Writer by [[RYO]] CP 人×ポケ *ほぼBL 完全主人公視点 ※官能表現有り 「お先に失礼しまーすっ」 「お疲れしたっ! 」 倉庫の出口付近で会った先輩に挨拶をして、俺は店内に行くため扉を押し開けた。その瞬間冷たい風が体を吹き抜ける。いつもは裏のドアから直接外に出ているが、今回は買い物があるためこっち側から出ることにした訳で。 涼しい空気を体全体で堪能しながら買い物カゴを取り、目的の物を探しに歩き出す。普段は店員としてここを歩いているが、今は客として、何か新鮮に感じる。 とりあえず木炭にいい傷薬にシルバースプレーに…っと。 普通生活にあまり使わない物ばかりだが、一応。とりあえずそれらをカゴにぶちこみ、レジへと足を進めた。 「いらっしゃいませ…と思ったらあんたかい」 「どうもいらっしゃいました」 色んな物が入ったカゴをレジの台に置く。最初は丁寧に挨拶してたが、俺に気づいた瞬間接客態度が適当になるレジパートのおばちゃん。 「…キャンプにでも行くのかい」 「えぇ。明日から何日か休みなので、手持ちの奴らを連れて行こうかと」 「あら、いいじゃない」 喋りながらでもキチンと手は動かしている。さすがベテラン。そんな感じで話をしながら商品を袋に詰めてお金を払う。結構買っちゃったな…。ま、いいか。 「はい。楽しんでおいでよ」 「ありがとうございます。ではお先に失礼しまーす」 「おつかれさん」 俺は袋を持ち、店の出入口へと足を進め、自動ドアが開いた瞬間、店内とは比べ物にならない程の暑さが全身を包む。昨日までの大雨が嘘のように晴れ渡った空がそこにあった。もう夕方なのにこの暑さ。家は恐らく外よりかは涼しいと思うが、十分暑いだろう。 こんな日に野外でライブなんかやったら最高だな。盛り上がるの間違い無し。 でもこんな暑さならアイツらかわいそうだから買ってってあげるか。何か小銭いっぱいあるし、ちょっと寄り道だな。 自転車のカゴに買ったものを詰めて、アイスを買うためコンビニへ行こうと走りだす。 「ちょっと買いすぎたかな? 」 家の物置の前になって気付く。結局自分も食べる分も買ってカゴに入りきらない程買ってしまった。 まぁいいか。溶ける前に早く冷凍庫に入れないと。とりあえず一度買い物袋を地面に置き、自転車を物置にぶち込む。扉を閉め、袋を両手に持ち、アパートの階段を登って自分の家のドアの前に立つ。数秒してから足音が聞こえ、ガチャリと音を立ててドアが開いた。 「おかえりなさいませ」 「ただいま」 ドアを開けてくれたのはルカリオだ。両手が荷物で塞がっている時はちゃんと開けてくれる。ありがたい。そして中に入り、ドアを閉め鍵を閉める。やっぱり暑いな。でも外よりは全然マシだが。 「はいよ、お土産 」 「あ、ありがとうございます」 アイスの入った袋を渡し、靴を脱いでルカリオと一緒に部屋に入る。外の暑さにある程度慣れていた俺にとってはなかなか涼しいが、外に出ていないコイツらにとっては結構辛いだろう。そして温度は…二十八度…これはひどい。 俺だったら間違いなく水風呂に浸かっていただろう。しかも一日中。 「大丈夫だったか? こんな暑さで」 「平気ですよ」 「そうか…よかった」 さすがポケモンだな。これならもう心配しなくていいな。 それより何か静かだな、確かもう一匹ボールから出しておいたはずだが…。ちなみにルカリオは通訳として常にボールから出しておく事にしたのだが…って、そんな事はどうでもいい。どこだ、ヤツは。 「おい、アイツどこだ? 」 「あぁ、風呂場です。暑いから水に浸かってるとか言ってましたから」 「ほぉ…」 なるほど、水タイプでもこの「暑さ」には弱いんだな、炎の「熱さ」ではなく。 「ちょっと連れてくる」 俺はもう一つの買い物袋を冷蔵庫の前に置き、風呂場へ向かう。 脱衣所にはしっかりとバスタオルが畳んで置いてある。マットもちゃんと敷いてある。偉い。そして浴室への扉を押し開けてみた。 風呂釜の蓋が半分程開いているのだが。しかしこっち側からは死角になって中まで見えない。どんな顔して浸かってるのも見てみたい。そんな考えが俺の中にあった。ちょっとした好奇心ってやつ。とりあえず蓋を持ち上げて中を覗いてみる。 お、いたいた。 首の周りの浮き輪みたいなのを膨らまし、首から上だけ浮かんでいるブイゼルがそこに居た。俺の顔をじっと見つめながらぷかぷかと浮かんでいた。しかも全くの無表情で。 「…」 こういう時が一番苦手だ。何も話のネタが思いつかず、ポケモン相手だというのにこの気まずさ。たった一言でも掛けてやろうと思ったのだがそれも思いつかない、この無言の重圧。 このままだと延々とこの状態が続きそうな気がするので、そのままにして立ち去るのが一番じゃね? とりあえず両手で持っていた蓋をさっきと全く同じ状態にして、俺は風呂場から出る。なんか妙な視線を背中に感じたが気にしない。 「あれ? ブイゼルはどうしました? 」 「無言です」 「なぜですか」 「目で負けたんだ、目で」 この世の最後の時のような、絶望した時のような声でささやいてみたが、何だその呆れた表情は、しかもそんな目で見ないでくれよ…、もうこんな空気勘弁してください。無理です、君に口だけで勝つのは。 「…もういっちょ行ってくる」 とりあえず何か声掛けておかないと後で厄介な事になりそうだし、いじけてボールの中に篭りっきりになったらかわいそうだし。せっかくいっぱいアイス買ってきたんだから一緒に食わないと。家族のルールってやつ。 そして再度風呂場に向かい、今度は静かに、音を立てないように扉を開ける。耳を澄まして音を聞いてると、ちゃぷちゃぷと水が撥ねるような音が聞こえてきた。ただ浮いてるだけじゃなくて泳いでたりするのか? こんな狭い浴槽なのに。 「…」 またも蓋を開けた瞬間俺と目が合い、無表情で固まるコイツ。ちょっと怖いんですがブイゼル君。俺何かしたか? しかし今度は何も無しには終わらせない。負けてたまるかこんなイタチなんかに。 「…アイス…食うか…? 」 その途端まるでそれを待ち望んでいたかのような笑顔を見せ、ざばっと音を立て浴槽から飛び出す。瞬間的に俺は持っていた浴槽用の蓋でガードをしたが、天井近くまで跳ね上がった水しぶきなんてガードする暇も無く、頭からずぶ濡れ。 まだ部屋着に着替えてなかったのが幸いだ。洗濯物が増えなくて良かったところだが。 「おい…」 畳んであったタオルで体を拭いているブイゼルに睨みを効かせて言ってみる。何かしたの僕でも言いそうな顔をこっちに向け、未だ手を休めずにタオルで体を拭う。ダメだ、わかっちゃいねぇ…。 恐らくまったく悪気とかわざとにやったとかはコイツの中には無いらしい。天然ボケか、それか純粋なだけか。 もう何か色々考えてると余計に疲れが溜まる為、なんでもないとブイゼルに一応声を掛けリビングへと行かせ、そして俺は風呂のお湯を沸かす為、湯沸かし器を起動させた。 「御主人様、明日どうやって行きます? 」 着替え中に色々考えた結果、今年のキャンプは海に決定。去年は山で大量の虫ポケモンに襲われて嫌な思い出があるからだ。幸い手持ちのバクフーンが一発「だいもんじ」とかいうとんでもない技出して一掃したけど。今度はその心配は無いだろう。多分。 でも海だと水ポケモンとか出てくるよなぁ…。電気タイプはまだ手持ちに居ないし。まぁコイツらがなんとかしてくれる事を祈るか。 だがどうやって海まで行くかだ。自転車なんかで行ける距離じゃない。だからと言って公共の交通機関を使うと生活費が消える。だが俺には考えがある。お金を使わず、とってもエコな行き方が。 「ラティオスだよラティオス。アイツ飛べるし」 「なるほど…って…ちょ」 「ほいっと」 窓際に転がっていたボールを拾い、リビングの中心あたりに向かって軽く投げる。ポンという音と共に赤い光がボールの中から飛び出し、その光が徐々に形を成し、やがてラティオスが現れた。そしてボールが手元に戻り、完了。 なんか凄くめんどくさそうな顔して俺を見ている。しかも目つきが…。でもちょっと悪いけど… 「よいしょっと」 --!!? 俺はすばやくラティオスの背後に回りこみ、丁度首の付け根辺りに両腕をまわし、ガッチリと固定。足も丁度下半身辺りの方で膝を使って固定。後ろから抱きつく様な感じで完成。 一瞬だけラティオスの呼吸が乱れたみたいだが気にしない。やべぇこの手触り。 「重い? 」 この長い首を横に振ったって事は大丈夫だってことか兄さん。 「じゃあ飛べる? 」 今度は縦に振った。ほほう、それなら移動手段は決まったな。お前の力、貸してもらう。 それにしてもこの抱き心地はヤバイ。癖になりそうだ。程よい弾力感とさらさらとした毛並み、それにシャンプーの良い匂いがする。なんかもうこのまま寝れそうだよ兄さん…。 「…」 ルカリオがもの凄い表情で俺を睨み付けてくる。それはまるで自分の恋人が目の前で違う奴に盗られたかの様な、恐ろしい顔。 これが嫉妬ってヤツか。しかも雄に。 「…いい加減降りたらどうでしょう? 」 「スキンシップだよスキンシップ」 明らかに嫉妬してやがる。普段話してる時と目つきが全然違うし。いつからこんな性格になったんだろ。前まではこんな事やっても何にも言わなかったのに。 まあいいか。とりあえず明日はこれで行くことにしよう。頑張ってくれよ兄さん。 いい加減ルカリオの鋭い視線が嫌になってきたので、ラティオスの背中から降りる。もうちょっとこの感触を味わっていたかったが、これ以上くっ付いてると後から何かされそうだから止めた。 「それじゃあ明日、よろしくな」 そう言ってラティオスをボールに戻し、買ってきたまま袋に入っているアイスを一つ手に取る。何か若干溶けていたが気にしない。冷たさと味があれば良し。 でも残りの分はちゃんと冷凍庫に入れておこう。こんな暑さだったらすぐに溶けてしまう。 「お前…腹壊すぞ? 」 しかし俺が見てない間にもう三つ目のアイスを平らげたブイゼル。食いすぎだろいくらなんでも。 とりあえず残りの分を冷凍庫に全て収める。若干溶けてたから次出す時は恐らく変な形になっているだろう。 「あ、こっちに捨てて」 アイスの食べ終わったゴミを持ちながら部屋の中をうろついていたブイゼル。多分ゴミ箱を探していると思い、声を掛けてやった。案の定俺の予想は当たったようだ。 「そういえば御主人様、どこで寝泊りするんですか? テントが見当たらないんですが…」 ホームセンターで買ってきた袋の中を漁っていたルカリオが俺に問いかける。当たり前だ、テントなんて買える金なんか持って無いし。 でも俺には考えがあるんだよ。とっておきの。 「洞窟…」 「サバイバルじゃないですか」 「食い物は一応持っていくがな」 何か嫌そうな顔してやがる。しょうがないんだよ、俺にはそんな金無いし。少しは野生っぽいやりかたの方が楽しいんじゃないか? てかお前もともと野生だろうが。 「でも何か面白そうですね」 「だろ? 」 お、ノってきたじゃん、珍しい。そうと決まればもう問題無しだ。まぁぶっちゃけ最初からテントなんて買う気無かったけど。 「決まりだな」 「はい。あ、お風呂沸きましたよ」 「おう」 まだ五時半過ぎか…、ちょっと早いがもう入ってしまおう。明日は朝早いし。寝坊なんてしたらコイツらに何言われるかわかんないし。 間違いなく食われる(違う意味で)。 「じゃあ先入ってるから」 寝室の引き出しから一枚バスタオルを持ってきて風呂場へ直行。多分あの二匹は各自入ると思うから用意しなかったけど… まぁいいか。それくらいは自分で出来るだろう。今はいち早く湯船に浸かる事に集中しよう。 「あ”あ”ぁ~」 毎度お馴染みのこの声。意識はしていないんだが出てしまう。やっぱり風呂はいいなぁー。一日の疲れがこの一瞬で流れ出ていくような、全身を包み込むこの温かさが、もう最高だ。これぞ真の極楽。 「入りますよー」 「おう」 ガチャリという音とともにルカリオが入ってきた。なんとなくだがブイゼルも一緒に来るのかな、と思ったが、そうではなかったようだ。さっきの水風呂でもう満足したのかな。水ポケモンだし。 「今日は暑かったです」 「大丈夫だったか? 」 「えぇ、明日もこの天気だったらいいのですが」 「そうだな」 やっぱりちょっと堪えてたんだな。なんたって夕方帰ってきた時点で部屋の中の温度高かったし。 明日は晴れてないと計画が丸潰れだもんな。しかも年に一回しか行けない旅行だし。コイツらにとっては外で思いっきり遊べる日だし。絶対晴れて欲しい。 もうあんなジメジメした日なんて経験したくないし。 「どうしたんですか? 」 「…んぁ、あぁ…、なんでもない」 どうやら自分でも気づかずに険しい顔になっていたのか、ルカリオがなんか不思議そうな顔で話しかけてきた。いきなりだったために思わず変な声で返事をしてしまう。 どうしたんだ、何でそんな顔してるんだ? また何か変な事思ってるのか? 「どうしたのさ? 」 「…私の事、どう思ってますか…? 」 …そんな真面目な顔でいきなり何言い出すんだと思った。これは硬直せざるをえない質問じゃねぇか。「どう思ってますか」って…。 お前が俺のこと好きなのは分かってる。それもパートナーとしてでは無く、恋人として。だけどお前はポケモン。俺は人間。しかも男で、お前は雄。 いくら俺のことが好きでも、俺はお前とそんな関係にはなれない。でも何回か繋がっちゃったけど…って…、何考えてんだ俺は。 何か…そんな関係になっちゃうと、お前をパートナーとして見れなくなってしまうから…。 しかしココはどう話をすれば良いのだろうか…。 「…じゃあ、お前は俺の事、どう思ってる? 」 今はコレしか俺には言えなかった。答えが出るまでまだ時間が掛かる。俺もコイツの本音が聞きたいし、俺がどう思われてるかも知りたかった。 どうやらコイツも答えに詰まってしまったようだ。でも何か悲しそうな顔をしている。 「…私には…なぜアイスを食べさせてくれなかったのでしょうか…? 」 「……ぶっ! 」 考え過ぎた俺が馬鹿だったのかもしれない、そして俺が先に答えなかったのが良かったのかもしれない。 こんな些細な事をなぜこんな大げさに表現するんだコイツは…。何がアイス食べさせてくれないだオイ。 「自分で食えや」 「スプーンが持てないんですっ」 「知らんわそんなの」 もうダメですこの子は。何か見た目とのギャップが激しすぎて怖いし。こんな成長して色々教えてきたのに、スプーン持てないってどういう事だこの野郎。俺の苦労は何だったんだ…。 「…私の事嫌いなんですか? 」 「なぜに」 「なぜラティオスには、あんなに優しいのに…、私には厳しいのです? 」 話変わってるし、しかも完全に嫉妬だなコレ。勘弁してくれよ…。どんだけ独占欲強いんだ。ただのわがままか? 正直言ってそれが俺の接し方なんです。ラティオスにだけ優しくしたつもりなんて全くありません。 「はぁ…、考え過ぎだお前は…」 「なぜそう言えるのです!? 」 「言ったろ? この前、嫌ってたらとっくに追い出してるって」 「…あ」 「思い出したか? 」 コイツは一度考え出すと暴走する癖があるようだ。前言った事も頭に無かったみたいだし。 「それではっ…」 「だから言ってるじゃねぇか」 「…ぅうっ…」 また泣き出しやがった…。いつになったら大人になるんだよコイツは。そんな事で泣くんじゃねーっつうの。でもそれだけ俺の事が好きってことなんだな。それはパートナーとしてありがたい事だ。 お互いの絆を深めてこそトレーナーって誰かが言ってたし、まぁ良いことなのか? 「ちょっ…のぼせた…」 コイツとの会話のせいでさっきからずっと湯船に浸かっていたから頭がぼーっとする。とりあえず湯船から出よう。このままだと煮えてしまう。 一旦立ち上がり、ここで俺の特性「めまい」が発動するので立ったまま数秒待つ。めまいが治まらないまま動くと、そのままの状態で床に顔面を打ちつける事になりかねないので、黙って待つ。 そしてめまいが完全に治まってから、湯船から脱出。床のひんやりとした感触が足の裏に感じた。 「ふぅ…」 火照った体から徐々に熱が逃げていく感覚、そして何者かに見られているような感覚。てか完全に見られている。 まるで何かを求めているような目でルカリオが俺を見ていた。 「見つめても何も出ないぞ? 」 「…あの」 「何さ? 」 目を合わそうとしないルカリオ。なんとなく考えてる事は予想出来るが…。 悪いけど明日は朝早いから「そんな事」は出来ないんだよ。でも何か気になるな、コイツの考えてる事。 「どうした? 」 「今日は…その…」 「悪いけど、明日朝早いから、今日はダメだ…」 「…そうですか…」 朝から腰痛で立てなかったらキャンプも何も無い、お前は家の中で歩き回るのも辛くなるまで体を求めてくるから、今日は勘弁してくれな。 「代わりに背中流してやるから、こっち来いよ」 何事も無く入浴タイムも終わり、ルカリオの体をドライヤーとブラシで乾かし、今はソファーでブイゼルも加わりくつろいでいる。 時間は七時過ぎ、テレビ番組も気に入った番組が放送されてなく、リビングは静まり返っている。まだ寝るのには早いし、何にもやることが無い。 そういえば海に行くと言ってもどこの海に行くかは決めてなかったな。出来ればあまり遠くなく、かつ人があまり居ない所が良いと思う。 それに適当な大きさの洞窟があったり、木の実も豊富な所とか。 とりあえず地図を見てみるか。幾つか地方があったはずだよな、かなり。たしかこの前っていうか去年買ったやつが寝室にあったような気が…。 「お…発見」 あったあった。ちょっと古いけど地名とか地形とかは変わっていないだろう…多分。とりあえず開いてみようか。 「…」 「どうしたのですか? 」 「なぁ…どこの海行きたい?」 開いてはみたが、海なんてどこにでもあるじゃねぇか…。地方によってはポケモンの形をした岩なんかあったりするみたいだし…。 それだったら観光じゃん。キャンプの道具を持って観光なんか行きたくないな…。んー、どこにしようか…。 「この島なんかどうでしょう? 」 「…ん」 ジョウト地方…。まぁ空からだから行けなくも無いか。なんか怪しそうな島だけど、コイツらが何かあったら始末してくれるだろう、多分。 野生のポケモンが出て来たりしても…コイツら強いし。 「よし、そこだな」 「決まりですね」 好奇心旺盛なブイゼルも納得の御様子。そうと決まれば準備…って言っても持ってく物は少ないんだけどな。 安い着火剤と鍋とその他調理道具。リュック一つにまとめれるくらいだし、とりあえず用意っと。 「食べ物は現地で木の実とか調達。そのほかはあっちで考える」 「完全にサバイバルじゃないですか」 「そっちの方がスリルあると思って」 行く時は最低限の物しか持って行かないのがキャンプってものだ…と思う。最初から全て準備してあるのってなんか内容薄いなーって思う。だからテントなんて必要無し。 「なるほど…楽しみです」 「とりあえず出発する時、お前らボールの中な」 「それも必要最低限ですか…」 「そうだ、分かってくれ」 なるべく負担を少なくしようと思ったんだ、最低限度の人数で考えたらこれしかなかったんだよ、ごめんな…と一応心の中で謝っておく事にした。 広げていた地図を閉じ、俺は寝室のクローゼットの奥の方から少し大きめのリュックを取り出してくる。中に何も入っていないことを確認し、台所からやや大きめの鍋、果物ナイフ、幾つかの調味料をリュックの中に入れる。 それと海水パンツっと…、まだリュックの空きスペースが結構あるな…。必要かどうかわからないから一応入れていくか。 玄関の扉のすぐ横にある物置スペースからこの前使ったとんでもなく眩しいライト、それに折りたたみ式のスコップ。こんなのいつ買ったっけ…。 念のためにそれもリュックの中に投入。まだちょっと入るけどこの位でいいか。 これだけあればもし遭難しても何日か生き延びれるだろう。意外と軽いのが何かアレだが…。 「持ち物はこれでよし」 色々詰まったリュックをリビングの適当な場所に置いて、準備完了。 「さぁ、ちょっと早いけど寝るとするか」 「えぇ」 壁の時計に目をやると、八時ちょっと過ぎ。ちょっと早いが明日の為だ、寝てしまおう。 「なぁ」 「どうしました? 」 「何でお前って…いつも敬語なのさ? 」 寝る準備を終わらせ、コイツらが寝るスペースも作り(ただ敷き布団を一枚敷いただけだが)、俺たちはとりあえず寝転がっていた。 いつもなんとなく思う事だが、ルカリオが喋るときはいつも敬語だ。もう家族同然の生活をしているのに、なぜ敬語なのか、ちょっと気になった。丁度いい機会なんで質問してみたのだが、 「癖です」 答えはそれだけ。もっと深い何かが語られるのかを期待した俺が悪かった。 「それだけ? 」 「えぇ、何かありましたか? 」 「いや、何も…」 どうやら俺の企みは不発に終わったようだ。とりあえずコイツの新しい何かが分かるような気がしたのだが、大した味気も無く会話が終了。 もう頭で何かを考えるのがめんどくさくなってきた。とっとと寝てしまおう。明日は朝早いし…もう… 「ごぇっ!! 」 まさに衝撃、何かがうつ伏せの状態の俺にのしかかる感覚。そのせいで眠りから一気に覚醒。眠気なんぞ遠くの彼方へとぶっ飛んでいった。 そして体を強制的に仰向けにさせられ、眩しい朝の日差しが目を襲う。 「ちょ…どけよ…」 腹が苦しい、息が詰まる。とりあえずどけてくれないかバクフーンよ、お前いつ出てきやがった。 「お前…出したろコイツ」 「すいません。ボールがカタカタと動いていたのでつい…」 なるほど、そのまま出した瞬間俺が襲われたと。てかいい加減どきやがれ、暑いんだよこの季節にお前は。 「…おい…降りろ…」 未だにマウントポジションのような格好で乗っかっていたバクフーン。さすがに殴ってくるようなことは無かったが、体が標準より大きいからとにかく重い。 マジな顔で言ったら何とか降りてくれた。ったく…、朝からテンション高いんだよ。 しかもまだ六時じゃねぇか…、ちょっと早すぎるな。 「お前ら…早い」 「楽しみなんですっ」 「楽しみだからってこれ…ごっ! 」 バクフーンのタックルが俺に直撃。そのままベッドに叩き付けられる。手加減はしているだろうが、ちょっと痛い。 暑い、炎タイプだからなおさらだ。しかも叩きつけられた後は担ぎ上げられる始末。勘弁してくれよ…。 「降ろせコノっ! 」 右腕でバクフーンの首を抱え、全体重を後ろにかける。ポケモンと言えどこの技は回避できないだろう。 渾身の技「DDT」がバクフーンを襲った。頭のてっぺんから床に叩き付けられ、そのまま動かなくなる。 俺の勝ちだ。ちょっとかわいそうだが。 「ふん、ぬるいわ」 「御主人様…素敵です」 「男に言われたくねぇよ」 男にそんな事言われてもあんまり嬉しくないんだよな…。まぁいいか。 未だ目を回してぶっ倒れてるコイツをボールに戻す。傷薬なんて使わなくても大丈夫だろう。コイツなら。 もう少し寝ようかなと思っていたが、眠気が完全にぶっ飛んでいった。しょうがない、準備するか。 「よし、行くか」 「はいっ」 時間は七時をちょっと過ぎたくらい、昨日にある程度準備していたので、持ち物の確認をしただけだ。後は手持ちの奴らのボールを腰に付けて… 「じゃ、後でな」 「わかりました」 ルカリオをボールに戻し、ベルトに装着。ちょっと悲しい顔をしていたが、見なかった事にしよう…。 そして家の全ての窓の鍵を閉め、ガスの元栓の確認。風呂場の元栓もしっかりと…、よし。電気も消して、リュックを背負う。動きやすくて生地の丈夫な靴を履き、リュックのポケットにビーチサンダルを押し込んでっと。よし、もう持っていく物はこれでよし。 玄関の扉を開けたら、少しひんやりした空気が流れ込んできた。天気予報だと、しばらく晴れが続くと言っていたし、昼頃には温かくなるだろう。 鍵をかけて開かないか確認。よし、出発だ。 「それじゃ、頼むよ」 長い首をぐいんと曲げ頷く。昨日はちょっと不機嫌そうだったが、今は行く気満々な顔だ。腕をぶんぶんと振って…、分かったよ。今乗るから…って 「…ちょ」 後ろに回り込んで背中に乗ろうとしても乗せてくれない。なぜかこっちを向いたまま、まるで乗られるのを嫌がっているように見えなくも無い。でも少しにやけてるし…、何を企んでんだコイツは…。 「おい、いい加減乗s…んぅ!? 」 長い首をぐいっと曲げ、いきなり唇を塞がれる。そして両手でがばっと俺を抱き、勢い良く飛び上がって。 ぐんぐんスピードが上がり、横目で下を覗いて見たらもう町が点になっていた。でも今はそれどころじゃない。 未だ唇を離さないラティオス。そして下の景色が真っ白の雲の海になったのを見計らってか、俺の唇を割ってぬめったものが入り込んできた。 ねっとりとして、深く、まるで味わうかのように口内を舐めつくす。 「んぁ…ちょ…何するn」 一旦離れたが、またも塞がれる。腕もがっちり固定されてるから全く抵抗できず、まさにされるがままの俺。そしてやりたい放題のラティオス。 満遍なく口内を犯され、唇が離れる。お互いの間に銀色の糸が繋がっていたが、それは風に乗ってすぐに消えていった。頭がぼーっとする。 口内にラティオスの甘いような味が残っていて、体に力が入らない。でもしっかりと俺の体を抱いてくれて、温かい。少し強引だけど、コイツなりの優しさを少し感じた。 「もう…済んだか? 」 小さな声だったから聞こえたかどうか分からないが、俺の頬をぺろりと舐め、しっかりと俺の目を見つめ微笑んだ。 「なら…行こう」 俺を抱く腕に少し力がかかったような気がして、遠い目的地へと飛び始める。 まさかコイツがあんな事するなんて…、思ってもいなかった。かなり積極的だったし、でもその中に優しさがあった。 ありがとうな。 言葉には出さず、なんとか両腕を開放し、背中にその腕をまわしてしっかりと抱く。さらさらとした毛並と程よい弾力のお腹に顔をうずめる。やっぱりシャンプーの良い匂いがする。 こんなところをルカリオなんかに見られたら…、ちょっと怖いな。 飛び始めてから三十分くらいかな、雲の上ギリギリのところを飛んでいるからある程度下の町並みは見えるのだが。 って言っても地図はリュックの中でまだ一回も見てないからちょっと不安になってきた。とりあえず休憩も兼ねて一回地上に降りるとするか。 「一回降りよう。ちょっと休憩な」 まだ平気だよとか言いそうな顔だったが、素直に従ってくれた。強がりなんだなぁ…。 そしてキョロキョロと何かを探している。どうやら降りる場所を探しているみたいだ。確かに街中に降りたら何かと騒がれそうだし。だからと言ってこのまま目的地に向かうのは体力が心配なところなんだが。 あ、何かあっちに森がある。あそこなら良いんじゃないか? どうやらラティオスもあの森の存在に気づいたようだ。その森の方へと向きを変えて。 丁度その上空にたどり着いて人が居なさそうな所を探す。って言っても木が多すぎて地面が見えない。無論、そこに居るかもしれない人影も。 ラティオスはそれでもなお降りる場所を探している。そして何かを見つけたかのように一気に急降下。 「ちょっ、いきなr…うぉぉぉぉぉぉぉ!! 」 「…お前…怖い…」 何とか地面に降り立った。でもさっきの急降下のせいで腰が砕けへたり込んでしまった。とにかく立てない。 一方やりやがった張本人はクスクスと笑ってやがる。俺が立てなくて何も出来ないことをいいことに。畜生…。 何か…もう…、泣きたい。手持ちのポケモンに泣かされるなんて、もう…。 「…何」 どこから持ってきたのだろう。差し出されたラティオスの手にはなぜかピンク色の木の実、モモンの実が乗っかっていた。しかも五つも。 どうやらそれを食べて欲しいみたいだ。丁度喉も渇いてきたし、ありがたく貰うとするか。 「…どうしてさ」 貰おうとして手を伸ばしてもなぜか手を引っ込められる。もう完全に立場逆転してるな…。これが下克上ってやつか…。対抗できない俺が情けない。 ため息をつき、リュックを下ろして仰向けに寝転がる。新鮮な森の空気を胸いっぱい吸うと、何だか心が落ち着くっていうか、なんだか気持ちが良い。 腕時計を見ると、まだ八時をちょっと過ぎたあたりだ。家を出るのが早すぎたのがアレかな。一応自分の中で午前中に着けばいいかなと思っていたのだが、ここで一眠りしても大丈夫かな? そう考えると何だか眠くなってきた。アイツに構わず寝てしまおうと目を閉じた…が、背中に変な感触。すぐに分かった。 ラティオスが俺の背中に手を添えて起き上がらせようとしている。完全に安眠妨害だこの野郎。 「もう…なんだってn…んんっ! 」 本日二度目のキス。引き離そうとしても後頭部に手が添えられて全く動かない。そして唇を割って舌が進入してきた。 甘い、妙な甘さだ。まさしくさっき持っていたモモンの実の果汁。それをラティオスから口移しで俺へ流し込まれている。 徐々に体の力が抜け、抵抗する気力さえも消えて。 「はぁっ…そんな…っ」 いい加減にしろ、と言おうとしたが、しかし思ったように声が出ない。 やめろ、シャツをめくるな。そんなとこ触るなぁぁ! 「ひっ…おまっ…」 胸の二つの突起。そこにラティオスの手が触れる。びくんと体が反応してしまい、満足げな表情を浮かべるコイツ。 くりくりと先端を軽く引っ掻くような動作で俺を攻められ無意識に体が反応してしまう。 「あぁっ! ん…やめっ…んっ」 その喘ぎ声を止めるかのように唇を重ねられて、しかし胸への刺激は止まらない。もう…理性とかもうどうでもよくなってきた…。プライドとか、もう何もかも全て。ごめんなさい神様。 「うぁぁっ…そこ…は…」 やっと離れたかと思うと今度は首筋を軽く食む。厭らしい音を出しながら吸い付き、ねっとりと舐める。頬、首筋、耳たぶ、まるで俺の事を味わうかの如く、絶妙な加減で。 舐められた痕が冷たく感じるのは、それほど熱いものに焼かれたような、そんな感覚さえをも覚える。ラティオスの口から漏れる小さな息遣い、それがこの静かな森の中で嫌というほど耳に入ってきて。 最後にぺろりと頬を舐め、その行為は終わった。満足げな表情を見てやっと終わったのかと思ったが、今度はシャツの襟を銜えて上に引っ張られる。何だ、脱げってことか? わかったよ。脱いでやるから歯立ててぐいぐい引っ張るな。伸びるじゃないか。慌てるなよ。 ぱさり、と音を立ててTシャツが地面に落ちる。襟にはくっきりとラティオスの歯形が残っていたが。 寒い。ひんやりとした空気は、服を着ていれば涼しいのだが、何も着ていないと涼しいを通り越して、寒い。 だがラティオスはそれを待っていたかのように俺の体を抱き締める。さらさらとした毛並、そしてシャンプーのいい香りと、ちょっとだけ汗の匂い。でも嫌ではない。むしろ好きだ。 お腹の部分はなかなかの弾力だが、鍛えた筋肉のような固い感触ではない。お返しにと俺もラティオスの首筋に両腕をまわして、しっかりと抱く。温かくて、優しくて、何か嬉しい。まるで俺の事をしっかりと守ってくれているような、愛されているような。 胸に耳を当てると、しっかりとした力強い鼓動が聞こえる。それは人間もポケモンも、同じく生きている証拠。生命の証。 「はぁ…っ! らて…ぃ…お…っ! 」 片方の胸の突起を食まれたことで俺の体は無意識にびくりと反応してしまう。そしてもう片方は爪先で弄られ、揉まれる。 的確にぬめった舌を這わせ、弱点を攻められて。もう理性なんてどこかに飛んで行ってしまった。 ここは森だから、もしかして誰かに見られるかもしれないというスリルが、お互いの情欲を目覚めさせてしまったのか。そんな考えはもう俺たちには必要無かった。 まだ日が昇っていない時間なのに…、しかも森の中でコイツと…。 「あぁぁぁ…、そ…ん…吸っちゃ…」 わざと音を立てて突起を吸うラティオス。まるで赤ちゃんが母乳を飲む時のような、それでいてなお舌で先端を弄くっている。その間にもう片方の手で俺の盛り上がったズボンの部分を優しく擦っていて、しかし限界に達するような刺激ではない。 ぽん、と音がしてやっと口が離れる。ラティオスの口内で弄られていたためにそこの一点だけひんやり冷たく感じる。それに思わず身震いしてしまった。 そんな事をお構いなしにラティオスは俺のズボンを脱がそうとベルトを引っ張る。だがやっぱり外し方が分からないようだ。いくら引っ張っても外れる訳が無い。 「…わかったよ…、今外すから」 おとなしくベルトを外すのを見ているラティオス。その目は何かを期待してるように思えた。 その期待に応えるべく、すぐにベルトを外し、ズボンを脱ぐ。…パンツも一緒に。…やっぱり寒いが。 地面に座っていた俺を優しく押し倒し、抱き締めて唇を重ねる。もう何度目になるか分からない程、それでいて濃厚なディープキス。 しかしそれはすぐに離れてしまう。ほんの数秒だけ俺たちの繋いでいた銀の糸もすぐ切れて。 「…っ! 」 突如下半身からまるで電気が走ったような衝撃が走る。原因はすぐにわかった。膨張した俺のモノがラティオスの手に握られている。 「握る」というよりは「掴む」の方が正しいかもしれない。爪で傷つけないように優しく、大切なものを触るかのように。 それでも俺にとってはかなりの刺激だ。擦る度に腰ががくがくと震えてしまう。 「はぁっ…くっ…」 その大きな手のひらで撫でるようにして刺激してきたり、二つの袋を優しく揉んできたり。どこでこんな事覚えたんだ…。 そしてゆっくりとラティオスの顔が俺のモノへと向けられる。長い首を大きく曲げて。 その勢いで大きな体が半回転。丁度胸の三角の模様が俺の顔のすぐ上にある。なんか不思議な模様だなぁ…と思った矢先、 「はぁっ…っ! 」 根元から先の部分にかけて生温かい感触。見れば舌先で味見するかのように舐めている。それが何度も何度も行き来して、まるでアイスキャンディーを舐めているような。 そんなもの舐めて美味しいのか。やっぱりポケモンの味覚は人間とは全く違う。俺からしたら明らかにおかしいのだが…。 「あぁぁぁぁ…」 遂にその全体が熱いものに包まれてしまった。ぬるぬるしてて、生き物のようにうねっていて、焼け付くような熱さ。 しっかりと俺のモノを銜えているラティオス。体が大きいから全然余裕で銜えれるみたいだ。 こちら側からはその表情は見えない。自分からやっているんだから恐らく嫌な顔はしていないと思うが…。 「おい…口…離…せ……あぁぁぁぁっ!! 」 腰の奥深くから何かが湧き上がってくるような、それは突然訪れた。 急に強く吸われたせいですでに限界に近かったものが一気に崩れてしまった。びくびくと脈打ち、我慢できずラティオスの口内に俺の精液を思いっきり吐き出してしまう。 なのに突然出してしまったのにも全く動じずそれをこぼさずに飲み込んでいく。最後の一滴まで残さず、全て。 「うっ…はぁ…」 そして全部搾り取ったらしく、やっと口を離してくれた。…最後口を離すとき思いっきり吸われて声が漏れてしまったが。 まさかコイツにこんな事されるとは思ってもいなかったなぁ…。また流されて俺も乗ってしまったけど…さ。でも気持ち良かったのは事実なんだけどなぁ…。まぁ襲われて言うのもなんだけど…、コイツ結構こう見えて優しいんだな。鋭い目つきだけど。 積極的だけど相手の体をちゃんと気遣ってくれたり、コイツが人間だったらすごい良い人だと思うなぁ。 でもさっきから俺に背を向けているのは、絶対そうだ…。これだけ近づいて気配に気付かないって事はやっぱり…。 「なぁ」 --!!? びくりと体を反応させて驚くラティオス。その勢いでかなり上まで浮かんで行ってしまった。十メートルくらい。 そのまま背中を向けて、正面が見えない状態で。これでもう確信した。アイツ…。 「なぁ…我慢しなくてもいいって」 あの状態なら間違いなく我慢してるな。俺だけ気持ちよくなって、何かアイツがかわいそうになってきた…。 ここまで来たらもうどうでもいいよな? 後戻り出来ないならこのまま…、行くしかない。 「降りて来いよ…、楽にさせてやるからさ…」 このままだったらいつまでたっても降りて来ないだろうな。 こういう時は降りて来るのを待つのが一番だが、そんな事してたら日が暮れてしまうだろう。コイツの場合は。 そしてようやく俺の言葉で決心したのか、ゆっくりと降りてきてくれた。だけどまだ後ろ向きのままでだが…。ちゃんと言う事を聞いてくれて良かったけど。でももう分かってるからさ…、頼むからこっち向いてくれよ兄さん…。とりあえずパンツとズボンを履いてから何とか立ち上がる。一応上半身は裸で…。 しかし未だにこっちを向こうとしないコイツ。もう逃げないよな…、多分。 俺はゆっくりと近づき、ラティオスの前へと回ってみる。今度は逃げたりはしなかったのだが…、でも恥ずかしいのか何だかわからない顔をして俺と目を合わそうとしない。 でもしっかりと雄の象徴は自己主張しているが…。体は正直ってやつかな? 初めて見た訳じゃないのに、やっぱりでかいな…。俺の二の腕より太いんじゃないか…? まぁいいか。今はコイツの事に集中しよう。さっきのお礼というか、仕返しというか…。 「おらっ」 その長い首の根元に向かってラリアットを喰らわす。もちろん手加減をして。…しなくても大丈夫そうだけど。俺の不意打ちは見事に成功。 ぼふっという音と共に抵抗もできずそのまま後ろに倒れこむラティオス。少し悲鳴みたいなのが聞こえたが気にしない事にしよう。恐らくコイツは何が起こったのか整理できていないだろう。目をぱちぱちして俺を見ている。本番はこれからなんだよ兄さん…。 「んっ…」 驚いて半開きだった口に少々強引にキス。さっきの仕返しとばかりに思いっきり中を掻き回すように。引っ込んでいる舌を吸い出し、自分のを絡ませて。 柔らかい舌と、口内の隅々まで舐めてやる。時々隙間から漏れるお互いの吐息、粘着質な音がはっきりと耳に入ってくる。完全にさっきと立場が入れ替わってしまった。全く抵抗しないで俺を受け入れているみたいだ。 いつもは鋭い目つきが今はとろんとしてて少し潤んでいる。同性の俺が言うのも変だけど…、正直可愛い顔してると思う。いや…、結構可愛い。 思わずその長い首を抱き寄せて更に繋がりを深めてしまう。こんな顔されたらあたりまえだ…。 そして視界の端にコイツの立派な雄の象徴がぴくりと動いているのが見えた。なるほど。コイツ…、キスだけで感じてるのか。 その先端からとろりと透明な液体が滴り落ち、お腹に小さな水溜りができている。ココでこれだけ感じてるなら…、こっちはどうだろうか。 一旦唇を離し、そのまま側頭部から生えている耳みたいな所を軽く食む。この前ここ触ったら変な反応してたから怪しいと思ってたけど、狙い的中だ。 まるで雌のような喘ぎ声を出して感じている。ほほぉ…、ここもこんなに感じるのか。 「気持ちいい? 」 そんな訳無いとでも言いそうな顔で首を横に振るラティオス。この強がりめ。さっき明らかに感じてただろう。元気にアレも震わせて喘いで。もう正直になったら? 兄さん。そんな反応されたら…もっとやりたくなってくるじゃないか。 否定したならもっとやっても大丈夫なんだよな? やってやるよ。覚悟しやがれ兄さん。俺の本気を見せてやるよ。 その両耳を片方は手で、もう片方は口で弄る。もちろん効果は抜群。それに急所に当たった的な。本当に気持ち良さそうな声を上げて快感に耐えているラティオス。息も荒く目も虚ろでいつものような威圧感が全く無い。 可愛い。そんな気持ちが俺の中に湧いてくる。耳から口を離し、ラティオスの唇を奪ってもうぐっちゃぐちゃにコイツの口内を掻き回して。 「ぷはっ」 これ以上やるとこっちが持たないところだった。一旦休憩だな。ちょっとだけど。 改めてコイツの顔を見ると、涙目で口を半開きにしながら荒い呼吸を繰り返している。やっぱり可愛いな。こんな感情が湧くなんて、俺も変だな…。雄ばっかに…。そんなに俺は雄に惚れられるタイプなのか? それかただの御主人に対する愛情表現なのか? …何か考えてると頭だ重くなってくる。やめだ、今はコイツだ。コイツをどうにかしないと。 それは立派にそそり立った雄の象徴。今度はコッチの方を攻めてやるとするか。 やっぱり近くで見るとかなりでかい。それに綺麗なピンク色だなぁ…。自分でしたりしないのかな。人間だとそれなりの年齢だろうし、そういった事もやったりとか。今度メジャーで長さ測ってやるかな…って、また何考えてるんだ俺は…。 とりあえずソレを触ってみるとかなり熱い。それに鼓動に合わせてびくびくと脈打って…、なんかエロい…。 「感じた? 」 びくりと反応したもんだから意地悪く質問してみた。やっぱり強がっているラティオス。顔を赤くしているのに首を横に振って否定。 むすっとして不機嫌そうな顔をしている。なんだ、そんなに強がって良いのかな? 今度は両手でそれを握って思いっきり全体を扱いてやる。先走りをしれ全体に塗りこむようにして根元から一気に。ずりゅっ、ずちゅっと、わざと音を立てて、まるで搾り取るように。 いきなりの刺激でびっくりしたらしく、腰を浮かして耐えているようだ。それに甘い声で喘いで。 「どうした? 気持ち良いのか? 」 俺の声が耳に届いてないらしく反応がない。襲い掛かる快感に耐えるのが精一杯なのだろう。いきなりやりすぎたか。 こんなに一気にやるとさすがに体力使うだろうし、ここは一旦手を止めてコイツが落ち着くのを待つ事にしよう。 手には先走りの液がべっとりと付いていた。ねばついていて、独特な匂い。ちょっと舐めてみると、しょっぱいような苦いような。正直あまり美味しいものでは無かった。…そもそも普通はこんなもの舐める機会なんて無いが…。 でも嫌いな味では無い。コイツのものなら全然平気だ。 「…」 なぜか嫌な物を見るような目で見てくるラティオス。そうか。俺が今舐めたコレか。そんなもの舐めるなと、そう言いたそうな顔して。 見られてはいないと思っていたから一気に恥ずかしさが込み上げてくる。それがしっかりと見られていたとは…。 「見たな…? 」 しっかりと頷くラティオス。しかも何か嬉しそうだし。…もう訳分かんねぇ…。 そしてさっきまで寝転がっていたはずなのに、今は宙に浮いてるし…。はぁ…、やっぱり俺って…。 「おい、やめろっ…むぐっ」 にこっと笑いながら俺の口にその立派な象徴を無理やり突っ込まれる。離れようとしても後頭部に手が添えられていて無理だ。 口内に独特な味が広がって頭がくらくらしてきた。喉の奥までそれが挿し込まれて息が出来なくなってしまう。 声を出そうとしても出ないし。完全にコイツに主導権を握られてしまった。やばい。なんとかしないと…。 「んん…ぶへぇ!」 俺の渾身の力で何とか押し返せた。もう口の回りがコイツの出した液でべとべと…。さっきより苦味が強くなってきてるし、もうなんか頭が…。 それでいて早くやってとでも言いそうな顔で俺の目の前にその立派なモノを突きつけてくる。先走りに塗れたそれは不気味に輝き、凄く…エロい…。 それに手を伸ばし、ゆっくりと、両手で優しく握る。ぬるりとした感触、それに鼓動と一緒に脈打って、熱い。 そのまま上下に扱いてその先端に舌を伸ばし、次から次へと出てくる先走り液を舐め取っていく。苦い。でも吐き出す程の不味さではないが。 全くそれが汚いとか嫌だとかは思わなかった。…まぁいつも風呂で洗ってやってるし…、コイツのものなら全然平気だ。 次は先端の方を銜える。同時に根元からゆっくりと扱きながら刺激を与える。ほぉ…。これでも大丈夫なのか。さっきは触っただけで震えていたのに。今度はこれでどうかな? --くぅぁぁぁんんん!!! 思いっきりそれを吸ったらいきなり達してしまったらしい。甲高い悲鳴と同時に口内を独特な味と匂いのした液体で一気に埋め尽くされる。瞬く間にそれが喉に流れ込み、飲もうとしてもつっかえて思わずむせてしまった。…まずっ…。 口を離してもなお放出が止まらない。そのおかげで顔面にその熱い液体がもろに降りかかってきた。先走りよりも粘っこく、それよりずっと濃い匂いのそれが。 うっわ気持ち悪っ…。 「…うぇ」 最後の一滴まで出し終わったみたいだ。もう俺の顔はラティオスの出した精液で酷い事になっているだろう。余程我慢してたのか知らないが、かなり濃いし、量がとんでもなく多い。じっとしてて地面に落ちないのが凄い…。 これじゃあ目も開けられないし…。腕で拭ってもなかなか取れないし、顔を横にぶんぶん振ってもダメ。 どんだけ濃いの出してんだよ…。まるでゼリーとかその辺の部類に入るだろコレ。もうべっとべと…。 「んっ」 頬に何か温かいものが触れた。何回も同じところを行き来している。次に反対の頬、唇、そして目蓋。 顔全体にその感触。やっと目を開けてみると、そこにはラティオスの顔。ぺろぺろと俺の顔に付いた液体を舐め取っているのが見えた。 どうやら嫌な味らしく険しい表情をしているラティオス。俺のは普通に飲んでたのに…。てかそんな顔するなら舐めなくてもいいのに…。 しかし何度も思うが、やっぱりポケモンの味覚は人間と遥かに違う。もうこれは確信したぞ。 人の精液を嫌な顔一つせず飲んで…。 そうこうしているうちに大体は舐め取ってくれたようだ。後は現地に着いてから海水で洗えばいいし。コイツのアレもちゃんと中に納まって見えなくなってる。もう満足したみたい。 それに満足げな表情。何か妙に腹立つのは気のせいかな? 思いっきり俺の顔にぶっかけやがったのに。御主人だぞ俺は。少しは手加減するとかそういったコトは控えるとかしやがれこの野郎。 とりあえずシャツを着てリュックも背負って、準備完了。腕時計を見ると、十一時ちょっと前。結構な時間居たな…。 完全に予想外だ。でもまだ午前中だから大丈夫…だと思う。 「ちょっと長く居すぎたから、急ぎで」 任せとけってか? そんな自身満々な顔しやがって。遅れたらみんなの前で耳攻めてやる。 さぁ行こうか…って、やっぱり背中じゃなくてお前の腕の中ね…。僕の胸に飛び込んで来いってか。そんなに腕広げて。 その大きな胸に抱きついてやる。やっぱこの感触…、気持ち良いなぁ…。それに良い香りだなぁ…。それに応えるようにラティオスも俺の背中に手をまわして、さらに密着する。 何だかんだでコイツにも好かれてしまったようだ。嬉しいんだけど…他にもう一匹居るんだよなぁ…。こんな事したのバレたら絶対何か仕掛けて来そうでおっかないな…。 この難しい三角関係は俺にとってかなりの悩み所になってしまった。それをどうやって丸く治めれば良いんだろう…。 まぁその時が来たらその時考えよう。今はコイツの毛並を堪能しながら目的地に行こうじゃないか。 ---- 兄さんは時々壊れるのが良いんです 誤字脱字おかしい改行があれば教えてください ---- なにかありましたらコメント欄へお願いします。 #pcomment(三角コメント,10,)