってたんだ?」 「何だ……そうか……」 「そんなにシてほしかったら自分から誘ってみろ、ただし、夜限定な」 「そっ、そんな!!私は……///」 「ハイハイ、ほら落ち着け、バトルするぞ」 バトル、という単語が出た瞬間、スイクンの目付きが変わった。 「分かった。しかし、お前の身体の方は大丈夫なのか?」 「大丈夫、無理しなければいいだけだし、薬も事前に飲んどいたから」 「そうか、ならば手加減せぬぞ」 「俺がどんな技でも使える事、忘れんなよ?」 『いくぞ!!』 「氷の飛礫!!」 「ふっ、はぁ!!」 スイクンは氷の飛礫を避けると、滝登りで突っ込んで来る。 「はぁぁぁ……雷パンチ!!」 俺はスイクンとすれ違いざまに雷パンチを叩き込む。 「ぐっ……」 スイクンは一瞬呻き声を漏らすが、すぐに体勢を立て直して冷凍ビームを放つ。 避けられないと判断した俺は、右腕をガードに使う。 「!!……右腕を捨てた?」 「いんにゃ、捨てた訳じゃねぇ」 瞬間、右腕を炎が包み、腕の氷を溶かす。 「炎のパンチ!!」 「っ、滝登り!!」 俺はそのまま炎のパンチを繰り出したが、一瞬で気付いたスイクンの滝登りによってかき消され、そのまま直撃を貰う。 「ぐはっ……」 俺は数メートル後ろに吹っ飛ばされ、岩に叩き付けられた。 「どうした?この程度じゃ私は満足しないぞ?」 「いっ……てぇな……くそっ」 俺は立ち上がり、服に付いた汚れを掃う。 「んじゃ、そろそろ強くしていくぜ?後悔すんなよ!!」 そう言い放ち、高速移動で後ろに回りこむ。 「食らえ!!高速捨て身タックル!!」 「なっ!しまっ……」 後ろからの高速捨て身タックルを食らわせた俺は、全身に痛みが走った。 「がはっ……」 「ぐうっ……!!」 吹っ飛んだスイクンはすぐに立ち上がったが、何気に二人とも満身創痍だった。 「ハハッ、次の技で終いにするかぁ!?」 「……ああっ!!」 「おっしゃあ!!ボルテッカー!!」 「波乗り!!」 電撃を纏った俺と、スイクンの起こした波の奔流がぶつかり合い、そして…… ・・・・・ 「……うっ……いってぇ……」 「ううん……」 どうやらあの後、気を失っていたらしく、スイクンに覆い被さる様な形で寝ていた。 「お~いスイク~ン……気失ったままか……」 俺はスイクンに呼びかけたり、頬をペシペシと叩いてみたりしたが、一向に目を覚ます気配は無い。 俺は暫く考えた後 「しかたねぇ、おぶって帰るか」 俺はサイコキネシスでスイクンを持ち上げて背中に乗せる。 「(ヤベ、そういやスイクンって180kg超えてるんだった……重い……)」 しかたが無いので俺は怪力を発動させる。すると一気にスイクンが軽くなった。 俺はそのままスイクンを起こさない様にゆっくり帰った。 ◇ 「……うっ…ここは……?」 「おっ!やっと起きたか」 「白龍?……ここはどこだ?」 「ポケセンで借りた部屋だよ。俺達、あの後ずっと気を失ってたんだぜ?」 俺はあの後スイクンを部屋に連れて戻り、今の今までずっと横にいたのだ。 「そうか、それはすまなかったな。私を運んだ時辛くなかったか?自分で言うのもなんだが、私180kg超えてるし……」 「まぁ、怪力を使ったから問題ねぇよ」 俺はそう返事をしつつ、スイクンの髪を弄る。 「んっ……なら…良かった……、は、白龍っ……髪をっ……弄るなっ……」 「はいはい……」 俺は髪を弄るのを止め、代わりに撫でる。 「ふぅ……撫でられるくらいなら別に構わないんだが……」 「わりぃわりぃ、だってお前の髪って綺麗だから弄りたくなるんだよ」 「だからって弄っていい理由にはならんだろ……それより……」 「ん?」 「何でお前は私に添い寝するみたいになってるんだ?」 「何だ、嫌か?」 「嫌…じゃないけど……その…何と言うか……」 「何と言うか?」 「は、恥ずかしい//////」 するとスイクンは恥ずかしさからか、俺名胸に顔を埋めてしまう。 「可愛い奴だな……お前……」 そう言いながら頭を撫でてやると、ボンッという音と共に、スイクンの顔が真っ赤になった。 「(そういえば今何時だ?)」 腕に着けたポケッチに目をやると、PM8:10と表示されていた。 「(風呂入って飯食って寝るか……)」 俺はスイクンから離れ、サーナイトとイーブイを出す。 「どうかしましたか?」 「いや、風呂と飯にしようと思ってな、俺が先に入るから、名前呼んだら一人ずつ入って来い、俺が体洗ってやる」 『ハーイ』 俺は三人の返事を聞いた後、部屋に付いてる風呂に入る。 「あ~……サーナイト~、いいぞ~」 「……ハイ」 返事の後すぐに風呂場のドアが開き、サーナイトが入ってくる。 「じゃあマスター、背中の方お願いします、前は自分でしますので……」 「アタリマエだ、そんな所まで洗ってやれねーよ」 タオルに石鹸をつけて泡立てる。そしてそのタオルでサーナイトの背中を洗ってやる。洗い終わったらお湯をかけて泡を流す。 「あ、サーナイト、マットの上にうつ伏せに寝てくれるか?」 「へ?あ、はい。こうですか?」 サーナイトはうつ伏せになり、俺はその横に座る。 「何かするんですか?」 「ジム戦頑張ってくれたからな、ちょっと疲れを取ってやろうと思ってな」 「?」 「訳分からんって顔してるな、な~に、ちょっくらマッサージしてやるだけさ、あ、変な期待するなよ?」 「しませんよ///!!」 俺はそう言いながらマッサージを開始する。肩、腰、脚等を指圧マッサージしてやると、サーナイトは気持ち良さそうな顔をしていた。 それから約10分マッサージを続けた。マッサージが終わった後は、冷えた体をお湯に浸かって温めてからサーナイトが出て行った。 「うお~い、イーブイ~」 トコトコトコトコ…… 「ハクリュウさん?」 「おう、入れ入れ」 風呂場でたたずんでいるイーブイに、お湯に入るよう促す。 「失礼します」 イーブイはピョンとジャンプして湯桶の縁に飛び乗ると、ゆっくりとお湯に浸かる。 だが、イーブイの身長は30センチしかないので、必然的に俺の膝の上に座る形になる。 「ハクリュウさん、身体洗ってくれますか?」 「いいぜ~」 俺はイーブイをマットに座らせ、自分は腕だけ湯船から出す。 ボディソープを手に出し、少し泡立ててからイーブイを洗っていく。 もちろん、昨日の様な事にならないよう細心の注意を払って。 ゴシゴシゴシゴシ…… やがてイーブイが泡だらけになり、お湯で洗い流す。 「……ふぅ、有難うございますハクリュウさん」 「どういたしまして、もうあがっていいぞ」 「ハイ、そうします」 俺はイーブイの体毛をタオルで軽く拭いてから戻らせる。 「さてと……スイクン、もう入ってきていいぞ」 するとドアがギィ…と音をたてて開き、スイクンが湯船に入る。 さすがにスイクンと入ると窮屈に感じる。湯船からお湯も溢れてるし。 「(つーか色々くっつきすぎて困るんだけど……)」 「…りゅう……?」 「(まぁ、別に興奮するわけじゃねぇけど……)」 「白龍!!」 「へ?あ、何!?スイクン」 「何!?じゃない、さっきから呼びかけてたのに反応無いから……」 「そ、そうか、それはスマンかった……」 「まったく……身体洗ってくれないか?」 「お、おう」 ………… その後俺は、スイクンを待たせた罰として、毛繕いを要求された。 そして俺は今、その毛繕いの真っ最中である。 「気持ち良いか?」 「ああ、良い気分だ……」 「そうか、なら良かった」 「(しっかしコイツ、罰とか言ってたけど本当は毛繕いしてほしかっただけじゃないのか?スゲー柔らかい表情してんだけど……)」 「どうした白龍」 「ん、この罰について考えてた」 「ほう…、どんな風に?」 「いや、ただ単にお前が毛繕いしてほしかっただけなんじゃないかな~と」 するとスイクンは顔を真っ赤にして否定した。 「そ、そんなわけ無いだろう!!わ、私は…別に……してほしくなんか……」 はい、ツンデレってやつですね、つまり今の否定は肯定なワケですね、分かります。 「まったく……、ほら、毛繕い終わったぞ」 「うむ、長風呂になってしまったな、早くあがろう」 「へいへい、誰のせいだと思ってんだよ…って俺のせいか……」 さて、風呂入ったし、飯食いに行くか…… 着替えて部屋を出た俺は、三人を連れて飯を食いにいく。 「なぁ、何か食いたい物ある?」 俺が三人にリクエストを聞くと…… サ「私は和食で……」 ス「私は洋食だな……」 イ「私は中華が……」 帰ってきた返事は見事にバラバラだった。 「全員バラバラかよ……、だったら、バイキング形式のレストランがあるからそこに行こう。そこだったら、和洋中全部あるだろ……」 俺がそう言うと、三人は一斉に『やった!!』と歓喜した。 サ「バイキングですか……、どんな和食があるのでしょうか……?」 ス「さぁな、私も知識としては知っていたが、体験するのは初めてだ。ピッツァがあればいいが……」 イ「春巻とかマーボードーフがあればいいですね~。あ、それとデザート」 三人が後ろで和気藹藹と喋っている間にレストランに着いた。 席を確保し、全員思い思いに散って行った。 俺もパンとうどんとサラダを取って席に戻るが、まだ誰も戻って来ていなかった。 一分ぐらい待つと、イーブイが春巻を10本、シュウマイを5個、マーボードーフ1杯に大盛りのご飯を盛ったプレートを頭の上に乗せて戻ってきた。 「…………(絶句)」 「ハクリュウさん?このプレート机の上に置いてもらえますか?」 「あ、ああ……ずいぶん取って来たな……そんなに食べられるのか?」 「でも、スイクンさんとサーナイトさんはもっと取ってましたよ?」 「マジでか!?」 そんなことを話していると、スイクンとサーナイトが戻って来た……大量の料理と共に…… サーナイト・・・うどん(中)×1、蕎麦(中)×1、寿司(色々)×10貫、刺身×3皿…… スイクン・・・ピザ(M)×2枚、カルボナーラスパゲッティ2人前、野菜サラダ大盛り…… 「お前らなぁ……そんなに食えると思ってんの?」 「なんだかジム戦が終わった頃からやたらとお腹がすいてしまって……」 「私もだ、だから其処まで心配しなくてもいい」 「じゃあそれでは……」 『いただきます』 すると三人は、取ってきた品々をあっという間に平らげていく。 「……お前らは大食い女王か……」 俺はそう呟くと、やっと飯を食べ始めた。 三人はすでに3分の1を食べ終わった頃だった…… ◇ 「ふぅ~、食った食った」 レストランを後にした俺達は、部屋には戻らず、さっきスイクンと戦った場所で星空を見上げていた。 「キレーな星空だな……」 「そう…だな……」 「月も綺麗ですね……」 「私、この月が大好きです。もちろん、この月のように優しいハクリュウさんも……//////」 「…………!!」 今のって告白か!?二人がいるのに!?よく言えるなオイ…… サーナイトとスイクンはどう聞いたんだ?念話で聞いてみるか…… (なぁ、二人とも……) (何ですか?) (どうせ今のイーブイの発言についてだろう?皆が見てる前で告白するとは…、イーブイ、恐ろしい子!) (分かってるなら話は早い、お前らどう思う?) (どうもこうも無いだろう?) (前に申し上げたはずです、「幸せは山分けですね」って) (そうか、ありがとう二人とも) (『どういたしまして』) 「イーブイ、ちょっとこっち来なよ」 「はい//////」 俺はイーブイを抱き上げ、目を閉じさせる。 そして、軽く触れるだけのキスをする。 するといきなり、イーブイのペンダントが光だし、同時にイーブイも光出した。 「こ、こいつぁ……」 「進化……!?」 イーブイを包む光が大きくなり、一瞬の閃光 そして、そこにいたのは…… 「白龍さん……私、進化しちゃいましたぁ……」 「おめでとうイーブイ…いや、ブラッキー……」 ---- 第3章 完 [[俺の不思議で幸せな旅4]] #pcomment IP:133.17.6.6 TIME:"2012-06-20 (水) 10:04:46" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E4%BF%BA%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%A7%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AA%E6%97%85%EF%BC%93" USER_AGENT:"Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; Trident/4.0; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; .NET4.0C; InfoPath.3; .NET4.0E)"