作者 [[ギアス]] ・・・チュンチュン・・・ 「・・・んん」 「マスター、朝ですよ起きてください」 「あと少し…5分で良いから…」 「もう…今日が何の日か忘れたんですか?」 ?…今日…何の日……!! ガバッ!! 「しまった!!今日から俺、旅に出るんだった!」 「まったく…それでも今日からトレーナーですか?」 「うっ…まぁそう言うな」 俺の名前は八雲白龍、人間だ。 今日で十八歳なんだが、十八歳と言えば普通なら高校3年生として受験のために勉強中である。 しかし、俺のIQは180あり、小学生の頃に大学卒業までのカリキュラムをすべて終わらしたのである。 そして今、布団という天国から真冬のきびし〜い寒さの中にたたき起こしたのが俺のパートナーのサーナイトである。 「マスター?朝御飯出来てますよ?」 「あっゴメン、早く食べようか」 「ハイ」 『いただきます』 静かに朝食を食べていると、サーナイトが口を開く。 「マスター、今日はこのあとすぐに研究所に行くんですか?」 「いや、研究所には昼過ぎに行くよう連絡してあるから、まずはシンジ湖に向かおう」 「分かりました」 その後俺達は朝食を食べ終え、シンジ湖に向かった。 そして俺達はシンジ湖に着いた。そこで見たものは・・・ ドオンッ!! 「うわっ!!」 「キャアッ!!」 突然の爆風に俺達は驚く。 「何があったんだ!?」「分かりません!いってみましょう!!」 タタタタタタ・・・・・ 「あっ!誰か倒れてます!!」 近くに寄って見てみると、それはポケモンだった。 「!!こいつは・・・まさか・・・」 「マスター、このポケモンを知っているのですか?」 「俺の記憶が正しければこんな所にはいないはずだが・・・」 全体的に水色の体、紫色の髪、頭についたクリスタル。 「間違いない・・・こいつは・・・」 俺はゴクリと息を飲んだ。 「スイクンだ・・・」 「!!!」 サーナイトが驚きに満ちた顔をしている、無理もない。 とりあえず生きているか確認をする。 「おい!!大丈夫か!!何があった!!」 「・・・・・うっ・・・私は・・・ぐっ!!」 ドサッという音とともにスイクンは倒れる。 「気を失ったようですね、どうします?マスター」 「どうするもこうするもほっとけんだろ、家に連れて帰る。サーナイト、テレポートだ」 「ハイ」 シュン・・・・ スッ・・・ 「ターゲットを確認・・・」 「分かった、そのまま監視をしろ」 「了解」 此処からスイクン視点 「ん・・・ここは・・・?」 私は見知らぬベッドに寝かされていた。 「おっ、気がついたみたいだな!!」 「!!!」 「おいおいそんなに身構えるなよ、命の恩人に対して失礼だぞ?」 命の恩人?そういえば体が痛くない・・・ 「元気のかけらといい傷薬2個でほとんどの傷は治ってるはずだ。まだ痛いところはあるか?」 「・・・無い」 「そうか、ならよかった・・・」 ガチャリ・・・ 「!!」 「あっ、起きたんですね。お腹すいてるでしょうから木の実を持ってきました」 「お腹なんてすいて・・・」 グ~~ 「『・・・・・』」 やはり体は正直だ。伝説とされるポケモンの威厳を守ろうとしたが裏目に出てしまったようだ。 「変な意地張らないでちゃんと食えよ?「記録者」なんだから」 「そんな事まで知っているのか・・・いただこう・・・」 私は礼を言ってから木の実を食べ始めた。 オレンやオボン等少々珍しい木の実まであり、それらを数個食べるとお腹はふくれた。 「・・・ごちそうさま」 「うん、ちゃんと食べたな」 キィ・・・ 「?」 「窓開けとくから、逃げ出したかったら逃げていいぞ」 「!!」 何故こんなことをするのだろうと疑問に思った。 「何でこんなことするのかって?「記録者」の内容を知らないわけじゃないからな」 「・・・・・・」 「俺、今からナナカマド博士にあってポケモン貰って来るから、帰って来るまでに決めとけよ?」 「・・・・・お前の名前はなんだ?」 「はぁ?」 「お前の名前は何だと聞いているのだ・・・」 「ああ・・・名前ね、白龍だ、八雲白龍、さっきのはパートナーのサーナイト」 「そうか・・・教えてくれてありがとうな・・・」 「どういたしまして・・・さてと、行くとするか・・・」 『母さーーーん、サーナイトー!!研究所行ってくるからスイクンよろしくーー!!』 「ハーイ」 「行ってらっしゃいませ、マスター」 ガチャ・・・ 「?」 「スイクンだっけ?白龍の母よ、短い間よろしくね」 「スイクンだっけ?白龍の母の紫よ、短い間よろしくね」 「・・・・・」 「さ、ベッドから出てお風呂場にいくわよ」 「?」 「体が汚れてるでしょ?体、洗ってあげる」 「・・・・・」 私は黙ってベッドから降りて白龍の母について行く。 (・・・・・少し、信じてみるか) 「さ、先にお湯に浸かってていいわ、色々準備がいるから」 「・・・・・」 私は言われたとうりにお湯に浸かる 「・・・・・」 私はお湯に浸かりながら考え事をしていた。 (ここから逃げるか、それとも・・・) 私は少し考えてから答えを出す。 「記録者としての活動は続けよう。ただし、人間と共に行動するポケモンとして・・・」 すると扉の外から声が聞こえる。 「スイクン?あがったら綺麗にしてあげる、その時体拭いてあげる」 「ありがとうございます、お母様」 ◇ 「ふぅ、やっとついた」 今俺がいるのはナナカマド研究所前、時間は・・・1時半か・・・ちょうどいいな。 ガー 「ごめんくださーい!!今日ポケモンを貰う事になってた白龍でーす!ナナカマド博士はいますか~?」 すると奥のほうから白いヒゲをはやした人物がやってくる。 「君が八雲君だね、話は聞いているよ、さあ奥に来たまえ」 博士に着いていくと机の上に4つのボールがあった・・・4つ? 「さあ、この中から君の好きな子を選んでくれ」 「ちょっと待って下さい、なんで4つなんですか?ナエトル、ヒコザル、ポッチャマのはず・・・」 俺は疑問に思い質問をする。 「うむ、実は今世界中でイーブイが大量発生しているという話をきいたことがないか?」 「ええ、毎日ニュースで言われてますね」 「うむ、その数を計算したらトレーナーに一人一匹渡しても十分残るのだ」 「はあ・・・」 「そこで今回からイーブイを試験的に導入になってだな、そのデータを集めてほしいとのことでこのナナカマド研究所が選ばれたのだ」 「・・・それで?」 「それで?と聞かれても困るのだが・・・まあ選んでくれるとありがたい」 俺は少しの間考え答えを出す。 「いいですよ、このイーブイをパートナーにします」 「おお!!そうかね!!助かるよ!!ではこのボールをきみにたくそう」 「ありがとうございます。出て来い!イーブイ!!」 空中でボールが開き中からイーブイが出てくる。 「今日から君のパートナーになった八雲白龍だ、よろしくな」 「あ、ハイ、よろしくお願いしますハクリュウさん」 お互いに挨拶をすると、ナナカマド博士が口を開く。 「この子は試験的に導入された事もあって最初から居合い切りと岩砕きを覚えておる」 いや・・・バッチ無いと使えないんじゃ・・・ 「分かりました。もどれイーブイ。博士、進化の方は自由でいいんですか?」 「もちろんだ。そこはトレーナーの自由になっておる」 ドォン!! 「うわ~!! 俺が博士に質問し終えた時に爆発音と共に研究員の悲鳴が聞こえた。 「何じゃ!!何事だ!!」 ◇ 研究所で爆発が起こる数分前・・・ 「はい、終ったわよ。けづやが良くなったんじゃない?」 「ありがとうございます、お母様」 「よかった・・・ねえスイクン、聞いてほしい事があるの・・・白龍の事で・・・ね」 「・・・!!」 「やっぱりって顔してるわね。伝説のポケモンだから分かったかもしれないけど、あの子、他の人間と少し違うの・・・」 「・・・どう・・・違うんですか?何か変な感じはしましたが・・・」 「今から話すからね、でも、サーナイトにはゆっちゃだめよ?」 「分かりました。でも、どうして?」 「あの子の能力(ちから)をサーナイトが知ったら心配するから・・・」 「でも・・・なぜ私には・・・」 「貴方、『記録者』でしょ。色々知っておいてほしいの、あの子のポケモンになってもならなくてもね・・・」 「・・・分かりました」 「うん、じゃあ耳をかして・・・」 私はお母様に近づき耳を傾ける。 そしてお母様が話そうと口を開いた瞬間・・・ ドォン!! 『!!!!』 遠くから爆発音が聞こえた。 暫くするとサーナイトが飛び込んできた。 「ナナカマド研究所で爆発です!!」 『何ですって!?』 「私は先にマスターの元へ行きます!!お二人は後から来てください!!」 シュンッ・・・ そういうとサーナイトはテレポートで研究所へと向かった。 「私たちも向かいましょう!!」 その言葉に私はコクリと頷き走り出す。 「白龍・・・ッ」 何か嫌な予感がした。 そしてそれは無情にも現実のものとなる・・・ ◇ 「何じゃ!!何事だ!?」 砂煙が晴れるとそこには一匹のボスコドラと変な服を着た男女が数人いた。 「誰だお前ら!!」 「・・・・・目標Hを確認、これから捕獲に移る」 「答えろ!!貴様らは何者だ!!」 「八雲白龍、我々と一緒に来てもらう」 「なぜだ!!」 「理由は無い。反論は許さない」 「それでも嫌だと言ったら?」 「力づくでついて来てもらう!!ボスコドラ、破壊光線!!」 俺はギリギリで破壊光線を避ける。 「博士たちは逃げてください。それとジュンサーさんに連絡を。出ろ、イーブイ!!」 「八雲君!!」 「早く逃げてください!!」 俺は博士たちを無理矢理逃がすと、時間稼ぎのためイーブイを出す。 「ボスコドラ!!とっしん!!」 「避けろイーブイ!!岩砕き!!」 イーブイが避けるとボスコドラは壁にぶつかる。 そこにイーブイの岩砕きが急所にあたり、ボスコドラは倒れる。 「もどれボスコドラ!!行けアリアドス」 敵は次にアリアドスを出してきた。 「アリアドス、クモの巣」 アリアドスがクモの巣を放つと、イーブイは避けられずにつかまってしまう。 「イーブイ!!大丈夫か!!」 「ふえ~ん、動けませ~ん!?」 「アリアドス、毒毒!!」 「きゃぁぁぁっっ!!」「イーブイ!!」 イーブイは避けられずにもろに食らってしまう。 「くそ!!こんな時にアイツがいれば・・・」 『マスター!!』 そのアイツが今、ここに来た 「サーナイト!!」 「マスター!!ご無事で!?」 「俺は大丈夫だ!!それより先に奴等を潰すぞ!!」 「ハイ!!」 「ギンガ団を舐めて貰っては困る!!」 「サーナイト、チャージビーム!!」 「アリアドス、シグナルビーム!!」 「はぁ!!」「しゃ!!」 両者はまったく同じタイミングで技を繰り出し、中央でぶつかる。 「はぁぁっ!!」 サーナイトはチャージビームの出力を上げ、そのまま押し切る。 「ぐぎゃぁぁぁぁっ!!」「ちっ、カスが、やられやがった!!(ニヤリ)」 「(ん?今、アイツ笑った?)」 俺がそう疑問に思った瞬間だった。 「ヘルガー、アイアンテール!」 別方向からの声がした。 「えっ?きゃあああっ!!」 サーナイトの視野の範囲外からの攻撃、それに加え、別のゴルダックの金縛りで動けなくなっていた。 「サーナイト!チッ!」 俺はサーナイトを守ろうと思い、サーナイトの前に立ち塞がった。 「!!マスター!!ダメぇ!!」 サーナイトがそう叫んだ瞬間・・・ ザシュッ・・・・・ ◇(スイクン) 私は今白龍の母親を背中に乗せて走っている。 途中で何かあった時のために木の実を数個取りに行ったため少し遅れたが。 「町はまだですか!?」「もう少しよ!!」 すると、急に視界が開け町が見えた。 研究所らしき建物からは煙が立ちのっぼっている。 「あれが研究所よ!!」 「ジャンプします、しっかり掴まってください!!」 私は四肢に力を込め跳ぶ。 壊された壁から中に入った瞬間、サーナイトの叫び声が響いた。 「!!マスター!!ダメぇ!!」 その瞬間、私達が見たのは・・・・ ◇ ザシュッ・・・・・ 「くっ・・・カハッ・・・」 白龍の何かにむせる様な声と、ビチャッと何かが地面に落ちる音を聞いて、サーナイトは恐る恐る伏せていた目を開ける。 『!!!!!』 サーナイト、スイクン、イーブイ、3人共目を疑った。 サーナイトの目の前にいたのはヘルガーの噛み砕くをその身に受け、血まみれになった白龍だった。 「マスター!!」「白龍!!」「ハクリュウさん!!」 「サーナイト・・・ゴ、ゴルダックに・・・チャージ・・・ビーm・・ゲハッ・・・」 白龍は血を吐きながらも、サーナイトに指示を出そうとする。 「マスター!!喋らないで下さい!!傷にさわりまs・・・!!」 サーナイトは白龍の傷口を見た瞬間絶句した。 シュゥゥゥ・・・ 「な・・・馬鹿な・・傷が・・・治るだと・・!!」 それを見たスイクンも驚いた。 シュゥゥ・・・ 「傷は・・・ある程度は治ったか・・・母さん、イーブイにモモンの実を食わせてやって」 「分かったわ、イーブイ、これを食べなさい・・・」 「あ、ハ、ハイ・・・」 「サーナイト、金縛りは解けたみたいだな?」 「は、はい・・・マスター・・・今のは一体・・・」 「こいつ等を倒したら話してやる、だから・・・」 白龍は立ち上がり大きく息を吸う。 「今は目の前の敵に集中しろ!!」 「!!ハイ!!」 「よし、サーナイトはゴルダックを、俺はヘルガーの相手をする!!」 サーナイトと白龍は、お互いの顔をチラ見した後、二手に別れた。 ◇ 「さっきはよくもやってくれましたね、チャージビーム!!」 「貴様らの事など知った事か!!ゴルダック、ハイドロポンプ!!」 中央でハイドロポンプとチャージビームがぶつかるが、水は電気をよく通すので案の定チャージビームがゴルダックにヒットし大ダメージを与える。 「ぐあああ!!」 ゴルダックは数メートル後ろに吹っ飛ばされたが、よろけながら立ち上がる。 「フン、ゴルダック、サイコキネシス」 「ならこちらも・・・サイコキネシス!!」 サイコキネシス同士が空中でぶつかり合うが、タイプ的、そして元々の特攻の高さの違いから、サーナイトが攻め勝ちゴルダックは壁まで吹っ飛ばされ瀕死になる。 「戻れゴルダック!!くそ!!覚えてろ!!」 ゲームによくある台詞を残して下っ端は逃げて行った。 下っ端を数分で倒したサーナイトは、すぐに白龍の元へ向かった。 ◇ 俺はサーナイトと別れた後、さっきヘルガーに指示を出したと思われる男の元へ向かう。 「お前等ギンガ団の目的は何だ? 「我らの目的は貴様の捕獲だ」 「俺の力で何をするつもりだ?」 「さあな、下っ端の俺にそんな事知らされて無いからな・・・」 「そうか・・・あまりこの力は使いたく無かったんだが・・・」 俺はヘルガーに対して構えを取る。 「使うほかは無い!!」 「ヘルガー!!火炎放射!!」 「ガアアアァァッッ!!」 「・・・神速」 ヘルガーは火炎放射を放つが白龍はいとも簡単に避け、ヘルガーの隣まで神速で移動する。 「何!?」「速い!?」 「遅い、水の波動!!」 水の波動をゼロ距離から受けたヘルガーは真上に吹っ飛ぶ。 「ヘルガー!!体勢を立て直せ!!アイアンテール!!」 ヘルガーは空中で受身を取ると、尻尾を光らせながら降下してくる。 が、白龍はヘルガーの着地寸前に空へ飛び上がっており、その背中には黒羽の翼が生えていた。 「くっ、化け物め・・・」 「つべこべ言わずに攻撃しろ!!火炎放射!!」 「ちっ!!」舌打ちをしながらも、ヘルガーは再び火炎放射を放つ。 「見切り・・・」白龍がそう呟くと白龍の目が赤く光る。 すると白龍は、火炎放射を最低限の動きでかわしながらヘルガーに近づく。 「来るな!来るな!!来るなぁぁっ!!!」 「これで・・・決める!!」 その瞬間、光が白龍を包む。 「ゴッドバード!!」 技が決まり、ヘルガーは何かを叫びながら吹っ飛んだ。 「・・・・・・」 砂煙が晴れると、気絶したヘルガーと、失神した下っ端がいた。 「マスター!!」 「ん?サーナイトか?」 「怪我はありませんか?」 「ああ、心配かけてすまないな、サー・・・ナ・・イト・・・」 ドサッ・・・ 音と共に白龍が前のめりに倒れる。 「マスター!!」 「くっ・・・スマン・・・少し、力を使いすぎた・・・」 そういうと、白龍は目を閉じた。 「マスター!!」 スーーー・・・スーーー・・・ 「よかった・・・眠ってるだけだったんですね・・・♪」 疲弊しきった白龍の寝顔に、サーナイトはそっとキスをした・・・ ◇ 「ん・・・?」 目を開けると、いつも見る部屋の天井が見えた。 「マスター!」「白龍!」「ハクリュウさん!」 「ん・・・?お前たち・・・って、うわ!!」 俺が目を覚ますと目の前にいたサーナイト達が抱きついてくる。 「ちょっと!?なんだよいきなり・・・?」 「マスター・・・マスター・・・ヒック、エグッ・・・」 「サーナイト・・・?お前・・・何で・・・泣いてるの?」 俺が疑問に思うと、スイクンが口を開く。 「サーナイト、お前が倒れた後、心配で一秒たりともお前から離れなかったんだよ」 そうだったのか・・・取り合えずお礼を言っとかないとな。 「ありがとな、サーナイト」 「貴方が無事で・・・本当に・・・良かった・・・」 俺はサーナイトの背中を優しくさすってあげた・・・ 10分後・・・ サーナイトが泣き止み、スイクンとイーブイが俺から離れる。 「なぁ、スイクン」 「何だ?」 「お前ここにいるって事は、俺のポケモンになるって事でいいのか?」 「ああ、大丈夫だ、問題ない」 「そうか、サーナイト、机の引き出しの中にある空ボール取って」 「あ、ハイ」 そう言ってサーナイトにボールを持って来てもらう。 「んじゃ行くぞ、ホイっと」 投げたボールがスイクンに当たり、2,3回揺れてから止まった。 「よし、スイクンGETだ」 俺はボールを投げスイクンを出す。 「これからもよろしくな、スイクン」 「こちらこそ、改めてよろしく頼む。白龍」 すると下の階から母さんの声が聞こえた。 「白龍~?お風呂用意出来てるから入りなさ~い」 そう言えば背中に血がついたままだったな。 「はいよ~!!」 俺は大声で返事をしてベッドからでる 「スイクン達は母さんの手伝いしてて」 スイクン達が階段を下りて行くのを確認する。 「さてと、風呂に入るか・・・」 着替えとタオルを持って俺は部屋を出た。 ◇ ザアアアアァァァァ・・・・ 「ふぅ、だいぶ血は落ちたな」 俺はシャワーで背中の血を洗い流した。 「さて、お湯に浸かるか」 チャポ・・・ 「ふぅ~、今日旅に出るはずだったのに、とんだ一日になっちまったな・・・」 今日一日の事を振り返っていると、ドアの向こうから声がした。 「あの・・・マスター?」「ん?どーした、サーナイト」 「えっと・・・、あの・・・」 サーナイトが扉の前でモジモジしているのが中からでもよくわかる。 「一緒に入っても・・・よろしいですか?」 「いいぜ、入ってこいよ」 するとサーナイトがモジモジしながら入ってくる。 「失礼しますマスター」 サーナイトと言う種族は、最初からレースのようなものを着ていて他のポケモンの様な体毛は無く、代わりにレースが攻撃や気温の変化から生身を守る事になっており、風呂に入る時もそれは脱がずに入る。 しかし、それはそれだ。服で見えないとは言え、胸の辺りは膨らんでいるし、体つきもスラリとした体型であるため、俺の好みのタイプなのである。 そんな事を考えている内にサーナイトが湯船に入ってくる。少し大きめの風呂なので二人で入っても窮屈になる事は無く余裕がある。 「あの・・・マスター・・・」「「んっ!何!?」 いきなりサーナイトに呼ばれたため少々ビックリする。 「いえ、マスターがよろしければお背中を流そうかと思いまして・・・」 「じゃあ、お願いしようかな・・・」 俺は湯船から上がり、小さな椅子に座る。 サーナイトは俺の後ろに回り、タオルを石鹸で泡立てる。 「背中だけでいいからな?変に気を使うなよ?」 「分かってますよ、もう・・・」 ブツブツ言いながらサーナイトは俺の背中をタオルで擦り始める。 ゴシゴシゴシゴシ・・・ 「(人にやって貰うと気持ちいいな~♪)」 なんて考えていると、背中に痛みが走った。 「痛っ・・・」「ス、スイマセン!!マスター!!」 どうやら背中の傷口に引っかかって痛みが走ったらしい。 「大丈夫だよサーナイト、この傷はわざと残してるから」 「何故そのような事を・・・?」 サーナイトが聞いてくる。 「小さいころはお前に助けられてばかりだっただろ?でも今日は俺がお前をかばった、その証として残しておきたいんだ」 見るからに痛々しいその傷にそっと指を這わせるサーナイト。 暫くなぞってから突然、だがゆっくりと後ろから俺に抱きつく。 「ありがとうございます・・・マスター・・・」 そう言うとまた泣き出してしまった。 「やれやれ・・・」 俺は一旦体を離し、サーナイトの方を向いて抱きしめてやる。 そして、頬にそっとキスをしてやった・・・ 更に数分後・・・ サーナイトが泣き止んだのを確認し風呂から上がった。 長い時間入っていたらしく、母さんに変な目で見られながら夕食を食べた。 ◇ 俺は今、三人と一緒に部屋のベットの上にいる。 別に今から寝るわけではなく、昼間のあの力についての話をするためである。 「さて、話してもらうぞ白龍」 「分かった、俺の話が終わるまで何も言うなよ?」 三人はコクンと頷く。 「そうだな・・・俺は昔、誘拐された事があるんだ。 サーナイトと出会う二年くらい前かな・・・。 その時俺はまだ学校に行ってて、帰ってきて友達と遊んでいた。 ひとしきり遊び終わった後、家に帰ろうとした時に、大人三人ぐらいに囲まれてさらわれたんだ。 目隠しされてたからどこかは分からなかったけど、連れて行かれた先は何かの建物だった。 その建物の中には、俺と同じぐらいの子供が沢山いて、部屋に鎖で繋がれていた。 もちろん俺も鎖で部屋に繋がれたけど、不思議なことに酷い事はされなかった。 飯は三食ちゃんとでるし、トイレも風呂もあった、無論ベットもあって10時就寝7時起床。 制限されたのは行動範囲だけで、後は普通の生活と同じだった・・・ いや・・・一つだけ辛い事があったな。二日に一回、朝食の後に注射を打たれたんだ。 すると、打たれるたびに頭が割れるような痛みに襲われたり、全身が拒絶反応を起こして死ぬほど苦しかった時もあったし、実際に死んだ子供もいた・・・ そんな生活が一週間ぐらい続いた日の朝に、いきなり爆発音がして、俺達は入ってきたジュンサーさん達に助けられた。 その後、母さんと再会して泣いたんだっけ・・・ その後泣き疲れた俺は車の中で寝てしまって、建物が何処にあったのか分かんなかったけど気にしないことにした。 そしてある日、友達と冗談で岩を念力で動かしてみるって話になって、やってみたら俺だけ本当に動いた。 んで、病院で精密検査を受けて発覚したってわけ。 そして次の日から学校でいじめの対称になって、学校に行かず家で勉強するようになったんだ。 そして、ラルトスに会う一年前に小学校を飛び級で卒業、ラルトスと出会った一年後に高校の全カリキュラムを終わらせ、更に二年後には大学カリキュラムを終えて卒業した。 多分頭が良くなったのもこの能力があったからだろうな。 そして月日は流れ、今までサーナイトに隠しながら生活してきて、今日ばれて今現在に至るわけだ」 『・・・・・・』 俺が一通り話し終えて一息つく、するとイーブイが口を開く。 「その・・・注射の中はまだ分からないんですか?」 「さぁ?ポケモンのエキスとか細胞じゃねーの?」 『・・・・・・』 再びの沈黙・・・ 「さぁ、暗い話はここまで。明日こそ旅に出るんだから、今日はもう寝ようぜ」 スイクンとイーブイは頷くと自らボールの中に入っていくが、サーナイトはボールに入ろうとはしなかった、理由を聞こうとすると、サーナイトが口を開く。 「・・・何で・・・」「ん?」 「何で・・・言ってくれなかったんですか・・・マスター・・・」「サーナイト・・・」 「ぐすっ・・・私は・・・マスターの過去にっ・・何があったかなんて知りませんでした・・・たった一人のパートナーだった私に・・・どうして教えてくれなかったんですか!!」 サーナイトが怒鳴る、怒った彼女を見るのは何年ぶりだろうか・・・ 「こんな過去があったら、お前に心配かけると思ったから・・・、こんな能力があったらお前から嫌われると思ったから・・・」 そういって顔を逸らすと、目の前にテレポートしてきた。 怒っているようなので、ビンタかチャージビームでも飛んでくると思い目を閉じる。 ・・・いつまで経っても痛みが来ない、目を開けようとした瞬間、唇に何かが触れた。 「・・・・・ッ!!」 そっと目を開けると、目の前にあったのはサーナイトの顔、俺はサーナイトに・・・キスされていた。 暫くすると唇が離れる。 「サーナイト・・・お前・・・」 サーナイトは頬を赤く染め、少し息を荒げて言う。 「・・・嫌いになんてなるわけ無いじゃないですか・・・マスターの事、こんなにも愛しているのに・・・」 いきなりの告白に少々驚くが、俺は冷静に返事を返す。 「俺だってお前が好きだ・・・だから嫌われたくなかった・・・ありがとう、サーナイト・・・」 俺はサーナイトを抱きしめて言う、するとサーナイトが口を開く。 「マスター・・・私を・・・抱いてください・・・」 「俺でよければ・・・」 俺がそう返すと、サーナイトはクスリと微笑んだ。 「マスターじゃないと嫌ですよ・・・」 こうして俺たちの熱い夜が始まった。 ---- やっと1が完結・・・えrは2から入れます。 [[俺の不思議で幸せな旅2]] #pcomment IP:113.36.2.114 TIME:"2012-01-04 (水) 17:47:37" 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