writer is [[双牙連刃]] この作品は、[[不死なる子犬は主を選べず]]の続編になります。そちらを先にお読み頂くのをお勧めいたします。 あと、この作品には一部&color(Red){官能表現};を含んでおりますのでご注意ください。 ---- どうも皆さんこんにちは。死んでも元気、ガーディのルシカです。 僕は現在、旅に出ております。何故って? ホウオウ様からお休みを頂いてしまったのです。原因はこの前の盗賊団の襲撃。正直あれは衝撃映像だったからね。 でもさぁ……二ヶ月って何!? 長過ぎるでしょ! 僕に何をしろと言うのそんな長く! てな訳で、旅。ホウオウ様の巣を出て早二週間。二ヶ月はあまりにも長い……。 でもまぁ別に旅してても……。 「ルシカ~。聞こえるかの?」 ホウオウ様がこんな感じでテレパシーみたいので話しかけてくるんだけどね。これが無かったら戻るの無理。ホウオウ様に迎えに来て貰う感じで帰る事になってるからね。 さって、返事しないとどうなるかな……。ちょっと答えないで待っててみようか。 「あら、返事が無いのぉ……。ルシカ~。聞こえるかの~」 どんだけ暇なんだろうね。ま、僕も居ないし、巣には今ホウオウ様だけだからね。凄く暇なんでしょ。 「……ど、どうしたのじゃ? ルシカに何かあったのじゃろうか……も、もしそうなら……」 あ、ヤバイ。ホウオウ様が相当不安になってる。僕を探す為にホウオウ様が飛び回るなんて事になったら一大事だ。そろそろ返事しよう。 「大丈夫ですよホウオウ様。僕は元気です」 「ふぉぉ!? る、ルシカ!? なんじゃ、聞こえておるなら答えてたも……」 「あはは、失礼しました」 ま、僕は召使いなんだけどね、ホウオウ様との関係はこんな感じですよ。 「ぶぅ~……まぁ良い。ところでそなた、今は何処に居るのじゃ?」 「えっと……地名なんかは分かりませんけど、海が見える丘に居ます」 「ほう、丘とな。そなたは高い所が好きじゃの~。一度落ちて死んでおるのに」 「死んでるは余計ですよ……高い所が好きなのは認めますけど」 だって風景が綺麗に見えるしね。それならホウオウ様の背中が一番、と、言いたい所なんだけどね……。ホウオウ様の背中からはダイブを決める事も多いからあんまりねぇ……。 そんなこんなで、僕が居るのは海です。炎タイプならそんな所に近付くなって? 心配御無用。僕は水なんか怖がらないから。 あぁ、思い出せば泣きたくなるあの冷たい水の感覚……な~んて思ってたのは不死になる前。不死になってからは平気になったよ。 正確には……一度池に落ちて溺死して……で、その場で蘇るもんだから何度も、何度も溺死して……で、泳ぎを習得したから、なんだけどねぇ……。 因みに今はホウオウ様に教わって復活地点を動かせるようになったりしたり出来るようになったから全く問題無し。本当を言えば、体が炎のままでも動けるだけなんだけどさ。 「うむ、とりあえず元気そうで何よりじゃ。帰ってきたくなったら妾を呼ぶのじゃぞ」 「了解してますよ」 「うむ! ではの~」 ホウオウ様の声は聞こえなくなった……。さて、海を眺めてるのも良いけど、そろそろ何処か違うところに行こうかな。 トコトコと歩いて移動する。移動手段がこれ以外には無いからね。 しっかし、ここって何処なんだろ? 遠くのほうに二つ並んだ島は見えるけど……。 ん? おや、なんか拓けた場所に出たぞ。あ、人間がいる。へぇ~、ここは人間が作った道か……。見つかるのも面白くないし、隠れながらいこっと。 あ、あそこでは人間同士が向き合ってなんかしてる。手に持ってるのは……確か、僕達ポケモンを捕まえる事が出来る物だってホウオウ様が言ってたな。確か、なんとかボー……何とかで言いや。 あんな小さい物によく僕達が入るよねぇ。驚き驚き~。 ……アイヤー。何してるのか気になって周りへの注意がちょっとたるんでたな。後ろから気配。これは……ポケモンじゃないな。はぁ……。 「ガーディ見っけ! へぇ~! 1番道路にガーディなんて居たんだ! よーし、ゲットするぞー!」 人間の子供、か。手に見えるのはあの何とかボー……駄目だやっぱり分かんない……。それが握られています。 って、あれ……ひょっとして僕、軽く捕獲されそうになってる? まぁ、やばくなったら火の粉でも吐いて逃げよう。……訂正、追っ払おう。うん、なんかこっちから逃げるのは癪だな。 「よーし、頼むよ! ゼニガメ!」 お、あの丸っこいのを投げた。と思ったら割れて赤い光が出てきたぞ? うぉぉ、光がポケモンの形になった! スゲー! って、僕も似たようなものか……。 水タイプのゼニガメか……ふ~ん、そんなに強くは無いね。だって、僕に対峙させられてオロオロしてるし。戦い慣れてるようには見えないねぇ。 「よーしゼニガメ、あわで攻撃だ!」 あわって……そんな攻撃で僕がどうにか出来るとでも? 伊達に死ん……んん、経験は積んでないよ。 微調整を施して……火の粉、発射! 狙いはゼニガメが吐きだした泡の、僕に当たりそうな分に。 何せ量があるからね。威力を極力下げて、連射が利くようにしてみました。効果は……バッチリ! 「うわ! あわがひのこで防がれちゃった!? それに……ひのこが……白い!?」 あぁ~、そこ気付いちゃったか。そう、僕の攻撃用の炎は白いの。これは、ホウオウ様から力を分けてもらってからだね。若干ホウオウ様の聖なる炎がうつっちゃったんじゃないかってホウオウ様は言ってたかな。 まぁ、白くなるのは3発に1発くらいの割合だけどさ。今のはレアだったな。 「ど、どうしよう……もしかしてこのガーディ、すっごい強い!?」 正解。少なくとも君のゼニガメよりは遥かに、ね。さぁ、どうする? 「くっそぉ、ゼニガメ戻って! ……父さんから借りてきたポケモンだけど、お願い! リザードン!」 ま、マジで? そんなハイクラスのポケモンとはやりたくないなぁ。僕も手加減無しでやる事になるし。 でも出てきちゃいますよねそうですよね。嫌になるなぁ……。 「よーし、リザードンお願い! あのガーディを弱らせて!」 あれ? なんか具体的な命令じゃないのね。アバウトだな~。 出てきたリザードンも微妙にやる気無い? どうしたのかな。 「全く、主人も私に自分の子供のお守りを任せないでほしいものだよ……はぁ……」 「あ~……なんか、その……お疲れ様です」 思わず労っちゃったよ。だって凄い気だるそうだったしさぁ……。 「お~分かってくれるかガーディの少年。分かってくれるならこの坊主に大人しく捕まってやってくれないか? 私としてもあまり弱い者虐めはしたくないんでな」 「それは出来ない相談ですね。僕にも帰る場所ってのがあるんですよ一応。それに、弱いかどうかは……見た目で判断しない方が吉だと思いますが?」 『力』を若干開放する。ホウオウ様から貰った力、開放率は20%くらいかな? この状態だと僕の炎は完全に白くなる。相手が相当強かったり、絶対に逃げられない戦いじゃないと使わない力さ。デメリットもしっかりあるしね。 あ、リザードンさんの表情が変わった。読み取れる様にわざと開放したからね。向こうも臨戦体制に入ったみたいだ。 ……期待はしてなかったけどさ。人間……もうちょっと緊張感持とうか。もう勝ったようなしたり顔ですよ。こういう顔、ムカつくなぁ……。 「やるんだったら覚悟してくださいね。僕の炎は浄化の炎。あなたの吐く火炎だって相殺出来ますよ」 「……お前、この辺のポケモンじゃないな。クソ、こんなのとやり合う事になるとは思ってなかったぜ!」 「だったら止めませんか? 僕だって、本当はこの力を使いたくはないんですよ」 「それは無理な相談だ。俺達人に仕えるポケモンはな、お前達野生のポケモンとは違って、主人の命令には逆らえないんだよ」 「……その人間、あなたの主人とやらではないんでしょう? だったら無理矢理連れて逃げれば……」 「こいつがお前を捕まえる気になっちまってんだからそれもできねぇんだよ。こいつの言う事聞いてやれって言われてるから、なぁ!」 いきなり火炎放射ですか。なかなか良い技だよね。僕はまだ使えません。特性『貰い火』の僕に使ってきたって事は、目くらましが目的かな? それじゃ僕は……火炎車で炎のローリングアタック。白い炎が火炎放射を割って参りま~す。ご注意くださ~い。 「ぐおぁ!」 「うわっ! リザードン!?」 「……威力は加減してます。それほどのダメージは無い筈ですよ」 「て、てめぇ……」 悔しがってももう遅いってば。この力を発動した以上、中途半端には出来ないからね。戦闘不能ぐらいになってもらわないと困るんだよ。 あれ、リザードンさんが……増えていく!? 影分身ですよね。分かってるってば。 しかし困ったぞ。分身の相手をしてる暇は無いんだよ。時間掛けられると僕は確実に……負ける。 急がないと。分身は火の粉で一掃……してるほどの時間は無いし、本体を直接狙う……には分身の数が多い。それに結構素早いうえに空まで飛べる。こうやって見るとリザードンてハイスペックなポケモンだよね~。感心してる場合じゃないよ~。 どうしようどうしようどうしよう! こんな技使えるなんて聞いてないよ~。うえ~ん。 「そこのガーディ! 身を自分の炎で包みなさい!」 「へぁ!?」 上から声がした!? 炎で身を包めって……出来るけどさ。今の声は誰!? 一先ず火炎車の要領で自分の周りを炎で覆う。何が起こるんだろう? 「何!? 馬鹿な、なんでこんなとこ……グアァァァァ!」 「リザードン!? なんなのこの鳥ポケモンは!?」 は? 鳥? ま、まさか……いや、ホウオウ様なら僕の事をそこのガーディなんて呼ばないし……。 「もう大丈夫ですよ。私が天候を変えている内に私の背に乗って下さい」 「へ? ……あなたは……誰?」 炎を解いた僕をお出迎えしてくれたのは……吹雪でした。それもかなり強力な。 おまけに透き通るような水色をした鳥ポケモンさんが僕に乗るように促してます。……もう僕には時間が無いし、素直に従わせてもらおう。 急いで鳥ポケモンさんの背に乗りました。おぉ、ひんやりしてる。ホウオウ様のポカポカしたのも良いけど、これはこれで……良い。 「しっかり掴まっていて下さいね。飛び上がりますよ!」 「おっとと……わわわ」 翼が広げられて……地面が離れた。おぉ~まさか一人旅で空を飛ぶ事になるとは思わなかった。 下を向いたら……おぉ、さっきのリザードンさんが凍ってる。尻尾の炎の部分以外だけど。それを人間が歩カーンとして見てる。早く助けた方が良いと僕は思うよ。 下を向いたら……おぉ、さっきのリザードンさんが凍ってる。尻尾の炎の部分以外だけど。それを人間がポカーンとして見てる。早く助けた方が良いと僕は思うよ。 そ、そんな事より、開放してた力を元に戻さないと……ふぅ……。不味いな……力を……使い過ぎちゃった……。 「大丈夫ですか?」 あ、下の鳥ポケモンさんに質問されちゃった。でも、正直今はしんどいです。 「少し……辛……で……」 あ、れ? 体が……嘘……こんなに、力を使っちゃってたのか……。ふらついて……落ち、ちゃって……。 ……………。 僕、覚醒! って、ここは……何処? 何やら薄暗くてひんやりしてる所に僕は居る。顔に水滴が当たってて冷たいよぉ。 「あっ! 起きられましたか! 良かったぁ……」 「んん……あ、あなたは助けてくれた……」 目の前には~、気絶する(恐らく死ぬ)前に見た鳥ポケモンさんが居た~。目にはうっすらと光る物が……泣いて、たの? 「本当に良かった……まさか、あんな状態から息を吹き返すとは思わなかったから……」 「あ~、もしかして僕……とんでもない事になりました?」 「え、えぇ……言葉では言い表しがたい状態に……」 つまりはぐちゃみそですね分かります。ってー事はだよ? つまり……このポケモンさんの前で僕は蘇生をしたって訳だよね。うわ~なんか恥ずかしい……。そんな事考えてる場合じゃないんだけどね。 「あの……聞いて良いかしら? あなたもしかして……ホウオウ様に縁のあるポケモンじゃない?」 「……何故、そう思うんですか?」 ホウオウ様の名前が出たら警戒させてもらうよ。例え蘇生できたからって、それとホウオウ様は繋がらないからね。 「思った理由はあなたが蘇生した事と、あなたが使った白い炎よ。あれ、ホウオウ様の聖なる炎に近い雰囲気を受けたから」 「ホウオウ様に会った事があるんですか!?」 聖なる炎はホウオウ様以外は使えない技。出会って使われたのなら無事では済まない。それを見ながら無事でいるって事はホウオウ様の知り合いである可能性はかなり高いからね。 「ええ、私はフリーザー。氷を司る者。ホウオウ様程では無いけれど、私も伝説に名を残すポケモンなんだけどな」 「え、えぇ!? そ、それはとんだご無礼を! 僕は、ホウオウ様の召使いをしておりますガーディのルシカと申します!」 ウワァーオ! まさか伝説のポケモンさんだとは思わなかったよ! やばっ、かなり失礼だったかも……。 とりあえず、全力で頭を下げました。クスクス笑っていらっしゃる。不機嫌にはなってないみたいで良かった~。 「そっかそっか。ホウオウ様の。そんなに畏まらなくて大丈夫だよ。私は気にしないから」 「そ、そうですか……」 なんか、優しそうなポケモンさんで良かった。フリーザーさんか……。 「でも、何でそのホウオウ様の召使いさんがこんなところに?」 「えっと事情を話すと長くなりますが、お聞きになりますか?」 「聞かせてくれるなら、教えてもらえる?」 「分かりました。では……」 現在、何故に僕があそこに居たのかを説明中……しばらくお待ちください……。 ふぅ、大体は説明したよ。しっかし、伝説のポケモンに会うとは思わなかったなぁ……。 「なるほどね。お休みに旅を……それで人間に見つかっちゃってああなったんだ」 「はい。その時にホウオウ様の力を解放したから体に負荷が掛かっちゃった所為で倒れてしまって……ご迷惑をお掛け致しました」 そう、それが僕が焦った理由。ホウオウ様の力は僕の体には強力過ぎるんだよね。あのリザードンさん強そうだったから使ったけど、あのままやってたら僕は倒れて、あの人間に捕まっちゃってたのさ。 いやぁ本当に助かった。けど……なんでフリーザーさんはあんなところに居たんでしょ? 本来なら伝説のポケモンは目立つ所には出て来ないはずだけど。(ホウオウ様はだらだら散歩してるけどね) 「あの、お聞きしてよろしいでしょうか」 「はい? なんでしょう?」 「何故あのような目立つ場所に? 人間も居ましたし、危険だったのでは?」 「ああ、あれ? あれはファイヤーに会いに行った帰り。偶然あなたが白い火の粉を出してるのが見えて、気になったから助けたの」 「はぁ……」 なんか軽いなこの方。伝説のポケモンて、皆こんなにノリ軽いのか? まさかねぇ。 ……ふぉぉ! 大事な事聞くの忘れてたよ! ここは……何処? の答え! 「あの、フリーザー様、ここは何処なのでしょうか?」 「ん? ここはね、私が暮らしてるふたご島って島の洞窟の中。他に休めそうな場所が無かったから運んじゃったの。ごめんね?」 「い、いえ、助けてもらっていますので……」 「なんか固いね? もっと自然に喋っていいよ。後、私はあなたの主人じゃないんだから様付け禁止。フリーザーさんか、フリーザーお姉さんって呼んで♪」 「は、はぁ、分かりました」 はっきり言おう。ここは、はっきり言おう! この方は変! でも、別に悪い訳じゃないしなぁ……優しいのは分かるし。 でも、自分でお姉さんて呼んでって……言うか普通? ……言うのかな? もしかして変なのは僕? 実は社会慣れしてないんだよね僕……独りで居た所にホウオウ様の召使いなんかになっちゃったからさ。 まぁ、呼び方はとりあえずフリーザーさんで行こう。ってかさっさと人気の無い所にでも戻してもらおう。ここからじゃ何処にも行けないし。 「え~っと、フリーザーさん。お助け頂きありがとうございました。もう平気なんで、出来れば何処か別の場所まで連れて行って頂けませんか? なるべく人気の無い所が良いんですが……」 「え!? 人気の無い所!? そんな所に行って私にあんな事やそんな事して、終いには○○○○で×××とか!? キャー! でも、それも悪くないかも……」 「……フリーザーさん?」 「本当はこっちからしちゃおうかなって思ってたところだし、そんなところに連れて行ってこっちからしちゃうのもいいかも~。泣きながら感じちゃって戸惑ってるのも可愛いだろうな~。あ~いいないいなホウオウ様、こんな可愛い子といつも一緒に居るなんて羨ましいな~」 全っ力で僕の危険感知センサーが働いてるんですけど。ここに居てはいけない気がする……。呼ぶか? ホウオウ様を……。 でも、ホウオウ様はホウオウ様で「一緒に居てたも~」って始まりそうだしなぁ……。くそぅ、逃げ場が無いぞ……。 自分の世界に陶酔しているフリーザーさん……現実に戻して大丈夫だろうか? とりあえず声を掛けますか……。 「あの~……フリーザーさ~ん……」 「はうっ! ご、ごめんごめん! そっか、旅の途中だもんね……ごめんね? こんなところに連れてきちゃって……」 「あ、う……」 そんな残念そうな顔されたら困るじゃないかぁぁぁぁ! ホウオウ様もときどきやるんだよねこれ! ずるい! とにかくずるい! だってさ! こんな寂しそうな顔されたらどうにかしてあげようと思っちゃうじゃん! はぁ……助けてもらった恩もあるし、もう少し、ここに居ようかな? まだ休みはたっぷりあるし。 綺麗な水色の翼を広げて僕が乗っかるのを待ってくれてるのには悪い気もするけどさ。 「やっぱり……もう少しここで休ませてもらってもいいですか? ここ、人気も無さそうだし、涼しいし」 「え!? う、うん! 良いよ! どんどん休んでいって!」 うわ、凄い笑顔。ここまで喜ばれるのは正直予想外だったな。 特に目的があった訳じゃないし、ここに居ても悪い事は起きない……よね? そう信じたいよ……。 ---- 「へ~、じゃあルシカ君は完全な不死じゃないんだ~」 「そうですね。死んで生き返ってるから、死なない訳じゃないですね」 さて、フリーザーさんと雑談なんかを交わしてましたよ。こういうのはホウオウ様で慣れてるから結構楽。……フリーザーさんの喋り方がだんだん親しみを込めたものになってるのは気になるけど。 それにしても良く喋る。本当は誰かと喋るの好きなんだろうね。でも、こうやって喋れる相手がそうそう居ないんだろうな。フリーザーさんも伝説のポケモンだし。 僕がホウオウ様の召使いにされた理由もそれが大きいみたいだしね。やっぱり誰かとの温かみが恋しくなるって事? よく分かんないけど。あ、フリーザーさん氷タイプか。関係無いですね。失礼しました。 「あっ、ルシカ君お腹空かない? 何か採りにいこっか」 「僕なら大丈夫ですよ。最悪、餓死してもベストコンディションで蘇れますし」 「そんなの駄目よ~。ちゃんと美味しい物くらい食べなきゃ! お姉さんの言う事聞きなさい!」 笑いながら怒られたし。事実、僕はこの体になってからあまり食事ってしてないんだよね。たまに美味しそうな木の実があったら食べるくらいかな。 そもそもお腹減ったって感覚があまりしなくなった。……不死と何か関係あるのかなぁ? ってかフリーザーさん……お姉さんて……スルーしておこうか。 「何してるの? ほら、行こう!」 「あ、はい。分かりました」 ふむ、ホウオウ様ほどじゃないけど僕よりはやっぱり大きいな、フリーザーさん。僕の倍くらいあるね。 乗り心地も悪くないのは立証済みだし。ふらつかなければ落ちないでしょう。 しっかしここへはどうやって来たんだろ? 上に空が見えるんだけど、まさかだよね? でも、そこ以外に出れるところなんか無さそうだし……。 おぉ! 気流も無いのに浮かび上がった!? そういえばホウオウ様も地面すれすれでホバリングとかしてる事あったなぁ……。 そのまますぃ~っと上の穴へ飛んでいくよ。お、落ちそうなんですけど……。爪なんか立てれないから結構辛いです……。 「うわぁ、完全に夜になっちゃってますね」 「大分眠ったままだったからね君。でも、私が色々動くなら夜の方が都合が良いし、ね」 「それもそうですね。でも、木の実探すとなるとちょっと大変かもですね」 暗いから木の上なんかが見えにくいし、予期せぬトラブルにも遭いやすい。経験がそう告げてるんだよね。 僕、何か変な事言ったかな? フリーザーさんにクスクス笑われてるんですけど……。 「心配要らないよ。私の取って置きの場所に連れて行ってあげる!」 「へ? わわっ!」 急にスピードを上げないで下さい……マジで落ちる。なんとかしがみついて耐えてるけど……。 月に照らされた世界が眼下に広がる。うわぁ~……人間の町は明るいけど、他は真っ暗なんだろうな~。上から見るのは始めてかも。ホウオウ様は基本的に昼間しか飛ばないし。 フリーザーさんの背中にぺったりくっ付いて下を覗いてると、フリーザーさんの鼓動も聞こえる……。落ち着く、安定したリズム……。 「あ、あの……ルシカ君……もうすぐ着くから、その……そろそろ体起こしても大丈夫だよ」 「あ、すいません。熱かったですか?」 「そうじゃないんだけど……」 あれ、フリーザーさんが何も言わなくなっちゃった。どうしたのかな? こっからじゃ顔は見えないし、どうなってるのは見当もつかないな……気になるのは、若干鼓動が早くなってる事、ぐらいかな? 僕が重くて疲れたとかかなぁ? だとしたら、木の実食べたらまた旅立とうかな。あまり迷惑は掛けたくないし。 っと、目的地はどうやら森の中っぽいね。徐々に高度が落ちてきた。さて、何があるのかな……。 ふわっとフリーザーさん着地。地って言うか、木の上だけど。僕的には地面に下ろしてほしかったな……。贅沢は言わないけど。 「ここ……ですか?」 「うん。あ、地面に下ろしてあげれば良かったね。ごめんごめん」 気付いてくれましたか。ま、落ちても死ななそうな高さだし、自分で下りますか。 枝から~……ジャンプ! そのまま今度こそ着地! うん、完璧だ。 で、周りをキョロキョロしても木の実の木は無いっぽいんですが? あれぇ? 「フリーザーさん、ここには何が……」 「ここはね……なんにも無いよ……だから……他のポケモンも、居ないんだ……」 ……フリーザーさんの雰囲気が変わった。なんというか、声がちょっと。振り返るべきか? べきですよね。 あ~……と? 顔が赤くなってるフリーザーさんが目の前に居ますよ。なんか、見てるとドキドキしてくる。ど、どうしたんだろう? 「ルシカ君……」 「フリーザー……さん……、ど、どうかしましたか?」 危なかった。雰囲気に飲まれるところだったよ。じりじりとフリーザーさんが近付いてくる……。なんにも言ってくれないんですか。 気圧されて動けない……。だ、駄目だ、逃げられない! 羽が僕を包む。ひんやりした中で僕はフリーザーさんに抱かれてしまったよ。あ、あの、胸が……顔に当たってるんですけど……。 「ふふ……やっぱり可愛い……それに、あったかぁい……」 「ふ、フリーザーさん……ちょっと……苦しいです」 「ごめんね。でも、今放しちゃったら君、逃げちゃうでしょ? だからだ~め」 更に押し付けられてるんですけど……。鼓動が早くなってる……フリーザーさんのも、僕のも。だって、こんな事になった事無いし……。 「私……君みたいな子が好きなんだ……。でも、今までこんな風に出来る事なんか無かった……、この、力の所為で」 「力……」 「望んでた訳じゃない。生まれた時から持ってただけなの。それなのに……私は独りぼっちだった。他の伝説のポケモン達は居るけど、それでも! この寂しさは消えてくれなかった……」 「……………」 なんとなく、自分とだぶって聞こえたんだ。僕には力なんか無かったけど……僕も、独りだった事があるから。 伝説に名を残すポケモン達は皆この孤独を抱えてるのかな? ホウオウ様も……。 「お願いルシカ君……。今だけでいいの……私に、君の温かさを……感じさせて……」 「フリーザーさん……」 フリーザーさんの顔が近付いてくる。そのまま……僕の口に、フリーザーさんの嘴が触れた。初めてのキスになるのかな。いや、それを言うならホウオウ様の嘴は散々舐めてるし……どうなんだろうね? ん……フリーザーさんの舌が口の中に……。ちょっと気持ち悪いような、変な感じ。 僕、こんな事しちゃって良いのかな? でももう離れられないし……。ごめんなさいホウオウ様、今だけ……少しだけ、フリーザーさんと……。 「んっ……ふぅっ、ん……」 休み無しにフリーザーさんは僕の口の中を弄っていく。柔らかい舌が絡んできて、どうやってもフリーザーさんの唾液が僕の方に注ぎ込まれてくるよぉ。 そのまま仰向きに寝かされちゃった。繋がってた口が離されて、今度はフリーザーさんの舌が僕の体を探るように舐めていく……。くすぐったいんですけど。 「んぁぁ、フリーザーさん、くすぐったいんですけど……」 「もう少し待っててね。だんだん……気持ち良くなってくるから」 僕のお腹に顔を押し付けないでほしいんだけどな……結構ふかふかだと自負してはいるけど。 ……いや、それ以上下には僕の……降りていっちゃ駄目だったら! 「まだ大きくないよね~。でも、綺麗だね」 「綺麗って、そんなのに綺麗も何も……ん!? ふぁ!?」 モノにぬるっとした刺激が!? まさか……。 妖しく笑いながらフリーザーさんは舌で僕のモノを舐めてる。ふぁ、舌が這う度に体が震える……。駄目、変になりそうだよ……。 ぺちゃぺちゃ音をさせながら僕のモノが苛められていく……。うぁぁぁ……。 「おっきくなってきたね。涎出てるよ? 気持ちいいの?」 「これ……気持ち……いいの……かな」 「分からないんだ……。それなら、もっと気持ち良くしてあげるね」 え、あ、口に入れちゃ……駄目……。フリーザーさんの口の中で、モノに舌が絡み付いてくる、う、く! 「あ、えぁ、ひゅぅん!」 「ひもひいいえひょ? ほろほろ、へんはいはは?」 体の奥の方から、なんか、でそ、う! もう、耐えられ、ない、よぉ! 「ひゃっ! あ、くぁぁ!」 「んぐっ、ん……」 モノから何か出た……そのまま、フリーザーさんの口の中へ……。 フリーザーさんの嘴の端から白いとろっとした液が滴ってる……あれが、僕が出した奴だ……。それをフリーザーさんが飲んでいく……。 「んふ、初めて飲んだけど……牡の子のって、こんな味なんだ。へぇ~」 「う、あ……」 体も頭もふわふわした感じで動かせない。モノがピクピク震えてるのが自分でも分かる。なんだろう……これ、気持ち良い……のかな? なんとか起き上がろうと脚を動かしてるんだけど……まともに動いてくれない……。 よ、い、しょっと、起き上がれた……。で、どうしようか? 目の前の状況。 「今度は……私に、して?」 草の上にころんとフリーザーさんが寝転がってます。仰向けで。さっきまで僕は正気じゃなかったな……幾ら相手がフリーザーさんでもなすがままって……。 でも、フリーザーさんは僕のモノ舐めたんだし……僕も、その……気持ち良かったんだし……お返しはしないと、ね。 何をすればいいか……さっきまで僕がされてたことを今度はフリーザーさんにしろってことだよね。 「……僕なんかで、いいんですか?」 「君しか……出来ないでしょ? 他のポケモンじゃ……こんな事になる前に逃げちゃうし……」 脚をもじもじさせながら何かを待つような顔されたら……するしかないじゃない。ねぇ? そっと近付いて……フリーザーさんの股の辺りを軽く前脚で探る。濡れてるところ、見~つけた。 ここに舌を這わせるのは簡単だけど……なんか、綺麗だな……。ちょっと見ていたい気もする……。 前脚で優しく撫でるとぴくっと反応して震えてる……どんな感じなんだろう? 「あ……うくっ……ひゃう……」 「気持ち……良いですか?」 「うん……もっと……して」 そんな脚広げて……あまり撫でてるだけじゃ気持ち良くないのかな? なら、やっぱり……。 そこに顔を近付けて……一舐めしてみる。味は……分かんないや。美味しいとはお世辞でも言えないし、かといって不味い訳じゃないし。 これでいいのか分からないけど、とにかく、割れてるところを舐めててみようか。 「んぁぅ……あくっ! ひゃ! ぁあん!」 フリーザーさんの声……聞いてるとなんかこう、もっと聞きたくなる。どうすればいいかな? 舐めてこうなら……次は、割れ目に舌を……。 「うあぁ!? ルシ、カ、君……だ、あぁ!」 中、あったかくて、うねうねしてて、なんか凄い。少しずつ奥のほうに舌を進ませてみようか。 うわぁ、なんか液が溢れてきた。さっきまで舐めてたのと同じ筈なんだけど、舐めてるとドキドキしてきた。止められないよぉ……。 フリーザーさんの中を壁をなぞる様に舐めていく。舌をきゅって締め付けられるのも気持ち良くなってきたよ……。 口を拡げてフリーザーさんの割れ目に当てる。こうすれば、自分の液でフリーザーさんが汚れる心配無し! ……言い訳です。僕がもっとフリーザーさんの味がほしいだけです。 「やぁぁぁ……食べちゃ……らめぇぇぇぇ……」 !? 口の中に凄い量の液が入ってくる? 口の端から漏れちゃったよ。 フリーザーさんの中、痙攣してる。これ、大丈夫なのかな? 大丈夫だよね。きっと。 液が溢れてくるのも止まったし、そろそろ舌を抜こう。最後に綺麗になるように割れ目の周りを舐めて……はいお終い。 ぐったりしたままフリーザーさんが動かなくなっちゃった……。胸は上下してるから息は大丈夫なんだよね。 良く見たら体べたべた……。夢中になり過ぎたなぁ……。 ホウオウ様に同じ事頼まれたら……無理だな。僕にはホウオウ様は大き過ぎる。 なんにせよ、フリーザーさんが正気に戻るまではどうしようもないし、しばらくはここに居るしかないかなぁ……。 ---- 伝説のポケモンと呼ばれようとも、中の心は他のポケモンと大差は無い。ただ、その身に巨大な力を秘めてるだけ……。 寂しいとも思うし、誰かの傍に居たいと思うことだってあるよね。 ……僕は、なんなんだろう……。伝説のポケモンじゃないただのガーディ。でも、この体にはホウオウ様の力が宿ってる。 蘇生なんてことも出来るし、普通のポケモンでは無いよね。 伝説のポケモンでもなく、普通のポケモンでもない……。 本当、僕って……なんなんだろうね……。 ---- 後書きです~ ここまでお読み下さった方々にまずはお礼を。ありがとうございます。 前話よりグロ要素は無くなってますが……どうしてこんな話になったか書いてる本人が一番不思議ですw 次の話でルシカの物語は閉幕する予定です。もう少しお付き合い下さいませ。 コメントなんかはこちらへ~ #pcomment