---- ※注意書き※ 本作は第二回帰ってきた変態選手権の参加作品であり、特殊な官能表現を多く含みます。 以下ネタバレ。 &color(red,red){同性愛・器具を使ったプレイ・腹ボコ・覗きなど。}; ---- □ 長く険しい石段を登って振り返ると、薫風が吹き渡る中で波打つ緑の葉の海が、見渡す限りに広がっていた。 ヤグルマの森の南東奥深く、木々の中に隠れ潜むように佇むこの静かな丘は、心身を鍛えようとする者たちの修行の聖地として知られる場所だ。 天を覆う巨木の列と絡み合った茂みの狭間に刻まれた獣道を、森の静謐に吸い込まれそうな錯覚に囚われながらもゆっくりと進んでいく。 と、不意にその静謐が掻き乱された。 風の悪戯では明らかにあり得ないざわめきが、茂みの葉陰の向こうから妖しく沸き立ったのだ。 「いたな」 歩みを止めたトレーナーは、鋭い眼光で茂みの蠢きを射抜いた。 癖の強い黒髪を纏める真っ赤な鉢巻きを締め直し、雪色の道着から伸びた骨太な足で湿った大地に屹立して、腰を飾る黒帯に括り付けた2つのモンスターボールの片方を、猛禽の足を思わせる屈強な掌で掴み取ると、 「出番だ、&ruby(リツキ){立基};!!」 気合い一閃、正拳突きの要領で繰り出して、開放する。 瞬間、旋風を切って黒髪と鉢巻きを巻き上げ、大きな影が虚空へと舞い上がった。 悠然と宙で回転するそれは、ただの一本の棒だった。 巨木を直方体に切り出した、いわゆる〝角材〟である。長さは人の子供の背丈程、太さは大人の脚ほどもあろうか。 程なく角材は重力に誘われてトレーナーの目前へと降下し、その足下に立つ灰色の豪腕によってがっしりと受け止められる。 と同時に、角材の半分程度しかない矮躯の肩に、腰に、こめかみに浮き上がった血管が、どくり、と脈動する。 前髪のように飛び出した灰色の鶏冠の下で、トレーナーに負けず劣らず鋭く獰猛な双眸が、にやり、と不敵な笑みを浮かべた。 「さぁ修行だ。行ってこい!」 「押忍!!」 自信漲る態度で頷いた後、左肩だけで角材を軽々と抱え上げ、右手首に繊細な鎖で結わえ付けた白い卵形のキーホルダーを背後に突き出して見せながら、 「んじゃ、しっかり見てるっスよ!」 そう言い残して、ドッコラーの立基は揺れ続ける茂みの奥へと踏み込んで行った。 □ [[対戦フレッシャー>狸吉]]の[[第二回帰ってきた変態選手権>第二回帰ってきた変態選手権のお知らせ]]参加作品 『からたち島の恋のうた』豊穣編 ~何事も経験値~ □ 角材の先で絡み合った枝葉を切り分けるように道を開き、立基はざわめきの中心を目指して突き進む。 さしたる間もなく、薮を揺らしていた主が姿を現した。 「あら、いらっしゃぁい」 全体的に&ruby(モモン){桃};色の曲線的でふくよかな体格、口元から胸元を通って下腹へと繋がるラインにはクリーム色の柔らかそうな産毛が茂る。円らな瞳と大きな耳が特徴的なポケモン、タブンネ。 茂みの中心を成す木に寄りかかって身体ごと揺すりながら、タブンネは穏やかな微笑みと角のない声で来訪者を迎えた。 「まぁまぁ、元気そうな坊やだねぇ。その様子だと、こういうところに来るのは初めてかい?」 「坊やじゃないっス! オラ、空手王トレーナー&ruby(マサミ){征己};に師事するドッコラーの立基ってもんだっス!」 「へぇ、リッキー君っていうんだね。勇ましげな名前がよくお似合いの若武者さんだ」 息を荒くして上気しながらも、あくまで緊張感のないのんびりとした調子で応えるタブンネ。一方の立基は対照的に闘志で全身を緊張させ、角材を高く構えて睨みつける。 「『揺れる草むらにいるタブンネは、いい経験を積ませてくれる』と噂に聞いて探していたんだっス。いざ尋常に、オラと稽古をしてもらうっス!!」 「あぁいいとも。どこからでもかかってらっしゃいな」 立基の威勢に怯む様子も見せず、タブンネはおもむろに立ち上がると、両腕を広げて無防備に佇む。 「それじゃ、遠慮なく行くっスよ! たぁーーーーっ!!」 立基は雄叫びを上げながら、角材を振りかざして一直線に突撃した。 桃色の柔らかそうな身体に、角材が容赦なく叩き付けられる―――― と見えた刹那、タブンネの太い腕が静かに跳ね上がり、軽い仕草で角材をいなした。 「え……っ!?」 勢い余った立基は、全身で真正面からタブンネに衝突する。 弾みで手から離れた角材が、固い音を立てて地面に転がった。 ぶつかってもつれ合った姿勢のまま、2匹はその場へと倒れ込む。 「わぷっ!?」 ぷわんたゆんと弾力に富んだ豊満な胸の上に、立基は顔を埋める形で覆い被さった。 「う~ん、小さくってもさすがは格闘タイプだねぇ。大したパワーだよ」 感心の言葉とは裏腹に、さして動じた様子もない余裕の態度を見せるタブンネ。 と、その耳が大きく広げられ、耳朶から伸びた触手がしゅるしゅると立基に絡みつく。 「!? ちょ、ちょっと何するっスか!?」 驚いて逃れようとする立基だったが、もっちりぷにぷにとたわむ足場の上では思うように動けない。そうこうしているうちに触手は立基の胸元や脇に這いずって、敏感な部分をまさぐり出した。 「ひゃあっ!? や、やめるっス、真面目に戦うっスよ!? これじゃ修行にならないっスよ!?」 たまらず抗議の悲鳴が裏返ったが、触手は構うことなく灰色の四肢を弄び続ける。 「本当に何にも知らないんだね。これがあたしたちの修行なんだよ。いいからお姉さんに任せとき」 「ふ、ふわあぁっ!? お師匠おぉぉぉぉっ! たたた助けてくれっス!?」 「狼狽えるな、立基!!」 薮の外から、征己師匠の激が葉を震わせて飛んできた。 「タブンネの言う通り、正しくそれこそが今日お前が受けるべき修行なのだ! まずは心を落ち着け、ひと時タブンネに身を委ねるがいい!」 「ええぇっ!? ど、どういうことっスか!? バトルの修行しにきたんじゃなかったっスか!?」 「もちろんバトルの修行だとも。ポケモンたるもの、殴り合い撃ち合いばかりがバトルではない。生き物として過ごす日々、その全てに精進すべき場面があるのだぞ! 当然――」 なぜか数瞬言い澱み、小さな咳払いの後で師匠は続けた。 「睦言の技もまた然り、という事だ!」 かくん。 立基の顎が、下に敷いているタブンネの胸にめり込まんばかりの勢いで落下した。 「む、むつごと? 睦言って…………えええっ!? 何なんスかそれ、聞いてないっスよ!? 」 「何を言う? 『草むらのタブンネは、たくさん経験を積ませてくれる優しいポケモン』だと、麓のシッポウシティのポケモンセンターで聞いたであろうが。殴り合い撃ち合いの修行ならば〝優しい〟などと呼ばれておるはずはなかろう」 「いや、それはそうかもしれないっスけど、だからって何だっていきなりこんなえっちな修行って話になるんスか!? ワケ分かんないっスよ!?」 「例えばお前とて、異性を魅惑して籠絡するメロメロの技を使うこともあろう。それに、誘惑や甘える、天使の&ruby(キッス){接吻};に悪魔の&ruby(キッス){唇辱};など、性的な技を仕掛けられて耐えねばならぬ場面もあるやもしれぬ。 そのような場面に備え、日頃から技を研鑽しておかねばならぬということだ!」 「だぁったら初めっからそういう修行だって教えてくれればいいじゃないっスかあぁぁ~っ!?」 「ポケモンたるもの、教えられんでもそれぐらい理解しておれ恥ずかしい! 育て屋に預けた者を見ろ、何も言われんでもしっかり経験を重ねた末に、終いにはタマゴまで作りおるわ!!」 「うぁ…………」 完全無欠な説得力だった。 これは納得するしかない。 「ということさ。分かったかいリッキー君?」 さながら反転世界で迷子になったかの如く途方に暮れていた立基がその声に振り返ると、桃色の大きな微笑みが頷いていた。 「茂みを揺らすのはね、あたしらが&ruby(はつじょうき){いい日};だって知らせるためだよ。こうやって、他のポケモンたちがオトナになるためのお手伝いをするのがあたしらの仕事であり、一番の楽しみでもあるのさ。だからリッキー君も、遠慮なく楽しんでくれていいんだよ?」 「ちょ、ちょ、ちょっと待つっス!?」 雄なら誰しも願ったりな状況なのだと知らされても、立基はますます困惑を加速させるばかりであった。無理もないが。 「あらあら、まったくウブだねぇこの仔は。大方雌の仔とこういう事をした経験もないんだろ?」 「いや、実は経験がないわけでもないんスけど…………いやいやいやいや!! 雌の仔となんて、そんなのあるわけないっスよ!? 何を言ってるんスか!?」 「やっぱりねぇ。心配なんかしなくていいよ。あたしに任せておけば、すぐにその気にさせてあげるから。その後は勢いのままリッキー君の好きにすればいいだけさ。多分ね」 「だあぁぁぁぁ! 違う違う違あぁぁぁぁぁぁ~う!!」 「まぁまぁ、今の『多分ね』っていうのはただのお約束だよ。そんなに全力で否定しなくてもいいじゃないのさ」 「そうじゃないっス! タブンネさんは根本的な勘違いをしてるっスよ!!」 「あぁ、種族の違いだったら気にする事はないよ。なにも恋愛しようってわけじゃなし、あくまでもただ修行をするだけなんだからね。気軽に行こうよ気軽に」 「そこでもないっス! ちゃんと聞いて欲しいっスよ! 初めっから言ってるじゃないっスか、オラは坊やなんかじゃムグググッ!?」 ほわわんと膨らんだ胸に顔を押し付けられて、立基の口は遮られた。 「ったくもう、オトナ扱いして欲しいんだったら、まずは一発決めて見せてからにするんだね」 「むあ……ちが、ひゃめぇ…………」 パフパフと顔を覆う感触に加え、上体を蹂躙する触手に攻め上げられて、もう悶え声しか上がらない。 更に追い込むべく、立基の矮躯を押さえ込んでいた手が撫で下ろされ、尻へと掛けられた。 「ひあ、そこ、あぅえ、あんぁ……」 尻から太股にかけてゆったりと指を回した後、震える下肢を捕らえて小さく開かせる。 2本の触手が&ruby(アーボ){毒蛇};のようにうねり、目的地へと奔った。 一本は背筋を伝い尻の谷間を割って。 もう一本は内股を這い上がって正面から。 その交錯点に潜んでいる獲物を捕らえんと、一気に襲いかかり―――――――― 「っ…………きゃあぁんっ!?」 仰け反った立基が放った、思いの他に可愛らしい悲鳴と、 「……………………あら」 捕らえた〝獲物〟の感触で、ようやくタブンネは根本的な勘違いを理解した様であった。 □ 盛大に笑い転げる音が、外から葉を揺さぶって伝わってくる。 師匠の声だろう。 ……多分ね。 「あらあらまぁまぁ、嫌だよあたしったら! 名前も身形もあんまり勇まし気だから、てっきり坊やなもんだとばっかり……ごめんね?」 ドッコラーの雌は珍しく、なかなか見かけるものではない。タブンネが判らなかったのも仕方がないと言える。 寝そべったタブンネの腹の上で自らの股間を押さえながらうずくまっていた立基だったが、やがて涙ぐんだ恨めしげな顔を上げた。 「『立基』っていうのは、夫となる雄を〝立〟てる〝基〟礎となる雌であれ、ってお師匠が付けてくれた名前っス。ちゃんと雌の仔らしい名前っスよ」 とはいえ、雄と間違えられたのは何も名前と種族のせいだけではないのだろうが。 「そうだったんだねぇ。ほんと悪かったよ。でも、随分と古風な考え方をするお師匠さんなんだねぇ」 「断っておくっスけど、男尊女卑的な意味は全くないっス。むしろ支えられるような強い存在になれって事っスし、お師匠自身そういう人間でありたいそうっスから」 「はぁ~、なるほどねぇ。そういう言われ方をするなら…………」 言いかけて、しばしの沈黙の後。 「……えぇっと、リッキー……じゃなかった、立基ちゃんのお師匠さんって、あの空手王さんだよねぇ? 今の話からするとつまり…………」 殺しきれない苦笑いが、また外から草葉を騒がせた。 今度は征己師匠の声で間違いない。 「バトルガールなんて柄じゃないから、ああいう格好をしてるんだそうっスよ。今時男の保育士((BW2に登場するエナツ。男性主人公の時、ライモンシティの観覧車イベントで会うことができる。))だっているぐらいっスから、女の空手王がいたっておかしいことは何にもないっス」 ちなみに、そんな師匠ではあるが女らしい格好をしたときはわりと見られる方だったりする。 「いやはや、最近は色々な人がいるもんだ。そうかい、立基ちゃんがそんなに雄勝りなのは、お師匠さんの影響ってわけかい」 「その通りっス!!」 と、どさくさに紛れた大嘘で師匠に責任を押し付ける立基であった。実際にはゲットされる前の野生時代から既にオラっ娘だったのである。似たもの同士気が合ったというだけの話だ。 「まぁそんなわけで、雌同士なんだからどんなにメロメロされたところでその気もどの気も起こるわけないっスよ。それじゃ、そういう事で」 やれやれ、と溜め息を吐きつつ退散しようとした立基だったが、 「うん、そういう事なら仕方ないね、それで、上と下のどっちでヤるんだい?」 あっさりと継続を伝えられ、再びタブンネの胸に突っ伏す事となった。 「ヤるんっスかあぁぁぁぁぁぁっ!? 雌同士っスよ!?」 「だから、あくまでもただの修行なんだって。種族が違おうが性別が同じだろうが気にするこたぁないよ。楽しみ方なんていくらでもあるんだ。この機会に覚えておいきよ」 「いやあぁんっ!? お師匠ぉ、せめて『見られながら』っていうのは勘弁してくれっス! オラ恥ずかしいっスよ!!」 「立基、お前先刻 『しっかり見ていろ』と言い残して飛び込んでいったのではなかったか?」 「あたしもこの大きな耳でしかと聞いてたよ。正しくは『しっかり見てるっスよ!』だったんじゃなかったかねぇ。多分ね」 「タブンネにも聞かれていては言い逃れはできんな。いかにこういう修行だと知らなかったとはいえ、武士に二言は許さぬぞ?」 「ふぇ……そんなぁ…………」 最早四面楚歌。立基はしばらく肩を落として視線を宙に泳がせていた。 「それで、どっちだい? 上か、下か」 「う……上、でお願いするっス…………」 とほほ、と言わんばかりに渋々と力のない応えが示された。 下になって一方的に弄ばれるより、まだ主導権を維持できた方がマシだと考えたのだろう。 よい判断である。 これでこそ修行になるというものだ。 □ 「あ、あぅ、はぁ……んっ」 マシュマロのように柔らかな胸を、小さな掌が撫でさする。 産毛の下から現れたほのかに色付く吸い口に、唇を寄せ軽く咥えて舌先を這わせると、丸い身体がふるふると揺れて甘い喘ぎが漏れ落ちた。 「うふふ、なかなか上手じゃないか。そういえばさっき言ってたねえ。『雌の仔としたことがないだけで、経験がないわけじゃない』って。ってことは何だい、普通に雄の仔と経験済みだったってことかい」 「一応……不肖の、卑下抜きで不肖の兄弟子にイタズラされて教えられたんだっス」 「恋ポケかい?」 「悪い冗談っス! 馬鹿でスケベでろくでなしのチンチラ野郎っスよ。そもそも種族違いっスけど、同じだったらと思うとゾッとするっス! アレの方だって、くすぐりばっかりに時間を費やして、いざ本番となるとすぐ弾切れになる有様でどうしようもない下手クソなんっスよ!? エロエロボディというより、あれは単にテクニシャンじゃないだけって感じっス!!」 何を言っているのかさっぱり解らない。メロメロボディをエロエロボディとか言っている辺り、興奮と混乱で呂律が回らなくなっているのだろう。 「ほらごらん。普段から技と心を鍛えておかないから、イタズラされても対処できないし、折角のいいことも気持ち良くできないんだよ。下手なことに怒っているって事は、立基ちゃんも満更興味がないってわけでもないんだろ?」 タブンネの指摘に頬を染めつつも、仏頂面で俯く立基。即座に否定しなかった時点で肯定したも同然である。 「ね。だから雌を磨かないといけないんだよ。心を鍛えて兄弟子さんのイタズラを突っぱねるもよし、技を鍛えてこっちから楽しんでやるもよし。主導権さえ握れる様になればこっちのもんさ。多分ね。雌っぷりを上げた立基ちゃんを見せつけて驚かせておやりよ」 「いやその……驚かせようにも、兄弟子は今……勉強中、なんっス…………」 「!? おやまぁ、そういう事だったのかい……」 立基が師匠の方を指し示して言った言葉に、納得した表情を見せるタブンネ。さすがはこの道のベテラン、トレーナーのポケモンたちの事情にも精通しているようだ。 「だったら、ますますここで頑張らなきゃねぇ。いつまでも下手なイタズラをされるばっかりじゃイヤだろ? 上手なお手本を示して、いい勉強をさせてやらなきゃね」 タブンネの言葉に、薮の外の師匠も頷いた。 「と、いうことだ立基。お前が考えられる最高級の雄の技を想像して見ろ。半端な雄では真似できないぐらいの技をな。そしてそれを、タブンネの身に叩き込んで見せよ。それがどちらにとっても何よりの修行になる」 「さ、最高の雄の技なんて、いきなりそんなの想像しろとか言われても……」 戸惑う腕を、タブンネが取って誘う。 「そんな事は、コトを進めながらゆっくりと考えりゃいいんだよ。多分ね。さぁ、話が決まったところで続き続き……おや?」 掴んだ立基の手首を覗き込んで、タブンネは嬉しそうに顔を輝かせた。 「あらあらまぁ! あんた、こんないいモノを持っていたのかい?」 どうやら、茂みに入る前に立基が身に付けた、卵型のキーホルダーの事を言っているようである。 「あぁ、幸せタマゴっスか。お師匠に持たされたんっスよ。手首に付けていると、タマゴから出る微弱な振動が神経を刺激して肉体の成長を促進させるんだとかで」 「ふふふふ、これの使い道はそれだけじゃないのさ。ちょっと貸してご覧」 立基から幸せタマゴを受け取ると、タブンネは器用な手付きでタマゴを真ん中から捻った。 ブウゥゥゥ……ンと虫の翅音のような鈍い音色を奏でて、幸せタマゴが激しく振動する。 するとタブンネは、摘まんだそのタマゴの先端を、立基の胸元へと押し付けた。 「……!? んあぁああっ!?」 嬌声と共に、後頭部から下げられた房が飛び跳ねる。 「どうだい、気持ちいいだろう? タマゴ作りを幸せに行うための道具だから〝幸せタマゴ〟っていうんだよ。成長促進の方が副次的な効果だったりするのさ。多分ね」 得意げに知識を披露しながら、タブンネは鳴動する幸せタマゴを立基の身体の上に走らせていく。 しかし、ポケモン用とはいえ人間が作った道具を、野生ポケモンの身で知っているばかりか使いこなしさえするとは。このタブンネ、これまで一体どれ程多くのトレーナーのポケモンをしごき上げてきたのだろうか。最早ベテランを通り越してエキスパートと呼んだ方が彼女には相応しいかも知れない。 「んあ、ぁあああっ、ひあぁぁぁぁ……っ」 かつて感じたことのない快感に襲われ、立基は激しく身悶えする。 その痴態に煽られるように、幸せタマゴは立基の身体を弄び続けた。 「ぎぃうぅっ!!」 唐突に、立基の身体が一際激しく震え上がった。 腰から腿へとかけて浮かんだ血管の上に、タマゴが接触した瞬間だった。 「あらまぁ、急所を見つけちゃったよ。ふふふふ…………」 そのまま血管の上をなぞるように、容赦のない責めが下される。 「ううう嘘っス!? こんなの、初めて…………ああああああっ!?」 彼女自身もそこが急所だとは知らなかったのだろう場所に未知の衝撃を受けて、とうとう立基は限界を突破した。 「あっ!? あぁっ!? ああぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ~っ!?」 四肢を戦慄かせ、陰門から透明な飛沫を激しく噴出させて、立基はタブンネの腹の上で果てた。 クリーム色の産毛に滲みていく立基の潮を満足げな表情で味わっていたタブンネだったが、しばらくして「あ」と困ったような声を上げた。 「あ~、あらやだ、あたしったらまたついやっちゃったよ。ごめんね。立基ちゃんが上なんだから攻めさせてあげないといけなかったのにね」 苦笑いしつつ、タブンネはぐったりと陶酔している立基を抱き寄せて、癒しの力を込めた吐息をそっと吹きかける。 「あぁ…………」 「リフレッシュしたろ? さぁ、今度こそ気持ち良くしておくれよ」 息を吹き返した立基の手首に、半ば強引に再び幸せタマゴが括り付けられた。 なすすべなくイかされてしまった羞恥心からかグッと口をつぐんだままでいた立基だったが、小さく肩を竦めて開き直り気味にタマゴを捻ると、タブンネの胸に転がし始めた。 「あぁ、あああっ、うん、いいよ、その調子だ……」 灰色の掌が音を立てて滑る度、桃色の肢体にさざ波が踊る。 タブンネの汗とも、先刻立基が漏らした潮ともつかぬ雫が滴り落ちて地面を濡らしていく。 立基の方も気分が乗ってきたようで、胸元から脇へ、腹へ、そして下肢へと次々に快楽を刻んでいった。 外から内へと指を巡らし、鳴き踊るタマゴで押し流すようにタブンネの脚を開かせて、ついに股間の秘所を露わにする。 だが、立基の手がそこへと伸びるより早く、タブンネは開かされた脚を立基の腰に回し、絡め取って自らの股間へと招き入れた。 「た、タブンネさん!?」 「立基ちゃんが上手に撫でてくれるもんだから、あたしも辛抱できなくなっちゃったよ……一緒に気持ち良くなろうよ。ねぇ?」 耳の触手が立基の身体を抱き寄せ、先刻判明した急所である腰の血管を撫でさする。 「ううあ……っ!?」 反射的に仰け反った立基は、それによって更に深くタブンネと絡み合う。 脚と脚とがもつれ合い、しとどに塗れた雌同士が、ぐちゅり、ぐちゅりと淫猥な音を立ててぶつかった。 「あっ、んぁいいっ!?」 無理に引きずり込まれる形になった立基はその拍子にバランスを崩し、手を宙に躍らせる。 その弾みで、幸せタマゴが外れて落ちた。 虚しく鼓動を奏でる白いタマゴは、タブンネのクリーム色の腹に跳ね返って転がり、吸い込まれるように脚の間へと、塗れて触れ合う熱い真芯の間へと―――― 「びぐあぅぐぁあぁあぁあぁぁぁぁっ!?」 大爆発でも巻き起こったかのように、立基の身体が吹き飛んだ。 タブンネの腕と触手をもぎ取らんばかりの勢いで振りほどき、砕けた腰でへたり込む。 「っあ、あ、ぁああ……っ」 衝撃の余りの激しさから咄嗟に腰を引いてしまったためにギリギリでイきそびれたらしい。陰門の頂点を結ぶ軸が赤く勃起したまま快楽を求めて震えている。しかし立基は指一本動かす気力も持てないまま、涙と涎に塗れて悶えていた。 □ 「何だい……やめちまうのかい?」 タブンネは息こそ激しく乱していたがまだまだ余裕がたっぷりと伺える表情で、こぼれ落ちた幸せタマゴを拾ってなおも立基に誘いをかける。 「ほら、今みたいに2匹でタマゴを挟んで楽しもうよ。あたしはまだ、全然イっていないんだよ?」 「も、もう勘弁して欲しいっス……」 応える立基の声には、怯えさえ滲んでいた。 「タブンネさんがイくまであんなこと続けたりしたら、オラ何回イったって足んないっスよぉ……」 「だらしないねぇ。そんなにあっけなく弾切れになっちゃうんじゃ兄弟子さんと同じじゃないか。雌を磨いて見せなくってもいいのかい?」 「磨くっていったって……オラなんかじゃ、とてもタブンネさんには適いっごないっズ…………」 嗚咽が混ざり、声を更に濁らせる。大きすぎる壁を前にして、心が挫けつつあるのだろう。 その様子を見たタブンネは残念そうに眼を伏せ、突き放すように言った。 「諦めるんならもういいさ。幸せタマゴを自分の股座に突っ込んで勝手に終わっとくれ。欲求不満は他のポケモンに解消して貰うとするよ」 「あ、あきらめ…………」 差し出された触手の先の幸せタマゴに、覇気を失った手がふらふらと伸びる。 背後でモンスターボールの起動音がした。 師匠ももう限界と見て、タマゴを受け取り次第立基を回収するつもりなのだ。 そうすればこれ以上の屈辱は晒さずに済む。辛い修行はそれで終わる。 けれど、 「たく、ないっス……負けたく、ないっス!!」 伸ばしかけた手を握り締め、立基は涙を拭って立ち上がった。 彼女の根性はまだ、潰えてはいなかった。 「ならば考えろ、立基! どうすればいいか!!」 ボールを帯に戻し、征己師匠は檄を飛ばして再燃した立基の根性を煽り立てる。 「そのタブンネも言っておったであろう! 『楽しみ方なんていくらでもある』と! 正面からまともに組み合ったのではタブンネに適わぬと解ったならば、相手をより効果的に攻め立て、かつ自らも満足を得られる手段を考え出すのだ! ドッコラーであるお前ならではの方法が必ずあるはずだ。自分を信じろ、立基!!」 「ドッコラーである……オラを、信じる…………!?」 数瞬、漆黒の双眸が闇の中を彷徨い、 「……………………!!」 そして、光明を見いだした。 イき場を失い滞っていた熱情の奔流が、見る見るうちに立基の全身を駆け巡って、四肢に浮き上がった血管を激しく沸き立たせていく。 「タブンネさん……!」 覇気を取り戻した手が、今度こそ触手から幸せタマゴを掴み取った。 「覚悟してもらうっス! 今すぐオラの〝雄〟をぶち込んで、腰抜かすぐらいイかせてやるっスからね!!」 力強く宣言した立基は、足下に転がっていたそれを掴み上げる。 天を突いて立たされたそれは、一本の角材だった。 先刻ことが始まって以来立基の手を離れていた、彼女愛用の太くて長い角材だった。 近くの薮から蔦を引きちぎり、幸せタマゴの鎖に絡めて角材に巻き付け、堅く、固く結び止める。 そして角材を跨ぎ、深々と挟み込んで。 斜めに抱いた角材の一辺を、自らの陰門へと割り込むようにあてがいながら。 幸せタマゴを一気に捻り、振動のレベルを最大値まで引き上げた。 「ぐ…………っ!」 背筋を駆け上る激震に危うく飲み込まれそうになる間際、必死に歯を食いしばって堪え凌ぎ、立基はそのまま唇の端を吊り上げて笑ってみせた。 今や彼女は、〝雌〟ではなかった。 股間から猛々しく逞しい角材を隆々とそそり立たせた、それはそれは堂々たる〝雄〟そのものの姿だった。 「見事…………!!」 見守る征己師匠が、感嘆の唸りを上げる。 タブンネもまたうっとりと目を細め、脚を一杯に開いて滾々と愛液を湛える秘所をさらけ出すと、向かい合う雄に誘いをかけた。 「おいで」 導かれるままに。 「ぬおおおおおおおおっ!!」 雄と化した立基は、震える角材の先端をタブンネの秘所へと向け、気合いを込めて力一杯腰を突き入れた。 「むん…………っ!!」 尖った頂点が秘所を割って押し開いていく、その感触にさしものタブンネも苦しげな呻きを上げる。 ふくよかなタブンネの身体と比べてさえ、その胎内に侵入するには余りにも巨大に過ぎるかに見えた角材だったが、括り付けられた幸せタマゴが愛液を掻き立てて引き起こした波に乗り、立基の腰使いと共にズブリ、ズブリとめり込んでいく。 「すご……い……凄いよ、立基ちゃん……あぁ……太い…………」 はち切れるのではないかと思えるほどに入り口を拡張され、丸い腹が角を立てて盛り上がるほどに深々と角材を突き入れられながらも、タブンネは至福の笑みを浮かべてそれを受け入れていた。 「まだまだ……もっと激しく行くっスよ!」 高揚感が迸る声を上げて、立基は角材を支える股に力を加え、上下左右に揺さぶりをかけた。 「んあっ! ぐっ! ひぎぃぃぃぃっ!!」 ミシミシ、とタブンネの股間が音を立てて軋み、盛り上がった腹が内包物に暴れられて蠢く。悲鳴混じりの嬌声が喉笛から溢れ出る。 これ以上続けたらタブンネが壊れてしまうのではないか――そう思える様相だったが、それでも立基は躊躇することなく遮二無二腰を繰り出し続けた。 そして、一際深く角材が突き込まれた時。 「!?」 角材の中腹で身を震わし続けていた幸せタマゴが、直接タブンネの押し広げられた粘膜を叩いた。 「ぁああああ゛っ!?」 身を捩って苦悶の声を上げるタブンネ。 ここぞとばかりに、立基は腰を巧みに使い、幸せタマゴでタブンネの秘所を擦るように角材を躍動させる。 「あっ、んぐぁっ!? あぁ、効果……ばつぐんっ、すぎ……あっ!? イきそう、イく、イくイくっ!?」 刹那、クリーム色の脚が指先までピン、と張り詰めて、そして。 「あ゛あぁあぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!?」 絶叫と共にタブンネの身体が痙攣した。 角材を咥え込んだ秘所がドクドクと脈動し、大量の愛液を噴出させる。 その流れに揉まれた角材が屹立し、立基の股間を押し上げた。 「ぅうあっ!? ああああぁぁぁぁあぁっ!?」 幸せタマゴの響きとタブンネの喜悦が伝わる角材に陰門を圧迫され、立基も再びの絶頂を迎える。 角材が2匹分の潮ですっかりビショビショに染まったが、それでも彼女たちは止まろうとしなかった。 「いいよ……いい……ああっ!? もっと、もっとォ!!」 「あああ、オラ、オラまたイきそうっス……ぁああああ~っ!!」 射精という終止符を知らない雌たちの官能の狂想曲は、やがて疲れ果てた立基が&ruby(タクト){角材};を振るのをやめるまで、幾度も幾度も頂点を越えながら奏で続けられたのだった。 □ 一戦を終え、立基はまた腰を下ろしてへたり込んでいた。 けれど先程とは違い、その表情は修行を成し遂げた悦びに満ち溢れていた。 「あたしの負けだよ。いい雄っぷりだったねぇ…………」 恍惚とした囁きと共に、リフレッシュの吐息が立基の身体を包む。 「えへへ…………」 照れ臭そうに笑いながら、立基は濡れた角材を手に起き上がった。 タブンネもイき疲れた身体を背伸びさせて立ち上がり、立基の肩を叩いて祝福した。 「頑張りなよ。このあたしをここまでイかせたんだ。もうどんな相手でも恐れることはないさ。多分ね。自信を持って行きな! 下手クソな兄弟子さんにも宜しく言っといておくれよ!!」 「押忍! 本日はお相手、ありがとうございました!!」 作法に則って丁寧に礼をする立基。背後では征己師匠も、足を揃えてタブンネに頭を下げていた。 タブンネは満足しきった微笑みでその礼に応え、踵を返して薮の向こうへと去っていった。 □ 桃色の背中が完全に見えなくなった後で、〝装置〟の接続スイッチを切る。 たちまち薮の中の光景が闇へと消えた。 眼を開ければ、そこは身に馴染んだ自分のモンスターボールの中で、窓の向こうを見上げると振り向いた征己師匠の視線がこちらを向いていた。 「勉強になったか? &ruby(ギンシロウ){銀視朗};」 「ぐふぐふぐふ、そりゃもうバッチリ!!」 師匠の問いに会心の応えを返し、俺はボールから飛び出した。 頭に被せられていた、仲間が見聞きしている感覚を共有するための機械――学習装置を取り外してもらうと、火照った頬に涼やかな風が当たって実に心地がいい。 まったく、&ruby(ピンクローター){幸せタマゴ};といい、この&ruby(のぞきみ){学習};装置といい、つくづく人間はポケモンのためになる素晴らしい道具を作ってくれるものだ。 乱れた飾り毛を整えながら、立基が眼球を介して見せてくれた素晴らしくも官能的な場面を追想して浸っていると、突然衝撃が後頭部に落ちて火花と甘い香りを撒き散らした。 「づあっ!? こ、こら立基、そういうモノが付いたヤツで飾り毛を殴るな! どうせなら顔面に付けてくれプリーズ……ぶごっ!?」 聞き分けのいい妹弟子は、ちゃんと俺の希望通り、まだ愛液の香りを濃密に漂わせている角材で顔面を殴ってくれた。横殴りでなければもっと良かったのだが。 「銀兄ぃぃっ! この性悪チラチーノめ! よくもオラが雄と間違えられた時にボールの中でゲラゲラ馬鹿笑いしてくれたっスね!? こっちまで聞こえてたっスよ!!」 「るっせぇ! そういうお前だって、俺にイタズラされただの、馬鹿でスケベでろくでなしのチンチラ野郎だの、テクニシャンじゃないだけのどうしようもない下手クソだのとあることないこと言いふらしやがったくせに!!」 「全部あることじゃないっスか! 差し当たって、リアルタイムでチンチラ野郎なのは今すぐどうにかして欲しいっス!!」 慌てて指摘された場所を飾り毛でガードした。いやぁん。 「こういう所をしっかり見ているお前がスケベとか言えた口か! 仕方ねーだろあんだけエロいプレイ見せつけられちまったら納まりなんぞ付かんわ!!」 「へぇ、オラの体を張ったお手本がそんなに勉強になったって言うんなら、今後は精々頑張って雄を磨くことっスね。もっとも、オラは付き合ってなんかあげないっスけどね!」 黒い鼻を高々と掲げながら小さな胸を張る立基。まったくもって腹立たしい。つーか腹勃たしい。 「余計なお世話だ! たった一発巧くやれたからっていい気になりやがって。次は俺がタブンネに挑む番だからな。モノ本の雄捌きってもんを教えてやるから見てやがれよ!!」 「面白いっス。速攻打ち止めにならないタネマシンガンが銀兄に打てるって言うんなら是非見せて貰いたいっス!!」 「聞き苦しい言い争いはそこまでだ。銀視朗、その見せる機会が早々に巡って来たぞ」 割って入った師匠の声に振り向くと、程遠くない場所の茂みが妖しくざわついていた。何ともまぁ、盛んな森なこった。 「押忍! へへっ、つーことで今度はお前がしっかり見てな!!」 「もうオチは見えてるっスけどね。どうせ銀兄が飛び込んだら雄のタブンネが出てくるんスよ。多分ね」 師匠に学習装置を被せてもらいながら、立基がドヤ顔で決めつける。 入れ替わりに受け取った幸せタマゴを手首に巻き付け、俺も負けじと言い返した。 「ハッそれはそれで! &ruby(しゅどう){衆道};((男色の事。))だって大事な経験よ! 雄同士どんとぶつかったる!!」 ま、雌であるに越したことはないが、実際タブンネなら雄でも十分可愛いし、くすぐり倒して悶えさせるのも悪くはない。 「そんじゃオラも腐女子の端くれとして楽しませてもらうっスよ。銀兄が掘られるところをね」 「そーやって今のうちに舐めたこと言ってろ! 俺の雄っぷりを勉強してもらった後で、たっぷり尻尾を舐めさせてやるからな!!」 景気よく言い捨てて、俺は純白の尻尾をパンパンに漲らせながら、揺れる茂みの奥へとひとっ跳びにダイブした。 「いざ! 尋常にしょ~~~~ぶっ!!」 □ 「ぶげっ!?」 緑のベールを突き抜けた向こうで、硬く張り詰めた肉の壁に顔面からぶち当たる。 あれ、ばよぇんってこない。何故だろう。 眼を瞬かせて見直すと、桃色の胸が広がっていた。やっぱりタブンネ……だよな? 戸惑う俺の肩が、大きな掌に掴まれた。 ごっつい掌で、力一杯掴まれた。 その掌につながる腕には、師匠が着ている道着によく似た袖が巻かれていた。タブンネが何で道着なんか。 恐る恐る顔を上げてみる。 木漏れ日に映し出された肌の色は、よくよく見直せば&ruby(モモン){桃};色というより、ヨプの実のような濃いめの赤だった。 何故だろう。今無性にヨプの実が食べたい。 更に視線を上げれば、爽やかな笑顔が注がれていた。 眉が眉間で繋がって、鼻筋に沿ってTの字を描いている真っ赤な笑顔が。 …………違うじゃん。 「な…………っ!?」 「君の挑戦を待っていたっ!!」 暑苦しくも雄臭い闘気を全開にして、そいつは歓喜の声を上げた。 「先刻外で放った『柔道だって大事な経験、雄同士どんとぶつかったる!!』という気合いの篭もった宣言、しかと聞いた! 望み通り全力でお相手いたそう!!」 「げえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」 誤解を指摘する間もなく。 袖にしがみつく間すらなく。 既に世界は、ひっくり返っていた。 「きひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」 空が落ちる。丘が跳ねる。森の木々が渦を巻く。 「キャハハハハ! 凄いっス! 絶叫マシンってこんな感じなんスっかねぇ!?」 憎たらしい馬鹿笑いが、ぐるぐる回って耳に届いた。どちくしょうめ。 「しっ師匠ぉ~つ!? 助けてくれぇっ!? これじゃ修行どころじゃねー!!」 「馬鹿者! これこそ修行ではないか。何を言っておる!?」 呆れかえった師匠の声が、風と一緒に吹っ飛んでいった、 「目先の欲に駆られて勇み足をするから痛い目を見るということだ。しばらく揉まれてその身に染み込ませるがいい。何事も経験だ!」 ~完~ ---- ※ノベルチェッカー結果 【作品名】 何事も経験値 【原稿用紙(20×20行)】 45.9(枚) 【総文字数】 14564(字) 【行数】 389(行) 【台詞:地の文】 45:54(%)|6601:7963(字) 【漢字:かな:カナ:他】 33:55:6:4(%)|4882:8073:981:628(字) ---- ※大会時からの主な変更点。 「何回イっちゃうか判んない」→「何回イったって足んない」 後に記述がある通り、雌のオーガズムは体力が続く限りイけるので前者では意味が通じにくいため。 「彼女の闘志はまだ」→「彼女の根性はまだ」 折角ドッコラーの特性が根性なんだから、入れていなかったのは勿体無かったので。 ---- *あとがき [#x7ef9753] 同点3位をいただき、ありがとうございます。今回もひたすらゲーム設定の解釈にこだわりました狸吉です。 世間では経験値獲得のために虐待されているという認識が強いタブンネさんですが、ゲーム内では「たくさんの経験値をくれる優しいポケモン」であると言われています。ならば優しく経験を稼がせてくれるとはこういう事だろうと妄想して、今回の話が生まれました。 修行の相手となる主人公には、ノーマルタイプに抜群の取れる格闘タイプ。異性だったら普通に1発ヤるだけで捻りがないので同性プレイにすることに。レズなら角材を張り型代わりに使える事に気付いてドッコラーに決まりました。いつもは性器を他の物に比喩する僕ですが、今回は他の物を性器に比喩した事になりますねw □ ここで僕の他作品のキャラたちから質問が何件かあるようなので、たぬきちモードで回答するんだなも。 ・レイリー(ニドクイン) 「あの、確か[[以前の話>寸劇の奈落]]では、私たちポケモンには性的自己決定権が保障されているって事になってたんじゃ……?」 はい、保障されてるなもよ。でもその説明の所でちゃんと『技として使わせることは例外として認められている』と注釈されているんだなも。今回はそれに該当するので矛盾はないのね。 「……つくづくザル法ね」 ザル法だなも。人間はとことんあざといんだなもよ。では次の質問。 ・青大将(ジャローダ) 「イタズラして可愛い声を上げたのが雌の証明になるのなら、[[私が玩具にしたバルキー君>青大将とパンツ泥棒]]も雌だということになっちゃわないかしら?」 なるだもね。じゃあそれでいいだもよ。あの現エビワラー君は雌の仔だったということで。 「何を馬鹿なこと言ってんのよ。そんなわけないじゃないの!?」 分かってんのなら馬鹿な質問をしないで欲しいのね。はい次。 ・久連(サンダース) 「立基の『坊やじゃない』ネタについてだけど、オレも[[パーカスさんに坊主呼ばわりされて>永久の想いのバトンタッチ~第01話・卒業バトル~]]それっきりなんだけどさぁ、」 うん。今回は原点回帰というか、ボクが昔から使っていたネタを再利用した所が多いんだなも。 オレっ娘サンダース久連や僕っ娘ブイゼル泳流に続くオラっ娘ドッコラー。 旧『電光石火のように』((穴を掘って隠れていた。))や『[[くろいまなざし]]』と同じ、三人称に見せかけた隠れ一人称。 そしてその『くろいまなざし』や『[[デコボコ山道の眠れぬ一夜]]』などと同様の覗き話などなのね。同じ覗きでも、カクレオンの変色、育て屋チェッカーに続いて今回は学習装置を使ったなもがw 「あー、そういや征己師匠のキャラ付けや台詞回しなんかも、オレの母ちゃんそのまんまだな。その辺も原点回帰か」 それじゃ、質問はここまでなのね。 「っておい待てオレの質問終わってねーよ! 一体いつになったらパーカスさんの勘違いを訂正するつもりだ!?」 「っておい待てオレの質問終わってねーよ! 一体いつになったらパーカスさんの勘違いを訂正するんだよ!?」 いや、ほら、想矢君も言っているだもよ。『後でゆっくりと訂正しよう』って。 「ゆっくりしすぎだっつーの!!」 *投票の際に頂いたコメントへのレス [#xf7bb739] >>2012/09/17(月) 16:26さん >>タブンネさんがエロかったので 今後タブンネ狩りをする度に、実はこいつら今あんな経験やこんな経験を積んでいたりして……とか思っていただけたらより幸いですw 投票ありがとうございました! >> 2012/09/18(火) 11:32さん >>キャラをマイナーにするという変化球を取り入れ、そのキャラの特性を十二分に仕様した素晴らしくエロい作品でした。オチも良かったです。 タブンネさんの「優しい経験値」が枕修行だというネタ自体はPIXIVなどでも割と見かけますからね。いかにその枕修行を盛り上げるかという点には徹底して気を使いました。評価していただいてありがとうございます! >>2012/09/22(土) 09:00さん >>オチで爆笑してしまいましたww ここ最近はすっかり爆笑系の作品ばかり描いてますw そろそろハートフル路線も描いてみたいなと色々考えているところです。 投票ありがとうございました! >>(2012/09/22(土) 20:58さん >>ドッコラー雌も悪くないなと思えてきました。タブンネ。 タブンネじゃなくてナゲキだった最後のオチには吹きました。 作中でも描きましたが、ドッコラーって後頭部の房飾りをおさげに見立てると意外に少女っぽかったりw オチのポケモンは、最初は場所が決まっていなかったため、北の方にしてエモンガとか、足を滑らせてセッカの湿原に落っこちてマッギョを踏んだりとか考えていました。(その頃銀視朗役はフタチマルの予定でした) 結局シッポウシティの「優しいポケモン」発言と自然につなげるため、場所の近いヤグルマの森東部が舞台となったことで「なっげえぇっきひぃぃぃぃ!!」に決定w 姿の表現を考えていて、「タブンネがモモンの実色だから赤い木の実にしよう」と思い付き、木の実のアイコンを見ていたら格闘技半減の木の実が丁度いい色だと気付いたときには僕も盛大に吹きましたwww 改めまして、皆さま応援ありがとうございました。今後も頑張ります! ---- *コメント帳 [#ba987b85] ・狸吉「幸せタマゴの類似商品〝丸いお守り〟。タマゴが早く見つかります!」 ・銀視朗「納得するしかねぇwww」 #pcomment(経験値のコメント帳); IP:175.104.141.51 TIME:"2012-10-04 (木) 01:40:48" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E4%BD%95%E4%BA%8B%E3%82%82%E7%B5%8C%E9%A8%93%E5%80%A4" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:15.0) Gecko/20100101 Firefox/15.0.1"