writer is [[双牙連刃]] 久々の新光更新ですよ! 久々過ぎてキャラの感じを取り戻すのに時間が掛かりましたよ! ---- 朝のまったりとした時間、今日は久々に俺とレンだけでこの時間を過ごしてる。なーんか最近皆起きるのが早くなってて、こうなるのはたまにしか無いんだよなぁ。 ま、今日の場合はレオが起きて来なかっただけなんだけどな。昨日の夜、なんかハヤトの奴に手伝わされてたからその所為だろ。 「久々だね、ライトとこうやってゆっくりするの」 「だな。レンとしては、手伝いが居なくてちと大変か?」 「ううん、元々はこうだったんだもん。最近はちょっと楽し過ぎかなと思っちゃうくらいだったから」 なんせ、手伝い要員にエーフィになったリィが増えたからな。サイコキネシスの訓練にもなるからって事で自分から進言してきたんだとさ。 お陰でレンはゆっくり出来る時間が増えたんだが、代わりに今みたいな時間は減ったってところだ。……正直言うと、結構残念だったりするんだよなぁ。 カップに入ったコーヒーも半分くらいまで飲み干して、そろそろ時間も良い頃合になったか。流石に誰かが起きてくるだろう。 「レン、そろそろ朝飯の用意した方がいいんじゃねぇか?」 「あっ、そうだね。……」 ん? 物惜しそうにレンが時計を見てる。どうかしたのかね? 小さな溜め息をついて、キッチンへ向かっていった。疲れてるって感じではなかったな……。 おっと、そんな事を思ってたら足音が聞こえてきた。少しゆっくりだし、これはリィだな。 リビングの扉が開いて……うん、思ったとおりだ。 「あ、ライトお早う」 「よぉ、お早うさん」 最近のリィはエーフィに進化したからか、なんか朝が早いんだよ。基本的に後続組一位で起きてくるな。 あぁ、それとリィが進化した事によって奴に空の欠片の存在がバレたんだが、俺が奴に最初からリィが持ってた物だって事で押し切った。だからどんな事が出来るかは教えてないぜ。 「レン姉ぇは? キッチン?」 「あぁ。朝飯の仕上げしに行ってるぜ」 「そうなんだ。じゃあ、僕も少し手伝ってこようかな」 「おぉ、レンも助かるだろうし、行ってやんな」 「うん」 ははっ、進化してからはより一層物事に対して積極的になったし、もう俺が見ていてやらなくてもいいかもしれないな。 ……俺がここに居る理由が一つ無くなる、か。まぁ、まだレンとの約束があるから出て行く気は無いけどよ。 でも、こうして一つ一つ、俺がここに居る理由が無くなっていくのがベストなのかもしれないな。俺の力をどうすればいいか、具体的にどうすればいいのかもまだ思いついて無いし。 いっその事、消滅の光でその光自体を消してしまえればいいんだがな。これの正体も分かってないんだから、どうしようもないんだけどよ。 ま、そんな事は考えないが吉か。俺が生きてる以上、こいつに付き合っていかなきゃならないのは変えようの無い事実だしな。 「ライト、どうかしたの?」 「ん? あ、いや。リィも頼もしくなってきたなと思ってよ」 皿を運んできたリィが俺の顔を覗き込んでた。デカくなったもんだからそうされると顔が近くて困るぜ。 ふわふわと浮かぶ皿がテーブルの上に置かれて、リィの力は役目を終えて消える。……にしても、エーフィに進化してすぐにこのサイコキネシスが使えたのには驚かされたぜ。 他にも幾つかの技を元々使えるみたいだな。ま、俺も全部は把握してないんだが。 ただ……一つだけ問題があった。それは、リィが今持つ最大の力とも言える空間の力についてだ。 これ、エーフィの時には極一部しか使えなくなるみたいなんよ。完全な状態で使うにはイーブイに戻らなくちゃならないって訳だ。 進化後の力を補填するのに使われてるんじゃないかと思ってるんだが、当事者のリィがあまり気にしてないから俺もとやかく言わない事にした。どっちにしろ、かなり便利な力であることは間違い無いしな。 「その分だと、大分感じも掴めるてきたみたいだな」 「うん。最初は戸惑ったけど、特殊技も慣れると便利だよ」 「この家には特殊技の得意な奴も揃ってる……って言うか、一匹スペシャリストみたいな奴も居るから上達は早いだろうな」 主にとんでもない冷気を操る奴とか。あの二つの技を同時に操る技術は、流石に俺でも真似出来ねぇわ。……リィなら真似出来るかもしれないけど。 ふむ……思えばこの家のポケモンって特殊技が主力なのに偏ってるよな。物理技を担当するのはソウ、それと戦う事があればレンがそうだな。 オールラウンドなのがレオか。それと、いまいち戦力がはっきりしないのがリーフとプラス。どっちも悪くは無いと見てるんだが、いかんせん実際に戦ってるのを見てないから判断出来ないんだよな。 っと、別にこの家の戦力把握を俺がする必要は無いか。どうも奴が頼りなくて色々根回しをしたくなっちまっていかん。 「出来たよー。うーん、まだリィちゃんとライトしか起きてないんだ」 「しかたねぇ、起こしてくるか」 「そうだね、手分けして起こしてこようか」 「分かった。早くしないとご飯冷めちゃうもんね」 そんじゃま、モーニングコールと行くかね。やれやれ、めんどくせぇなぁ。 ---- 「さーて、今日は忙しくなるぞー!」 「は? 今日は休みなんだろ? 何かする事でもあるのかよ?」 全員がテーブルを囲んで、大体朝飯を食い終わった頃になってハヤトの阿呆が張り切りだした。一体何をするつもりなのやら。 「主殿、今日は何か所用でも?」 「おうともさ。リィの進化記念にプレゼントを用意しようと思ってなー」 「僕に……プレゼント?」 「そ! 流石にエーフィになってフロストと相部屋って言うのも狭いだろ? だから、リィの部屋を用意しようと思ってるんだ」 ほぉ、なるほどな。悪くないんじゃないか? 手狭なのは確かだし。 「あら、ハヤトったらそんな事考えてたのね。私は別に構わないのだけど」 「まぁそう言うなって。リィの自立の一環って事でいいじゃねぇか」 「うーん、そう言われると一理あるわね。それならハヤトに任せてみようかしら」 折角やる気になってるみたいだし、俺も様子見って事にしとくかね。 なんか、家の中の物置になってる部屋を一室空けて、そこをリィのしたい内装に変えるそうだ。……予想する工程として、荷物の搬送から始まり掃除、内装用品の買出し、そして設置と仕上げと。一日仕事だろうな。 「で、ライトにちょこっとだけ手伝ってもらいたい作業があったりするんだけど……」 「あん? なんだよ」 「いやさ、使ってないベッドが解体された状態で外の物置に入ってるんだよ。それを運ぶ時に手を貸してくれないかなーって」 「ほーん。そんくらいならやってやってもいいが?」 「マジで!? やった助かるー! そんなら、ガンガン始めるとしますかね!」 気合いは十分そうだな。どうやらレオも手伝うみたいだし、俺は手伝うタイミングが来るまでどうするかね? 「あ、それとさ。ライトしばらくだけど、このリビング以外で寝てもらう事になりそうなんだよね」 「んぁ? なんだよ突然」 「学校の筆記テスト近くてさ、しばらくリビングで勉強したいんだよ。コーヒーとか淹れるのに便利だし」 「あぁ、そういえばそんな時期ね。テスト前の定例行事みたいなものなのよ」 ぬぅ、そう言う事なら仕方ないか。しかし、別のところで寝るって言ってもここ以外で寝起きしてないしなぁ……。 「そんじゃあ、俺はお前の部屋で寝ればいいのか?」 「えっ!? いやその……」 「ご主人の部屋は無理だと思うよ? ねぇ?」 「うっ、そ、そんなににこやかに責めのオーラを出さないで頂けませんかレンさん! じ、自覚はあるからさ」 今のやりとりでなんとなく部屋がどうなってるか分かった。情けねぇなぁまったく。 「分かった、そんなら適当に考えておくからさっさと作業に入れ」 「うぅ、誠に申し訳無い」 「では、行きましょうか主殿」 奴とレオがリビングを出るまでを見送って、ここに残ってるのはリィとフロスト、それと俺とレンだけになった。このメンバーでリビングに居るのって結構多いよなぁ。 「で、あんた何処に寝るのよ」 「そうさなぁ……いざとなったら屋根の上ででも寝るかね。最近は天気良いし、月見ながら寝るのも乙なもんだし」 「ソウ兄ぃとかレオ兄ぃと一緒の部屋で寝ればいいんじゃないのかな? プラス兄ぃは……多分ヤダって言うだろうし」 「んー、あいつ等か……」 ソウは……無いな。寝る前に騒がれるのはストレスで仕方ねぇ。ソウなら絶対に騒がしくなるだろうなぁ。 レオはありか。まぁまだ最初に負かしてやったのを根に持ってはいるみたいだが、拒絶されてる事は無いからな。 「ソウは無いとして、有力候補はレオかねぇ? あいつの部屋って入った事無いけど、どんななんだ?」 「さぁ、あたしは入った事無いわね」 「うーん、僕も無いかな」 「前に入った時の事になるけど、私はあるよ。綺麗なんだけど……この家で一番狭い部屋なんだよね。レオ君、自分からここでいいって言ってそこに入ったって聞いたよ」 レオらしいと言うか……でもそうなると、俺が一時的にとはいえ部屋を間借りするのはちと酷か。 それならやっぱり野宿だな。後のメンツが牝だけって事になると、他の選択肢が無い訳だし。 「ま、月見しながら寝るってのも久々だし、別に苦な訳でもないしな」 「あら、やっぱり野宿にするの?」 「あ、それなら僕の新しい部屋っていうのに一緒に寝ればいいんじゃない? 僕ならライトも気にしないでしょ」 「あぁ、それもそうだな」 ん? レンの耳と尻尾がピンッと立った。どうしたんだ? 「あ、あの、それなら私の部屋なんてどうかな!?」 「へ?」 「レン?」 「……あらぁ」 「ほら、前に一緒にお出掛けした時に料理の本読もうって約束したでしょ? ついでにいいかなと思うんだけど!」 「あぁ、そういえばそんな事もあったな」 にしても、何時にも増して声を大きくしてどうしたんだレン? なんか妙にフロストの奴もにやにやし始めたし。 レンの部屋には一度入って知ってるが、確かに俺が居ても十分に広かったのを覚えてる。寝場所としては申し分無いが……。 「ね! そうしよっ!」 「お、おぅ……」 「ふふっ、いいんじゃない? あんたも野宿よりずっといいでしょ」 「うーん、レン姉ぇがそう言うならそれでいいかな」 「じゃあ決まりね! 私、ライトが寝易いようにしてくるよ」 ……小走りでレンがリビングから出て行った。な、なんだったんだ? 勢いに押し切られて承諾しちまったけど。 「ふーん、レンには良い兆候かもしれないわね」 「どういう事だよ?」 「あの子も自分の気持ちに素直になってきたってことよ。あんたには分からなくても、ね」 「……僕、レン姉ぇを怒らせちゃったのかな? 変な事言ってないと思ったんだけど……」 「あれはね、怒ってる訳じゃないのよリィ。説明するのはちょっと難しいけどね」 俺にもさっぱり分からないんだが。それにしても、今晩からどれくらいかは分からんがレンの部屋に厄介になるのか……なんか妙に緊張する俺が居たりするんだが。 ん? レンと入れ替わりで紅白と蒼白の奴等が入ってきたぞ? どうしたんだ一体? 「あ、居た! 師っしょーう! 暇なら戦闘指南して欲しいっスー!」 「強い技教えろー!」 「やかましいのぉ……ソウはともかく、プラスはどうしたんだよ急に」 「え? ライトが強いのって強い技使えるからだろー? 自分だけそんなの使えるのずるいー。教えろー」 ……なんか妙な勘違いをしてるぞプラスよ。そもそも俺、ここに来てから使った一般的な技って電磁波しか使ってないんだが。 「まぁ、する事もねぇから別に構わんけど」 「やったーい♪ 俺っちも結構バトル中に色々考えるようになったッスからね、もっと色々知りたいッス!」 「うーん、つっても今までで知識的な事はだいたい教えたしなぁ?」 「僕は技教えてくれればそれでいいー」 ふむ……それなら技の応用なんかについて教えてやるかね。特別講師がもう一匹、アホ面下げて欠伸してることだし。 「……ちょっと! 今あんたあたしの事馬鹿にしたでしょ!」 「はっ!? ちょ、何も言ってなギャー!」 「あ、ライトが氷漬けになっちゃった」 ……リィといいフロストといい、相手の考えたことを察知し過ぎだろ。エーフィのリィはともかくグレイシアのフロストが読心術を使えるのが解せぬ。 とにかく氷の中から力を込めて脱出。っていうか守りの雷を無効化されてんだが。いや、電気の走ってる表面を氷で囲まれたってのが表現として正しいか。 「おぉ、自力脱出! 流石師匠ッス!」 「しゃ、洒落にならん……」 「ふんっ、あんたが悪いんだからね」 「いや、ライトは何も言ってなかったと思うんだけど」 「いいから早く教えろー」 プラスが俺に乗って耳を弄りだしたし、しゃあねぇから教えてやるとするかね。 講義場はいつも通りリビングのテーブル周り。テレビの前に俺が陣取って話をするってわけだ。 「んじゃま、ちょいと技って奴について話すか。ソウ、基本的に技って奴が何かは分かってるか?」 「えっと、俺っち達ポケモンが使える色んな力を一定の方法で発動させた物ッスか?」 「ほぉ、なかなか専門的な答え方するじゃないか。まさしくそうだぜ」 「やったッス! ……実を言うと、ご主人が学校でそんなのを先生に教えられてるのを聞いてたんスよ」 なるほどな。そう、技って言うのは俺達の中にある力を発現させる為の一種の手段だ。だから、そのポケモンによって覚えられる物に差異が発生する。 強力な技になればなるほどそれは如実に現れる。体が耐えられる技の限界の違いも出るからな。 「例えば、ソウが仮にアームハンマーって技を覚えたとするだろ? それを使いこなせると思うか?」 「そうねぇ……あれは、自身の重さを自分の腕力に上乗せして放つ技だと思ったから、そこまでの威力は発生しないんじゃないかしら?」 「その通り。それに、そこまでの力をもし溜められたとしても、ソウの体がそれに耐えられない可能性もある。相手に当てた途端に腕がおかしくなる可能性が高いだろうな」 「そっか、それだけの力を溜めると、自分に返ってくる反動も大きくなるんだ」 「そういう事。反動に耐えられない技なんて、覚えただけ本末転倒だろ? 使う度に瀕死になってたら強くなる訳ないだろうし」 「えー? なんだよー、僕じゃライトの技は使えないって言うのかー?」 残念、俺の技は俺以外には使えない物が殆どだ。プラスに限った事じゃねぇのよ。 が、確かにパチリスの自然と覚えられる技には高火力な技が無かったのも確かだ。タイプ一致で覚えられる技が……スパークと放電だけだったかな? スパークはそもそもパチリスの力じゃそれまで目立った火力にはならない。放電は悪くないが、電気タイプの技にはもっと火力のある技もあるからそれに比べれば見劣りする。それに、発動したら味方も巻き込んじまうネックもある。 でもな、それらの技をより効果的に使う方法さえ覚えれば十分に火力の底上げは可能だな。今プラスは何を使える状態なんかな? 「プラス、お前は今どんな技を覚えてるんだ?」 「うん? えーと、スパークと放電とー、電光石火とスピードスター」 ……なんとなく想像はしてたが、攻撃技一辺倒だな。奴の底が知れるぜ。 「いつも決め手に欠けるってハヤトがぼやいてるのよねぇ……本来のパチリスは攻撃一辺倒で戦うポケモンじゃないと思うのだけど」 「……僕は変な事しなくても強いんだー! 誰にも負けないもん!」 ……なるほど、だから強い技を求めたって訳か。主人があいつなのが苦労の種になってるな正しく。 強がっても、涙目になってるんだから悔しいと思ってるんだな。……そうか、だから同じ電気タイプである俺が来て、無為に噛み付いてきたって訳か。 そんならちょいとなんとかする方法はあるんだ。一肌脱いでやろうじゃねぇか。 「プラス、言っちゃあ悪いが、お前の覚えられる技でそれ以上の威力を出せる技はもう無ぇ。例外として怒りの前歯があるが、どっちにしろタイプ一致で使えるのはその二つだけだ」 「怒りの前歯……強力だけど、電気タイプとして火力が無いのは変わらないわね」 「……」 「おっと、しょげるのはまだ早いぜ。なぁに簡単だ、その二つしか覚えられないなら、その二つを強力にすりゃあいいんだよ」 「え? 技を……強力にする?」 「それって、自分が強くなって技の威力を上げるって事ッスか?」 「いや、文字通りの意味さね。もっと正確に言えば、技を自己流にアレンジして強化するんだよ」 ははっ、フロスト以外は皆驚いてら。まぁ、基本的に技を弄くって強化するなんて発想は、野良だったりなんだったりしてないと考えないわな。 「し、師匠!? そんなこと出来るッスか!?」 「出来るぜ。そもそもソウとリィには何度も見せてると思うが?」 「……そうか、ライトの電磁波だ」 「当たり。本来の電磁波ってのは、自身の体全体から発した弱い電流を相手にそのままぶつけて麻痺させるって技だ」 「でもライトの使ってるのは前足だったり、体の何処か一箇所に電気を集めて凄いスピードで撃ち出すんだよね」 「え、そうなのー?」 「ま、聞くより見せた方がいいだろう。丁度いい的は……」 おや、キッチンの方から空き缶が一つ飛んできたぞ? ……なるほど、リィが気を利かせてくれたって事か。 そんならそいつを窓から庭の方へ出すようにリィに伝えた。ふむ、丁度いい感じで浮かせてくれてるんだから、きっちり決めていくか。 右前足を缶に向けて、左前足で固定。静止してるもんに当てるんだからまず外す事はねぇな。 足の先に電磁波を溜めて……撃つ! よし、命中。これ、実は狙撃に使えるくらい射程があったりすんだぜ。俺が目測出来る距離までになるけどな。 「おぉぉ! カッコいいッス!」 「あれ、電磁波なのー!? 電気ショックでも十万ボルトでもなくてー!?」 「あぁ。だから相手にダメージは当てられないが、外さなければ確実に相手を麻痺させられるぜ」 「収束電磁波だったっけ? 電磁波を集める……ライトは簡単にやってるけど、これって凄く難しいよね?」 「あいつにとってはどうか分からないけど、簡単な事じゃないのは確かね。ま、その理由は教えてくれる誰かが居ないからだけど」 これにゃ様々な知識が必要になってくるしな。どういう事が出来るか、どういう事をしたいかが自分の中に無いと改良も何も無いんだよ。 「分かったか? 技っていうのはこういう応用も出来るってこった。後は、自分の技をどういう風に使うかをイメージするのがコツだぜ」 「んー、でもそれって特殊技だけッスよね? 俺っち物理技しか無いッス……」 「確かに。だがな、それだって今話した技のカスタマイズ以外で強化する事が出来るぜ」 「ほ、本当ッスか!?」 「あぁ。技自体を変化させられないなら……別の技と組み合わせてやるのさ」 これは俺には出来ないが、出来る奴が近くに居るんだ。講師役をやってもらうとするかね。 「別の技と組み合わせる?」 「そう、自分の覚えてる技を同時に発動して新しい動きや効果を足してやるって感じだな」 「うぉぉ! 師匠はそんな事も出来るッスか!?」 「いんや、これが出来るのは……」 「……はぁ、こういう面倒な事になると思ってずっと隠してたのに」 「そう言うなって。ちょこっとやり方を話すだけでいいんだからよ」 「もしかしてフロスト姉ちゃんが出来るのー? 凄ーい」 プラスの一言が割と嬉しかったのか、片目でこっちをチラッと見た後、何処か嬉しそうにクスリと笑った。ははっ、やる気になったみたいだな。 「バレちゃったらしょうがないか。いいわ、二つの技を同時に発動する方法、教えてあげる。けど、出来るかは知らないわよ?」 「二つの技を同時に使う!? す、凄そうッス!」 「確かに威力は強力よ。でも、両方を完璧にコントロールしないと力の無駄使いにしかならないわ。あなた達に出来るかしら?」 「やってみないと分かんないッス! でも頑張るッスよ!」 「うん、僕も頑張る」 「僕も覚えるー」 「よろしい。それなら、まずはどんな物か見せるところから始めましょうか」 ……いや、ちょっ、なんでこっちに笑い掛けてくるんですかフロストさん。ほら、標的ならさっき俺が撃った空き缶があるではないですか。 「まずは、氷の飛礫と凍える風で氷の竜巻ってところかしら」 「ま、待て待て待て! うぉあだだだだ!」 「うぉぉ、師匠の周りを風が渦巻いて、それに氷の飛礫が舞ってるッス」 「うわぁ……ライト、大丈夫?」 いてぇし寒いし洒落にならんって! 加減を、加減をしろぉ! 「両方を組み合わせて、より強力な効果を生み出すって事?」 「そういう事。これの場合、凍える風に相手の周りを回るようにもしてるけどね」 「なるほど、技を放つだけじゃなくてコントロールするってこういう事なんだね」 「ゆ、悠長に説明してないでこれを止めろこれを!」 「大したダメージ受けてないんだからいいでしょ別に。さてお次は~」 まだする気かよ!? か、勘弁してくれ……。 ---- 「……ほらよ、ベッドマット。これで全部だろ」 「サンキュー、ライト。……なんか弱ってない?」 「気にすんな……」 あの後、前に見た白い抱擁って技も食らいました。凍える風と吹雪のミックス技な。流石にそんなもん喰らったら俺でも弱るってばよ……。 奴等なら、今は庭で新しい技を作る練習中だ。フロストもそれに付き合ってるから俺は完全にフリーになった訳だ。良いタイミングで応援要請が来たもんだぜ。 設置は奴等の仕事だし、俺はもう手伝わなくていいだろ。一休みするかな。 っと、下へ行くかな~と思ったら丁度レンの部屋の扉が開いた。そういや俺の寝易いように部屋を片付けるとか言ってたか……わざわざそんな事してくれなくてもよかったんだがな。 「あ、ライト……」 「よぉ。悪ぃな、俺なんかの為に部屋弄らせちまって」 「ううん、それは私が勝手にやるって言った事だから気にしないで」 「そうか? にしても、レンの部屋って散らかってなかったよな? 片付けるような事あったのか?」 「えっと……ちょっと見てみる?」 ふむ? 招かれたんなら入ってみるか。 ……ん? なんか部屋の物の配置が変わってるぞ。それに、窓際に離して置いてはあるがベッドが……二つある。 「どうかな? これなら私もライトもお外見れるよね?」 「いや、まぁ……確かに」 ま、まさかこんなに気合い入れて部屋の内装まで変えてるとは思わなんだ。ちょこっと俺の寝るスペースだけ空けてるもんだと思ってたんだがな。 「やり始めたらこうしようああしようって色々してね、こんな感じで落ち着いたの」 「ありがたいが、奴がリビングを占拠する数日間だけなのにここまでしてもらったらなんか悪い気がするな。本棚とか重かったろ?」 「私だってポケモン、ルカリオだもん。これくらいなら平気。……」 「どうした?」 「……あのねライト、もし良かったら……ご主人の勉強が終わった後も、この部屋を使ってくれないかな?」 な……いや、えぇ!? それは不味いだろ色々と! 数日でもかなり、って言うか限りなくアウトなのに! 「もちろんライトが嫌ならいいの。ベッドなんかを置いたのも私が勝手にやった事だし」 「いや、嫌な事は無いんだが……どうしたんだ、急に?」 レンは何やら落ち着きの無い事になってるし、俺としても内心穏やかではないんだが。 だって……なぁ? 俺だって牡だぞ? 牝と同じ部屋に寝泊りするとなると心中穏やかで居られねぇよ? 「えっとね? あの……ほら、ライトも皆が集まるリビング以外に居たいって思う事無い? そういう時に居れる場所があったらいいんじゃないかなーと思って」 「まぁ、そう思う事はあるが……レンとしても、牡の俺がそんな理由で部屋に居られると迷惑なんじゃねぇか? 俺の場合は他の奴を適当にあしらってればいいんだし」 「ライトの事が迷惑なんて思わないよ! むしろ、その……」 「むしろ?」 「一緒に居て欲しい、な。あぅ、その……ライトと一緒に過ごす朝の時間とか、凄く落ち着くんだよね」 うぉ!? いやその、そんな事を急に言われるとこっちとしても心の準備が無いからどういう顔すればいいか分からんぞ? いやまぁ、レンも俺との朝の時間にそんな感想を持っててくれたんなら嬉しいんだがな。 俺としてもレンと居られるのはその……ありがたいというかなんと言うか……嬉しい、けどな。 「あ、あの、どう、かな?」 「あっと……レンが良いって言うならその……世話になろうかな」 「ほ、ホント!? やったぁ!」 うぉっとと……レンに急に抱きつかれたからビックリしたぞ。胸のトゲに当たらないようにはしてくれたみたいだけどな。 ぺたんと座って、笑ってるレンの顔が本当に鼻先にある。困ったな……こういう時にどんな顔すればいいか分からんぞ。 まぁ、レンの顔見てる内に勝手に笑顔になっちまったし、それでいいか。こういう時って勝手に顔が緩むよなぁ。 「あ、でもこんな事ご主人とかに言ったらどんな顔されるだろ」 「あ、そういやそうだな。う~ん……まずレオは断固反対するだろうなぁ……」 「うぅ、折角ライトがいいって言ってくれたのにぃ……」 「とりあえず奴がリビングを占拠する数日はレンのところで過ごすって事だけ伝えりゃいいかね? それなら、そうなった原因は奴なんだしレオもがたがた言わないだろ」 「そうだね。その後の事は……」 「ま、その時に考えればいいんじゃねぇか? その間に何もなければ、レオも何も言わなくなるだろうし」 「うん、そうだね。ふふっ、それじゃここは、今日から私とライトの部屋だね。よろしくね」 ん~、レンも嬉しそうだし、まぁいっか。ベッドまで用意されてるのに断ったら逆に悪いしな。 「それにしても、ベッドとかも全部レンだけで用意したのか? 疲れただろ」 「そうでもないよ。それに、誰かに手伝ってもらったら事情も話さないとならなくなって、色々不味いと思ったから」 ごもっともだ。誰に話しても早急に家の中の連中に広がって緊急家内会議に発展しかねないぜ。 とりあえずこれからの寝床となるベッドの感じを試す為に乗ってみる事にした。レンは今使ってる自分の方に腰掛けてる。 うん、ソファーも悪くないが流石寝る為に作られた物だけあるな。良い感じだ。 「悪くないみたいだね」 「あぁ。しかし、なんでこの家こんなにベッドの予備があるんだ? さっきもリィの部屋になるところに運んだが」 「元々はご主人のお父さん達の手持ちの皆の為に用意したみたいなんだけど、殆ど使われる事も無いし置いておいても邪魔になるからって事で仕舞われてたんだよ」 なるほどねぇ……そんなら使われる事になった方がいいわな。 そんじゃま、折角の寝床なんだししばらく寛ぐとするかね。 「あ、ほらライト、皆が頑張ってるの見えるよ」 「ん? おぉ本当だな。さて、どんな技が出来上がるかね」 どういう事か聞いてきたレンにさっき会った事を話しつつ、庭で技を試してるプラス達を眺める。うん、窓から見える景色も良好そうだ。 また後で様子見に行ってやるとするかな。……今はまず、新しい寝床の環境に慣れるのが先だ。早くこのレンが近くに居る環境に慣れねばいかんなぁ。 ---- はい、通算14話目の新光、ついにレンとライトが同じ部屋で寝泊りするように! …でもそういうシーンが出てくるのはもっともっと先ですw どんなシーンかって? 言わせんな恥ずかしいw そして着実に、トレーナーの知らないところでハヤト家のポケモンはバトルスキルが上がっていっております。ハヤトがどんどん空気に……。 次回はまた主人公チェンジでございます。誰かは…言わないでおきましょう。それまで、御機嫌よう! 前話へは[[こちら>変わっても、変わらないさ]] 前話へは[[こちら>変わっても、変わらないさ]] 次話へは[[こちら>『強い』という意味]] #pcomment IP:119.25.118.131 TIME:"2013-07-17 (水) 20:58:42" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; Trident/6.0)"